気候の避難所→今や気候危機に直面2024年10月03日 12:57

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【概要】

 2024年9月末にノースカロライナ州で発生した洪水と気候変動の影響について、著者シュラー・ミッチェルが個人的な経験を交えて述べたものである。著者は2003年のカリフォルニア州での大規模な山火事())Cedar Fire)を幼少期に経験し、その後、より穏やかな気候を求めて母親と共にノースカロライナ州へ移住した。この州は比較的温暖な気候と自然の豊かさで知られていたが、気候変動の影響により、今や洪水や自然災害が頻発している。

 特に2024年9月に発生したハリケーン・ヘレンによる洪水は、著者が慣れ親しんだ場所を一変させた。西ノースカロライナ州の町ブーンや、観光地であるアシュビルも大きな被害を受け、多くの建物が浸水し、住民が孤立する事態が続いた。アシュビルは以前、「気候の避難所」として紹介されていたが、この洪水でその安全神話が崩れ去った。

 著者はまた、この地域が気候変動の影響を大きく受けていることに触れ、石炭採掘による化石燃料の使用が原因の一部であると指摘している。今回の洪水は100年以上前の「1916年の大洪水」よりもさらにひどいもので、科学者たちはハリケーン・ヘレンがもたらした降雨量は気候変動の影響で50%増加したと見積もっている。これらの災害は今後も頻発し、誰にとっても身近な問題となることが強調されている。

 最後に、著者は地域のコミュニティが互いに支え合いながら復興に取り組む姿を描き、迅速な気候対策が必要であると訴えている。
 
【詳細】

 著者シュラー・ミッチェルが個人的な体験を通じて、ノースカロライナ州が直面した気候変動の現実と、それによる災害の深刻さを描写している。特に、2024年9月末にハリケーン・ヘレンがもたらした洪水が、ノースカロライナ州西部を中心に壊滅的な被害を与えたことを、感情的かつ詳細に説明している。

 1. 著者のバックグラウンド

 著者は幼少期にカリフォルニア州で発生した2003年の「シーダー火災」を経験した。この火災は当時、カリフォルニア州で記録された最大の山火事で、27万エーカー以上を焼き、2,820の建物を破壊し、15人の命を奪った。この経験が、著者の人生に大きな影響を与えた。母親と著者は、気候的に安定した地域を求め、ノースカロライナ州のローリーに移住した。この移住は、当時カリフォルニアが地震、山火事、干ばつといった災害の多い土地だったのに対し、ノースカロライナが温暖で自然豊かな環境だったためである。

 2. ノースカロライナ州への愛着

 著者は20年以上ノースカロライナ州を故郷として暮らしており、他の場所で働いたり学んだりしても、この州が自身の「重心」であり続けている。特に著者は、ノースカロライナ西部の山岳地帯に強い愛着を抱いており、幼少期にはブーンやアシュビルといった町を頻繁に訪れた。これらの地域は、著者にとって特別な思い出が詰まった場所であり、ノースカロライナの自然の美しさと文化的な豊かさを象徴する場所である。たとえば、ブーンでは川でカヤックを漕いだり、冬には薪ストーブの前で過ごすなど、親しい友人や家族との思い出が多くある。

 3. 洪水による壊滅的な被害

 2024年9月27日、著者は母親からのテキストメッセージでブーンが洪水に見舞われていることを知る。この地域が洪水に見舞われることは、著者にとって信じられないことであったが、次第にその被害の全貌が明らかになっていきた。SNSや地元ニュースを通じて、西ノースカロライナ州全体が壊滅的な状況にあることが伝わり、著者はかつて慣れ親しんだ場所が浸水し、破壊されている様子を確認した。

 アシュビルや周辺地域も大きな被害を受けており、川が氾濫して町全体が浸水し、多くの家や建物が破壊された。特に、アシュビルのリバー・アーツ・ディストリクトは、最近の発展で文化的な中心地として栄えていたが、洪水で壊滅的な打撃を受けた。この地区は、著者が19歳のときに初めて恋に落ちた場所であり、その思い出が強く刻まれている。かつて穏やかな流れを見せていたフレンチ・ブロード川が、今回の洪水で暴れ狂い、地区を飲み込んだことは、著者にとって信じがたい出来事であった。

 4. 気候変動と災害の関係

 著者は、今回の洪水が気候変動によるものであり、化石燃料の過剰な使用がその原因の一つであることを指摘している。アパラチア地域は、歴史的に石炭採掘が盛んで、米国の石炭生産の中心地でもあったが、その結果として、この地域も気候変動の影響を強く受けている。科学者によれば、気候変動はハリケーン・ヘレンの降雨量を最大50%増加させたと推定されており、この洪水は過去100年以上にわたり記録されたものを上回るものであった。

 5. コミュニティの回復力

 著者は、ノースカロライナの住民が非常に回復力を持ち、互いに助け合いながら危機に立ち向かっている姿を強調している。多くの人々がSNSやディスコード、レディットといったオンラインプラットフォームを利用して情報を共有し、失踪者を捜索するためのグループも立ち上がった。また、現地ではインターネットが使えないため、ホワイトボードや紙を使って情報を伝達するなど、創意工夫による対応が行われている。さらに、近隣住民が発電機やチェーンソー、食料を共有し、地域コミュニティが互いに助け合っていることも描かれている。

 6. 結論

 最終的に、著者は今回の洪水が示す通り、気候変動の影響が予想以上に身近な問題となっていることを訴えている。かつて「気候の避難所」とされていたノースカロライナの山岳地帯でさえ、今や気候危機に直面しており、今後もこのような災害は続くと予想される。著者は、気候変動がもたらす破壊的な影響に対処するためには、積極的な気候対策が急務であると強調し、過去の経験からも記録的な災害が容易に更新されてしまう現実を痛感していると述べている。
 
【要点】

 ・著者シュラー・ミッチェルは、2003年にカリフォルニア州で発生したシーダー火災を経験し、その後、気候が穏やかなノースカロライナ州に移住した。
 ・ノースカロライナ州は、著者にとって「気候の避難所」として機能し、20年以上を過ごした故郷となった。
 ・2024年9月末、ハリケーン・ヘレンがノースカロライナ西部を襲い、著者の思い出の場所であるブーンやアシュビルが壊滅的な洪水被害を受けた。
 ・特にアシュビルのリバー・アーツ・ディストリクトが甚大な被害を受け、文化的な中心地が破壊された。
 ・科学者によれば、気候変動によりハリケーン・ヘレンの降雨量が最大50%増加し、地域の洪水被害を悪化させた。
 ・コミュニティは、SNSやディスコード、レディットなどを通じて情報を共有し、互いに支援し合いながら復興に向けて活動している。
 ・著者は、気候変動がもたらす災害がこれからも続くと警告し、積極的な気候対策の必要性を強調している。

【引用・参照・底本】

As North Carolina Flooded, My Home State Turned From Climate Haven to Calamity truthout 2024.10.02
https://truthout.org/articles/as-north-carolina-flooded-my-home-state-turned-from-climate-haven-to-calamity/?utm_source=feedotter&utm_medium=email&utm_campaign=FO-10-02-2024&utm_content=httpstruthoutorgarticlesasnorthcarolinafloodedmyhomestateturnedfromclimatehaventocalamity&utm_source=Truthout&utm_campaign=1b5a23910b-EMAIL_CAMPAIGN_2024_10_02_09_12&utm_medium=email&utm_term=0_bbb541a1db-1b5a23910b-%5BLIST_EMAIL_ID%5D

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