マクロンの発言:「根拠がなく、矛盾しており、憶測に基づくもの」2025年01月09日 18:30

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【概要】 
  
 2025年1月8日、イラン外務省はエマニュエル・マクロン仏大統領が「イランが中東における主な戦略的および安全保障上の脅威である」と述べた発言を否定した。

 イラン外務省報道官のエスマエル・バガエイ氏は、マクロン大統領の発言について「根拠がなく、矛盾しており、憶測に基づくもの」とし、フランスに対し「平和と安定に向けた非建設的な姿勢を再考するよう」求めた。

 マクロン大統領は1月6日に行った演説で、イランが「フランス、欧州、地域全体、さらにその先にとっての主な戦略的および安全保障上の課題」であると発言した。また、イランの核計画の加速について触れ、「核兵器開発を目的としている」と西側諸国が疑念を抱く中、状況が「臨界点に非常に近づいている」と述べた。

 これに対しバガエイ氏は、マクロン氏の発言を「欺瞞的」と非難し、イランの核活動が「平和的であり、国際法の枠組みに則ったもの」であると主張した。イランは一貫して核兵器の開発意図を否定している。

 国際原子力機関(IAEA)によると、イランは最近、ウラン濃縮を強化しており、非核兵器国としては唯一、60%に濃縮されたウランを保有している。この濃度は核兵器製造に必要な90%に近い水準である。

 ドナルド・トランプ氏が初めてアメリカ大統領を務めた際、アメリカはイラン核合意から一方的に離脱した。この合意は、イランが核開発を制限する代わりに制裁解除を受ける内容であった。イランはアメリカの離脱まで合意を順守していたが、その後は義務の履行を段階的に撤回している。

 イランは2025年1月13日にスイスでフランス、イギリス、ドイツと核問題に関する協議を予定している。

【詳細】

 2025年1月8日、イラン外務省は、エマニュエル・マクロン仏大統領が行った「イランが中東地域における主要な戦略的および安全保障上の脅威である」との発言に強く反発した。この声明は、フランスとイランの間の緊張が高まっている状況を反映している。以下に、詳細な背景と両国の立場を説明する。

 マクロン大統領の発言の内容

 エマニュエル・マクロン仏大統領は2025年1月6日、演説でイランを名指しし、「イランはフランス、ヨーロッパ、そして中東地域全体にとって主要な戦略的および安全保障上の課題である」と述べた。また、イランの核開発プログラムが加速していることについて言及し、「状況は臨界点に非常に近づいている」と警告した。この「臨界点」とは、イランが核兵器開発に必要な能力を手にする可能性を指している。マクロン氏は、イランの核問題が、1月20日に就任するアメリカの次期大統領、ドナルド・トランプ氏の政権との重要な議題になると付け加えた。

 イラン外務省の反応

 これに対し、イラン外務省報道官のエスマエル・バガエイ氏は、マクロン大統領の発言を「根拠のないものであり、矛盾しており、憶測に基づく」と批判した。バガエイ氏は、フランス政府に対して「平和と安定を害する非建設的な態度を再考するべきである」と求めた。さらに、イランの核活動について、「完全に平和的であり、国際法と国際原子力機関(IAEA)の規制に則ったもの」と主張した。

 イランの核開発に関する現状

 イランは2015年に締結された「イラン核合意(正式名称:包括的共同行動計画、JCPOA)」の枠組みの下、核開発を制限することを約束していた。しかし、アメリカが2018年にドナルド・トランプ大統領の政権下で一方的に合意から離脱したことを受け、イランは段階的に義務の履行を停止し始めた。
現在、イランは濃縮ウランを60%まで精製する能力を持ち、これは核兵器の製造に必要とされる90%の濃縮レベルに近い。この状況は、国際社会から懸念を引き起こしている。IAEAによれば、イランは現在、非核兵器保有国の中で最も高い濃縮レベルのウランを保有している国である。

 核問題を巡る国際的な対応

 マクロン大統領の発言は、イランの核問題が再び国際的な議論の中心に戻ってきたことを示している。フランス、イギリス、ドイツ(いわゆるE3)は、イラン核合意を維持し、イランが核兵器を製造することを防ぐための外交的努力を続けてきた。しかし、アメリカの合意離脱以降、交渉は難航している。

 今後の展開

 イランは2025年1月13日にスイスでフランス、イギリス、ドイツと核問題に関する協議を予定している。この会議では、イラン核合意の復活やイランの核開発プログラムを巡る新たな取り決めについて議論が行われる見込みである。同時に、トランプ次期政権の動向も注目されている。トランプ氏が再び厳格な対イラン政策を取る可能性があるため、今回の協議の結果は中東の安定や国際関係に大きな影響を与えると予想されている。

 結論

 今回のマクロン大統領の発言とイラン側の反応は、イラン核問題を巡る対立が依然として解消されていないことを浮き彫りにしている。国際社会がどのようにこの問題に対応し、平和的な解決を見いだすかが、今後の鍵となる。

【要点】
 
 マクロン大統領の発言

 ・イランは「フランス、ヨーロッパ、中東、さらにその先にとっての主な戦略的および安全保障上の課題」と述べた。
 ・イランの核開発の加速について、「臨界点に非常に近づいている」と警告した。
 ・イラン問題を次期アメリカ大統領ドナルド・トランプ政権との主要議題にすると発言した。

 イラン外務省の反応

 ・イラン外務省報道官エスマエル・バガエイ氏は発言を「根拠がなく、矛盾し、憶測に基づくもの」と批判。
 ・フランスに「平和と安定を損なう非建設的な態度を再考するよう」要求した。
 ・イランの核活動について「平和的で国際法に準拠している」と主張。

 イランの核開発に関する現状

 ・2015年のイラン核合意(JCPOA)の下で核開発を制限していた。
 ・2018年にアメリカが合意から離脱後、イランは義務の履行を段階的に停止。
 ・現在、60%濃縮ウランを保有し、これは核兵器製造に必要な90%に近い水準である。

 国際社会の対応

 ・フランス、イギリス、ドイツ(E3)は、イラン核合意を維持しようと努力している。
 ・アメリカの合意離脱以降、交渉は難航している。

 今後の展開

 ・2025年1月13日にスイスでイランとフランス、イギリス、ドイツが核問題協議を予定している。
 ・ドナルド・トランプ次期大統領が再び厳格な対イラン政策を取る可能性が注目されている。

 結論

 ・マクロン大統領の発言とイラン側の反応は、イラン核問題が未解決であることを示している。
 ・今後の協議結果が中東の安定や国際関係に大きく影響する見込みである。

【引用・参照・底本】

Iran slams Macron's ‘deceitful’ remarks on its role as a regional security threat FRANCE24 2025.01.08
https://www.france24.com/en/middle-east/20250108-iran-slams-macron-s-deceitful-remarks-on-its-role-as-a-regional-security-threat?utm_medium=email&utm_campaign=newsletter&utm_source=f24-nl-quot-en&utm_email_send_date=%2020250108&utm_email_recipient=263407&utm_email_link=contenus&_ope=eyJndWlkIjoiYWU3N2I1MjkzZWQ3MzhmMjFlZjM2YzdkNjFmNTNiNWEifQ%3D%3D

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