予備費2023年04月06日 08:44

浮世絵鑑 第1巻 菱川師宣画譜
令和四年六月十日提出 質問第一五三号
令和四年度一般会計予備費使用に関する質問主意書 提出者 藤岡隆雄
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a208153.htm

令和四年六月二十四日受領 答弁第一五三号 内閣総理大臣岸田文雄
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b208153.htm

令和五年三月二十八日提出 質問第三九号 提出者 原口一博
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon_pdf_s.nsf/html/shitsumon/pdfS/a211039.pdf/$File/a211039.pdf

令和四年十月十四日提出 質問第一一号 提出者 原口一博
財政民主主義下における予備費の在り方に関する質問主意書
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a210011.htm

令和四年十月二十五日受領 答弁第一一号 内閣総理大臣 岸田文雄
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b210011.htm

令和四年十月七日提出 質問第四号 令和四年度の予備費使用及び臨時会召集に関する質問主意書 提出者 原口一博
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a210004.htm

令和四年十月二十一日受領 答弁第四号 内閣総理大臣 岸田文雄
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b210004.htm

平成二十年五月二十六日提出 質問第四三一号
参議院における二〇〇六年度一般会計予備費の不承諾についての政府の見解に関する質問主意書 提出者 鈴木宗男
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a169431.htm

平成二十年六月三日受領 答弁第四三一号 内閣総理大臣臨時代理国務大臣 町村信孝
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b169431.htm

平成二十年六月十一日提出 質問第五二六号
参議院における二〇〇六年度一般会計予備費の不承諾についての政府の見解に関する再質問主意書 提出者 鈴木宗男
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a169526.htm

平成二十年六月二十日受領 答弁第五二六号 内閣総理大臣 福田康夫
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b169526.htm

総理、日本はアメリカの植民地か?2023年04月07日 08:13

月百姿 心観月 手友梅 (つきの百姿)(https://dl.ndl.go.jp/pid/1306400)
 【第43号 令和5年3月23日(木)】
 開会年月日 令和5年3月23日
 予算委員会(第十三回)
 令和五年度一般会計予算(衆議院送付)
 令和五年度特別会計予算(衆議院送付)
 令和五年度政府関係機関予算(衆議院送付)
 右三案について岸田内閣総理大臣、西村経済産業大臣、林外務 大臣、野村農林水産大臣、加藤厚生労働大臣、松本総務大臣、鈴木財務大臣、小倉国務大臣、永岡文部科学大臣、斉藤国土交 通大臣、浜田防衛大臣、松野内閣官房長官及び政府参考人に対し質疑を行った。
 
 参議院インターネット審議中継
 https://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/detail.php?sid=7315#15163.1

福島を忘れない2023年04月08日 11:06

月百姿 月下の斥候 斎藤利三 (つきの百姿)(https://dl.ndl.go.jp/pid/1306367)
(下記会議録から抜粋)

第211回国会 参議院 東日本大震災復興特別委員会 第3号 令和5年3月16日
(https://kokkai.ndl.go.jp/#/detail?minId=121114858X00320230316&current=1)

○山本太郎君 れいわ新選組代表、山本太郎です。
 復興大臣、お聞きします。
 福島を忘れない、大臣はこれを誓うことができますか。イエスかノーかでお答えください。

○国務大臣(渡辺博道君) イエス。

○山本太郎君 ありがとうございます。心からのイエスを頂戴いたしました。
 大臣、福島を忘れないの中には、原発事故は繰り返さない、安全神話は繰り返さないという思いも含まれていますか。イエスかノーかでお答えください。

○国務大臣(渡辺博道君) 中身が三点あったんですけど、その全てについてということで。(発言する者あり)
 福島に関連することについては、しっかりと私は進めていきたいというふうに思います。

○山本太郎君 当然、原発事故は繰り返しちゃいけないものだし、その中に安全神話というものがあってはいけないと、それをしっかりと私たちは、福島という、福島原発事故、東電の事故によって学んだということだと思います。そういう意味ではイエスと言っていただけるということですね。ありがとうございます。
 同じ問い、山中規制委員長にもお聞きしたいです。
 山中規制委員長の中には、福島を忘れないという中には、原発事故を繰り返さない、そして安全神話は繰り返さないという思いは含まれていますか。ペーパーには書いてありませんよ、イエスかノーかで答えるんですから。お願いします。

○政府特別補佐人(山中伸介君) もちろん、イエスでございます。

○山本太郎君 ありがとうございます。
 六十年を超える原発の運転を認めるには、原子炉等規制法、いわゆる炉規法の改正が必要となります。二月十三日、炉規法を所管する原子力規制委員会が事実上の原発運転六十年超えを多数決で了承。委員長を含む四人が賛成、たった一人、石渡委員のみが反対しました。
 資料の一、石渡委員の主な反対理由。科学的、技術的でも安全側でもない改変。審査に時間を掛けるほど延命する矛盾。審査をどうするかさえ決まっていない。非常に真っ当な意見なんですね。
 資料の二、同日開かれた規制委員長記者会見、山中委員長の発言でございます。これをちょっと整理しますと、運転期間について、規制委員会が意見を述べるべき事柄ではないと、その根拠の一つとして令和二年の見解というものがあると、一名の委員から理解が得られなかったことは残念ではあるが、今回の決定は合理的であるといった趣旨の御発言をなさっているんですね。
 山中委員長、令和二年の見解を鑑みても、今回行われる法改正、これ妥当であるということでいいですよね。イエスかノーかでお答えください。

○政府特別補佐人(山中伸介君) 私は、運転期間は原子力規制委員会が何か意見を申し述べる事柄ではないと考えております。イエスです。

○山本太郎君 事あるごとに令和二年見解を持ち出す委員長、これまでの記者会見で何度令和二年見解と発言してきたか。二月の八日から三月一日までの間に開かれた記者会見は五回、その中で少なくとも二十九回もの令和二年見解に言及した発言がありました。
 令和二年見解とは何か。資料の三、令和二年の見解、その冒頭を読みます。「原子力規制委員会は、令和二年七月二十二日に、原子力規制庁から「経年劣化管理に係るATENAとの実務レベルの技術的意見交換会の結果について」の報告を受けた。」とあります。令和二年の見解とは、規制庁とATENAとの意見交換の結果をまとめたものにほかなりません。ATENAとは原子力事業者の集まりで、そこと意見交換した際の結果を取りまとめた、それ以上でも以下でもないものです。
 資料の四、第七回目、ATENAとの意見交換には、ごめんなさい、資料の四が、第七回目、ATENAとの意見交換における結果報告書。二ポツの二を見てみれば、「意見交換会は法令等の制定又は改正を目的としていない。」とあります。この意見交換会が法改正につながる目的ではないことが明確にされているんですね。つまり、これをもって法改正の根拠としてどや顔していい代物ではないんですよ。法改正につながるべきものでもないということなんです。
 そもそも、山中委員長がよく引用されている、運転期間の定めは利用政策判断であり、規制委員会が意見を述べる事柄ではないというこの文言、委員長、これ元々は誰が発言されたものなんですか。もしも御記憶があれば教えていただきたいんです、人物名を。いかがでしょう、委員長。

○政府特別補佐人(山中伸介君) 令和二年の七月二十二日に原子力規制委員会が開かれまして、そのときに、ATENAとの協議、あるいは五年前から開かれたCNOとの協議のまとめを原子力規制庁から報告を受けました。そのときに私が述べた意見の中に、運転期間は原子力利用の政策側が判断すべき事柄であって、原子力規制委員会が意見を述べる事柄ではないという意見を申し上げました。

○山本太郎君 るるお答えいただいたけれども、どこ由来だといったら、あなた由来なんですよ。
 資料の五、令和二年七月二十二日、原子力規制委員会定例会合のATENAとの意見交換における議事録から、下の部分、色の付いた部分を御覧いただいたら、山中委員長がまだ委員だったときの御自身の発言だったと分かります。上の色を付いている部分を見ていただきますと、当時の山中委員が発言の中で、「CNO会議の中でこの長期運転停止期間を運転期間延長認可制度に加味するべきであるという議論がございました。」と述べているんですね。CNO会議とは、東電、関電、中電など事業者が集まる会議。
 資料の六、二〇一七年一月、第一回CNO会議議事録、これを見る限り、当時委員で、後の委員長、更田さんが、法律に書かれており、勝手な解釈はできないと述べて、事業者側からの運転延長の要求突っぱねているんですね。令和二年の時点で山中委員が発言した、以前の会議で延長を求める意見が加味されたという主張というのは、これ当時参加していた規制委員からその場で突っぱねられた案件であるという事実、無視しているんですよ。
 原発を延命するために都合のいい言葉とか解釈のみをチェリーピッキングして、そういった手法を多用される委員長という存在には、私は危機感を覚えます。フェアからは懸け離れたそのやり方、過去の議論との整合性を無視して、規制委員会が積み上げてきた信頼、失墜させるものですよ。
 委員長の福島を忘れないという言葉、これ、事故により弱体化させられた原子力を再興させるために、忌ま忌ましい思い出として忘れてはならないという意味が含まれているんですか。規制委員会は、更田委員が述べたように、炉規法の運転期間の定めを遵守しなきゃいけないんじゃないですか。
 委員長が事あるごとに持ち出す令和二年見解、資料の七、石渡委員による令和二年見解についての発言です。読みます。
 六回行われたATENAとの実務レベルの技術的意見交換会の内容を踏まえた文書になっているはずであると思います。実際、そういうATENAとの懇談、意見交換を踏まえた内容を当然盛り込まれておりますが、原子力規制委員会が関わるべき事柄ではないという、この部分に関する議論は、六回の議事録を私は全部検索しましたが、こういう議論が行われた形跡はありません。これは、ですから、この文章のこの部分がどういう経緯でここに盛り込まれたのか、私は非常に疑問に思っております。この文章は、昨年九月末以来、何回も何回もこの場に出てきているわけですけれども、この文章は、特に原子力規制委員会が関わるべき事柄ではないということについて、原子力規制委員会が、その当時、よく議論してこれを決めたかというと、私はそうではなかったのではないかと思います。これは、杉山委員以外の委員は、皆さん、ここにいらっしゃったわけですから。ちなみに、参考一のこの文章の一部でも御執筆なさった委員の方はいらっしゃいますか。誰も執筆していないのですよね。ということは、つまり、これは更田委員長か、あるいは原子力規制庁の誰かが執筆した文章。私は、この文章をあたかも金科玉条のように使って、原子力規制委員会が関わるべき事柄ではないということが原子力規制委員会の全体の意志として確固として決定されたというものでは、私は、ないのではないかと考えるんですが、皆様の見解はいかがでしょうか。
 見解を求めた石渡委員に対して納得のいける、納得のできる発言をする委員、この後いないんですね。令和二年見解とは、ATENAとの第七回の技術的意見交換の結果を踏まえた文章であり、その意見交換の場では運転期間について規制委員会は議論しないという統一見解を定めた形跡もない、これが根拠だと令和二年見解を持ち出してくることに違和感を覚えると石渡委員はおっしゃっているんです。
 今回の法改正において唯一反対意見を表明した石渡委員、これまで度々引用されてきた令和二年の見解、その中に、運転期間について規制機関が、規制委員会が意見を述べる事柄ではないという文言があったとしても、それを議論したものではなく、法改正につながるものではないことは明らかなんですね。
 何が言いたいかということなんですけれども、是非、このまま、規制委員長の様々な発言によって、この部分がどういうふうに話し合われて法改正がどう進んでいくのかということを、このまま放置できないんですね。
 何が言いたいか。本委員会に石渡委員の出席を求めたいんです。委員長、お取り計らいいただけますか。

○委員長(古賀之士君) 後刻理事会で協議いたします。

○山本太郎君 まとめます。
 規制委員長の発言だけでは国会としての行政監視の役割が十分果たせない。福島を忘れない、安全神話を繰り返さないという強い思いを持つ本委員会に、規制委員会としての矜持を持って主張された石渡委員の出席を求めて、加えて、この問題に特化した参考人質疑及び質疑を別建てで行うことも協議していただきたいんです。最後に、委員長、お願いします、その件に関して。

○委員長(古賀之士君) その件につきましても、後刻理事会で協議いたします。
 山本委員、時間が過ぎております。

○山本太郎君 はい、終わります。ありがとうございます。

(下記会議録から抜粋)

第211回国会 参議院 環境委員会 第2号 令和5年3月9日
(https://kokkai.ndl.go.jp/#/detail?minId=121114006X00220230309&current=3)

○山本太郎君 れいわ新選組代表の山本太郎です。
 資料の一。原発は設計段階で寿命四十年と考えられてきたと。そこから、審査に通ればプラス二十年、六十年間延長可能になって、今回、条件付六十年という上限を撤廃可能にする法改正を行おうとしている。それを行うには、原子炉等規制法、いわゆる炉規法から運転期間に関する規定を取り除く必要がある。
 炉規法というのはどこの組織が所管していますか。

○政府特別補佐人(山中伸介君) 原子力規制委員会でございます。

○山本太郎君 ありがとうございます。
 炉規法から運転期間に関する規定を取り除くには、まずは原子力規制委員会が了承する必要があると。これに対して規制委員会として議論、採決。賛成四、反対一で炉規法から運転期間に関する規定を取り除くことが了承されたと。これは一体何をやっているのかな規制庁はと私は思っちゃうんですね。
 資料の二。日本原子力学会誌ボリューム五十四。規制庁とは何かについて説明されています。
 資料の左側。経済産業省の原子力安全・保安院と文部科学省の原子力規制組織が原子力規制委員会に統合され、その事務局として原子力規制庁が設けられたと。つまりは、原発の安全を仕切る組織がばらばらだったので一本化した。
 資料の右側。同時に、それまで電気事業法と原子炉等規制法の二つの法律で原発の安全規制ルールを定めていたが、安全規制の規定は原子炉等規制法で定める形になった。原子力発電所に対する電気事業法と原子炉等規制法の規制の統合である。これまでは二つの法律でモザイク模様のような規制が行われていたが、原子力安全に関する規制は基本的に原子炉等規制法に一元化されることになった。
 東電事故の反省から原発の安全ルールを一元的に定める法律として再出発した原子炉等規制法、それを統合された新設規制組織として規制委員会が所管するという関係性であると。
 これ、山中委員長、炉規法の中に運転期間に係る条文があるということは、これ規制側が安全を担保するためにも意味があると、私そう思うんですけれども、それを切り離す、手放す作業を規制当局がお手伝いするようになるような今回の形っておかしくないですかね。これ一言でお答えいただきたいんですけど、おかしいと思うか、おかしいと思わないか、お願いします。

○政府特別補佐人(山中伸介君) おかしいとは思いません。

○山本太郎君 そうでしょうね。だから話が進んじゃうんですよ。
 資料の三。これに唯一反対をされた石渡委員の御発言です。炉規法というのは、ある意味、原子力規制委員会設置法とペアのような形でそのときに制定された法律だと理解しております。炉規法というのは、したがって、原子力規制委員会が守るべき法律であると思っています。我々として、もちろん科学的、技術的な理由、それから、より安全側に変化する、変えるという、そういうはっきりした理由があればこれを変えることはやぶさかではございませんが、私としては、今回のこの変更というのはそのどちらでもないと考えます。非常に真っ当な御意見ですね。
 一方で、切り離された運転期間の定め、制度については、原発推進側の経産省が所管する電気事業法で定めることになる。規制委員会としては、六十年超えで稼働する事例が出てくることを前提に、高経年原発を対象にした審査制度、これをつくっていただけるということなんですけれども、委員長、これ、審査制度って今時点で何%完成しているんですか。

○政府特別補佐人(山中伸介君) 昨年十月五日からこの制度について検討を始めてまいりました。高経年化した原子力発電所の安全規制について、まず制度の大枠について四か月間掛けて検討を行いました。
 三十年を超えて運転しようとする原子力発電所については、十年置きに……(発言する者あり)制度については、大枠は完成しております。

○山本太郎君 ということは、もうすぐにでも始められるぐらいの体制だってことでいいんですね。何%ですか。中身詰まってないんじゃないですか。詳細これからでしょう。いかがですか。

○政府特別補佐人(山中伸介君) お答えいたします。
 六十年目以降における高経年化評価については、これまで実施してきました高経年化した発電所の審査や検査の実績を土台とすることを可能であるというふうに考えております。審査手法を大きく変える必要はないと考えております。
 具体的には、これまでの高経年化評価で得られた物理的データや予測式に加えて、今後実施される五十年の時点における評価の実績、あるいは劣化評価に係る技術的な知見の蓄積踏まえまして、科学的、技術的な確認を行うことはできるものと考えております。
 制度の大枠は提案をさせていただきまして、基本的な審査の考え方については、これまでの経験を基に、今後技術的な詳細を詰めていきたいというふうに考えております。
 規制委員会としては、運転期間がどうあれ、高経年化した発電用原子炉に対する安全規制を厳格に行うことのできる規制制度を国会に提出したところであり、しっかりと運用できるよう、引き続き詳細を検討してまいります。

○山本太郎君 詳細これから詰めるって言ってるじゃないですか。さんざんいろんなこと、がたがた言ったって、詳細これから詰めるって。今からの話なんですよ。何分掛かっているんですか、説明するのに。
 炉規法から期間の定めを手放す、さっさと決めますね、これは。でも、安全性を担保するためのその内容、詳細は何も、これから、決まっていない。大枠はあるけど中身はこれから決めるって、これ順番逆なんですよ。安全側に立たなきゃ駄目なんでしょう。規制側なんでしょう。
 委員長、世界で六十年超え、六十年超えで運転されている原発は存在するかしないか、それだけ答えてください。

○政府特別補佐人(山中伸介君) 六十年を超えて運転する原子力発電所はございません。

○山本太郎君 資料の四。委員長御自身がおっしゃっていることなんですよ。未知の領域なんですよ。原発の延命のために炉規法を改正すると。規制する側が未知の領域に踏み出すって、これ違和感しかありませんよ。原子力延命のために野心的な取組、それを一生懸命背中押しているのが今の規制側じゃないですか。炉規法から運転期間を除外してよいか、この議論も余りにも拙速だと言われております。
 資料の五。二月十三日、規制委員会後の記者会見、山中委員長の発言。法案提出というデッドラインは決められた締切りであった、そう述べられてるんですね。
 法案提出という締切りを意識して十分な議論が尽くせなかったってことでいいですか。イエスかノーかでお答えください。

○政府特別補佐人(山中伸介君) 十分な議論は尽くせたと考えております。

○山本太郎君 資料の六。炉規法改正の決定に賛成した委員でさえも、締切りを守らなければいけないようにせかされて議論してきた、我々は独立した機関であり、じっくり議論すべきだったと指摘してるんです。認識おかしくないですか、委員長。
 二〇二二年十二月、エネルギーフォーラム。山中委員長は、審査に時間を要することはやむを得ません、事業者も誠意を持って対応してくれていますしというような御発言されてるんですね。
 委員長、本気で原発の事業者が誠意を持って審査などに対応しているというふうに評価なさっていますか。イエスかノーかでお答えください。

○政府特別補佐人(山中伸介君) 審査に時間が掛かっている場合、様々な要因ございます。原子力事業者、真摯に対応していただいている場合もあるかと思います。

○山本太郎君 そうでない場合もあるというお答えですよね、今のはね。
 ずさんなテロ対策で運転停止命令が出された柏崎刈羽原発。規制委員長、この結果受けて、東電は誠意持って審査、審査後の検査に対応してきたと評価していますか。イエスかノーかでお答えください。

○政府特別補佐人(山中伸介君) 少なくとも安全に関する審査については、東京電力、真摯に対応してもらったものと考えております。
 核物質防護についての取組については、極めて不十分な部分がございましたので、核燃料の移動停止の処分をいたしました。

○山本太郎君 ある面ではいいけど、ある面では駄目だというお話をされたと思うんですね。
 今年の一月十九日の日経新聞にも、運転開始三十年を迎える前に原子力規制委員会の審査を受けている柏崎刈羽原発三号機の審査書類に百四十九か所の誤りがあったと明らかにしたと、百三十一か所は既に審査を終えた二号機の記載内容を流用していたって、完全になめていますよ、これ。意味不明ですね。
 原発なんて運転するような能力がないんですよ、はっきり言っちゃえば。リスクでしかない、この国にとって、こういう事業者たちがやっていくということに対して。そこに対して、一生懸命やっていますからみたいな話、なしでしょう。あなた規制側なんだから。
 山中委員長、この柏崎刈羽原発は、この運転停止命令によって運転停止されている期間が除外されて、その分延長されることになるんですか、この先。上乗せされるんですか。

○政府特別補佐人(山中伸介君) 運転期間については、私ども原子力規制委員会が何か意見を申し述べる立場にはございません。

○山本太郎君 このような不適切な対応をしている、ある意味でなめた態度を続ける、原子力の安全性を保てないような事業者、こういう者たちが、もちろん、この先延長していくということになったときに、それが最低限クリアされていたら、このふざけた態度をやっていた時期もこれ延長可能になっちゃうわけですよね。そういうことでしょう。それでもオッケーなんですね。

○政府特別補佐人(山中伸介君) 運転期間については、資源エネルギー庁がその判断をされるものというふうに考えております。

○山本太郎君 私が聞いているのは、規制庁に対する態度さえも余りにもなめているような、先ほど言ったような、百四十何か所も誤りがあって、それも百三十何か所は前からの流用だって。これ、完全に規制庁なめられているんですよ。
 このようなことをした者たちが、原発動かすことができませんという期間さえも、後ほど上乗せで原発を稼働できるような状態っておかしいでしょう、普通に考えて。私はそう思うんです。
 例えば、二〇二一年、地質データの不適切な書換えが判明した敦賀原発二号機。これを受けて前規制委員長は、審査申請を取り下げた方がよいとまで批判しているんですね。審査の中断、検査に入った経緯がある。これ、原電は誠意を持って審査に対応してきたと、山中委員長、評価されていますか。イエスかノーかで答えてください。

○政府特別補佐人(山中伸介君) この日本原子力発電株式会社敦賀発電所に対しては、不適切な対応があったというふうに考えております。

○山本太郎君 その不適切な電力会社による対応によってこれ動かせないという時期が長引いたんだと、けれども、それは後で延長させるときに上乗せするよということ自体がおかしいでしょう。原因はどこにあるの。電力会社じゃない。それに対して前に進めようとしているのが御自身だってことに違和感ないんですか、規制側として。いかがでしょう。イエスかノーかでお答えください。

○政府特別補佐人(山中伸介君) イエスかノーかでお答えづらいところです。
 運転期間については、既に三年前に、私ども原子力規制委員会が意見を申し述べる事柄ではないということを決定させていただきました。

○山本太郎君 時間もないので先に行きますが。
 資料の七。二月十三日の規制委員会で反対意見を表明した石渡委員は、事業者側の審査上不備があって審査を中断して検査に入った事例でも、そういった事例でも運転期間が延長されるということを問題視されているんですね。
 これね、審査又はそれ以外で不備があって停止期間が長引く事例の中には、電力会社の安全に対する意識の低さ、誠意というものが感じられないというものが多くあるんですよ。
 こういった期間が除外されて運転期間が延長されること自体、おかしいでしょう、これ。論理破綻した結論ありき。それを規制委員会がお墨付き与えている状態。それに対して苦言を呈するどころか、法案提出に間に合うように帳尻合わせに汗を流す。これ、規制側じゃなくて推進側のお仕事なんですよ。委員長としての資質問われても仕方がないんですね。
 本日の委員会に、先日、規制委員会で一人反対した石渡委員の参考人招致を求めてきましたけれども、山中委員長がいるんだから委員長を呼んで話を聞くべきだということで許可されなかったんですね。規制委員長のみへの聞き取りだけでは国会として行政監視の役割、これ十分果たせるとは思えません。
 先ほども浜野委員の方から、令和二年見解どうなんだというようなお話がありました。それに対して石渡さん、どう考えているのって。そのことに関しても委員会の中では話されていましたよ。話されていたけど、委員長、そのことを浜野さんに伝えてないじゃないですか。令和二年見解を金科玉条のように持ってくるのはおかしい、そのときの決定にいた者、そのときの決定に関わった者がこの中にいるかってこと言われたでしょう、あなた。誰も言わなかったじゃないですか。手も挙がらなかったよ。どうしてその事実関係をここで示さないんですか。
 つまりは何か。委員会の中で行われたことさえも、この国会という場で共有されることがない。つまりは何かといったら、このような手続で進んできた内容に関して、これは国民の生命、財産に関わることだから、もう一度この環境委員会というところでしっかりと、どのような議論があったのか、その意味に、その裏にはどのような意味があるのかというやり取りを私は丁寧にしていく必要があると思っています。
 規制委員長のみへの聞き取りでは国会として行政監視の役割が果たせない、そう思う。なので、環境委員長、本委員会に石渡規制委員の出席を求めるとともに、この問題に特化した参考人質疑及び質疑立てを行うことを協議してください。

○委員長(滝沢求君) 後刻理事会において協議いたします。

○山本太郎君 ありがとうございます。
 で、ちょっと独立性という部分、これ重要なんですけど、その疑いが生じる事案が起きたと。規制委員会事務局である規制庁が、原発をより長く使えるように画策する経産省と七月―九月、これ密談七回にわたって重ねたと報道されているんですね。
 山中委員長、資料の十一、九月二十六日の就任時に記者会見で、福島を決して忘れない、強い気持ちを持って、独立性と透明性を堅持して厳正な原子力規制を遂行していく方針に何ら変わりないと強調してくださったんです。けれども、これ、今起こっていることって、それを揺るがす事態なんです、独立性をね。
 そのような事態を受けて、一月二十五日に決定したルールでは、原子力推進機関との面談は今後公表するってなったんですよ。これ、変えてくれた。
 委員長、これね、もう一回襟正していこうやということを、意味を込めてもうルールを改正していただいた、ルールを変えていただいたという認識でいいですよね。イエスかノーかでお答えください。

○政府特別補佐人(山中伸介君) イエス、ノーでお答えしづらいところなので。
 独立性を侵すような行為があったとは思っておりませんが、透明性を高める必要があると思いましたので、ルール改正を行いました。

○山本太郎君 一部そのように変えていただいたことは評価したいと思うんですけれども、残念ながら、この中には電話、メールが含まれてないんですよ、電話とメールが。
 この談合騒ぎという部分に関しては、電話でのやり取りは数十回に及んだと言われるんですね。ごめんなさい、ペーパー入れなくていいですよ。お願いなんだから、今からするのは。それ棒読みされても何の意味もないんです、委員長の魂が入ってないから。
 メール、電話に関して、これ含めていただきたいんです。検討いただけますか、検討いただけませんか、それでお答えください。

○政府特別補佐人(山中伸介君) メール、電話については含めるつもりございません。

○山本太郎君 本当にね、談合疑いということが言われたとしても、それを是正しようとはしない。その本丸に関しては、核心に関しては、それ改めようとしないんですね。本当に頭が痛いです、そういう人たちが原子力に関わっているということが。
 資料の十三。委員長、見てもらっていいですか、私の資料の十三です。
 原子力規制委員会設置法第二十五条、規制委員長、読んでいただけますか。

○政府特別補佐人(山中伸介君) 国民の知る権利の保障に資するため、その保有する情報の公開を徹底することにより、その運営の透明性を確保しなければならない。

○山本太郎君 山中委員長は、昨年十二月二十七日の記者会見で、ジャーナリストからの情報公開請求を受けて、エネ庁とのやり取り、エネ庁から提供された情報も含めて公開すると言ったんです。その後、記者ブリーフィングを開いたのは二月三日。ここで、規制庁、態度一変させるんですよ。エネ庁から提供された資料は公開しないと言い出した。年末に資料公開を約束、でも一か月待たせた結果、手のひら返したんですよ。これ、エネ庁にとって都合の悪い情報を規制庁が隠してあげたということと同じですよ。
 で、資料の十四見ていただきたいんですけれども、規制庁として原発運転期間についてどのような制度変更を想定していたか、それを示す重要な資料です。この表の中に、各案について規制庁としての評価が示された、メリット、デメリット、その評価の部分が黒塗りになっているんです。これ、あり得ない話なんですよ。
 恐らく、国会で予算のときにこれが話題になって原発の延長が難しくなるという。何かといったら、これ、情報を出すタイミング、コントロールしているんですね。こんなことは許されない。当たり前ですよ。それを一刻も早くこの委員会に提出していただきたいんです。
 反対世論が盛り上がらないように隠したいという、そういうことやめた方がいいんですね。この三つの案全て、この資料を作成した担当者がどんなメリット、デメリットを評価していたのか。
 環境委員長、黒塗りを外した上で、この資料の本委員会への提出求めます。はい、ありがとうございます。
 で、もう一点……

○委員長(滝沢求君) 後刻理事会にて協議をいたします。

○山本太郎君 ありがとうございます。
 で、資料の十五見ていただけたら、これ、エネ庁というところも輪を掛けてふざけてるんですよ。これ、情報開示に関して、来年、来年というか、もう今年ですね、十か月後ということを言っちゃっているんですね。一体どういう意味があるんですかってことなんですよ。すぐにでも出さなきゃいけないものなんですよ。
 これ、原子力事故が起こってからの原子力政策の大転換なんですよ。そこに関してエネ庁と規制庁が関係したことに関して、その中身、七回会合があって数十回の電話をやり取りしてというようなこの中身さえも表に出てこず、で、規制庁側が、エネ庁側がどんな資料を使ってやったのかということさえもブラックボックスにするなんてあり得ないですよ。今出すべきです。

○委員長(滝沢求君) 山本委員に申し上げます。

○山本太郎君 ありがとうございます。もう終わります。
 なので、委員長……

○委員長(滝沢求君) 質疑をまとめてください。

○山本太郎君 はい。
 ただいまの私が要求したものに対して、委員会に提出することを求めます。よろしくお願いいたします。

○委員長(滝沢求君) 後刻理事会にて協議いたします。

○山本太郎君 委員長、こちらの委員長、先ほどの二十五条に基づいて透明性しっかりと堅持していただくためにも、これは情報公開、これは一刻も早く、まずはこの委員会に対して資料を出すということに御協力ください。
 ありがとうございました。

鳥羽伏見の變と開戰の責任者2023年04月09日 09:24

安政大地震繪(国立国会図書館デジタルコレクション)
 『鳥羽伏見の變と維新史の訂正』 法學博士 蜷川 新 著

 (一-八頁)
 一、鳥羽伏見の變と開戰の責任者

 一

 鳥羽伏見の變は、其當時に、事變に與つた人々の言論、口述又は文章に依りて、研究するのが大切である。後年に至りて、勝者辯護の爲めに、故意又は錯覺を以て、書かれた歷史などでは、眞相が判る筈のものではない、總ての誤りは、訂正せざる可らず、之れ國史の爲め也。
 當時の人の遺せる文章を左に摘錄して、今日の新しさ若さ國民の参考に資する。

 (一) 舊夢會津白虎隊(永岡清治著)の一節

 「慶應四年正月朔日、尾越京師に復命す、(註 岩倉の命により十二月二十八日尾州及越前兩藩の代表は、上洛を慶喜に勸むる爲めに大阪に來れり)、大阪城の將佐説て日く、尾越の言信ずべからずと雖、君側を清むるには好機なり、臣等死を以て從ひ、以て衡らんと、慶喜公之を首肯し、即刻行装を理す、會藩は其前驅を命ぜられ、乃ち一部隊を大阪に留め、正月二日淀川を溯る、夜半淀に上り、余等は寺院に投じ、翌三日朝、林佐川等の諸隊は、伏水に、白井其他の部隊は鳥羽に、各先著し、田中玄清は正午淀を發し、伏水に向ふ、此行は從軍とは思はす、警衛の心得なり、余等伏水驛端の街路に憩ひし時、商賣兩三人來り、桃山の中腹を指點し、此處には大砲―門、彼處には二門と、兵兒三四百人戎裝して備へりと、(薩軍は待伏せしつゝありし也)一々之を説示し、且つ云ふ、伏水奉行所には、會兵、肥後橋にも會兵、奉行所の北及御香宮等には、薩長固め、大砲を並べ、壘を積み、關門を設け、行人は譏して而して之を許否す、竹田街道には土州之を警衛すと告げ、尋で雪空となり、夕陽春く頃、西北鳥羽に當り、大砲二發聞ゆるや否、伏水鳥羽共に天地震撼する計也」(第百三十六頁)

 右は當時其儘の記事にて僞りある筈なきもの也、岩倉及薩長方は、豫め深く計晝して、慶喜に上洛を命じ德川方の上京するを鳥羽伏見に襲撃せし也、當時の人々は皆な斯く信ぜり、余が幼時に、當年の正直なる古老より聞ける所も皆同じであつた。 

 (二)會津藩家老より上野法親王並に加賀尾張紀井等二十餘に由る謝罪上奏文

 前文畧す
 「伏見戰爭の義は、徳川内府上洛、先供、一同登京の途中、發砲被致、武門の習不得止、應兵及一戰候義にて、敢て闕下を犯候儀毛頭無之は、萬人共に知る處に御座候」(後畧)

  松平若狭守家老
  田  中  土 佐
  神 保 内 藏 助
  梶  原  平 馬
  上 田 學 太 輔
  内 藤 介 右 衛 門
  諏  訪  伊 助

 右文獻の示す事實を、維新史家井野邊氏は、「取り合わず」と輕く排けらるゝ(奉公十二月號)事實を無視して何の歷史があるのか、或は此等の文獻は、事實にあらずして、虚僞也と云ふなりや、然らば、虚僞也との反證を國民に示す可きである、故山川健次郞男は、右事實を正しと余に證言せられたのであつた、余は絶對に同男の確言を信する。

 二

 維新史研究家、井野邊氏が、奉公十二月號に於て、余を嘲りつゝ説かれた所によれば、「一万五千の大兵が、戰闘準備を整へて鳥羽伏見の兩道から、京都に攻め上つた云々」とある、同氏の説く所は、右當時の人々の書き遺せる所とは、全く違つて居る、今の日本人は、何れを採るべきであらうか。
 同氏の云ふ、「一万五千」も正確とは到底云ひ得まい、正數的に一万五千であつた筈はなし、之れに關して先づ證據の提出を要求せざるを得ない。一大擧兵の如くに宣傳せるは正確ならざるべし、「一萬五千と號す」ならば、そは支那式筆法也。
 同氏の云ふ「戰闘準備」とは何を云ふのであらうか、戰闘準備と云ふが如き大袈裟なる事が果してありしかを、證據によりて説明せらる可きである、武士が大小を腰に差して歩いた所で、其れは、戰闘準備なぞと大袈裟に形容して云ふ可きものではない、大砲小銃を準備し、歩騎砲兵を整へ尖兵を前進せしめ、輜重を配備して、前進した事なぞは、未だ曾て聞ける事なし、「戰闘準備」、何の事かを我等は知りたい、若しも其れが形容詞であるならば、そは不謹愼也。
 同氏の云ふ「京都に攻め上つた云々」はね何事を指して云ふのであらうか、何を攻めたのであるか、明白にすべし、大袈裟な此の文句は、如何にも、小説的であるけれども、歴史としては、事實なしには、意義をなさないことになる、井野邊氏には一々事實を示す責任がある。
 井野邊氏は曰く、「鳥羽伏見の變は、大局の上から見れば、薩長側から仕かけて、徳川方はこれに應戰したのである云々」と、然り、明に茲に初めて氏の告白せらるゝは好し。此の事變は、薩長方より開かれた戰爭」なのである。井野邊氏は、此點に付て前論を自ら抹殺せられたのである、上京する武士に向つて、突如として發砲したりし以上は、發砲者が開戰たるは云ふ迄もなし、開戰の責任は、無論薩長側に在る、一點の疑なし、然るに、井野邊氏は、「發砲の前後などは、はじめから問題にならない」と論じ、余を嘲つて、「辯護曲解も、かうまでになると大分徹底してゐる」と嘲つて居られる(奉公十二月號)、忌はしき非禮不遜に見へるけれども、斯る言説は學者と自稱する人の正しき論述と云ひ得るものであらうか。

 三

 井野邊氏は曰く、「薩藩の關東攪亂策」は(註して曰く、西郷の放てる強盗團の事を云ふ也)、幕府をして兵端を開かしめるのが、唯一の目的であつた、然るに、幕府は其策に乘せられて、自ら進んで兵端を開いた云々」と、錯覺甚し。斯る事實なし。
 井野邊氏のみならず、從來の歴史家に見逃す可らざる一大誤謬のある事は、「慶應四年にも未だ幕府存在しつゝあり」と説いてゐる事である、薩長方は、「徳川幕府を武力を以て亡し、王政維新初めて茲に成れり」と宣傳し、即ち「維新回天の業は、薩長方の大事業也」と、從來一般の史家は國民に向つて強いて教へてゐのである、歴史家としては、此の一大錯覺より、先づ醒める事が、肝要であることを御注意申さゞるを得ない、幕府は前年十月大政を奉還して自ら消え失せた、法令全書でも、御參考に御覧なさるを望む、王政維新は、即ち幕府方の爲せる一大事業である也。「幕府が策に乘せられて兵端を開いた」なぞは、全然虚僞である、慶應四年一月の當時幕府なし、歴史家としては、斯る誤は、向後御愼みなさるを要する。
 歴史家が、錯覺に因り史を説かれては、國史は汚れざるを得ない、余は之を慨す、「極言」と井野邊氏は余に對して云はれるけれども、果して世人は、余の正しき言を以て「極言」と見るであらうか。歴史は、事實其者でなければならぬ、史論は事實を基礎として理論の正しいものでなければならぬ。余の希ふ所は、此事であて、特に一人の歴史家を對者にせんとするのでは決してない、其の論を籍りて、史論の一新を志すに過ぎないのである。

引用・参照・底本

『鳥羽伏見の變と維新史の訂正』 法學博士 蜷川 新 著 昭和七年六月一日發行 奉公會

(国立国会図書館デジタルコレクション)

疑者覺悟之機也2023年04月10日 09:30

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 『言志四錄』 佐藤一齋先生 著

 『言志晩錄』
 (一〇- 一一頁)

 余年少時。於學多有疑。至中年亦然。毎一疑起。見解少變。即覺學稍進。及至近年。則絶無疑念。又覺學亦不進。乃始信白沙所云。疑者。覺悟之機也。斯道無窮。學亦無窮。今難老矣。可不自厲乎。

 少而學。則壯而有爲。壯而學。則老而不衰。老而學。則死而不朽。

引用・参照・底本

『言志四錄』 佐藤一齋 明治四拾年十月廿三日發行 發兌元 松山堂本店

画像出典は下記に依る。

東京国立博物館
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(国立国会図書館デジタルコレクション)