中央銀行:ドルを売却し、金を購入の動向2024年08月12日 11:45

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【概要】

 中央銀行がドルから金に資産を移しつつある現象について報じている。アメリカの連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長は、米国の債務水準が「持続不可能」であると警告しており、エルサルバドルのナジブ・ブケレ大統領も、FRBが「何もないところからお金を作り出している」ことが「いずれは破裂するバブル」であると指摘している。

 ドル建て資産の中央銀行の保有比率が歴史的に低い水準に達しており、これは主にアメリカがロシアをドルベースの国際金融システムから締め出そうとしたことが影響している。その結果、発展途上国は、価値や換金性が一国の意向に左右されにくい金を安全資産として選び始めている。

 国際通貨基金(IMF)の推計では、2024年にドルおよび米国債建て外貨準備は58.9%にまで減少しており、これは20年前の約70%からの大幅な減少である。また、中国の人民元建ての外貨準備も減少傾向にあり、特にウクライナ、ノルウェー、ブラジル、スイス、イスラエルが人民元保有を削減している。

 さらに、世界の中央銀行は金の購入を急増させており、2023年には1,037トン、2022年には1,082トンと記録的な水準に達した。中国とインドが特に金の保有を増やしており、インドは2024年第一四半期に19トンの金を購入した。

 また、ウクライナや中東での紛争、次期米大統領選挙でのトランプ大統領再選の可能性、米中緊張の激化といった地政学的リスクが、今後も中央銀行がドルを売却し、金を購入する動きを続ける要因になると述べている。

【詳細】

 中央銀行がドルを売却し、金を購入する動向について詳細に説明している。これは、米国の財政や地政学的リスクに対する懸念が背景にあり、特にアメリカがロシアを国際金融システムから締め出そうとした影響が大きい。

 1. 米国の債務と金融政策のリスク

 FRBのジェローム・パウエル議長は、米国の債務が持続不可能な水準に達していると警告している。この問題は、エルサルバドルのナジブ・ブケレ大統領が指摘したように、FRBが事実上「紙に裏付けられた紙」を発行している状況に起因している。つまり、米国政府は財政赤字を埋めるために国債を発行し、その国債をFRBが買い取ることで資金を調達している。このプロセスは、実質的には何もないところからお金を生み出しているに等しく、これはいずれ信頼性を失う可能性があると警告されている。

 2. ドル建て資産の減少

 国際通貨基金(IMF)の推計によれば、中央銀行のドル建て外貨準備の割合は2024年に58.9%にまで低下している。これは、約20年前の70%から大きく減少しており、ドルの信頼性に対する懸念が増大していることを示している。特に、ロシアに対する経済制裁がドルの利用を減少させる一因となっており、他の国々もドル依存から脱却しようとしている。

 3. 金の購入増加

 世界の中央銀行は、2023年に1,037トン、2022年には1,082トンという大量の金を購入した。これは、中央銀行がドルなどの法定通貨ではなく、金をより信頼性の高い資産と見なしていることを示している。中国は、2022年11月から18ヶ月連続で金を購入しており、保有量を16.3%増加させている。また、インドも2024年第一四半期に19トンの金を購入し、保有する金資産の価値は約576億ドルに達している。特に、インドはリスクを回避するために、イギリスに預けていた約100トンの金を国内に移送した。

 4. 地政学的リスクと今後の見通し

 ドル離れを加速させる要因として、ウクライナや中東での紛争の長期化、2024年の米大統領選挙でのドナルド・トランプ再選の可能性、そして米中間の緊張の高まりが挙げられている。特に、トランプが再選された場合、米国の政策が予測不能になる可能性があり、それがさらにドルの信頼性を損なう懸念がある。これらの地政学的リスクから、中央銀行はドル資産を減らし、金などのより安全な資産を増やす傾向が続くと予測されている。

 全体を通じて、ドルの国際的な支配力が弱まりつつあり、各国の中央銀行がドル以外の資産に目を向けていることが強調されている。特に、金の購入が増加していることは、国際金融システムにおける信頼性や安全性を確保するための動きと見なされている。

【要点】

 1.米国の債務と金融政策の懸念

 ・FRBのジェローム・パウエル議長が米国の債務が「持続不可能」と警告。
 ・エルサルバドルのナジブ・ブケレ大統領が、FRBが「紙に裏付けられた紙」を発行していると批判し、バブルの破裂を警告。

 2.ドル建て資産の減少

 ・中央銀行のドル建て外貨準備の割合が2024年に58.9%に減少、20年前の約70%から低下。
 ・米国のロシアに対する経済制裁がドルの利用を減少させ、他国がドル依存から脱却中。

 3.金の購入増加

 ・2023年の中央銀行の金購入量が1,037トン、2022年の1,082トンに次ぐ高水準。
 ・中国は18ヶ月連続で金を購入し、保有量を16.3%増加。
 ・インドも金の保有を増加させ、2024年第一四半期に19トンを購入。約100トンの金をイギリスから国内に移送。

 4.地政学的リスクと今後の見通し

 ・ウクライナや中東での紛争、米大統領選挙でのトランプ再選の可能性、米中緊張がドルの信頼性を低下させる要因。
 ・これらのリスクから、中央銀行がドルを売却し、金などの安全な資産を増やす傾向が続くと予測。

【引用・参照・底本】

Fiat Currency Apocalypse Approaches as Central Banks Dump Dollars for Gold sputnik international 2024.08.12 11 hours ago
https://sputnikglobe.com/20240811/fiat-currency-apocalypse-approaches-as-central-banks-dump-dollars-for-gold-1119725075.html

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