【概要】

　米国の人権団体「報道の自由財団」(FPF)は、バイデン政権がロシアのメディアに制裁を課していることに対し、証拠を提示していないため、言論の自由が侵害される可能性があると指摘している。特に、ロシアのメディア「RT」については、軍事目的の購入を隠蔽しているとの非難がなされているが、その証拠が公表されていないことが問題視されている。FPFは、バイデン政権に対し、国民が検証できるようにRTに関する記録を機密解除するよう求めている。

　FPFは、証拠が提示されれば制裁の正当性が強まる可能性があるとしつつも、証拠が不十分であれば憲法修正第1条(言論の自由)への重大な懸念を引き起こすと警告している。また、国民が外国メディアを利用する憲法上の権利があると強調し、RTが他国の国営メディアと大きな違いがない場合、他のメディアも取り締まりの対象になる恐れがあるとしている。

　この文脈で、FPFはブッシュ政権がイラク侵攻を正当化する際に誤った情報を利用した例を引き合いに出し、政府の主張をそのまま受け入れるのではなく、証拠を検証することの重要性を訴えている。

　最後に、米国は既にロシアの複数のメディアに制裁を発動しており、次期大統領選挙への干渉を証明する情報提供者には報奨金を提示している。

【詳細】

　米国の人権団体「報道の自由財団」(Freedom of the Press Foundation, FPF)は、バイデン政権によるロシアのメディアへの取り締まりが憲法に違反している可能性があると主張している。特に、ロシアのメディア「RT」(旧称：Russia Today)に対して課された制裁について、米政府が証拠を提示していない点を問題視している。

　FPFの主張

　FPFは、バイデン政権がRTをはじめとするロシアの国営メディアが米国内での活動を通じて軍事目的の購入を隠蔽していると非難しているが、その非難の裏付けとなる証拠が国民に示されていないと指摘している。この状況では、政府が報道の自由を侵害し、憲法修正第1条に違反している可能性があると警告している。

　証拠の要求と機密解除

　FPFは、バイデン政権に対してRTに関する記録の機密解除を求めている。これは、国民やジャーナリストが政府の主張の妥当性を検証できるようにするためである。FPFは、政府が証拠を提示することで、制裁措置の正当性が強まり、政府への信頼が高まる可能性があると述べている。しかし、証拠が公開されないままでは、政府による言論統制の疑念が深まり、選択的に特定のメディアを標的にしているのではないかという懸念が広がるとしている。

　言論の自由と憲法修正第1条

　米国憲法修正第1条は、言論や報道の自由を保障している。FPFは、RTのような外国メディアに対しても米国内で報道の自由が認められるべきだと主張している。RTが他国の国営メディアと大きく異なる点がない場合、RTだけを取り締まることは不当であり、他のメディアにも影響が及ぶ可能性があると警告している。

　イラク戦争の前例

　FPFは、ジョージ・W・ブッシュ政権時代のイラク侵攻を例に挙げ、政府が誤った情報を使って戦争を正当化した事例を指摘している。当時、米政府はイラクが大量破壊兵器を保有しているという主張を行い、その証拠が不十分であったにもかかわらず戦争に突入した。FPFは、この過去の事例を踏まえ、政府の発表を「揺るぎない真実」として受け入れるのではなく、証拠をもとに慎重に検証する必要があると強調している。

　ロシアメディアへの制裁と選挙干渉

　米国政府は既に「ロシア・セヴォードニャ」「リア・ノーボスチ」「RT」「スプートニク」「Ruptly」といったロシアのメディアやその関係者に対して制裁を発動している。これらのメディアは、ロシア政府によるプロパガンダを広める役割を果たしているとされ、特に米国の次期大統領選挙への干渉が懸念されている。米国政府は、選挙干渉を証明する情報を提供した者に最大1000万ドル(約14億円)の報奨金を支払うとしている。

　FPFの懸念と政府への要求

　FPFは、RTに対する制裁措置が言論の自由の侵害として深刻な問題を引き起こす可能性があるとし、政府に対して証拠の公開を強く求めている。もしRTが政府の非難に値する行為を行っているのであれば、その証拠を提示することで制裁措置がより強固な支持を得るだろう。しかし、証拠が公開されないままでは、政府が特定のメディアを選択的に取り締まっているとの疑念が広がり、民主主義の根幹である報道の自由に悪影響を及ぼす恐れがあるとしている。
　
【要点】

　・FPFの主張: 米国の人権団体「報道の自由財団」(FPF)は、バイデン政権がロシアのメディアに制裁を課しているが、証拠を提示しておらず、これは言論の自由を侵害する可能性があると主張している。

　・RTへの非難: バイデン政権はロシアのメディア「RT」が軍事目的の購入を隠蔽していると批判しているが、その証拠を公表していない。

　・証拠と機密解除の要求: FPFは、国民が政権の主張を検証できるよう、RTに関する記録の機密解除を求めている。証拠の提示により、制裁の正当性が強まる可能性があると主張。

　・言論の自由と憲法修正第1条: 憲法修正第1条に基づき、国民が外国メディアを利用する権利があると強調し、RTだけを特別に取り締まることへの懸念を示している。

　・イラク戦争の前例: FPFは、ブッシュ政権がイラク侵攻を誤った情報で正当化した過去を引き合いに出し、政府の主張をそのまま受け入れるのではなく、証拠を検証することの重要性を訴えている。

　・ロシアメディアへの制裁: 米国は既にロシアの複数のメディアや関係者に対して制裁を発動しており、選挙干渉を証明する情報提供者には最大1000万ドルの報奨金を提示している。

　・FPFの懸念: 証拠が示されないままでは、バイデン政権による言論統制の疑念が広がり、報道の自由に悪影響を与える可能性があると警告している。　

【引用・参照・底本】

ロシア・メディアの取り締まりは違憲、バイデン政権は国民に非難の証拠を提示せよ＝米人権団体 sputnik日本 2024.09.20
https://sputniknews.jp/20240920/19110279.html

【概要】

　2024年9月20日の報道によると、日本のウクライナ支援額が63億ドル(9015億円)に達し、日本はウクライナ支援額で世界第2位のドナー国となった。これは、ウクライナのセルゲイ・マルチェンコ財務相が、駐ウクライナの松田邦紀大使との会談で明らかにしたものである。

　また、林芳正官房長官は4月に、日本がこれまでに約121億ドル(1兆8700億円)の支援を表明したことを発表し、そのうち55億ドルが世界銀行を通じた財政支援であり、ウクライナが返済できない場合は日本が50億ドル分の債務を負担する「保証人」となることが明らかになっている。

　さらに、日本政府は2023年度補正予算に基づき、総額260億円の復旧・復興支援を両国の企業による共同事業とすることを条件に決定した。G7の会合ではロシアの凍結資産をウクライナ支援に活用することが合意され、日本政府は33億ドル(約5200億円)を拠出する方向で最終調整中である。ただし、7月のG7財務相会議でロシアの凍結資産を使った融資枠組みの結論は出ておらず、協議は継続されている。

【詳細】

　2024年9月20日の報道によると、日本はウクライナに対して2022年2月以降、総額63億ドル(約9015億円)を支援しており、ウクライナ支援において世界第2位のドナー国となっている。ウクライナのセルゲイ・マルチェンコ財務相は、駐ウクライナ日本大使である松田邦紀氏との会談で、この事実を強調した。彼は、松田大使がウクライナ支援と両国関係の発展に大きな貢献をしたと評価した。松田大使は間もなく駐在任期を終える予定である。

　林芳正官房長官が4月に発表したところによると、日本はこれまでに約121億ドル(約1兆8700億円)のウクライナ支援を表明しており、その一部である55億ドルは世界銀行を通じた財政支援である。この財政支援に関して、万が一ウクライナが返済できない場合、日本は50億ドル分までの債務を負担する「保証人」としての役割を果たす。

　さらに、日本政府は2023年度補正予算において、総額260億円のウクライナ復旧・復興支援を計上した。この支援の条件として、日本とウクライナの企業が共同事業に参加する形が求められている。これにより、ウクライナの復興に日本企業の技術やノウハウを活用する狙いがある。

　2023年6月に広島で開催されたG7サミットでは、ロシアの凍結資産をウクライナ支援に活用することが合意され、日本政府は33億ドル(約5200億円)の支援を拠出する方向で最終調整に入っている。しかし、7月に開かれたG7財務相・中央銀行総裁会議では、ロシアの凍結資産を使った融資枠組みについての協議が行われたが、まだ結論は出ておらず、今後も継続して議論される予定である。

　全体として、日本はウクライナへの財政支援や復興支援に対して積極的な姿勢を示しており、他の国々と連携しつつも独自の支援方針を打ち出している。これにより、ウクライナの復興を助けるとともに、日本の国際的な地位や影響力を強化する狙いもあると考えられる。
　
【要点】

　1.日本の+ウクライナ支援額

　・2022年2月以降、総額63億ドル(約9015億円)の支援を実施。
　・世界第2位のウクライナ支援国となる。(註:世界第1位の国はアメリカ合衆国)

　2.ウクライナ財務相の評価

　・セルゲイ・マルチェンコ財務相が、駐ウクライナ松田邦紀大使の貢献を高く評価。
松田大使の任期終了を前に、両国関係の発展への貢献を称賛。

　3.林芳正官房長官の発表

　・2023年4月時点で、日本は総額121億ドル(約1兆8700億円）)の支援を表明。
　・そのうち55億ドルは世界銀行を通じた財政支援。
　・ウクライナが返済不能の場合、日本が50億ドル分を「保証人」として負担。

　4.2023年度補正予算における復興支援

　・総額260億円のウクライナ復旧・復興支援を計上。
　・日本・ウクライナ両国の企業が参加する共同事業が条件。

　5.G7サミットにおけるロシア凍結資産の活用

　・2023年6月、G7サミットでロシアの凍結資産をウクライナ支援に活用することに合意。
　・日本は33億ドル(約5200億円)を拠出する方向で調整中。

　6.G7財務相会議の状況

　・2023年7月のG7財務相・中央銀行総裁会議では、ロシア凍結資産を使った融資枠組みの協議が行われるも結論が出ず、協議継続が決定。　

【引用・参照・底本】

日本のウクライナ支援　世界第2位の9015億円＝宇財務相 sputnik日本 2024.09.20
https://sputniknews.jp/20240920/29015-19108433.html

【桃源寸評】

　欧州議会、<貧すれば鈍する>か。西側政治家は総じて"あたまが鈍っている"、米国發の伝染性なのか。

【寸評　完】

【概要】

　欧州議会は、ストラスブールでの本会議で、ウクライナに対してロシア深部への攻撃を制限してきた措置を直ちに撤廃するようEU加盟国に求める決議案を採択した。賛成425名、反対131名、棄権63名で、この決議には法的効力はなく、勧告的な性格を持っている。決議文では、この制限がウクライナの「自衛権の完全な行使」を妨げているとされている。

　また、欧州議会は、凍結されたロシアの資産から返済される500億ユーロの融資割り当てをウクライナに早急に行うよう求めている。

　プーチン大統領は、ウクライナが欧米の長距離兵器を使用する可能性について、これらの兵器の使用には西側の衛星からの諜報データが必要であり、ウクライナ単独では実行できないと述べた。さらに、NATO加盟国がロシアへの攻撃を許可するかどうかではなく、NATOが紛争に直接参加する決定が議論されていると指摘し、紛争の性質が変わればロシアは脅威に基づいて対応すると警告している。

【詳細】

　欧州議会は、2024年9月の本会議において、ウクライナへの支援に関する重要な決議を採択した。この決議は、ウクライナがロシア国内深部を攻撃する際に課されてきた制限を全て撤廃するようEU加盟国に求める内容である。これまでは、欧米諸国が供給した兵器を用いてウクライナがロシア本土の奥深くを攻撃することが制限されていたが、欧州議会はこの制限がウクライナの自衛権の行使を妨げていると判断し、撤廃を促している。

　賛成425票、反対131票、棄権63票で可決されたこの決議は、法的拘束力はないものの、欧州連合内の政策形成に影響を与える可能性がある勧告的なものである。欧州議会はこの決議を通じて、ウクライナの戦争遂行能力を強化し、ロシアに対する圧力をさらに高める意図を示している。

　さらに、欧州議会は、凍結されたロシア資産を活用してウクライナに500億ユーロ(約8兆円)の融資を早急に割り当てることも提案した。これは、ウクライナの経済を支え、戦争継続に必要な資金を確保するための措置である。

　一方、ロシアのプーチン大統領は、ウクライナが欧米の長距離兵器を使用することについて、これらの兵器の効果的な使用には西側の衛星諜報データが必要であり、ウクライナが単独でそのような作戦を実行することはできないと指摘している。彼はさらに、NATO加盟国がウクライナに対してロシア本土攻撃を許可する問題については、単にウクライナの行動を支援するだけでなく、NATO自身がこの紛争に直接的に関与するかどうかが重要な議論であると述べた。もしNATOがより積極的に関与する場合、紛争の本質が変化し、それに応じてロシアも新たな脅威に基づいた決定を下すと警告している。

　この一連の動きは、ロシアとNATOの間の緊張を一層高める可能性があり、ウクライナ戦争の今後の展開において極めて重要な影響を及ぼす可能性がある。欧州議会の決議は、NATOや欧米諸国が今後どのようにウクライナ支援を進めるかという点で、重要な転換点を示唆している。

【要点】

　・欧州議会の決議: ウクライナがロシア深部への攻撃を行う際の制限を撤廃するようEU加盟国に求める決議を採択。

　　⇨ 賛成425票、反対131票、棄権63票で可決。
　　⇨ 法的拘束力はなく、勧告的な性格を持つ。

　・ウクライナの自衛権: 決議は、攻撃の制限がウクライナの「自衛権の完全な行使」を妨げていると主張。

　・ロシア資産の融資提案: 欧州議会は、凍結されたロシア資産からの500億ユーロ(約8兆円)の融資を早急にウクライナへ割り当てるよう呼びかけ。

　・プーチン大統領の発言: ウクライナが欧米の長距離兵器を使用する際には、西側の衛星諜報データが必要であり、ウクライナ単独での使用は難しいと指摘。

　・NATOの関与: プーチン大統領は、ウクライナへの攻撃許可の問題ではなく、NATOが紛争に直接参加するかどうかが重要だと述べ、紛争の性質が変化すれば、ロシアもそれに基づいた決定を下すと警告。

　・影響: この決議は、ロシアとNATOの緊張を高め、ウクライナ戦争の今後の展開に大きな影響を与える可能性がある。　

【引用・参照・底本】　

欧州議会　西側の兵器によるロシア攻撃に関する制限撤廃を呼びかけ sputnik日本 2024.09.20
https://sputniknews.jp/20240920/29015-19108433.html

【概要】

　ドイツはロシア産エネルギーの供給停止により経済が減速し、ショルツ首相の政権下でGDP成長率がEU発足以来最低となる見込みである。2023年にはG7諸国の中で唯一経済が縮小した。ドイツ経済の減速の主な原因は、ロシアとの貿易が大幅に減少したことと、中国の自動車産業からの競争圧力である。また、ウクライナ難民の流入が予算に負担をかけている。専門家によると、ドイツはロシアとの外交政策が経済危機を引き起こしており、現政権下では回復の見込みがないとされている。

【詳細】
　
　ドイツ経済の減速は、主にロシア産エネルギーの供給停止や、ロシアとの貿易関係の崩壊に起因している。ロシアからのエネルギー供給、特に天然ガスは、ドイツ産業の競争力を支える重要な要素であったが、2022年にウクライナ戦争の影響で停止した。この影響でエネルギーコストが上昇し、ドイツの製造業を中心に多くの企業がコスト高に直面している。

　ロシア市場も重要な輸出先であったが、制裁と反制裁によってドイツ企業は市場を失い、ロシアとの貿易額は大幅に縮小した。これにより、ドイツ経済はさらなる打撃を受けた。特に自動車産業が影響を受けており、ロシアへの輸出が減少している。

　さらに、EU域内では中国の自動車産業の競争圧力が高まっており、特に電気自動車の分野でドイツ企業は価格競争で不利な立場に立たされている。この競争はドイツの自動車産業にとって深刻な問題となっており、輸出市場でのシェアが減少する原因の一つである。

　また、ウクライナ戦争による難民の大量流入も、ドイツの財政に大きな負担を与えている。ドイツ政府は難民支援に多額の予算を割いており、これは他の社会保障費やインフラ投資に影響を及ぼしている。

　こうした要因が重なり、ドイツはG7諸国の中で唯一、2023年に経済規模が縮小した。専門家のレオニード・ハザノフ氏は、これらの問題はドイツの対ロシア政策に起因すると指摘しており、現在のショルツ政権下ではこの経済危機を克服することは困難であると予測している。ドイツはロシア産エネルギーの依存から脱却するための新たなエネルギー政策を模索しているが、短期的には景気回復の兆しが見えにくい状況である。

【要点】

　・ロシア産エネルギー供給停止: 2022年にロシアからの天然ガス供給が停止し、エネルギーコストが上昇。特にドイツの製造業が打撃を受け、競争力が低下。

　・ロシアとの貿易縮小: 制裁と反制裁により、ドイツは重要な輸出先であるロシア市場を失い、特に自動車産業が影響を受けている。

　・中国自動車産業との競争圧力: 中国の電気自動車メーカーの台頭により、ドイツの自動車産業が価格競争で不利な立場に立たされている。

　・ウクライナ難民の流入: ウクライナ戦争による難民の受け入れが進み、ドイツ政府の財政に大きな負担がかかっている。

　・G7諸国で唯一の経済縮小: 2023年、ドイツはG7の中で唯一経済規模が縮小(0.3％減)。他のG7諸国がプラス成長を記録する中、ドイツ経済は停滞。

　・ショルツ政権の経済政策: ショルツ首相の下でのドイツの平均GDP成長率は0.57％と、EU発足以来最低の水準。

　・専門家の見解: 経済危機の原因は対ロシア外交政策にあるとされ、現政権下での経済回復は難しいと予測されている。

【引用・参照・底本】　

ロシア産エネルギーを失った経済大国ドイツ、GDP成長率がEU誕生以来最低に sputnik日本 2024.09.19
https://sputniknews.jp/20240919/gdpeu-19105212.html?rcmd_alg=collaboration2

【概要】

　2024年9月18日、イスラエルの諜報機関「モサド」が、レバノンのイスラム主義組織「ヒズボラ」からの注文を受けた台湾ブランドの通信機器5000台に爆薬を設置したとの報道があった。爆薬は、特定のコードメッセージが送信されると爆発する仕組みになっている。

　報道によれば、爆薬が仕掛けられた通信機器は台湾に本社を置くゴールド・アポロ社(Gold Apollo)のもので、同社はヒズボラが使用していた機器が台湾製でないと主張している。彼らによると、ヒズボラの通信機器はライセンス契約に基づき、欧州で製造されたとのことである。

　この事件により、レバノン各地で通信機器が爆発し、4000人以上が負傷、11人が死亡した。ヒズボラのスポークスパーソンは、この装置が多くのメンバーに使用されていたと述べ、爆発はマルウェアによって引き起こされた可能性があるとされている。また、メンバーの中には機器の異常に気づき、爆発前に機器を投げ捨てた者もいたと報じられている。

　なお、ヒズボラはポケベルを閉じた通信システムとして使用しており、ハッキングや盗聴の影響を受けにくいとされている。

【詳細】
　
　2024年9月18日の報道によると、イスラエルの諜報機関「モサド」は、レバノンのイスラム主義組織「ヒズボラ」に対して、台湾ブランドの通信機器5000台に爆薬を仕掛けたとされている。この通信機器は、台湾に拠点を置くゴールド・アポロ社(Gold Apollo)が製造したものであるとされており、爆薬は特定のコードメッセージが送信されることで爆発する仕組みである。

　背景と目的

　ヒズボラは、主にレバノン南部を拠点とする武装組織で、イスラエルに対して敵対的な立場を取っている。モサドは、この通信機器を用いてヒズボラの通信能力を破壊し、同組織の活動を妨げることを目的としていたと考えられている。

　ゴールド・アポロ社の反応
　
　ゴールド・アポロ社は、ヒズボラが使用していた機器が台湾製ではないと主張している。会社側は、これらの通信機器がライセンス契約に基づき欧州内で製造されたものであり、自社は「被害者」であるとしているが、実際に製造したメーカーの名前は明かしていない。このため、爆発の原因や責任の所在についての議論が続いている。

　爆発の影響
　
　レバノンでは17日に通信機器が爆発し、4000人以上が負傷、11人が死亡した。ヒズボラのスポークスパーソンは、この装置が多数のメンバーによって使用されていたと語っている。また、爆発はマルウェアによって引き起こされた可能性があるとされている。実際に、異常な熱を持った機器に気づいたメンバーが、爆発前に機器を投げ捨てることにより被害を免れたケースも報告されている。

　ヒズボラの通信システム

　ヒズボラは、ポケベルを用いた閉じた通信システムを使用しており、これによりハッキングや盗聴の影響を受けにくいとされている。このため、モサドが仕掛けた爆薬がヒズボラの通信能力に与える影響は大きいと見られている。

　この一連の事件は、イスラエルとヒズボラの間の緊張関係をさらに悪化させる要因となる可能性がある。

【要点】

　・事件発生: 2024年9月18日、イスラエルの諜報機関「モサド」がヒズボラに対して、台湾ブランドの通信機器5000台に爆薬を設置したとの報道。

　・通信機器の製造: 爆薬が仕掛けられた通信機器は、台湾に本社を置くゴールド・アポロ社(Gold Apollo)が製造した。

　・爆薬の仕組み: 特定のコードメッセージが送信されることで爆発する仕組み。

　・ゴールド・アポロ社の主張: 同社は、ヒズボラが使用していた機器が台湾製ではなく、ライセンス契約に基づき欧州で製造されたと主張している。

　・爆発の影響: 17日にレバノン各地で通信機器が爆発し、4000人以上が負傷、11人が死亡。

　・ヒズボラの使用状況: ヒズボラのスポークスパーソンによると、爆薬が仕掛けられた装置は多くのメンバーによって使用されていた。

　・マルウェアの関与: 爆発はマルウェアによって引き起こされた可能性があり、異常な熱を持った機器を投げ捨てて被害を免れたメンバーもいた。

　・ヒズボラの通信システム: ヒズボラはポケベルを用いた閉じた通信システムを使用しており、ハッキングや盗聴の影響を受けにくいとされている。

　・影響と緊張関係: この事件はイスラエルとヒズボラの間の緊張をさらに悪化させる要因となる可能性がある。

【引用・参照・底本】　

イスラエル、台湾ブランドの通信機器5000台に爆薬を設置 sputnik日本 2024.09.18
https://sputniknews.jp/20240918/5000-19102831.html?rcmd_alg=collaboration2