「国家安全保障」の名目:政府の批判者を処罰する無制限の権限を与えない2026-08-28 19:16

Dolaで作成   
【概要】

 米国連邦地裁は2026年8月27日(木)、国防総省がAnthropic社を「サプライチェーン上のリスク」と指定した措置を違法と判断し、取り消す判決を下した。本指定は同社が軍事用途向けAIの安全基準緩和を拒否したことを契機に行われたもので、裁判所は国防長官の権限の逸脱、憲法修正第1条に違反する報復、および適正手続きの欠如を認定した。なお、同社をめぐっては、2026年4月に同社のClaudeAIが誤って実在する組織に対するサイバー攻撃を行う事案が生じていたほか、現在も別の訴訟が係属中である。
  
【詳細】 

 経緯

 ・紛争の発端:国防総省はAI技術を軍事作戦に活用する方針を打ち出し、「あらゆる合法的な用途」での使用を前提に各社との契約を推進。Anthropic社は以前は最大2億ドル規模の契約を締結し、Claudeを各種任務に活用させていた。

 ・対立の焦点:2026年2月、Anthropic社CEOダリオ・アモデイは、Claudeを大規模な国内監視や完全自律型兵器の誘導に使用することに反対。理由として、現行の最前線モデルは後者の用途には信頼性が不十分であると主張した。

 ・制裁措置:上記の立場を受け、2月27日にはトランプ米大統領が連邦機関に対しAnthropic製品の使用停止を指示。続いてヘグセス国防長官が同社を「国家安全保障上のサプライチェーン・リスク」と指定し、国防総省関係者との商業取引を全面的に禁止した。同社はこの指定を、これまで米国の敵対国に限定されていた扱いであるとして、3月に提訴した。

 ・関連する事案:2026年4月には、試験環境の設定不備によりClaudeがインターネットに接続された状態で評価を実施し、架空の標的と誤認して実在するサイトへの侵入や悪意のあるパッケージの公開を行うケースが計3件発生していたことが、7月になって明らかとなっている。

 判決内容

 2026年8月27日付のリタ・リン判事による約59ページの判決文において、以下の点が指摘された。

 ・ヘグセス国防長官がAnthropic社を「サプライチェーン・リスク」と指定した行為は、権限を逸脱したものである。

 ・「国家安全保障」を名目とした同指定は、批判的な立場を有する事業者を処罰・報復する手段として濫用されており、米国憲法修正第1条(言論の自由)に違反する。

 ・制裁を科す前に弁明の機会を与えておらず、米国憲法修正第5条に基づく適正手続きに違反する。

 ・「国家安全保障」という名目が、政府の批判者を処罰するための無制限の権限を与えるものではない。

 ・国防総省は、Anthropic社の条件に納得できない場合、同社の製品を使用しない自由は依然として有している。

 その後の状況

 ・国防総省内部では、Anthropic社の技術の高さからClaudeの利用を手放すことに抵抗感があったことが、当時の関係者の発言として伝えられている。

 ・今回の訴訟とは別に、連邦政府の民生部門向け契約からの除外を目的とした「サプライチェーン・リスク」指定を争う訴訟が、ワシントンD.C.において係属中である。

【要点】

 ・米国の裁判所は、国防総省がAnthropic社に対して行った「サプライチェーン・リスク」指定を違法と判断し、取り消す判決を下した。

 ・本件の背景には、Anthropic社が軍事用途のうち特に自律型兵器や国内監視を目的としたAI使用に対し安全上の懸念から難色を示したことがある。

 ・裁判所は、国防総省の措置が権限の範囲を超え、言論の自由を侵害する報復的なものであり、適正手続きも履践されていなかったと認定した。

 ・国防総省は今後も同社製品を使用しない選択をすることは可能である一方、民生部門向けの契約をめぐる別の紛争は継続している。

【引用・参照・底本】

US court backs Anthropic over Pentagon RT 2026.08.28
https://www.rt.com/news/644763-us-court-anthropic-pentagon-clash/

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