ラブロフ:西側の外交に対するロシアの信頼は完全に喪失したと表明 ― 2026-08-28 19:58
【概要】
2026年8月25日前後、ロシアの首都モスクワにおいて、バチカン国際関係担当長官ギャラガー大司教と米中央情報局(CIA)長官ラトクリフが相次いで訪問し、ロシア側と会談を実施した。ロシア外相ラブロフは28日のインタビューで、これらの外交・情報分野での接触の背景と内容について説明した。バチカンとの会談ではウクライナ紛争や人道支援、ウクライナ正教会の状況などが議題となり、CIA長官の訪問については機密性を理由に詳細を明らかにしなかった。またラブロフは、これまでの西側諸国との約束の破棄や合意の不履行を列挙し、西側の外交に対するロシアの信頼が失われた現状を強調するとともに、昨年のアンカレッジ米露首脳会談での合意がその後崩壊した経緯を説明した。
【詳細】
1.バチカン特使との会談
・ギャラガー大司教は4日間の日程でモスクワを訪問し、ラブロフと会談を行った。会談ではウクライナ紛争を中心に、中東・アフリカ情勢、AIを含む国際的諸問題、伝統的価値観の保護など多岐にわたる事項が協議された。
・ウクライナ紛争に関し、ロシア側はバチカンの「均衡の取れた立場」を評価するとともに、紛争の根本的原因の解決を通じた和平の必要性を強調した。
ウクライナ政府によるロシア語・ロシア文化への弾圧、ならびにウクライナ正教会(モスクワ総主教庁系)に対する弾圧的措置に関する報告を提示し、バチカン側がウクライナ側に対してこれらの問題を提起するよう要請した。
・ウクライナ側による民間人や子供を標的とした攻撃を非難し、人道支援や捕虜・遺体交換などの分野での協力を確認した。
・ラブロフは、停戦を現状の戦線で凍結するという西側の提案は持続的な解決に至らないとの立場を示し、英仏主導の「安定化部隊」の配備案はウクライナの現体制を温存するものであると主張した。
・ロシア側は、2014年のクーデター関連合意、ミンスク協定、2022年のイスタンブール協議など、これまでにウクライナとその西側支援国が破棄または実行しなかった一連の合意を列挙し、ロシア側の誠意はこれまで一貫して示されてきたと説明。ギャラガー大司教は「紛争を早期に終結させるべき」との一般的な立場を述べるにとどまり、これらの指摘に対する反論はなかったとされる。
2.CIA長官の訪問
・ラトクリフCIA長官は8月25日、非公開でモスクワを訪問し、約8時間にわたりロシア側と接触した。CIA長官のモスクワ訪問は2021年以来のこととなる。
ペスコフ大統領報道官は「両国の情報機関同士の通常の接触」であると説明し、プーチン大統領は協議内容を把握しているものの直接の面会は予定されていないと述べた。
・ラブロフは自身は同席していないと明かした上で、情報機関同士の秘密裏の連絡は常態的なものであり、「機微な事項や現在調整中の内容については、達成されうる妥協や共通認識を危うくしてはならないため、詳細を公表しない」との立場を示した。
・ロシア側がトランプ米政権に対して最後通牒を突きつけたとの一部報道については、明確に否定した。
3.西側諸国との関係認識
・ラブロフは今回の一連の協議の背景には、長期的な信頼関係の喪失があることを示した。
・「欺瞞が西側外交の本質であり、現在も変わっていない」と主張し、NATO東方拡大に関する約束の不履行やウクライナ関連合意の相次ぐ破棄をその根拠として挙げた。
・ロシアはこれまで「最後の瞬間まで」相手を信頼しようと努めてきたが、「もはやその段階は過ぎ去った」とし、2022年以前の関係には戻り得ないと明言。ただし、新たな米国からの提案には応じる用意がある一方、「当面は現地における施策を継続する」と述べた。
4.アンカレッジ首脳会談の経緯
・昨年8月のアンカレッジでの米露首脳会談について、ラブロフは以下のように説明した。
・プーチン大統領は米国側の和平提案を逐条的に検討し、トランプ大統領の特使ウィットコフが「これは大統領の立場を正確に反映したものである」と確認したため、ロシア側は細部の調整の余地を残しつつこれを受け入れた。
・その後数か月の間に、EUや英国の指導者たちがこの枠組みを事実上無効化し、仏マクロン大統領はG7エビアンサミットにおいて「アンカレッジ合意は埋葬された」と宣言した。
米国務長官ルビオは6月に「アラスカで一つの提案は示されたが、合意は存在しない」との立場を表明しており、トランプ大統領自身も「最終的な合意に至るまで合意は存在しない」と述べるにとどめている。
【要点】
・モスクワでのバチカン特使との会談はウクライナ紛争・人道支援・ウクライナ正教会の状況などを中心に協議され、CIA長官の訪問は情報機関同士の接触とされ、詳細は非公開とされた。
・ラブロフは、ウクライナ関連の過去の複数の合意が西側諸国の関与により実行されなかったと主張し、現状の停戦案には批准できない立場を示した。
・西側の外交に対するロシアの信頼は完全に喪失したと表明し、2022年以前の関係には戻り得ないと明言した。
・昨年のアンカレッジ首脳会談について、ロシア側は米国案を受け入れたと主張するのに対し、米国側は合意が存在しないとの立場を示しており、その後欧州各国の働きかけにより枠組みが崩壊したとロシア側は主張している。
・ロシアは今後も対話の扉を閉ざさないものの、新たな提案が示されない限り現行の方針を継続するとの立場を示した。
【引用・参照・底本】
Lavrov reveals what brought CIA chief and Vatican envoy to Moscow RT 2026.08.28
https://www.rt.com/russia/644746-lavrov-goodwill-promises-cia-vatican/
2026年8月25日前後、ロシアの首都モスクワにおいて、バチカン国際関係担当長官ギャラガー大司教と米中央情報局(CIA)長官ラトクリフが相次いで訪問し、ロシア側と会談を実施した。ロシア外相ラブロフは28日のインタビューで、これらの外交・情報分野での接触の背景と内容について説明した。バチカンとの会談ではウクライナ紛争や人道支援、ウクライナ正教会の状況などが議題となり、CIA長官の訪問については機密性を理由に詳細を明らかにしなかった。またラブロフは、これまでの西側諸国との約束の破棄や合意の不履行を列挙し、西側の外交に対するロシアの信頼が失われた現状を強調するとともに、昨年のアンカレッジ米露首脳会談での合意がその後崩壊した経緯を説明した。
【詳細】
1.バチカン特使との会談
・ギャラガー大司教は4日間の日程でモスクワを訪問し、ラブロフと会談を行った。会談ではウクライナ紛争を中心に、中東・アフリカ情勢、AIを含む国際的諸問題、伝統的価値観の保護など多岐にわたる事項が協議された。
・ウクライナ紛争に関し、ロシア側はバチカンの「均衡の取れた立場」を評価するとともに、紛争の根本的原因の解決を通じた和平の必要性を強調した。
ウクライナ政府によるロシア語・ロシア文化への弾圧、ならびにウクライナ正教会(モスクワ総主教庁系)に対する弾圧的措置に関する報告を提示し、バチカン側がウクライナ側に対してこれらの問題を提起するよう要請した。
・ウクライナ側による民間人や子供を標的とした攻撃を非難し、人道支援や捕虜・遺体交換などの分野での協力を確認した。
・ラブロフは、停戦を現状の戦線で凍結するという西側の提案は持続的な解決に至らないとの立場を示し、英仏主導の「安定化部隊」の配備案はウクライナの現体制を温存するものであると主張した。
・ロシア側は、2014年のクーデター関連合意、ミンスク協定、2022年のイスタンブール協議など、これまでにウクライナとその西側支援国が破棄または実行しなかった一連の合意を列挙し、ロシア側の誠意はこれまで一貫して示されてきたと説明。ギャラガー大司教は「紛争を早期に終結させるべき」との一般的な立場を述べるにとどまり、これらの指摘に対する反論はなかったとされる。
2.CIA長官の訪問
・ラトクリフCIA長官は8月25日、非公開でモスクワを訪問し、約8時間にわたりロシア側と接触した。CIA長官のモスクワ訪問は2021年以来のこととなる。
ペスコフ大統領報道官は「両国の情報機関同士の通常の接触」であると説明し、プーチン大統領は協議内容を把握しているものの直接の面会は予定されていないと述べた。
・ラブロフは自身は同席していないと明かした上で、情報機関同士の秘密裏の連絡は常態的なものであり、「機微な事項や現在調整中の内容については、達成されうる妥協や共通認識を危うくしてはならないため、詳細を公表しない」との立場を示した。
・ロシア側がトランプ米政権に対して最後通牒を突きつけたとの一部報道については、明確に否定した。
3.西側諸国との関係認識
・ラブロフは今回の一連の協議の背景には、長期的な信頼関係の喪失があることを示した。
・「欺瞞が西側外交の本質であり、現在も変わっていない」と主張し、NATO東方拡大に関する約束の不履行やウクライナ関連合意の相次ぐ破棄をその根拠として挙げた。
・ロシアはこれまで「最後の瞬間まで」相手を信頼しようと努めてきたが、「もはやその段階は過ぎ去った」とし、2022年以前の関係には戻り得ないと明言。ただし、新たな米国からの提案には応じる用意がある一方、「当面は現地における施策を継続する」と述べた。
4.アンカレッジ首脳会談の経緯
・昨年8月のアンカレッジでの米露首脳会談について、ラブロフは以下のように説明した。
・プーチン大統領は米国側の和平提案を逐条的に検討し、トランプ大統領の特使ウィットコフが「これは大統領の立場を正確に反映したものである」と確認したため、ロシア側は細部の調整の余地を残しつつこれを受け入れた。
・その後数か月の間に、EUや英国の指導者たちがこの枠組みを事実上無効化し、仏マクロン大統領はG7エビアンサミットにおいて「アンカレッジ合意は埋葬された」と宣言した。
米国務長官ルビオは6月に「アラスカで一つの提案は示されたが、合意は存在しない」との立場を表明しており、トランプ大統領自身も「最終的な合意に至るまで合意は存在しない」と述べるにとどめている。
【要点】
・モスクワでのバチカン特使との会談はウクライナ紛争・人道支援・ウクライナ正教会の状況などを中心に協議され、CIA長官の訪問は情報機関同士の接触とされ、詳細は非公開とされた。
・ラブロフは、ウクライナ関連の過去の複数の合意が西側諸国の関与により実行されなかったと主張し、現状の停戦案には批准できない立場を示した。
・西側の外交に対するロシアの信頼は完全に喪失したと表明し、2022年以前の関係には戻り得ないと明言した。
・昨年のアンカレッジ首脳会談について、ロシア側は米国案を受け入れたと主張するのに対し、米国側は合意が存在しないとの立場を示しており、その後欧州各国の働きかけにより枠組みが崩壊したとロシア側は主張している。
・ロシアは今後も対話の扉を閉ざさないものの、新たな提案が示されない限り現行の方針を継続するとの立場を示した。
【引用・参照・底本】
Lavrov reveals what brought CIA chief and Vatican envoy to Moscow RT 2026.08.28
https://www.rt.com/russia/644746-lavrov-goodwill-promises-cia-vatican/

