2025年大阪万博における台湾館の名称2025年04月16日 23:25

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【概要】

 2025年4月16日、国務院台湾事務弁公室の報道官であるZhu Fenglian氏は、2025年大阪万博における台湾館の名称に関する民進党当局の対応について発言した。

 報道によれば、台湾の民進党当局は、自身の館を「TECH WORLD」と命名し、その略称である「TW」が「Taiwan(台湾)」を示唆していると主張し、これを「外交上の突破口」であると喧伝している。これに対し、Zhu Fenglian氏は、「このような自己満足的な行為は、自分自身と他人を欺くにすぎない」と述べた。

 さらにZhu氏は、民進党当局がこのような国際的な場を利用して「小細工」を弄し、いわゆる「国際的な存在感」という錯覚を作り出し、台湾島内の世論および国際社会を誤導しようとしていると述べた。そして、「いかに騒ぎ立てようとも、台湾が中国の一部であるという事実は変わらず、むしろさらに嘲笑を招くことになる」と語った。

 また、共同通信によると、日本側は台湾島が万博を管轄する博覧会国際事務局(BIE)の加盟国ではないことを理由に、台湾館が民間企業によって運営されていることを明確にするよう台湾側に要請しているという。

【詳細】

 2025年4月16日、中国政府の国務院台湾事務弁公室の報道官であるZhu Fenglian(しゅ・ほうれん)氏は、2025年に開催予定の大阪・関西万博に関して、台湾側、特に与党・民主進歩党(民進党)当局の対応について発言した。これは、台湾館の名称が「TECH WORLD」とされ、その略称「TW」が台湾(Taiwan)の頭文字を暗示しているという台湾当局の主張を受けてのものである。

 民進党当局は、同館の名称や略称に象徴的意味を持たせ、「TW」が台湾を指し示していると解釈した上で、これを「外交上の突破口」であると内外に発信している。これにより、台湾の国際的存在感や国家的地位が一定程度認められたという印象を与えようとしている。

 これに対してZhu氏は、記者の質問に応じる形で次のように述べた。民進党当局はこうした国際イベントを利用して「小細工(petty tricks)」を弄し、あたかも台湾が独立した国家として国際社会に認められているかのような「幻影(illusion)」を演出しようとしていると批判した。また、そのような行動は、台湾島内の世論を誤導するとともに、国際社会を欺こうとするものであると指摘した。Zhu氏は「台湾は中国の一部である」という中国政府の公式見解を改めて強調し、いかなる「騒動」もその基本的な立場を変えるものではないと述べた。むしろ、そのような行為は国際的に滑稽であり、「さらなる嘲笑を招く」と評した。

 加えて、報道によれば、日本政府も一定の対応を取っている。共同通信社の報道によると、台湾島は博覧会国際事務局(Bureau International des Expositions, BIE)の加盟国ではないため、日本側は台湾館の性質について明確な区別を求めている。具体的には、台湾館が国家機関によってではなく、民間企業によって設置・運営されることを公式に明示するよう要請している。これは、BIEの規則に基づき、加盟国以外の地域が国家としての展示館を持つことが認められていないためであり、主権国家としての資格を持たない地域の参加には制限が課されることを意味する。

 このように、大阪万博における台湾館の扱いは、名称一つをとっても政治的意味合いが強く、台湾と中国本土の間での主権・国際的認知をめぐる根深い対立を改めて浮き彫りにしている。台湾側は象徴的な意味を込めて国際社会への発信を試みており、中国側はそれを断固として否定する立場を維持している。また、日本政府は国際機関の規則に則って中立的かつ法的整合性を保つ対応をとっていると考えられる。

【要点】 

 ・発言者:国務院台湾事務弁公室の報道官・Zhu Fenglian氏。

 ・発言日:2025年4月16日(水)。

 ・発言の背景:2025年大阪・関西万博における台湾館の名称が「TECH WORLD」とされ、その略称「TW」が「Taiwan(台湾)」を意味するとの主張が台湾当局よりなされたことを受けて。

 ・台湾側の主張:

  ⇨ 台湾館の略称「TW」は台湾を示唆しているとし、

  ⇨ これを「外交上の突破口」であると宣伝している。

  ⇨ 民進党当局は国際場面での「存在感」を強調している。

 ・Zhu Fenglian氏の発言概要:

  ⇨ このような行為は「自分自身と他人を欺く行為」にすぎないと述べた。

  ⇨ 民進党当局は国際イベントを利用して「小細工」を弄していると指摘。

  ⇨ 「いかに騒ぎ立てても、台湾が中国の一部であるという事実は変わらない」と明言。

  ⇨ このような行為は「さらなる嘲笑を招く」と批判。

 ・共同通信の報道内容

  ⇨ 台湾島は博覧会国際事務局(BIE)の加盟国ではない。

  ⇨ そのため、日本側は台湾館が民間企業によって運営されていることを明示するよう要請した。

  ⇨ 台湾館は国家館ではなく、非加盟地域による「非国家的な参加」であるという立場が前提。

 ・全体の構図

  ⇨ 台湾側(民進党当局)は国際的認知を高めようとしている。

  ⇨ 中国側(Zhu Fenglian氏)はそれを否定し、国家主権問題として強く反発。

  ⇨ 日本側は国際的ルールに則り、中立的かつ制度的対応を行っている。

【参考】

 ☞ 台湾島は、博覧会国際事務局(Bureau International des Expositions, BIE)の加盟国ではない。

 ・BIEは、国際博覧会(万博)における参加資格や形式などを規定する国際的な条約機関であり、国家単位の参加を原則としている。

 ・このため、非加盟地域(国家として承認されていない地域)が万博に参加する場合には、国家の代表ではなく、民間団体や企業による出展という形に限定される。

 ・台湾島の立場はこの「非加盟地域」に該当するため、日本側(万博開催国)は、台湾館があくまで民間によって運営されているものであることを明確にするよう台湾側に要請した。

 ・この要請は、BIEの加盟国(中国を含む)との合意や規則に整合する措置であり、政治的な立場表明ではなく、制度上の取り扱いに基づいた事務的対応とみなされる。

 ・したがって、台湾館は国家館とは区別される位置づけであり、「Taiwan」や「中華民国」など国家名の使用や、政府機関による公式参加は認められていない。

 この区別の明示は、日本がBIE加盟国として万博の主催国である立場から、国際ルールを遵守する責任に基づく対応である。

【参考はブログ作成者が付記】

【引用・参照・底本】

Taiwan Affairs Office spokesperson slams DPP’s hyping of pavilion name at Osaka Expo as self-deception GT 2024.04.16
https://www.globaltimes.cn/page/202504/1332213.shtml

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