中国とアフリカの宇宙分野における協力が近年深化2025年02月15日 19:14

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【桃源寸評】

 中国の為すことは「安全保障上の脅威」であり、自分たちの行為は無害であるという、此の西側の倒錯した差別的な考えは何処から来るのか。

 以下に別な観点を引用してみる。

 「GDPでみるかぎり、一九世紀まで世界経済の中心はアジアであって、ヨーロッパでなかったことはたしかである。アジアがヨーロッパ世界経済の周辺であったのではなく、ヨーロッパがアジア経済の周辺にあったのである。したがって、これまでヨーロッパを中心に描かれてきた世界史はヨーロッパというー地域の歴史にすぎず、とりわけー九世紀までの世界史はアジアを中心に書き直される必要がある。」(『グローバル経済史入門』杉山伸也 著 2019年7月5日第5刷発行 岩波新書 8-9頁)

【寸評 完】

【概要】

 中国とアフリカの宇宙分野における協力が近年深化しているが、一部の欧米メディアはこの協力の性質を歪めようとしている。2025年2月13日付のロイターは、中国が「アフリカで宇宙同盟を構築し、世界的な監視ネットワークを強化し、宇宙分野での覇権を確立しようとしている」と報じた。また、米国防総省の見解として、中国のアフリカやその他の発展途上国での宇宙プロジェクトが「安全保障上の脅威」であるとの主張も引用している。

 しかし、実際の脅威は技術協力や技術共有そのものではなく、覇権に固執し進歩を妨げる西側のイデオロギー的偏見である。長らく宇宙や先端技術分野は米国およびその同盟国によって支配されてきた。西側メディアによる中国・アフリカ協力への批判の背後には、この協力関係がもたらす影響への警戒がある。

 例えば、中国とエジプトの宇宙技術協力について、欧米メディアは「中国の秘密主義的な海外宇宙計画」と報じているが、実際には透明性のある取り組みである。公的記録によれば、エジプトは一帯一路構想の枠組みの下で中国と衛星協力を行った最初の国である。2023年末には、共同設計・開発された衛星「MISRSAT-2」が軌道投入された。エジプト宇宙庁の関係者によれば、このプロジェクトを通じてエジプトの宇宙技術者の育成が進み、エジプトはアフリカおよび中東における宇宙開発の先駆者となる基盤を築いた。この「魚を与えるのではなく、釣り方を教える」方式は、アフリカの産業化と近代化の自立的な推進にとって重要な一歩である。

 西側メディアによる中国・アフリカ宇宙協力への批判は、アフリカ諸国が宇宙技術を発展させる正当な必要性を無視している。宇宙技術や監視システムは、気象観測、農業計画、環境保護、災害管理などに活用され、アフリカが気候変動への対応、農業生産性の向上、資源管理の最適化、国家の緊急対応能力の強化を図る上で重要な役割を果たす。

 より広範には、中国とアフリカの宇宙協力は、世界の技術協力の構図の変化と発展の権利の再編を反映している。これまで発展途上国は西側諸国の技術援助に依存せざるを得ず、多くの制約を受けてきた。しかし、南南協力の理念の下、中国はより平等かつ持続可能な協力モデルを提供し、アフリカ諸国が宇宙技術などの重要分野で自立的な発展を実現できるよう支援している。これにより、アフリカは世界の技術体系における地位を向上させ、発展途上国がグローバルな技術ガバナンスに参加する機会を拡大するとともに、世界の多極化を促進している。

 中国の軍事専門家であるSong Zhongping氏は「宇宙は裕福な国々だけのものではない」と述べている。中国はアフリカとの互恵的協力を通じて、より多くの発展途上国が迅速に世界の技術発展の主流に加わることを支援しており、これは技術の民主化と多極化の流れを象徴するものである。

 アフリカやグローバルサウス諸国が重視するのは、地政学的な対立ではなく、より実用的で持続可能な発展である。米国や西側諸国は、技術覇権の発想を捨て、より開放的かつ包摂的な姿勢を取り、国際的な技術協力に積極的に参加するべきである。

 インフラ建設から近代化や最先端技術への取り組みまで、中国とアフリカの協力は実質的な成果を生み出している。西側が批判を繰り返す一方で、中国とアフリカはすでに発展のネットワークを築き、技術によって自主的な未来を切り開いている。これにより、グローバルサウスにおける団結と発展の新たな章が記されている。

【詳細】

 中国とアフリカの宇宙協力:技術の多極化と民主化の進展

 近年、中国とアフリカ諸国の宇宙分野における協力が急速に深化している。この協力は、単なる衛星技術の提供にとどまらず、宇宙産業の発展支援、人材育成、技術移転、さらには発展途上国全体の科学技術自主性の向上を目的としている。しかし、欧米の一部メディアはこの協力を「中国による影響力拡大」として批判し、安全保障上の脅威と見なしている。特に、ロイターは2025年2月13日付の記事で、「中国がアフリカにおいて宇宙同盟を構築し、世界的な監視ネットワークを強化しようとしている」と報じ、米国防総省の見解として、中国の宇宙プロジェクトが「安全保障上のリスク」になり得ると指摘した。

 しかし、実際の問題は技術協力そのものではなく、欧米が長年維持してきた宇宙分野の覇権と支配に対する挑戦が生じている点である。欧米は長らく発展途上国が高度な技術を独自に発展させることを制限し、西側の基準や条件に従うことを求めてきた。一方、中国は「南南協力」の枠組みの下で、アフリカ諸国が宇宙技術を自主的に発展させることを支援し、これまで西側の技術援助に依存せざるを得なかった構造を変えつつある。

 中国とエジプトの宇宙技術協力の具体例

 欧米メディアが「中国の秘密主義的な海外宇宙計画」と称する中国とエジプトの宇宙技術協力は、実際には透明性の高い取り組みである。公的な記録によれば、エジプトは中国と宇宙開発分野で協力を行った最初のアフリカ諸国の一つであり、一帯一路構想の枠組みの下で包括的なパートナーシップを築いてきた。

 MISRSAT-2の開発と打ち上げ

 2023年末、中国とエジプトが共同で設計・開発した地球観測衛星「MISRSAT-2」が軌道に投入された。このプロジェクトは、中国が単に衛星を供与するのではなく、エジプトの宇宙産業の発展に直接貢献することを目的としていた。

 エジプト宇宙庁(Egyptian Space Agency, EgSA)の関係者は、このプロジェクトによってエジプトの宇宙技術者の育成が促進され、エジプトがアフリカおよび中東における宇宙開発の先駆者となるための基盤を築いたと指摘している。この協力は「魚を与えるのではなく、釣り方を教える」方式に基づいており、エジプトが独自に衛星を設計・開発する能力を身につけることを目的としている。これは、アフリカの産業化と近代化を自立的に推進する上で重要なステップである。

 アフリカ諸国の宇宙技術開発への影響

 エジプトを含むアフリカ諸国は、宇宙技術を活用して以下の分野で発展を遂げようとしている。

 1.気象観測

 気象データの収集と分析を強化し、気候変動による災害リスクを軽減する。

 2.農業計画

 土壌分析や降水量予測を通じて、作物の収量を向上させ、食料安全保障を強化する。

 3.環境保護

 衛星画像を活用して森林破壊や水資源の管理を最適化する。

 4.災害管理

 洪水や干ばつなどの自然災害に対する迅速な対応能力を向上させる。

 これらの分野における宇宙技術の活用は、アフリカが持続可能な発展を遂げる上で不可欠である。

 中国・アフリカ宇宙協力が示す技術協力の変化

 中国とアフリカの宇宙協力は、単に技術移転を目的としたものではなく、発展途上国全体の技術的自主権の確立を支援するものとなっている。この協力の背景には、国際技術協力の構図の変化がある。

 過去の技術支援と西側の制約

 これまで、発展途上国は主に欧米諸国からの技術援助に依存してきた。しかし、この援助には厳しい条件が付されることが多く、以下のような問題点があった。

 ・技術のブラックボックス化:提供された技術の詳細が非公開とされ、受け入れ国が自主的に発展させることが困難であった。
 ・政治的条件:受け入れ国が欧米の政治的立場に従うことを要求されることがあった。
 ・経済的依存:技術支援と引き換えに、特定の経済政策や貿易協定を受け入れるよう求められることが多かった。

 これに対し、中国は「南南協力」の理念の下、発展途上国とより対等な関係を築くことを目指している。

 技術の多極化と民主化

 中国の軍事専門家であるSong Zhongping氏は「宇宙は裕福な国々だけのものではない」と述べている。中国がアフリカと進める宇宙協力は、より多くの発展途上国が迅速に世界の技術発展の主流に加わることを支援するものであり、これは技術の民主化と多極化の流れを象徴している。

 具体的には、以下のような点で技術協力の新しい形が示されている。

 1.技術移転の促進

 発展途上国が自国の技術基盤を強化できるよう、中国は積極的に技術移転を行っている。

 2.持続可能な開発

 短期的な経済支援ではなく、長期的に自立可能な技術協力を行うことで、発展途上国が継続的に成長できる環境を整えている。

 3.地政学的対立の回避

 中国とアフリカの宇宙協力は、特定の政治的枠組みを押し付けるものではなく、実際の発展ニーズに基づいている。

 結論

 アフリカやグローバルサウス諸国の関心は、地政学的な対立ではなく、より実用的で持続可能な発展である。米国や西側諸国は、技術覇権の発想を捨て、より開放的かつ包摂的な姿勢を取り、国際的な技術協力に積極的に参加するべきである。

 中国とアフリカの宇宙協力は、技術の多極化と民主化を加速させ、発展途上国が自主的に技術発展を遂げるための重要な基盤を提供している。

【要点】

 中国とアフリカの宇宙協力:技術の多極化と自主性の強化

 1. 背景と西側の反応

 ・中国とアフリカの宇宙協力が急速に進展し、技術移転や人材育成が進んでいる。
 ・欧米はこれを「中国の影響力拡大」として警戒し、安全保障上の懸念を示している。
 ・ロイターは2025年2月13日付の記事で「中国がアフリカで宇宙同盟を構築」と報道し、米国防総省も警戒。
 ・実際には、発展途上国の技術的自主権を強化する取り組みであり、西側の技術覇権に挑戦する動きの一環。

 2. 具体的な協力事例:中国とエジプトの宇宙技術協力

 ・MISRSAT-2衛星の共同開発・打ち上げ(2023年末)。
 ・エジプトの宇宙技術者育成を目的とし、技術移転を実施。
 ・エジプトの宇宙産業強化:西側技術依存からの脱却を支援。
 ・一帯一路構想の一環として、宇宙開発分野での長期的な協力を推進。

 3. 宇宙技術の活用分野(アフリカ諸国への影響)

 ・気象観測:気候変動による災害リスクの軽減。
 ・農業計画:土壌分析・降水予測による収量向上。
 ・環境保護:森林破壊や水資源の管理の最適化。
 ・災害管理:洪水や干ばつ対策の迅速化。

 4. 西側の技術協力との違い

 (1)欧米の技術支援の問題点

 ・技術のブラックボックス化:受け入れ国が独自発展できない。
 ・政治的条件付き援助:欧米の政治的立場に従うことを求められる。
 ・経済的依存の強要:特定の貿易協定・経済政策を押し付けられる。

 (2)中国の協力方式

 ・技術移転の促進:発展途上国が独自に発展できるよう支援。
 ・持続可能な開発:長期的な自立を前提とした協力。
 ・地政学的対立を回避:発展ニーズに基づく実用的な支援。

 5. 宇宙技術の多極化と自主性の向上

 ・発展途上国が技術開発の主導権を握る動きが加速。
 ・宇宙開発が「先進国のみの領域」ではなくなりつつある。
 ・Song Zhongping氏:「宇宙は裕福な国々だけのものではない」と指摘。
 ・技術の多極化と民主化が進み、技術覇権が崩れつつある。

 6. 結論

 ・欧米は技術覇権を維持しようとするのではなく、開放的・包摂的な技術協力を行うべき。
 ・中国とアフリカの宇宙協力は、発展途上国が自主的に技術発展を遂げるための重要な基盤を提供している。

【引用・参照・底本】

China-Africa space co-op shows tech’s multipolarization, democratization trends GT 2025.02.13
https://www.globaltimes.cn/page/202502/1328400.shtml

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