バイデン元大統領:ホワイトハウス退任後初となる主要演説 ― 2025年04月16日 18:39
【概要】
2025年4月15日、米国の元大統領ジョー・バイデンは、シカゴで開催された障害者支援団体の会議において、ホワイトハウス退任後初となる主要演説を行った。この演説の中でバイデン氏は、後任のドナルド・トランプ大統領による政府改革の進め方を厳しく批判し、特に社会保障制度(Social Security)への影響に警鐘を鳴らした。
バイデン氏は演説の中で、「この政権はわずか100日足らずで甚大な損害をもたらした。その早さには目を見張るものがある」と述べ、トランプ政権下での政策変更が社会保障局(Social Security Administration)に与えた影響を強調した。同氏は、同局から7,000人の職員が排除されたとし、これを「斧で切り込むようなやり方」と表現した。
トランプ大統領とその側近である実業家イーロン・マスク氏は、「政府効率化省(Department of Government Efficiency)」と称する取り組みの一環として、人員削減などの改革を進めている。これにより、バイデン氏によれば、社会保障制度のウェブサイトは機能不全に陥っており、高齢者や障害者が必要な給付を受け取る際の障害になっているという。
社会保障制度は、6,500万人以上の米国人にとって生活の基盤となっており、ワシントンでは「政治の第三のレール」とも称される敏感な問題である。バイデン氏は、「多くのアメリカ人は、社会保障がなければ食料を買うことすらできない」「給付が唯一の収入源であり、それが削減されたり失われたりすれば、数百万人にとって壊滅的な影響がある」と述べた。
また、バイデン氏はトランプ政権の商務長官で元ヘッジファンドマネージャーのハワード・ルトニック氏を名指しで批判した。ルトニック氏は、最近の発言で「詐欺師は支給漏れの小切手には文句を言うが、自分の義母については何も言わない」と述べており、バイデン氏はこれに対して、「94歳で一人暮らしをしている母親には、億万長者の家族などいない」と反論した。
バイデン氏はこの演説で青いスーツとネクタイを着用し、アメリカ国旗の前に立って約30分間にわたり発言した。82歳となった同氏には加齢による様子も見られたが、それが再選出馬断念の理由であったとされている。
一方、トランプ大統領はバイデン氏の冗長なエピソードの一部を編集した動画をコメントなしでSNSに投稿し、間接的に皮肉を込めた反応を示した。
【詳細】
ジョー・バイデン元米大統領は、大統領退任後初めての主要演説をシカゴで開催された障害者支援団体の会議(Advocates, Counselors, and Representatives for the Disabled)において行った。演説は約30分間にわたり、主に現政権による社会保障制度(Social Security)への影響について述べられた。
演説の主題:社会保障制度の危機
バイデン氏は演説の冒頭で、現政権、すなわちドナルド・トランプ大統領の再任政権が、政権発足から100日も経たない短期間で「甚大な損害と破壊(damage and destruction)」をもたらしたと述べた。とくに社会保障制度への影響に焦点を当て、「斧(hatchet)」で切りつけるような政府改革が、数百万人の国民生活を脅かしていると警告した。
社会保障局(SSA)に対する影響
バイデン氏は、社会保障局(Social Security Administration)において約7,000人の職員が職を失ったと述べ、この職員削減が行政機能の低下を招いていると指摘した。この削減は、トランプ政権とその側近であるイーロン・マスク氏による「政府効率化省(Department of Government Efficiency)」構想の一環とされており、人員や予算の大幅な削減を通じて連邦政府のスリム化を図っている。
この影響により、バイデン氏は社会保障のウェブサイトが頻繁にクラッシュしており、高齢者や障害者が自らの給付情報を確認したり、必要な支援を受けるための申請を行うことが困難になっていると述べた。
社会保障制度の重要性と国民生活への影響
社会保障制度は、米国内で6,500万人以上の人々が利用しており、その多くが年金や障害手当などを受給している。バイデン氏は、「多くのアメリカ国民は、社会保障によって食料を購入し、日々の生活を維持している」と述べ、給付の削減や停止がもたらす影響の深刻さを強調した。
「これらの受給者にとって、社会保障は唯一の収入源であり、それが削減されるか失われることは、数百万人にとって壊滅的である」と語った。
トランプ政権の高官に対する言及
バイデン氏はまた、トランプ政権の商務長官であるハワード・ルトニック氏を批判した。ルトニック氏は最近の発言で、「詐欺を働く者は支払いのない小切手に対して不満を言うが、自分の義母については何も言わない」と述べていた。これに対し、バイデン氏は「94歳で一人暮らしの母親には、億万長者の家族はいない」と述べ、ルトニック氏の認識のズレを指摘した。
バイデン氏の外見と現職大統領の反応
演説の際、バイデン氏は青のスーツとネクタイを着用し、アメリカ国旗の前に立っていた。現在82歳である同氏には加齢による様子も見られたが、昨年に大統領選への再出馬を断念したこととの関係が示唆されている。
この演説に対して、トランプ大統領は直接の言及を避けつつ、バイデン氏の冗長な語りの一部を編集した短い動画をSNSに投稿し、コメントを付けずに間接的な揶揄を示した。
総括
バイデン元大統領の演説は、社会保障制度に対する現政権の政策変更の影響に焦点を当てたものであり、制度に依存する高齢者や障害者の生活への配慮を求める内容であった。演説は、制度の維持が国民の生存に直結していることを訴えるものであり、同制度の政治的・社会的な重要性が強調された。
【要点】
1.演説の基本情報
・演説日:2025年4月15日(火)
・場所:イリノイ州シカゴ
・イベント:障害者支援団体(Advocates, Counselors, and Representatives for the Disabled)の会議
・バイデン氏にとって、大統領退任後初の主要演説である
・演説時間:約30分
2.主な発言内容と主張
(1)トランプ政権への批判
・現政権(トランプ再任政権)の100日以内の政策が「甚大な損害と破壊」をもたらしていると述べた
・特に社会保障制度(Social Security)に対する急激な改革に懸念を示した
・「彼らは社会保障局に斧を振るい、7,000人の職員を排除した」と述べた
(2)社会保障制度の機能低下
・トランプ政権と側近のイーロン・マスクが進める「政府効率化省(Department of Government Efficiency)」の下で人員削減が進められている
・この削減により、社会保障のウェブサイトが頻繁にダウンし、給付申請に支障が出ていると主張した
・行政サービスの低下が受給者に直接的な悪影響を及ぼしている
(3)社会保障の重要性と影響
・社会保障制度は6,500万人以上のアメリカ国民が利用している
・多くの受給者は社会保障に依存して生活しており、「食料を買うため」「日々を過ごすため」の唯一の収入源である
・この制度が削減または停止されれば、「数百万人にとって壊滅的な結果をもたらす」と述べた
(4)トランプ政権高官の発言への反論
・商務長官ハワード・ルトニックが「詐欺師は小切手が届かないと文句を言うが、義母については言わない」と述べたことを紹介
・これに対し、「94歳で一人暮らしをしている母親には億万長者の親族などいない」として、この発言を現実離れしていると批判した
2.その他の要素
・バイデン氏は青いスーツとネクタイを着用し、米国旗の前で演説を行った
・加齢による兆候も見られたが、演説自体は明確な主張に基づいていた
・トランプ大統領はバイデン氏の演説の一部を切り抜いた動画をコメント無しでSNSに投稿し、間接的に揶揄した
【引用・参照・底本】
Biden blasts Trump 'destruction' in first post-presidency speech FRANCE24 2024.04.16
https://www.france24.com/en/americas/20250416-biden-blasts-trump-destruction-first-post-presidency-speech-social-security-musk-doge?utm_medium=email&utm_campaign=newsletter&utm_source=f24-nl-quot-en&utm_email_send_date=%2020250416&utm_email_recipient=263407&utm_email_link=contenus&_ope=eyJndWlkIjoiYWU3N2I1MjkzZWQ3MzhmMjFlZjM2YzdkNjFmNTNiNWEifQ%3D%3D
2025年4月15日、米国の元大統領ジョー・バイデンは、シカゴで開催された障害者支援団体の会議において、ホワイトハウス退任後初となる主要演説を行った。この演説の中でバイデン氏は、後任のドナルド・トランプ大統領による政府改革の進め方を厳しく批判し、特に社会保障制度(Social Security)への影響に警鐘を鳴らした。
バイデン氏は演説の中で、「この政権はわずか100日足らずで甚大な損害をもたらした。その早さには目を見張るものがある」と述べ、トランプ政権下での政策変更が社会保障局(Social Security Administration)に与えた影響を強調した。同氏は、同局から7,000人の職員が排除されたとし、これを「斧で切り込むようなやり方」と表現した。
トランプ大統領とその側近である実業家イーロン・マスク氏は、「政府効率化省(Department of Government Efficiency)」と称する取り組みの一環として、人員削減などの改革を進めている。これにより、バイデン氏によれば、社会保障制度のウェブサイトは機能不全に陥っており、高齢者や障害者が必要な給付を受け取る際の障害になっているという。
社会保障制度は、6,500万人以上の米国人にとって生活の基盤となっており、ワシントンでは「政治の第三のレール」とも称される敏感な問題である。バイデン氏は、「多くのアメリカ人は、社会保障がなければ食料を買うことすらできない」「給付が唯一の収入源であり、それが削減されたり失われたりすれば、数百万人にとって壊滅的な影響がある」と述べた。
また、バイデン氏はトランプ政権の商務長官で元ヘッジファンドマネージャーのハワード・ルトニック氏を名指しで批判した。ルトニック氏は、最近の発言で「詐欺師は支給漏れの小切手には文句を言うが、自分の義母については何も言わない」と述べており、バイデン氏はこれに対して、「94歳で一人暮らしをしている母親には、億万長者の家族などいない」と反論した。
バイデン氏はこの演説で青いスーツとネクタイを着用し、アメリカ国旗の前に立って約30分間にわたり発言した。82歳となった同氏には加齢による様子も見られたが、それが再選出馬断念の理由であったとされている。
一方、トランプ大統領はバイデン氏の冗長なエピソードの一部を編集した動画をコメントなしでSNSに投稿し、間接的に皮肉を込めた反応を示した。
【詳細】
ジョー・バイデン元米大統領は、大統領退任後初めての主要演説をシカゴで開催された障害者支援団体の会議(Advocates, Counselors, and Representatives for the Disabled)において行った。演説は約30分間にわたり、主に現政権による社会保障制度(Social Security)への影響について述べられた。
演説の主題:社会保障制度の危機
バイデン氏は演説の冒頭で、現政権、すなわちドナルド・トランプ大統領の再任政権が、政権発足から100日も経たない短期間で「甚大な損害と破壊(damage and destruction)」をもたらしたと述べた。とくに社会保障制度への影響に焦点を当て、「斧(hatchet)」で切りつけるような政府改革が、数百万人の国民生活を脅かしていると警告した。
社会保障局(SSA)に対する影響
バイデン氏は、社会保障局(Social Security Administration)において約7,000人の職員が職を失ったと述べ、この職員削減が行政機能の低下を招いていると指摘した。この削減は、トランプ政権とその側近であるイーロン・マスク氏による「政府効率化省(Department of Government Efficiency)」構想の一環とされており、人員や予算の大幅な削減を通じて連邦政府のスリム化を図っている。
この影響により、バイデン氏は社会保障のウェブサイトが頻繁にクラッシュしており、高齢者や障害者が自らの給付情報を確認したり、必要な支援を受けるための申請を行うことが困難になっていると述べた。
社会保障制度の重要性と国民生活への影響
社会保障制度は、米国内で6,500万人以上の人々が利用しており、その多くが年金や障害手当などを受給している。バイデン氏は、「多くのアメリカ国民は、社会保障によって食料を購入し、日々の生活を維持している」と述べ、給付の削減や停止がもたらす影響の深刻さを強調した。
「これらの受給者にとって、社会保障は唯一の収入源であり、それが削減されるか失われることは、数百万人にとって壊滅的である」と語った。
トランプ政権の高官に対する言及
バイデン氏はまた、トランプ政権の商務長官であるハワード・ルトニック氏を批判した。ルトニック氏は最近の発言で、「詐欺を働く者は支払いのない小切手に対して不満を言うが、自分の義母については何も言わない」と述べていた。これに対し、バイデン氏は「94歳で一人暮らしの母親には、億万長者の家族はいない」と述べ、ルトニック氏の認識のズレを指摘した。
バイデン氏の外見と現職大統領の反応
演説の際、バイデン氏は青のスーツとネクタイを着用し、アメリカ国旗の前に立っていた。現在82歳である同氏には加齢による様子も見られたが、昨年に大統領選への再出馬を断念したこととの関係が示唆されている。
この演説に対して、トランプ大統領は直接の言及を避けつつ、バイデン氏の冗長な語りの一部を編集した短い動画をSNSに投稿し、コメントを付けずに間接的な揶揄を示した。
総括
バイデン元大統領の演説は、社会保障制度に対する現政権の政策変更の影響に焦点を当てたものであり、制度に依存する高齢者や障害者の生活への配慮を求める内容であった。演説は、制度の維持が国民の生存に直結していることを訴えるものであり、同制度の政治的・社会的な重要性が強調された。
【要点】
1.演説の基本情報
・演説日:2025年4月15日(火)
・場所:イリノイ州シカゴ
・イベント:障害者支援団体(Advocates, Counselors, and Representatives for the Disabled)の会議
・バイデン氏にとって、大統領退任後初の主要演説である
・演説時間:約30分
2.主な発言内容と主張
(1)トランプ政権への批判
・現政権(トランプ再任政権)の100日以内の政策が「甚大な損害と破壊」をもたらしていると述べた
・特に社会保障制度(Social Security)に対する急激な改革に懸念を示した
・「彼らは社会保障局に斧を振るい、7,000人の職員を排除した」と述べた
(2)社会保障制度の機能低下
・トランプ政権と側近のイーロン・マスクが進める「政府効率化省(Department of Government Efficiency)」の下で人員削減が進められている
・この削減により、社会保障のウェブサイトが頻繁にダウンし、給付申請に支障が出ていると主張した
・行政サービスの低下が受給者に直接的な悪影響を及ぼしている
(3)社会保障の重要性と影響
・社会保障制度は6,500万人以上のアメリカ国民が利用している
・多くの受給者は社会保障に依存して生活しており、「食料を買うため」「日々を過ごすため」の唯一の収入源である
・この制度が削減または停止されれば、「数百万人にとって壊滅的な結果をもたらす」と述べた
(4)トランプ政権高官の発言への反論
・商務長官ハワード・ルトニックが「詐欺師は小切手が届かないと文句を言うが、義母については言わない」と述べたことを紹介
・これに対し、「94歳で一人暮らしをしている母親には億万長者の親族などいない」として、この発言を現実離れしていると批判した
2.その他の要素
・バイデン氏は青いスーツとネクタイを着用し、米国旗の前で演説を行った
・加齢による兆候も見られたが、演説自体は明確な主張に基づいていた
・トランプ大統領はバイデン氏の演説の一部を切り抜いた動画をコメント無しでSNSに投稿し、間接的に揶揄した
【引用・参照・底本】
Biden blasts Trump 'destruction' in first post-presidency speech FRANCE24 2024.04.16
https://www.france24.com/en/americas/20250416-biden-blasts-trump-destruction-first-post-presidency-speech-social-security-musk-doge?utm_medium=email&utm_campaign=newsletter&utm_source=f24-nl-quot-en&utm_email_send_date=%2020250416&utm_email_recipient=263407&utm_email_link=contenus&_ope=eyJndWlkIjoiYWU3N2I1MjkzZWQ3MzhmMjFlZjM2YzdkNjFmNTNiNWEifQ%3D%3D