「一帯一路」と日本2024年03月27日 21:44

国立国会図書館デジタルコレクション「柳街梨園全盛花一対 中川・中むら芝翫 (柳街梨園全盛花一対)」を加工して作成
 この新刊『“一帯一路”推進過程における日本の役割分析』は、中国社会科学院日本研究所の楊伯江所長を含む10人の研究者によって執筆された。この書籍は、『“一帯一路”推進プロセスにおける日本ファクター』という2016年の姉妹編を補完する形で出版された。

 この新刊は、日本や東南アジア諸国を含む実地調査に基づき、『シルクロード経済ベルト』、『海上シルクロード』、そして新たに『氷上シルクロード』という概念を導入し、日本版の『自由で開かれたインド太平洋(FOIP)』構想に焦点を当てた分析を行っている。

 楊伯江所長は、日本の重要性を強調し、「一帯一路」における日本の姿勢と政策は国際的に注目されていると述べている。彼はさらに、日本の役割を複合的なモデルとして捉え、単一ではなく競争と協力を両立させることが重要であると指摘している。そして、日本が建設的な役割を果たすことが、中日両国の利益になると述べている。

 学術シンポジウムでは、中日関係が今後も協力と競争の両方が存在する状況が続くという見解が示され、競争が激しくなる一方で協力もトレンドとして重要であるとの意見が出された。

 また、『一帯一路』共同建設イニシアティブは提唱から10年が経過し、中国と他の国や国際機関との協力は拡大している。日本との関係では、多分野にわたる二国間経済協力や第三国市場での協力強化が行われている。そして、中国政府が発表した白書によれば、共同建設国との貿易総額は増加し、相互投資額も増加している。

 これらの要素から、日本と「一帯一路」イニシアティブの関係は今後も重要であり、両国の協力と競争が共存し、地域の安定と繁栄に寄与する可能性があると見られている。

【視点】

書籍名:『“一帯一路”推進過程における日本の役割分析』(楊伯江・劉瑞等著、中国社会科学出版社)

出版日:2024年3月

内容:
8章と付属データから成る382ページ
日本や東南アジア諸国などでの実地調査に基づく
研究者10人が共同執筆

中米の駆け引きのエスカレートを背景に、東南アジア、南アジア、中央アジアから「シルクロード経済ベルト」「海上シルクロード」「氷上シルクロード」へと研究範囲を拡大

日本版「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」構想に対し踏み込んだ分析

主要な指摘:
日本の役割は多面的
単独方向よりも多方向
単一よりも多様
支持か反対かという単純明快なものよりも競争と協力を併用
日本が建設的な役割を果たすことの重要性
中日両国が共に良い外部環境を構築するのに有利
地域の安定と繁栄を促進する
より公正で合理的な国際秩序を構築する

今後の中日関係

複雑な国際情勢を背景に「協力と競争が併存し、競争しながら協力する」状況が続くだろう。

競争は激しくなるが、その一方で協力もトレンド

その他:

「一帯一路」共同建設イニシアチブは昨年で提唱から10年
中国は151の国と32の国際機関と協力文書200件余りに調印
日本との間では、19年6月に多分野における二国間経済協力および第三国市場での協力強化で合意
13~22年の中国と「一帯一路」共同建設国の貿易総額は累計19兆1000億ドル
共同建設国との相互投資額は累計3800億ドルを超

・中国社会科学院日本研究所の楊伯江所長の新刊『“一帯一路”推進過程における日本の役割分析』が出版

・同書は2016年の『“一帯一路”推進プロセスにおける日本ファクター』の姉妹編
研究者10人が共同執筆

・東南アジア、南アジア、中央アジアから「シルクロード経済ベルト」「海上シルクロード」「氷上シルクロード」へと研究範囲を拡大

・日本版「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」構想に対し踏み込んだ分析

・楊所長は日本の役割を多方向、多様、競争と協力を併用する多重複合型のモデルと分析

・日本が建設的な役割を果たすことは中日関係、地域の安定と繁栄、国際秩序構築に有利

・新刊発表会後には全国の学者参加の学術シンポジウム開催

・中日関係は今後も「協力と競争が併存し、競争しながら協力する」状況が続くと指摘

・競争は激しくなる一方、協力もトレンド

・書籍情報

タイトル:『“一帯一路”推進過程における日本の役割分析』
著者:楊伯江、劉瑞等
出版社:中国社会科学出版社
ページ数:382ページ
構成:8章と付属データ

・研究内容

日本や東南アジア諸国などでの実地調査に基づき、日本が「一帯一路」にどのように関与しているかを分析

特に、日本版「FOIP」構想と「一帯一路」の関係に焦点を当て、両構想の競合と協力の可能性を探る

・楊所長の分析

日本の「一帯一路」への関与は、単一方向ではなく多方向、単一ではなく多様、支持か反対かではなく競争と協力を併用する多重複合型のモデル

日本が建設的な役割を果たすことは、中日関係の改善、地域の安定と繁栄、より公正で合理的な国際秩序の構築に有利

・学術シンポジウム

中日関係は今後も「協力と競争が併存し、競争しながら協力する」状況が続くと指摘

競争は激しくなる一方、協力もトレンド゜

詳細な議論内容は書籍やシンポジウムの資料を参照

・中国社会科学院日本研究所の楊伯江所長は、2024年3月26日、北京市で開催された新刊発表会で、「日本は世界の主要経済国であり、中国の重要な隣国と主な協力パートナーでもある。『一帯一路』への日本の姿勢と政策はずっと高く注目されている」と述べた。

・新刊「“一帯一路”推進過程における日本の役割分析」(楊伯江・劉瑞等著、中国社会科学出版社)は、同研究所の2016年の「“一帯一路”推進プロセスにおける日本ファクター」の姉妹編として出版された。8章と付属データから成る382ページで、日本や東南アジア諸国などでの実地調査を踏まえ、研究者10人が共同で執筆しました。中米の駆け引きのエスカレートを背景に、研究範囲を東南アジア、南アジア、中央アジアから「シルクロード経済ベルト」「海上シルクロード」「氷上シルクロード」へと拡大し、日本版「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」構想に対し踏み込んだ分析が行われたことなどが特徴である。

・楊所長は、日本の「一帯一路」への関与について、単一方向ではなく多方向、単一ではなく多様、支持か反対かという単純明快な二元論ではなく競争と協力を併用する多重複合型のモデルをとっていると分析した。また、「日本が『一帯一路』推進プロセスで建設的な役割を果たすことは、中日両国が共に良い外部環境を構築し、地域の安定と繁栄を促進し、より公正で合理的な国際秩序を構築するのに有利だ」との見方を示した。

・新刊発表会の後には全国の学者が参加する学術シンポジウムが行われた。その中で、中日関係は複雑な国際情勢を背景に今後も「協力と競争が併存し、競争しながら協力する」という状況が続くだろうという指摘や、「総じて言えば、競争は激しくなるが、その一方で協力もトレンドだ」という声もあった。

・一帯一路共同建設イニシアチブの成果
「一帯一路」共同建設イニシアチブは昨年で提唱から10年が過ぎた。2023年1月時点で、中国は151の国と32の国際機関と協力文書200件余りに調印した。日本との間では、2019年6月に多分野における二国間経済協力および第三国市場での協力強化で合意した。また、中国政府が2023年10月に発表した白書によると、2013年から2022年までの中国と「一帯一路」共同建設国の貿易総額は累計19兆1000億ドル(1ドルは約148.8円)で、年平均成長率は6.4%に達し、共同建設国との相互投資額は累計3800億ドルを超えた。

・中国の学者たちは、日本が「一帯一路」に積極的に参加することで、中日関係の改善と地域の繁栄に貢献できると期待している。

引用・参照・底本

中国の学者 「一帯一路」の日本との関係性に着眼して新刊発表 CRI 2024.03.27

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