【概要】　

　この報告書は、トランプ政権が北朝鮮との関係において新たな目標を定義し、韓国との同盟を適切に管理する必要性を指摘している。特に、北朝鮮が核開発を進める中で、米国の目標が単に「非核化」にとどまらず、より現実的で柔軟なアプローチを模索すべきであるという点が強調されている。

　背景

　トランプ政権が2期目を迎えるにあたり、韓国半島を取り巻く戦略的な環境は前回政権時とは大きく異なっている。米中間の戦略的競争の激化、ロシアによるウクライナ侵攻、中国、ロシア、北朝鮮が形成する対抗的な安全保障ブロックが顕著となっている。北朝鮮は、核開発を進める一方で、外交政策を再調整し、米国との関係を断絶し、中国やロシアとの関係を深めている。このような変化は、米国が望む方向に沿った北朝鮮の対応を難しくしている。

　また、韓国では「核議論」が一時的に沈静化しているが、米国との同盟に対する不安感が高まる中で、この問題は再浮上する可能性がある。北朝鮮の新しい政策が韓国との統一に対するスタンスを変化させており、これが韓国の安全保障意識に影響を与えている。

　主要な課題
　
　1.大国間競争と東北アジアの安全保障ブロックの形成 米国、韓国、日本の安全保障協力が進む一方で、中国、北朝鮮、ロシアはその拡大に反発しており、双方の対立が深まっている。これにより、米国の東北アジアでの影響力が低下する一方で、北朝鮮はさらに自信を深めている。

　2.核に対する態度の変化 北朝鮮はすでに自国の核兵器開発を不可逆的なものとして憲法に明記しており、非核化の方向性を完全に放棄した。韓国でも核開発に対する議論が再燃する可能性があり、米国の同盟に対する信頼が揺らいでいる。

　3.韓国半島の現状維持の危機 北朝鮮は「二つの朝鮮」という政策を推進し、統一の方針を放棄した。これにより、韓国との領土問題や停戦協定の見直しが浮上しており、米国は将来的にこれにどう対処するかが問われる。

　政策提言

　1.北朝鮮に対する新たな目標の設定 トランプ政権は、北朝鮮との関係において、非核化だけに焦点を当てるのではなく、現実的な目標を設定するべきである。過去の非核化を中心としたアプローチでは、北朝鮮の態度が変わった現在、成功の見込みが低く、米国の戦略は柔軟で現実的でなければならない。

　2.韓国との調整と同盟の強化 韓国との連携を強化することが不可欠である。米国と韓国の間で政策の調整を密に行い、どちらかが一方的な行動を取ることがないようにすることが求められる。

　3.政治的リーダーシップの発揮 北朝鮮との長年の政策を変更することは、国内外での批判を招く可能性があるが、それを恐れずに政治的リーダーシップを発揮すべきである。トランプ政権は、北朝鮮に対して過去の政策に固執せず、新たなアプローチを試みることで、米国とその同盟国の利益を守るべきである。

　以上のように、トランプ政権は北朝鮮との関係を再定義し、韓国との強固な連携を維持しつつ、新たな戦略を模索する必要がある。

【詳細】

　2024年11月20日に発表されたもので、トランプ政権が次の任期で直面する可能性のある韓半島における核問題に関する戦略を扱っている。主に、北朝鮮の核開発、米韓同盟、そしてアメリカの戦略的なアプローチに関する課題について述べている。

　現在の状況と背景

　トランプ政権が引き継ぐ状況が、前回の任期から大きく変化していることを強調している。特に以下の点が挙げられている。

　1.大国間競争と安全保障ブロックの形成

　米国、中国、ロシア、そして北朝鮮を中心に、地域の安全保障環境は複雑化し、これまで以上に対立するブロックが形成されている。米国、韓国、日本が一つの安全保障ブロックを形成する一方で、北朝鮮、中国、ロシアは反対の立場を取るようになり、それぞれが互いに協力関係を強化している。

　2.北朝鮮の核とミサイル開発の進展

　北朝鮮は核開発を進め、これまでのアメリカとの交渉から脱却して、ロシアや中国との関係強化を図っている。このため、米国の圧力が北朝鮮に与える影響は減少し、北朝鮮はますます自らの核武装を正当化している。

　3.韓国における核問題の議論の再燃の可能性

　韓国では、北朝鮮の核脅威に対抗するために、独自の核兵器を持つべきかという議論が再燃している。特にトランプ政権が再登場した場合、アメリカの信頼性に対する懸念が韓国国内で強まる可能性がある。

　主な課題

　このような状況下でトランプ政権が直面する主な課題は以下の三つである。

　1.米中ロの三国同盟の進展

　中国、北朝鮮、ロシア間の協力関係は、アメリカの対北政策や対中政策への反発を強めている。特に北朝鮮とロシアの軍事協力が進み、10,000人以上の北朝鮮兵がウクライナ戦争に参加しているとの報告もある。これにより、米国は対北政策の再検討を迫られている。

　2.核問題に対する新たなアプローチ

　北朝鮮は核開発を恒久的な政策としており、その姿勢を憲法にも反映させている。この状況に対して、アメリカが従来の政策を維持した場合、北朝鮮との交渉はさらに難航する可能性が高い。また、韓国国内で核兵器保有をめぐる議論が再燃することも予想されている。

　3.朝鮮半島の現状維持の崩壊

　北朝鮮はこれまでの「平和的統一」の方針を放棄し、南北関係を敵対的に位置づけている。この状況は朝鮮戦争の休戦協定や南北境界線に関連する問題を引き起こす可能性があり、朝鮮半島全体に大きな影響を与える可能性がある。

　政策提言

　これらの課題に対応するための三つの政策提言を行っている。

　1.北朝鮮との新しい現実的な目標の設定

　アメリカは北朝鮮との関係において新しい現実的な目標を設定すべきである。従来の「非核化」目標が達成困難であることを踏まえ、北朝鮮の核保有を前提とした政策を検討する必要がある。この方針により、北朝鮮との新しい形の外交が模索される。

　2.韓国との協調と同盟の強化

　韓国との協調は非常に重要である。韓国がアメリカとの同盟関係に対する不安を抱いていることを考慮し、米国は韓国との密接な連携を通じて政策の整合性を確保することが求められる。この取り組みにより、双方の信頼を強化し、北朝鮮への対応策を一致させることが可能となる。

　3.政治的リーダーシップの発揮

　トランプ政権は北朝鮮に対する従来の政策を変えることに対する国内外の批判を覚悟し、新たなアプローチを取るべきである。過去にトランプは北朝鮮との交渉においてリスクを取ることで新たな外交の機会を生み出してきた。このような政治的リーダーシップを再度発揮し、変化する地政学的環境に対応する必要がある。

　結論

　北朝鮮の核問題や朝鮮半島の安全保障環境における新たな挑戦に直面するトランプ政権に対し、従来の戦略を見直し、新しい現実に対応したアプローチを採ることの重要性を強調している。特に米国と韓国の連携を強化し、北朝鮮との外交を再構築するための柔軟な対応が求められる時期である。
　
【要点】　

　1.背景と現状

　・米中ロ、北朝鮮の間で安全保障環境が複雑化。
　・北朝鮮は核開発を進め、ロシアや中国との協力強化。
　・韓国では北朝鮮の核脅威に対抗するため、独自の核兵器議論が再燃。

　2.主な課題

　・米中ロの三国同盟進展

　　⇨ ロシアと北朝鮮の軍事協力強化、ウクライナ戦争に北朝鮮兵が参加。

　・核問題に対する新たなアプローチ
　　
　　⇨ 北朝鮮の核開発が恒久的政策となり、アメリカの交渉が難航。

　3.朝鮮半島現状維持の崩壊

　・北朝鮮が「平和的統一」を放棄し、敵対的な立場を取る。

　4.政策提言

　・北朝鮮との現実的な目標設定
　　
　　⇨ 非核化から核保有前提の政策にシフト。

　・韓国との協調と同盟強化

　　⇨ 韓国との連携強化、政策の整合性確保。

　・政治的リーダーシップの発揮

　　⇨ トランプ政権が新たな外交アプローチを試みるべき。

　5.結論

　・新しい現実に対応したアプローチを採る必要があり、米韓連携強化と北朝鮮外交の再構築が重要。

【引用・参照・底本】

Move Past the Nuclear Impasse on the Korean Peninsula STIMSON 2024.11.20
https://www.stimson.org/2024/move-past-the-nuclear-impasse-on-the-korean-peninsula/?utm_source=Stimson+Center&utm_campaign=7fec792de1-38N-Digest%2FKorea%2F38NorthDigest_24+1104&utm_medium=email&utm_term=0_-7fec792de1-46298933

【概要】　

　2024年11月26日、NATO-ウクライナ評議会(NUC)の会合が開催され、ロシアが先週発射した実験用中距離弾道ミサイル(IRBM)に伴うウクライナの安全保障状況について議論が行われた。ウクライナの高官がビデオリンクを通じて評議会に状況を報告した。

　会合では、NATO加盟国がウクライナへの支援を再確認した。この攻撃は、ドニプロを標的としたものであり、ロシアがウクライナ市民を恐怖に陥れ、ウクライナを支援する勢力を威圧する試みの一環と見なされている。NATOのスポークスパーソンであるファラー・ダクララ氏は、「このような能力の展開は、紛争の流れを変えることも、NATO加盟国がウクライナを支援する意志を挫くこともない」と以前に述べている。

　NATO-ウクライナ評議会は、安全保障上の共通の懸念事項、特にロシアの侵略戦争に関する協議の場を提供するものである。この日の会合は、NATOの事務総長代理であるボリス・ルーゲ氏が議長を務めた。次回のNATO-ウクライナ評議会の会合は、12月3日から4日にかけて開催されるNATO外相会議の際に予定されている。　

【詳細】

　2024年11月26日に開催されたNATO-ウクライナ評議会(NUC)は、ウクライナの安全保障状況に関する重要な議論の場となった。この会合は、ロシアが先週発射した実験用中距離弾道ミサイル(IRBM)を受けて行われたものである。会合にはNATO加盟国の大使が参加し、ウクライナの軍事高官がビデオリンクを通じて最新の情報を提供した。

　ロシアによる今回のミサイル攻撃は、ウクライナ中部の都市ドニプロを標的としたものであり、市民に対する直接的な脅威と見なされている。この攻撃は、ロシアがウクライナ市民を恐怖に陥れ、同国を支援する国々や団体に対して威圧的なメッセージを送ろうとする一連の行動の一環と理解されている。NATO加盟国はこの状況を重く受け止め、ロシアの行動を強く非難するとともに、ウクライナへの揺るぎない支援を再確認した。

　NATOのスポークスパーソンであるファラー・ダクララ氏は、「ロシアが今回のミサイル能力を展開したとしても、紛争の進展に影響を与えることはできず、NATO加盟国のウクライナ支援の意志を挫くこともできない」と明言している。これにより、NATOはロシアの挑発的な行為に屈しない姿勢を再び強調した。

　NATO-ウクライナ評議会は、ウクライナとNATO加盟国が安全保障問題について協議する場として、重要な役割を果たしている。この評議会は、特にロシアの侵略戦争に関連する問題を中心に議論を行うための場として設けられている。今回の会合では、ウクライナの現状を評価するとともに、今後の支援や対応策について意見が交換された。

　この日の会合は、NATOの事務総長代理であるボリス・ルーゲ氏が議長を務め、議論を主導した。また、次回のNATO-ウクライナ評議会の会合は、2024年12月3日から4日にかけて行われるNATO外相会議の際に開催される予定であり、さらなる協議が行われる見込みである。この外相会議では、NATO加盟国とウクライナの間でより詳細な戦略や対応策について話し合われると予想される。
　
【要点】　

　・会合の開催日と目的

　2024年11月26日、NATO-ウクライナ評議会(NUC)が開催され、ロシアの実験用中距離弾道ミサイル(IRBM)発射を受けたウクライナの安全保障状況について協議。

　・参加者と議長

　NATO加盟国の大使とウクライナの軍事高官が参加し、NATO事務総長代理のボリス・ルーゲ氏が議長を務めた。

　・ロシアの攻撃内容

　ロシアが先週発射したIRBMがウクライナ中部のドニプロを標的とし、市民に恐怖を与えることを目的とした攻撃と見なされた。

　・NATO加盟国の対応

　NATOは、ロシアの行為を非難し、ウクライナへの支援を再確認。攻撃はロシアの挑発であり、支援の決意を揺るがすことはないと表明。

　・NATOスポークスパーソンの発言

　ファラー・ダクララ氏は、「ロシアの能力展開は紛争の流れを変えず、NATO加盟国のウクライナ支援を妨げることもできない」と強調。

　・NUCの役割

　NATO-ウクライナ評議会は、ウクライナとNATO加盟国が安全保障問題を協議する場であり、特にロシアの侵略戦争への対応が議論の中心。

　・次回の会合予定

　次回のNUC会合は、2024年12月3日から4日に予定されているNATO外相会議の際に開催予定。戦略や対応策についてさらなる協議が行われる見通し。

【引用・参照・底本】

NATO-Ukraine Council meets following Russia’s launch of intermediate-range ballistic missile NATO 2024.11.26
https://www.nato.int/cps/en/natohq/news_230832.htm?utm_medium=email&utm_campaign=NATO%20Update%20-%20week%2048&utm_content=NATO%20Update%20-%20week%2048+CID_c1587417097b17c78ea5b6c29107cc8f&utm_source=Email%20marketing%20software&utm_term=NATO-Ukraine%20Council%20meets%20following%20Russias%20launch%20of%20intermediate-range%20ballistic%20missile

【概要】　

　旧ソ連の構成国であったグルジア(ジョージア)では、親欧米派の若者らがEU加盟交渉の開始を要求し、「平和な」抗議活動を行っている。しかし、与党「グルジアの夢」の党首であるイラクリ・コバヒゼ氏は、ウクライナで発生したようなクーデターの再発を防ぐ必要があると述べている。

　一方で、抗議活動に参加する一部のグループは議事堂に火を放つなどの暴力的行為に及び、混乱が生じている。これに対し、治安維持部隊は放水車を用いてデモ隊の侵入を防止しているほか、機動隊が出動し、議会の制圧を目指す過激派の拘束を行っている。デモ参加者の中には火炎瓶を投げつける者もおり、事態はさらにエスカレートしている。

　サロメ・ズラビシビリ大統領は親欧米派を支持しており、国内の分断は深刻な状態に達している。これに対し、コバヒゼ首相はグルジアのEU加盟交渉開始を2028年末まで議題にしない方針を示し、EUからの補助金受け取りを拒否すると表明している。この方針は親欧米派の間で強い反発を招いている。

　さらに、2024年11月に実施された議会選挙では、与党「グルジアの夢」が過半数を獲得したが、野党側は不正があったと主張し、選挙のやり直しを求めている。国内情勢は依然として不安定であり、今後の展開が注目されている。

【詳細】

　現在、グルジア(ジョージア)では、EU加盟を巡る国内の対立が激化しており、情勢は極めて不安定である。以下に詳細な説明を行う。

　1. 抗議活動の背景と展開

　抗議活動は、EU加盟交渉の早期開始を求める親欧米派の若者らを中心に展開されている。彼らは「平和的」と称するデモを行っているが、活動が激化する中で一部の参加者が暴力的手段に訴える事態が発生している。例えば、議事堂に火を放つ行為や、機動隊への火炎瓶の投擲などが報告されている。このような暴力行為に対し、治安維持部隊は放水車や機動隊の出動で対処しており、デモ隊の一部を拘束するなどして混乱を抑えようとしている。

　2. 政府の対応と政策方針

　与党「グルジアの夢」の党首イラクリ・コバヒゼ氏は、こうした抗議活動を「ウクライナでのクーデターの再現を試みるもの」と非難し、強硬な姿勢を示している。また、コバヒゼ首相はEU加盟交渉の開始を2028年末まで棚上げする方針を明らかにしており、さらにEUからの補助金受け取りも拒否する姿勢を打ち出している。この政策は、親欧米派のみならずEU側からも懸念の声を招いている。

　3. 国内の分断と政治的緊張

　サロメ・ズラビシビリ大統領は、EU加盟を推進する親欧米派の立場を明確にしており、政府与党と対立している。この分断は、国内政治における緊張をさらに高めている。ズラビシビリ大統領はデモ隊の要求に共感を示す一方、政府の方針は反対側の立場を強調しており、結果として国民の間で深刻な対立を生んでいる。

　4. 選挙の疑惑と影響

　2024年11月に行われた議会選挙では、与党「グルジアの夢」が過半数を獲得し、引き続き政権を維持することとなった。しかし、野党は選挙に不正があったと主張し、選挙結果の無効化とやり直しを求めている。この選挙結果を巡る抗議が現在のデモの一因となっており、政治的な混乱をさらに助長している。

　5. 国際的な視点と影響

　EU側は、グルジアが加盟候補国となるためには民主主義や法の支配の強化が必要であると指摘しているが、政府の強硬姿勢はEU側の期待に応えるものではない。また、ロシアはグルジアにおける親欧米派の動きを警戒しており、これがウクライナのような対立構造につながる可能性があるとの見方もある。グルジアは地政学的に重要な位置にあるため、この情勢はEUやロシア、さらにはアメリカの関心を引いている。

　6. 将来の展望

　グルジア国内の政治的対立が続く中、抗議活動がさらに拡大する可能性がある。特に、政府の強硬姿勢が親欧米派の反発を増大させる場合、事態がウクライナ危機のような深刻な対立に発展する恐れが指摘されている。一方で、政府が交渉の場を設けるなど、何らかの妥協策を講じるかどうかも注目されている。

　この状況は、国内の政治的安定だけでなく、周辺地域や国際社会全体の安全保障や経済に影響を与える可能性が高い。
　
【要点】　

　1.抗議活動の発生

　・親欧米派の若者を中心に、EU加盟交渉の早期開始を求めるデモが発生。
　・「平和的」と主張されるが、一部の参加者が議事堂に放火、火炎瓶投擲など暴力的行為を行う。
　・治安維持部隊が放水車や機動隊を投入し、デモ隊の拘束を実施。

　2.政府の対応

　・与党「グルジアの夢」のイラクリ・コバヒゼ党首は、ウクライナのクーデター再現を防ぐ必要があると主張。
　・EU加盟交渉の開始を2028年末まで棚上げし、EUからの補助金受け取りを拒否する方針を表明。

　3.国内の分断

　・サロメ・ズラビシビリ大統領は親欧米派を支持し、政府与党と対立。
　・国民の間で親欧米派と政府支持派の分断が深刻化。

　4.選挙の疑惑

　・2024年11月の議会選挙で与党が過半数を獲得したが、野党は選挙不正を主張し、やり直しを要求。
　・この選挙結果を巡る不満が抗議活動の背景となる。

　5.国際的な影響

　・EUは民主主義や法の支配の強化を要求しているが、政府の強硬路線は期待に反するものと評価される。
　・ロシアは親欧米派の動きを警戒し、地域の安定への影響を懸念。
　・グルジアの地政学的重要性から、EU、ロシア、アメリカの注目が集まる。

　6.将来の懸念

　・政府の強硬姿勢が抗議活動をさらに激化させる可能性がある。
　・対立が深まると、ウクライナ危機のような事態に発展する恐れ。
　・妥協策の有無や国際社会の対応が重要な分岐点となる。

【引用・参照・底本】

グルジア、第二のウクライナとなるか sputnik 日本 2024.12.01
https://sputniknews.jp/20241201/19369799.html

【桃源寸評】

　斯様な米国(トランプ)の脅しに屈しているようでは、BRICSの先が見える。

【寸評　完

【概要】　
　
　2024年12月1日、ドナルド・トランプ氏が自身のSNS「Truth Social」でBRICS諸国による新通貨創設の可能性について警告を発した。彼は、BRICS諸国が米ドルから離れ、新しい通貨を採用しようとする動きを強く批判し、以下のように述べた。

「我々が傍観している間にBRICS諸国がドルから離れようとするという考えはもう終わりだ。我々はこれらの国々に対し、新しいBRICS通貨を創設したり、強力な米ドルに代わる他の通貨を支援したりしないという約束を求める。さもなければ、100%の関税に直面し、素晴らしい米国経済への展開に別れを告げることとなる。」

　また、トランプ氏は、国際貿易において米ドルに取って代わろうとする国は、米国との経済的関係を失うことになると警告した。この発言は、BRICS諸国の通貨政策が米国経済に及ぼす潜在的な影響について懸念を示したものと解釈される。

　一方、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、BRICS共通通貨の創設について議論するのは時期尚早であると述べている。プーチン大統領は、現時点では共通通貨の導入を目指していないとし、その理由として加盟国間のさらなる統合と構造的類似性が必要であることを挙げた。

　ロシアの貿易のうち3分の2はすでに各国の現地通貨で決済されており、BRICS諸国間の取引ではその比率が88％に達している。この状況からも、BRICS諸国間でのドル依存からの脱却が進行中であることが窺える。

【詳細】

　ドナルド・トランプ氏の発言は、BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)が新通貨を導入する可能性への懸念と、それに対する強硬な対応策を表明したものである。彼は、BRICS諸国が米ドルを基軸通貨から外し、新たな通貨を採用する動きを、米国にとって受け入れがたい挑戦と位置づけた。この動きに対し、トランプ氏は100％の関税を課すことで対抗しようとしている。以下、その背景と影響について詳述する。

　トランプ氏の発言の詳細

　トランプ氏は「我々が傍観している間にBRICS諸国がドルから離れようとするという考えはもう終わりだ」と述べ、米国政府が何ら対策を取らない状況を批判し、新通貨を創設する国々への制裁を求めた。具体的には、BRICS諸国に対し、新通貨の採用やドルの代替通貨の支持をやめるよう圧力をかける必要があると主張した。また、新通貨導入を推進する国々には「素晴らしい米国経済への展開に別れを告げる」ことになるとして、経済的な孤立化を示唆した。

　BRICS諸国のドル依存脱却の現状

　BRICSはすでに国際貿易におけるドル依存を減らす取り組みを進めている。具体例として以下の点が挙げられる。

　1.各国通貨による貿易決済の拡大

　・ロシアの貿易総額の約3分の2は、各国通貨(ルーブル、人民元、ルピーなど)で決済されている。特に、BRICS諸国間の貿易では、この比率が88％に達しており、ドルの役割が縮小していることが明確である。

　2.人民元の台頭

　・中国人民元がBRICS諸国内での主要な決済通貨として機能している。特に、ロシアと中国間の貿易では人民元が主要通貨となっており、中国が経済的主導権を握る動きが見られる。

　3.経済圏の拡大と協力強化

　・BRICSは新興国経済を中心に加盟国を増やす方針を示しており、近年ではサウジアラビアやアルゼンチンなどの新規加盟が議論されている。これにより、経済圏の規模を拡大し、独自の金融システムの構築を目指している。

　プーチン大統領の発言と現実的課題

　これに対して、ロシアのプーチン大統領は、新通貨創設について「時期尚早」との見解を示している。理由として以下が挙げられる。

　1.加盟国間の経済統合の不十分さ

　・BRICS加盟国はそれぞれ異なる経済規模、インフレ率、通貨政策を持ち、単一通貨の採用に必要な経済的な統一性が不足している。これが、共通通貨創設の大きな障壁となっている。

　2.信頼性と安定性の課題

　・新通貨を国際貿易で使用するためには、通貨の信頼性と価格安定性が必要である。しかし、BRICS諸国の中には政治的・経済的な不安定要因を抱える国もあり、新通貨の成功にはこれらの問題を克服する必要がある。

　米国への影響とトランプ氏の対応の意図

　トランプ氏の主張は、BRICSによるドルからの離脱が米国経済に深刻な影響を及ぼすとの認識に基づいている。ドルが基軸通貨としての地位を失えば、以下のような影響が考えられる：

　1.ドルの需要減少と価値の下落

　・国際貿易におけるドル需要が減少すれば、ドルの価値が下落し、米国の輸入コストが増大する可能性がある。

　2.経済的優位性の喪失

　・ドルが基軸通貨としての地位を失うことで、米国が享受してきた金融的な優位性(低金利借り入れや経済制裁の効果的行使)が損なわれる可能性がある。
トランプ氏の「100%の関税」という強硬な対策は、これらのリスクを未然に防ぎ、BRICS諸国の動きを抑制する意図があると考えられる。

　結論

　BRICSによる新通貨創設の議論は、現時点で実現には至っていないが、ドル依存の低下という動きは着実に進行している。トランプ氏の発言は、米国がこの状況を軽視すべきでないという警鐘であり、今後の国際通貨体制を巡る議論において重要な焦点となる可能性がある。BRICS諸国が経済的な統合をさらに深化させるか、また米国がどのように対応するかは、世界経済の将来を大きく左右する要因である。
　
【要点】　
　
　トランプ氏の発言の要点

　・BRICSが新通貨を創設し、ドルに代わる動きを進めることを強く批判。
　・BRICS諸国に対し、新通貨やドル代替通貨を支援しないことを求める。
　・要求が受け入れられない場合、100％の関税を課すと警告。
　・国際貿易でドルに取って代わろうとする国は、米国との経済的関係を失うと主張。

　BRICS諸国のドル依存脱却の現状

　1.各国通貨決済の拡大

　・ロシアの貿易総額の約3分の2は現地通貨で決済。
　・BRICS諸国間の貿易では88％が各国通貨で決済。

　2.人民元の利用増加

　・中国人民元がBRICS内で主要な決済通貨となっている。

　3.BRICSの拡大方針

　・サウジアラビアやアルゼンチンなどの加盟が議論中。

　プーチン大統領の発言と課題

　1.「時期尚早」との見解

　・加盟国間の経済統合が不十分で共通通貨の創設は困難。
　・経済規模や通貨政策の違いが障壁。

　2.通貨の信頼性と安定性の不足

　・政治的・経済的に不安定な加盟国も存在する。
　
　米国への影響と懸念

　1.ドルの需要減少と価値下落

　・基軸通貨の地位を失えば、ドルの価値が下がるリスク。

　2.経済的優位性の喪失

　・国際金融の支配力や低金利借り入れの特権が失われる可能性。

　3.トランプ氏の対策の意図

　・100％の関税でBRICS諸国の動きを抑制。
　・米国経済への悪影響を未然に防ぐ狙い。

　結論

　・BRICSのドル依存脱却は進行中だが、共通通貨創設には課題が多い。
　・トランプ氏の発言は、米国が基軸通貨体制の変化に迅速に対応する必要性を示唆。
　・今後、BRICSの動向と米国の対応が国際経済の行方を左右する。

【引用】

　「我々が傍観している間にBRICS諸国がドルから離れようとするという考えはもう終わりだ。我々はこれらの国々に対し、新しいBRICS通貨を創設したり、強力な米ドルに代わる他の通貨を支援したりしないという約束を求める。さもなければ、100%の関税に直面し、素晴らしい米国経済への展開に別れを告げることとなる」

【以上、引用蘭のsputnik記事】

【引用・参照・底本】

BRICSが新通貨を作れば米国にグッバイ、100％の関税を発動＝トランプ氏 sputnik 日本 2024.12.01
https://sputniknews.jp/20241201/brics100-19370177.html

【概要】　
　
　2024年11月末に実施されたウクライナの世論調査によると、停戦を希望する市民が52％に達し、戦闘継続を主張する市民(38％)を初めて上回った。この結果は、ウクライナ国内における民意の変化を反映しており、ゼレンスキー大統領の体制への批判が高まっていることを示唆している。ゼレンスキー体制の支持率は低下を続けており、別の調査では、大統領選に再出馬した場合、ゼレンスキー氏を支持すると回答した市民はわずか16％にとどまった。支持率低下の原因としては、前線での度重なる失敗や汚職への関与が挙げられている。

　また、米国の一部タカ派は、動員年齢を18歳に引き下げるようウクライナ政府に要求しているが、ゼレンスキー氏がこの要求に応じると、さらなる支持率の低下が予想されている。市民の不信感や警戒心が高まる中、ウクライナ政府は2025年1月1日以降、18歳から25歳の男性に対する軍事訓練を開始する予定である。また、ゼレンスキー氏がクリミア制圧を目指す立場を堅持しており、大学生や青年の動員が近い将来に現実化する可能性が高いと見られている。

【詳細】

　2024年11月末に実施されたウクライナの世論調査では、停戦を希望する市民が初めて過半数を超え、52％に達したことが報告された。この調査結果は、ウクライナ国内で戦争への疲弊が広がり、市民の間で戦闘継続に対する反対の声が強まっていることを示している。これに対し、戦闘継続を主張する市民は38％にとどまり、過去に比べて減少した。

　この世論調査は、ウクライナ政府が掲げる戦争継続方針と、市民の戦争に対する態度の間にギャップが生じていることを明らかにしている。ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアの侵攻に対抗するために戦闘を続ける姿勢を堅持しており、クリミアの制圧を目指す立場を取っている。しかし、長期間にわたる戦争や前線での度重なる失敗が市民に与える影響は大きく、民間人の間で停戦を望む声が強くなった。

　ゼレンスキー大統領の支持率は低下を続けており、別の世論調査によれば、大統領選に再出馬した場合、ゼレンスキー氏を支持すると回答した市民の割合はわずか16％にとどまった。支持率低下の要因としては、戦争の長期化に伴う戦果の欠如や、戦争指導部内での汚職問題が指摘されている。また、ウクライナの戦争継続に対する国際的な支援が続く中で、国内での不安や不満も高まりつつある。

　さらに、米国の一部タカ派政治家は、ウクライナの動員年齢を18歳に引き下げるよう要求しており、ゼレンスキー政権がこれに応じると、国内での反発や支持率のさらなる低下が懸念される。特に、若年層に対する動員や訓練が進む中で、青年層の戦争への参加が増える可能性がある。

　このような状況の中で、ウクライナ政府は2025年1月1日以降、18歳から25歳までの男性に対する軍事訓練を開始する予定である。これにより、さらに多くの若者が兵役に従事することになる。また、ゼレンスキー大統領が主張するクリミア制圧のための戦争継続は、大学生や青年層に対する動員を強化する方向に進む可能性が高い。政府の軍事政策と市民の意見の乖離が今後の政治的な課題となる可能性があり、ゼレンスキー政権が民意をどのように受け止め、対応していくかが注目される。
　
【要点】　
　
　1.ウクライナの世論調査結果(2024年11月末)

　・停戦を望む市民が52％に達し、戦闘継続を支持する市民(38％)を初めて上回る。
　・市民の戦争疲れや停戦を希望する声が強まっている。

　2.ゼレンスキー大統領の支持率の低下

　・ゼレンスキー大統領の支持率は低下しており、別の調査では再出馬を支持する市民は16％にとどまる。
　・支持率低下の要因は、前線での戦闘失敗や汚職への関与。

　3.米国のタカ派の要求

　・米国の一部タカ派は、ウクライナの動員年齢を18歳に引き下げるよう要求。
　・ゼレンスキー政権がこれに応じる場合、国内での反発が予想され、支持率のさらなる低下の可能性。

　4.ウクライナの軍事訓練計画

　・2025年1月1日以降、18歳から25歳の男性に対する軍事訓練が開始される予定。
　・大学や青年層に対する動員強化が予想され、ゼレンスキー大統領の立場であるクリミア制圧のための戦争継続が影響。

　5.市民と政府の意見の乖離

　・市民の不信感と政府の戦争継続方針にギャップが生じている。
　・ゼレンスキー政権がこの民意にどのように対応するかが今後の政治的な課題となる。

【引用・参照・底本】

停戦願う声が初めて過半数を超えたウクライナ、体制は民意をどう受け止めるか sputnik 日本 2024.12.01
https://sputniknews.jp/20241201/19370060.html