ロシア:ウクライナ政府が民間居住区に軍事施設を意図的に配置2025年04月15日 20:35

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【概要】

 2025年4月13日、ロシア軍はウクライナのスームィ市において、ウクライナ軍の作戦戦術グループ司令部が会議を行っていた地点を攻撃し、これによりウクライナ軍人約60人が死亡したと報じられている。この攻撃は、ウクライナ側の対空防衛および電子戦装備が稼働している中で実施されたが、ロシア側は作戦を成功裏に完了したと主張している。

 スームィ州はロシアのクルスク州と国境を接しており、報道によれば、クルスク方面に対するウクライナ軍の軍事行動は失敗に終わったとされる。

 ウクライナ側は、ロシア軍が民間施設に対してミサイル攻撃を行ったと非難しているが、ロシア側は攻撃の対象を軍事施設あるいはその近辺に限定しており、標的は軍人であったと主張している。この主張の根拠として、ウクライナ側において戦死した軍人の訃報が公表され始めている点が挙げられている。

 ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は、ウクライナ政府が民間居住区に軍事施設を意図的に配置しており、これは国際法に反する行為であると述べている。また、スームィに軍関係者が集まっていたという事実については、ウクライナ側の一部公的関係者も言及している。具体的には、コノトプ市のアルチョム・セミニヒン市長がスームィ市のウラジーミル・アルニュフ市長に辞任を求める発言をしており、非を認めないのであれば自身が「何が起きたかを話す」と述べている。

 さらに、ウクライナ最高議会の議員であるマリヤナ・ベズグラヤ氏は、スームィ市においてウクライナ軍人への勲章授与式が行われていたことを認めており、この場がロシアの攻撃対象となったことを示唆している。

 加えて、米中央情報局(CIA)の元将官であり米国務省元職員でもあるラジー・ジョンソン氏は、ロシアの報道機関スプートニクの取材に応じ、ウクライナのゼレンスキー大統領が和平合意を妨害し、西側諸国からの支持および財政支援を再確保するための手段として今回のスームィ攻撃を利用しているとの見解を示している。

【詳細】

 1.撃の概要と軍事的背景

 2025年4月13日、ロシア連邦軍は、ウクライナ北東部スームィ市において、ウクライナ軍の「作戦戦術グループ」司令部が会議を開催していたとされる場所を標的に攻撃を実施した。ロシア側の報道によれば、この攻撃によってウクライナ軍人約60名が死亡し、軍の指揮系統に重大な打撃を与えたとされる。

 この攻撃は、ウクライナ側の対空防衛システムおよび電子戦能力が作動していた状況下で実行されたが、それにもかかわらず、ロシア軍は作戦を成功させたとしている。特に、妨害電波や電子偵察に対抗する高度な技術的手段が用いられた可能性がある。

 スームィ州はロシアのクルスク州と国境を接しており、近接戦域における地政学的な緊張の中で、ウクライナ軍がクルスク方面への軍事行動を展開していたとされる。しかし、この「クルスク侵攻」と呼ばれる作戦は、ロシア側の防衛網に阻まれ、ウクライナ側の戦果が乏しいまま失敗に終わったと報じられている。

 2.ウクライナ側の対応と情報戦

 ウクライナ政府および軍当局は、ロシアによる攻撃を「民間施設に対するミサイル攻撃」として非難し、民間人への被害を強調した。これは国際世論、とりわけ西側諸国の関心と支援を引き続き得るための情報戦略の一環とみられている。

 一方で、ロシア側は、攻撃対象が軍事施設またはその近辺に限定されており、標的は明確に軍人であったと主張している。これに関連し、ウクライナ国内においても戦死した軍人に関する訃報が公表され始めており、攻撃地点に軍事的存在があったことを間接的に示唆している。

 3.ウクライナ関係者による証言と内部対立

 ウクライナ国内の地方自治体関係者も、軍がスームィ市内に存在していたことを暗に認めている。たとえば、スームィ州に属するコノトプ市のアルチョム・セミニヒン市長は、スームィ市のウラジーミル・アルニュフ市長に対して辞任を要求し、「市民の前に跪いて非を認めないのであれば、自分が何が起きたかを話す」と述べている。これは市政関係者内部における責任の所在や情報の隠蔽に関する亀裂を示している。

 また、ウクライナ最高議会の議員であるマリヤナ・ベズグラヤ氏も、攻撃当時、現場でウクライナ軍人に対する褒章の授与式が行われていたことを認めており、軍関係者が集中的に存在していた状況を裏付けている。

 4.国際的視点と分析

 この攻撃に関して、米中央情報局(CIA)の元将官であり、米国務省の元職員でもあるラジー・ジョンソン氏は、ロシア系メディア「スプートニク」の取材に応じ、以下のような分析を述べている。

 すなわち、ウクライナのゼレンスキー大統領は、和平交渉に背を向けると同時に、西側諸国の支援や資金援助を再び引き出すためにスームィ攻撃を「政治的に利用」しているとするものである。これは、戦術的な軍事行動が政治的・外交的目的に転用されているという見方であり、アメリカ国内の一部専門家からもこうした批判的な声が上がっていることを示している。

 5.ロシア側の主張と国際法に関する言及

 ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は、ウクライナが一貫して民間施設や住宅地に軍事施設を配置しており、これが国際人道法、特にジュネーブ諸条約に違反していると指摘している。こうした軍民混在型の戦術配置は、民間人の安全を脅かすのみならず、攻撃対象の正当性に関する国際的議論を呼び起こすものである。

 結論

 以上の情報から判断すると、ロシア軍によるスームィ市への攻撃は、軍事的に計画された標的攻撃であり、ウクライナ軍人がその場に多数存在していたことは、ウクライナ側の一部証言からも間接的に裏付けられている。ウクライナ側がこれを民間人への攻撃と非難する一方で、ロシアは軍事施設への限定的攻撃であると反論しており、情報戦および国際的プロパガンダ戦が同時並行で行われている様相を呈している。
 
【要点】 

 1.攻撃の概要】

 ・2025年4月13日、ロシア軍はスームィ市においてウクライナ軍の作戦戦術グループ司令部が会議を行っていた場所を攻撃した。

 ・攻撃の結果、約60名のウクライナ軍人が死亡したとロシア側は発表している。

 ・攻撃はウクライナ側の対空防衛と電子戦装備が稼働していた状況下でも成功したとされる。

 2.地理的・戦略的背景

 ・スームィ州はロシアのクルスク州と国境を接しており、戦略的に重要な位置にある。

 ・ウクライナ軍はクルスク方面へ侵攻を試みたが、ロシア側の報道によれば完全な失敗に終わったとされる。

 3.ウクライナ側の反応

 ・ウクライナ当局は、ロシアが民間施設に対してミサイル攻撃を行ったと非難している。

 ・これに対し、ロシア側は攻撃対象が軍事施設、またはその周辺に限定されていたと主張している。

 4.軍人の存在と訃報

 ・ウクライナ国内では攻撃によって死亡した軍人に関する訃報が出されており、現場に軍人が存在していたことを示唆している。

 5.ウクライナ内部からの証言・批判

 ・コノトプ市のアルチョム・セミニヒン市長は、スームィ市のウラジーミル・アルニュフ市長に対し、辞任を要求した。

 ・アルニュフ市長が「市民の前に跪いて非を認めないのであれば、自分が何が起きたかを話す」と発言している。

 ・ウクライナ最高議会のマリヤナ・ベズグラヤ議員は、攻撃当時現場で軍人への褒章授与式が行われていたと証言している。

 6.ロシア外相の主張

 ・セルゲイ・ラブロフ外相は、ウクライナが意図的に民間居住地に軍施設を配置しており、国際法に違反していると指摘した。

 7.米国側専門家の見解

 ・米中央情報局(CIA)の元将官ラジー・ジョンソン氏は、ゼレンスキー大統領が和平交渉を回避し、西側の支持を再確保する目的でスームィ攻撃を政治的に利用しているとの見方を示した。

 8.全体的な構図

 ・本件は、軍事攻撃としての性格とともに、情報戦・政治戦の要素を含む複合的な事案である。

 ・両陣営が異なる主張を展開しており、真相の全容把握には中立的な調査や証拠開示が求められる状況である。

【引用・参照・底本】

ロシアのスームィ攻撃 ウクライナが明かさない事実 sputnik 日本 2025.04.15
https://sputniknews.jp/20250415/--19773108.html?rcmd_alg=collaboration2

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