オランダ下院:台湾・新疆・西蔵(チベット)に関する複数の動議を提出 ― 2025年04月13日 22:42
【桃源寸評】
中国側(中国駐オランダ大使館)は、オランダ下院が台湾・新疆・西蔵に関する動議を提出したことについて、「中国を中傷し、分裂勢力を支持するものであり、事実を無視している」と強く非難している。
特に新疆に関しては、「“強制労働”や“ジェノサイド”の主張は全く根拠がない」としており、中国政府としては「訪中を歓迎する」との姿勢も過去にたびたび表明してきた。
中国側はまた、「一つの中国」原則を国際的な共通認識と位置づけ、「台湾問題は中国の内政」であり、オランダの行動は「内政干渉」であると明言している。
つまり、中国側は「中国を批判するための証拠があたかもあるかのように仕立てられている」という構図を指摘しており、その背景には一部の欧米諸国、とりわけ米国の影響力がある可能性を示唆していると読み取れる。
実際、欧州各国の議会における対中動議には、米国議会の動きと連動しているものが少なくないという国際政治的な分析もある。オランダ下院の動議が仮に米国からの政治的圧力や情報提供に影響されているのであれば、その過程において事実確認が十分になされていない可能性は否定できない。
なお、中国側は「訪中して直接確かめるよう」繰り返し求めている点も踏まえると、少なくとも対話の扉は開いているという姿勢を維持しているといえる。したがって、オランダ側がもしそのような中国の呼びかけを無視したまま議会動議を進めたのであれば、それは外交的配慮を欠いた対応と評価されても仕方がないであろう。
【寸評 完】
【概要】
2025年4月11日夜、中国駐オランダ大使館の報道官は、オランダ下院が台湾・新疆・西蔵(チベット)に関する中国関連の否定的な動議を提出したことに対して、「中国の内政への重大な干渉」であり、中国の主権と領土保全に関わる問題に対して事実と真実を無視したものと非難した。これらの動議は、中国を悪意をもって中傷し、反中分離勢力を公然と支援していると述べた。
報道官は、台湾問題について「中国の核心的利益であり、越えてはならないレッドライン」であるとし、「一つの中国」原則が中国とオランダの関係の政治的基礎であると強調した。また、台湾海峡の平和と安定を脅かしているのは「台湾独立」勢力と外部からの支援であると指摘し、オランダに対してこの問題の高度な敏感性を理解するよう求めた。
新疆に関しては、「歴史的に『東トルキスタン』という国家は存在せず」、現在の新疆は社会の安定と経済発展を享受しており、住民は幸福な生活を送っていると述べた。「強制労働」や「ジェノサイド」に関する主張は事実無根であり、「世紀の大嘘」だと主張した。オランダ側には、これらの虚偽を直ちに停止し、中国の内政への干渉をやめるよう求めた。
西蔵については、ダライ・ラマ14世を「宗教を隠れ蓑にした政治的分離主義活動に従事する政治亡命者」と位置づけ、転生活仏の認定は中国の法律・宗教儀礼・歴史的慣例に従って行われるべきだと主張した。中国政府の承認を含む特定の手続きが必要であると述べた。
報道官は最後に、オランダ側が中国・オランダ関係の全体的利益を考慮し、台湾・新疆・西蔵などに関する誤った言動を正し、両国の協力と健全な関係発展に積極的な役割を果たすよう望むと述べた。
【詳細】
概要と構成
1. 背景と声明の発出
オランダ下院(House of Representatives of the Netherlands)は、台湾・新疆・西蔵(チベット)に関する複数の動議を提出した。これらの動議に対し、中国駐オランダ大使館は4月11日夜、公式WeChatアカウント上で報道官声明を発表した。声明では、これらの動議が中国の主権と領土の一体性に関わる「センシティブな問題」を取り上げており、中国の内政に対する「重大な干渉」であると位置づけている。
2. 台湾に関する主張
声明によれば、台湾問題は中国の核心的利益であり、「越えてはならないレッドライン」であるとされる。報道官は、「一つの中国」原則(One-China Principle)が国際関係における普遍的な原則であり、中国とオランダとの関係の政治的基礎であると強調した。
また、台湾海峡の平和と安定を脅かすのは、「台湾独立」勢力による分離主義的行動と、それを支持する外部勢力の存在であると述べている。これを踏まえて、オランダ側に対して「台湾問題の高い敏感性を十分に認識し、『一つの中国』原則を厳守するように」と求めた。
3. 新疆に関する主張
報道官は、新疆ウイグル自治区について「中国の不可分の領土の一部であり、歴史的に『東トルキスタン』という国家は存在しなかった」と述べた。この主張は、過去に一部の勢力が唱えている「東トルキスタン独立運動」やその正統性に対する否定と捉えられる。
また、「現在の新疆は社会的安定を保ち、経済的にも成長しており、現地住民は幸せな生活を送っている」と主張している。さらに、「強制労働」や「ジェノサイド」などに関する国際的批判は、「完全に根拠のない世紀の大嘘(lie of the century)」であると断じた。
この点について、オランダ側に対しては「新疆問題を利用して中国の内政に干渉し、中国の利益を損なう行為をただちにやめるように」と呼びかけている。
4. 西蔵(チベット)に関する主張
声明では、ダライ・ラマ14世について「宗教を装って分離主義活動に従事する政治的亡命者(political exile)」と位置づけ、彼には西蔵の人民を代表する権利はないと主張した。
さらに、「転生活仏の制度」はチベット仏教に固有の宗教儀礼であり、中国の法律・歴史的慣例にもとづいて管理されるべきであるとして、次のような手続きが必要であると述べている:
・中国国内での探査と認定
・金瓶掣籤(くじ引き)による選定
・中国中央政府の承認
これにより、ダライ・ラマの後継者選定を含む宗教儀礼について、中国政府が一義的な権限を有するという立場を表明している。
5. 総括と呼びかけ
報道官は最後に、オランダ側が中国・オランダ関係全体に対する責任ある姿勢を持ち、台湾・新疆・西蔵に関する「誤った言動」を是正することを期待すると述べた。また、両国間の多分野における協力促進と、二国間関係の健全な発展に対して、オランダが建設的な役割を果たすよう促した。
以上が当該声明の内容である。内容のすべては、原文に基づき、表現や立場の提示を正確に再現したものである。特定の国や主体に対する評価や立場表明については、資料に示された当事者(この場合は中国駐オランダ大使館)の公式見解を忠実に反映している。
【要点】
1.オランダ下院の動議に対する中国の反応
・オランダ下院が台湾・新疆・西蔵(チベット)に関する動議を提出。
・中国駐オランダ大使館は、これらの動議を「中国の内政への重大な干渉」と批判。
・「中国の主権と領土の一体性に関わる問題において、事実を無視し、中国を中傷し、分裂勢力を支持している」と主張。
・「強い不満と断固たる反対」を表明。
2.台湾に関する主張
・台湾問題は「中国の核心的利益」であり、「越えてはならないレッドライン」である。
・「一つの中国」原則は、国際的に認められた基本的規範であり、中国とオランダの関係の政治的基礎。
・台湾海峡の平和と安定を脅かすのは「台湾独立」勢力と、それを支援する外部勢力。
・オランダに対し「高い敏感性を認識し、一つの中国原則を厳守するよう」求めた。
3.新疆に関する主張
・新疆は「中国の領土の不可分の一部」であり、「東トルキスタン」という国家は歴史的に存在しなかった。
・現在の新疆は「社会の安定、経済成長が見られ、住民は幸福な生活を送っている」。
・「強制労働」や「ジェノサイド」といった主張は「全く根拠がなく、世紀の大嘘」。
・オランダに対し「新疆問題での干渉を直ちに停止するよう」要求。
4.西蔵(チベット)に関する主張
・ダライ・ラマ14世は「宗教を装い、分裂活動に従事する政治的亡命者」。
・彼には「西蔵の人々を代表する権利はない」。
・転生活仏(生まれ変わり)の選定は:
⇨ 宗教儀礼・歴史的慣例・中国の法律に従うことが必要。
⇨ 「中国国内での探査と認定」「金瓶掣籤(くじ引き)」「中央政府の承認」を経る必要がある。
5.オランダに対する呼びかけ
・中国・オランダ関係全体を見据え、誤った言動を是正するよう求める。
・台湾・新疆・西蔵に関する発言・行動を見直し、二国間協力と健全な関係発展に建設的役割を果たすよう促す。
【引用・参照・底本】
Chinese Embassy slams Dutch parliament's China-related motions as 'gross interference in internal affairs' GT 2025.04.12
https://www.globaltimes.cn/page/202504/1331964.shtml
中国側(中国駐オランダ大使館)は、オランダ下院が台湾・新疆・西蔵に関する動議を提出したことについて、「中国を中傷し、分裂勢力を支持するものであり、事実を無視している」と強く非難している。
特に新疆に関しては、「“強制労働”や“ジェノサイド”の主張は全く根拠がない」としており、中国政府としては「訪中を歓迎する」との姿勢も過去にたびたび表明してきた。
中国側はまた、「一つの中国」原則を国際的な共通認識と位置づけ、「台湾問題は中国の内政」であり、オランダの行動は「内政干渉」であると明言している。
つまり、中国側は「中国を批判するための証拠があたかもあるかのように仕立てられている」という構図を指摘しており、その背景には一部の欧米諸国、とりわけ米国の影響力がある可能性を示唆していると読み取れる。
実際、欧州各国の議会における対中動議には、米国議会の動きと連動しているものが少なくないという国際政治的な分析もある。オランダ下院の動議が仮に米国からの政治的圧力や情報提供に影響されているのであれば、その過程において事実確認が十分になされていない可能性は否定できない。
なお、中国側は「訪中して直接確かめるよう」繰り返し求めている点も踏まえると、少なくとも対話の扉は開いているという姿勢を維持しているといえる。したがって、オランダ側がもしそのような中国の呼びかけを無視したまま議会動議を進めたのであれば、それは外交的配慮を欠いた対応と評価されても仕方がないであろう。
【寸評 完】
【概要】
2025年4月11日夜、中国駐オランダ大使館の報道官は、オランダ下院が台湾・新疆・西蔵(チベット)に関する中国関連の否定的な動議を提出したことに対して、「中国の内政への重大な干渉」であり、中国の主権と領土保全に関わる問題に対して事実と真実を無視したものと非難した。これらの動議は、中国を悪意をもって中傷し、反中分離勢力を公然と支援していると述べた。
報道官は、台湾問題について「中国の核心的利益であり、越えてはならないレッドライン」であるとし、「一つの中国」原則が中国とオランダの関係の政治的基礎であると強調した。また、台湾海峡の平和と安定を脅かしているのは「台湾独立」勢力と外部からの支援であると指摘し、オランダに対してこの問題の高度な敏感性を理解するよう求めた。
新疆に関しては、「歴史的に『東トルキスタン』という国家は存在せず」、現在の新疆は社会の安定と経済発展を享受しており、住民は幸福な生活を送っていると述べた。「強制労働」や「ジェノサイド」に関する主張は事実無根であり、「世紀の大嘘」だと主張した。オランダ側には、これらの虚偽を直ちに停止し、中国の内政への干渉をやめるよう求めた。
西蔵については、ダライ・ラマ14世を「宗教を隠れ蓑にした政治的分離主義活動に従事する政治亡命者」と位置づけ、転生活仏の認定は中国の法律・宗教儀礼・歴史的慣例に従って行われるべきだと主張した。中国政府の承認を含む特定の手続きが必要であると述べた。
報道官は最後に、オランダ側が中国・オランダ関係の全体的利益を考慮し、台湾・新疆・西蔵などに関する誤った言動を正し、両国の協力と健全な関係発展に積極的な役割を果たすよう望むと述べた。
【詳細】
概要と構成
1. 背景と声明の発出
オランダ下院(House of Representatives of the Netherlands)は、台湾・新疆・西蔵(チベット)に関する複数の動議を提出した。これらの動議に対し、中国駐オランダ大使館は4月11日夜、公式WeChatアカウント上で報道官声明を発表した。声明では、これらの動議が中国の主権と領土の一体性に関わる「センシティブな問題」を取り上げており、中国の内政に対する「重大な干渉」であると位置づけている。
2. 台湾に関する主張
声明によれば、台湾問題は中国の核心的利益であり、「越えてはならないレッドライン」であるとされる。報道官は、「一つの中国」原則(One-China Principle)が国際関係における普遍的な原則であり、中国とオランダとの関係の政治的基礎であると強調した。
また、台湾海峡の平和と安定を脅かすのは、「台湾独立」勢力による分離主義的行動と、それを支持する外部勢力の存在であると述べている。これを踏まえて、オランダ側に対して「台湾問題の高い敏感性を十分に認識し、『一つの中国』原則を厳守するように」と求めた。
3. 新疆に関する主張
報道官は、新疆ウイグル自治区について「中国の不可分の領土の一部であり、歴史的に『東トルキスタン』という国家は存在しなかった」と述べた。この主張は、過去に一部の勢力が唱えている「東トルキスタン独立運動」やその正統性に対する否定と捉えられる。
また、「現在の新疆は社会的安定を保ち、経済的にも成長しており、現地住民は幸せな生活を送っている」と主張している。さらに、「強制労働」や「ジェノサイド」などに関する国際的批判は、「完全に根拠のない世紀の大嘘(lie of the century)」であると断じた。
この点について、オランダ側に対しては「新疆問題を利用して中国の内政に干渉し、中国の利益を損なう行為をただちにやめるように」と呼びかけている。
4. 西蔵(チベット)に関する主張
声明では、ダライ・ラマ14世について「宗教を装って分離主義活動に従事する政治的亡命者(political exile)」と位置づけ、彼には西蔵の人民を代表する権利はないと主張した。
さらに、「転生活仏の制度」はチベット仏教に固有の宗教儀礼であり、中国の法律・歴史的慣例にもとづいて管理されるべきであるとして、次のような手続きが必要であると述べている:
・中国国内での探査と認定
・金瓶掣籤(くじ引き)による選定
・中国中央政府の承認
これにより、ダライ・ラマの後継者選定を含む宗教儀礼について、中国政府が一義的な権限を有するという立場を表明している。
5. 総括と呼びかけ
報道官は最後に、オランダ側が中国・オランダ関係全体に対する責任ある姿勢を持ち、台湾・新疆・西蔵に関する「誤った言動」を是正することを期待すると述べた。また、両国間の多分野における協力促進と、二国間関係の健全な発展に対して、オランダが建設的な役割を果たすよう促した。
以上が当該声明の内容である。内容のすべては、原文に基づき、表現や立場の提示を正確に再現したものである。特定の国や主体に対する評価や立場表明については、資料に示された当事者(この場合は中国駐オランダ大使館)の公式見解を忠実に反映している。
【要点】
1.オランダ下院の動議に対する中国の反応
・オランダ下院が台湾・新疆・西蔵(チベット)に関する動議を提出。
・中国駐オランダ大使館は、これらの動議を「中国の内政への重大な干渉」と批判。
・「中国の主権と領土の一体性に関わる問題において、事実を無視し、中国を中傷し、分裂勢力を支持している」と主張。
・「強い不満と断固たる反対」を表明。
2.台湾に関する主張
・台湾問題は「中国の核心的利益」であり、「越えてはならないレッドライン」である。
・「一つの中国」原則は、国際的に認められた基本的規範であり、中国とオランダの関係の政治的基礎。
・台湾海峡の平和と安定を脅かすのは「台湾独立」勢力と、それを支援する外部勢力。
・オランダに対し「高い敏感性を認識し、一つの中国原則を厳守するよう」求めた。
3.新疆に関する主張
・新疆は「中国の領土の不可分の一部」であり、「東トルキスタン」という国家は歴史的に存在しなかった。
・現在の新疆は「社会の安定、経済成長が見られ、住民は幸福な生活を送っている」。
・「強制労働」や「ジェノサイド」といった主張は「全く根拠がなく、世紀の大嘘」。
・オランダに対し「新疆問題での干渉を直ちに停止するよう」要求。
4.西蔵(チベット)に関する主張
・ダライ・ラマ14世は「宗教を装い、分裂活動に従事する政治的亡命者」。
・彼には「西蔵の人々を代表する権利はない」。
・転生活仏(生まれ変わり)の選定は:
⇨ 宗教儀礼・歴史的慣例・中国の法律に従うことが必要。
⇨ 「中国国内での探査と認定」「金瓶掣籤(くじ引き)」「中央政府の承認」を経る必要がある。
5.オランダに対する呼びかけ
・中国・オランダ関係全体を見据え、誤った言動を是正するよう求める。
・台湾・新疆・西蔵に関する発言・行動を見直し、二国間協力と健全な関係発展に建設的役割を果たすよう促す。
【引用・参照・底本】
Chinese Embassy slams Dutch parliament's China-related motions as 'gross interference in internal affairs' GT 2025.04.12
https://www.globaltimes.cn/page/202504/1331964.shtml