米国軍事予算とロシア・中国の効率的な予算との格差是正 ― 2025年02月27日 17:46
【桃源寸評】
先ず<隗より始めよ>である、トランプよ。
世界は米国の為に存在しているのではない。
【寸評 完】
【概要】
2025年2月25日、ドナルド・トランプ米大統領はホワイトハウスで記者団に対し、米国、ロシア、中国の3カ国がそれぞれ国防予算を50%削減することを提案した。トランプ大統領は、「最初の会合は中国の習近平国家主席、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と行いたい。そして、我々の軍事予算を半分に削減しようと提案したい。それが可能だ」と述べた。
この提案を受け、ロシアのプーチン大統領はモスクワが交渉に前向きであることを示し、「我々は反対しない。考えは良い。米国が50%削減し、我々も50%削減する。中国が望むなら、後で参加することもできる」と述べた。
一方、中国外務省の林健報道官は2月25日の記者会見で、中国の国防支出について「国家の主権、安全、発展利益を守る必要性、そして世界平和を維持する必要性から来ている」と述べた。
地政学的アナリストで元米海兵隊員のブライアン・バーリティック氏は、ワシントンがモスクワと北京を「欺瞞的な」50%の軍事支出削減に引き込もうとしており、これは「米国の膨大な軍事予算」と「モスクワと北京のより効率的な予算」との「格差」を是正することを目的としていると指摘した。バーリティック氏は、「真の合意は、パーセンテージの削減ではなく、米国が数十年間海外での勢力投射に使用してきた能力、例えば世界的な軍事基地網、NATOのような攻撃的なブロックへの加盟、海空輸送能力、そして現在ロシアや中国を自国境内やその周辺で脅かすために開発している各種のミサイルやドローン(海上・空中の両方)などの明確な削減に基づくべきだ」と述べた。
さらに、仮に米国、ロシア、中国が軍事支出を50%削減したとしても、米国は「依然として両国を合わせた以上の全体的な支出を享受するだろう」とバーリティック氏は推測している。彼は、この提案は一見有望に見えるが、米政府からの詳細がない限り、「米国が圧倒的な軍事的優位性を追求しつつ、世界平和を目指しているように見せかける試みのように思える」と付け加えた。
この提案は、トランプ大統領がロシアのプーチン大統領と中国の習近平国家主席に対し、3カ国がそれぞれ国防予算を50%削減することを提案したものである。プーチン大統領はモスクワが交渉に前向きであることを示し、中国外務省の林健報道官は中国の国防支出が国家の主権、安全、発展利益を守るためのものであると述べた。地政学的アナリストのブライアン・バーリティック氏は、この提案が米国の軍事予算とロシア・中国の効率的な予算との格差を是正することを目的としていると指摘している。
【詳細】
トランプ大統領の国防予算削減提案と各国の反応
トランプ大統領の提案内容
2025年2月25日、ドナルド・トランプ米大統領はホワイトハウスでの記者会見で、米国、ロシア、中国の3カ国がそれぞれ国防予算を50%削減することを提案した。トランプ氏は、「最初の会合は中国の習近平国家主席、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と行いたい。そして、我々の軍事予算を半分に削減しようと提案したい。それが可能だ」と発言した。
この提案の具体的な内容や詳細な削減計画については明らかにされていないが、米国側は「世界平和の促進」と「無駄な軍事支出の抑制」を目的としたものと説明している。しかし、実際には米国が軍事費の絶対額で依然として優位を保つことができる戦略的な狙いがあるとの見方も出ている。
ロシアの反応
この提案を受け、ロシアのプーチン大統領はモスクワが交渉に前向きであることを示した。プーチン氏は、「我々は反対しない。考えは良い。米国が50%削減し、我々も50%削減する。中国が望むなら、後で参加することもできる」と述べた。
ロシア側のこの発言は、米国の提案を完全には拒否せず、交渉の余地を残す姿勢を示したものと考えられる。しかし、ロシアは近年ウクライナ戦争を継続しており、軍事費削減は戦略的に容易ではない。また、NATOの東方拡大や西側諸国の制裁措置を受ける中で、米国が同等の軍事削減を実施しない限り、ロシアがこの提案を受け入れる可能性は低いとみられる。
中国の反応
一方、中国外務省の林剣(Lin Jian)報道官は2月25日の記者会見で、中国の国防支出について次のように説明した。
「中国の防衛費は、国家の主権、安全、発展利益を守る必要性、そして世界平和を維持する必要性から来ている」
この発言は、中国が米国とロシアの削減提案に対して慎重な立場を取っていることを示唆している。中国は現在、南シナ海や台湾問題などの地域的な課題に対応するために軍備を強化しており、大規模な軍事費削減には消極的であると考えられる。
地政学的分析と専門家の見解
地政学的アナリストで元米海兵隊員のブライアン・バーリティック氏は、トランプ大統領の提案について以下のように分析している。
1.提案の意図
米国は、ロシアと中国を「欺瞞的な」50%の軍事支出削減に引き込もうとしている。
この提案は、米国の「膨大な軍事予算」と「モスクワと北京のより効率的な予算」との「格差」を是正することを目的としている。
2.実際の影響
もし米国、ロシア、中国が軍事支出を50%削減したとしても、米国の軍事費は依然としてロシアと中国の合計を上回る可能性が高い。
そのため、この提案は「米国が圧倒的な軍事的優位性を追求しつつ、世界平和を目指しているように見せかける試み」と捉えることができる。
3.真の軍縮交渉のあり方
バーリティック氏は、「真の合意は、単なるパーセンテージの削減ではなく、米国が数十年間海外での勢力投射に使用してきた能力の明確な削減に基づくべきだ」と指摘している。
具体的には、以下のような要素が交渉の対象となるべきであると述べている。
・米軍の海外基地の縮小(現在約750カ所の基地を世界中に展開)
・NATOの拡張抑制(ロシアが長年問題視しているNATOの東方拡大)
・海空輸送能力の削減(米軍の遠征能力の低下)
・各種ミサイル・ドローンの制限(特にロシアと中国の国境付近に配備されている兵器の削減)
結論
トランプ大統領の提案は、表面的には「平和的な軍縮」を目指しているように見えるが、実際には米国が相対的な軍事的優位を維持する意図があるとみられる。ロシアは交渉に前向きな姿勢を示しているものの、ウクライナ戦争の継続やNATOの動向を考慮すると、実際の軍事費削減には慎重であると考えられる。中国は国防費の正当性を強調し、直接的な賛否を表明しておらず、提案に慎重な立場を取っている。
今後の展開としては、ロシアと中国の具体的な対応、そしてトランプ政権がどのような交渉の詳細を提示するかが焦点となる。米国が軍事費の削減を進める一方で、どの軍事能力を維持し、どの部分を縮小するのかが国際安全保障の観点から重要なポイントとなる。
【要点】
トランプ大統領の国防予算削減提案と各国の反応
1. トランプ大統領の提案内容
・米国、ロシア、中国の3カ国がそれぞれ国防予算を50%削減することを提案
・「習近平国家主席、プーチン大統領と会合を開きたい」と発言
・目的:「世界平和の促進」と「無駄な軍事支出の抑制」
・具体的な削減計画は未公表
2. ロシアの反応
・プーチン大統領:「我々は反対しない」「中国は後で参加することも可能」と発言
・NATOの東方拡大やウクライナ戦争の影響を考慮すると、実際の削減は困難
・交渉の余地を残しつつも、米国の真意を慎重に見極める構え
3. 中国の反応
・外務省報道官:「防衛費は主権、安全、発展利益を守るためのもの」と説明
・軍事費削減には慎重な立場
・台湾問題や南シナ海の情勢を考慮すると、大幅な削減は難しい
4. 専門家の分析(ブライアン・バーリティック氏)
・提案の意図
➢米国がロシア・中国の軍事費削減を誘導し、自国の優位を維持する狙い
➢「見せかけの平和提案」であり、実際には米軍の圧倒的優位を確保する計画
・実際の影響
➢50%削減しても、米国の軍事費はロシア・中国の合計を上回る可能性
・真の軍縮交渉のポイント
➢米軍の海外基地縮小(約750カ所)
➢NATOの拡張抑制
➢海空輸送能力の削減
➢ミサイル・ドローン配備の制限
5. 結論と今後の展開
・トランプの提案は「平和的軍縮」を装いつつ、米国の相対的軍事優位を維持する戦略
・ロシアは前向きな姿勢を示すが、実際の削減には慎重
・中国は慎重な立場を取り、明確な賛否を表明せず
・今後、米国が具体的な削減計画を提示するか、またロシア・中国が交渉にどこまで応じるかが焦点
【引用・参照・底本】
Trump’s Defense Budget Proposal to Russia & China Aims to Give US Military Edge – Ex-US Marine sputnik international2025.02.27
https://sputnikglobe.com/20250226/trumps-defense-budget-proposal-to-russia--china-aims-to-give-us-military-edge--ex-us-marine-1121601199.html
先ず<隗より始めよ>である、トランプよ。
世界は米国の為に存在しているのではない。
【寸評 完】
【概要】
2025年2月25日、ドナルド・トランプ米大統領はホワイトハウスで記者団に対し、米国、ロシア、中国の3カ国がそれぞれ国防予算を50%削減することを提案した。トランプ大統領は、「最初の会合は中国の習近平国家主席、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と行いたい。そして、我々の軍事予算を半分に削減しようと提案したい。それが可能だ」と述べた。
この提案を受け、ロシアのプーチン大統領はモスクワが交渉に前向きであることを示し、「我々は反対しない。考えは良い。米国が50%削減し、我々も50%削減する。中国が望むなら、後で参加することもできる」と述べた。
一方、中国外務省の林健報道官は2月25日の記者会見で、中国の国防支出について「国家の主権、安全、発展利益を守る必要性、そして世界平和を維持する必要性から来ている」と述べた。
地政学的アナリストで元米海兵隊員のブライアン・バーリティック氏は、ワシントンがモスクワと北京を「欺瞞的な」50%の軍事支出削減に引き込もうとしており、これは「米国の膨大な軍事予算」と「モスクワと北京のより効率的な予算」との「格差」を是正することを目的としていると指摘した。バーリティック氏は、「真の合意は、パーセンテージの削減ではなく、米国が数十年間海外での勢力投射に使用してきた能力、例えば世界的な軍事基地網、NATOのような攻撃的なブロックへの加盟、海空輸送能力、そして現在ロシアや中国を自国境内やその周辺で脅かすために開発している各種のミサイルやドローン(海上・空中の両方)などの明確な削減に基づくべきだ」と述べた。
さらに、仮に米国、ロシア、中国が軍事支出を50%削減したとしても、米国は「依然として両国を合わせた以上の全体的な支出を享受するだろう」とバーリティック氏は推測している。彼は、この提案は一見有望に見えるが、米政府からの詳細がない限り、「米国が圧倒的な軍事的優位性を追求しつつ、世界平和を目指しているように見せかける試みのように思える」と付け加えた。
この提案は、トランプ大統領がロシアのプーチン大統領と中国の習近平国家主席に対し、3カ国がそれぞれ国防予算を50%削減することを提案したものである。プーチン大統領はモスクワが交渉に前向きであることを示し、中国外務省の林健報道官は中国の国防支出が国家の主権、安全、発展利益を守るためのものであると述べた。地政学的アナリストのブライアン・バーリティック氏は、この提案が米国の軍事予算とロシア・中国の効率的な予算との格差を是正することを目的としていると指摘している。
【詳細】
トランプ大統領の国防予算削減提案と各国の反応
トランプ大統領の提案内容
2025年2月25日、ドナルド・トランプ米大統領はホワイトハウスでの記者会見で、米国、ロシア、中国の3カ国がそれぞれ国防予算を50%削減することを提案した。トランプ氏は、「最初の会合は中国の習近平国家主席、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と行いたい。そして、我々の軍事予算を半分に削減しようと提案したい。それが可能だ」と発言した。
この提案の具体的な内容や詳細な削減計画については明らかにされていないが、米国側は「世界平和の促進」と「無駄な軍事支出の抑制」を目的としたものと説明している。しかし、実際には米国が軍事費の絶対額で依然として優位を保つことができる戦略的な狙いがあるとの見方も出ている。
ロシアの反応
この提案を受け、ロシアのプーチン大統領はモスクワが交渉に前向きであることを示した。プーチン氏は、「我々は反対しない。考えは良い。米国が50%削減し、我々も50%削減する。中国が望むなら、後で参加することもできる」と述べた。
ロシア側のこの発言は、米国の提案を完全には拒否せず、交渉の余地を残す姿勢を示したものと考えられる。しかし、ロシアは近年ウクライナ戦争を継続しており、軍事費削減は戦略的に容易ではない。また、NATOの東方拡大や西側諸国の制裁措置を受ける中で、米国が同等の軍事削減を実施しない限り、ロシアがこの提案を受け入れる可能性は低いとみられる。
中国の反応
一方、中国外務省の林剣(Lin Jian)報道官は2月25日の記者会見で、中国の国防支出について次のように説明した。
「中国の防衛費は、国家の主権、安全、発展利益を守る必要性、そして世界平和を維持する必要性から来ている」
この発言は、中国が米国とロシアの削減提案に対して慎重な立場を取っていることを示唆している。中国は現在、南シナ海や台湾問題などの地域的な課題に対応するために軍備を強化しており、大規模な軍事費削減には消極的であると考えられる。
地政学的分析と専門家の見解
地政学的アナリストで元米海兵隊員のブライアン・バーリティック氏は、トランプ大統領の提案について以下のように分析している。
1.提案の意図
米国は、ロシアと中国を「欺瞞的な」50%の軍事支出削減に引き込もうとしている。
この提案は、米国の「膨大な軍事予算」と「モスクワと北京のより効率的な予算」との「格差」を是正することを目的としている。
2.実際の影響
もし米国、ロシア、中国が軍事支出を50%削減したとしても、米国の軍事費は依然としてロシアと中国の合計を上回る可能性が高い。
そのため、この提案は「米国が圧倒的な軍事的優位性を追求しつつ、世界平和を目指しているように見せかける試み」と捉えることができる。
3.真の軍縮交渉のあり方
バーリティック氏は、「真の合意は、単なるパーセンテージの削減ではなく、米国が数十年間海外での勢力投射に使用してきた能力の明確な削減に基づくべきだ」と指摘している。
具体的には、以下のような要素が交渉の対象となるべきであると述べている。
・米軍の海外基地の縮小(現在約750カ所の基地を世界中に展開)
・NATOの拡張抑制(ロシアが長年問題視しているNATOの東方拡大)
・海空輸送能力の削減(米軍の遠征能力の低下)
・各種ミサイル・ドローンの制限(特にロシアと中国の国境付近に配備されている兵器の削減)
結論
トランプ大統領の提案は、表面的には「平和的な軍縮」を目指しているように見えるが、実際には米国が相対的な軍事的優位を維持する意図があるとみられる。ロシアは交渉に前向きな姿勢を示しているものの、ウクライナ戦争の継続やNATOの動向を考慮すると、実際の軍事費削減には慎重であると考えられる。中国は国防費の正当性を強調し、直接的な賛否を表明しておらず、提案に慎重な立場を取っている。
今後の展開としては、ロシアと中国の具体的な対応、そしてトランプ政権がどのような交渉の詳細を提示するかが焦点となる。米国が軍事費の削減を進める一方で、どの軍事能力を維持し、どの部分を縮小するのかが国際安全保障の観点から重要なポイントとなる。
【要点】
トランプ大統領の国防予算削減提案と各国の反応
1. トランプ大統領の提案内容
・米国、ロシア、中国の3カ国がそれぞれ国防予算を50%削減することを提案
・「習近平国家主席、プーチン大統領と会合を開きたい」と発言
・目的:「世界平和の促進」と「無駄な軍事支出の抑制」
・具体的な削減計画は未公表
2. ロシアの反応
・プーチン大統領:「我々は反対しない」「中国は後で参加することも可能」と発言
・NATOの東方拡大やウクライナ戦争の影響を考慮すると、実際の削減は困難
・交渉の余地を残しつつも、米国の真意を慎重に見極める構え
3. 中国の反応
・外務省報道官:「防衛費は主権、安全、発展利益を守るためのもの」と説明
・軍事費削減には慎重な立場
・台湾問題や南シナ海の情勢を考慮すると、大幅な削減は難しい
4. 専門家の分析(ブライアン・バーリティック氏)
・提案の意図
➢米国がロシア・中国の軍事費削減を誘導し、自国の優位を維持する狙い
➢「見せかけの平和提案」であり、実際には米軍の圧倒的優位を確保する計画
・実際の影響
➢50%削減しても、米国の軍事費はロシア・中国の合計を上回る可能性
・真の軍縮交渉のポイント
➢米軍の海外基地縮小(約750カ所)
➢NATOの拡張抑制
➢海空輸送能力の削減
➢ミサイル・ドローン配備の制限
5. 結論と今後の展開
・トランプの提案は「平和的軍縮」を装いつつ、米国の相対的軍事優位を維持する戦略
・ロシアは前向きな姿勢を示すが、実際の削減には慎重
・中国は慎重な立場を取り、明確な賛否を表明せず
・今後、米国が具体的な削減計画を提示するか、またロシア・中国が交渉にどこまで応じるかが焦点
【引用・参照・底本】
Trump’s Defense Budget Proposal to Russia & China Aims to Give US Military Edge – Ex-US Marine sputnik international2025.02.27
https://sputnikglobe.com/20250226/trumps-defense-budget-proposal-to-russia--china-aims-to-give-us-military-edge--ex-us-marine-1121601199.html