米国民の軍に対する信頼2023年08月01日 17:52

花の御殿弥生の賑ひ(国立国会図書館デジタルコレクション)
 アメリカの国民が米軍に対して持つ信頼が、過去20年以上で最も低いとされている。この情報はギャラップ社による2023年6月1日から22日の調査結果に基づいており、一般的な機関に対する信頼も過去最低を記録していることを示している。

 米軍への信頼が60%であり、1997年以来の最低値であり、1988年以来では58%が信頼されていた水準である。1970年代後半から1980年代初頭の冷戦時代やイラン人質危機といった米国の軍事力に対する脅威の時期には50%から58%の範囲で信頼が示されていた。1980年代のロナルド・レーガン政権の時期には信頼が改善され、湾岸戦争の勝利後には過去最高の85%に達し、また2001年のテロ攻撃後も再び信頼が回復していた。その後20年間は一般的に70%以上の信頼が保たれていましたが、2021年には69%に低下し、その後アフガニスタンからの撤退が失敗に終わったことにより、信頼は更に減少している。

 ほぼ過去48年間にわたり、共和党員が最も米軍に対する信頼を示してきたが、ここ3年で20ポイント以上も信頼が減少しており、91%から68%にまで下がっている。無党派層の信頼も同様に減少しており、68%から55%に13ポイント減少しており、現在では民主党員よりも信頼度が低くなっている。民主党員の信頼度はジョー・バイデン大統領が就任した後に上昇したものの、その後の1年間でその上昇幅は消失している。

 過去50年間で、米軍に対する国民の認識は大きく変動してきました。湾岸戦争や9/11の後には、米軍に対する信頼が大幅に向上した。特に9/11の後の信頼の高まりは、約20年間にわたる信頼の時代をもたらした。しかし、イラクとアフガニスタンから完全に撤退した後、つまり2001年のテロ攻撃に対する最も重要な軍事的遺産を失った後、国民の信頼は引き続き低下している。今年の信頼の低下は、全ての政党支持層で見られており、共和党員が最も信頼を示し、無党派層が最も信頼を示さなくなっている。

 これらの結果は、アメリカの公衆が軍事的な問題に対してどのように感じているかについての重要な示唆を提供している。特にアフガニスタンからの撤退による信頼の低下は、その実行が失敗に終わったことが影響しているとされている。

【要点】

信頼の低下がさまざまな政治グループにどのような影響を与えているかについても論じている。 共和党員は依然として軍への信頼を表明する可能性が最も高いが、彼らの信頼も3年間で20パーセントポイント以上低下した。 無党派層の信頼もほぼ同じくらい低下し、今や民主党よりも自信がなくなっている。

軍に対する信頼の低下は、米国の主要機関に対する国民の信頼の一連の低下の中で最新のものである。
軍は国家安全保障にとって重要な機関とみなされているため、軍に対する信頼の低下は特に懸念される。
軍に対する信頼の低下は、兵士の採用や維持がより困難になること、軍事介入を正当化することがより困難になることなど、多くの悪影響をもたらす可能性が高い。

軍への信頼の低下は、アフガニスタンからの撤退の失敗やアメリカ政治の二極化の進行など、多くの要因による可能性が高いと締めくくっている。

引用・参照・底本

「Confidence in U.S. Military Lowest in Over Two Decades 」 GALLUP 2023.07.31

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