インドとパキスタンの間で発生した軍事衝突 ― 2025年05月22日 18:13
【概要】
2025年5月、インドとパキスタンの間で発生した軍事衝突「オペレーション・シンドゥール(Sindoor)」は、両国が核兵器保有国であり、空軍力も拮抗していることから、歴史的にも特筆すべき事例であった。本作戦においてインドは、ロシア製のS-400地対空ミサイルシステムおよびその他の高性能兵器システムを効果的に運用し、パキスタンに対して大きな軍事的優位を確保したとされている。
作戦の背景と展開
作戦の発端は、2025年4月22日にジャンムー・カシミール州のパハルガームにおいて、パキスタン支援とされるテロ組織による観光客への攻撃であり、26名の民間人が犠牲となったことである。これを受け、インドは5月7日未明に空爆作戦を開始。コードネーム「シンドゥール」とされた本作戦では、ラファール戦闘機によるSCALP巡航ミサイルや、インド陸軍のイスラエル製SkyStriker遊弋型兵器、インド・ロシア共同開発のブラモス(BrahMos)巡航ミサイルが使用され、パキスタン領内の複数のテロリスト拠点が精密攻撃された。
これに対し、パキスタンは「ブニヤン・ウル・マルスース作戦」と称して大規模なドローンおよびミサイル攻撃を展開。これには空軍基地や軍事施設、民間施設が標的に含まれていた。
インドはこれを、S-400「スダルシャン・チャクラ」と命名されたシステムを含む統合防空システムおよびAkash防空システムにより効果的に迎撃。攻撃による被害は極めて限定的であり、民間人への被害もごくわずかであった。
S-400ミサイルシステムの詳細
S-400「トリウームフ」は、ロシアのNPOアルマズが開発した移動式地対空ミサイルシステムであり、S-300の後継機種として2007年にロシア軍で運用開始された。最大探知距離は600キロメートル、交戦可能距離は最大400キロメートルであり、複数種のミサイルと4種類のレーダーを組み合わせ、重層的な防空が可能である。インドは2018年に5基を契約し、総額は約54億3000万ドルである。2025年5月時点で3基がインド国内で運用されており、残り2基は2025年末から2026年にかけて配備予定である。
インドのS-400はパキスタンのミサイル・ドローン攻撃に対して初の実戦使用がなされ、その高い迎撃能力を発揮したとされる。
ブラモス巡航ミサイル
ブラモスはインドのDRDOとロシアのNPOマシノストロイエニヤによって共同開発された超音速巡航ミサイルであり、2007年より運用が開始されている。陸・海・空の各プラットフォームから発射可能であり、最大速度はマッハ3、最新の拡張型では最大射程は800〜900キロメートルに達する。空中発射型(ブラモス-A)はスホーイSu-30MKI戦闘機に搭載可能であり、50機が改修済みである。
命中精度は高く、CEP(円偏差)は1メートル以下である。現在、海軍向け拡張射程型の配備も進められており、将来的には極超音速(マッハ5以上)のブラモス-IIも計画されている。
戦果と評価
インド空軍はパキスタン空域を侵犯せず、スタンドオフ型兵器による精密打撃を成功させ、パキスタン空軍の中国製HQ-9防空システムなどを無力化した。パキスタン側は反撃としてインド軍のS-400拠点やブラモス弾薬庫を攻撃したと主張したが、国際的には否定された。
戦後、モディ首相およびラジナート・シン国防相はS-400システム配備基地を訪問し、兵士を激励した。
将来展望
本作戦を通じ、インドの対空防衛力と長距離攻撃能力の重要性が再確認された。今後はロシアとの連携を更に強化し、S-500の導入、Su-57第5世代戦闘機の共同生産、R-37M空対空ミサイルの取得、Su-30MKIのアップグレード、そしてカミカゼ型ドローンの共同開発など、様々な可能性が示唆されている。
【詳細】
インドのS-400防空システムの実戦投入とその影響
2025年4月22日にカシミール地方で発生したテロ攻撃(パーハルガーム事件)に対する報復として、インド空軍は5月7日未明、「シンドゥール作戦(Operation Sindoor)」を発動し、パキスタン国内の9つのテロ組織関連目標に対して長距離スタンドオフ兵器を使用した空爆を実施した。この作戦では、ラファール戦闘機に搭載されたSCALPミサイル、インド・ロシア共同開発のブラモス巡航ミサイル、インド陸軍によるスカイストライカー(インド・イスラエル共同開発の徘徊型兵器)などが使用された。
インドの攻撃は主に、ジャイシュ・エ・モハンマドやラシュカレ・トイバといった武装組織のキャンプおよびインフラに対して行われ、パキスタンの軍事・民間施設は標的とされなかった。攻撃の成功は写真付きでメディアに公表された。
パキスタンの反撃とS-400の役割
これに対して、パキスタンは「バニヤン・ウン・マルスース作戦(Operation Bunyan-un-Marsoos)」を発動し、インド国内の軍事・民間目標に対して大規模なドローンおよびミサイル攻撃を実施した。標的はジャンムー・カシミールからグジャラートに至る各地の空軍基地などであったが、インドはS-400防空システム(インド名:スダルシャン・チャクラ)や国産アカーシュシステム、DRDO(国防研究開発機構)開発の4D対ドローンシステムなどによりこれを撃退し、被害は軽微にとどまった。
S-400はこの戦闘で初めて実戦投入された。システムはロシア製で、4種類のミサイルと4種のレーダーを組み合わせ、最長600kmの探知能力と400kmの迎撃能力を有している。1システムで最大72基のランチャーと384発のミサイルを管制可能であり、機動性、迅速な展開、レイヤードディフェンス能力に優れている。
ブラモス巡航ミサイルの実戦活用
ブラモスはインドとロシアが共同開発した超音速巡航ミサイルで、地上・艦上・空中・潜水艦発射型の多様なバリアントが存在する。初期の射程は290kmであったが、インドがミサイル技術管理レジーム(MTCR)に加盟後、射程は800~900kmにまで拡大された。特に、Su-30MKI戦闘機に搭載されるブラモスA型は、射程約500kmで対地・対艦攻撃に使用された。命中精度はCEP1m以下とされており、従来の戦術攻撃兵器より高精度である。
ブラモスの次世代型(BrahMos-NG)、および超音速を超える極超音速型(BrahMos-II)も開発中であり、UAV搭載型やUCAV型も将来的に導入予定である。
作戦全体の評価と今後の展望
インドはこの作戦を通じ、空軍の戦略的打撃能力、整備された防空体制、精密兵器運用能力、情報収集・分析能力などにおいて優位性を発揮した。また、ロシア由来の兵器システム(S-400およびブラモス)はその性能を十分に証明し、国際的な評価も高まった。
今後、インドは以下のようなロシアとの更なる軍事協力を検討している:
・S-500(射程600km以上)の導入
・Su-57(第5世代戦闘機)の「Make in India」型開発
・R-37M(長距離空対空ミサイル)の導入
・Su-30MKIのアップグレード
・カミカゼドローンに関する共同開発と量産
インドはまた、核潜水艦開発でもロシアの協力を模索している。
【要点】
1. インドの報復攻撃「シンドゥール作戦」
・2025年4月22日、インド領内カシミールのパーハルガームで発生したテロ攻撃を受け、インドは報復作戦を計画。
・5月7日未明、インド空軍はパキスタン領内のテロ組織関連施設に対し、「シンドゥール作戦(Operation Sindoor)」を発動。
・攻撃には以下の兵器を使用
➢SCALP巡航ミサイル(フランス製、ラファール戦闘機から発射)
➢ブラモス巡航ミサイル(インド・ロシア共同開発)
➢スカイストライカー徘徊型兵器(インド・イスラエル共同開発)
・標的はジャイシュ・エ・モハンマドやラシュカレ・トイバの訓練キャンプ、弾薬庫、通信施設等。
・パキスタンの政府・軍施設は意図的に標的から除外された。
・インドは作戦成功を公式に発表し、攻撃成果の写真も公表した。
2. パキスタンの報復「バニヤン・ウン・マルスース作戦」
・パキスタンは対抗措置として「バニヤン・ウン・マルスース作戦(Operation Bunyan-un-Marsoos)」を発動。
・大規模なドローンおよびミサイル攻撃をインド領内に対して実施。
・攻撃対象はインドのジャンムー・カシミールからグジャラートに及ぶ空軍基地など。
・インドは被害を最小限に抑えることに成功。
3. S-400防空システムの初実戦投入
・インドはロシア製**S-400防空システム(インド名:スダルシャン・チャクラ)**を初めて実戦投入。
・システムの特徴は以下の通り
➢最大4種類のミサイルを統合運用(最長迎撃距離:400km)
➢4種類のレーダーによる統合監視(探知距離最大600km)
➢1システムで最大384発のミサイルを同時制御可能
➢レイヤード防空(段階的な防空)能力を有する
➢機動性・迅速な展開能力に優れる
・インドではパンジャブ州に展開し、北部戦域をカバー。
4. ブラモス巡航ミサイルの運用
・ブラモスはインドとロシアが共同開発した超音速巡航ミサイルである。
・初期型の射程は290kmであったが、MTCR加盟後、射程は最大900kmに拡張。
・空中発射型ブラモスA(Su-30MKI戦闘機に搭載)が今回の攻撃で使用された。
➢射程:約500km
➢命中精度:CEP1m以下
・陸上発射型および艦載型も運用中。
・将来的には以下の派生型が予定されている:
➢ブラモス-NG(次世代型、小型軽量)
➢ブラモス-II(極超音速型)
・UAV・UCAV用バージョン
5. インドの国産防空技術の活躍
・S-400の他に以下の国産・外国製統合防空資産が用いられた:
➢アカーシュ地対空ミサイルシステム
➢DRDO開発の4D対ドローン・センサー・ジャマー・マイクロ波兵器複合システム
➢ネートラ空中早期警戒機(AEW&C)
・これらの連携により、パキスタンの攻撃は効果を大きく制限された。
6. 今後の展望とロシアとの軍事協力拡大
・今回の戦闘でロシア製兵器の実効性が証明されたことで、インドは以下のロシア製装備の導入を検討:
➢S-500防空システム(射程600km超)
➢Su-57第5世代戦闘機(Make in India 方式による導入)
➢R-37M長距離空対空ミサイル
➢Su-30MKIの近代化改修
➢カミカゼドローンの共同開発・製造
・さらに、核潜水艦関連技術においてもロシアとの協力強化が見込まれている。
💚【桃源寸評】
インド・パキスタン両国は今回の軍事衝突において、単なる報復戦争ではなく、自国製・輸入兵器の「実戦プロモーション」の場としても活用している様相が顕著である。以下に、その実態を箇条書きで整理する。
1.インド:兵器輸出拡大戦略との連動
・S-400の実戦投入
☞ロシア製兵器だが、インドは「統合防空運用能力」を実演。自国のネットワーク能力の高さを誇示。
☞今後の「Make in India」型共同開発(例:S-500導入交渉)への布石。
・ブラモス巡航ミサイルの実射映像公開
☞フィリピンなどへの輸出契約済み。
☞ベトナム、インドネシア、UAEなどへの売り込みを加速。
☞実戦データは、対中国を見据えるアジア諸国への強力なアピール材料。
・スカイストライカー(イスラエルとの共同開発)運用
☞ドローン技術の運用ノウハウを世界に発信。
☞DRDO製国産ドローンの商業化にも有利に働く。
・国産レーダー・対ドローン兵器の使用
☞国産装備の性能を「防衛輸出カタログ」として明示。
☞対UAV戦の成功は、低価格帯兵器市場での競争力を強化。
2.パキスタン:ドローン戦術のデモンストレーション国家化
・大量のUAV・ミサイルを同時使用
☞「ドローン飽和攻撃」能力を誇示。
☞トルコ・中国と連携したUAVの国際共同開発・輸出において実績となる。
・中国製装備の戦力実証
☞習得した中国技術(例:レーダー、電子戦)の戦場での有効性を提示。
☞「中国・パキスタン共同軍事産業圏」の宣伝材料。
・オペレーション名の宗教的象徴性
☞「バニヤン・ウン・マルスース(団結せし鎧)」は宗教色を強め、イスラム圏への影響力拡大と市場戦略にも活用可能。
総評:「戦争は外交の延長、兵器は宣伝の道具」
・今回の小規模衝突は「全面戦争」ではなく、「限定戦争+武器ショーケース」の側面が強い。
・両国とも、兵器の信頼性・精度・運用体系のアピールを意識した作戦設計を行っている。
・兵器輸出を通じた外交・経済・技術波及効果を明確に狙っている。
この戦いは、「地政学的な対立」だけでなく、「兵器市場の覇権争い」の延長線上にある・
まさに「火を吹く武器が、次の商談を呼ぶ」という状態である。
【寸評 完】
【引用・参照・底本】
How Moscow’s legendary S-400 missiles helped India outgun Pakistan RT 2025.05.21
https://www.rt.com/india/617955-brahmos--s-400-india-pakistan/
2025年5月、インドとパキスタンの間で発生した軍事衝突「オペレーション・シンドゥール(Sindoor)」は、両国が核兵器保有国であり、空軍力も拮抗していることから、歴史的にも特筆すべき事例であった。本作戦においてインドは、ロシア製のS-400地対空ミサイルシステムおよびその他の高性能兵器システムを効果的に運用し、パキスタンに対して大きな軍事的優位を確保したとされている。
作戦の背景と展開
作戦の発端は、2025年4月22日にジャンムー・カシミール州のパハルガームにおいて、パキスタン支援とされるテロ組織による観光客への攻撃であり、26名の民間人が犠牲となったことである。これを受け、インドは5月7日未明に空爆作戦を開始。コードネーム「シンドゥール」とされた本作戦では、ラファール戦闘機によるSCALP巡航ミサイルや、インド陸軍のイスラエル製SkyStriker遊弋型兵器、インド・ロシア共同開発のブラモス(BrahMos)巡航ミサイルが使用され、パキスタン領内の複数のテロリスト拠点が精密攻撃された。
これに対し、パキスタンは「ブニヤン・ウル・マルスース作戦」と称して大規模なドローンおよびミサイル攻撃を展開。これには空軍基地や軍事施設、民間施設が標的に含まれていた。
インドはこれを、S-400「スダルシャン・チャクラ」と命名されたシステムを含む統合防空システムおよびAkash防空システムにより効果的に迎撃。攻撃による被害は極めて限定的であり、民間人への被害もごくわずかであった。
S-400ミサイルシステムの詳細
S-400「トリウームフ」は、ロシアのNPOアルマズが開発した移動式地対空ミサイルシステムであり、S-300の後継機種として2007年にロシア軍で運用開始された。最大探知距離は600キロメートル、交戦可能距離は最大400キロメートルであり、複数種のミサイルと4種類のレーダーを組み合わせ、重層的な防空が可能である。インドは2018年に5基を契約し、総額は約54億3000万ドルである。2025年5月時点で3基がインド国内で運用されており、残り2基は2025年末から2026年にかけて配備予定である。
インドのS-400はパキスタンのミサイル・ドローン攻撃に対して初の実戦使用がなされ、その高い迎撃能力を発揮したとされる。
ブラモス巡航ミサイル
ブラモスはインドのDRDOとロシアのNPOマシノストロイエニヤによって共同開発された超音速巡航ミサイルであり、2007年より運用が開始されている。陸・海・空の各プラットフォームから発射可能であり、最大速度はマッハ3、最新の拡張型では最大射程は800〜900キロメートルに達する。空中発射型(ブラモス-A)はスホーイSu-30MKI戦闘機に搭載可能であり、50機が改修済みである。
命中精度は高く、CEP(円偏差)は1メートル以下である。現在、海軍向け拡張射程型の配備も進められており、将来的には極超音速(マッハ5以上)のブラモス-IIも計画されている。
戦果と評価
インド空軍はパキスタン空域を侵犯せず、スタンドオフ型兵器による精密打撃を成功させ、パキスタン空軍の中国製HQ-9防空システムなどを無力化した。パキスタン側は反撃としてインド軍のS-400拠点やブラモス弾薬庫を攻撃したと主張したが、国際的には否定された。
戦後、モディ首相およびラジナート・シン国防相はS-400システム配備基地を訪問し、兵士を激励した。
将来展望
本作戦を通じ、インドの対空防衛力と長距離攻撃能力の重要性が再確認された。今後はロシアとの連携を更に強化し、S-500の導入、Su-57第5世代戦闘機の共同生産、R-37M空対空ミサイルの取得、Su-30MKIのアップグレード、そしてカミカゼ型ドローンの共同開発など、様々な可能性が示唆されている。
【詳細】
インドのS-400防空システムの実戦投入とその影響
2025年4月22日にカシミール地方で発生したテロ攻撃(パーハルガーム事件)に対する報復として、インド空軍は5月7日未明、「シンドゥール作戦(Operation Sindoor)」を発動し、パキスタン国内の9つのテロ組織関連目標に対して長距離スタンドオフ兵器を使用した空爆を実施した。この作戦では、ラファール戦闘機に搭載されたSCALPミサイル、インド・ロシア共同開発のブラモス巡航ミサイル、インド陸軍によるスカイストライカー(インド・イスラエル共同開発の徘徊型兵器)などが使用された。
インドの攻撃は主に、ジャイシュ・エ・モハンマドやラシュカレ・トイバといった武装組織のキャンプおよびインフラに対して行われ、パキスタンの軍事・民間施設は標的とされなかった。攻撃の成功は写真付きでメディアに公表された。
パキスタンの反撃とS-400の役割
これに対して、パキスタンは「バニヤン・ウン・マルスース作戦(Operation Bunyan-un-Marsoos)」を発動し、インド国内の軍事・民間目標に対して大規模なドローンおよびミサイル攻撃を実施した。標的はジャンムー・カシミールからグジャラートに至る各地の空軍基地などであったが、インドはS-400防空システム(インド名:スダルシャン・チャクラ)や国産アカーシュシステム、DRDO(国防研究開発機構)開発の4D対ドローンシステムなどによりこれを撃退し、被害は軽微にとどまった。
S-400はこの戦闘で初めて実戦投入された。システムはロシア製で、4種類のミサイルと4種のレーダーを組み合わせ、最長600kmの探知能力と400kmの迎撃能力を有している。1システムで最大72基のランチャーと384発のミサイルを管制可能であり、機動性、迅速な展開、レイヤードディフェンス能力に優れている。
ブラモス巡航ミサイルの実戦活用
ブラモスはインドとロシアが共同開発した超音速巡航ミサイルで、地上・艦上・空中・潜水艦発射型の多様なバリアントが存在する。初期の射程は290kmであったが、インドがミサイル技術管理レジーム(MTCR)に加盟後、射程は800~900kmにまで拡大された。特に、Su-30MKI戦闘機に搭載されるブラモスA型は、射程約500kmで対地・対艦攻撃に使用された。命中精度はCEP1m以下とされており、従来の戦術攻撃兵器より高精度である。
ブラモスの次世代型(BrahMos-NG)、および超音速を超える極超音速型(BrahMos-II)も開発中であり、UAV搭載型やUCAV型も将来的に導入予定である。
作戦全体の評価と今後の展望
インドはこの作戦を通じ、空軍の戦略的打撃能力、整備された防空体制、精密兵器運用能力、情報収集・分析能力などにおいて優位性を発揮した。また、ロシア由来の兵器システム(S-400およびブラモス)はその性能を十分に証明し、国際的な評価も高まった。
今後、インドは以下のようなロシアとの更なる軍事協力を検討している:
・S-500(射程600km以上)の導入
・Su-57(第5世代戦闘機)の「Make in India」型開発
・R-37M(長距離空対空ミサイル)の導入
・Su-30MKIのアップグレード
・カミカゼドローンに関する共同開発と量産
インドはまた、核潜水艦開発でもロシアの協力を模索している。
【要点】
1. インドの報復攻撃「シンドゥール作戦」
・2025年4月22日、インド領内カシミールのパーハルガームで発生したテロ攻撃を受け、インドは報復作戦を計画。
・5月7日未明、インド空軍はパキスタン領内のテロ組織関連施設に対し、「シンドゥール作戦(Operation Sindoor)」を発動。
・攻撃には以下の兵器を使用
➢SCALP巡航ミサイル(フランス製、ラファール戦闘機から発射)
➢ブラモス巡航ミサイル(インド・ロシア共同開発)
➢スカイストライカー徘徊型兵器(インド・イスラエル共同開発)
・標的はジャイシュ・エ・モハンマドやラシュカレ・トイバの訓練キャンプ、弾薬庫、通信施設等。
・パキスタンの政府・軍施設は意図的に標的から除外された。
・インドは作戦成功を公式に発表し、攻撃成果の写真も公表した。
2. パキスタンの報復「バニヤン・ウン・マルスース作戦」
・パキスタンは対抗措置として「バニヤン・ウン・マルスース作戦(Operation Bunyan-un-Marsoos)」を発動。
・大規模なドローンおよびミサイル攻撃をインド領内に対して実施。
・攻撃対象はインドのジャンムー・カシミールからグジャラートに及ぶ空軍基地など。
・インドは被害を最小限に抑えることに成功。
3. S-400防空システムの初実戦投入
・インドはロシア製**S-400防空システム(インド名:スダルシャン・チャクラ)**を初めて実戦投入。
・システムの特徴は以下の通り
➢最大4種類のミサイルを統合運用(最長迎撃距離:400km)
➢4種類のレーダーによる統合監視(探知距離最大600km)
➢1システムで最大384発のミサイルを同時制御可能
➢レイヤード防空(段階的な防空)能力を有する
➢機動性・迅速な展開能力に優れる
・インドではパンジャブ州に展開し、北部戦域をカバー。
4. ブラモス巡航ミサイルの運用
・ブラモスはインドとロシアが共同開発した超音速巡航ミサイルである。
・初期型の射程は290kmであったが、MTCR加盟後、射程は最大900kmに拡張。
・空中発射型ブラモスA(Su-30MKI戦闘機に搭載)が今回の攻撃で使用された。
➢射程:約500km
➢命中精度:CEP1m以下
・陸上発射型および艦載型も運用中。
・将来的には以下の派生型が予定されている:
➢ブラモス-NG(次世代型、小型軽量)
➢ブラモス-II(極超音速型)
・UAV・UCAV用バージョン
5. インドの国産防空技術の活躍
・S-400の他に以下の国産・外国製統合防空資産が用いられた:
➢アカーシュ地対空ミサイルシステム
➢DRDO開発の4D対ドローン・センサー・ジャマー・マイクロ波兵器複合システム
➢ネートラ空中早期警戒機(AEW&C)
・これらの連携により、パキスタンの攻撃は効果を大きく制限された。
6. 今後の展望とロシアとの軍事協力拡大
・今回の戦闘でロシア製兵器の実効性が証明されたことで、インドは以下のロシア製装備の導入を検討:
➢S-500防空システム(射程600km超)
➢Su-57第5世代戦闘機(Make in India 方式による導入)
➢R-37M長距離空対空ミサイル
➢Su-30MKIの近代化改修
➢カミカゼドローンの共同開発・製造
・さらに、核潜水艦関連技術においてもロシアとの協力強化が見込まれている。
💚【桃源寸評】
インド・パキスタン両国は今回の軍事衝突において、単なる報復戦争ではなく、自国製・輸入兵器の「実戦プロモーション」の場としても活用している様相が顕著である。以下に、その実態を箇条書きで整理する。
1.インド:兵器輸出拡大戦略との連動
・S-400の実戦投入
☞ロシア製兵器だが、インドは「統合防空運用能力」を実演。自国のネットワーク能力の高さを誇示。
☞今後の「Make in India」型共同開発(例:S-500導入交渉)への布石。
・ブラモス巡航ミサイルの実射映像公開
☞フィリピンなどへの輸出契約済み。
☞ベトナム、インドネシア、UAEなどへの売り込みを加速。
☞実戦データは、対中国を見据えるアジア諸国への強力なアピール材料。
・スカイストライカー(イスラエルとの共同開発)運用
☞ドローン技術の運用ノウハウを世界に発信。
☞DRDO製国産ドローンの商業化にも有利に働く。
・国産レーダー・対ドローン兵器の使用
☞国産装備の性能を「防衛輸出カタログ」として明示。
☞対UAV戦の成功は、低価格帯兵器市場での競争力を強化。
2.パキスタン:ドローン戦術のデモンストレーション国家化
・大量のUAV・ミサイルを同時使用
☞「ドローン飽和攻撃」能力を誇示。
☞トルコ・中国と連携したUAVの国際共同開発・輸出において実績となる。
・中国製装備の戦力実証
☞習得した中国技術(例:レーダー、電子戦)の戦場での有効性を提示。
☞「中国・パキスタン共同軍事産業圏」の宣伝材料。
・オペレーション名の宗教的象徴性
☞「バニヤン・ウン・マルスース(団結せし鎧)」は宗教色を強め、イスラム圏への影響力拡大と市場戦略にも活用可能。
総評:「戦争は外交の延長、兵器は宣伝の道具」
・今回の小規模衝突は「全面戦争」ではなく、「限定戦争+武器ショーケース」の側面が強い。
・両国とも、兵器の信頼性・精度・運用体系のアピールを意識した作戦設計を行っている。
・兵器輸出を通じた外交・経済・技術波及効果を明確に狙っている。
この戦いは、「地政学的な対立」だけでなく、「兵器市場の覇権争い」の延長線上にある・
まさに「火を吹く武器が、次の商談を呼ぶ」という状態である。
【寸評 完】
【引用・参照・底本】
How Moscow’s legendary S-400 missiles helped India outgun Pakistan RT 2025.05.21
https://www.rt.com/india/617955-brahmos--s-400-india-pakistan/