韓国・日本よ、台湾に構うな2023年08月07日 21:29

江戸名勝図会及役者絵(国立国会図書館デジタルコレクション)
 台湾海峡での戦争が起こった場合に韓国に影響を及ぼす可能性について論じている。中国、台湾、北朝鮮の関係性に焦点を当て、台湾に対する中国の侵攻に対するアメリカの介入が行われた場合、北朝鮮が韓国に対して攻撃を行う可能性があるとしている。

 台湾海峡での戦争が起こる場合の影響

 アメリカが台湾を中国の侵攻から守るために介入する場合、北朝鮮は中国の要請に応じて、韓国に対する攻撃を行う可能性があると指摘されている。韓国はアメリカの台湾海峡での戦争に注力する中、相対的に脆弱な状態になることが懸念されている。

 韓国の懸念と課題

 韓国の政府や専門家は、北朝鮮が台湾海峡の紛争を利用して攻撃を仕掛ける可能性に不安を抱いている。台湾海峡での戦争は、韓国を含む地域全体に深刻な経済的影響をもたらすだけでなく、アメリカと中国の間で政治的に苦しい立場に置かれることが懸念されている。

 中国と北朝鮮の関係

 中国と北朝鮮は長年の同盟関係を持っており、同時に台湾海峡と朝鮮半島の紛争を連動させる可能性があるとされている。中国は台湾独立を促進し、韓国が反中国のアメリカの立場を支持することに対して警戒している。

 韓国の対応

 韓国は、北朝鮮が台湾海峡の戦争を利用して攻撃を行う可能性に対して懸念を抱いているが、実際には北朝鮮の行動は事前に予測が難しく、台湾海峡の戦争に合わせて攻撃を仕掛ける可能性は低いとされている。

 北朝鮮の攻撃シナリオ

 北朝鮮が韓国に対して行う可能性のある攻撃として、小規模な攻撃や大規模な攻撃などが考えられている。しかし、大規模な攻撃は韓国の強力な軍事報復を招く可能性が高く、北朝鮮はこの選択をする可能性は低いとされている。

 核兵器使用の可能性

 北朝鮮が核兵器を使用して韓国や日本を攻撃する可能性は極めて低いとされており、そのような攻撃が行われた場合、アメリカの核兵器の存在が大きな威嚇となることが指摘されている。

 韓国の同盟関係と課題

 韓国はアメリカとの同盟関係により、他国の戦争に巻き込まれたり、危険な状況下で見捨てられる可能性を抱えている。このような状況が「韓国の三体問題」(註)として表現されている。

 台湾海峡での戦争が韓国に影響を及ぼす可能性に焦点を当てつつ、実際には北朝鮮が台湾紛争を利用して攻撃を仕掛ける可能性は低いという立場を示している。

【要点】

台湾海峡で戦争が起きた場合、中国、北朝鮮、韓国の間で三つ巴の紛争が起こる可能性について論じている。このような時期に北朝鮮が韓国に対して大規模な攻撃を開始する可能性は低いため、韓国人は北朝鮮が台湾海峡紛争を利用する可能性を不必要に心配していると主張する。北朝鮮の行動として最も可能性が高いのは、ミサイル実験や海軍の小競り合いなどの小規模な挑発ではないかと考えている。これらの攻撃が韓国の国家安全保障に重大な損害を与える可能性は低く、北朝鮮を抑止するために半島に米軍を駐留させる根拠が強化される可能性が高い。

台湾海峡戦争が起こった場合、韓国にとって本当の問題は北朝鮮ではなく中国になるだろうと主張している。中国は、ライバルを弱体化させ、米国の注意をそらす機会と見るため、このような時期に韓国に対して大規模な攻撃を開始する可能性が高まるだろう。したがって韓国人に対し、北朝鮮を心配するのではなく、中国の抑止に集中するよう促している。

台湾海峡で戦争が起こった場合、北朝鮮が韓国に対して大規模な攻撃を開始する可能性は低いため、北朝鮮が台湾海峡紛争に乗じて利用するという韓国の懸念は不要であると主張する。たとえ韓国が戦争に直接参加しなくても、米国との同盟関係により韓国が中国の標的になる可能性があるとも指摘している。

中国、台湾、北朝鮮を結びつける地政学的現象について論じている。台湾海峡での戦争は朝鮮半島で軍事衝突を引き起こす可能性があると指摘している。米国が台湾海峡まで約1500キロメートル離れた地点での戦闘に専念しているため、韓国国民が相対的に脆弱だと感じているとき、北朝鮮が韓国に対する侵略を実行する可能性があるからだ。

台湾海峡紛争を利用した北朝鮮の具体的なシナリオについて論じる。北朝鮮の対韓国政策は北朝鮮独自の検討とスケジュールに従っているため、このシナリオはありそうにないと主張する。北朝鮮が考え得る最も大胆な行動、つまり韓国人(または日本人)を殺害するための核兵器の使用は、たとえ米国が同時に台湾を守るために戦っているとしても、北朝鮮にとっては論外であるとも指摘している。

韓国と米国の同盟が韓国の三体問題の根本原因であると思われると主張している。また、中国と北朝鮮は近隣諸国に自分たちの意志を押し付けるために暴力をいとわないという点で非難に値するとも指摘している。台湾海峡で戦争が起こった場合、韓国の問題は北朝鮮ではなく中国になるだろうと述べている。

・台湾海峡での戦争は中国、北朝鮮、韓国の三つ巴の紛争を引き起こす可能性がある。
・韓国国民は北朝鮮が台湾海峡紛争を利用する可能性を不必要に心配している。
・このような紛争中に北朝鮮が行う可能性が最も高いのは、ミサイル実験や海軍の小競り合いなどの小規模な挑発だろう。
・北朝鮮による韓国に対する大規模な攻撃は、金政権の消滅につながる可能性が高いため、可能性は低い。
・台湾海峡戦争が起こった場合、韓国にとって本当の問題は北朝鮮ではなく中国だろう。
・韓国は北朝鮮を心配するよりも、中国を抑止することに集中すべきだ。

(註)
「韓国の三体問題」とは、文中で言及されている通り、台湾、中国、北朝鮮の関係性に関連する概念だ。この表現は、台湾海峡での戦争が発生した場合に韓国が直面する可能性のある二つの問題に焦点を当てている。具体的には以下の二つの問題が含まれる。

他国の戦争への巻き込み: 「韓国の三体問題」の一つ目の側面は、アメリカが台湾を中国の侵攻から守るために介入した場合、韓国が他国の戦争に巻き込まれる可能性を指している。韓国は、自国の安全と安定を維持する一方で、アメリカとの同盟関係によって他国の紛争に引き込まれる懸念を抱いている。

同盟国による見捨ての可能性: 二つ目の側面は、韓国が危険な状況に置かれた際に、同盟国であるアメリカによって見捨てられる可能性を指している。台湾海峡での戦争が進行中の場合、アメリカの関心がそちらに向かうため、韓国は相対的に脆弱な状態になることが懸念されている。

韓国は三体問題を解決するために、中国と北朝鮮との間でバランスをとる必要がある。しかし、中国と北朝鮮はいずれも韓国にとって脅威であり、韓国にとって三体問題は解決が難しい問題である。

この「韓国の三体問題」は、台湾、中国、北朝鮮の三国の政治的な関係性と、それによって引き起こされる潜在的なリスクや課題に焦点を当てた概念である。この表現は、韓国の外交政策と安全保障政策の課題を強調し、韓国がその中でバランスを取る難しさを示唆している。

※ 韓国の三体問題とは、韓国が直面している3つの課題を意味する言葉である。この3つの課題とは、北朝鮮の核・ミサイル開発、中国の台頭、そして経済成長の鈍化である。

北朝鮮の核・ミサイル開発は、韓国にとって最大の安全保障上の脅威である。北朝鮮は、2006年から2017年までに、計6回の実験で核兵器を開発しました。また、2017年には、ICBMである北極星2型を開発しました。北朝鮮の核・ミサイル開発は、韓国のみならず、日本、アメリカ、そして国際社会全体にとっても深刻な問題となっている。

中国の台頭も、韓国にとって大きな課題である。中国は、経済成長を続け、世界第2位の経済大国になった。中国は、韓国の最大の貿易相手国だ。しかし、中国は、韓国に対して、政治的、経済的に圧力を加えている。中国は、韓国が日本と軍事演習を行うことや、韓国がTHAADミサイルシステムを配備することに対して、反発している。

経済成長の鈍化も、韓国にとって大きな課題である。韓国経済は、1960年代から1980年代にかけて、急速な成長を遂げた。しかし、1990年代以降は、経済成長のペースが鈍化している。韓国経済の鈍化は、失業率の上昇や所得格差の拡大につながっている。

韓国の三体問題は、韓国が直面している深刻な問題だ。韓国政府は、これらの問題を解決するために、様々な施策を講じているが、解決には時間がかかりそうである。

引用・参照・底本

「In a Taiwan war Seoul’s problem won’t be Pyongyang」 ASIA TIMES 2023.08.07

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