尹大統領の夢中発言症症 ― 2024年12月14日 19:32
【桃源寸評】
常々ニュースに接していて、所謂"西側:民主主義等を標榜する国々"の政治家は、思考力を失っているのではと思うのだ。
論理も不合理も全く意に介さないで荒言する。つまり、政治家ではないのだ。今を何事から逃れる方便でしか過ぎない、架空に頼るのだ。その対象が他国であっても、すぐに露見することであってもである。
当該国家にとっては、<百害あって一利なし>の類の人物なのだろう。
【寸評 完】
【概要】
韓国の尹錫悦大統領が2024年12月12日に行った国民向け談話で、中国に関する発言をしたことに対して、中国国内で強い反発が生じている。尹大統領はこの談話において、中国人が関与したとされるスパイ事件を取り上げたが、中国側ではこれを尹大統領が自身に対する弾劾の動きをそらす意図があると主張する声が出ている。
中国の国営英字紙「グローバルタイムズ」は、尹大統領が談話で中国について言及したのは「関心を外部に向けるための意図的な行動である」と報じた。同紙はまた、尹大統領が国家安全保障が脅かされているという主張を通じて、非常戒厳宣言の正当性を作り出そうとしている可能性があるとの分析を示した。
尹大統領は談話の中で、野党が外国人のスパイ行為を処罰可能にする刑法改正を阻止していると批判し、中国人が関与したスパイ事件を具体例として挙げた。また、「中国産の太陽光施設が韓国全国の森林を破壊している」という主張もした。
これに対し、中国社会科学院の研究員である動向栄氏は、グローバルタイムズのインタビューで「尹大統領がなぜ中国をこれほど攻撃的に批判したのか、その意図は明確でない」と述べ、「中国への発言には論理的根拠がない」と指摘した。また、尹大統領の政治状況が自己統制可能な範囲を超えており、韓国の政治的情勢を注視する必要があると述べた。
中国復旦大学の朝鮮島研究センター主任である鄭継永氏は、尹大統領が国家安全保障の脅威を強調することで、右派勢力を結集し、弾劾への世論の関心をそらそうとしていると解釈している。
国営新華社通信の元副総編集である劉洪氏が運営するSNS「牛弾琴」でも、尹大統領の発言に対し、「いわゆる『中国スパイ』問題を持ち出すのは責任ある指導者の行動ではない」と批判した。同氏はさらに「尹大統領の発言はたわごとであり、中国に責任を押し付け、野党のせいにしている」と厳しい非難を行った。
これに先立ち、中国外務省の毛寧報道官も、尹大統領の談話に対し「深い驚きと不満」を表明した。毛報道官は、中国関連の要因と結び付けて「いわゆる『中国スパイ』」という主張を作り出し、正常な経済・貿易協力を汚す行為に断固反対すると述べた。また、このような行為は「中韓関係の健全かつ安定した発展にプラスにならない」と強調した。
【詳細】
尹錫悦大統領が2024年12月12日に行った国民向け談話の内容は、韓国国内外で大きな反響を引き起こしている。特に中国を名指しした部分が焦点となり、中国政府やメディア、専門家から厳しい批判が相次いでいる。この問題をさらに詳しく説明する。
尹大統領の談話の内容
尹大統領は、野党が外国人によるスパイ行為を刑法上処罰できるようにする改正案を阻止していることを非難した。具体例として、中国人が関与したスパイ事件を挙げ、これを韓国の国家安全保障に対する脅威として強調した。また、「中国産太陽光施設が韓国内の森林を破壊している」という主張を展開し、中国を批判する姿勢を明確にした。
中国の反応
中国政府の公式見解
中国外務省の毛寧報道官は、定例記者会見で韓国側の発言に対する「深い驚き(意外)と不満」を表明した。特に以下の点を強調した。
・中国がスパイ活動を行ったとする主張を「汚名」とし、これが根拠のない非難であると否定。
・「中国関連の要因と連携させ、いわゆる『中国スパイ』という虚偽の主張を展開することで、両国間の経済・貿易協力に悪影響を与えた」と述べ、韓国の対応が中韓関係の健全な発展を妨げると指摘。
中国メディアの報道
中国国営英字紙「グローバルタイムズ」は、尹大統領が談話で中国に言及したことについて、「国内の関心を外部に向けるための意図的な戦略」と報じた。また、非常戒厳宣言を正当化するために国家安全保障が脅かされているという主張を利用している可能性があるとの分析を示した。
さらに、中国のSNS「牛弾琴」を運営する劉洪元副総編集は、尹大統領の発言について以下のように批判した。
・「いわゆる『中国スパイ』問題を取り上げる行為は、責任ある指導者としてふさわしくない。」
・「尹大統領は中国への非難を通じて国内問題をそらそうとしており、その発言は信頼性を欠く。」
中国の学者・専門家の見解
1.中国社会科学院・動向栄研究員
動向栄研究員は、「尹大統領がなぜ中国を攻撃的に批判したのか、意図が不明である」と述べた。また、尹大統領の主張には論理的な根拠がなく、中国を批判することで得られる政治的利益が曖昧であることを指摘した。
2.復旦大学・鄭継永主任
鄭継永主任は、尹大統領が弾劾の圧力が強まる状況下で、国家安全保障の脅威を強調することで右派勢力を結集しようとしていると解釈した。また、この行動が弾劾に対する大衆の関心をそらす意図を持っている可能性を示唆した。
背景と韓国国内の政治状況
尹大統領は、近年の政策や政権運営に対して厳しい批判を受けており、野党勢力からの弾劾の動きが強まっている。そのため、今回の談話は、国内の不満を外部に向けさせ、政治的危機を回避する目的があるのではないかという見方が広がっている。
具体的には以下の点が背景にあると考えられる。
・野党との対立
野党は外国人のスパイ行為に対する刑法改正案を阻止しており、尹大統領はこれを国家安全保障の弱体化として批判している。
・弾劾の圧力
尹大統領に対する弾劾の動きが活発化しており、支持層を結束させるために国家安全保障や中国批判を利用しているとの指摘がある。
今後の影響
1.中韓関係の悪化
中国政府およびメディアの強い反応は、両国関係にさらなる緊張をもたらす可能性が高い。特に経済・貿易分野での協力が影響を受ける可能性がある。
2.韓国国内の政局への影響
尹大統領の発言が支持層を結集させる一方で、野党からの批判をさらに強める結果となる可能性がある。韓国国内で弾劾の議論がさらに活発化するかどうかが注目される。
3.地域的な安定への波及
尹大統領の発言が韓国だけでなく、東アジア全体の政治的緊張を高める可能性もある。特に日米韓と中国の対立構造がさらに強化されるリスクがある。
この問題は、単なる尹大統領個人の政治的立場にとどまらず、中韓関係や地域の安定性に大きな影響を及ぼす可能性がある。
【要点】
尹大統領の談話の主張
・野党が外国人スパイ行為を処罰可能にする刑法改正を阻止していると批判。
・中国人が関与したスパイ事件を例示し、国家安全保障の脅威を強調。
・「中国産太陽光施設が韓国の森林を破壊している」と非難。
中国の反応
中国政府
・外務省毛寧報道官が「深い驚きと不満」を表明。
・「中国スパイ」という主張を「汚名」とし、根拠がないと否定。
・韓国の対応が中韓関係の安定に悪影響を与えると警告。
中国メディア
・「グローバルタイムズ」:国内問題からの関心を外に逸らすための戦略と分析。
・SNS「牛弾琴」:発言を「責任ある指導者の行動ではない」と批判し、信頼性を欠くと非難。
専門家の見解
1.動向栄研究員
・尹大統領の中国批判に論理的根拠が欠けると指摘。
2.鄭継永主任
・国家安全保障を利用して右派勢力を結集し、弾劾への関心をそらそうとしていると解釈。
韓国国内の背景
・弾劾圧力:尹大統領に対する批判と弾劾の動きが高まっている。
・野党との対立:刑法改正阻止を巡り与野党間の緊張が続いている。
・国内支持層の結束を図るため、中国批判を利用しているとの見方がある。
今後の影響
1.中韓関係
・両国間の緊張が高まり、経済・貿易協力に悪影響を及ぼす可能性がある。
2.韓国国内政治
・支持層の結束を強める可能性がある一方、弾劾論議がさらに活発化するリスク。
3.地域的安定
・東アジア全体で政治的緊張が高まり、日米韓と中国の対立が激化する恐れ。
【引用・参照・底本】
中国メディア「中国スパイに言及した尹大統領、弾劾世論そらす意図」中央日報 2024.12.13
https://japanese.joins.com/JArticle/327378
韓国・尹錫悦大統領の弾劾可決 職務停止へ 日本経済新聞 2024.12.14
「韓国国会は14日、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領による非常戒厳宣言は憲法違反だとして野党側が提出した2度目の弾劾訴追案を可決した。尹氏は職務停止となり、韓悳洙(ハン・ドクス)首相が軍の統帥権を含む権限を代行する。憲法裁判所が180日以内に罷免の是非を判断する。」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM1420F0U4A211C2000000/?n_cid=BMSR2P001_202412141701
常々ニュースに接していて、所謂"西側:民主主義等を標榜する国々"の政治家は、思考力を失っているのではと思うのだ。
論理も不合理も全く意に介さないで荒言する。つまり、政治家ではないのだ。今を何事から逃れる方便でしか過ぎない、架空に頼るのだ。その対象が他国であっても、すぐに露見することであってもである。
当該国家にとっては、<百害あって一利なし>の類の人物なのだろう。
【寸評 完】
【概要】
韓国の尹錫悦大統領が2024年12月12日に行った国民向け談話で、中国に関する発言をしたことに対して、中国国内で強い反発が生じている。尹大統領はこの談話において、中国人が関与したとされるスパイ事件を取り上げたが、中国側ではこれを尹大統領が自身に対する弾劾の動きをそらす意図があると主張する声が出ている。
中国の国営英字紙「グローバルタイムズ」は、尹大統領が談話で中国について言及したのは「関心を外部に向けるための意図的な行動である」と報じた。同紙はまた、尹大統領が国家安全保障が脅かされているという主張を通じて、非常戒厳宣言の正当性を作り出そうとしている可能性があるとの分析を示した。
尹大統領は談話の中で、野党が外国人のスパイ行為を処罰可能にする刑法改正を阻止していると批判し、中国人が関与したスパイ事件を具体例として挙げた。また、「中国産の太陽光施設が韓国全国の森林を破壊している」という主張もした。
これに対し、中国社会科学院の研究員である動向栄氏は、グローバルタイムズのインタビューで「尹大統領がなぜ中国をこれほど攻撃的に批判したのか、その意図は明確でない」と述べ、「中国への発言には論理的根拠がない」と指摘した。また、尹大統領の政治状況が自己統制可能な範囲を超えており、韓国の政治的情勢を注視する必要があると述べた。
中国復旦大学の朝鮮島研究センター主任である鄭継永氏は、尹大統領が国家安全保障の脅威を強調することで、右派勢力を結集し、弾劾への世論の関心をそらそうとしていると解釈している。
国営新華社通信の元副総編集である劉洪氏が運営するSNS「牛弾琴」でも、尹大統領の発言に対し、「いわゆる『中国スパイ』問題を持ち出すのは責任ある指導者の行動ではない」と批判した。同氏はさらに「尹大統領の発言はたわごとであり、中国に責任を押し付け、野党のせいにしている」と厳しい非難を行った。
これに先立ち、中国外務省の毛寧報道官も、尹大統領の談話に対し「深い驚きと不満」を表明した。毛報道官は、中国関連の要因と結び付けて「いわゆる『中国スパイ』」という主張を作り出し、正常な経済・貿易協力を汚す行為に断固反対すると述べた。また、このような行為は「中韓関係の健全かつ安定した発展にプラスにならない」と強調した。
【詳細】
尹錫悦大統領が2024年12月12日に行った国民向け談話の内容は、韓国国内外で大きな反響を引き起こしている。特に中国を名指しした部分が焦点となり、中国政府やメディア、専門家から厳しい批判が相次いでいる。この問題をさらに詳しく説明する。
尹大統領の談話の内容
尹大統領は、野党が外国人によるスパイ行為を刑法上処罰できるようにする改正案を阻止していることを非難した。具体例として、中国人が関与したスパイ事件を挙げ、これを韓国の国家安全保障に対する脅威として強調した。また、「中国産太陽光施設が韓国内の森林を破壊している」という主張を展開し、中国を批判する姿勢を明確にした。
中国の反応
中国政府の公式見解
中国外務省の毛寧報道官は、定例記者会見で韓国側の発言に対する「深い驚き(意外)と不満」を表明した。特に以下の点を強調した。
・中国がスパイ活動を行ったとする主張を「汚名」とし、これが根拠のない非難であると否定。
・「中国関連の要因と連携させ、いわゆる『中国スパイ』という虚偽の主張を展開することで、両国間の経済・貿易協力に悪影響を与えた」と述べ、韓国の対応が中韓関係の健全な発展を妨げると指摘。
中国メディアの報道
中国国営英字紙「グローバルタイムズ」は、尹大統領が談話で中国に言及したことについて、「国内の関心を外部に向けるための意図的な戦略」と報じた。また、非常戒厳宣言を正当化するために国家安全保障が脅かされているという主張を利用している可能性があるとの分析を示した。
さらに、中国のSNS「牛弾琴」を運営する劉洪元副総編集は、尹大統領の発言について以下のように批判した。
・「いわゆる『中国スパイ』問題を取り上げる行為は、責任ある指導者としてふさわしくない。」
・「尹大統領は中国への非難を通じて国内問題をそらそうとしており、その発言は信頼性を欠く。」
中国の学者・専門家の見解
1.中国社会科学院・動向栄研究員
動向栄研究員は、「尹大統領がなぜ中国を攻撃的に批判したのか、意図が不明である」と述べた。また、尹大統領の主張には論理的な根拠がなく、中国を批判することで得られる政治的利益が曖昧であることを指摘した。
2.復旦大学・鄭継永主任
鄭継永主任は、尹大統領が弾劾の圧力が強まる状況下で、国家安全保障の脅威を強調することで右派勢力を結集しようとしていると解釈した。また、この行動が弾劾に対する大衆の関心をそらす意図を持っている可能性を示唆した。
背景と韓国国内の政治状況
尹大統領は、近年の政策や政権運営に対して厳しい批判を受けており、野党勢力からの弾劾の動きが強まっている。そのため、今回の談話は、国内の不満を外部に向けさせ、政治的危機を回避する目的があるのではないかという見方が広がっている。
具体的には以下の点が背景にあると考えられる。
・野党との対立
野党は外国人のスパイ行為に対する刑法改正案を阻止しており、尹大統領はこれを国家安全保障の弱体化として批判している。
・弾劾の圧力
尹大統領に対する弾劾の動きが活発化しており、支持層を結束させるために国家安全保障や中国批判を利用しているとの指摘がある。
今後の影響
1.中韓関係の悪化
中国政府およびメディアの強い反応は、両国関係にさらなる緊張をもたらす可能性が高い。特に経済・貿易分野での協力が影響を受ける可能性がある。
2.韓国国内の政局への影響
尹大統領の発言が支持層を結集させる一方で、野党からの批判をさらに強める結果となる可能性がある。韓国国内で弾劾の議論がさらに活発化するかどうかが注目される。
3.地域的な安定への波及
尹大統領の発言が韓国だけでなく、東アジア全体の政治的緊張を高める可能性もある。特に日米韓と中国の対立構造がさらに強化されるリスクがある。
この問題は、単なる尹大統領個人の政治的立場にとどまらず、中韓関係や地域の安定性に大きな影響を及ぼす可能性がある。
【要点】
尹大統領の談話の主張
・野党が外国人スパイ行為を処罰可能にする刑法改正を阻止していると批判。
・中国人が関与したスパイ事件を例示し、国家安全保障の脅威を強調。
・「中国産太陽光施設が韓国の森林を破壊している」と非難。
中国の反応
中国政府
・外務省毛寧報道官が「深い驚きと不満」を表明。
・「中国スパイ」という主張を「汚名」とし、根拠がないと否定。
・韓国の対応が中韓関係の安定に悪影響を与えると警告。
中国メディア
・「グローバルタイムズ」:国内問題からの関心を外に逸らすための戦略と分析。
・SNS「牛弾琴」:発言を「責任ある指導者の行動ではない」と批判し、信頼性を欠くと非難。
専門家の見解
1.動向栄研究員
・尹大統領の中国批判に論理的根拠が欠けると指摘。
2.鄭継永主任
・国家安全保障を利用して右派勢力を結集し、弾劾への関心をそらそうとしていると解釈。
韓国国内の背景
・弾劾圧力:尹大統領に対する批判と弾劾の動きが高まっている。
・野党との対立:刑法改正阻止を巡り与野党間の緊張が続いている。
・国内支持層の結束を図るため、中国批判を利用しているとの見方がある。
今後の影響
1.中韓関係
・両国間の緊張が高まり、経済・貿易協力に悪影響を及ぼす可能性がある。
2.韓国国内政治
・支持層の結束を強める可能性がある一方、弾劾論議がさらに活発化するリスク。
3.地域的安定
・東アジア全体で政治的緊張が高まり、日米韓と中国の対立が激化する恐れ。
【引用・参照・底本】
中国メディア「中国スパイに言及した尹大統領、弾劾世論そらす意図」中央日報 2024.12.13
https://japanese.joins.com/JArticle/327378
韓国・尹錫悦大統領の弾劾可決 職務停止へ 日本経済新聞 2024.12.14
「韓国国会は14日、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領による非常戒厳宣言は憲法違反だとして野党側が提出した2度目の弾劾訴追案を可決した。尹氏は職務停止となり、韓悳洙(ハン・ドクス)首相が軍の統帥権を含む権限を代行する。憲法裁判所が180日以内に罷免の是非を判断する。」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM1420F0U4A211C2000000/?n_cid=BMSR2P001_202412141701
尹大統領の支持率は11%に低下 ― 2024年12月14日 20:41
【概要】
韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領に対する2度目の弾劾訴追案が議論されている状況を伝えている。以下に詳述する。
1.弾劾訴追案の背景
尹大統領の弾劾訴追案が14日に国会で表決される予定である。これは、弾劾訴追案が1週間前に不成立となった後の再試みである。1次投票では、与党「国民の力」の議員が大半退出し、投票が成立しなかったが、今回は異なる結果になるとの予想が多い。
2.野党の立場
最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表は、弾劾が混乱を終息させる最も迅速で確実な方法であると強調している。同党は尹大統領の弾劾可決に向けた支持を訴え続けている。
3.与党内の状況
与党「国民の力」では、党論として弾劾反対を掲げているものの、個々の議員による自律投票を認める案が有力視されている。一部の議員が弾劾に賛成する意向を示しており、8票以上の離脱が既に予想されている。弾劾阻止の「マジノ線」が崩れたとする見方が党内外で広がっている。
4.賛成票の見通し
与党内で弾劾に賛成を公に表明した議員は7人であり、弾劾案可決の可能性が現実味を帯びている。さらに、匿名を希望する議員や親尹派の議員からも弾劾賛成票が出る可能性が示唆されている。
5.世論の動向
韓国ギャラップの世論調査によれば、尹大統領の職務遂行に対する肯定評価は11%と低迷し、弾劾支持は全体の75%に達している。一方、与党支持層では66%が弾劾に反対している。
6.今後の展開
尹大統領自身は「弾劾であれ捜査であれ、堂々と立ち向かう」とし、憲法裁判所の弾劾審理に対応する意思を表明している。与党内では、弾劾案可決後の政局への対応が議論されている。
弾劾表決を前にした韓国国内の政治状況と与野党の動向、さらに世論の反応を詳述している。尹大統領の運命を左右する重要な局面である。
【詳細】
1. 弾劾訴追案の背景と経緯
尹錫悦大統領に対する弾劾訴追案は、韓国国会で再び表決される予定である。この弾劾案は尹大統領の職務遂行における諸問題や国民の不満を背景としている。1週間前に行われた1次投票では、与党「国民の力」の議員が集団退出する戦略を採り、投票が不成立に終わった。しかし、今回の表決では与党内からも一定数の賛成票が出る可能性が高く、弾劾案の可決が現実味を帯びている。
弾劾案が可決された場合、2016年に弾劾された朴槿恵元大統領以来、8年ぶりの現職大統領に対する弾劾となる。
2. 野党「共に民主党」の立場と戦略
最大野党「共に民主党」の李在明代表は、弾劾が政治的混乱を終息させるための最も迅速かつ確実な方法であると主張している。同党は尹大統領に対する批判を強め、弾劾案の可決に向けて党内結束を図っている。特に、与党からの離脱票を引き出すための圧力を強め、弾劾支持を訴えるための集会や声明を繰り返している。
3. 与党「国民の力」の対応
与党「国民の力」は公式には弾劾反対を党論として掲げている。しかし、以下のような動向が見られる:
・党内での分裂
一部の与党議員は弾劾に賛成する意思を表明しており、現時点で公に賛成を示した議員は7人に達している。これにより、弾劾阻止の目安とされていた「離脱8票以内」というラインが事実上崩壊している。
・自律投票の可能性
与党内部では、従来の集団退出による表決不成立戦略を放棄し、議員個々の判断による自律投票を容認する案が有力視されている。この方針転換により、さらに多くの離脱票が出る可能性がある。
・党内の議論
権性東(クォン・ソンドン)院内代表は、弾劾案の表決直前に議員総会を開き、108人の与党議員の意見を反映した最終決定を下す方針を示している。ただし、この総会でも党論の維持と議員個々の判断との折り合いをどうつけるかが焦点となっている。
4. 弾劾賛成派の議員
与党「国民の力」の中で弾劾に賛成する意思を明らかにした議員は以下の通りである:
・趙慶泰(チョ・ギョンテ)議員
・安哲秀(アン・チョルス)議員
・金相旭(キム・サンウク)議員
・金睿智(キム・イェジ)議員
・金宰燮(キム・ジェソプ)議員
・秦鍾午(チン・ジョンオ)議員
・韓智雅(ハン・ジア)議員
これらの議員の一部は、1次投票にも賛成票を投じており、表決での姿勢を明確にしている。
5. 世論の動向
韓国ギャラップの世論調査によると、尹大統領の支持率は11%に低下し、弾劾を支持する国民は75%に達している。この調査は全国の満18歳以上の1002人を対象に行われたもので、信頼水準は95%、標本誤差は±3.1ポイントである。
・与党支持層の意見
国民全体では弾劾支持が圧倒的多数を占めるものの、与党「国民の力」の支持層では66%が弾劾に反対している。このように、弾劾に対する意見は政党支持層ごとに大きな差がある。
6. 尹大統領の立場と戦略
尹大統領は「弾劾であれ捜査であれ、堂々と立ち向かう」と述べており、憲法裁判所での弾劾審理に対応する意向を明らかにしている。また、12日の声明では非常戒厳宣言の正当性を説明するなど、弾劾への対抗姿勢を示している。
しかし、この声明は一部の批判的な世論をさらに強める結果となり、与党内の弾劾賛成票を増加させる要因ともなったと見られる。
7. 今後の展開
弾劾案が可決される場合、尹大統領は職務が一時停止され、憲法裁判所による弾劾審理が開始される。審理結果次第では、尹大統領が正式に罷免される可能性もある。与党「国民の力」は、弾劾案が可決された場合の政局対応について検討を進めているが、党内の分裂や世論の動向が政局に大きな影響を与えると見られる。
以上のように、韓国政界では尹大統領の弾劾を巡り与野党間および与党内での複雑な攻防が繰り広げられている。結果次第では、韓国の政治情勢に大きな変化が生じる可能性がある。
【要点】
尹錫悦大統領の弾劾に関する現状と詳細
1. 弾劾訴追案の背景
・尹大統領の職務遂行に対する批判や国民の不満が高まり、弾劾案が国会で再び表決される予定。
・1週間前の1次投票は与党議員の集団退出により不成立だったが、今回の可決の可能性が高い。
2. 野党「共に民主党」の立場
・李在明代表は弾劾が最速で政治混乱を収束させる手段だと主張。
・与党からの離脱票を引き出すための働きかけを強化。
3. 与党「国民の力」の対応
・弾劾反対を掲げるが、党内で分裂が進行。
・一部議員が弾劾賛成を表明(計7名)。
・自律投票を容認する可能性があり、集団退出戦略を放棄する動き。
4. 弾劾賛成を公言した与党議員
・趙慶泰(チョ・ギョンテ)、安哲秀(アン・チョルス)、金相旭(キム・サンウク)ら計7名が賛成の意思を表明。
5. 世論の動向
・尹大統領の支持率:11%(韓国ギャラップ調査)。
・弾劾支持:国民全体の75%が賛成。
・与党支持層では弾劾反対が66%。
6. 尹大統領の対応
・弾劾への対抗姿勢を強調し、憲法裁判所での審理に対応する意向。
・非常戒厳宣言の正当性を説明するも、世論の批判を強めた。
7. 弾劾案可決後のプロセス
・弾劾案可決時、大統領の職務が一時停止され、憲法裁判所での審理が開始。
・審理結果次第では正式に罷免の可能性。
8. 今後の焦点
・与党内の分裂拡大と、離脱票の行方。
・憲法裁判所での弾劾審理の進展。
・韓国の政局と国民の支持動向の変化。
【引用・参照・底本】
尹大統領の弾劾阻止線、事実上崩壊…「与党の賛成8票超える」中央日報 2024.12.13
https://japanese.joins.com/JArticle/327385
韓国・尹錫悦大統領の弾劾可決 職務停止へ 日本経済新聞 2024.12.14
「韓国国会は14日、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領による非常戒厳宣言は憲法違反だとして野党側が提出した2度目の弾劾訴追案を可決した。尹氏は職務停止となり、韓悳洙(ハン・ドクス)首相が軍の統帥権を含む権限を代行する。憲法裁判所が180日以内に罷免の是非を判断する。」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM1420F0U4A211C2000000/?n_cid=BMSR2P001_202412141701
韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領に対する2度目の弾劾訴追案が議論されている状況を伝えている。以下に詳述する。
1.弾劾訴追案の背景
尹大統領の弾劾訴追案が14日に国会で表決される予定である。これは、弾劾訴追案が1週間前に不成立となった後の再試みである。1次投票では、与党「国民の力」の議員が大半退出し、投票が成立しなかったが、今回は異なる結果になるとの予想が多い。
2.野党の立場
最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表は、弾劾が混乱を終息させる最も迅速で確実な方法であると強調している。同党は尹大統領の弾劾可決に向けた支持を訴え続けている。
3.与党内の状況
与党「国民の力」では、党論として弾劾反対を掲げているものの、個々の議員による自律投票を認める案が有力視されている。一部の議員が弾劾に賛成する意向を示しており、8票以上の離脱が既に予想されている。弾劾阻止の「マジノ線」が崩れたとする見方が党内外で広がっている。
4.賛成票の見通し
与党内で弾劾に賛成を公に表明した議員は7人であり、弾劾案可決の可能性が現実味を帯びている。さらに、匿名を希望する議員や親尹派の議員からも弾劾賛成票が出る可能性が示唆されている。
5.世論の動向
韓国ギャラップの世論調査によれば、尹大統領の職務遂行に対する肯定評価は11%と低迷し、弾劾支持は全体の75%に達している。一方、与党支持層では66%が弾劾に反対している。
6.今後の展開
尹大統領自身は「弾劾であれ捜査であれ、堂々と立ち向かう」とし、憲法裁判所の弾劾審理に対応する意思を表明している。与党内では、弾劾案可決後の政局への対応が議論されている。
弾劾表決を前にした韓国国内の政治状況と与野党の動向、さらに世論の反応を詳述している。尹大統領の運命を左右する重要な局面である。
【詳細】
1. 弾劾訴追案の背景と経緯
尹錫悦大統領に対する弾劾訴追案は、韓国国会で再び表決される予定である。この弾劾案は尹大統領の職務遂行における諸問題や国民の不満を背景としている。1週間前に行われた1次投票では、与党「国民の力」の議員が集団退出する戦略を採り、投票が不成立に終わった。しかし、今回の表決では与党内からも一定数の賛成票が出る可能性が高く、弾劾案の可決が現実味を帯びている。
弾劾案が可決された場合、2016年に弾劾された朴槿恵元大統領以来、8年ぶりの現職大統領に対する弾劾となる。
2. 野党「共に民主党」の立場と戦略
最大野党「共に民主党」の李在明代表は、弾劾が政治的混乱を終息させるための最も迅速かつ確実な方法であると主張している。同党は尹大統領に対する批判を強め、弾劾案の可決に向けて党内結束を図っている。特に、与党からの離脱票を引き出すための圧力を強め、弾劾支持を訴えるための集会や声明を繰り返している。
3. 与党「国民の力」の対応
与党「国民の力」は公式には弾劾反対を党論として掲げている。しかし、以下のような動向が見られる:
・党内での分裂
一部の与党議員は弾劾に賛成する意思を表明しており、現時点で公に賛成を示した議員は7人に達している。これにより、弾劾阻止の目安とされていた「離脱8票以内」というラインが事実上崩壊している。
・自律投票の可能性
与党内部では、従来の集団退出による表決不成立戦略を放棄し、議員個々の判断による自律投票を容認する案が有力視されている。この方針転換により、さらに多くの離脱票が出る可能性がある。
・党内の議論
権性東(クォン・ソンドン)院内代表は、弾劾案の表決直前に議員総会を開き、108人の与党議員の意見を反映した最終決定を下す方針を示している。ただし、この総会でも党論の維持と議員個々の判断との折り合いをどうつけるかが焦点となっている。
4. 弾劾賛成派の議員
与党「国民の力」の中で弾劾に賛成する意思を明らかにした議員は以下の通りである:
・趙慶泰(チョ・ギョンテ)議員
・安哲秀(アン・チョルス)議員
・金相旭(キム・サンウク)議員
・金睿智(キム・イェジ)議員
・金宰燮(キム・ジェソプ)議員
・秦鍾午(チン・ジョンオ)議員
・韓智雅(ハン・ジア)議員
これらの議員の一部は、1次投票にも賛成票を投じており、表決での姿勢を明確にしている。
5. 世論の動向
韓国ギャラップの世論調査によると、尹大統領の支持率は11%に低下し、弾劾を支持する国民は75%に達している。この調査は全国の満18歳以上の1002人を対象に行われたもので、信頼水準は95%、標本誤差は±3.1ポイントである。
・与党支持層の意見
国民全体では弾劾支持が圧倒的多数を占めるものの、与党「国民の力」の支持層では66%が弾劾に反対している。このように、弾劾に対する意見は政党支持層ごとに大きな差がある。
6. 尹大統領の立場と戦略
尹大統領は「弾劾であれ捜査であれ、堂々と立ち向かう」と述べており、憲法裁判所での弾劾審理に対応する意向を明らかにしている。また、12日の声明では非常戒厳宣言の正当性を説明するなど、弾劾への対抗姿勢を示している。
しかし、この声明は一部の批判的な世論をさらに強める結果となり、与党内の弾劾賛成票を増加させる要因ともなったと見られる。
7. 今後の展開
弾劾案が可決される場合、尹大統領は職務が一時停止され、憲法裁判所による弾劾審理が開始される。審理結果次第では、尹大統領が正式に罷免される可能性もある。与党「国民の力」は、弾劾案が可決された場合の政局対応について検討を進めているが、党内の分裂や世論の動向が政局に大きな影響を与えると見られる。
以上のように、韓国政界では尹大統領の弾劾を巡り与野党間および与党内での複雑な攻防が繰り広げられている。結果次第では、韓国の政治情勢に大きな変化が生じる可能性がある。
【要点】
尹錫悦大統領の弾劾に関する現状と詳細
1. 弾劾訴追案の背景
・尹大統領の職務遂行に対する批判や国民の不満が高まり、弾劾案が国会で再び表決される予定。
・1週間前の1次投票は与党議員の集団退出により不成立だったが、今回の可決の可能性が高い。
2. 野党「共に民主党」の立場
・李在明代表は弾劾が最速で政治混乱を収束させる手段だと主張。
・与党からの離脱票を引き出すための働きかけを強化。
3. 与党「国民の力」の対応
・弾劾反対を掲げるが、党内で分裂が進行。
・一部議員が弾劾賛成を表明(計7名)。
・自律投票を容認する可能性があり、集団退出戦略を放棄する動き。
4. 弾劾賛成を公言した与党議員
・趙慶泰(チョ・ギョンテ)、安哲秀(アン・チョルス)、金相旭(キム・サンウク)ら計7名が賛成の意思を表明。
5. 世論の動向
・尹大統領の支持率:11%(韓国ギャラップ調査)。
・弾劾支持:国民全体の75%が賛成。
・与党支持層では弾劾反対が66%。
6. 尹大統領の対応
・弾劾への対抗姿勢を強調し、憲法裁判所での審理に対応する意向。
・非常戒厳宣言の正当性を説明するも、世論の批判を強めた。
7. 弾劾案可決後のプロセス
・弾劾案可決時、大統領の職務が一時停止され、憲法裁判所での審理が開始。
・審理結果次第では正式に罷免の可能性。
8. 今後の焦点
・与党内の分裂拡大と、離脱票の行方。
・憲法裁判所での弾劾審理の進展。
・韓国の政局と国民の支持動向の変化。
【引用・参照・底本】
尹大統領の弾劾阻止線、事実上崩壊…「与党の賛成8票超える」中央日報 2024.12.13
https://japanese.joins.com/JArticle/327385
韓国・尹錫悦大統領の弾劾可決 職務停止へ 日本経済新聞 2024.12.14
「韓国国会は14日、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領による非常戒厳宣言は憲法違反だとして野党側が提出した2度目の弾劾訴追案を可決した。尹氏は職務停止となり、韓悳洙(ハン・ドクス)首相が軍の統帥権を含む権限を代行する。憲法裁判所が180日以内に罷免の是非を判断する。」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM1420F0U4A211C2000000/?n_cid=BMSR2P001_202412141701
中国は慎重かつ計画的な戦略を取るべきである ― 2024年12月14日 21:13
【概要】
南京大学国際関係学院の院長であるZhu Feng氏は、2025年に北京で開催された「グローバルタイムズ年次会議2025」(テーマ:「共に前進するパートナーシップ:中国と世界の価値の共鳴」)において、大国間の相互作用のあり方は常に存在してきたと述べている。重要なのは、この相互作用がどのような背景と国際的文脈の中で行われるのか、そして各国の戦略的発展の需要を満たすためにどのような価値を促進する必要があるのかである、と指摘した。
Zhu 氏によると、今年の大国関係には以下の3つの特徴がある。
1.国内政治要因の影響:国内の政治的要因が発酵し、大国の外交政策に新たな不確実性をもたらしている。
2.戦略的核心問題における対立の深化:戦略的な核心問題に関する意見の相違や論争がより深刻化している。
3.アメリカの利益中心主義と保護主義の影響:アメリカの利益中心のアプローチや保護主義が、世界経済と貿易状況に挑戦をもたらす可能性が高まっている。
さらに、Zhu 氏は、中国が世界第2位の経済大国として、国際秩序やそのルールに対する理解を進化させつつあることを強調した。特に、世界との関係においてその理解が深化している点が重要であると述べた。また、大国間の相互作用の本質は、我々(中国)と世界の関係の変化を理解し、この変革期における中国の主要な国際的利益を特定することにあると指摘した。
Zhu 氏は、台頭する中国が世界に影響を与え、世界を再形成していく過程は一夜にして成し遂げられるものではなく、長期的かつ持続的な努力が必要であると結論づけた。
【詳細】
Zhu Feng氏は、大国間の相互作用が時代を超えて常に存在してきたものの、その形態や内容は、国際的な背景や文脈によって大きく変化する点を強調している。その上で、現在の国際関係において注目すべき点として、各国の戦略的発展に対応するために促進すべき価値観が何であるかを議論する必要性を指摘した。
現代の大国関係の特徴
Zhu 氏は、2024年における大国関係の特徴を次の3つの点で説明している。
1.国内政治要因による不確実性の増大
国内の政治的な状況や政策の変化が、各国の外交方針に大きな影響を及ぼしていると述べた。これにより、外交政策がより予測困難なものとなり、大国間の相互作用に不確実性をもたらしている。例えば、米国や欧州などの主要国では、国内の政治的分断や選挙による政権交代が外交政策に影響を与えるケースが増えている。
2.戦略的核心問題を巡る対立の深化
各国が持つ戦略的な利益や目標が衝突する場面が増えていると指摘した。具体的には、米中間の貿易戦争や安全保障を巡る対立、またはロシア・ウクライナ戦争などが挙げられる。このような対立が、国際社会全体に緊張をもたらしている。
3.アメリカの利益中心主義と保護主義の影響
アメリカの外交政策が、自国の利益を優先し、保護主義的な方向に進んでいることが、国際経済や貿易の安定に対するリスクを高めていると指摘した。これは特に、自由貿易体制や多国間協調の枠組みに挑戦をもたらす要因となっている。
中国の役割と大国関係の本質
Zhu 氏は、中国が世界第2位の経済大国として国際秩序やルールに対する理解を深めつつある現状についても言及した。その中で、以下の点を重視した。
1.中国の視点から見る国際秩序
中国は、これまで受動的に国際秩序に従う立場にあったが、近年では国際社会の主要な一員として、秩序の形成や再構築に積極的に関与する姿勢を見せている。これは、中国が自身の経済力や影響力を活用して、世界のルールや規範をより自国の利益や価値観に合った形で再定義しようとする動きである。
2.大国間相互作用の本質
Zhu 氏は、大国間の相互作用の本質を「中国と世界の関係の変化を理解すること」だと説明している。この理解を通じて、中国はどのような国際的利益を優先すべきかを見極めることが重要であるとした。これは、貿易、技術革新、安全保障、気候変動といった幅広い分野での国際協力や競争において、中国が自国の戦略的優位性を確保することを意味している。
3.長期的視野の必要性
Zhu 氏は、中国が国際社会での影響力を高め、世界を再形成していくプロセスは、一朝一夕で達成されるものではなく、長期的かつ持続的な努力が必要であると述べた。このため、中国は慎重かつ計画的に自国の利益を追求しつつ、他国との協調を図る必要があると指摘している。
国際社会への提言
Zhu 氏は、大国間の競争が激化する一方で、協力を通じて多国間主義や国際協調を促進することの重要性を強調している。特に、グローバルな課題(気候変動、貧困削減、パンデミック対応など)に対して、各国が価値観の違いを超えて共通の利益を追求する姿勢が求められるとした。中国はこれらの分野で積極的なリーダーシップを発揮するべきだとも述べている。
総括
Zhu Feng氏の発言は、中国が国際社会の中でいかにして自国の利益を守りつつ、大国間の競争と協力のバランスを取るべきかを深く考察したものである。特に、国内外の要因が絡み合う複雑な現代の国際関係において、中国が長期的視点での戦略的アプローチを取る必要性を説いている点が注目される。
【要点】
Zhu Feng氏の主張を箇条書きで説明
大国関係の特徴
1.国内政治要因の影響
・国内の政治状況や政策変化が各国の外交政策に不確実性をもたらしている。
・米国や欧州での政治的分断や選挙が外交方針に影響。
2.戦略的核心問題における対立の深化
・各国の戦略的利益が衝突し、米中間の貿易摩擦やロシア・ウクライナ戦争などの対立が深刻化。
3.アメリカの利益中心主義と保護主義の影響
・アメリカの利益優先主義が自由貿易体制や国際経済の安定に挑戦をもたらしている。
中国の役割とアプローチ
1.国際秩序における進化
中国は受動的な立場から、積極的に国際秩序の形成や再構築に関与する段階に移行。
2.大国間相互作用の本質
・世界との関係の変化を理解し、中国が優先すべき国際的利益を特定することが重要。
3.長期的視野の必要性
・中国の国際的影響力拡大は長期的努力が必要で、一夜にして達成されるものではない。
国際社会への提言
1.多国間主義の推進
・大国間の競争激化の中でも協調を重視し、多国間主義を強化。
2.グローバル課題への対応
・気候変動、パンデミック、貧困削減といった課題での国際協力を促進。
・中国はこれらの分野でリーダーシップを発揮。
総括
・大国間関係は国内外の複雑な要因で構成されており、中国は慎重かつ計画的な戦略を取るべきである。
【引用・参照・底本】
The way of interaction among great powers has always existed: Chinese scholar GT 2024.12.14
https://www.globaltimes.cn/page/202412/1325038.shtml
南京大学国際関係学院の院長であるZhu Feng氏は、2025年に北京で開催された「グローバルタイムズ年次会議2025」(テーマ:「共に前進するパートナーシップ:中国と世界の価値の共鳴」)において、大国間の相互作用のあり方は常に存在してきたと述べている。重要なのは、この相互作用がどのような背景と国際的文脈の中で行われるのか、そして各国の戦略的発展の需要を満たすためにどのような価値を促進する必要があるのかである、と指摘した。
Zhu 氏によると、今年の大国関係には以下の3つの特徴がある。
1.国内政治要因の影響:国内の政治的要因が発酵し、大国の外交政策に新たな不確実性をもたらしている。
2.戦略的核心問題における対立の深化:戦略的な核心問題に関する意見の相違や論争がより深刻化している。
3.アメリカの利益中心主義と保護主義の影響:アメリカの利益中心のアプローチや保護主義が、世界経済と貿易状況に挑戦をもたらす可能性が高まっている。
さらに、Zhu 氏は、中国が世界第2位の経済大国として、国際秩序やそのルールに対する理解を進化させつつあることを強調した。特に、世界との関係においてその理解が深化している点が重要であると述べた。また、大国間の相互作用の本質は、我々(中国)と世界の関係の変化を理解し、この変革期における中国の主要な国際的利益を特定することにあると指摘した。
Zhu 氏は、台頭する中国が世界に影響を与え、世界を再形成していく過程は一夜にして成し遂げられるものではなく、長期的かつ持続的な努力が必要であると結論づけた。
【詳細】
Zhu Feng氏は、大国間の相互作用が時代を超えて常に存在してきたものの、その形態や内容は、国際的な背景や文脈によって大きく変化する点を強調している。その上で、現在の国際関係において注目すべき点として、各国の戦略的発展に対応するために促進すべき価値観が何であるかを議論する必要性を指摘した。
現代の大国関係の特徴
Zhu 氏は、2024年における大国関係の特徴を次の3つの点で説明している。
1.国内政治要因による不確実性の増大
国内の政治的な状況や政策の変化が、各国の外交方針に大きな影響を及ぼしていると述べた。これにより、外交政策がより予測困難なものとなり、大国間の相互作用に不確実性をもたらしている。例えば、米国や欧州などの主要国では、国内の政治的分断や選挙による政権交代が外交政策に影響を与えるケースが増えている。
2.戦略的核心問題を巡る対立の深化
各国が持つ戦略的な利益や目標が衝突する場面が増えていると指摘した。具体的には、米中間の貿易戦争や安全保障を巡る対立、またはロシア・ウクライナ戦争などが挙げられる。このような対立が、国際社会全体に緊張をもたらしている。
3.アメリカの利益中心主義と保護主義の影響
アメリカの外交政策が、自国の利益を優先し、保護主義的な方向に進んでいることが、国際経済や貿易の安定に対するリスクを高めていると指摘した。これは特に、自由貿易体制や多国間協調の枠組みに挑戦をもたらす要因となっている。
中国の役割と大国関係の本質
Zhu 氏は、中国が世界第2位の経済大国として国際秩序やルールに対する理解を深めつつある現状についても言及した。その中で、以下の点を重視した。
1.中国の視点から見る国際秩序
中国は、これまで受動的に国際秩序に従う立場にあったが、近年では国際社会の主要な一員として、秩序の形成や再構築に積極的に関与する姿勢を見せている。これは、中国が自身の経済力や影響力を活用して、世界のルールや規範をより自国の利益や価値観に合った形で再定義しようとする動きである。
2.大国間相互作用の本質
Zhu 氏は、大国間の相互作用の本質を「中国と世界の関係の変化を理解すること」だと説明している。この理解を通じて、中国はどのような国際的利益を優先すべきかを見極めることが重要であるとした。これは、貿易、技術革新、安全保障、気候変動といった幅広い分野での国際協力や競争において、中国が自国の戦略的優位性を確保することを意味している。
3.長期的視野の必要性
Zhu 氏は、中国が国際社会での影響力を高め、世界を再形成していくプロセスは、一朝一夕で達成されるものではなく、長期的かつ持続的な努力が必要であると述べた。このため、中国は慎重かつ計画的に自国の利益を追求しつつ、他国との協調を図る必要があると指摘している。
国際社会への提言
Zhu 氏は、大国間の競争が激化する一方で、協力を通じて多国間主義や国際協調を促進することの重要性を強調している。特に、グローバルな課題(気候変動、貧困削減、パンデミック対応など)に対して、各国が価値観の違いを超えて共通の利益を追求する姿勢が求められるとした。中国はこれらの分野で積極的なリーダーシップを発揮するべきだとも述べている。
総括
Zhu Feng氏の発言は、中国が国際社会の中でいかにして自国の利益を守りつつ、大国間の競争と協力のバランスを取るべきかを深く考察したものである。特に、国内外の要因が絡み合う複雑な現代の国際関係において、中国が長期的視点での戦略的アプローチを取る必要性を説いている点が注目される。
【要点】
Zhu Feng氏の主張を箇条書きで説明
大国関係の特徴
1.国内政治要因の影響
・国内の政治状況や政策変化が各国の外交政策に不確実性をもたらしている。
・米国や欧州での政治的分断や選挙が外交方針に影響。
2.戦略的核心問題における対立の深化
・各国の戦略的利益が衝突し、米中間の貿易摩擦やロシア・ウクライナ戦争などの対立が深刻化。
3.アメリカの利益中心主義と保護主義の影響
・アメリカの利益優先主義が自由貿易体制や国際経済の安定に挑戦をもたらしている。
中国の役割とアプローチ
1.国際秩序における進化
中国は受動的な立場から、積極的に国際秩序の形成や再構築に関与する段階に移行。
2.大国間相互作用の本質
・世界との関係の変化を理解し、中国が優先すべき国際的利益を特定することが重要。
3.長期的視野の必要性
・中国の国際的影響力拡大は長期的努力が必要で、一夜にして達成されるものではない。
国際社会への提言
1.多国間主義の推進
・大国間の競争激化の中でも協調を重視し、多国間主義を強化。
2.グローバル課題への対応
・気候変動、パンデミック、貧困削減といった課題での国際協力を促進。
・中国はこれらの分野でリーダーシップを発揮。
総括
・大国間関係は国内外の複雑な要因で構成されており、中国は慎重かつ計画的な戦略を取るべきである。
【引用・参照・底本】
The way of interaction among great powers has always existed: Chinese scholar GT 2024.12.14
https://www.globaltimes.cn/page/202412/1325038.shtml