詩聖 ロングフエロー2022年08月19日 17:40

ロングフエロー
 『座右銘』ガントレツト恒子編

  詩聖 ロングフエロー(ヘンリー・ワズスワス)  2022.08.19

  ◇ 八日(62頁)

 書物とは、人類の思想を秘めた墓場である。

  ◇ 十一日(63頁)

 死! 何物ぞ、この世の呼吸は、浄土の生命の延長である。
 清き限りない世界に入る門。それを死と稱ふ。

  ◇ 十一日(65-66頁)

 汝の力は全き結合にある。汝の危険は分裂に始まる。而して汝は世の凡てを兄弟として、平和の中に生存せんことに努めねばならぬ。

  ◇ 十九日(67-66頁)

 權勢は世の中を恐怖と疑惑の渦の中へ陥し入れる。
 法廷や兵營に費される富力の半ばを割いて、人心の向上進歩に使つたなら?
 要塞や砲兵工廠の必要も自然になくなるであらう。

  ◇ 二十六日(71頁)

 人生の航路は、闇夜に行きかふ船舶のやうなものだ。船人等が互ひに合圖し、言葉を掛けたかと思ふ間に、船は暗の底にその姿を消してしまふ。人生も同じやうに、相見、相語つたと思ふ間に、それは夢のやうに暗から暗へ消え失せて後にはかすかな音さへも殘らない。

  ◇ 二十七日(71頁)
 
 行ひは言葉にまさり、實行は誇りより強い。

引用・参照・底本

『座右銘』ガントレツト恒子編者 大正十五十一月年廿五日印刷 婦人新報社

(国立国会図書館デジタルコレクション)