トランプ政権が提示する資源協定の内容 ― 2025年04月02日 17:59
【桃源寸評】
支援しているのは米国だけではあるまい。
此れでは強奪に等しい。
しかし、まぁ、<捕らぬ狸の皮算用>なのか。
【寸評 完】
【概要】
ゼレンスキー大統領がトランプ前大統領の提示する資源協定を受け入れざるを得ない状況にあることを論じている。この協定は、ウクライナが全資源プロジェクトおよび関連インフラから得る収益の半分を米国管理の投資基金に拠出し、2022年以降の米国からの支援をこれによって返済することを求める内容である。また、新規プロジェクトに関して米国に優先交渉権を与え、他国への資源販売に対する拒否権を認めるものとされる。
この協定の厳しい条件は、ゼレンスキーが2月末にホワイトハウスでトランプおよびヴァンスと対立したことへの報復としての側面を持つ可能性がある。しかし、ウクライナに対しては「安全保障の保証」として提示されている。米国がこの資源プロジェクトを守ることで、ロシアの脅威を抑止し、2023年レベルの軍事・情報支援の再開や、場合によってはロシアとの直接対峙を通じた抑止が可能になるという論理である。
ウクライナはすでに2024年を通じて米国や主要なNATO諸国と二国間安全保障協定を締結しており、これにより一定の防衛支援を受けることが可能である。しかし、今回の資源協定は、米国が経済的利害を持つことで、より確実な抑止効果を生む可能性がある。一方で、この協定はウクライナの経済主権を損なうものであり、ゼレンスキーが国民に対して「主権を守るために戦っている」と説明してきたことと矛盾する。
仮にゼレンスキーがこの協定を受け入れれば、停戦や休戦、さらには平和条約の締結が進む可能性が高まる。しかし、これにより2014年以前のウクライナ領土の約5分の1に対するロシアの実効支配が事実上認められることとなり、ウクライナの領土的分割が確定するとの見方が広まる可能性がある。この結果、ウクライナで自由かつ公正な選挙が行われれば、ゼレンスキーの政治的キャリアが終わる可能性があり、彼が「自由の戦士」として築こうとしていた歴史的評価も失われることになる。
ゼレンスキーには、この協定を拒否しつつ別の選択肢を模索するという選択肢もある。しかし、英国やEU諸国と交渉しても、ウクライナが求める「安全保障の保証」は得られないと考えられる。ロシアと対峙し得る軍事力と意志を持つのは米国だけであり、さらにウクライナの資源が戦争状態にある中でどの程度の価値を持つかも不透明である。
ゼレンスキーが交渉を先延ばしにすれば、トランプはさらなる圧力をかける可能性がある。すでに一度、軍事・情報支援の一時停止を実施したことがあり、追加的な制裁措置やより厳しい条件を突きつける可能性もある。その間もロシアとの戦闘は続き、資源プロジェクトや関連インフラの開発は事実上不可能となる。さらに、戦争が長引けばロシアによるインフラ破壊のリスクも高まる。
一方で、ゼレンスキーがこの協定を受け入れれば、求めている「安全保障の保証」を得ることができ、停戦の可能性が高まる。さらに、トランプがロシアに対して追加的な制裁、特にロシアの原油購入国への二次的制裁を強化する可能性もある。結果として、ゼレンスキーは政治的キャリアと歴史的評価の喪失、経済主権の一部譲渡を余儀なくされるが、それを拒否するよりも悪い事態を回避できる可能性が高い。
【詳細】
ゼレンスキー大統領がトランプ前大統領の提示する資源協定を受け入れざるを得ない状況について詳述している。ここでは、協定の内容、背景、ゼレンスキーの選択肢、それぞれの結果の可能性について、さらに詳細に説明する。
1. トランプ政権が提示する資源協定の内容
本協定は、ウクライナの資源開発および関連インフラに関するものであり、具体的には以下の条件を含むとされる。
(1)ウクライナの資源プロジェクトからの収益の50%を米国管理の投資基金に拠出
・これにより、米国がウクライナの資源開発に実質的な支配権を持つことになる。
・米国側はこの基金を通じて資金を再分配し、ウクライナの経済やインフラ支援を管理する立場を確立する。
(2)2022年以降にウクライナが受けた米国の財政・軍事支援を、この収益で返済する
・これまで米国は数百億ドル規模の軍事・財政支援を行ってきたが、その負担をウクライナに転嫁する形となる。
・事実上、米国による支援は「投資」となり、返済を求める形に変わる。
(3)ウクライナの新たな資源プロジェクトについて、米国に優先交渉権を付与
・ウクライナ政府は、新たな鉱物採掘・エネルギープロジェクトを実施する際、まず米国に交渉権を与えなければならない。
・これにより、他国(特に欧州や中国)がウクライナの資源に直接アクセスする機会が大きく制限される。
(4)ウクライナの資源売却に対して、米国が拒否権を持つ
・ウクライナが自国の天然資源(レアアース、石油、ガスなど)を他国に販売しようとする場合、米国がそれを拒否する権利を持つ。
・これは、米国がウクライナの戦略資源の流通をコントロールし、特定の国(例えば中国やロシア)への供給を阻止するためと考えられる。
2. なぜトランプ政権はこのような条件を提示したのか
トランプ前大統領は、ゼレンスキー政権に対する不満を持ちつつも、ウクライナを戦略的に利用しようとしている。主な理由として以下が挙げられる。
(1)ゼレンスキーとの関係悪化
・2月下旬にゼレンスキーがホワイトハウスでトランプおよびJD・ヴァンス上院議員と対立したことが影響している。
・これが一種の報復措置として、ゼレンスキーに対し「厳しい条件の受け入れ」を迫る形になった。
(2)米国の利益の確保
・ウクライナは豊富なレアアースや天然資源を有する国であり、これを米国が独占的に管理することで、経済的・戦略的な影響力を強めることができる。
・特に、対中競争の観点から、ウクライナのレアアース供給を中国に依存させないことが目的とされる。
(3)ウクライナ戦争の負担を軽減
・2022年以降の米国の財政支援が巨額にのぼるため、今後は「援助」ではなく「投資」として扱い、ウクライナにその負担を転嫁する戦略を取る。
(4)戦争のコントロール
・ウクライナとの経済的結びつきを強化することで、戦争の終結を自らのタイミングで調整できるようにする意図があると考えられる。
3. ウクライナにとっての影響
ゼレンスキーにとって、この協定を受け入れることは重大な決断となる。その影響は多岐にわたる。
(1)ウクライナの経済主権の喪失
・資源開発の利益の半分を米国に献上し、さらに拒否権を持たれることで、ウクライナ政府の経済的な独立性は大きく損なわれる。
(2)政治的影響
・ゼレンスキーは、ウクライナ国民に「主権を守るために戦っている」と訴えてきたが、実際には経済主権の一部を譲渡せざるを得ない状況に陥る。
・これにより、国内の支持が低下し、自由選挙が行われた場合に再選の可能性が大きく損なわれる。
(3)停戦の可能性の上昇
・トランプがこの協定を通じて「ウクライナの安全を保証する」という見返りを提供している以上、ウクライナは停戦を受け入れる可能性が高まる。
・これにより、ロシアとの交渉が進む可能性があるが、その結果、ウクライナの東部およびクリミアの領土喪失が事実上確定することになる。
4. ゼレンスキーの選択肢
ゼレンスキーは、以下の二つの選択肢を持つ。
(1)協定を受け入れる
・米国の「安全保障の保証」を得ることで、戦争の終結に向けた交渉を進めることができる。
・しかし、その代償として政治的キャリアの終焉、歴史的評価の低下、ウクライナの経済主権の喪失を招く。
(2)協定を拒否し、他国と交渉する
・英国や欧州諸国との交渉を模索することも可能だが、これらの国々はウクライナの安全保障を直接保証する能力を持たない。
・結果として、トランプ政権からの圧力が強まり、米国の軍事・情報支援が一時停止される可能性がある。
5. 最終的な判断
ゼレンスキーがこの協定を拒否すれば、戦争の長期化と米国からの追加的な圧力が避けられない。しかし、受け入れればウクライナの経済的主権が損なわれ、ゼレンスキー自身の政治的キャリアも事実上終了する。
現状では、ウクライナが他の選択肢を持たないため、ゼレンスキーは最終的にこの協定を受け入れざるを得ない可能性が高い。
【要点】
1. トランプ政権が提示する資源協定の内容
・ウクライナの資源収益の50%を米国管理の投資基金に拠出
⇨ 米国がウクライナの資源開発を実質的に支配。
・米国の財政・軍事支援をウクライナの資源収益で返済
⇨ 米国の援助が「投資」に変わり、ウクライナに負担が転嫁。
・ウクライナの新規資源プロジェクトに米国が優先交渉権を持つ
⇨ 他国(特に欧州・中国)がウクライナの資源にアクセスしにくくなる。
・ウクライナの資源売却に米国が拒否権を持つ
⇨ 米国がウクライナの戦略資源の流通をコントロール。
2. トランプ政権の狙い
・ゼレンスキーとの関係悪化に対する圧力
⇨ 2月下旬のホワイトハウス訪問時の対立が影響。
・米国の経済的利益確保
⇨ レアアースなどの資源を独占し、対中競争を有利に進める。
・ウクライナ戦争の負担軽減
⇨ 米国の財政支援を「投資」とし、ウクライナに返済させる。
・戦争のコントロール
⇨ 経済的支配を通じて、ウクライナの戦争継続や停戦を調整。
3. ウクライナへの影響
・経済主権の喪失
⇨ 資源の管理権が実質的に米国の手に渡る。
・政治的影響
⇨ 「主権を守る」と訴えてきたゼレンスキーの立場が弱まる。
・停戦の可能性上昇
⇨ 米国の保証を条件に、ロシアとの交渉が進む可能性。
⇨ 東部・クリミアの領土喪失が確定する可能性。
4. ゼレンスキーの選択肢
(1)協定を受け入れる
・戦争終結に向けた交渉が進む。
・代償として政治的キャリアの終焉、経済主権喪失。
(2)協定を拒否し、他国と交渉する
・欧州などと協力模索も、実効性に乏しい。
・米国の軍事・情報支援停止の可能性。
5. 最終的な判断
・ウクライナは選択肢が限られ、ゼレンスキーは最終的に協定を受け入れる可能性が高い。
【引用・参照・底本】
Zelensky Has No Feasible Alternative To Accepting Trump’s Lopsided Resource Deal Andrew Korybko's Newsletter 2025.04.02
https://korybko.substack.com/p/zelensky-has-no-feasible-alternative?utm_source=post-email-title&publication_id=835783&post_id=160396104&utm_campaign=email-post-title&isFreemail=true&r=2gkj&triedRedirect=true&utm_medium=email
支援しているのは米国だけではあるまい。
此れでは強奪に等しい。
しかし、まぁ、<捕らぬ狸の皮算用>なのか。
【寸評 完】
【概要】
ゼレンスキー大統領がトランプ前大統領の提示する資源協定を受け入れざるを得ない状況にあることを論じている。この協定は、ウクライナが全資源プロジェクトおよび関連インフラから得る収益の半分を米国管理の投資基金に拠出し、2022年以降の米国からの支援をこれによって返済することを求める内容である。また、新規プロジェクトに関して米国に優先交渉権を与え、他国への資源販売に対する拒否権を認めるものとされる。
この協定の厳しい条件は、ゼレンスキーが2月末にホワイトハウスでトランプおよびヴァンスと対立したことへの報復としての側面を持つ可能性がある。しかし、ウクライナに対しては「安全保障の保証」として提示されている。米国がこの資源プロジェクトを守ることで、ロシアの脅威を抑止し、2023年レベルの軍事・情報支援の再開や、場合によってはロシアとの直接対峙を通じた抑止が可能になるという論理である。
ウクライナはすでに2024年を通じて米国や主要なNATO諸国と二国間安全保障協定を締結しており、これにより一定の防衛支援を受けることが可能である。しかし、今回の資源協定は、米国が経済的利害を持つことで、より確実な抑止効果を生む可能性がある。一方で、この協定はウクライナの経済主権を損なうものであり、ゼレンスキーが国民に対して「主権を守るために戦っている」と説明してきたことと矛盾する。
仮にゼレンスキーがこの協定を受け入れれば、停戦や休戦、さらには平和条約の締結が進む可能性が高まる。しかし、これにより2014年以前のウクライナ領土の約5分の1に対するロシアの実効支配が事実上認められることとなり、ウクライナの領土的分割が確定するとの見方が広まる可能性がある。この結果、ウクライナで自由かつ公正な選挙が行われれば、ゼレンスキーの政治的キャリアが終わる可能性があり、彼が「自由の戦士」として築こうとしていた歴史的評価も失われることになる。
ゼレンスキーには、この協定を拒否しつつ別の選択肢を模索するという選択肢もある。しかし、英国やEU諸国と交渉しても、ウクライナが求める「安全保障の保証」は得られないと考えられる。ロシアと対峙し得る軍事力と意志を持つのは米国だけであり、さらにウクライナの資源が戦争状態にある中でどの程度の価値を持つかも不透明である。
ゼレンスキーが交渉を先延ばしにすれば、トランプはさらなる圧力をかける可能性がある。すでに一度、軍事・情報支援の一時停止を実施したことがあり、追加的な制裁措置やより厳しい条件を突きつける可能性もある。その間もロシアとの戦闘は続き、資源プロジェクトや関連インフラの開発は事実上不可能となる。さらに、戦争が長引けばロシアによるインフラ破壊のリスクも高まる。
一方で、ゼレンスキーがこの協定を受け入れれば、求めている「安全保障の保証」を得ることができ、停戦の可能性が高まる。さらに、トランプがロシアに対して追加的な制裁、特にロシアの原油購入国への二次的制裁を強化する可能性もある。結果として、ゼレンスキーは政治的キャリアと歴史的評価の喪失、経済主権の一部譲渡を余儀なくされるが、それを拒否するよりも悪い事態を回避できる可能性が高い。
【詳細】
ゼレンスキー大統領がトランプ前大統領の提示する資源協定を受け入れざるを得ない状況について詳述している。ここでは、協定の内容、背景、ゼレンスキーの選択肢、それぞれの結果の可能性について、さらに詳細に説明する。
1. トランプ政権が提示する資源協定の内容
本協定は、ウクライナの資源開発および関連インフラに関するものであり、具体的には以下の条件を含むとされる。
(1)ウクライナの資源プロジェクトからの収益の50%を米国管理の投資基金に拠出
・これにより、米国がウクライナの資源開発に実質的な支配権を持つことになる。
・米国側はこの基金を通じて資金を再分配し、ウクライナの経済やインフラ支援を管理する立場を確立する。
(2)2022年以降にウクライナが受けた米国の財政・軍事支援を、この収益で返済する
・これまで米国は数百億ドル規模の軍事・財政支援を行ってきたが、その負担をウクライナに転嫁する形となる。
・事実上、米国による支援は「投資」となり、返済を求める形に変わる。
(3)ウクライナの新たな資源プロジェクトについて、米国に優先交渉権を付与
・ウクライナ政府は、新たな鉱物採掘・エネルギープロジェクトを実施する際、まず米国に交渉権を与えなければならない。
・これにより、他国(特に欧州や中国)がウクライナの資源に直接アクセスする機会が大きく制限される。
(4)ウクライナの資源売却に対して、米国が拒否権を持つ
・ウクライナが自国の天然資源(レアアース、石油、ガスなど)を他国に販売しようとする場合、米国がそれを拒否する権利を持つ。
・これは、米国がウクライナの戦略資源の流通をコントロールし、特定の国(例えば中国やロシア)への供給を阻止するためと考えられる。
2. なぜトランプ政権はこのような条件を提示したのか
トランプ前大統領は、ゼレンスキー政権に対する不満を持ちつつも、ウクライナを戦略的に利用しようとしている。主な理由として以下が挙げられる。
(1)ゼレンスキーとの関係悪化
・2月下旬にゼレンスキーがホワイトハウスでトランプおよびJD・ヴァンス上院議員と対立したことが影響している。
・これが一種の報復措置として、ゼレンスキーに対し「厳しい条件の受け入れ」を迫る形になった。
(2)米国の利益の確保
・ウクライナは豊富なレアアースや天然資源を有する国であり、これを米国が独占的に管理することで、経済的・戦略的な影響力を強めることができる。
・特に、対中競争の観点から、ウクライナのレアアース供給を中国に依存させないことが目的とされる。
(3)ウクライナ戦争の負担を軽減
・2022年以降の米国の財政支援が巨額にのぼるため、今後は「援助」ではなく「投資」として扱い、ウクライナにその負担を転嫁する戦略を取る。
(4)戦争のコントロール
・ウクライナとの経済的結びつきを強化することで、戦争の終結を自らのタイミングで調整できるようにする意図があると考えられる。
3. ウクライナにとっての影響
ゼレンスキーにとって、この協定を受け入れることは重大な決断となる。その影響は多岐にわたる。
(1)ウクライナの経済主権の喪失
・資源開発の利益の半分を米国に献上し、さらに拒否権を持たれることで、ウクライナ政府の経済的な独立性は大きく損なわれる。
(2)政治的影響
・ゼレンスキーは、ウクライナ国民に「主権を守るために戦っている」と訴えてきたが、実際には経済主権の一部を譲渡せざるを得ない状況に陥る。
・これにより、国内の支持が低下し、自由選挙が行われた場合に再選の可能性が大きく損なわれる。
(3)停戦の可能性の上昇
・トランプがこの協定を通じて「ウクライナの安全を保証する」という見返りを提供している以上、ウクライナは停戦を受け入れる可能性が高まる。
・これにより、ロシアとの交渉が進む可能性があるが、その結果、ウクライナの東部およびクリミアの領土喪失が事実上確定することになる。
4. ゼレンスキーの選択肢
ゼレンスキーは、以下の二つの選択肢を持つ。
(1)協定を受け入れる
・米国の「安全保障の保証」を得ることで、戦争の終結に向けた交渉を進めることができる。
・しかし、その代償として政治的キャリアの終焉、歴史的評価の低下、ウクライナの経済主権の喪失を招く。
(2)協定を拒否し、他国と交渉する
・英国や欧州諸国との交渉を模索することも可能だが、これらの国々はウクライナの安全保障を直接保証する能力を持たない。
・結果として、トランプ政権からの圧力が強まり、米国の軍事・情報支援が一時停止される可能性がある。
5. 最終的な判断
ゼレンスキーがこの協定を拒否すれば、戦争の長期化と米国からの追加的な圧力が避けられない。しかし、受け入れればウクライナの経済的主権が損なわれ、ゼレンスキー自身の政治的キャリアも事実上終了する。
現状では、ウクライナが他の選択肢を持たないため、ゼレンスキーは最終的にこの協定を受け入れざるを得ない可能性が高い。
【要点】
1. トランプ政権が提示する資源協定の内容
・ウクライナの資源収益の50%を米国管理の投資基金に拠出
⇨ 米国がウクライナの資源開発を実質的に支配。
・米国の財政・軍事支援をウクライナの資源収益で返済
⇨ 米国の援助が「投資」に変わり、ウクライナに負担が転嫁。
・ウクライナの新規資源プロジェクトに米国が優先交渉権を持つ
⇨ 他国(特に欧州・中国)がウクライナの資源にアクセスしにくくなる。
・ウクライナの資源売却に米国が拒否権を持つ
⇨ 米国がウクライナの戦略資源の流通をコントロール。
2. トランプ政権の狙い
・ゼレンスキーとの関係悪化に対する圧力
⇨ 2月下旬のホワイトハウス訪問時の対立が影響。
・米国の経済的利益確保
⇨ レアアースなどの資源を独占し、対中競争を有利に進める。
・ウクライナ戦争の負担軽減
⇨ 米国の財政支援を「投資」とし、ウクライナに返済させる。
・戦争のコントロール
⇨ 経済的支配を通じて、ウクライナの戦争継続や停戦を調整。
3. ウクライナへの影響
・経済主権の喪失
⇨ 資源の管理権が実質的に米国の手に渡る。
・政治的影響
⇨ 「主権を守る」と訴えてきたゼレンスキーの立場が弱まる。
・停戦の可能性上昇
⇨ 米国の保証を条件に、ロシアとの交渉が進む可能性。
⇨ 東部・クリミアの領土喪失が確定する可能性。
4. ゼレンスキーの選択肢
(1)協定を受け入れる
・戦争終結に向けた交渉が進む。
・代償として政治的キャリアの終焉、経済主権喪失。
(2)協定を拒否し、他国と交渉する
・欧州などと協力模索も、実効性に乏しい。
・米国の軍事・情報支援停止の可能性。
5. 最終的な判断
・ウクライナは選択肢が限られ、ゼレンスキーは最終的に協定を受け入れる可能性が高い。
【引用・参照・底本】
Zelensky Has No Feasible Alternative To Accepting Trump’s Lopsided Resource Deal Andrew Korybko's Newsletter 2025.04.02
https://korybko.substack.com/p/zelensky-has-no-feasible-alternative?utm_source=post-email-title&publication_id=835783&post_id=160396104&utm_campaign=email-post-title&isFreemail=true&r=2gkj&triedRedirect=true&utm_medium=email
頼清徳:「大きく変化する世界における台湾経済の新局面」 ― 2025年04月02日 19:00
【概要】
頼清徳総統は1日、「大きく変化する世界における台湾経済の新局面」をテーマに演説を行った。これは青年実業家を中心とする交流会「中華民国工商協進会青年工商団体聯誼餐会」において実施されたものであり、総統は台湾の投資環境の改善に関する政府の取り組みについて詳述した。
エネルギー問題
2016年と比較し、2025年現在において水道・電力・土地といった「5つの不足」問題は大幅に改善されている。データセンターや人工知能(AI)関連産業の電力需要を考慮した場合でも、2032年まで台湾の電力供給に問題はないと判断される。一方で、再生可能エネルギーの供給が依然として不足しており、政府は気候変動対策や欧州連合(EU)の炭素国境調整メカニズム(CBAM)への対応を踏まえ、再生可能エネルギーの開発を引き続き推進する方針である。
五大信頼産業
地政学的変化、世界のスマート化時代の到来、台湾の産業的優位性を考慮し、頼清徳総統は就任後、「五大信頼産業」として以下の分野を重視している。
・半導体
・人工知能(AI)
・軍需産業
・セキュリティ産業
・次世代通信
これらの産業振興のため、人材育成、税制優遇、融資支援、国際連携の強化に取り組んでいる。2018年に開始された「投資台湾三大方案」は、これまでに2兆5,389億元(約11.4兆円)の対台湾投資を促し、16万1,267の雇用を創出した。この計画は2027年まで延長され、さらに6,000億元(約2.7兆円)の投資を呼び込み、4万の雇用機会を創出することが見込まれている。
台湾が直面する3つの課題
台湾は以下の3つの課題に直面している。
1.米中対立によるサプライチェーン分断
・権威主義国家の連携が進む中、台湾は「ノン・レッド・サプライチェーン」(中国企業を排除した供給網)での存在感を高める必要がある。
2.デジタル・トランスフォーメーション(DX)
・AI技術を活用し、産業全体の高度化を図る。
3.ネット・ゼロ(カーボンニュートラル)への移行
・低炭素経済の発展を推進し、台湾を「AIの島」とする戦略を進める。
ネット・ゼロへの取り組み
台湾政府は、「産業創新条例」の改正を通じてAIやネット・ゼロ関連の設備投資を減税対象とし、以下の3つの戦略を展開する。
1.デジタル・トランスフォーメーション(DX)
2.ネット・ゼロ関連産業の支援
3.市場開拓の促進
これにより、中小企業や小規模企業の高度化を支援し、経済成長を促進する。
航空宇宙産業の発展
台湾は次世代通信産業の発展に向け、中低軌道衛星の開発を積極的に推進している。台湾の工作機械産業とICT産業の融合により、低軌道衛星産業の国際サプライチェーンに参入することに成功している。また、政府は台湾をアジアにおける無人機の供給拠点とすることを目標に掲げており、2028年には無人機の生産額が現在の10倍となる300億元(約1,350億円)に達すると見込まれる。
海外との投資協定
台湾企業が世界市場を開拓しやすくするため、政府は以下の施策を進めている。
・インドネシア、フィリピン、タイとの投資保護協定の締結
・環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)への加盟推進
・米国との「21世紀の貿易に関する台米イニシアチブ」第2段階交渉の準備
台湾企業の投資先の変化
2010年において、台湾の海外投資の83.8%が中国向けであったが、2024年にはその割合が8%にまで低下した。一方で、台湾の主な投資先は以下のように変化している。
・米国:42%
・日本、EU、新南向政策対象国(ASEAN諸国、南アジア、豪州、ニュージーランドなど18か国)
終わりに
頼清徳総統は本演説において、蔡英文前総統の政策を継承しつつ、台湾の経済発展に向けた新たな戦略的ビジョンを提示してきたと述べた。そして、国家の継続的な発展と次世代のために、より良い台湾を世界に提供する決意を改めて表明した。
【詳細】
頼清徳総統の演説は、台湾経済の現状と将来の発展戦略について広範に論じたものであり、政府の取り組みや今後の方向性が詳細に説明されている。以下、各項目についてさらに詳しく解説する。
1. エネルギー問題
台湾のエネルギー政策は、安定供給と環境対策の両立を目指している。特に、水道・電力・土地などの「5つの不足」問題は、過去数年間で政府が重点的に対処してきた課題である。
(1)電力供給の安定化
・データセンターやAI関連産業の発展に伴う電力需要増加を考慮しても、2032年までは供給が安定すると見込んでいる。
・原子力発電の維持や拡大については触れられていないが、再生可能エネルギーの強化により、エネルギー安全保障を確保する意向である。
(2)再生可能エネルギーの推進
・EUのCBAM(炭素国境調整メカニズム)への対応として、低炭素エネルギーの導入を加速させる必要がある。
・台湾政府は引き続き再生可能エネルギーの開発に注力し、企業のカーボンニュートラル対応を支援する。
2. 五大信頼産業
頼総統は台湾の経済成長を支える基幹産業として「五大信頼産業」を掲げた。
(1)半導体産業
・世界的な半導体供給網の要である台湾は、引き続き半導体の製造・開発能力を強化する。
・TSMCなどの企業による先端技術開発を支援し、世界市場での競争力を維持する。
(2)人工知能(AI)
・AI技術の発展は、製造業やサービス業の高度化に寄与する。
・政府はAI人材の育成や研究開発支援を強化し、台湾を「AIの島」とするビジョンを掲げる。
(3)軍需産業
・台湾の防衛自主性を強化するため、国産兵器の開発を促進する。
・無人機、ミサイル、レーダーシステムの生産を拡大し、国防産業の基盤を構築する。
(4)セキュリティ産業
・サイバーセキュリティ対策を強化し、台湾のデジタルインフラを保護する。
・AIを活用した情報セキュリティシステムの構築を推進する。
(5)次世代通信
・6G通信技術の開発を進め、台湾の通信インフラを強化する。
・中低軌道衛星技術と組み合わせた高度な通信ネットワークの確立を目指す。
また、「投資台湾三大方案」の延長によって、さらなる雇用創出と投資誘致を見込んでいる。
3. 台湾が直面する3つの課題
台湾経済が直面する主な課題は以下の3つである。
(1)米中対立によるサプライチェーン分断
・中国企業を排除した「ノン・レッド・サプライチェーン(Non-Red Supply Chain)」の構築が必要。
・台湾がこの流れから外れると、経済成長の機会を失う危険がある。
(2)デジタル・トランスフォーメーション(DX)
・産業全体のデジタル化を進め、企業の競争力を高める。
(3)ネット・ゼロへの転換
・低炭素社会への移行を推進し、温室効果ガスの排出削減を加速させる。
4. ネット・ゼロ
2050年のカーボンニュートラル達成を目標に、政府は以下の施策を推進する。
(1)低炭素経済の推進
・再生可能エネルギーの導入を拡大し、石炭火力発電の比率を低減。
(2)DXの活用
・AIとビッグデータを活用し、エネルギー効率を向上。
(3)中小企業支援
・産業創新条例の改正により、AIやネット・ゼロ関連設備への減税措置を導入。
5. 航空宇宙産業
台湾は航空宇宙分野での競争力を強化し、次の3つの分野で成長を目指している。
(1)中低軌道衛星の開発
・ICT産業との連携により、衛星産業のグローバルサプライチェーンに参入。
(2)無人機産業の強化
・2028年には無人機生産高を10倍に拡大し、300億元(約1,350億円)規模の市場を創出。
6. 海外との投資協定
台湾政府は、国際経済への統合を進めるため、以下の取り組みを進めている。
(1)投資保護協定の締結
・インドネシア、フィリピン、タイとの協定を締結し、東南アジア市場への参入を拡大。
(2)CPTPP加盟の推進
・日本やオーストラリアなどとの協力を強化し、加盟実現を目指す。
(3)米台貿易交渉
・「21世紀の貿易に関する台米イニシアチブ」の第2段階交渉を開始し、米国との貿易関係を強化。
7. 台湾企業の投資先の変化
・2010年には台湾企業の海外投資の83.8%が中国向けだったが、2024年には8%まで減少。
・現在、最大の投資先は米国(42%)であり、日本、EU、新南向政策対象国への投資が増加。
・これは、米中対立の影響や台湾政府の新南向政策(ASEAN諸国・南アジアへの経済進出促進)の結果と考えられる。
8. 終わりに
頼清徳総統は、蔡英文前総統の政策を引き継ぎながら、新たな経済戦略を提示している。台湾経済の安定と発展を目指し、政府は以下の点を強調している。
・投資環境の改善を通じた経済成長
・産業の高度化と国際競争力の強化
・持続可能な開発とカーボンニュートラルの推進
頼総統は「次世代のためにより良い国を残し、世界のためにより良い台湾を提供する」と述べ、経済発展のビジョンを強く訴えた。
【要点】
頼清徳総統の演説要点(台湾経済の現状と戦略)
1. エネルギー政策
(1)電力供給の安定
・2032年まで安定供給が可能と試算
・AI・データセンターの需要増にも対応
(2)再生可能エネルギーの推進
・EUのCBAM対応として低炭素エネルギー導入加速
・企業のカーボンニュートラル対応を支援
2. 五大信頼産業(台湾経済の柱)
(1)半導体
・TSMCを中心に先端技術開発を推進
(2)人工知能(AI)
・「AIの島」構想、AI人材育成・支援
(3)軍需産業
・無人機・ミサイル・レーダー開発を促進
(4)セキュリティ産業
・AI活用によるサイバーセキュリティ強化
(5)次世代通信
・6G開発推進・中低軌道衛星技術の確立
3. 台湾経済が直面する3つの課題
(1)米中対立によるサプライチェーン分断
・「ノン・レッド・サプライチェーン」構築の必要性
(2)デジタル・トランスフォーメーション(DX)
・産業のデジタル化推進
(3)ネット・ゼロへの転換
・温室効果ガス削減と低炭素社会構築
4. ネット・ゼロ(カーボンニュートラル)
(1)2050年の達成目標
(2)施策
・再生可能エネルギー拡大・石炭火力削減
・AI・ビッグデータ活用によるエネルギー効率向上
・中小企業向け減税措置(AI・脱炭素設備)
5. 航空宇宙産業の強化
(1)中低軌道衛星開発
・ICT産業との連携でグローバル市場参入
(2)無人機産業の拡大
・2028年までに市場規模を300億元(約1,350億円)に拡大
6. 海外との投資協定
・東南アジア市場の開拓(インドネシア、フィリピン、タイと投資協定締結)
・CPTPP加盟推進(日本・オーストラリアとの連携強化)
・米台貿易交渉進展(「21世紀の貿易に関する台米イニシアチブ」第2段階交渉開始)
7. 台湾企業の投資先の変化
・2010年の投資先:83.8%が中国向け → 2024年は8%に減少
・2024年の最大投資先:米国(42%)
・日本・EU・ASEAN諸国への投資増加
8. 総括(頼清徳総統の主張)
・投資環境の改善 → 経済成長の促進
・産業の高度化 → 国際競争力の強化
・持続可能な開発 → カーボンニュートラル実現
・「次世代のためにより良い国を、世界のためにより良い台湾を」
【引用・参照・底本】
頼清徳総統が「大きく変化する世界における台湾経済の新局面」をテーマに演説 TAIWAN TODAY 2025.04.02
https://jp.taiwantoday.tw/%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B9/%E6%94%BF%E6%B2%BB/267814/%25E9%25A0%25BC%25E6%25B8%2585%25E5%25BE%25B3%25E7%25B7%258F%25E7%25B5%25B1%25E3%2581%258C%25E3%2580%258C%25E5%25A4%25A7%25E3%2581%258D%25E3%2581%258F%25E5%25A4%2589%25E5%258C%2596%25E3%2581%2599%25E3%2582%258B%25E4%25B8%2596%25E7%2595%258C%25E3%2581%25AB%25E3%2581%258A%25E3%2581%2591%25E3%2582%258B%25E5%258F%25B0%25E6%25B9%25BE%25E7%25B5%258C%25E6%25B8%2588%25E3%2581%25AE%25E6%2596%25B0%25E5%25B1%2580%25E9%259D%25A2%25E3%2580%258D%25E3%2582%2592%25E3%2583%2586%25E3%2583%25BC%25E3%2583%259E%25E3%2581%25AB%25E6%25BC%2594%25E8%25AA%25AC
頼清徳総統は1日、「大きく変化する世界における台湾経済の新局面」をテーマに演説を行った。これは青年実業家を中心とする交流会「中華民国工商協進会青年工商団体聯誼餐会」において実施されたものであり、総統は台湾の投資環境の改善に関する政府の取り組みについて詳述した。
エネルギー問題
2016年と比較し、2025年現在において水道・電力・土地といった「5つの不足」問題は大幅に改善されている。データセンターや人工知能(AI)関連産業の電力需要を考慮した場合でも、2032年まで台湾の電力供給に問題はないと判断される。一方で、再生可能エネルギーの供給が依然として不足しており、政府は気候変動対策や欧州連合(EU)の炭素国境調整メカニズム(CBAM)への対応を踏まえ、再生可能エネルギーの開発を引き続き推進する方針である。
五大信頼産業
地政学的変化、世界のスマート化時代の到来、台湾の産業的優位性を考慮し、頼清徳総統は就任後、「五大信頼産業」として以下の分野を重視している。
・半導体
・人工知能(AI)
・軍需産業
・セキュリティ産業
・次世代通信
これらの産業振興のため、人材育成、税制優遇、融資支援、国際連携の強化に取り組んでいる。2018年に開始された「投資台湾三大方案」は、これまでに2兆5,389億元(約11.4兆円)の対台湾投資を促し、16万1,267の雇用を創出した。この計画は2027年まで延長され、さらに6,000億元(約2.7兆円)の投資を呼び込み、4万の雇用機会を創出することが見込まれている。
台湾が直面する3つの課題
台湾は以下の3つの課題に直面している。
1.米中対立によるサプライチェーン分断
・権威主義国家の連携が進む中、台湾は「ノン・レッド・サプライチェーン」(中国企業を排除した供給網)での存在感を高める必要がある。
2.デジタル・トランスフォーメーション(DX)
・AI技術を活用し、産業全体の高度化を図る。
3.ネット・ゼロ(カーボンニュートラル)への移行
・低炭素経済の発展を推進し、台湾を「AIの島」とする戦略を進める。
ネット・ゼロへの取り組み
台湾政府は、「産業創新条例」の改正を通じてAIやネット・ゼロ関連の設備投資を減税対象とし、以下の3つの戦略を展開する。
1.デジタル・トランスフォーメーション(DX)
2.ネット・ゼロ関連産業の支援
3.市場開拓の促進
これにより、中小企業や小規模企業の高度化を支援し、経済成長を促進する。
航空宇宙産業の発展
台湾は次世代通信産業の発展に向け、中低軌道衛星の開発を積極的に推進している。台湾の工作機械産業とICT産業の融合により、低軌道衛星産業の国際サプライチェーンに参入することに成功している。また、政府は台湾をアジアにおける無人機の供給拠点とすることを目標に掲げており、2028年には無人機の生産額が現在の10倍となる300億元(約1,350億円)に達すると見込まれる。
海外との投資協定
台湾企業が世界市場を開拓しやすくするため、政府は以下の施策を進めている。
・インドネシア、フィリピン、タイとの投資保護協定の締結
・環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)への加盟推進
・米国との「21世紀の貿易に関する台米イニシアチブ」第2段階交渉の準備
台湾企業の投資先の変化
2010年において、台湾の海外投資の83.8%が中国向けであったが、2024年にはその割合が8%にまで低下した。一方で、台湾の主な投資先は以下のように変化している。
・米国:42%
・日本、EU、新南向政策対象国(ASEAN諸国、南アジア、豪州、ニュージーランドなど18か国)
終わりに
頼清徳総統は本演説において、蔡英文前総統の政策を継承しつつ、台湾の経済発展に向けた新たな戦略的ビジョンを提示してきたと述べた。そして、国家の継続的な発展と次世代のために、より良い台湾を世界に提供する決意を改めて表明した。
【詳細】
頼清徳総統の演説は、台湾経済の現状と将来の発展戦略について広範に論じたものであり、政府の取り組みや今後の方向性が詳細に説明されている。以下、各項目についてさらに詳しく解説する。
1. エネルギー問題
台湾のエネルギー政策は、安定供給と環境対策の両立を目指している。特に、水道・電力・土地などの「5つの不足」問題は、過去数年間で政府が重点的に対処してきた課題である。
(1)電力供給の安定化
・データセンターやAI関連産業の発展に伴う電力需要増加を考慮しても、2032年までは供給が安定すると見込んでいる。
・原子力発電の維持や拡大については触れられていないが、再生可能エネルギーの強化により、エネルギー安全保障を確保する意向である。
(2)再生可能エネルギーの推進
・EUのCBAM(炭素国境調整メカニズム)への対応として、低炭素エネルギーの導入を加速させる必要がある。
・台湾政府は引き続き再生可能エネルギーの開発に注力し、企業のカーボンニュートラル対応を支援する。
2. 五大信頼産業
頼総統は台湾の経済成長を支える基幹産業として「五大信頼産業」を掲げた。
(1)半導体産業
・世界的な半導体供給網の要である台湾は、引き続き半導体の製造・開発能力を強化する。
・TSMCなどの企業による先端技術開発を支援し、世界市場での競争力を維持する。
(2)人工知能(AI)
・AI技術の発展は、製造業やサービス業の高度化に寄与する。
・政府はAI人材の育成や研究開発支援を強化し、台湾を「AIの島」とするビジョンを掲げる。
(3)軍需産業
・台湾の防衛自主性を強化するため、国産兵器の開発を促進する。
・無人機、ミサイル、レーダーシステムの生産を拡大し、国防産業の基盤を構築する。
(4)セキュリティ産業
・サイバーセキュリティ対策を強化し、台湾のデジタルインフラを保護する。
・AIを活用した情報セキュリティシステムの構築を推進する。
(5)次世代通信
・6G通信技術の開発を進め、台湾の通信インフラを強化する。
・中低軌道衛星技術と組み合わせた高度な通信ネットワークの確立を目指す。
また、「投資台湾三大方案」の延長によって、さらなる雇用創出と投資誘致を見込んでいる。
3. 台湾が直面する3つの課題
台湾経済が直面する主な課題は以下の3つである。
(1)米中対立によるサプライチェーン分断
・中国企業を排除した「ノン・レッド・サプライチェーン(Non-Red Supply Chain)」の構築が必要。
・台湾がこの流れから外れると、経済成長の機会を失う危険がある。
(2)デジタル・トランスフォーメーション(DX)
・産業全体のデジタル化を進め、企業の競争力を高める。
(3)ネット・ゼロへの転換
・低炭素社会への移行を推進し、温室効果ガスの排出削減を加速させる。
4. ネット・ゼロ
2050年のカーボンニュートラル達成を目標に、政府は以下の施策を推進する。
(1)低炭素経済の推進
・再生可能エネルギーの導入を拡大し、石炭火力発電の比率を低減。
(2)DXの活用
・AIとビッグデータを活用し、エネルギー効率を向上。
(3)中小企業支援
・産業創新条例の改正により、AIやネット・ゼロ関連設備への減税措置を導入。
5. 航空宇宙産業
台湾は航空宇宙分野での競争力を強化し、次の3つの分野で成長を目指している。
(1)中低軌道衛星の開発
・ICT産業との連携により、衛星産業のグローバルサプライチェーンに参入。
(2)無人機産業の強化
・2028年には無人機生産高を10倍に拡大し、300億元(約1,350億円)規模の市場を創出。
6. 海外との投資協定
台湾政府は、国際経済への統合を進めるため、以下の取り組みを進めている。
(1)投資保護協定の締結
・インドネシア、フィリピン、タイとの協定を締結し、東南アジア市場への参入を拡大。
(2)CPTPP加盟の推進
・日本やオーストラリアなどとの協力を強化し、加盟実現を目指す。
(3)米台貿易交渉
・「21世紀の貿易に関する台米イニシアチブ」の第2段階交渉を開始し、米国との貿易関係を強化。
7. 台湾企業の投資先の変化
・2010年には台湾企業の海外投資の83.8%が中国向けだったが、2024年には8%まで減少。
・現在、最大の投資先は米国(42%)であり、日本、EU、新南向政策対象国への投資が増加。
・これは、米中対立の影響や台湾政府の新南向政策(ASEAN諸国・南アジアへの経済進出促進)の結果と考えられる。
8. 終わりに
頼清徳総統は、蔡英文前総統の政策を引き継ぎながら、新たな経済戦略を提示している。台湾経済の安定と発展を目指し、政府は以下の点を強調している。
・投資環境の改善を通じた経済成長
・産業の高度化と国際競争力の強化
・持続可能な開発とカーボンニュートラルの推進
頼総統は「次世代のためにより良い国を残し、世界のためにより良い台湾を提供する」と述べ、経済発展のビジョンを強く訴えた。
【要点】
頼清徳総統の演説要点(台湾経済の現状と戦略)
1. エネルギー政策
(1)電力供給の安定
・2032年まで安定供給が可能と試算
・AI・データセンターの需要増にも対応
(2)再生可能エネルギーの推進
・EUのCBAM対応として低炭素エネルギー導入加速
・企業のカーボンニュートラル対応を支援
2. 五大信頼産業(台湾経済の柱)
(1)半導体
・TSMCを中心に先端技術開発を推進
(2)人工知能(AI)
・「AIの島」構想、AI人材育成・支援
(3)軍需産業
・無人機・ミサイル・レーダー開発を促進
(4)セキュリティ産業
・AI活用によるサイバーセキュリティ強化
(5)次世代通信
・6G開発推進・中低軌道衛星技術の確立
3. 台湾経済が直面する3つの課題
(1)米中対立によるサプライチェーン分断
・「ノン・レッド・サプライチェーン」構築の必要性
(2)デジタル・トランスフォーメーション(DX)
・産業のデジタル化推進
(3)ネット・ゼロへの転換
・温室効果ガス削減と低炭素社会構築
4. ネット・ゼロ(カーボンニュートラル)
(1)2050年の達成目標
(2)施策
・再生可能エネルギー拡大・石炭火力削減
・AI・ビッグデータ活用によるエネルギー効率向上
・中小企業向け減税措置(AI・脱炭素設備)
5. 航空宇宙産業の強化
(1)中低軌道衛星開発
・ICT産業との連携でグローバル市場参入
(2)無人機産業の拡大
・2028年までに市場規模を300億元(約1,350億円)に拡大
6. 海外との投資協定
・東南アジア市場の開拓(インドネシア、フィリピン、タイと投資協定締結)
・CPTPP加盟推進(日本・オーストラリアとの連携強化)
・米台貿易交渉進展(「21世紀の貿易に関する台米イニシアチブ」第2段階交渉開始)
7. 台湾企業の投資先の変化
・2010年の投資先:83.8%が中国向け → 2024年は8%に減少
・2024年の最大投資先:米国(42%)
・日本・EU・ASEAN諸国への投資増加
8. 総括(頼清徳総統の主張)
・投資環境の改善 → 経済成長の促進
・産業の高度化 → 国際競争力の強化
・持続可能な開発 → カーボンニュートラル実現
・「次世代のためにより良い国を、世界のためにより良い台湾を」
【引用・参照・底本】
頼清徳総統が「大きく変化する世界における台湾経済の新局面」をテーマに演説 TAIWAN TODAY 2025.04.02
https://jp.taiwantoday.tw/%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B9/%E6%94%BF%E6%B2%BB/267814/%25E9%25A0%25BC%25E6%25B8%2585%25E5%25BE%25B3%25E7%25B7%258F%25E7%25B5%25B1%25E3%2581%258C%25E3%2580%258C%25E5%25A4%25A7%25E3%2581%258D%25E3%2581%258F%25E5%25A4%2589%25E5%258C%2596%25E3%2581%2599%25E3%2582%258B%25E4%25B8%2596%25E7%2595%258C%25E3%2581%25AB%25E3%2581%258A%25E3%2581%2591%25E3%2582%258B%25E5%258F%25B0%25E6%25B9%25BE%25E7%25B5%258C%25E6%25B8%2588%25E3%2581%25AE%25E6%2596%25B0%25E5%25B1%2580%25E9%259D%25A2%25E3%2580%258D%25E3%2582%2592%25E3%2583%2586%25E3%2583%25BC%25E3%2583%259E%25E3%2581%25AB%25E6%25BC%2594%25E8%25AA%25AC
中国人民解放軍の軍事演習 ― 2025年04月02日 19:14
【概要】
中国人民解放軍東部戦区は4月1日から台湾周辺で軍事演習を実施している。これを受けて、中華民国(台湾)外交部や大陸委員会が声明を発表し、中国の行為を強く非難した。
台湾国防部によれば、2日午前6時までの24時間に中国軍機延べ76機、艦船15隻、海警局の公務船4隻の活動が確認された。
外交部は声明で、中国の行為が「ルールに基づく国際秩序を脅かし、台湾海峡および地域の平和と安定を一方的かつ深刻に破壊するものだ」と批判し、軍事的挑発の即時停止を求めた。また、中国が近年、ニュージーランド、オーストラリア、南シナ海、韓国、日本、フィリピン、台湾周辺で軍事行動や「グレーゾーン事態」と呼ばれる行動を通じて国際秩序を脅かしていると指摘し、中国を「問題製造者」と非難した。
外交部は、台湾海峡の平和と安定が国際社会の共通認識であり、全ての利害関係者の利益にかなうと強調したうえで、中国が軍事演習によって台湾や周辺国を脅し続け、インド太平洋地域の安定を損なっていると批判した。そして、中国に対してこうした行動を停止し、常軌に戻るよう求めた。台湾は国際社会の責任ある一員として、理念を共有する国々と協力し、地域および世界の平和と安定、繁栄を維持することを約束した。
また、大陸委員会も声明を発表し、中国共産党が台湾海峡を軍事演習の実験場として利用し、台湾に圧力を加えつつ「台湾海峡の内水化」を試みていると非難した。さらに、中国が国際慣例に違反し、インド太平洋地域に艦隊を派遣して武力を誇示していることに言及し、日本、韓国、ニュージーランド、オーストラリア、フィリピン、南シナ海などで軍事行動や「グレーゾーン事態」を繰り返していると指摘した。そのうえで、中国の軍事的挑発が台湾海峡の緊張を高め、地域の平和と安定を破壊し、世界の安全を脅かすものであると強調した。
大陸委員会は、中国共産党が台湾に対する武力行使の意思を放棄せず、軍事的恫喝を継続していることが台湾侵攻の野心を示すものであり、台湾の「反滲透法」における「境外敵対勢力」に該当すると述べた。また、一部の台湾国民が中国の武力行使を擁護することを「言論の自由」と主張することについて、中国の政治宣伝に協力し、敵味方を混同する行為であるとして遺憾の意を表明した。
台湾政府は、頼清徳総統が発表した「中国の脅威に対する17項目の対策」と「平和のための4つの支柱アクションプラン」を推進し、台湾の民主主義と自由を守る決意を示すとともに、国際社会の支援を取り付け、中国の軍事的野心を抑制し、台湾海峡と地域の平和と安定を維持する方針を示した。
【詳細】
中国人民解放軍東部戦区は4月1日から台湾周辺で大規模な軍事演習「ストレート・サンダー2025A」を実施している。 この演習は、台湾北部、南部、東部の沿岸部で行われ、主要港湾やエネルギー施設を標的とした長距離実弾射撃訓練が含まれている。
台湾国防部は、2日午前6時までの24時間で、中国軍機延べ76機、艦船15隻、海警局の公務船4隻の活動を確認したと発表した。 これに対し、台湾は自国の軍艦や航空機を派遣し、中国軍の動向を監視している。
台湾外交部は声明で、中国の行為が「ルールに基づく国際秩序を脅かし、台湾海峡および地域の平和と安定を一方的かつ深刻に破壊するものだ」と強く非難し、即時の軍事的挑発の停止を求めた。
中国の軍事演習は、米国のヘグセス国防長官のアジア訪問と時期を同じくしており、彼が日本やフィリピンで中国の行動を批判したことへの対応と見られる。 ヘグセス長官は、地域の安定を損なう中国の行動を強く非難し、日本を重要な同盟国と位置付けた。
さらに、中国は台湾の頼清徳総統を「寄生虫」と呼ぶなど、強い言葉で非難している。 これに対し、台湾政府は中国の行動を「無責任で挑発的」と批判し、国際社会と協力して地域の平和と安定を維持する姿勢を示している。
国際社会からも懸念の声が上がっており、米国務省は中国の軍事演習が緊張を高め、地域の安全を脅かすと批判した。 欧州連合(EU)も、台湾海峡の平和と安定が戦略的に重要であるとし、中国の一方的な現状変更に反対する声明を発表した。
台湾の主要野党である国民党(KMT)は、中国の軍事演習に対し、「武器を置く」よう呼びかけ、対話を通じた平和的解決を求めた。
このように、中国の軍事演習は台湾海峡の緊張を一層高めており、地域の平和と安定に対する影響が懸念されている。
【要点】
1.中国人民解放軍の軍事演習
・4月1日から台湾周辺で「ストレート・サンダー2025A」を実施
・台湾北部、南部、東部の沿岸部で長距離実弾射撃訓練を含む
2.台湾の対応
・24時間で中国軍機76機、艦船15隻、海警局の公務船4隻を確認
・自国の軍艦・航空機を派遣し監視
3.国際社会の反応
・台湾外交部:「国際秩序を脅かし、地域の平和と安定を破壊」と非難
・米国務省:「緊張を高め、地域の安全を脅かす」と批判
・EU:「台湾海峡の平和は戦略的に重要」と声明を発表
4.背景と影響
・米ヘグセス国防長官のアジア訪問と同時期に実施
・ヘグセス長官は「地域の安定を損なう」と中国を非難
・中国は台湾の頼清徳総統を「寄生虫」と強い言葉で非難
・台湾政府は「無責任で挑発的な行動」と批判
5.台湾国内の動き
・国民党(KMT)は「武器を置く」よう呼びかけ、対話を求める
6.総括
・軍事演習による台湾海峡の緊張が一層高まり、地域の安定が懸念される
【引用・参照・底本】
中国が台湾周辺で軍事演習、台湾は「一方的に緊張高める行為」と強く非難 TAIWAN TODAY 2025.04.02
https://jp.taiwantoday.tw/%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B9/%E6%94%BF%E6%B2%BB/267821/%25E4%25B8%25AD%25E5%259B%25BD%25E3%2581%258C%25E5%258F%25B0%25E6%25B9%25BE%25E5%2591%25A8%25E8%25BE%25BA%25E3%2581%25A7%25E8%25BB%258D%25E4%25BA%258B%25E6%25BC%2594%25E7%25BF%2592%25E3%2580%2581%25E5%258F%25B0%25E6%25B9%25BE%25E3%2581%25AF%25E3%2580%258C%25E4%25B8%2580%25E6%2596%25B9%25E7%259A%2584%25E3%2581%25AB%25E7%25B7%258A%25E5%25BC%25B5%25E9%25AB%2598%25E3%2582%2581%25E3%2582%258B%25E8%25A1%258C%25E7%2582%25BA%25E3%2580%258D%25E3%2581%25A8%25E5%25BC%25B7%25E3%2581%258F%25E9%259D%259E%25E9%259B%25A3
中国人民解放軍東部戦区は4月1日から台湾周辺で軍事演習を実施している。これを受けて、中華民国(台湾)外交部や大陸委員会が声明を発表し、中国の行為を強く非難した。
台湾国防部によれば、2日午前6時までの24時間に中国軍機延べ76機、艦船15隻、海警局の公務船4隻の活動が確認された。
外交部は声明で、中国の行為が「ルールに基づく国際秩序を脅かし、台湾海峡および地域の平和と安定を一方的かつ深刻に破壊するものだ」と批判し、軍事的挑発の即時停止を求めた。また、中国が近年、ニュージーランド、オーストラリア、南シナ海、韓国、日本、フィリピン、台湾周辺で軍事行動や「グレーゾーン事態」と呼ばれる行動を通じて国際秩序を脅かしていると指摘し、中国を「問題製造者」と非難した。
外交部は、台湾海峡の平和と安定が国際社会の共通認識であり、全ての利害関係者の利益にかなうと強調したうえで、中国が軍事演習によって台湾や周辺国を脅し続け、インド太平洋地域の安定を損なっていると批判した。そして、中国に対してこうした行動を停止し、常軌に戻るよう求めた。台湾は国際社会の責任ある一員として、理念を共有する国々と協力し、地域および世界の平和と安定、繁栄を維持することを約束した。
また、大陸委員会も声明を発表し、中国共産党が台湾海峡を軍事演習の実験場として利用し、台湾に圧力を加えつつ「台湾海峡の内水化」を試みていると非難した。さらに、中国が国際慣例に違反し、インド太平洋地域に艦隊を派遣して武力を誇示していることに言及し、日本、韓国、ニュージーランド、オーストラリア、フィリピン、南シナ海などで軍事行動や「グレーゾーン事態」を繰り返していると指摘した。そのうえで、中国の軍事的挑発が台湾海峡の緊張を高め、地域の平和と安定を破壊し、世界の安全を脅かすものであると強調した。
大陸委員会は、中国共産党が台湾に対する武力行使の意思を放棄せず、軍事的恫喝を継続していることが台湾侵攻の野心を示すものであり、台湾の「反滲透法」における「境外敵対勢力」に該当すると述べた。また、一部の台湾国民が中国の武力行使を擁護することを「言論の自由」と主張することについて、中国の政治宣伝に協力し、敵味方を混同する行為であるとして遺憾の意を表明した。
台湾政府は、頼清徳総統が発表した「中国の脅威に対する17項目の対策」と「平和のための4つの支柱アクションプラン」を推進し、台湾の民主主義と自由を守る決意を示すとともに、国際社会の支援を取り付け、中国の軍事的野心を抑制し、台湾海峡と地域の平和と安定を維持する方針を示した。
【詳細】
中国人民解放軍東部戦区は4月1日から台湾周辺で大規模な軍事演習「ストレート・サンダー2025A」を実施している。 この演習は、台湾北部、南部、東部の沿岸部で行われ、主要港湾やエネルギー施設を標的とした長距離実弾射撃訓練が含まれている。
台湾国防部は、2日午前6時までの24時間で、中国軍機延べ76機、艦船15隻、海警局の公務船4隻の活動を確認したと発表した。 これに対し、台湾は自国の軍艦や航空機を派遣し、中国軍の動向を監視している。
台湾外交部は声明で、中国の行為が「ルールに基づく国際秩序を脅かし、台湾海峡および地域の平和と安定を一方的かつ深刻に破壊するものだ」と強く非難し、即時の軍事的挑発の停止を求めた。
中国の軍事演習は、米国のヘグセス国防長官のアジア訪問と時期を同じくしており、彼が日本やフィリピンで中国の行動を批判したことへの対応と見られる。 ヘグセス長官は、地域の安定を損なう中国の行動を強く非難し、日本を重要な同盟国と位置付けた。
さらに、中国は台湾の頼清徳総統を「寄生虫」と呼ぶなど、強い言葉で非難している。 これに対し、台湾政府は中国の行動を「無責任で挑発的」と批判し、国際社会と協力して地域の平和と安定を維持する姿勢を示している。
国際社会からも懸念の声が上がっており、米国務省は中国の軍事演習が緊張を高め、地域の安全を脅かすと批判した。 欧州連合(EU)も、台湾海峡の平和と安定が戦略的に重要であるとし、中国の一方的な現状変更に反対する声明を発表した。
台湾の主要野党である国民党(KMT)は、中国の軍事演習に対し、「武器を置く」よう呼びかけ、対話を通じた平和的解決を求めた。
このように、中国の軍事演習は台湾海峡の緊張を一層高めており、地域の平和と安定に対する影響が懸念されている。
【要点】
1.中国人民解放軍の軍事演習
・4月1日から台湾周辺で「ストレート・サンダー2025A」を実施
・台湾北部、南部、東部の沿岸部で長距離実弾射撃訓練を含む
2.台湾の対応
・24時間で中国軍機76機、艦船15隻、海警局の公務船4隻を確認
・自国の軍艦・航空機を派遣し監視
3.国際社会の反応
・台湾外交部:「国際秩序を脅かし、地域の平和と安定を破壊」と非難
・米国務省:「緊張を高め、地域の安全を脅かす」と批判
・EU:「台湾海峡の平和は戦略的に重要」と声明を発表
4.背景と影響
・米ヘグセス国防長官のアジア訪問と同時期に実施
・ヘグセス長官は「地域の安定を損なう」と中国を非難
・中国は台湾の頼清徳総統を「寄生虫」と強い言葉で非難
・台湾政府は「無責任で挑発的な行動」と批判
5.台湾国内の動き
・国民党(KMT)は「武器を置く」よう呼びかけ、対話を求める
6.総括
・軍事演習による台湾海峡の緊張が一層高まり、地域の安定が懸念される
【引用・参照・底本】
中国が台湾周辺で軍事演習、台湾は「一方的に緊張高める行為」と強く非難 TAIWAN TODAY 2025.04.02
https://jp.taiwantoday.tw/%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B9/%E6%94%BF%E6%B2%BB/267821/%25E4%25B8%25AD%25E5%259B%25BD%25E3%2581%258C%25E5%258F%25B0%25E6%25B9%25BE%25E5%2591%25A8%25E8%25BE%25BA%25E3%2581%25A7%25E8%25BB%258D%25E4%25BA%258B%25E6%25BC%2594%25E7%25BF%2592%25E3%2580%2581%25E5%258F%25B0%25E6%25B9%25BE%25E3%2581%25AF%25E3%2580%258C%25E4%25B8%2580%25E6%2596%25B9%25E7%259A%2584%25E3%2581%25AB%25E7%25B7%258A%25E5%25BC%25B5%25E9%25AB%2598%25E3%2582%2581%25E3%2582%258B%25E8%25A1%258C%25E7%2582%25BA%25E3%2580%258D%25E3%2581%25A8%25E5%25BC%25B7%25E3%2581%258F%25E9%259D%259E%25E9%259B%25A3
中露関係の特徴:幾世代にもわたる友好と永遠の非敵対性 ― 2025年04月02日 19:31
【概要】
王毅中共中央政治局委員(外交部部長)は、ロシア訪問中の4月1日、「ロシア・トゥデイ」の単独インタビューに応じ、中露関係の現状とその意義について言及した。新華社が伝えた。
王氏は、中露関係が両国首脳の戦略的リーダーシップのもとで戦略的協力パートナーシップを深化させているとし、これは歴史の発展の論理と一致し、強い内在的な原動力を有するものであると述べた。また、双方の親睦と相互利益に資するとともに、世界の多極化や国際関係の民主化の推進にも寄与すると指摘した。
現在の中露関係の特徴として、王氏は以下の3点を挙げた。
1.幾世代にもわたる友好と永遠の非敵対性
「中露善隣友好協力条約」が確立した「幾世代にもわたり友好的で、永遠に敵対しない」という原則が、両国のより高いレベルの戦略的協力に法的基盤を提供している。中露は70年以上にわたり協力関係を築いており、強固な相互信頼と深い歴史的蓄積を持ち、関係の内実は充実しており、高い強靭性を備えている。
2.平等な関係と協力・ウィンウィンの原則
1990年代初頭に確立された「平等互恵、強みによる相互補完」という協力原則は、21世紀に入り「協力・ウィンウィン」の原則へと発展し、両国の各分野における実務協力の基本原則となっている。双方は時代の変化に適応しつつ、互いの合理的な利益を尊重し、包括的な協力を継続的に深化させ、共通の利益を拡大している。
3.非同盟・非対立・第三国を標的としない関係
中露関係は「非同盟、非対立、第三国を標的としない」という原則を堅持しており、いかなる国に対しても脅威を与えず、また、いかなる第三国による干渉や影響も受けない。この関係は、現代における新たな大国間関係の模範であり、世界の不安定要因が増す中で重要な安定要因となっていると述べた。
【詳細】
王毅中共中央政治局委員(外交部部長)は、ロシア訪問中の4月1日、「ロシア・トゥデイ」の単独インタビューに応じ、中露関係の現状とその意義について詳細に説明した。新華社が伝えた。
王氏は、中露関係について「両国は首脳の戦略的リーダーシップのもとで戦略的協力パートナーシップを継続的に深化させている。これは歴史の発展の論理と完全に一致し、強い内在的な原動力を持つものである」と述べた。さらに、「中露の協力は双方の親睦と相互利益に貢献するだけでなく、世界の多極化の推進、さらには国際関係の民主化にも資する」と指摘した。
王氏は現在の中露関係の特徴として、以下の3つの点を挙げた。
1. 幾世代にもわたる友好と永遠の非敵対性
王氏は、「中露善隣友好協力条約」によって確立された「幾世代にもわたり友好的で、永遠に敵対しない」という原則が、中露関係の戦略的協力の法的基盤となっていると強調した。
この条約は2001年に締結され、2021年には締結から20周年を迎えた際に、両国首脳は条約の延長を決定した。この条約により、中露関係は一時的な利益に基づくものではなく、長期的かつ安定した関係であることが確認されている。王氏は「中露関係は70年以上にわたり緊密な協力を維持してきた。この歴史の中で両国は相互信頼を築き上げ、協力の基盤を厚くし、関係の内容を充実させるとともに、高い強靭性を備えるようになった」と述べた。
さらに、「中露関係は国際情勢の変化によって動揺することなく、互いに信頼し合い、安定した発展を遂げてきた」とし、両国の協力が単なる外交政策の選択ではなく、歴史的な必然性に基づくものであると強調した。
2. 平等な関係と協力・ウィンウィンの原則
王氏は、中露関係が対等なパートナーシップであり、協力と互恵の精神に基づいていることを強調した。1990年代初頭、冷戦終結後の国際情勢の変化を背景に、両国は「平等互恵、強みによる相互補完」という協力原則を確立した。この原則に基づき、両国は互いの強みを活かしながら協力を深め、共通の利益を拡大してきた。
21世紀に入ると、「協力・ウィンウィン」の原則がさらに強調され、両国の経済、エネルギー、軍事、科学技術など多岐にわたる分野での協力の指針となった。王氏は「双方は時代の進歩の方向に順応し、互いの合理的な関心に配慮しながら、包括的な協力を深め続けている」と述べた。
具体的な協力の例として、王氏は次のような分野を挙げた。
・経済貿易:中国とロシアの貿易額は近年急速に増加しており、2023年には両国の貿易額が2000億ドルを超えた。特にエネルギー、農業、ハイテク分野での協力が強化されている。
・エネルギー:中国はロシアの主要なエネルギー輸出先であり、天然ガスや石油の輸出拡大が進められている。シベリアから中国への天然ガス供給パイプライン「シベリアの力」プロジェクトは、両国のエネルギー協力の象徴的な事業である。
・インフラ:中露間の鉄道、港湾、航空輸送の協力が強化され、物流の利便性が向上している。
・科学技術:人工知能、宇宙開発、量子技術などの分野での協力が拡大している。
王氏は「中露は共通利益のパイを大きくし、双方にとって有益な協力を推進している」と述べた。
3. 非同盟・非対立・第三国を標的としない関係
王氏は、中露関係が「非同盟、非対立、第三国を標的としない」という原則を堅持していることを強調した。この原則は、両国関係が伝統的な軍事同盟とは異なり、柔軟かつ独立した協力関係であることを示している。
王氏は「中露関係は世界のいかなる国にも脅威を与えるものではなく、また、いかなる第三国による妨害や影響も受けない」と述べた。これは、両国が独自の外交政策を展開し、他国との対立を煽ることなく、協力を推進する姿勢を示している。
この点に関連し、王氏は次のような国際的な枠組みにおける中露協力の意義を指摘した。
・国際安全保障:中露は国際安全保障において協力を強化しており、特に国連安全保障理事会での連携を深めている。両国は国際秩序の多極化を支持し、一極支配に反対する立場を取っている。
・上海協力機構(SCO):中露は上海協力機構(SCO)を通じて、中央アジア諸国との安全保障・経済協力を強化している。SCOは、域内の安定維持や経済連携の促進に寄与している。
・BRICS:中国とロシアは、新興国の経済協力を促進するためのBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)の枠組みでも連携している。王氏は、「中露協力は国際経済の多極化を促進し、新興国の発言力を強化する役割を果たしている」と述べた。
総括
王氏は「中露関係は、現代における新型の大国間関係の模範であり、激動と変革の世界における重要な安定化のパワーとなっている」と強調した。両国関係は長期的な視点に基づき、国際情勢の変動に影響されることなく、持続的に発展していることを改めて強調した。
また、王氏は「中露関係の深化は両国民の利益に資するだけでなく、世界の多極化と国際関係の民主化の推進にも寄与する」と述べ、今後も両国の協力を強化していく姿勢を示した。
【要点】
王毅のロシア訪問における発言(2024年4月1日)
中露関係の特徴
1.幾世代にもわたる友好と永遠の非敵対性
・「中露善隣友好協力条約」に基づき、長期的かつ安定した関係を維持。
・70年以上の協力の歴史があり、強固な相互信頼を築いている。
・国際情勢の変化に左右されず、安定した発展を遂げている。
2.平等な関係と協力・ウィンウィンの原則
・「平等互恵、相互補完」を基に協力を推進。
・経済・貿易・エネルギー・科学技術など多岐にわたる分野で連携。
・具体的な協力分野
⇨ 経済貿易:2023年の貿易額は2000億ドル超。
⇨ エネルギー:「シベリアの力」天然ガスパイプラインを含む協力強化。
⇨ インフラ:鉄道、港湾、航空輸送の利便性向上。
⇨ 科学技術:人工知能、宇宙開発、量子技術分野での協力拡大。
3.非同盟・非対立・第三国を標的としない関係
・軍事同盟とは異なり、柔軟かつ独立した関係を維持。
・いかなる国にも脅威を与えず、第三国の影響を受けない。
・国際的な枠組みでの協力
⇨ 国際安全保障:国連安保理での連携を強化。
⇨ 上海協力機構(SCO):中央アジア諸国と安全保障・経済協力を推進。
⇨ BRICS:新興国の発言力強化を支援。
総括
・中露関係は新型の大国間関係の模範。
・世界の多極化と国際関係の民主化を促進。
・今後も協力を深化させ、安定したパートナーシップを維持する方針。
【引用・参照・底本】
王毅氏「中露関係は世界の多極化推進に寄与する」人民網日本語版 2025.04.02
http://j.people.com.cn/n3/2025/0402/c94474-20297315.html
王毅中共中央政治局委員(外交部部長)は、ロシア訪問中の4月1日、「ロシア・トゥデイ」の単独インタビューに応じ、中露関係の現状とその意義について言及した。新華社が伝えた。
王氏は、中露関係が両国首脳の戦略的リーダーシップのもとで戦略的協力パートナーシップを深化させているとし、これは歴史の発展の論理と一致し、強い内在的な原動力を有するものであると述べた。また、双方の親睦と相互利益に資するとともに、世界の多極化や国際関係の民主化の推進にも寄与すると指摘した。
現在の中露関係の特徴として、王氏は以下の3点を挙げた。
1.幾世代にもわたる友好と永遠の非敵対性
「中露善隣友好協力条約」が確立した「幾世代にもわたり友好的で、永遠に敵対しない」という原則が、両国のより高いレベルの戦略的協力に法的基盤を提供している。中露は70年以上にわたり協力関係を築いており、強固な相互信頼と深い歴史的蓄積を持ち、関係の内実は充実しており、高い強靭性を備えている。
2.平等な関係と協力・ウィンウィンの原則
1990年代初頭に確立された「平等互恵、強みによる相互補完」という協力原則は、21世紀に入り「協力・ウィンウィン」の原則へと発展し、両国の各分野における実務協力の基本原則となっている。双方は時代の変化に適応しつつ、互いの合理的な利益を尊重し、包括的な協力を継続的に深化させ、共通の利益を拡大している。
3.非同盟・非対立・第三国を標的としない関係
中露関係は「非同盟、非対立、第三国を標的としない」という原則を堅持しており、いかなる国に対しても脅威を与えず、また、いかなる第三国による干渉や影響も受けない。この関係は、現代における新たな大国間関係の模範であり、世界の不安定要因が増す中で重要な安定要因となっていると述べた。
【詳細】
王毅中共中央政治局委員(外交部部長)は、ロシア訪問中の4月1日、「ロシア・トゥデイ」の単独インタビューに応じ、中露関係の現状とその意義について詳細に説明した。新華社が伝えた。
王氏は、中露関係について「両国は首脳の戦略的リーダーシップのもとで戦略的協力パートナーシップを継続的に深化させている。これは歴史の発展の論理と完全に一致し、強い内在的な原動力を持つものである」と述べた。さらに、「中露の協力は双方の親睦と相互利益に貢献するだけでなく、世界の多極化の推進、さらには国際関係の民主化にも資する」と指摘した。
王氏は現在の中露関係の特徴として、以下の3つの点を挙げた。
1. 幾世代にもわたる友好と永遠の非敵対性
王氏は、「中露善隣友好協力条約」によって確立された「幾世代にもわたり友好的で、永遠に敵対しない」という原則が、中露関係の戦略的協力の法的基盤となっていると強調した。
この条約は2001年に締結され、2021年には締結から20周年を迎えた際に、両国首脳は条約の延長を決定した。この条約により、中露関係は一時的な利益に基づくものではなく、長期的かつ安定した関係であることが確認されている。王氏は「中露関係は70年以上にわたり緊密な協力を維持してきた。この歴史の中で両国は相互信頼を築き上げ、協力の基盤を厚くし、関係の内容を充実させるとともに、高い強靭性を備えるようになった」と述べた。
さらに、「中露関係は国際情勢の変化によって動揺することなく、互いに信頼し合い、安定した発展を遂げてきた」とし、両国の協力が単なる外交政策の選択ではなく、歴史的な必然性に基づくものであると強調した。
2. 平等な関係と協力・ウィンウィンの原則
王氏は、中露関係が対等なパートナーシップであり、協力と互恵の精神に基づいていることを強調した。1990年代初頭、冷戦終結後の国際情勢の変化を背景に、両国は「平等互恵、強みによる相互補完」という協力原則を確立した。この原則に基づき、両国は互いの強みを活かしながら協力を深め、共通の利益を拡大してきた。
21世紀に入ると、「協力・ウィンウィン」の原則がさらに強調され、両国の経済、エネルギー、軍事、科学技術など多岐にわたる分野での協力の指針となった。王氏は「双方は時代の進歩の方向に順応し、互いの合理的な関心に配慮しながら、包括的な協力を深め続けている」と述べた。
具体的な協力の例として、王氏は次のような分野を挙げた。
・経済貿易:中国とロシアの貿易額は近年急速に増加しており、2023年には両国の貿易額が2000億ドルを超えた。特にエネルギー、農業、ハイテク分野での協力が強化されている。
・エネルギー:中国はロシアの主要なエネルギー輸出先であり、天然ガスや石油の輸出拡大が進められている。シベリアから中国への天然ガス供給パイプライン「シベリアの力」プロジェクトは、両国のエネルギー協力の象徴的な事業である。
・インフラ:中露間の鉄道、港湾、航空輸送の協力が強化され、物流の利便性が向上している。
・科学技術:人工知能、宇宙開発、量子技術などの分野での協力が拡大している。
王氏は「中露は共通利益のパイを大きくし、双方にとって有益な協力を推進している」と述べた。
3. 非同盟・非対立・第三国を標的としない関係
王氏は、中露関係が「非同盟、非対立、第三国を標的としない」という原則を堅持していることを強調した。この原則は、両国関係が伝統的な軍事同盟とは異なり、柔軟かつ独立した協力関係であることを示している。
王氏は「中露関係は世界のいかなる国にも脅威を与えるものではなく、また、いかなる第三国による妨害や影響も受けない」と述べた。これは、両国が独自の外交政策を展開し、他国との対立を煽ることなく、協力を推進する姿勢を示している。
この点に関連し、王氏は次のような国際的な枠組みにおける中露協力の意義を指摘した。
・国際安全保障:中露は国際安全保障において協力を強化しており、特に国連安全保障理事会での連携を深めている。両国は国際秩序の多極化を支持し、一極支配に反対する立場を取っている。
・上海協力機構(SCO):中露は上海協力機構(SCO)を通じて、中央アジア諸国との安全保障・経済協力を強化している。SCOは、域内の安定維持や経済連携の促進に寄与している。
・BRICS:中国とロシアは、新興国の経済協力を促進するためのBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)の枠組みでも連携している。王氏は、「中露協力は国際経済の多極化を促進し、新興国の発言力を強化する役割を果たしている」と述べた。
総括
王氏は「中露関係は、現代における新型の大国間関係の模範であり、激動と変革の世界における重要な安定化のパワーとなっている」と強調した。両国関係は長期的な視点に基づき、国際情勢の変動に影響されることなく、持続的に発展していることを改めて強調した。
また、王氏は「中露関係の深化は両国民の利益に資するだけでなく、世界の多極化と国際関係の民主化の推進にも寄与する」と述べ、今後も両国の協力を強化していく姿勢を示した。
【要点】
王毅のロシア訪問における発言(2024年4月1日)
中露関係の特徴
1.幾世代にもわたる友好と永遠の非敵対性
・「中露善隣友好協力条約」に基づき、長期的かつ安定した関係を維持。
・70年以上の協力の歴史があり、強固な相互信頼を築いている。
・国際情勢の変化に左右されず、安定した発展を遂げている。
2.平等な関係と協力・ウィンウィンの原則
・「平等互恵、相互補完」を基に協力を推進。
・経済・貿易・エネルギー・科学技術など多岐にわたる分野で連携。
・具体的な協力分野
⇨ 経済貿易:2023年の貿易額は2000億ドル超。
⇨ エネルギー:「シベリアの力」天然ガスパイプラインを含む協力強化。
⇨ インフラ:鉄道、港湾、航空輸送の利便性向上。
⇨ 科学技術:人工知能、宇宙開発、量子技術分野での協力拡大。
3.非同盟・非対立・第三国を標的としない関係
・軍事同盟とは異なり、柔軟かつ独立した関係を維持。
・いかなる国にも脅威を与えず、第三国の影響を受けない。
・国際的な枠組みでの協力
⇨ 国際安全保障:国連安保理での連携を強化。
⇨ 上海協力機構(SCO):中央アジア諸国と安全保障・経済協力を推進。
⇨ BRICS:新興国の発言力強化を支援。
総括
・中露関係は新型の大国間関係の模範。
・世界の多極化と国際関係の民主化を促進。
・今後も協力を深化させ、安定したパートナーシップを維持する方針。
【引用・参照・底本】
王毅氏「中露関係は世界の多極化推進に寄与する」人民網日本語版 2025.04.02
http://j.people.com.cn/n3/2025/0402/c94474-20297315.html
中国海警局:「一つの中国」原則に基づき、台湾島に対する法的な管制を行うための措置 ― 2025年04月02日 19:38
【概要】
中国海警局は4月1日、台湾島周辺の海域で法執行パトロールを実施し、臨検・拿捕や阻止・押収といった訓練を行った。中国海警局東海分局の報道官によれば、これは「一つの中国」原則に基づき、台湾島に対する法的な管制を行うための措置である。
今回の行動は、昨年5月や10月に行われたものと比べ、台湾本島により近い距離で実施された。海警局の部隊展開は段階的に台湾島に接近しており、「挑発が増すほど、締め付けが厳しくなる」との姿勢が示されている。
また、前回の概要図と比較すると、今回は台湾島を包囲する形での法執行が行われたが、台湾海峡に開口部が設けられていることが確認できる。これにより、海警局が台湾島周辺の管制をすでに実現していることが示されるとともに、大陸部と台湾地区のつながりを強調し、台湾地区が「一つの中国」に属することを明確にする意図があるとされる。
【詳細】
中国海警局は4月1日、複数の艦艇編隊を投入し、台湾島周辺海域で法執行パトロールを実施した。今回の行動では、臨検・拿捕や阻止・押収といった具体的な訓練が行われた。中国海警局東海分局の報道官は、この行動が「一つの中国」原則に基づくものであり、台湾島に対する法的管制を強化する実際の措置であると説明している。
今回の行動の特徴として、まず、台湾本島により接近した形で実施された点が挙げられる。昨年5月と10月にも同様の活動が行われたが、その際と比較すると、今回はさらに台湾島に近い距離で艦艇を展開し、法執行を実施している。この動きは、台湾側の動向に応じて海警局が段階的に圧力を強めていることを示しており、「挑発が増すほど、締め付けが厳しくなる」との姿勢を鮮明にしている。
また、今回の行動の概要図を前回と比較すると、台湾島を包囲する形での法執行が強化されている一方で、台湾海峡に開口部が設けられていることが分かる。この点について、中国側の分析では、海警局がすでに台湾島周辺海域の管制を実現したことを示すとともに、大陸部と台湾地区の一体性を強調する狙いがあるとされる。
具体的には、台湾島を完全に封鎖するのではなく、台湾海峡に一定の開口部を残すことで、台湾地区が大陸と不可分であることを強調する意図が読み取れる。これにより、台湾島の地位が「一つの中国」に属するものであることを視覚的にも示し、国際社会に対してもその立場を強く主張する効果を持たせていると考えられる。
加えて、今回の法執行行動において、中国海警局は臨検・拿捕や阻止・押収の訓練を実施しており、これは海上での実際の取締り能力を高める狙いがある。海警局は、これらの訓練を通じて海上法執行の実践的な能力を向上させるとともに、台湾側や関連する海上勢力に対する抑止効果を狙っていると考えられる。
このように、中国海警局の行動は、台湾周辺の海域における実効支配を強化する目的を持ち、「一つの中国」原則を具体的な行動によって示すものである。今後も同様の法執行パトロールが継続・強化される可能性が高く、海警局の活動範囲や作戦内容のさらなる拡大が予想される。
【要点】
1.行動の概要
・4月1日、中国海警局が台湾島周辺海域で法執行パトロールを実施
・複数の艦艇編隊が参加し、臨検・拿捕、阻止・押収などの訓練を実施
・「一つの中国」原則に基づき、台湾島への法的管制を強化
2.台湾島への接近度の変化
・昨年5月、10月の行動と比較し、今回の行動はより台湾本島に近接
・これは、台湾側の動きに応じて段階的に圧力を強める戦略の一環
・「挑発が増すほど、締め付けが厳しくなる」との方針を示唆
3.台湾島包囲の特徴
・前回の行動と比較し、より明確な包囲形態を取る
・ただし、台湾海峡に開口部を設置
・これにより、台湾島が大陸と不可分であることを強調
4.政治的・戦略的意図
・台湾島周辺海域の実効支配を強化
・「一つの中国」原則を具体的行動で示す
・国際社会に対して台湾地区の地位を主張
5.海上法執行能力の向上
・実際の取締り能力を強化するための訓練
・臨検・拿捕、阻止・押収などを実施し、実践的能力を向上
・台湾側および関連する海上勢力に対する抑止効果を狙う
6.今後の見通し
・同様の法執行パトロールが継続・強化される可能性
・海警局の活動範囲や作戦内容のさらなる拡大が予想される
【引用・参照・底本】
中国海警局艦艇編隊が「一つの中国」原則に基づき台湾島を包囲して法執行・管制 人民網日本語版 2025.04.02
http://j.people.com.cn/n3/2025/0402/c94474-20297295.html
中国海警局は4月1日、台湾島周辺の海域で法執行パトロールを実施し、臨検・拿捕や阻止・押収といった訓練を行った。中国海警局東海分局の報道官によれば、これは「一つの中国」原則に基づき、台湾島に対する法的な管制を行うための措置である。
今回の行動は、昨年5月や10月に行われたものと比べ、台湾本島により近い距離で実施された。海警局の部隊展開は段階的に台湾島に接近しており、「挑発が増すほど、締め付けが厳しくなる」との姿勢が示されている。
また、前回の概要図と比較すると、今回は台湾島を包囲する形での法執行が行われたが、台湾海峡に開口部が設けられていることが確認できる。これにより、海警局が台湾島周辺の管制をすでに実現していることが示されるとともに、大陸部と台湾地区のつながりを強調し、台湾地区が「一つの中国」に属することを明確にする意図があるとされる。
【詳細】
中国海警局は4月1日、複数の艦艇編隊を投入し、台湾島周辺海域で法執行パトロールを実施した。今回の行動では、臨検・拿捕や阻止・押収といった具体的な訓練が行われた。中国海警局東海分局の報道官は、この行動が「一つの中国」原則に基づくものであり、台湾島に対する法的管制を強化する実際の措置であると説明している。
今回の行動の特徴として、まず、台湾本島により接近した形で実施された点が挙げられる。昨年5月と10月にも同様の活動が行われたが、その際と比較すると、今回はさらに台湾島に近い距離で艦艇を展開し、法執行を実施している。この動きは、台湾側の動向に応じて海警局が段階的に圧力を強めていることを示しており、「挑発が増すほど、締め付けが厳しくなる」との姿勢を鮮明にしている。
また、今回の行動の概要図を前回と比較すると、台湾島を包囲する形での法執行が強化されている一方で、台湾海峡に開口部が設けられていることが分かる。この点について、中国側の分析では、海警局がすでに台湾島周辺海域の管制を実現したことを示すとともに、大陸部と台湾地区の一体性を強調する狙いがあるとされる。
具体的には、台湾島を完全に封鎖するのではなく、台湾海峡に一定の開口部を残すことで、台湾地区が大陸と不可分であることを強調する意図が読み取れる。これにより、台湾島の地位が「一つの中国」に属するものであることを視覚的にも示し、国際社会に対してもその立場を強く主張する効果を持たせていると考えられる。
加えて、今回の法執行行動において、中国海警局は臨検・拿捕や阻止・押収の訓練を実施しており、これは海上での実際の取締り能力を高める狙いがある。海警局は、これらの訓練を通じて海上法執行の実践的な能力を向上させるとともに、台湾側や関連する海上勢力に対する抑止効果を狙っていると考えられる。
このように、中国海警局の行動は、台湾周辺の海域における実効支配を強化する目的を持ち、「一つの中国」原則を具体的な行動によって示すものである。今後も同様の法執行パトロールが継続・強化される可能性が高く、海警局の活動範囲や作戦内容のさらなる拡大が予想される。
【要点】
1.行動の概要
・4月1日、中国海警局が台湾島周辺海域で法執行パトロールを実施
・複数の艦艇編隊が参加し、臨検・拿捕、阻止・押収などの訓練を実施
・「一つの中国」原則に基づき、台湾島への法的管制を強化
2.台湾島への接近度の変化
・昨年5月、10月の行動と比較し、今回の行動はより台湾本島に近接
・これは、台湾側の動きに応じて段階的に圧力を強める戦略の一環
・「挑発が増すほど、締め付けが厳しくなる」との方針を示唆
3.台湾島包囲の特徴
・前回の行動と比較し、より明確な包囲形態を取る
・ただし、台湾海峡に開口部を設置
・これにより、台湾島が大陸と不可分であることを強調
4.政治的・戦略的意図
・台湾島周辺海域の実効支配を強化
・「一つの中国」原則を具体的行動で示す
・国際社会に対して台湾地区の地位を主張
5.海上法執行能力の向上
・実際の取締り能力を強化するための訓練
・臨検・拿捕、阻止・押収などを実施し、実践的能力を向上
・台湾側および関連する海上勢力に対する抑止効果を狙う
6.今後の見通し
・同様の法執行パトロールが継続・強化される可能性
・海警局の活動範囲や作戦内容のさらなる拡大が予想される
【引用・参照・底本】
中国海警局艦艇編隊が「一つの中国」原則に基づき台湾島を包囲して法執行・管制 人民網日本語版 2025.04.02
http://j.people.com.cn/n3/2025/0402/c94474-20297295.html