アメリカ国防長官:日本軍の「勇敢な精神」を称賛 ― 2025年04月10日 19:07
【桃源寸評】
歴史忘れの政治的で浮薄なる言動である。
✅「勇敢な精神」の称賛の意味の曖昧さ
「勇敢」とは本来、恐怖に打ち勝ち、使命を果たすために立ち向かう精神を指す。
これを個々の兵士の行動に向けた場合、それは人間的苦悩や死を前にした覚悟に対する哀悼や敬意として受け止められうる。
しかし組織(軍隊)としての行動に向けた場合、それは命令系統に従った戦闘行為そのものを肯定することになりかねず、侵略戦争を行った日本軍への美化や免罪と捉えられる危険がある。
✅軍隊としての「勇敢」=制度的暴力の称賛?
軍隊は命令に従い、時に個人の意志を無視して行動する集団組織である。
その行動に「勇敢さ」を見出すことは、兵士の人間性ではなく、軍事行動の正当性を示唆する可能性を含む。
特に硫黄島のような「徹底抗戦」が命じられた戦闘においては、勇敢さはしばしば「玉砕の精神」と結び付けられ、非人道的な状況が黙認・賞賛されかねない。
✅日本国民としての違和感と危惧
・現代の日本は憲法で戦争を放棄しており、戦争を肯定するような発言には国内でも慎重な視線が注がれる。
・米国の高官が「日本軍の勇敢さ」を称えることは、国内においても戦争の記憶や歴史認識の再考を迫られるような圧力と映る。
・特に日本人の立場からすれば、「一兵士の犠牲を悼むこと」と「侵略行為に従事した組織を称賛すること」は明確に区別されるべきである。
・「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」この日本国憲法の前文から判断しても、日本は、特に、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと」腹を括ったのだ。
✅直截に言えば
・今回の米国防長官の発言は、個人への哀悼というよりも日本軍という制度の戦闘精神を称えた形となっており、その意図がどうであれ、歴史修正主義に繋がる懸念を孕む。
・日本を含むアジア諸国が経験した戦争被害の記憶、またそれに対する戦後の自己反省の姿勢と齟齬をきたす。
・よって、「勇敢」という言葉を用いるのであれば、それが誰に、何に向けられているかの文脈が極めて重要であり、言葉の使い方には最大限の配慮が求められる。
・米国は戦略的関心を中東やヨーロッパからアジア太平洋地域へ移行させつつある。
・その中で日本は、米国の戦略的駒・防人・身代わりとして位置づけられつつある。
・対中国の地政学的対立において、台湾問題が米中の摩擦点として利用されている。
・台湾問題は中国にとって国内問題(内政問題)であり、他国が干渉すればするほど、対立は激化する。
・台湾は本来、中国にとっての内政問題である。したがって、これに日米が過度に介入することは、理論的にも倫理的にも道理に反する行為である。にもかかわらず、米国は台湾への軍事的支援や政治的訪問を通じて、中国を挑発し続けており、日本もまたその片棒を担がされる形になっている。
・端的に言えば、現在の国際情勢は米国の対中戦略において日本を前線に立たせる構図を形成している。米国は覇権的地位の維持を図る中でアジアへの軸足を強めており、日本はその地理的・政治的特性から「駒」や「防人」として扱われつつある。
・平和を唱えるのであれば、挑発的行動を自制し、対話と相互理解に基づいた外交努力を重ねるべきである。しかし現実には、軍備拡張と包囲網形成が進められており、日本はその先兵として危険な立場に置かれている。このような状況に無自覚であり続ければ、将来的に日本が直接の戦火に巻き込まれ、壊滅的被害を受けることは不可避である。
・日米は「平和を尊重する」と口では言いながら、実際には軍事的牽制や挑発的行為によって中国を煽っている。
・日本はそのような挑発に乗せられ、中国との緊張の最前線に立たされることになる。
・結果として、日本が壊滅的な被害を被る可能性が現実味を帯びてくる。
・「歴史を忘却してはならない」という言葉は、中国側が発したものとしても、その本質は日米両国自身にも強く当てはまる戒めである。
✅日米とも歴史を忘却してはいけない歴史を忘却してはならない理由(対日・対米それぞれ)
【日本において】
・日本軍国主義による侵略の歴史(中国大陸・朝鮮半島・東南アジア)は事実として存在している。
・硫黄島や沖縄などの戦闘では、日本兵だけでなく、民間人を含む多くの犠牲者を生んだ。
・戦後の平和憲法は、こうした歴史的反省に基づいて形成されたものであり、それを骨抜きにする動きは過去の過ちの繰り返しにつながる。
・「勇敢な精神」だけを切り取って賛美することは、軍隊の本質的な暴力性と侵略性を見誤る危険がある。
【米国において】
・米国は第二次大戦中に日本本土への大規模な無差別空襲と原爆投下を行い、民間人に膨大な犠牲を強いた。
・戦後は日本を「対共産圏の防波堤」と位置付け、冷戦の中で戦略的に再軍備を促したという側面がある。
・台湾問題に関しても、歴史的文脈を省略し、あたかも中国の不当な圧力であるかのように描くのは歴史の単純化・政治的利用に他ならない。
・硫黄島の戦闘は日米双方にとって痛ましい出来事であるにもかかわらず、その一部を現代の地政学に沿って切り取り美化することは、過去を政治利用する行為である。
🟦まとめ
・日米両国は、自らの過去の行為を選択的に記憶・解釈するのではなく、歴史を全体として見つめ、責任ある形で未来の平和を築く努力をすべきである。
・歴史の忘却は、必ずや新たな悲劇の温床となる。とりわけ、地政学的な緊張が高まる現在においては、「歴史を忘却してはならない」という言葉を、他国に向けるだけでなく、まず自国に対して向け直すべきである。
・必要であれば、歴史的事例や一次資料などを用いて、さらに詳しく展開することも可能である。ご希望があれば指示を。
・直截に言えば、現在の国際情勢は米国の対中戦略において日本を前線に立たせる構図を形成している。米国は覇権的地位の維持を図る中でアジアへの軸足を強めており、日本はその地理的・政治的特性から「駒」や「防人」として扱われつつある。
・台湾は本来、中国にとっての内政問題である。したがって、これに日米が過度に介入することは、理論的にも倫理的にも道理に反する行為である。にもかかわらず、米国は台湾への軍事的支援や政治的訪問を通じて、中国を挑発し続けており、日本もまたその片棒を担がされる形になっている。
・平和を唱えるのであれば、挑発的行動を自制し、対話と相互理解に基づいた外交努力を重ねるべきである。しかし現実には、軍備拡張と包囲網形成が進められており、日本はその先兵として危険な立場に置かれている。このような状況に無自覚であり続ければ、将来的に日本が直接の戦火に巻き込まれ、壊滅的被害を受けることは不可避である。
・日米安保の廃棄こそ、<腹を括る>証左である。
【寸評 完】
【概要】
この発言に対する中国側の反応は、歴史認識および地域の安全保障環境に関する強い懸念を表明するものである。
張報道官は、アメリカ国防長官が訪日中に硫黄島の戦いにおける日本軍の「勇敢な精神」を称賛したとの報道について、歴史認識を巡る重要な問題であるとの立場を示した。彼は、「歴史を忘れることは許されず、是非を混同してはならない」と述べ、第二次世界大戦期における日本の侵略行為を軽視または正当化するような言動を強く非難した。
張報道官は、誰が戦争を発動し、誰が侵略と拡張を行い、誰が平和を守ったのかについては、すでに国際社会の評価が確立されていると指摘した。そして、2025年が「中国人民抗日戦争」および「世界反ファシズム戦争」勝利80周年にあたる重要な年であることに言及し、そのような節目の年において、日本軍国主義を美化する発言がなされることは容認し難いとした。
さらに、張報道官は、仮に米国において日本軍国主義を肯定的に評価するような「政治的パフォーマンス」に走る者が存在するならば、かつてファシズムに抗し、命を捧げた無数の戦士たちに対して、どう説明ができるのかと疑問を呈した。こうした発言は、米国国内でも反発を招いており、世界中の人々の怒りを買うのは必然であると主張した。
最後に、張報道官は関係国に対し、「誤った言論を撒き散らすのをやめるよう」強く促したうえで、アジア太平洋地域を地政学的な争いの場にしてはならず、またブロック政治や軍事的対立を煽ることによって、この地域の人々の安全と幸福を損なってはならないと警告した。
この声明は、中国政府が歴史問題と安全保障問題とを密接に結び付けて捉えており、米国による日本への軍事的・象徴的な接近が、中国にとっては地域安定を損なう要因と映っていることを反映している。張報道官の発言は、歴史認識をめぐる対立が依然としてアジア太平洋地域の外交的緊張の一因となっている現実を象徴している。
【詳細】
人民解放軍報道官である張暁剛氏の発言およびその背景について、歴史認識、安全保障、地政学的観点を織り交ぜて、さらに詳しく説明する。
1.米国防長官の発言とその性質
今回の問題の発端は、米国のオースティン国防長官が訪日中に行った発言にある。長官は、第二次世界大戦の「硫黄島の戦い」における日本軍の「勇敢さ」を称賛したと報じられており、これが米国内外で波紋を呼んでいる。
硫黄島の戦いは、1945年にアメリカ軍が太平洋戦争の終盤で日本本土への進攻の一環として行った大規模な戦闘であり、日本軍は全滅に近い壊滅的損害を受けたが、徹底抗戦の姿勢を見せたことが知られている。米国ではこの戦闘は、映画『硫黄島からの手紙』などを通じて、アメリカ兵の勇敢さとともに、日本軍の兵士の「自己犠牲的精神」も一部で称揚されるようになっている。
このような発言は、戦史的・軍事的文脈では「敵味方を問わず、戦場での勇気を認める」意図を持つこともあるが、中国側はこれを「歴史修正」あるいは「日本軍国主義の美化」として受け取っている。
2.中国側の主張:「歴史を忘れることは許されず、是非を混同してはならない」
張報道官の発言の核心は、歴史の正しい認識を保持し、それを政治的目的で歪めてはならないというものである。特に、「誰が戦争を発動し、誰が侵略と拡張を行い、誰が平和を守ったのか」については、すでに国際社会で評価が確定していると断じている。
中国は、日中戦争(中国側呼称:抗日戦争)において、当時の日本が「侵略者」であったという歴史認識を強く持っており、これを否定・曖昧化するような発言は看過できないとしている。張報道官の「是非を混同してはならない」という言葉は、まさにこの立場を象徴するものである。
3.歴史的節目:抗日戦争・反ファシズム戦争勝利80周年
2025年は、中国にとって「中国人民抗日戦争」と「世界反ファシズム戦争」の勝利80周年にあたる。この年は、中国が国内外に対して、自国の戦勝国としての歴史的正統性や国際秩序における役割を強調する節目である。
そのような記念の年において、米国の高官がかつての「侵略者」である日本軍の行動を称賛する発言を行うことは、中国側にとって極めて挑発的かつ容認しがたいものであり、内外のナショナリズムや歴史意識を刺激する要因となる。
4.ファシズムへの抵抗と犠牲者への敬意
張報道官は、「ファシズムに対抗し、犠牲となった戦士たちをどう安心させるのか」と述べており、これは政治的な修辞であると同時に、歴史的責任を問う倫理的主張でもある。
中国側の立場からすれば、第二次世界大戦において数千万単位の犠牲を出したアジア地域、とりわけ中国大陸における残虐行為(南京事件など)を忘却したり相対化したりすることは、「戦没者の記憶への冒涜」であり、国民感情を傷つける行為であるとされる。
5.地域安全保障と地政学的メッセージ
声明の最後で、張報道官は「アジア太平洋地域を地政学的争いの場にしてはならない」と述べ、軍事的対立やブロック政治の構築を批判している。これは、米国の「インド太平洋戦略」における日米同盟の強化や、日本の防衛力強化、台湾問題をめぐる日米協調といった動きを念頭に置いた発言である。
中国側は、こうした動きを「冷戦的思考」と批判し、地域の緊張を高める要因として捉えており、今回の発言問題を通じて、改めて「米国が地域不安定化を招いている」と訴えている。
総合的評価
本件は単なる歴史認識問題ではなく、中国が米国のアジア政策や日本との軍事的連携を警戒し、歴史問題を通じて外交圧力をかける手段としても用いていることが読み取れる。
すなわち、張報道官の発言は以下の多層的なメッセージを内包している。
・歴史修正主義への明確な拒否
・米国国内における発言責任への警鐘
・戦没者への敬意の表明
・日米の軍事協力に対する批判
・地域秩序を乱す行動への牽制
このように、中国側の立場は極めて一貫しており、「歴史を語ること」は同時に「現在の秩序を語ること」でもある、という戦略的姿勢が明確に現れている。
【要点】
米国防長官の発言の概要
・米国のロイド・オースティン国防長官が訪日中、硫黄島の戦いにおける日本軍の「勇敢な精神」を称賛。
・硫黄島の戦いは日本軍の徹底抗戦で知られ、日米両軍ともに大きな損失を出した激戦。
・この発言は一部米国国内でも批判されており、中国側も強く反発。
張報道官の基本的立場
・「歴史を忘れることは許されず、是非を混同してはならない」と強調。
・侵略と拡張を行ったのは誰か、国際社会は既に評価を下していると主張。
・日本軍国主義の美化につながる発言は容認できないと表明。
歴史認識と現在の政治
・2025年は中国人民抗日戦争および世界反ファシズム戦争の勝利80周年。
・この節目の年に、侵略側を称賛するような発言は歴史的正義に反すると主張。
・歴史問題は単なる過去の出来事ではなく、現代の国際秩序とも直結すると認識。
戦没者への敬意と倫理的批判
・ファシズムに立ち向かい犠牲となった戦士たちをどう安心させられるのかと問いかけ。
・歴史を歪めることは、戦争被害者やその遺族への冒涜であるとの道義的批判を展開。
地域安全保障と地政学的警告
・アジア太平洋地域を地政学的争いの舞台にしてはならないと警告。
・米国のブロック政治・軍事的対立の煽動が地域の安全と幸福を損なうと主張。
・特に日米同盟の強化や台湾問題を念頭に、米国の介入を牽制。
中国側の目的と戦略
・歴史問題を通じて米国の発言を牽制し、対中圧力の弱体化を狙う。
・日本との防衛協力を正当化する米国の立場を「歴史を忘れた言動」として批判。
・対外的には「正義・犠牲者の側に立つ」姿勢を強調し、国際的共感を得る意図。
【参考】
☞ 先の大戦、すなわち第二次世界大戦におけるアジア地域での犠牲者数は、概算で2,000万人以上に達すると広く認識されている。この数値には、民間人・軍人を問わず、多くの国と地域の人々が含まれている。
以下、主な国・地域ごとの犠牲者数の概算を示す(資料や評価によって幅があるため、おおよその目安である)
1.アジアにおける主な犠牲者数(推定犠牲者数 民間人+軍人)
・中国 約1,400万〜2,000万人 日中戦争(1937–45)における空襲、虐殺(例:南京事件)、飢餓などを含む
・日本 約310万人(軍人230万人、民間人80万人)(東京大空襲・広島・長崎を含む)
・朝鮮半島(当時は日本統治下) 数十万〜100万人程度 強制動員、戦場・空襲による被害、広島・長崎での朝鮮人犠牲者も含まれる
・フィリピン 約100万人以上 マニラ市街戦など、日本軍と米軍の戦闘による民間人被害が大きい
・インドネシア(オランダ領東インド) 約400万人(飢餓・強制労働含む) 日本占領期の食糧危機や労働動員による
・ベトナム(仏領インドシナ) 約100万人(飢餓) 1945年の飢餓による大規模死者(日本の収奪政策も影響)
・マレーシア・シンガポール 数万人 華僑に対する粛清(例:シンガポールの「粛清事件」)など
・ビルマ(ミャンマー) 数万人以上 日本軍と英軍の激戦地、現地住民の巻き添えも多い
2. 総計
これらを合計すると、アジア全体での犠牲者数は2,000万人を大きく上回るという見方も存在する。中国とインドネシアだけで全体の大半を占めている。
3. 注意点
・上記はあくまで「戦争による死者(直接的・間接的)」であり、戦後の後遺症や、帰還後の生活破壊、精神的被害までは含まれない。
・民間人の犠牲が特に多く、戦争の非人道性・無差別性が強く表れている。
・犠牲者の正確な数は今なお議論があり、各国の立場や記憶の政治が数値の受け止め方に影響を及ぼしている。
➡️硫黄島での戦死者
硫黄島の戦い(1945年2月19日〜3月26日)における戦死者数は、日本軍・米軍ともに極めて大きな損害を出したことで知られている。以下に主要な数字を記す。
日本軍の損害
・戦死者:約21,000人
・栗林忠道中将を司令官とする小笠原兵団(約21,000人)がほぼ全滅。
・生存捕虜はわずか200人以下(約216人とされる)。
・負傷や投降ではなく、戦闘継続中に戦死した兵士がほとんど。
米軍の損害
・戦死者:約6,800人
・負傷者:約18,000人
・太平洋戦線でも屈指の損害規模。
・激戦により米海兵隊にとって最も過酷な戦いのひとつとされる。
・後に「星条旗を掲げる海兵隊員」の写真が戦意高揚の象徴として使われた。
民間人
・硫黄島には当時、一般住民はおらず、民間人の犠牲者は基本的にいない。
戦略的重要性
・硫黄島は日本本土とサイパンの中間に位置し、米軍にとっては本土爆撃の中継基地として極めて重要。
・一方、日本にとっては絶対国防圏の最前線と位置付けられていた。
この戦いは軍人同士の戦いであり、非人道的な民間人被害はないものの、損害の凄絶さ、そして司令官以下全滅という事実から、日本国内でも特異な戦史として記憶されている。栗林中将の戦術や「最後の突撃」なども神話的に語られることがある。
➡️沖縄戦(1945年3月26日〜6月23日)は、太平洋戦争末期における最大規模の地上戦であり、軍人・民間人あわせて20万人を超える死者を出した。以下、主な戦死者数と背景を箇条書きで詳述する。
・総死者数(概算)
区分 推定死者数 備考
日本軍 約94,000人 沖縄守備軍(第32軍)+海軍、補助部隊含む
米軍 約12,500人 海兵隊・陸軍など、負傷者は約5万人
沖縄住民 約94,000〜120,000人 全人口の1/4前後。爆撃・砲撃・餓死・集団自決など
➡️沖縄住民の犠牲(詳述)
・直接の戦闘に巻き込まれて死亡
・日本軍による「住民動員」(鉄血勤皇隊、ひめゆり学徒隊等)
・日本軍の命令・誘導による「集団自決」
・壕(ごう)からの追い出し・砲撃誘導
・食糧難による餓死
・「スパイ視」されて殺害されるケースも
➡️米軍の損害
・戦死者:約12,500人
・軍種別では海兵隊と陸軍で大きな損害。
・負傷者:約5万人
・沖縄戦は、米国史上最も死傷率の高い戦いのひとつ。
・艦艇被害:神風特攻機により多数撃沈・損傷。
➡️特徴
・唯一の「本土決戦」
・日本本土(行政区画としての)での唯一の大規模地上戦。
・民間人が戦闘に巻き込まれた典型例
・軍民の区別が事実上消失。
・「鉄の暴風」
米軍の猛烈な砲爆撃により、多くの民間人が犠牲に。
・悲劇的な記憶
日本本土防衛の「時間稼ぎ」として位置付けられ、沖縄が「捨て石」にされたという認識が今も地元に根強い。
➡️歴史的・倫理的評価
・軍民の区別がなされなかった戦術
・住民を盾とする防衛戦略
・降伏の遅れと犠牲の増大
・米軍の徹底的な破壊戦術
沖縄戦は、硫黄島戦の数倍規模の人員と犠牲を伴った戦いであり、日本の敗戦とその後の米軍占領、さらには沖縄の「戦後史」全体に重大な影響を及ぼした。
【参考はブログ作成者が付記】
【引用・参照・底本】
米国防長官が硫黄島の戦いの日本軍を「勇敢」と称賛 中国「是非を混同してはならない」 人民網日本語版 2025.04.10
http://j.people.com.cn/n3/2025/0410/c94474-20300236.html
歴史忘れの政治的で浮薄なる言動である。
✅「勇敢な精神」の称賛の意味の曖昧さ
「勇敢」とは本来、恐怖に打ち勝ち、使命を果たすために立ち向かう精神を指す。
これを個々の兵士の行動に向けた場合、それは人間的苦悩や死を前にした覚悟に対する哀悼や敬意として受け止められうる。
しかし組織(軍隊)としての行動に向けた場合、それは命令系統に従った戦闘行為そのものを肯定することになりかねず、侵略戦争を行った日本軍への美化や免罪と捉えられる危険がある。
✅軍隊としての「勇敢」=制度的暴力の称賛?
軍隊は命令に従い、時に個人の意志を無視して行動する集団組織である。
その行動に「勇敢さ」を見出すことは、兵士の人間性ではなく、軍事行動の正当性を示唆する可能性を含む。
特に硫黄島のような「徹底抗戦」が命じられた戦闘においては、勇敢さはしばしば「玉砕の精神」と結び付けられ、非人道的な状況が黙認・賞賛されかねない。
✅日本国民としての違和感と危惧
・現代の日本は憲法で戦争を放棄しており、戦争を肯定するような発言には国内でも慎重な視線が注がれる。
・米国の高官が「日本軍の勇敢さ」を称えることは、国内においても戦争の記憶や歴史認識の再考を迫られるような圧力と映る。
・特に日本人の立場からすれば、「一兵士の犠牲を悼むこと」と「侵略行為に従事した組織を称賛すること」は明確に区別されるべきである。
・「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」この日本国憲法の前文から判断しても、日本は、特に、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと」腹を括ったのだ。
✅直截に言えば
・今回の米国防長官の発言は、個人への哀悼というよりも日本軍という制度の戦闘精神を称えた形となっており、その意図がどうであれ、歴史修正主義に繋がる懸念を孕む。
・日本を含むアジア諸国が経験した戦争被害の記憶、またそれに対する戦後の自己反省の姿勢と齟齬をきたす。
・よって、「勇敢」という言葉を用いるのであれば、それが誰に、何に向けられているかの文脈が極めて重要であり、言葉の使い方には最大限の配慮が求められる。
・米国は戦略的関心を中東やヨーロッパからアジア太平洋地域へ移行させつつある。
・その中で日本は、米国の戦略的駒・防人・身代わりとして位置づけられつつある。
・対中国の地政学的対立において、台湾問題が米中の摩擦点として利用されている。
・台湾問題は中国にとって国内問題(内政問題)であり、他国が干渉すればするほど、対立は激化する。
・台湾は本来、中国にとっての内政問題である。したがって、これに日米が過度に介入することは、理論的にも倫理的にも道理に反する行為である。にもかかわらず、米国は台湾への軍事的支援や政治的訪問を通じて、中国を挑発し続けており、日本もまたその片棒を担がされる形になっている。
・端的に言えば、現在の国際情勢は米国の対中戦略において日本を前線に立たせる構図を形成している。米国は覇権的地位の維持を図る中でアジアへの軸足を強めており、日本はその地理的・政治的特性から「駒」や「防人」として扱われつつある。
・平和を唱えるのであれば、挑発的行動を自制し、対話と相互理解に基づいた外交努力を重ねるべきである。しかし現実には、軍備拡張と包囲網形成が進められており、日本はその先兵として危険な立場に置かれている。このような状況に無自覚であり続ければ、将来的に日本が直接の戦火に巻き込まれ、壊滅的被害を受けることは不可避である。
・日米は「平和を尊重する」と口では言いながら、実際には軍事的牽制や挑発的行為によって中国を煽っている。
・日本はそのような挑発に乗せられ、中国との緊張の最前線に立たされることになる。
・結果として、日本が壊滅的な被害を被る可能性が現実味を帯びてくる。
・「歴史を忘却してはならない」という言葉は、中国側が発したものとしても、その本質は日米両国自身にも強く当てはまる戒めである。
✅日米とも歴史を忘却してはいけない歴史を忘却してはならない理由(対日・対米それぞれ)
【日本において】
・日本軍国主義による侵略の歴史(中国大陸・朝鮮半島・東南アジア)は事実として存在している。
・硫黄島や沖縄などの戦闘では、日本兵だけでなく、民間人を含む多くの犠牲者を生んだ。
・戦後の平和憲法は、こうした歴史的反省に基づいて形成されたものであり、それを骨抜きにする動きは過去の過ちの繰り返しにつながる。
・「勇敢な精神」だけを切り取って賛美することは、軍隊の本質的な暴力性と侵略性を見誤る危険がある。
【米国において】
・米国は第二次大戦中に日本本土への大規模な無差別空襲と原爆投下を行い、民間人に膨大な犠牲を強いた。
・戦後は日本を「対共産圏の防波堤」と位置付け、冷戦の中で戦略的に再軍備を促したという側面がある。
・台湾問題に関しても、歴史的文脈を省略し、あたかも中国の不当な圧力であるかのように描くのは歴史の単純化・政治的利用に他ならない。
・硫黄島の戦闘は日米双方にとって痛ましい出来事であるにもかかわらず、その一部を現代の地政学に沿って切り取り美化することは、過去を政治利用する行為である。
🟦まとめ
・日米両国は、自らの過去の行為を選択的に記憶・解釈するのではなく、歴史を全体として見つめ、責任ある形で未来の平和を築く努力をすべきである。
・歴史の忘却は、必ずや新たな悲劇の温床となる。とりわけ、地政学的な緊張が高まる現在においては、「歴史を忘却してはならない」という言葉を、他国に向けるだけでなく、まず自国に対して向け直すべきである。
・必要であれば、歴史的事例や一次資料などを用いて、さらに詳しく展開することも可能である。ご希望があれば指示を。
・直截に言えば、現在の国際情勢は米国の対中戦略において日本を前線に立たせる構図を形成している。米国は覇権的地位の維持を図る中でアジアへの軸足を強めており、日本はその地理的・政治的特性から「駒」や「防人」として扱われつつある。
・台湾は本来、中国にとっての内政問題である。したがって、これに日米が過度に介入することは、理論的にも倫理的にも道理に反する行為である。にもかかわらず、米国は台湾への軍事的支援や政治的訪問を通じて、中国を挑発し続けており、日本もまたその片棒を担がされる形になっている。
・平和を唱えるのであれば、挑発的行動を自制し、対話と相互理解に基づいた外交努力を重ねるべきである。しかし現実には、軍備拡張と包囲網形成が進められており、日本はその先兵として危険な立場に置かれている。このような状況に無自覚であり続ければ、将来的に日本が直接の戦火に巻き込まれ、壊滅的被害を受けることは不可避である。
・日米安保の廃棄こそ、<腹を括る>証左である。
【寸評 完】
【概要】
この発言に対する中国側の反応は、歴史認識および地域の安全保障環境に関する強い懸念を表明するものである。
張報道官は、アメリカ国防長官が訪日中に硫黄島の戦いにおける日本軍の「勇敢な精神」を称賛したとの報道について、歴史認識を巡る重要な問題であるとの立場を示した。彼は、「歴史を忘れることは許されず、是非を混同してはならない」と述べ、第二次世界大戦期における日本の侵略行為を軽視または正当化するような言動を強く非難した。
張報道官は、誰が戦争を発動し、誰が侵略と拡張を行い、誰が平和を守ったのかについては、すでに国際社会の評価が確立されていると指摘した。そして、2025年が「中国人民抗日戦争」および「世界反ファシズム戦争」勝利80周年にあたる重要な年であることに言及し、そのような節目の年において、日本軍国主義を美化する発言がなされることは容認し難いとした。
さらに、張報道官は、仮に米国において日本軍国主義を肯定的に評価するような「政治的パフォーマンス」に走る者が存在するならば、かつてファシズムに抗し、命を捧げた無数の戦士たちに対して、どう説明ができるのかと疑問を呈した。こうした発言は、米国国内でも反発を招いており、世界中の人々の怒りを買うのは必然であると主張した。
最後に、張報道官は関係国に対し、「誤った言論を撒き散らすのをやめるよう」強く促したうえで、アジア太平洋地域を地政学的な争いの場にしてはならず、またブロック政治や軍事的対立を煽ることによって、この地域の人々の安全と幸福を損なってはならないと警告した。
この声明は、中国政府が歴史問題と安全保障問題とを密接に結び付けて捉えており、米国による日本への軍事的・象徴的な接近が、中国にとっては地域安定を損なう要因と映っていることを反映している。張報道官の発言は、歴史認識をめぐる対立が依然としてアジア太平洋地域の外交的緊張の一因となっている現実を象徴している。
【詳細】
人民解放軍報道官である張暁剛氏の発言およびその背景について、歴史認識、安全保障、地政学的観点を織り交ぜて、さらに詳しく説明する。
1.米国防長官の発言とその性質
今回の問題の発端は、米国のオースティン国防長官が訪日中に行った発言にある。長官は、第二次世界大戦の「硫黄島の戦い」における日本軍の「勇敢さ」を称賛したと報じられており、これが米国内外で波紋を呼んでいる。
硫黄島の戦いは、1945年にアメリカ軍が太平洋戦争の終盤で日本本土への進攻の一環として行った大規模な戦闘であり、日本軍は全滅に近い壊滅的損害を受けたが、徹底抗戦の姿勢を見せたことが知られている。米国ではこの戦闘は、映画『硫黄島からの手紙』などを通じて、アメリカ兵の勇敢さとともに、日本軍の兵士の「自己犠牲的精神」も一部で称揚されるようになっている。
このような発言は、戦史的・軍事的文脈では「敵味方を問わず、戦場での勇気を認める」意図を持つこともあるが、中国側はこれを「歴史修正」あるいは「日本軍国主義の美化」として受け取っている。
2.中国側の主張:「歴史を忘れることは許されず、是非を混同してはならない」
張報道官の発言の核心は、歴史の正しい認識を保持し、それを政治的目的で歪めてはならないというものである。特に、「誰が戦争を発動し、誰が侵略と拡張を行い、誰が平和を守ったのか」については、すでに国際社会で評価が確定していると断じている。
中国は、日中戦争(中国側呼称:抗日戦争)において、当時の日本が「侵略者」であったという歴史認識を強く持っており、これを否定・曖昧化するような発言は看過できないとしている。張報道官の「是非を混同してはならない」という言葉は、まさにこの立場を象徴するものである。
3.歴史的節目:抗日戦争・反ファシズム戦争勝利80周年
2025年は、中国にとって「中国人民抗日戦争」と「世界反ファシズム戦争」の勝利80周年にあたる。この年は、中国が国内外に対して、自国の戦勝国としての歴史的正統性や国際秩序における役割を強調する節目である。
そのような記念の年において、米国の高官がかつての「侵略者」である日本軍の行動を称賛する発言を行うことは、中国側にとって極めて挑発的かつ容認しがたいものであり、内外のナショナリズムや歴史意識を刺激する要因となる。
4.ファシズムへの抵抗と犠牲者への敬意
張報道官は、「ファシズムに対抗し、犠牲となった戦士たちをどう安心させるのか」と述べており、これは政治的な修辞であると同時に、歴史的責任を問う倫理的主張でもある。
中国側の立場からすれば、第二次世界大戦において数千万単位の犠牲を出したアジア地域、とりわけ中国大陸における残虐行為(南京事件など)を忘却したり相対化したりすることは、「戦没者の記憶への冒涜」であり、国民感情を傷つける行為であるとされる。
5.地域安全保障と地政学的メッセージ
声明の最後で、張報道官は「アジア太平洋地域を地政学的争いの場にしてはならない」と述べ、軍事的対立やブロック政治の構築を批判している。これは、米国の「インド太平洋戦略」における日米同盟の強化や、日本の防衛力強化、台湾問題をめぐる日米協調といった動きを念頭に置いた発言である。
中国側は、こうした動きを「冷戦的思考」と批判し、地域の緊張を高める要因として捉えており、今回の発言問題を通じて、改めて「米国が地域不安定化を招いている」と訴えている。
総合的評価
本件は単なる歴史認識問題ではなく、中国が米国のアジア政策や日本との軍事的連携を警戒し、歴史問題を通じて外交圧力をかける手段としても用いていることが読み取れる。
すなわち、張報道官の発言は以下の多層的なメッセージを内包している。
・歴史修正主義への明確な拒否
・米国国内における発言責任への警鐘
・戦没者への敬意の表明
・日米の軍事協力に対する批判
・地域秩序を乱す行動への牽制
このように、中国側の立場は極めて一貫しており、「歴史を語ること」は同時に「現在の秩序を語ること」でもある、という戦略的姿勢が明確に現れている。
【要点】
米国防長官の発言の概要
・米国のロイド・オースティン国防長官が訪日中、硫黄島の戦いにおける日本軍の「勇敢な精神」を称賛。
・硫黄島の戦いは日本軍の徹底抗戦で知られ、日米両軍ともに大きな損失を出した激戦。
・この発言は一部米国国内でも批判されており、中国側も強く反発。
張報道官の基本的立場
・「歴史を忘れることは許されず、是非を混同してはならない」と強調。
・侵略と拡張を行ったのは誰か、国際社会は既に評価を下していると主張。
・日本軍国主義の美化につながる発言は容認できないと表明。
歴史認識と現在の政治
・2025年は中国人民抗日戦争および世界反ファシズム戦争の勝利80周年。
・この節目の年に、侵略側を称賛するような発言は歴史的正義に反すると主張。
・歴史問題は単なる過去の出来事ではなく、現代の国際秩序とも直結すると認識。
戦没者への敬意と倫理的批判
・ファシズムに立ち向かい犠牲となった戦士たちをどう安心させられるのかと問いかけ。
・歴史を歪めることは、戦争被害者やその遺族への冒涜であるとの道義的批判を展開。
地域安全保障と地政学的警告
・アジア太平洋地域を地政学的争いの舞台にしてはならないと警告。
・米国のブロック政治・軍事的対立の煽動が地域の安全と幸福を損なうと主張。
・特に日米同盟の強化や台湾問題を念頭に、米国の介入を牽制。
中国側の目的と戦略
・歴史問題を通じて米国の発言を牽制し、対中圧力の弱体化を狙う。
・日本との防衛協力を正当化する米国の立場を「歴史を忘れた言動」として批判。
・対外的には「正義・犠牲者の側に立つ」姿勢を強調し、国際的共感を得る意図。
【参考】
☞ 先の大戦、すなわち第二次世界大戦におけるアジア地域での犠牲者数は、概算で2,000万人以上に達すると広く認識されている。この数値には、民間人・軍人を問わず、多くの国と地域の人々が含まれている。
以下、主な国・地域ごとの犠牲者数の概算を示す(資料や評価によって幅があるため、おおよその目安である)
1.アジアにおける主な犠牲者数(推定犠牲者数 民間人+軍人)
・中国 約1,400万〜2,000万人 日中戦争(1937–45)における空襲、虐殺(例:南京事件)、飢餓などを含む
・日本 約310万人(軍人230万人、民間人80万人)(東京大空襲・広島・長崎を含む)
・朝鮮半島(当時は日本統治下) 数十万〜100万人程度 強制動員、戦場・空襲による被害、広島・長崎での朝鮮人犠牲者も含まれる
・フィリピン 約100万人以上 マニラ市街戦など、日本軍と米軍の戦闘による民間人被害が大きい
・インドネシア(オランダ領東インド) 約400万人(飢餓・強制労働含む) 日本占領期の食糧危機や労働動員による
・ベトナム(仏領インドシナ) 約100万人(飢餓) 1945年の飢餓による大規模死者(日本の収奪政策も影響)
・マレーシア・シンガポール 数万人 華僑に対する粛清(例:シンガポールの「粛清事件」)など
・ビルマ(ミャンマー) 数万人以上 日本軍と英軍の激戦地、現地住民の巻き添えも多い
2. 総計
これらを合計すると、アジア全体での犠牲者数は2,000万人を大きく上回るという見方も存在する。中国とインドネシアだけで全体の大半を占めている。
3. 注意点
・上記はあくまで「戦争による死者(直接的・間接的)」であり、戦後の後遺症や、帰還後の生活破壊、精神的被害までは含まれない。
・民間人の犠牲が特に多く、戦争の非人道性・無差別性が強く表れている。
・犠牲者の正確な数は今なお議論があり、各国の立場や記憶の政治が数値の受け止め方に影響を及ぼしている。
➡️硫黄島での戦死者
硫黄島の戦い(1945年2月19日〜3月26日)における戦死者数は、日本軍・米軍ともに極めて大きな損害を出したことで知られている。以下に主要な数字を記す。
日本軍の損害
・戦死者:約21,000人
・栗林忠道中将を司令官とする小笠原兵団(約21,000人)がほぼ全滅。
・生存捕虜はわずか200人以下(約216人とされる)。
・負傷や投降ではなく、戦闘継続中に戦死した兵士がほとんど。
米軍の損害
・戦死者:約6,800人
・負傷者:約18,000人
・太平洋戦線でも屈指の損害規模。
・激戦により米海兵隊にとって最も過酷な戦いのひとつとされる。
・後に「星条旗を掲げる海兵隊員」の写真が戦意高揚の象徴として使われた。
民間人
・硫黄島には当時、一般住民はおらず、民間人の犠牲者は基本的にいない。
戦略的重要性
・硫黄島は日本本土とサイパンの中間に位置し、米軍にとっては本土爆撃の中継基地として極めて重要。
・一方、日本にとっては絶対国防圏の最前線と位置付けられていた。
この戦いは軍人同士の戦いであり、非人道的な民間人被害はないものの、損害の凄絶さ、そして司令官以下全滅という事実から、日本国内でも特異な戦史として記憶されている。栗林中将の戦術や「最後の突撃」なども神話的に語られることがある。
➡️沖縄戦(1945年3月26日〜6月23日)は、太平洋戦争末期における最大規模の地上戦であり、軍人・民間人あわせて20万人を超える死者を出した。以下、主な戦死者数と背景を箇条書きで詳述する。
・総死者数(概算)
区分 推定死者数 備考
日本軍 約94,000人 沖縄守備軍(第32軍)+海軍、補助部隊含む
米軍 約12,500人 海兵隊・陸軍など、負傷者は約5万人
沖縄住民 約94,000〜120,000人 全人口の1/4前後。爆撃・砲撃・餓死・集団自決など
➡️沖縄住民の犠牲(詳述)
・直接の戦闘に巻き込まれて死亡
・日本軍による「住民動員」(鉄血勤皇隊、ひめゆり学徒隊等)
・日本軍の命令・誘導による「集団自決」
・壕(ごう)からの追い出し・砲撃誘導
・食糧難による餓死
・「スパイ視」されて殺害されるケースも
➡️米軍の損害
・戦死者:約12,500人
・軍種別では海兵隊と陸軍で大きな損害。
・負傷者:約5万人
・沖縄戦は、米国史上最も死傷率の高い戦いのひとつ。
・艦艇被害:神風特攻機により多数撃沈・損傷。
➡️特徴
・唯一の「本土決戦」
・日本本土(行政区画としての)での唯一の大規模地上戦。
・民間人が戦闘に巻き込まれた典型例
・軍民の区別が事実上消失。
・「鉄の暴風」
米軍の猛烈な砲爆撃により、多くの民間人が犠牲に。
・悲劇的な記憶
日本本土防衛の「時間稼ぎ」として位置付けられ、沖縄が「捨て石」にされたという認識が今も地元に根強い。
➡️歴史的・倫理的評価
・軍民の区別がなされなかった戦術
・住民を盾とする防衛戦略
・降伏の遅れと犠牲の増大
・米軍の徹底的な破壊戦術
沖縄戦は、硫黄島戦の数倍規模の人員と犠牲を伴った戦いであり、日本の敗戦とその後の米軍占領、さらには沖縄の「戦後史」全体に重大な影響を及ぼした。
【参考はブログ作成者が付記】
【引用・参照・底本】
米国防長官が硫黄島の戦いの日本軍を「勇敢」と称賛 中国「是非を混同してはならない」 人民網日本語版 2025.04.10
http://j.people.com.cn/n3/2025/0410/c94474-20300236.html
林報道官:「中国の主権・安全保障・発展上の利益を侵害することは許さない」 ― 2025年04月10日 19:30
【概要】
2025年4月9日、中国外交部(外務省)の定例記者会見において、報道官の林剣は、米国政府が中国からの輸入品に対する「相互関税」の税率を34%から84%へ引き上げると発表したことに関し、強い反発を示した。
林報道官は、「中国国民の正当な発展の権利を剥奪することは許されず、中国の主権・安全保障・発展上の利益を侵害することも許されない。我々は引き続き断固たる力強い措置を講じ、自らの正当な権益を守っていく」と表明した。
さらに林報道官は、米国が中国に対して関税を乱発しており、絶えず最大限の圧力をかけていると批判した上で、「中国は、このような覇権行為に断固として反対し、断じてこれを受け入れない」との立場を明確にした。
また、林報道官は「もし米国が本当に対話や交渉を通じた問題解決を望んでいるのであれば、平等・尊重・互恵の姿勢を示すべきである」と述べた。その一方で、「米国が両国及び国際社会の利益を顧みず、頑なに関税戦争や貿易戦争を行うのであれば、中国は必ず最後まで相手をする」と語り、米国側の行動に対して強い対抗姿勢を示した。
本発言は、米国による対中制裁関税の強化に対し、中国政府が強硬な姿勢を継続する意志を示すものである。
【詳細】
2025年4月9日に行われた中国外交部(外務省)の定例記者会見で、報道官の林剣が米国政府の新たな貿易措置に強く反発するコメントを発表した。米国政府は、中国からの輸入品に対する「相互関税」の税率を従来の34%から84%に引き上げると発表しており、これに対して中国側は即座に反応した。
林剣報道官は、まず「中国国民の正当な発展の権利を剥奪することは許されない」と強調し、米国が中国に対して課す経済的圧力を非難した。具体的には、中国が経済成長を遂げるために必要な環境を整える権利を、米国が不当な形で奪うことは許容しないという立場を表明した。
また、林報道官は「中国の主権・安全保障・発展上の利益を侵害することは許さない」と述べ、中国の国家利益を守るために強硬な対応を取る意向を示した。これにより、米国の圧力に対して譲歩しない姿勢を強調し、中国は自国の主権を尊重させるために戦う姿勢を見せた。
さらに、米国が中国に対して頻繁に関税を課していることについて、林報道官は「米国は関税を乱発し、ひたすら最大限の圧力をかけている」と指摘した。この発言は、米国が経済的な手段を使って中国に対する影響力を強めようとしていることに対する中国側の批判であり、関税戦争を避けるべきだという立場を取っている。
林報道官は、「中国はこのような覇権行為に断固として反対し、断じてこれを受け入れない」と表明し、米国の貿易政策に対して一切の妥協をしないという中国の立場を強調した。この言葉は、米国の行動が中国に対して一方的に不利益をもたらすものであるとして、中国はそれを受け入れることはないという意志を示している。
また、林報道官は、米国が「もし本当に対話や交渉を通じた問題解決を望んでいるのであれば、平等・尊重・互恵の姿勢を示すべきだ」と述べ、米国が一方的な圧力をかけることなく、両国の平等な立場からの協議を行うべきだということを提案した。これは、米国が強硬な貿易措置を取る前に、対話の場を設けることが重要であるという呼びかけである。
一方で、米国が中国との貿易戦争を続ける場合、林報道官は「中国は必ず最後まで相手をする」と宣言し、貿易戦争が長期化することを覚悟していることを示唆した。つまり、中国は対話の扉を開いているが、米国がその機会を無視して一方的に関税を強化し続けるならば、中国は貿易戦争を徹底的に戦う意向である。
このように、中国政府は米国による一方的な貿易圧力を強く非難し、国家の利益を守るために断固として立ち向かう姿勢を強調している。中国の立場としては、貿易摩擦を解決するための平等で尊重し合う交渉を望みつつも、米国が強硬策を取る限り、その圧力に対して徹底的に対抗する決意を示している。
【要点】
・米国の措置:米国政府が中国からの輸入品に対する「相互関税」の税率を34%から84%に引き上げると発表。
・中国政府の反応:外交部(外務省)の報道官、林剣は、米国の行動に対して強く反発。
・発展権の主張:林報道官は、中国国民の正当な発展の権利を剥奪することを許さないと表明。
・国家利益の防衛:中国の主権、安全保障、発展上の利益を侵害することは許さないと強調。
・米国の圧力:米国は関税を乱発し、最大限の圧力をかけているとして非難。
・覇権行為への反対:中国は米国の覇権行為に断固として反対し、受け入れない姿勢を示す。
・対話と交渉の提案:米国が対話や交渉を望むなら、平等・尊重・互恵の姿勢を示すべきだと提案。
・貿易戦争の覚悟:米国が貿易戦争を継続するなら、中国は最後まで戦う覚悟を示す。
・中国の立場:対話を通じて問題解決を望みつつも、米国が一方的に強硬策を取る限り、徹底的に対抗する意志を表明。
【引用・参照・底本】
外交部「中国は米国の圧力や覇権行為を断じて受け入れず」 人民網日本語版 2025.04.10
http://j.people.com.cn/n3/2025/0410/c94474-20300187.html
2025年4月9日、中国外交部(外務省)の定例記者会見において、報道官の林剣は、米国政府が中国からの輸入品に対する「相互関税」の税率を34%から84%へ引き上げると発表したことに関し、強い反発を示した。
林報道官は、「中国国民の正当な発展の権利を剥奪することは許されず、中国の主権・安全保障・発展上の利益を侵害することも許されない。我々は引き続き断固たる力強い措置を講じ、自らの正当な権益を守っていく」と表明した。
さらに林報道官は、米国が中国に対して関税を乱発しており、絶えず最大限の圧力をかけていると批判した上で、「中国は、このような覇権行為に断固として反対し、断じてこれを受け入れない」との立場を明確にした。
また、林報道官は「もし米国が本当に対話や交渉を通じた問題解決を望んでいるのであれば、平等・尊重・互恵の姿勢を示すべきである」と述べた。その一方で、「米国が両国及び国際社会の利益を顧みず、頑なに関税戦争や貿易戦争を行うのであれば、中国は必ず最後まで相手をする」と語り、米国側の行動に対して強い対抗姿勢を示した。
本発言は、米国による対中制裁関税の強化に対し、中国政府が強硬な姿勢を継続する意志を示すものである。
【詳細】
2025年4月9日に行われた中国外交部(外務省)の定例記者会見で、報道官の林剣が米国政府の新たな貿易措置に強く反発するコメントを発表した。米国政府は、中国からの輸入品に対する「相互関税」の税率を従来の34%から84%に引き上げると発表しており、これに対して中国側は即座に反応した。
林剣報道官は、まず「中国国民の正当な発展の権利を剥奪することは許されない」と強調し、米国が中国に対して課す経済的圧力を非難した。具体的には、中国が経済成長を遂げるために必要な環境を整える権利を、米国が不当な形で奪うことは許容しないという立場を表明した。
また、林報道官は「中国の主権・安全保障・発展上の利益を侵害することは許さない」と述べ、中国の国家利益を守るために強硬な対応を取る意向を示した。これにより、米国の圧力に対して譲歩しない姿勢を強調し、中国は自国の主権を尊重させるために戦う姿勢を見せた。
さらに、米国が中国に対して頻繁に関税を課していることについて、林報道官は「米国は関税を乱発し、ひたすら最大限の圧力をかけている」と指摘した。この発言は、米国が経済的な手段を使って中国に対する影響力を強めようとしていることに対する中国側の批判であり、関税戦争を避けるべきだという立場を取っている。
林報道官は、「中国はこのような覇権行為に断固として反対し、断じてこれを受け入れない」と表明し、米国の貿易政策に対して一切の妥協をしないという中国の立場を強調した。この言葉は、米国の行動が中国に対して一方的に不利益をもたらすものであるとして、中国はそれを受け入れることはないという意志を示している。
また、林報道官は、米国が「もし本当に対話や交渉を通じた問題解決を望んでいるのであれば、平等・尊重・互恵の姿勢を示すべきだ」と述べ、米国が一方的な圧力をかけることなく、両国の平等な立場からの協議を行うべきだということを提案した。これは、米国が強硬な貿易措置を取る前に、対話の場を設けることが重要であるという呼びかけである。
一方で、米国が中国との貿易戦争を続ける場合、林報道官は「中国は必ず最後まで相手をする」と宣言し、貿易戦争が長期化することを覚悟していることを示唆した。つまり、中国は対話の扉を開いているが、米国がその機会を無視して一方的に関税を強化し続けるならば、中国は貿易戦争を徹底的に戦う意向である。
このように、中国政府は米国による一方的な貿易圧力を強く非難し、国家の利益を守るために断固として立ち向かう姿勢を強調している。中国の立場としては、貿易摩擦を解決するための平等で尊重し合う交渉を望みつつも、米国が強硬策を取る限り、その圧力に対して徹底的に対抗する決意を示している。
【要点】
・米国の措置:米国政府が中国からの輸入品に対する「相互関税」の税率を34%から84%に引き上げると発表。
・中国政府の反応:外交部(外務省)の報道官、林剣は、米国の行動に対して強く反発。
・発展権の主張:林報道官は、中国国民の正当な発展の権利を剥奪することを許さないと表明。
・国家利益の防衛:中国の主権、安全保障、発展上の利益を侵害することは許さないと強調。
・米国の圧力:米国は関税を乱発し、最大限の圧力をかけているとして非難。
・覇権行為への反対:中国は米国の覇権行為に断固として反対し、受け入れない姿勢を示す。
・対話と交渉の提案:米国が対話や交渉を望むなら、平等・尊重・互恵の姿勢を示すべきだと提案。
・貿易戦争の覚悟:米国が貿易戦争を継続するなら、中国は最後まで戦う覚悟を示す。
・中国の立場:対話を通じて問題解決を望みつつも、米国が一方的に強硬策を取る限り、徹底的に対抗する意志を表明。
【引用・参照・底本】
外交部「中国は米国の圧力や覇権行為を断じて受け入れず」 人民網日本語版 2025.04.10
http://j.people.com.cn/n3/2025/0410/c94474-20300187.html
日本の2025年版「外交青書」:「陳腐な論調」と批判 ― 2025年04月10日 19:42
【桃源寸評】
疑問の多い(突っ込みどころ満載)「外交青書」である。
【寸評 完】
【概要】
中国外交部は、日本の2025年版「外交青書」に対する反論を表明した。中国は、日本が中国を「最大の戦略的な挑戦」と位置付け、東中国海や南中国海での情勢や中露の軍事協力、そして中国在留の日本人の安全問題を誇張していると主張し、これを「陳腐な論調」と批判した。
林剣報道官は、日本の外交青書が中国に対する非難を強め、そのイメージを毀損していると指摘した上で、こうした見解が「中国の脅威」を過剰に強調し、中国の内政への不当な干渉であると反発した。さらに、両国の健全で安定した関係が両国民の根本的利益に合致することを強調し、日本に対して中日間の4つの基本文書の原則を遵守し、戦略的認識を見直し、陣営対立を煽ることを止めるよう求めた。
【詳細】
2025年版の日本の「外交青書」に関する中国の反論は、主に以下の点を中心に展開されている。
1. 「外交青書」の中国に対する記述
日本政府は、2025年版「外交青書」の中で、中国を「これまでにない最大の戦略的な挑戦」と位置付け、日中関係を「日本にとって最も重要な二国間関係の一つ」としつつも、いくつかの懸念点を挙げている。特に以下の点が強調された:
・東中国海や南中国海の情勢:これらの地域における中国の活動が日本にとって重大な懸念事項であることが示されている。
・中露の軍事協力:中国とロシアの軍事協力が、日本を含む国際社会に与える影響について警戒している。
・中国在留日本人の安全:日本の市民が中国にいる際の安全問題にも言及し、関心を示している。
これらの記述により、日本は中国を「脅威」として捉え、その戦略的な挑戦を強調しているという見方が示された。
2. 中国の反論
中国外交部の林剣報道官は、日本の「外交青書」に対して強い反発を表明した。彼の主な反論は以下の通り。
・「中国の脅威」を誇張:林報道官は、日本の記述が中国を誇張して脅威と捉えていることを問題視した。中国側は、自国の活動や政策が不当に過剰に評価されていると感じている。
・「陳腐な論調」:日本の外交青書が古くからの批判的な論調を踏襲しているとし、これが陳腐であり、進展がないと批判した。
・内政干渉:中国政府は、日本が中国の内政に干渉しているとして、このような見解を強く拒否。特に中国の領土問題や内政に対する日本の発言が不当であると主張している。
3. 中日関係の重要性と中国の立場
中国側は、日中関係が両国にとって極めて重要な隣国関係であることを強調している。 両国の健全で安定的な関係の維持が、両国民の根本的利益に合致するという立場を取っている。林報道官は、日本に対して以下のように訴えかけている:
・4つの基本文書の原則の遵守:中日関係の安定的な発展には、過去に両国が合意した基本的な文書(例えば、日中共同声明など)を守ることが重要であるとし、それを再確認することを求めている。
・戦略的認識の見直し:日本には中国に対する戦略的認識を修正し、対立を煽ることをやめるよう促している。
・新時代に即した建設的な関係構築:中日関係は、ただの安定的な関係にとどまらず、新たな時代の要請に応じた建設的な関係を築くべきだという中国の立場が示されている。
4. 日本側の意図と中国の反応
日本の「外交青書」には、中国に対する警戒心が強く表れているが、同時に両国関係の重要性も認識されている。中国側は、こうした対中記述を一方的に強調しすぎることが、両国関係を悪化させる可能性があると懸念している。特に、中国の立場としては、日本が陣営対立を煽るような行動を取ることを避け、両国の関係を安定的に発展させるべきだという立場を強調している。
まとめ
中国の反論は、日本の「外交青書」が中国を過剰に脅威視していることに対する不満から来ており、両国の健全な関係の維持を強調している。中国は、日本が自国の戦略的認識を修正し、安定した日中関係を築くことを望んでいる一方で、戦略的対立を煽るような行動を控えるよう求めている。
【要点】
日本の「外交青書」に関する記述
・日中関係:日本にとって「最も重要な二国間関係の一つ」と位置付け、建設的で安定的な関係の構築を強調。
・中国の位置づけ:中国を「これまでにない最大の戦略的な挑戦」とし、脅威として捉える。
・懸念事項
⇨ 東中国海や南中国海での情勢
⇨ 中露の軍事協力
⇨ 中国在留日本人の安全問題
中国の反論
・誇張された脅威:日本が中国を過剰に脅威視していると批判。
・陳腐な論調:過去から繰り返し同じような批判をしているとして、「陳腐な論調」を指摘。
・内政干渉:中国の内政に対する不当な干渉として反発。
中日関係の重要性
・隣国としての重要性:両国の健全で安定的な関係の維持が両国民の根本的利益にかなうと強調。
・戦略的認識の見直し:日本に対し、戦略的認識を修正し、対立を煽ることを止めるように促す。
日本に対する要求
・4つの基本文書の原則の遵守:中日間の基本的な合意を守ることを求める。
・新時代に適した建設的関係:両国関係を新たな時代にふさわしい建設的で安定的なものにすることを提案。
結論
・中国は、日本が対中認識を修正し、健全な関係を構築するよう求めている一方、戦略的対立を煽る行動は避けるべきだと主張している。
【引用・参照・底本】
日本の「外交青書」の対中記述に中国が反論「中国のイメージを毀損する陳腐な論調」 人民網日本語版 2025.04.10
http://j.people.com.cn/n3/2025/0410/c94474-20300212.html
疑問の多い(突っ込みどころ満載)「外交青書」である。
【寸評 完】
【概要】
中国外交部は、日本の2025年版「外交青書」に対する反論を表明した。中国は、日本が中国を「最大の戦略的な挑戦」と位置付け、東中国海や南中国海での情勢や中露の軍事協力、そして中国在留の日本人の安全問題を誇張していると主張し、これを「陳腐な論調」と批判した。
林剣報道官は、日本の外交青書が中国に対する非難を強め、そのイメージを毀損していると指摘した上で、こうした見解が「中国の脅威」を過剰に強調し、中国の内政への不当な干渉であると反発した。さらに、両国の健全で安定した関係が両国民の根本的利益に合致することを強調し、日本に対して中日間の4つの基本文書の原則を遵守し、戦略的認識を見直し、陣営対立を煽ることを止めるよう求めた。
【詳細】
2025年版の日本の「外交青書」に関する中国の反論は、主に以下の点を中心に展開されている。
1. 「外交青書」の中国に対する記述
日本政府は、2025年版「外交青書」の中で、中国を「これまでにない最大の戦略的な挑戦」と位置付け、日中関係を「日本にとって最も重要な二国間関係の一つ」としつつも、いくつかの懸念点を挙げている。特に以下の点が強調された:
・東中国海や南中国海の情勢:これらの地域における中国の活動が日本にとって重大な懸念事項であることが示されている。
・中露の軍事協力:中国とロシアの軍事協力が、日本を含む国際社会に与える影響について警戒している。
・中国在留日本人の安全:日本の市民が中国にいる際の安全問題にも言及し、関心を示している。
これらの記述により、日本は中国を「脅威」として捉え、その戦略的な挑戦を強調しているという見方が示された。
2. 中国の反論
中国外交部の林剣報道官は、日本の「外交青書」に対して強い反発を表明した。彼の主な反論は以下の通り。
・「中国の脅威」を誇張:林報道官は、日本の記述が中国を誇張して脅威と捉えていることを問題視した。中国側は、自国の活動や政策が不当に過剰に評価されていると感じている。
・「陳腐な論調」:日本の外交青書が古くからの批判的な論調を踏襲しているとし、これが陳腐であり、進展がないと批判した。
・内政干渉:中国政府は、日本が中国の内政に干渉しているとして、このような見解を強く拒否。特に中国の領土問題や内政に対する日本の発言が不当であると主張している。
3. 中日関係の重要性と中国の立場
中国側は、日中関係が両国にとって極めて重要な隣国関係であることを強調している。 両国の健全で安定的な関係の維持が、両国民の根本的利益に合致するという立場を取っている。林報道官は、日本に対して以下のように訴えかけている:
・4つの基本文書の原則の遵守:中日関係の安定的な発展には、過去に両国が合意した基本的な文書(例えば、日中共同声明など)を守ることが重要であるとし、それを再確認することを求めている。
・戦略的認識の見直し:日本には中国に対する戦略的認識を修正し、対立を煽ることをやめるよう促している。
・新時代に即した建設的な関係構築:中日関係は、ただの安定的な関係にとどまらず、新たな時代の要請に応じた建設的な関係を築くべきだという中国の立場が示されている。
4. 日本側の意図と中国の反応
日本の「外交青書」には、中国に対する警戒心が強く表れているが、同時に両国関係の重要性も認識されている。中国側は、こうした対中記述を一方的に強調しすぎることが、両国関係を悪化させる可能性があると懸念している。特に、中国の立場としては、日本が陣営対立を煽るような行動を取ることを避け、両国の関係を安定的に発展させるべきだという立場を強調している。
まとめ
中国の反論は、日本の「外交青書」が中国を過剰に脅威視していることに対する不満から来ており、両国の健全な関係の維持を強調している。中国は、日本が自国の戦略的認識を修正し、安定した日中関係を築くことを望んでいる一方で、戦略的対立を煽るような行動を控えるよう求めている。
【要点】
日本の「外交青書」に関する記述
・日中関係:日本にとって「最も重要な二国間関係の一つ」と位置付け、建設的で安定的な関係の構築を強調。
・中国の位置づけ:中国を「これまでにない最大の戦略的な挑戦」とし、脅威として捉える。
・懸念事項
⇨ 東中国海や南中国海での情勢
⇨ 中露の軍事協力
⇨ 中国在留日本人の安全問題
中国の反論
・誇張された脅威:日本が中国を過剰に脅威視していると批判。
・陳腐な論調:過去から繰り返し同じような批判をしているとして、「陳腐な論調」を指摘。
・内政干渉:中国の内政に対する不当な干渉として反発。
中日関係の重要性
・隣国としての重要性:両国の健全で安定的な関係の維持が両国民の根本的利益にかなうと強調。
・戦略的認識の見直し:日本に対し、戦略的認識を修正し、対立を煽ることを止めるように促す。
日本に対する要求
・4つの基本文書の原則の遵守:中日間の基本的な合意を守ることを求める。
・新時代に適した建設的関係:両国関係を新たな時代にふさわしい建設的で安定的なものにすることを提案。
結論
・中国は、日本が対中認識を修正し、健全な関係を構築するよう求めている一方、戦略的対立を煽る行動は避けるべきだと主張している。
【引用・参照・底本】
日本の「外交青書」の対中記述に中国が反論「中国のイメージを毀損する陳腐な論調」 人民網日本語版 2025.04.10
http://j.people.com.cn/n3/2025/0410/c94474-20300212.html
中国文化・観光部(省):米国への渡航に勧告発表 ― 2025年04月10日 20:41
【概要】
中国文化・観光部は2025年4月9日に、米国に渡航する中国人に対して渡航勧告を発表した。新華社の報道によると、この勧告は、主に中国と米国の経済・貿易関係の悪化や、米国内の政治・社会情勢の影響を考慮して、米国に渡航するリスクを再評価することを求める内容である。中国側は、渡航前に慎重に計画を立てるよう呼びかけており、米国行きの際は事前に十分な情報を得ることを強調している。
【詳細】
中国文化・観光部(省)は2025年4月9日、米国への渡航を計画している中国国民に対して、渡航勧告を発表した。この勧告は、米国と中国の経済・貿易関係が悪化していることに加え、米国内の政治的・社会的な不安定要素を理由としている。具体的には、米国での治安状況や社会的緊張、さらには米国政府の政策による影響が考慮されているとされる。
中国文化・観光部は、米国行きのリスクを評価し、渡航者に対して慎重な計画を立てるよう求めている。渡航前には、事前に米国の現地状況について情報を十分に収集し、必要な安全対策を講じることが推奨されている。また、特に米国国内での治安や社会的な不安定要素が、中国国民にとってリスクを高める要因となる可能性があるため、慎重な判断が求められている。
このような勧告は、近年の中米関係の悪化を背景に、相互の対立が影響を与えていると考えられる。特に、経済制裁や貿易摩擦、そして政治的な緊張が双方の国民にとって不確実性を生じさせており、中国政府は自国民に対して、米国渡航に際してのリスクを十分に理解し、計画的に行動するよう呼びかけている。
【要点】
・発表機関: 中国文化・観光部(省)
・発表日: 2025年4月9日
・対象: 米国に渡航する中国人
・勧告の内容
⇨ 米中関係の悪化: 経済・貿易関係が悪化しており、リスクが高まっている。
⇨ 米国内の情勢: 米国内の政治・社会的な不安定要素(治安状況や社会的緊張)が懸念されている。
⇨ 渡航リスクの評価: 米国への渡航リスクを慎重に評価し、リスクを理解した上で計画を進めるよう求めている。
⇨ 事前情報収集: 渡航前に米国の現地状況について十分に情報を収集することが推奨されている。
⇨ 安全対策の強調: 渡航者には必要な安全対策を講じることが重要とされている。
【引用・参照・底本】
中国が米国渡航に注意喚起 人民網日本語版 2025.04.10
http://j.people.com.cn/n3/2025/0410/c94475-20300225.html
中国文化・観光部は2025年4月9日に、米国に渡航する中国人に対して渡航勧告を発表した。新華社の報道によると、この勧告は、主に中国と米国の経済・貿易関係の悪化や、米国内の政治・社会情勢の影響を考慮して、米国に渡航するリスクを再評価することを求める内容である。中国側は、渡航前に慎重に計画を立てるよう呼びかけており、米国行きの際は事前に十分な情報を得ることを強調している。
【詳細】
中国文化・観光部(省)は2025年4月9日、米国への渡航を計画している中国国民に対して、渡航勧告を発表した。この勧告は、米国と中国の経済・貿易関係が悪化していることに加え、米国内の政治的・社会的な不安定要素を理由としている。具体的には、米国での治安状況や社会的緊張、さらには米国政府の政策による影響が考慮されているとされる。
中国文化・観光部は、米国行きのリスクを評価し、渡航者に対して慎重な計画を立てるよう求めている。渡航前には、事前に米国の現地状況について情報を十分に収集し、必要な安全対策を講じることが推奨されている。また、特に米国国内での治安や社会的な不安定要素が、中国国民にとってリスクを高める要因となる可能性があるため、慎重な判断が求められている。
このような勧告は、近年の中米関係の悪化を背景に、相互の対立が影響を与えていると考えられる。特に、経済制裁や貿易摩擦、そして政治的な緊張が双方の国民にとって不確実性を生じさせており、中国政府は自国民に対して、米国渡航に際してのリスクを十分に理解し、計画的に行動するよう呼びかけている。
【要点】
・発表機関: 中国文化・観光部(省)
・発表日: 2025年4月9日
・対象: 米国に渡航する中国人
・勧告の内容
⇨ 米中関係の悪化: 経済・貿易関係が悪化しており、リスクが高まっている。
⇨ 米国内の情勢: 米国内の政治・社会的な不安定要素(治安状況や社会的緊張)が懸念されている。
⇨ 渡航リスクの評価: 米国への渡航リスクを慎重に評価し、リスクを理解した上で計画を進めるよう求めている。
⇨ 事前情報収集: 渡航前に米国の現地状況について十分に情報を収集することが推奨されている。
⇨ 安全対策の強調: 渡航者には必要な安全対策を講じることが重要とされている。
【引用・参照・底本】
中国が米国渡航に注意喚起 人民網日本語版 2025.04.10
http://j.people.com.cn/n3/2025/0410/c94475-20300225.html
米国政府の「相互関税」の乱発:アップルの例 ― 2025年04月10日 20:53
【概要】
米国政府が「相互関税」の乱用を発表したことを受け、アップル社は難しい決断を迫られている。iPhoneなどの消費財は、この政策によって最も深刻な影響を受ける可能性がある。アップル社が関税を消費者に転嫁すると、iPhoneの価格は30〜40%の上昇が予想される。
2024年のiPhoneの年間出荷台数は2億2590万台に達し、その最大の市場は米国、中国、欧州である。これらのiPhoneのほとんどは中国で組立・生産されており、中国に対する高額な関税が課せられると、アップル社はそのコストをどのように吸収するかという問題に直面する。
例えば、iPhone 16 Pro Maxの1TBモデルは現在1599ドルで販売されているが、34%の関税を消費者に転嫁すると、その価格は2300ドル近くになる可能性がある。通信業界のアナリストである項立剛氏は、アップル社にとって、コストを自社で吸収するか、値上げするしかないという難しい選択が迫られると指摘している。これが米国の消費者にとっても望ましくない結果を生む可能性が高い。
また、アップル社はサプライチェーンを調整し、サプライヤーに低価格を提示させたり、部品供給業者や組み立て業者を世界各地に分散させたりすることで関税の影響を軽減する可能性もあるとされている。さらに、米国に工場を建設する選択肢も考えられるが、これは4〜5年を要し、米国にはそれを支えるインフラや労働力が不足しているという課題がある。
ゴールドマン・サックスのアナリストは、関税が引き上げられることで、企業は価格を引き上げるか、利益を削るかの選択を迫られ、今後は多くの企業が利益率の下方修正を余儀なくされるだろうと予想している。
【詳細】
米国政府が「相互関税」の乱用を発表したことで、アップル社をはじめとする多くの企業が直面している問題は、主に価格の引き上げや利益率の圧迫である。特に、iPhoneのような消費者向けの製品が最も影響を受けるとされている。アップルはこれらの製品を主に中国で組み立てており、関税の引き上げが直接的にコストに影響を与えることになる。
1. 価格上昇の可能性
iPhoneのような製品に関しては、米国が中国から輸入される製品に課す関税が30〜40%に達する可能性があり、これが消費者価格に転嫁されると、製品の価格は大幅に上昇することになる。例えば、iPhone 16 Pro Maxの1TBモデルが現在1599ドルで販売されているが、仮に34%の関税が加わると、価格は2300ドル近くになる可能性がある。これにより、米国市場での販売価格が大きく変動することが予想され、消費者にとっては非常に高額になるため、販売数に悪影響を及ぼす恐れがある。
2. アップルの選択肢
アップル社としては、このようなコスト増加をどのように吸収するかが重要な問題となる。アップルは、コストを消費者に転嫁するか、自社で吸収するかの選択を迫られている。しかし、いずれにせよ、消費者にとっては負担が増すことになるため、消費者の購買意欲が減退する可能性もある。このような状況では、アップル社が製品の価格をどのように設定するかが企業の成長にとって大きな影響を及ぼす。
3. サプライチェーンの再編
また、アップルが取るべき対策として、サプライチェーンの調整が挙げられる。アップルは現在、主要な生産拠点を中国に依存しているが、関税の影響を軽減するために、サプライチェーンを再編し、製造や組み立てを他の地域に分散させることも考えられる。たとえば、インドやベトナム、メキシコなどの国々が新たな製造拠点として注目されている。
さらに、アップルはサプライヤーと交渉し、部品価格を引き下げるよう働きかけることもできる。しかし、これにはサプライヤーとの関係を再構築する必要があり、短期間で解決できる問題ではない。
4. 米国での工場建設の課題
一部の報道では、アップルが米国内に新たな製造工場を建設する可能性も指摘されている。米国での生産を増やすことで、関税を回避することができるという利点がある。しかし、これには非常に長い時間がかかる可能性があり、4〜5年かかるとの見積もりがある。
また、米国にはそれを支えるためのインフラや労働力が不足しているため、即座に実行するのは現実的ではないという意見もある。
5. 利益率の圧迫と市場への影響
さらに、ゴールドマン・サックスのアナリストは、関税が引き上げられることで、多くの企業が商品価格を引き上げるか、自社の利益を削るかの選択を迫られると予測している。特にアップルのような大手企業にとっては、価格を引き上げれば消費者の需要が減少し、利益を削ることになれば自社の収益が圧迫される。これが長期的には企業の業績に悪影響を与え、さらに多くの企業が利益率の下方修正を行うことになるだろうと見られている。
6. 消費者への影響
最終的に、これらの変動は消費者に大きな影響を与えることになる。製品価格の上昇は、特にiPhoneのような高価な製品において顕著に現れ、消費者の購買力に圧力をかける。高価格が一般的に続くと、消費者は代替製品を選ぶ可能性も高くなるため、アップルや他の企業にとっては市場シェアの縮小というリスクもある。
以上のように、米国政府の「相互関税」乱用政策は、アップルをはじめとする企業の経営戦略に大きな影響を与えるとともに、消費者に対しても価格上昇や製品供給の不安定化をもたらす可能性が高い。
【要点】
・相互関税の影響
米国政府が「相互関税」を導入したことにより、iPhoneなどの消費財が最も影響を受けるとされている。特に、アップル社が中国で組立・生産しているため、関税が価格に直結する。
・価格上昇の可能性
iPhone 16 Pro Max(1TBモデル)の価格が現在1599ドルであるが、34%の関税が転嫁されると、2300ドル近くになる可能性がある。これにより、消費者の負担が増す。
・アップルの選択肢
アップルは、コストを消費者に転嫁するか、自社で吸収するかを決める必要がある。いずれにせよ、消費者の購買意欲に悪影響を与える恐れがある。
・サプライチェーンの再編
アップルはサプライチェーンを調整し、製造拠点を中国以外の地域に分散させる可能性がある。インドやベトナム、メキシコなどが新たな拠点候補として浮上。
・米国内工場建設の課題
米国での製造を増やすことで関税回避が可能だが、工場建設には4〜5年かかり、インフラや労働力の不足から実現は難しいとの見方がある。
・利益率の圧迫
ゴールドマン・サックスの予測によると、関税引き上げにより、多くの企業が価格引き上げや利益削減を迫られる可能性が高い。利益率が下方修正される企業が増えるとされている。
・消費者への影響
iPhoneなどの価格上昇は消費者の購買力を圧迫し、代替製品を選択する動きが強まる可能性がある。これにより、市場シェアの縮小が懸念される。
【引用・参照・底本】
1台のiPhoneから見る米国の「相互関税」乱用による人々への影響 人民網日本語版 2025.04.10
米国政府が「相互関税」の乱用を発表したことを受け、アップル社は難しい決断を迫られている。iPhoneなどの消費財は、この政策によって最も深刻な影響を受ける可能性がある。アップル社が関税を消費者に転嫁すると、iPhoneの価格は30〜40%の上昇が予想される。
2024年のiPhoneの年間出荷台数は2億2590万台に達し、その最大の市場は米国、中国、欧州である。これらのiPhoneのほとんどは中国で組立・生産されており、中国に対する高額な関税が課せられると、アップル社はそのコストをどのように吸収するかという問題に直面する。
例えば、iPhone 16 Pro Maxの1TBモデルは現在1599ドルで販売されているが、34%の関税を消費者に転嫁すると、その価格は2300ドル近くになる可能性がある。通信業界のアナリストである項立剛氏は、アップル社にとって、コストを自社で吸収するか、値上げするしかないという難しい選択が迫られると指摘している。これが米国の消費者にとっても望ましくない結果を生む可能性が高い。
また、アップル社はサプライチェーンを調整し、サプライヤーに低価格を提示させたり、部品供給業者や組み立て業者を世界各地に分散させたりすることで関税の影響を軽減する可能性もあるとされている。さらに、米国に工場を建設する選択肢も考えられるが、これは4〜5年を要し、米国にはそれを支えるインフラや労働力が不足しているという課題がある。
ゴールドマン・サックスのアナリストは、関税が引き上げられることで、企業は価格を引き上げるか、利益を削るかの選択を迫られ、今後は多くの企業が利益率の下方修正を余儀なくされるだろうと予想している。
【詳細】
米国政府が「相互関税」の乱用を発表したことで、アップル社をはじめとする多くの企業が直面している問題は、主に価格の引き上げや利益率の圧迫である。特に、iPhoneのような消費者向けの製品が最も影響を受けるとされている。アップルはこれらの製品を主に中国で組み立てており、関税の引き上げが直接的にコストに影響を与えることになる。
1. 価格上昇の可能性
iPhoneのような製品に関しては、米国が中国から輸入される製品に課す関税が30〜40%に達する可能性があり、これが消費者価格に転嫁されると、製品の価格は大幅に上昇することになる。例えば、iPhone 16 Pro Maxの1TBモデルが現在1599ドルで販売されているが、仮に34%の関税が加わると、価格は2300ドル近くになる可能性がある。これにより、米国市場での販売価格が大きく変動することが予想され、消費者にとっては非常に高額になるため、販売数に悪影響を及ぼす恐れがある。
2. アップルの選択肢
アップル社としては、このようなコスト増加をどのように吸収するかが重要な問題となる。アップルは、コストを消費者に転嫁するか、自社で吸収するかの選択を迫られている。しかし、いずれにせよ、消費者にとっては負担が増すことになるため、消費者の購買意欲が減退する可能性もある。このような状況では、アップル社が製品の価格をどのように設定するかが企業の成長にとって大きな影響を及ぼす。
3. サプライチェーンの再編
また、アップルが取るべき対策として、サプライチェーンの調整が挙げられる。アップルは現在、主要な生産拠点を中国に依存しているが、関税の影響を軽減するために、サプライチェーンを再編し、製造や組み立てを他の地域に分散させることも考えられる。たとえば、インドやベトナム、メキシコなどの国々が新たな製造拠点として注目されている。
さらに、アップルはサプライヤーと交渉し、部品価格を引き下げるよう働きかけることもできる。しかし、これにはサプライヤーとの関係を再構築する必要があり、短期間で解決できる問題ではない。
4. 米国での工場建設の課題
一部の報道では、アップルが米国内に新たな製造工場を建設する可能性も指摘されている。米国での生産を増やすことで、関税を回避することができるという利点がある。しかし、これには非常に長い時間がかかる可能性があり、4〜5年かかるとの見積もりがある。
また、米国にはそれを支えるためのインフラや労働力が不足しているため、即座に実行するのは現実的ではないという意見もある。
5. 利益率の圧迫と市場への影響
さらに、ゴールドマン・サックスのアナリストは、関税が引き上げられることで、多くの企業が商品価格を引き上げるか、自社の利益を削るかの選択を迫られると予測している。特にアップルのような大手企業にとっては、価格を引き上げれば消費者の需要が減少し、利益を削ることになれば自社の収益が圧迫される。これが長期的には企業の業績に悪影響を与え、さらに多くの企業が利益率の下方修正を行うことになるだろうと見られている。
6. 消費者への影響
最終的に、これらの変動は消費者に大きな影響を与えることになる。製品価格の上昇は、特にiPhoneのような高価な製品において顕著に現れ、消費者の購買力に圧力をかける。高価格が一般的に続くと、消費者は代替製品を選ぶ可能性も高くなるため、アップルや他の企業にとっては市場シェアの縮小というリスクもある。
以上のように、米国政府の「相互関税」乱用政策は、アップルをはじめとする企業の経営戦略に大きな影響を与えるとともに、消費者に対しても価格上昇や製品供給の不安定化をもたらす可能性が高い。
【要点】
・相互関税の影響
米国政府が「相互関税」を導入したことにより、iPhoneなどの消費財が最も影響を受けるとされている。特に、アップル社が中国で組立・生産しているため、関税が価格に直結する。
・価格上昇の可能性
iPhone 16 Pro Max(1TBモデル)の価格が現在1599ドルであるが、34%の関税が転嫁されると、2300ドル近くになる可能性がある。これにより、消費者の負担が増す。
・アップルの選択肢
アップルは、コストを消費者に転嫁するか、自社で吸収するかを決める必要がある。いずれにせよ、消費者の購買意欲に悪影響を与える恐れがある。
・サプライチェーンの再編
アップルはサプライチェーンを調整し、製造拠点を中国以外の地域に分散させる可能性がある。インドやベトナム、メキシコなどが新たな拠点候補として浮上。
・米国内工場建設の課題
米国での製造を増やすことで関税回避が可能だが、工場建設には4〜5年かかり、インフラや労働力の不足から実現は難しいとの見方がある。
・利益率の圧迫
ゴールドマン・サックスの予測によると、関税引き上げにより、多くの企業が価格引き上げや利益削減を迫られる可能性が高い。利益率が下方修正される企業が増えるとされている。
・消費者への影響
iPhoneなどの価格上昇は消費者の購買力を圧迫し、代替製品を選択する動きが強まる可能性がある。これにより、市場シェアの縮小が懸念される。
【引用・参照・底本】
1台のiPhoneから見る米国の「相互関税」乱用による人々への影響 人民網日本語版 2025.04.10