トランプのエネルギー政策:「Drill, Baby, Drill(掘れ、掘れ、掘れ)」2025年03月07日 17:03

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【概要】 

 これは2025年3月6日に米国連邦議会で行われたドナルド・トランプ大統領の合同会議演説の全文である。演説は首都ワシントンD.C.の議会議事堂で行われ、現地時間21時19分(EST)に開始された。

 トランプ大統領は、冒頭で「アメリカは復活した」と宣言し、就任から43日間での成果を強調した。彼は、2024年の大統領選挙における勝利を「数十年に一度の大規模な国民の信任」とし、選挙結果を強調した。

 政策と主張

 1.行政命令と政府の方針

 ・100の大統領令と400以上の行政措置を発動。
 ・国境警備を強化し、違法移民の流入を抑制。
 ・連邦政府の雇用、規制、新たな対外援助を凍結。
 ・環境関連政策の撤廃(グリーン・ニューディール廃止、パリ協定からの離脱)。
 ・WHOおよび国連人権理事会からの脱退。
 ・英語を米国の公用語とする大統領令に署名。

 2.経済政策

 ・「DOGE(Department of Government Efficiency)」という新機関を設立し、行政の無駄を削減(イーロン・マスクが指導)。
 ・連邦税制改革(チップ、残業手当、年金への課税廃止、米国製自動車購入者への税優遇)。
 ・「ゴールドカード」制度を導入し、500万ドルで米国市民権を取得可能とする計画。
 ・外国からの関税強化(相互関税政策)。

 3.治安対策

 ・警察官殺害に対する死刑適用の拡大。
 ・「ラケン・ライリー法」成立による犯罪外国人の拘束強化。
 ・メキシコおよびカナダに対する国境管理強化要求。
 ・ベネズエラの犯罪組織「トレン・デ・アラグア」をテロ組織に指定。

 4.軍事・外交

 ・米国のミサイル防衛システム「ゴールデンドーム」計画の推進。
 ・造船業の復活と軍事強化。
 ・パナマ運河の米国支配権回復を発表。
 ・グリーンランドの米国編入を示唆。
 ・アフガニスタンのアビーゲート爆破事件の主犯逮捕を発表。
 ・ウクライナ戦争の即時和平交渉を促進する意向を表明。
 ・米国の対ウクライナ支援の見直しを示唆。

 5.反応と議会の様子

 ・演説中、野党議員(主に民主党)は度々反発し、ヤジを飛ばす場面があった。
 ・共和党議員は頻繁に拍手を送り、支持を表明。
 ・演説中に民主党のグリーン議員がメディケイド削減について抗議し、議場から退席させられる場面があった。

 総括

 トランプ大統領は、演説の締めくくりとして「アメリカの黄金時代は始まったばかりである」と述べ、今後4年間で「史上最も自由で繁栄した国家を築く」と強調した。

【詳細】 

 2025年3月6日 ドナルド・トランプ大統領 合同会議演説の詳細解説

 本演説は、ドナルド・トランプ大統領が2025年3月6日に米国議会で行った合同会議演説(Joint Address to Congress)の全文である。これは、彼の就任後初めての本格的な演説であり、主に選挙結果、政策成果、今後の方針について述べたものである。

 1. 演説の冒頭

 演説の冒頭、トランプ大統領は「アメリカは復活した(America is back)」と述べ、選挙結果を強調した。特に、2024年11月5日の大統領選挙において「7つのスイング・ステート全てを制し、312票の選挙人団票を獲得した」とし、さらに「国民の圧倒的な支持によって歴史的な勝利を収めた」と主張した。

 民主党側からの反発もあり、特に代表的な場面として、民主党のグリーン議員がメディケイド(低所得者向け医療保険)の削減に抗議したことが挙げられる。これに対し、議会の議長を務めるマイク・ジョンソン下院議長が退席を命じる場面があった。

 2. トランプ政権の政策成果

 トランプ大統領は、「就任から43日間で100の大統領令を発動し、400以上の行政措置を講じた」と強調し、「歴代政権が4年や8年かけても成し遂げられなかった成果を達成した」と述べた。

 (1) 行政改革

 ・連邦政府の新規雇用を凍結
 ・すべての新規規制を停止
 ・すべての対外援助を凍結
 ・「グリーン・ニューディール(Green New Scam)」を廃止
 ・「パリ協定(Paris Climate Accord)」から脱退
 ・世界保健機関(WHO)および国連人権理事会(UNHRC)から脱退
 ・連邦政府の「多様性、公平性、包括性(DEI)」政策を全廃
 ・公共部門・軍隊から「目覚めた(woke)」イデオロギーの排除

 特に、環境政策については「バイデン政権の環境規制は米国経済に負担を与え、安全を損なう」とし、即座に撤廃したことを強調した。また、政府職員に対し、在宅勤務を禁止し、出勤を義務付ける大統領令に署名した。

 さらに、「DOGE(Department of Government Efficiency:政府効率化省)」を新設し、無駄な支出を削減すると発表した。イーロン・マスクがこの機関の責任者に任命されたことも明かされた。

 (2) 経済政策

 ・連邦税制の改革を推進
 ・「ゴールドカード制度(Gold Card)」を導入し、500万ドルを支払うことで米国市民権を取得可能にする方針
 ・外国製品に関税を課す「相互関税政策(Reciprocal Tariffs)」の導入
 ・チップ(Tip)、残業手当(Overtime)、年金(Social Security Benefits)への課税廃止
 ・「米国製自動車の購入者に対し、ローンの利子を税控除可能とする」新制度を発表
 ・米国内の製造業支援策として、製造業に対する法人税減税、100%減価償却(即時償却)を復活
 ・外国の鉱物・レアアース依存を減らすため、「国内採掘拡大計画」を発表

 また、エネルギー政策として「Drill, Baby, Drill(掘れ、掘れ、掘れ)」をスローガンに掲げ、石油・天然ガス採掘を大幅に拡大する方針を示した。

 3. 治安・移民政策

 (1)違法移民の取り締まり強化

 ・国境警備を強化し、不法入国者を迅速に強制送還
 ・「ラケン・ライリー法(Laken Riley Act)」を成立させ、犯罪歴のある移民の拘束を義務化
 ・「メキシコとカナダが麻薬の流入を止めなければ、米国の支援を削減する」と警告
 ・ベネズエラの犯罪組織「トレン・デ・アラグア(Tren de Aragua)」をテロ組織に指定
 ・MS-13やメキシコの麻薬カルテルを「外国テロ組織」に認定

 (2)警察官殺害に対する死刑適用

 ・「警察官を殺害した者には死刑を適用する」大統領令を発令し、連邦法として成立させるよう議会に求めた。

 (3)死刑制度の強化

 ・「重大犯罪を犯した者には、より迅速な司法手続きを経て厳罰を与える」と発表。

 4. 軍事・外交政策

 ・「ゴールデンドーム・ミサイル防衛計画(Golden Dome Missile Defense)」を発表
 ・軍艦の建造を促進するため「ホワイトハウス造船局(Office of Shipbuilding)」を新設
 ・パナマ運河の管理権回復を宣言
 ・グリーンランドの米国編入を示唆
 ・ロシア・ウクライナ戦争の停戦交渉を提案
  ⇨ 「ゼレンスキー大統領が米国の指導のもと、和平交渉を行う意思を表明した」と述べた
  ⇨ 「ロシア側も和平交渉に前向きな姿勢を示している」と言及
 ・「アフガニスタンのアビーゲート爆破事件の首謀者を逮捕した」と発表
 ・「米国は戦争を終わらせるために両国と対話する必要がある」と主張

 5. 演説の結論

 トランプ大統領は、演説の終盤で**「アメリカの黄金時代は始まったばかりである」**と述べ、以下の方針を強調した。

 ・「世界で最も自由で繁栄した国家を築く」
 ・「米国を史上最も偉大な国家にする」
 ・「米国の軍事力と経済力を世界最強にする」
 ・「アメリカの国益を第一に考えた外交を進める」
 ・「神の加護のもと、国民と共に前進する」

 最後に「アメリカを再び偉大にしよう(Make America Great Again)」と呼びかけ、演説を締めくくった。

【要点】

 2025年3月6日 ドナルド・トランプ大統領 合同会議演説の詳細

 1. 演説の冒頭

 ・「アメリカは復活した(America is back)」と宣言
 ・2024年大統領選挙の勝利を強調  
  ⇨ 「7つのスイング・ステート全てを制し、312票の選挙人団票を獲得」
  ⇨ 「国民の圧倒的な信任を得た」と主張 
 ・民主党グリーン議員がメディケイド削減に抗議
  ⇨ マイク・ジョンソン下院議長が退席を命じる場面

 2. トランプ政権の政策成果

 (1) 行政改革

 ・100の大統領令、400以上の行政措置を発動
 ・連邦政府の新規雇用を凍結
 ・すべての新規規制を停止
 ・すべての対外援助を凍結
 ・「グリーン・ニューディール」廃止
 ・「パリ協定」から脱退
 ・WHO・国連人権理事会(UNHRC)から脱退
 ・連邦政府の「DEI(多様性・公平性・包括性)」政策を全廃
 ・政府職員の在宅勤務を禁止
 ・「DOGE(政府効率化省)」を新設
  ⇨ イーロン・マスクが責任者に就任

 (2) 経済政策

 ・「ゴールドカード制度」導入  
  ⇨ 500万ドルで米国市民権取得可能
 ・「相互関税政策」導入
  ⇨ 外国製品に対し、同等の関税を課す
 ・税制改革
  ⇨ チップ・残業手当・年金への課税廃止
  ⇨ 米国製自動車の購入者に対し、ローンの利子を税控除可能に
 ・エネルギー政策
  ⇨ 石油・天然ガス採掘を拡大(Drill, Baby, Drill)
 ・鉱物・レアアースの国内生産強化
 ・製造業の税制優遇(100%減価償却)
 ・連邦予算の均衡を目指す

 3. 治安・移民政策

 ・違法移民の取り締まり強化
  ⇨ 「ラケン・ライリー法(Laken Riley Act)」成立
  ⇨ 犯罪歴のある移民の拘束を義務化
  ⇨ メキシコ・カナダが麻薬流入を阻止しなければ支援削減
 ・犯罪組織対策
  ⇨ 「トレン・デ・アラグア」をテロ組織に指定
  ⇨ MS-13やメキシコの麻薬カルテルを「外国テロ組織」に認定
 ・警察官殺害に対する死刑適用
  ⇨ 警察官殺害者に対する死刑を法制化
 ・死刑制度の強化
  ⇨ 重大犯罪者の迅速な処罰

 4. 軍事・外交政策

 ・ミサイル防衛
  ⇨ 「ゴールデンドーム・ミサイル防衛計画」を発表
 ・軍艦建造促進
  ⇨ 「ホワイトハウス造船局」新設
 ・パナマ運河の管理権回復を宣言
 ・グリーンランドの米国編入を示唆
 ・ウクライナ戦争の停戦交渉を提案
  ⇨ 「ゼレンスキー大統領が和平交渉を希望」と発表
  ⇨ 「ロシアも和平に前向き」と言及
 ・アフガニスタンのアビーゲート爆破事件の首謀者を逮捕
 ・「米国は戦争を終わらせるために両国と対話する必要がある」と主張

 5. 演説の結論

 ・「アメリカの黄金時代は始まったばかり」
 ・「世界で最も自由で繁栄した国家を築く」
 ・「米国を史上最も偉大な国家にする」
 ・「米国の軍事力と経済力を世界最強にする」
 ・「アメリカの国益を第一に考えた外交を進める」
 ・「神の加護のもと、国民と共に前進する」
 ・最後に「Make America Great Again」と呼びかけ、演説を締めくくる

【引用・参照・底本】

REMARKS BY PRESIDENT TRUMP IN JOINT ADDRESS TO CONGRESS THE WHITE HOUSE 2025.03.06
https://www.whitehouse.gov/remarks/2025/03/remarks-by-president-trump-in-joint-address-to-congress/

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