インドネシア東部のビアク島:ロシア空軍基地設置2025年04月16日 18:09

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【概要】

 Janes Information Serviceは、インドネシア東部のビアク島(ニューギニア島近辺)にロシアが空軍基地を設置しようとしていると報じたが、その報道を信用に値しないものとして、以下の五つの理由からその不確かさを論じている。

 1. インドネシアの新大統領は明確に親米的である

 2024年2月の選挙を経て同年10月に就任したプラボウォ・スビアント大統領は、かつて2019年から国防相を務めていた人物である。彼は2024年の米大統領選挙でトランプが勝利した直後、電話を通じて祝意を伝えるとともに、自身の軍事訓練が「すべてアメリカ式である」と語り、訪米の意思も表明していた。こうした行動は、米国との関係を損なうリスクを冒してまでロシアに軍事基地を提供するような意向を持つ人物ではないことを示唆している。

 2. それでもインドネシアはバランスの取れた外交政策を維持している

 プラボウォ大統領が個人的に親米的であるにもかかわらず、国家としての外交政策は依然として米国、中国、ロシアといった主要国の間で多角的な均衡を保つものとなっている。とりわけロシアとの関係は過去1年で強化されており、それは2025年1月の報告書でも記録されている。こうした背景から、特定の大国に軍事基地を提供する行為は、この地政学的なバランスを崩すものであり、現実的とは言えない。

 3. ロシアにもインドネシアにも実利が無い

 報道に信を置く者の中で、ロシアまたはインドネシアがこの基地構想から得られる具体的利益を説得力ある形で説明できる者はいない。仮にロシアの戦闘機がインドネシアに駐留したとしても、中国による海洋権益への干渉に対する抑止力とはなり得ず、またインドネシアがロシアに対して、米軍の拠点(たとえばダーウィンにある海兵隊基地)への攻撃を許可することも考えにくい。したがって、もし実現しても象徴的な意味にとどまり、実務的な意味は伴わない。

 4. むしろ両国にとって逆効果となる可能性がある

 このような構想が仮に実現すれば、インドネシアとオーストラリアや米国との関係が悪化する可能性がある。また、米国内の対ロシア強硬派が、ロシアがウクライナ情勢に関する交渉を引き延ばす一方で、アジア太平洋地域において中国と連携して米国の「アジア重視政策」(Pivot to Asia)を妨げようとしていると誤認させ、トランプ政権の対ロ交渉を困難にさせる危険性もある。その結果、このような軍事基地の構想は両国にとって戦略的に不利となり得る。

 5. インドネシアの「ディープ・ステート」がプラボウォを貶めようとしている可能性がある

 前ジャカルタ知事アニス・バスウェダンは、より明確に米国寄りの政策を志向する候補と見なされていた。したがって、彼を支持する官僚層や軍・情報機関・外交官などの「恒常的権力層」がJanesを利用し、プラボウォ政権のバランス外交を貶める意図でこの情報を流した可能性も指摘されている。

 最後に、Janesがこの報道を捏造した可能性は低く、情報提供者が故意または誤って誤報を伝えた可能性の方が高いと指摘されている。あるいは、ビアク島にロシア製のSu-35戦闘機を配備する計画や、ロシア人教官による訓練実施の可能性が誤って「ロシア空軍基地の設置」と解釈された可能性もある。いずれにせよ、実務的・戦略的観点から、ロシアがインドネシアに空軍基地を設けるという報道は信憑性が低いと結論づけられている。

【詳細】
 
 英国拠点の軍事・安全保障情報機関「Janes Information Service」による「ロシアがインドネシア東部ビアク島に空軍基地を求めている」との報道に対し、その信憑性に疑問を呈する内容である。報道直後、オーストラリア国防相がインドネシアの国防相と協議し、「事実無根である」との返答を得たとされており、著者はこの報道が誤りであるとする根拠を五つに分けて提示している。

 1. インドネシアの新大統領プラボウォは強く親米的である

 プラボウォ・スビアントは2024年2月の選挙で当選し、同年10月に大統領として就任した。それ以前には2019年から国防大臣を務めていた経歴を持つ。彼はトランプ前大統領が2024年の米大統領選で勝利した際、電話で祝意を伝え、自ら訪米する意思を示すなど、個人的な親米姿勢を明確にしている。SNS上では「自分の訓練はすべてアメリカ式である」と公言しており、これは対米関係を重視する姿勢の表れである。このような背景にある人物が、米国の地政学的利益に反する行動(たとえばロシア軍のインドネシア国内駐留)を容易に許容するとは考えにくい。

 2. インドネシア外交は多極バランスを維持している

 インドネシアの外交政策は、特定の大国に一方的に傾倒するものではなく、米中露といった複数の主要国との間でバランスを取る「多極的な均衡外交(multi-alignment)」を基本としている。特にロシアとの関係は、近年において深化している。2025年1月には、両国関係の進展が報告されており、たとえば武器購入、軍事訓練、技術移転などの分野で協力が強化されているとされる。しかしながら、ロシアに対して軍事基地を提供するような明確な軍事的傾斜は、他の関係国(米国や中国)とのバランスを著しく損なうため、現実的な選択肢とは言い難い。どの大国に対しても軍事基地を提供しないという中立性の維持は、インドネシア外交の基本的な姿勢である。

 3. この軍事基地構想にロシアもインドネシアも具体的な利益を得ない

 このような基地構想が仮に存在したとしても、当事者双方にとって実質的な戦略的・軍事的メリットは乏しいとされている。たとえば、ロシアの戦闘機がインドネシアに駐留したとしても、中国による南シナ海やナトゥナ諸島周辺への侵入を抑止する能力は限定的である。また、インドネシアがロシアに対し、米軍基地への攻撃(例:オーストラリア・ダーウィンの海兵隊基地)を許可することは、国家としての基本的立場からして受け入れがたい。したがって、仮に基地設置が実現したとしても、実戦において活用できる可能性は極めて低く、「象徴的意味合いにとどまり、実質的な価値を持たない」と分析されている。

 4. この構想はかえって戦略的に逆効果となる可能性がある

 この基地構想が表面化すれば、インドネシアと米国・オーストラリアとの関係は悪化し、米国内の対ロ強硬派に口実を与える恐れがあるとされる。具体的には、ロシアがウクライナ戦争における和平交渉を利用しつつ、アジア太平洋地域で中国と連携して米国の「アジア回帰政策(Pivot to Asia)」を妨害しているとの誤解を生む可能性がある。このような状況は、米露間で進行中の外交交渉を複雑化させ、場合によっては交渉の打ち切りにつながる可能性も否定できない。すなわち、ロシアにとってもインドネシアにとっても、望ましくない国際的影響が生じる懸念がある。

 5. インドネシア国内の体制内勢力がプラボウォを貶めようとした可能性がある

 インドネシアでは、アニス・バスウェダン元ジャカルタ知事が「米国寄りの候補」として知られており、彼に近い官僚機構・軍・外交官などが依然として政権内に一定の影響力を有していると考えられる。こうした「恒常的権力層(いわゆるディープ・ステート)」が、意図的にJanesに対して誤った情報を提供し、プラボウォ政権がロシアに過度に傾倒しているとの印象を国際社会に与えることで、彼の多極的外交政策を貶めようとした可能性も指摘されている。このような内政上の対立が、誤情報の発信源になった可能性を著者は排除していない。

 結論

 Janesが報じた内容は、仮に捏造でないとすれば、情報源が意図的または誤って「ロシア空軍基地設置」計画と解釈された可能性がある。より現実的には、Su-35戦闘機の導入後に同機の訓練や整備拠点としてビアク島が候補に挙がっている可能性などが誤解されたものであると考えられる。いずれにせよ、記事の総合的な論点は「ロシア空軍基地の設置という構想は、当事者双方にとって実利を伴わず、政治的・戦略的にも不利益をもたらすものである」というものである。

【要点】 

 ロシア空軍基地報道に対する5つの反論理由(コリブコの主張)

 1.プラボウォ大統領の親米姿勢

 ・プラボウォは元国防相で、2024年選挙に勝利し大統領に就任。

 ・アメリカとの軍事関係・個人的関係を重視(例:トランプとの電話会談)。

 ・米国の地政学的利益に反するロシア軍基地設置を容認するとは考えにくい。

 2.インドネシアは中立外交(多極バランス)を維持している

 ・インドネシアは米・中・露いずれにも軍事基地を提供せず中立を保つ姿勢。

 ・ロシアとは関係深化中だが、軍事基地設置は中立性を損なうため非現実的。

 3.軍事的にも戦略的にも当事者に利益がない

 ・ロシアにとって、インドネシアに空軍基地を持っても地理的制約で有効性が低い。

 ・インドネシアにとっても米軍基地を標的とする行動を容認するわけにはいかない。

 ・象徴的価値以上の戦略的メリットが存在しない。

 4.米露間の外交に悪影響を及ぼすリスクがある

 ・米国・オーストラリアとの関係悪化を招く恐れあり。

 ・米国の対ロ強硬派に交渉打ち切りの口実を与えかねない。

 ・結果として、ロシアにとっても逆効果になりうる。

 5.インドネシア国内の対立勢力による情報操作の可能性

 ・アニス・バスウェダン元知事系の親米派勢力が依然として政権内に残っている。

 ・これら勢力が、プラボウォをロシア寄りと印象づける偽情報を流した可能性。

 ・Janesへのリークは意図的だった可能性がある。

 総括(記事の主張)

 ・Janesの報道は「誤報」である可能性が高い。

 ・仮に真実であったとしても、それはSu-35整備など非軍事的施設の誤解の可能性。

 ・ロシア空軍基地という構想は、軍事的にも政治的にも実現性が乏しく、当事者にとって利より害が大きい。

【引用・参照・底本】

Five Reasons To Disbelieve The Report That Russia Wants An Airbase In Indonesia Andrew Korybko's Newsletter 2024.04.15
https://korybko.substack.com/p/five-reasons-to-disbelieve-the-report?utm_source=publication-search

バイデン元大統領:ホワイトハウス退任後初となる主要演説2025年04月16日 18:39

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【概要】

 2025年4月15日、米国の元大統領ジョー・バイデンは、シカゴで開催された障害者支援団体の会議において、ホワイトハウス退任後初となる主要演説を行った。この演説の中でバイデン氏は、後任のドナルド・トランプ大統領による政府改革の進め方を厳しく批判し、特に社会保障制度(Social Security)への影響に警鐘を鳴らした。

 バイデン氏は演説の中で、「この政権はわずか100日足らずで甚大な損害をもたらした。その早さには目を見張るものがある」と述べ、トランプ政権下での政策変更が社会保障局(Social Security Administration)に与えた影響を強調した。同氏は、同局から7,000人の職員が排除されたとし、これを「斧で切り込むようなやり方」と表現した。

 トランプ大統領とその側近である実業家イーロン・マスク氏は、「政府効率化省(Department of Government Efficiency)」と称する取り組みの一環として、人員削減などの改革を進めている。これにより、バイデン氏によれば、社会保障制度のウェブサイトは機能不全に陥っており、高齢者や障害者が必要な給付を受け取る際の障害になっているという。

 社会保障制度は、6,500万人以上の米国人にとって生活の基盤となっており、ワシントンでは「政治の第三のレール」とも称される敏感な問題である。バイデン氏は、「多くのアメリカ人は、社会保障がなければ食料を買うことすらできない」「給付が唯一の収入源であり、それが削減されたり失われたりすれば、数百万人にとって壊滅的な影響がある」と述べた。

 また、バイデン氏はトランプ政権の商務長官で元ヘッジファンドマネージャーのハワード・ルトニック氏を名指しで批判した。ルトニック氏は、最近の発言で「詐欺師は支給漏れの小切手には文句を言うが、自分の義母については何も言わない」と述べており、バイデン氏はこれに対して、「94歳で一人暮らしをしている母親には、億万長者の家族などいない」と反論した。

 バイデン氏はこの演説で青いスーツとネクタイを着用し、アメリカ国旗の前に立って約30分間にわたり発言した。82歳となった同氏には加齢による様子も見られたが、それが再選出馬断念の理由であったとされている。

 一方、トランプ大統領はバイデン氏の冗長なエピソードの一部を編集した動画をコメントなしでSNSに投稿し、間接的に皮肉を込めた反応を示した。

【詳細】
 
 ジョー・バイデン元米大統領は、大統領退任後初めての主要演説をシカゴで開催された障害者支援団体の会議(Advocates, Counselors, and Representatives for the Disabled)において行った。演説は約30分間にわたり、主に現政権による社会保障制度(Social Security)への影響について述べられた。

 演説の主題:社会保障制度の危機

 バイデン氏は演説の冒頭で、現政権、すなわちドナルド・トランプ大統領の再任政権が、政権発足から100日も経たない短期間で「甚大な損害と破壊(damage and destruction)」をもたらしたと述べた。とくに社会保障制度への影響に焦点を当て、「斧(hatchet)」で切りつけるような政府改革が、数百万人の国民生活を脅かしていると警告した。

 社会保障局(SSA)に対する影響

 バイデン氏は、社会保障局(Social Security Administration)において約7,000人の職員が職を失ったと述べ、この職員削減が行政機能の低下を招いていると指摘した。この削減は、トランプ政権とその側近であるイーロン・マスク氏による「政府効率化省(Department of Government Efficiency)」構想の一環とされており、人員や予算の大幅な削減を通じて連邦政府のスリム化を図っている。

 この影響により、バイデン氏は社会保障のウェブサイトが頻繁にクラッシュしており、高齢者や障害者が自らの給付情報を確認したり、必要な支援を受けるための申請を行うことが困難になっていると述べた。

 社会保障制度の重要性と国民生活への影響

 社会保障制度は、米国内で6,500万人以上の人々が利用しており、その多くが年金や障害手当などを受給している。バイデン氏は、「多くのアメリカ国民は、社会保障によって食料を購入し、日々の生活を維持している」と述べ、給付の削減や停止がもたらす影響の深刻さを強調した。

 「これらの受給者にとって、社会保障は唯一の収入源であり、それが削減されるか失われることは、数百万人にとって壊滅的である」と語った。

 トランプ政権の高官に対する言及

 バイデン氏はまた、トランプ政権の商務長官であるハワード・ルトニック氏を批判した。ルトニック氏は最近の発言で、「詐欺を働く者は支払いのない小切手に対して不満を言うが、自分の義母については何も言わない」と述べていた。これに対し、バイデン氏は「94歳で一人暮らしの母親には、億万長者の家族はいない」と述べ、ルトニック氏の認識のズレを指摘した。

 バイデン氏の外見と現職大統領の反応

 演説の際、バイデン氏は青のスーツとネクタイを着用し、アメリカ国旗の前に立っていた。現在82歳である同氏には加齢による様子も見られたが、昨年に大統領選への再出馬を断念したこととの関係が示唆されている。

 この演説に対して、トランプ大統領は直接の言及を避けつつ、バイデン氏の冗長な語りの一部を編集した短い動画をSNSに投稿し、コメントを付けずに間接的な揶揄を示した。

 総括

 バイデン元大統領の演説は、社会保障制度に対する現政権の政策変更の影響に焦点を当てたものであり、制度に依存する高齢者や障害者の生活への配慮を求める内容であった。演説は、制度の維持が国民の生存に直結していることを訴えるものであり、同制度の政治的・社会的な重要性が強調された。

【要点】 

 1.演説の基本情報

 ・演説日:2025年4月15日(火)

 ・場所:イリノイ州シカゴ

 ・イベント:障害者支援団体(Advocates, Counselors, and Representatives for the Disabled)の会議

 ・バイデン氏にとって、大統領退任後初の主要演説である

 ・演説時間:約30分

 2.主な発言内容と主張

 (1)トランプ政権への批判

 ・現政権(トランプ再任政権)の100日以内の政策が「甚大な損害と破壊」をもたらしていると述べた

 ・特に社会保障制度(Social Security)に対する急激な改革に懸念を示した

 ・「彼らは社会保障局に斧を振るい、7,000人の職員を排除した」と述べた

(2)社会保障制度の機能低下

 ・トランプ政権と側近のイーロン・マスクが進める「政府効率化省(Department of Government Efficiency)」の下で人員削減が進められている

 ・この削減により、社会保障のウェブサイトが頻繁にダウンし、給付申請に支障が出ていると主張した

 ・行政サービスの低下が受給者に直接的な悪影響を及ぼしている

(3)社会保障の重要性と影響

 ・社会保障制度は6,500万人以上のアメリカ国民が利用している

 ・多くの受給者は社会保障に依存して生活しており、「食料を買うため」「日々を過ごすため」の唯一の収入源である

 ・この制度が削減または停止されれば、「数百万人にとって壊滅的な結果をもたらす」と述べた

 (4)トランプ政権高官の発言への反論
 
 ・商務長官ハワード・ルトニックが「詐欺師は小切手が届かないと文句を言うが、義母については言わない」と述べたことを紹介

 ・これに対し、「94歳で一人暮らしをしている母親には億万長者の親族などいない」として、この発言を現実離れしていると批判した

 2.その他の要素

 ・バイデン氏は青いスーツとネクタイを着用し、米国旗の前で演説を行った

 ・加齢による兆候も見られたが、演説自体は明確な主張に基づいていた

 ・トランプ大統領はバイデン氏の演説の一部を切り抜いた動画をコメント無しでSNSに投稿し、間接的に揶揄した

【引用・参照・底本】

Biden blasts Trump 'destruction' in first post-presidency speech FRANCE24 2024.04.16
https://www.france24.com/en/americas/20250416-biden-blasts-trump-destruction-first-post-presidency-speech-social-security-musk-doge?utm_medium=email&utm_campaign=newsletter&utm_source=f24-nl-quot-en&utm_email_send_date=%2020250416&utm_email_recipient=263407&utm_email_link=contenus&_ope=eyJndWlkIjoiYWU3N2I1MjkzZWQ3MzhmMjFlZjM2YzdkNjFmNTNiNWEifQ%3D%3D

米国の対イエメン軍事作戦:期待された成果を上げていない2025年04月16日 19:17

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【概要】

 2025年4月16日、アメリカの有力週刊誌『ニューズウィーク』は、アメリカのイエメンへの軍事作戦が期待された成果を上げていないという現実を報じ、米国の大きな誤りを事実上認めた。

 報道によると、米国はドナルド・トランプ大統領の命令に基づき、2025年3月15日よりイエメンに対する空爆を開始した。これにより、1か月以上にわたってイエメン国内に対する軍事的圧力が継続されている。

 『ニューズウィーク』誌は、イラン国営系メディア「パールストゥデイ」の報道を引用しながら、イエメン軍がアメリカの攻撃を受けながらも紅海においてイスラエルおよび船舶へのミサイル攻撃を継続している実情を伝えている。これは、アメリカによる軍事行動がイエメン側の活動を抑止できていないことを示唆するものである。

 また、同誌は米国拠点のシンクタンク「戦争研究所(ISW)」が収集した米中央軍(CENTCOM)のデータを引用し、4月10日以降、空母「カール・ビンソン」および「ハリー・S・トルーマン」から出撃した米軍戦闘機が、毎日数十回におよぶ空爆を実施していると報じている。

 さらに、『ニューズウィーク』誌は、「大規模な被害を受けている」とする報道が存在するにもかかわらず、イエメンのイスラム抵抗組織「アンサーロッラー(フーシー派)」は撤退の兆候をほとんど示していないという事実を認めている。

 加えて、同誌はイエメンが4月13日を含む数週間の間に、イスラエル占領下の都市テルアビブやその他の地域に対して複数のミサイル攻撃を成功裏に実施していると報じた。

 このように、『ニューズウィーク』はアメリカの軍事的圧力にもかかわらず、イエメン側の軍事的抵抗が継続され、むしろイスラエルに対する攻撃能力も維持されているという事実を報道している。

【詳細】
 
 アメリカの著名な週刊誌『ニューズウィーク』は、2025年4月中旬において、米国によるイエメンへの軍事作戦が目標を達成しておらず、現地勢力の抵抗が続いていることを詳細に報道した。これは、アメリカ政府が期待していたような軍事的成果が上がっていないことを意味し、事実上、軍事作戦の失敗を認める内容となっている。

 報道によると、アメリカは2025年3月15日、ドナルド・トランプ大統領の命令に基づき、イエメンに対する空爆を開始した。この作戦は、イエメン国内のイスラム抵抗組織「アンサーロッラー(通称:フーシー派)」の軍事活動を抑制することを目的としているとされる。アンサーロッラーは、イエメンにおけるシーア派系武装勢力であり、近年、紅海を航行する船舶およびイスラエルに対する攻撃を強めていた。

 『ニューズウィーク』は、イラン国営系メディア「パールストゥデイ」の報道を引用する形で、米軍の空爆開始から1か月が経過した時点においても、アンサーロッラーが戦闘能力を保持し、紅海においてイスラエルおよび関係国の船舶に対するミサイル攻撃を継続していると指摘した。これは、米軍の軍事介入が即時的な効果をもたらしていないことを明確に示す内容である。

 また、『ニューズウィーク』誌は、アメリカのワシントンD.C.を拠点とする軍事専門シンクタンク「戦争研究所(ISW:Institute for the Study of War)」の分析を参照し、米中央軍(CENTCOM)から提供された作戦データを引用している。それによれば、空母「カール・ビンソン」および「ハリー・S・トルーマン」は、4月10日以降も継続して戦闘機を発進させ、1日に数十回規模の空爆を実施している。この規模の空爆は、単発的な軍事行動ではなく、持続的かつ体系的な作戦であることを示している。

 しかしながら、同誌は、これらの大規模な攻撃にもかかわらず、アンサーロッラーが事実上の後退や撤退を行っていない点を明確に指摘している。多数の報道機関が「甚大な被害」を受けたと伝えているにもかかわらず、アンサーロッラーの戦闘継続姿勢は変わらず、依然として活発な作戦行動を展開している状況にある。

 さらに、報道によれば、アンサーロッラーはここ数週間の間に、イスラエル占領地とされる地域、特にテルアビブなどの都市に対してミサイル攻撃を行い、これを成功させている。これは、イエメン国内からの長距離攻撃能力が維持されていることを意味しており、アンサーロッラーの作戦行動が広域に及んでいることを裏付ける。

 以上のように、『ニューズウィーク』の報道は、アメリカによる対イエメン軍事作戦がイエメン側の抵抗を沈静化させるには至っておらず、むしろ反撃の継続を許している現状を浮き彫りにしている。この内容は、米国の対中東政策および軍事戦略の効果に対する再評価を促すものであり、アンサーロッラーの抵抗が継続する中で、今後の展開にも注視が必要であると解される。

【要点】 

 ・米誌『ニューズウィーク』は、米国のイエメンに対する軍事作戦が期待された成果を上げていない事実を報道した。

 ・米軍は2025年3月15日、ドナルド・トランプ大統領の命令により、イエメンへの空爆作戦を開始した。

 ・この作戦の主たる標的は、イエメンのイスラム抵抗組織「アンサーロッラー(通称:フーシー派)」である。

 ・アンサーロッラーは、紅海を通航するイスラエルおよび同盟国の船舶に対し、ミサイル攻撃を継続している。

 ・米国の空爆開始から1か月以上が経過したが、アンサーロッラーの攻撃行動は衰えていない。

 ・『ニューズウィーク』は、イラン国営メディア「パールストゥデイ」の報道を引用し、米国の軍事行動がイエメン側の活動を止めるには至っていないと伝えている。

 ・米国の軍事専門シンクタンク「ISW(戦争研究所)」が収集したCENTCOM(米中央軍)のデータによれば、空母「カール・ビンソン」および「ハリー・S・トルーマン」から出撃した戦闘機が、4月10日以降、毎日数十回に及ぶ空爆を継続している。

 ・『ニューズウィーク』は、こうした継続的な攻撃にもかかわらず、アンサーロッラーが撤退の兆候を見せていないことを認めている。

 ・一部報道では「甚大な被害」があったとされるが、アンサーロッラーはなおも戦闘能力を維持し、戦闘を継続している。

 ・さらに同誌は、アンサーロッラーがテルアビブなどイスラエル占領下の都市に対するミサイル攻撃を成功させている事実を報じた。

 ・これらの報道内容は、アメリカの対イエメン軍事戦略が、現時点ではイエメン側の抵抗を抑え込むには不十分であることを示している。

【引用・参照・底本】

米誌ニューズウィークが米の大きな誤りを認める:「イエメンは撤退しない」ParsToday
2024.04.15
https://parstoday.ir/ja/news/west_asia-i127508-%E7%B1%B3%E8%AA%8C%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%BA%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%81%8C%E7%B1%B3%E3%81%AE%E5%A4%A7%E3%81%8D%E3%81%AA%E8%AA%A4%E3%82%8A%E3%82%92%E8%AA%8D%E3%82%81%E3%82%8B_%E3%82%A4%E3%82%A8%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%81%AF%E6%92%A4%E9%80%80%E3%81%97%E3%81%AA%E3%81%84

米中間の貿易戦争が一層激化2025年04月16日 19:29

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【概要】

 2025年4月現在、米中間の貿易戦争が一層激化する中、中国政府はアメリカの航空機大手であるボーイング社に対し、制裁措置を講じた。中国政府は、国内のすべての航空会社に対し、ボーイング製航空機の追加納入を全面的に停止するよう命じた。

 この報道は、イランの報道機関「パールストゥデイ」が、メフル通信社の情報を引用する形で伝えたものであり、ロイター通信によれば、ドナルド・トランプ米大統領による大規模な関税措置を契機として、貿易戦争が深刻化したことが背景にあるとされている。これに対し中国は、報復措置の一環として、国内の航空会社にボーイング機の追加受領停止を要請したとされる。

 ボーイング社にとって中国市場は、最大かつ最も成長が著しい市場の一つであり、欧州のライバル企業エアバスが中国市場で優位な地位を占める中、この動きによりボーイング社の株価は4.5%下落した。

 さらに中国政府は、航空会社に対し、ボーイングからの機器、スペアパーツ、各種コンポーネントの購入を中止し、すでに発注されたものについてもキャンセルを求めている。この結果、中国国内でボーイング機を運航する航空会社の整備コストが増大する可能性が指摘されている。

 現在の状況において、トランプ大統領はすべての中国製品に対して145%の関税を課しており、これに対抗して中国政府も、米国からの輸入品に対し125%の関税を導入した。こうした相互の高関税措置により、航空会社がボーイング機をリースする際のコストが大幅に増加しており、中国政府はコスト増に直面する航空会社を支援する方法を検討しているとされる。

 この影響により、中国の航空会社においては、欧州エアバス機や中国の民間航空機製造会社であるCOMAC(中国商用飛機)などの代替機種の導入を余儀なくされる可能性が高まっている。

 なお、中国の三大航空会社は、2025年から2027年の間にそれぞれ45機、53機、81機のボーイング機の納入を予定していたが、今回の制裁措置により、これらの納入スケジュールが全面的に見直されることとなる見通しである。

【詳細】
 
 1.背景:米中間の関税応酬

 現在の措置の背景には、ドナルド・トランプ米大統領による対中貿易政策の強硬化がある。トランプ政権は、中国による知的財産権の侵害や貿易黒字の是正を名目として、中国からの全輸入品に対して145%もの高率関税を一方的に課している。この政策は事実上の貿易戦争と見なされており、中国側もこれに対抗し、アメリカからの輸入品に対して125%の関税を課すなどの報復措置を講じている。

 その結果、両国間の貿易関係は著しく悪化しており、今回のボーイング社に対する制裁も、その一環として実施された措置である。

 2.ボーイング社に対する中国の具体的措置

 中国政府は、国内の全航空会社に対し、以下の命令を出した。

 ・米ボーイング社製航空機の新規納入を全面停止すること

 ・ボーイング社からの部品、機器、スペアパーツ、コンポーネントの購入を中止すること

 ・既存の注文契約をキャンセルすること

 これらの措置は、単に新たなボーイング機の導入を止めるにとどまらず、航空機の維持運用に不可欠な物品の流通そのものを遮断するものであり、事実上の全面的なボーイング排除政策といえる。

 3.ボーイング社および中国市場の関係

 ボーイング社にとって中国市場は、アメリカ国外で最大の航空機市場の一つであり、長期的な需要の伸びも見込まれていた。特に人口増加と中間層の拡大に伴い、中国では航空旅客数が急増しており、それに伴い新規航空機の需要も高まっていた。

 しかしながら、中国ではボーイング社と並ぶ欧州のエアバス社が強い競争力を持っており、エアバスはすでに天津などに組立工場を持ち、中国当局との関係も深い。そのため、今回の措置によってボーイング社の競争力は一層低下することとなり、株式市場でもその影響が即座に反映され、ボーイング社の株価は4.5%下落した。

 4.中国国内の航空会社への影響

 中国の三大国有航空会社(中国国際航空、中国南方航空、中国東方航空)は、2025年から2027年にかけて、それぞれ45機、53機、81機のボーイング機を受領する契約を結んでいた。これらの契約の履行が停止されることで、航空会社は以下のような影響を受ける可能性がある。

 ・保有機材の更新や増機計画が大幅に遅延する

 ・スペアパーツ不足によって運航効率が低下する

 ・リース契約中の機体についても、関税引き上げによりコストが急増する

 ・運航コストの上昇が運賃値上げやサービス低下に繋がる可能性がある

 このため、中国政府は、航空会社に対する財政的支援や補助金交付など、支援策の導入を検討しているとされている。

 5.代替機材:エアバスおよびCOMAC

 ・今回の措置により、ボーイング機に依存していた航空会社は、機材の代替調達先を探す必要に迫られている。主な代替候補は以下の通りである:

 ・エアバス(欧州):エアバスA320やA350シリーズなど、ボーイング737・787に相当する機種を保有しており、既に中国市場において多数納入実績がある。

 ・COMAC(中国商用飛機):中国が国家戦略として開発を進める国産旅客機C919などがある。COMACはまだ開発段階にあるが、国産機材としての調達促進が今後加速する可能性が高い。

 このように、今回の措置は中国の航空産業の自立化を促進する契機にもなり得る。

 6.今後の展望

 ボーイング社の納入停止措置は、中国の航空機調達政策に大きな転換をもたらすものであり、単なる報復措置にとどまらず、米中の航空・製造分野における構造的対立の表れである。今後、両国の貿易関係や外交交渉の動向次第では、さらに広範な分野において報復措置が拡大する可能性もある。

 したがって、今回の制裁は単なる企業間の取引停止ではなく、国際経済秩序および航空産業の再編にまで影響を与えうる重要な動きと位置づけられる。

 以上のように、本件は貿易戦争の一局面であると同時に、中国の産業政策、航空戦略、外交戦略の交差点に位置するものであり、今後の展開が注視される。

【要点】 

 ・中国政府は、米ボーイング社製航空機の新規納入を国内航空会社に対して全面停止するよう命じた。

 ・これは、アメリカと中国の間で激化する貿易戦争の一環として実施された措置である。

 ・米中間では、トランプ大統領による145%の対中関税措置に対抗し、中国も米国製品に対して125%の関税を課している。

 ・国内のすべての航空会社に対し、ボーイング機の追加受領を停止するよう命じた。

 ・ボーイングからのスペアパーツ、機器、コンポーネントなどの購入も中止するよう指示。

 ・既存のボーイング機に関する注文契約を取り消すよう求めた。

 ・ボーイング社にとって中国は最大かつ急成長中の市場のひとつである。

 ・エアバス社との競争が激しい中、今回の措置でボーイングは大きな市場を失う可能性がある。

 ・報道によれば、ボーイングの株価はこの措置を受けて4.5%下落した。

 ・主要三大航空会社(中国国際航空・中国東方航空・中国南方航空)は、2025年~2027年にかけて計179機のボーイング機の納入を予定していた。

 ・納入停止により、機材更新・拡充計画に遅れが生じる可能性がある。

 ・部品調達が制限されることで、機体の保守・運用コストが増加する懸念がある。

 ・リース中の機体にも高率関税がかかるため、財政的な負担が拡大する。

 ・中国政府は、航空会社に対する財政的支援策の検討を始めている。

 ・エアバス社(欧州)は、既に中国市場で優位にあり、代替調達先として有力である。

 ・中国国産の航空機メーカー「COMAC」(中国商用飛機)は、C919型などの国産機の導入が進む可能性がある。

 ・今回の措置は、ボーイング離れを加速させ、中国国内での航空機自給体制構築を後押しする可能性がある。

【引用・参照・底本】

白熱化する貿易戦争;中国が米ボーイング社に制裁 ParsToday 2024.04.15
https://parstoday.ir/ja/news/world-i127510-%E7%99%BD%E7%86%B1%E5%8C%96%E3%81%99%E3%82%8B%E8%B2%BF%E6%98%93%E6%88%A6%E4%BA%89_%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E3%81%8C%E7%B1%B3%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%B0%E7%A4%BE%E3%81%AB%E5%88%B6%E8%A3%81

米ハーバード大学教授らがトランプ政権を提訴2025年04月16日 19:55

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【概要】

 米ハーバード大学教授らがトランプ政権を提訴

 米ハーバード大学の複数の教授が、トランプ政権を相手取り提訴した。提訴は2025年4月13日に行われたもので、教授らは大学構内におけるパレスチナ支持運動の継続を理由として、同大学に対する資金提供の打ち切りを示唆・脅迫した米政府の行為が、学問と表現の自由を侵害するものであると主張している。教授らは、政権の行為が違法であり、大学キャンパスにおける自由な議論の場を破壊しようとするものであると訴えている。

 イラン外務省報道官「イスラエルはパレスチナの消滅を画策」

 イラン外務省のイスマーイール・バガーイー報道官は4月13日、イスラエルによるガザ地区のマムダニ病院への攻撃を強く非難した。同報道官は、この攻撃が1949年のジュネーブ条約および国際人道法に対する重大な違反であるだけでなく、パレスチナの抹殺および大量虐殺を意図した計画の一環であると発言した。

 ウクライナ大統領がトランプ氏を招待

 ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は4月13日、ドナルド・トランプ米大統領に対し、ウクライナを訪問し戦争の影響による荒廃状況を直接視察するよう呼びかけた。

 中国とインドネシアの関係深化

 中国の習近平国家主席は4月13日、インドネシアのプラボウォ・スビアント大統領と電話会談を行った。習主席は、両国間の外交関係樹立75周年を祝し、戦略的パートナーシップを今後さらに深化させる意向を示した。また、中国とインドネシアの協力関係は、世界的にも戦略的影響力を有すると述べた。

 パキスタンで反イスラエルデモ

 4月13日、パキスタン南部の港湾都市カラチにおいて、大規模な反イスラエル集会が開催された。参加者は、ガザ市民に対する大量虐殺に対して国際社会が沈黙していること、ならびにイスラエルの行為に加担しているとされる米国および欧州を非難した。集会では、イスラエルの占領が終わるまでパレスチナの闘争を支持する姿勢が示された。

 アイルランド首相「ガザ民間人に対する残虐な虐殺は終わるべき」

 アイルランドのマイケル・マーティン首相は4月13日、イスラエルによるガザ地区のマムダニ病院への攻撃に関連して発言し、ガザ民間人に対する虐殺を直ちに止めるべきであると主張した。

 米によるイエメン攻撃で新たに12人死傷

 2025年4月13日、米国はイエメンの各地で攻撃を実施し、これにより12人のイエメン人が死傷した。報道では、この攻撃に関する詳細は不明であるが、死傷者が発生したことが確認されている。

【詳細】
 
 1.米ハーバード大学教授らがトランプ政権を提訴
2025年4月13日、米ハーバード大学の教授らが、トランプ政権を相手取って訴訟を起こした。この訴訟の主たる訴因は、大学構内で行われているパレスチナ支持運動に対して、米政府が大学への資金提供を打ち切ると示唆・脅迫したことである。教授らは、これが「学問の自由」および「表現の自由」という米国憲法修正第1条で保障された権利を違法に侵害する行為であると主張している。

 ハーバード大学内では、ガザ地区での紛争を受けて、学生や教員によるパレスチナ支持の言論・抗議活動が継続的に行われている。トランプ政権はこの動きを「反ユダヤ的」であると非難し、連邦政府による研究資金などの供与を停止する可能性を示唆した。教授らはこれを「脅迫」とみなし、大学の自治と学問の独立性を損なうものであると訴え、司法に訴えたものである。

 2.イラン外務省報道官「イスラエルはパレスチナの消滅を画策」

 イラン外務省のイスマーイール・バガーイー報道官は、2025年4月13日に発表した声明において、イスラエルによるガザ地区のマムダニ病院への攻撃を厳しく非難した。報道官は、この攻撃が単なる軍事作戦を超えて、明確に国際人道法および1949年ジュネーブ条約に違反していると指摘した。

 さらに、病院や医療インフラに対する継続的な攻撃は、意図的かつ計画的なものであり、パレスチナという国民集団の存在を根本から抹消しようとする「抹殺(ジェノサイド)」および「大量虐殺」に等しいと述べた。この発言は、イランがガザでの戦争においてパレスチナ側を一貫して支持している立場を改めて示すものであり、イスラエルに対する激しい批判を含んでいる。

 3.ウクライナ大統領がトランプ氏を招待

 同日、ウクライナのゼレンスキー大統領は、ドナルド・トランプ米大統領に対してウクライナ訪問を公式に呼びかけた。ゼレンスキー大統領のこの招待は、戦争により荒廃した現場の実態を米国の元指導者に直接見せることで、今後の政策判断や世論形成に影響を与えようとする意図を含むと考えられる。

 ウクライナは現在もロシアとの戦争状態にあり、各地で甚大な被害が出ている。ゼレンスキー大統領は、トランプ氏に現地視察を求めることで、ウクライナに対する支援の継続・強化を目指しているものとされるが、報道の範囲ではそれ以上の具体的意図や反応は示されていない。

 4.中国とインドネシアの関係深化

 2025年4月13日、中国の習近平国家主席はインドネシアのプラボウォ・スビアント大統領と電話会談を実施した。この会談は、両国間の外交関係樹立75周年を記念して行われたものである。習主席は、これまでの両国の関係を「戦略的パートナーシップ」と位置づけ、今後も両国の協力を深める方針を明言した。

 また、習主席は中国とインドネシアの関係がアジア太平洋地域にとどまらず、世界的にも戦略的影響力を持っていると強調した。中国は「一帯一路」構想を通じてインフラや経済協力を強化しており、インドネシアはこの構想の主要国の一つである。今回の会談も両国関係のさらなる進展を象徴するものである。

 5.パキスタンで反イスラエルデモ

 4月13日、パキスタン南部の経済都市カラチにて、大規模な反イスラエル集会が開催された。市民らはガザ地区での民間人に対する攻撃に対して抗議し、イスラエルによる「大量虐殺」行為を非難した。また、これに対して沈黙している国際社会、特に米国および欧州の態度を批判した。

 デモ参加者は、イスラエルの占領政策が継続する限り、パレスチナの「闘争」は正当なものとして支持されるべきであると主張した。このような大規模デモは、パキスタンにおける反イスラエル世論の高まりと、パレスチナへの連帯を示す動きの一環であると位置づけられる。

 6.アイルランド首相「ガザ民間人に対する残虐な虐殺は終わるべき」

 アイルランドのマイケル・マーティン首相は、イスラエルによるマムダニ病院への攻撃を受けて発言した。首相は、この攻撃がガザ地区の一般市民に対する「虐殺」に相当するものであり、即座に中止されなければならないと述べた。

 アイルランドは、欧州諸国の中でも比較的早期からガザにおける民間人被害への懸念を示してきた国の一つである。今回の発言も、そうした人道的立場に基づくものであると考えられる。

 7.米によるイエメン攻撃で新たに12人死傷

 2025年4月13日、米国はイエメンにおいて空爆を実施し、その結果、少なくとも12人のイエメン人が死傷したと報じられている。攻撃の対象や理由、死傷者の内訳(死者・負傷者の数や民間人の割合など)は不明であるが、「残虐行為」と表現されており、規模および被害の深刻さが示唆されている。

 イエメンはフーシー派と国際的に承認された政府との間で内戦状態にあり、米国は紅海の航路安全確保などを名目にたびたび空爆を実施してきたが、今回の攻撃については具体的な軍事的文脈は提示されていない。

【要点】 

 1.ハーバード大学教授らがトランプ政権を提訴

 ・原告は、トランプ政権がパレスチナ支持運動を理由に大学への資金停止を示唆したと主張。

 ・これは米国憲法修正第1条の表現・学問の自由の侵害に該当するとして訴訟を提起。

 ・大学内ではパレスチナ支持の抗議活動が続いており、政権側の圧力は「脅迫」と見なされている。

 2.イラン外務省「イスラエルはパレスチナの消滅を画策」

 ・報道官バガーイー氏は、イスラエルによるマムダニ病院攻撃を国際人道法違反と非難。

 ・攻撃は意図的かつ体系的であり、パレスチナ人の存在を抹消しようとする行為であると主張。

 ・「ジェノサイド」と「大量虐殺」という表現を用いて、イスラエルを強く批判。

 3.ゼレンスキー大統領がトランプ氏をウクライナに招待

 ・トランプ氏に戦争の現実を自らの目で見てもらうことを目的に招待。

 ・招待の背景には、今後の支援政策に影響を与える狙いがあると考えられる。

 ・トランプ氏の反応は報じられていない。

 4.中国とインドネシアの電話会談

 ・習近平主席とスビアント大統領が国交樹立75周年を記念して会談。

 ・両国の戦略的パートナーシップの深化を確認。

 ・「一帯一路」構想を含む経済・外交協力の継続が示された。

 5.パキスタンで大規模な反イスラエルデモ

 ・ガザの民間人攻撃に抗議する集会がカラチで開催。

 ・デモ参加者はイスラエルを「大量虐殺国家」と非難。

 ・米国や欧州の沈黙を批判し、パレスチナとの連帯を表明。

 6.アイルランド首相がガザでの民間人虐殺を非難

 ・マーティン首相はマムダニ病院攻撃を「虐殺」と表現。

 ・ガザにおける民間人への暴力の即時停止を要求。

 ・アイルランドは人道的立場から早期から懸念を表明してきた。

 7.米軍のイエメン空爆で12人が死傷

 ・米国がイエメン国内で空爆を実施し、12人の死傷者が発生。

 ・攻撃の詳細(標的、軍民の区別)は明らかにされていない。

 ・報道では「残虐行為」として描写されている。

【引用・参照・底本】

米ハーバード大学教授らがトランプ政権を提訴/イラン外務省報道官「イスラエルはパレスチナ消滅を画策」:国際ニュース ParsToday 2024.04.14
https://parstoday.ir/ja/news/world-i127496-%E7%B1%B3%E3%83%8F%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%89%E5%A4%A7%E5%AD%A6%E6%95%99%E6%8E%88%E3%82%89%E3%81%8C%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%97%E6%94%BF%E6%A8%A9%E3%82%92%E6%8F%90%E8%A8%B4_%E3%82%A4%E3%83%A9%E3%83%B3%E5%A4%96%E5%8B%99%E7%9C%81%E5%A0%B1%E9%81%93%E5%AE%98_%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%82%A8%E3%83%AB%E3%81%AF%E3%83%91%E3%83%AC%E3%82%B9%E3%83%81%E3%83%8A%E6%B6%88%E6%BB%85%E3%82%92%E7%94%BB%E7%AD%96_%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B9