中露:「包括的な取引(grand deal)」について協議する可能性 ― 2025年05月07日 16:44
【概要】
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と中国の習近平国家主席が、ウクライナとの和平交渉が失敗した場合に発動される「包括的な取引(grand deal)」について協議する可能性を論じている。
習主席は、2025年5月7日から10日にかけてモスクワを訪問する予定であり、これは第二次世界大戦終結80周年を記念するものである。公式行事の中心は、5月9日に赤の広場で開催される戦勝記念軍事パレードへの出席であるが、クレムリンによると、両国首脳は「一連の政府間協定に署名し、多方面にわたる協議を行う」予定である。したがって、形式的な式典以上の政治的意味を持つ訪問と見なされる。
この訪問は、次のような背景のもとで行われる。まず、ウクライナのゼレンスキー大統領が、暗に軍事パレードを標的にする可能性に言及したことに対し、トランプ大統領(現在も和平交渉に関与中)は反応を示していない。これは事実上の黙認と解釈され得る。習主席の出席は個人的リスクを伴うが、同時にロシア軍に対する信頼を示すものであり、プーチン大統領およびロシアの政策当局から高く評価される可能性がある。
和平交渉については、米国主導の進展が停滞しており、トランプ氏はプーチン大統領が時間稼ぎをしているとの見方を示している。中国はウクライナに対する影響力を持たないため、米国の役割を代替することは現実的でないが、習主席は交渉の停滞理由について詳細な説明をプーチン大統領から受けると予想される。それに基づき、今後ロシアが和平交渉の破綻を前提として取る方針が議論される可能性がある。
具体的には、ロシアは現在主張していないウクライナ領土への軍事侵攻を拡大することが想定される。また、トランプ氏がロシアの行動に対する報復あるいは和平交渉の失敗に対する「罰」として、軍事的関与を強める可能性もある。いわゆる「エスカレートしてデエスカレートする(escalate to de-escalate)」戦略である。プーチン大統領はこれに備え、習主席に対して軍事援助の要請、または対ロシア制裁(特に二次的制裁)に協力しないとの保証を求める可能性がある。
中国はこれまでロシアへの軍事支援を行っておらず、米国を刺激しないよう一定の制裁にも暗黙のうちに従っている。しかし、トランプ政権が展開する対中貿易戦争により、米中関係は悪化しており、習主席が米国の更なる圧力は避けられないと判断した場合、ロシア支援に踏み切る可能性がある。
その見返りとして、プーチン大統領は、中国が求める低価格での「シベリアの力2」天然ガス・パイプライン供給に同意する可能性があり、他の資源プロジェクト(レアアースなど)でも優遇条件を提示することが考えられる。さらに、軍事技術分野での戦略的協力を強化する見通しもある。
ただし、こうした譲歩は、ロシアが進めている米国との「新デタント(緊張緩和)」政策を放棄し、中国の「従属的パートナー(ジュニアパートナー)」に転落するリスクを伴う。したがって、プーチン大統領がこの「包括的な取引」に真剣に踏み切るのは、和平交渉が完全に崩壊し、米国が対ロシア軍事圧力を強めるという状況に限られると考えられる。
最後に、仮にトランプ氏が中国の台頭を抑えたいのであれば、ウクライナに対してロシアへの譲歩を促し、プーチン大統領にとって有利な形で戦争を終結させるよう圧力をかける必要があるという含意が示されている。
【詳細】
1. 習近平訪露の公式目的と象徴的意味
習近平国家主席は2025年5月7日から10日にかけてロシアを訪問する予定であり、その公式目的は第二次世界大戦欧州戦勝80周年の記念行事、とりわけ5月9日に赤の広場で行われる戦勝記念パレードへの出席である。しかし、ロシア政府の発表では、両首脳が「複数の政府間協定に署名し、幅広い議題について協議を行う」ことが明記されており、単なる儀礼的訪問ではなく、政治・経済・軍事を含む重要な協議が行われることが示唆されている。
この訪問の象徴的意味としては、ゼレンスキー大統領が暗にこのパレードへの攻撃を示唆したことが挙げられる。これに対して、トランプ前大統領は沈黙を守っており、ロシア側からは事実上の黙認と受け取られている。したがって、習近平主席がこのパレードに出席するという行為は、安全保障上のリスクを承知の上でロシアとの関係を強調するものであり、プーチン大統領およびロシアの政治指導層にとって極めて重要な外交的支持と解釈され得る。
2. 米国主導の和平交渉の行き詰まりと中露協議の焦点
ロシアとウクライナの和平交渉は米国の仲介のもとで進められてきたが、現在は停滞しており、トランプ氏自身が「プーチンにうまくあしらわれているのではないか」と疑念を呈している。このような情勢のもとで、習主席はロシア側から交渉停滞の詳細な説明を受けることが予想される。
中国はウクライナに対して政治的・軍事的影響力をほとんど持たないため、交渉の場において米国に代わる立場を占めることは不可能である。ただし、交渉が完全に破綻した場合に備え、ロシアが今後採り得る軍事的・戦略的方針について両国間で協議が行われる可能性が高い。
3. ロシアの軍事戦略とトランプ政権の可能な対応
交渉が決裂した場合、ロシアはこれまで領有権を主張していなかったウクライナの領域への地上戦を拡大することもあり得る。加えて、トランプ氏が報復的、あるいは「和平交渉決裂の責任がロシアにある」と見なした場合には、「エスカレートしてデエスカレートする(escalate to de-escalate)」という戦術に出る可能性がある。この戦術は、局所的に緊張を激化させることで逆に相手を交渉に引き戻し、妥協を引き出すことを意図するものである。
このような状況を想定し、プーチン大統領は習近平主席に対して、軍事的支援の提供あるいは追加制裁(特に二次的制裁)への不参加という形式の支援を要請する可能性がある。
4. 中国の立場と対米戦略の転換可能性
これまで中国はロシアに対して軍事支援を行っておらず、対ロシア制裁の一部には非公式に従ってきた。これは習近平政権が米国との関係悪化を回避しようとする慎重姿勢の表れである。しかし、トランプ政権が主導する対中貿易戦争が強化され、米国が中国の超大国化を阻止する明確な戦略をとっている現状では、習主席の判断に変化が生じる可能性がある。
つまり、米国からの経済的・軍事的圧力は不可避であると認識された場合、中国がロシアとの戦略的提携を深化させる方向へ舵を切るという選択肢が現実味を帯びてくる。これはリスクを伴う決断であるが、見返りが十分であれば受け入れられる可能性がある。
5. プーチンの譲歩と「包括的取引」の内容
もし中国側がロシア支援に応じるのであれば、プーチン大統領はその見返りとして複数の譲歩を行う必要がある。主なものとしては:
・「シベリアの力2(Power of Siberia 2)」パイプライン計画において、中国が要求する非常に低価格での天然ガス供給に同意すること
・レアアースなどの資源プロジェクトにおいて中国側に有利な条件を提供すること
・軍事技術分野での協力を一層深化させること
これらは、ロシアが追求してきた「地政学的なバランス外交」─すなわち米中双方との等距離外交─を放棄することを意味する。その場合、ロシアは中国の「準属国的パートナー(junior partner)」として扱われることを甘受しなければならなくなる。
6. この取引の発動条件と米国への含意
この「包括的取引(grand deal)」が実行に移されるのは、以下の二つの条件が満たされた場合に限られると筆者は論じている。
・ロシア・ウクライナ間の和平交渉が完全に決裂すること
・米国が軍事的に「エスカレートしてデエスカレートする」対応をとること
したがって、トランプ政権が望むのは、ロシアが中国とより緊密な戦略的提携を進める事態を回避することである。そのためには、米国がウクライナに圧力をかけ、ロシアにとってより好条件での停戦・和平が成立するよう誘導する必要がある、という含意が記事の末尾に込められている。
【要点】
1.習近平訪露の目的と象徴性
・公式目的は戦勝80周年記念パレードへの出席(2025年5月9日)。
・実質的にはプーチンとの戦略的協議が主眼。
・ウクライナの攻撃示唆がある中での出席は、ロシアへの重大な政治的支持を意味する。
2.米国主導の和平交渉の行き詰まり
・トランプが仲介する和平交渉は機能不全に陥っている。
・習近平は交渉停滞の背景をプーチンから直接聞くと予想される。
・中国はウクライナへの影響力が乏しく、仲介役にはなれない。
3.中露協議の核心:交渉決裂後の戦略
・ロシアは交渉が失敗した場合の軍事戦略(戦線拡大など)を準備している可能性がある。
・トランプがロシアの拡大戦略に「報復」するリスクもある(例:限定的軍事介入)。
・ロシアはその局面に備え、中国に政治・経済・軍事的支援を求める可能性がある。
4.中国側の判断基準
・習近平はこれまで米国との関係悪化を避けるため、対露制裁をある程度尊重してきた。
・しかし、米中対立が不可避と判断されれば、ロシア支援に踏み切る可能性がある。
・対価が十分であれば、リスクを取る計算も現実的選択肢になる。
5.「包括的取引(grand deal)」の可能性
(1)ロシアが中国に提示し得る譲歩案
・「シベリアの力2」パイプラインでの超低価格ガス供給。
・レアアースなど資源開発での優遇。
・軍事技術移転や共同開発。
(2)これによりロシアは中国の「準属国的パートナー」になる可能性がある。
6.包括的取引の発動条件
・ウクライナとの和平交渉が完全に崩壊すること。
・米国(トランプ)が軍事的エスカレーションに踏み切ること。
6.米国への含意
・トランプ政権がロシアの中国接近を防ぐには、ロシアに有利な形での停戦を促す必要がある。
・これはウクライナへの圧力を意味する。
・結果として中露の戦略的同盟を回避することが可能となる。
【引用・参照・底本】
Putin & Xi Might Hash Out A Grand Deal That Would Enter Into Force If The Ukraine Talks Collapse Andrew Korybko's Newsletter 2025.05.06
https://korybko.substack.com/p/putin-and-xi-might-hash-out-a-grand?utm_source=post-email-title&publication_id=835783&post_id=162957159&utm_campaign=email-post-title&isFreemail=true&r=2gkj&triedRedirect=true&utm_medium=email
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と中国の習近平国家主席が、ウクライナとの和平交渉が失敗した場合に発動される「包括的な取引(grand deal)」について協議する可能性を論じている。
習主席は、2025年5月7日から10日にかけてモスクワを訪問する予定であり、これは第二次世界大戦終結80周年を記念するものである。公式行事の中心は、5月9日に赤の広場で開催される戦勝記念軍事パレードへの出席であるが、クレムリンによると、両国首脳は「一連の政府間協定に署名し、多方面にわたる協議を行う」予定である。したがって、形式的な式典以上の政治的意味を持つ訪問と見なされる。
この訪問は、次のような背景のもとで行われる。まず、ウクライナのゼレンスキー大統領が、暗に軍事パレードを標的にする可能性に言及したことに対し、トランプ大統領(現在も和平交渉に関与中)は反応を示していない。これは事実上の黙認と解釈され得る。習主席の出席は個人的リスクを伴うが、同時にロシア軍に対する信頼を示すものであり、プーチン大統領およびロシアの政策当局から高く評価される可能性がある。
和平交渉については、米国主導の進展が停滞しており、トランプ氏はプーチン大統領が時間稼ぎをしているとの見方を示している。中国はウクライナに対する影響力を持たないため、米国の役割を代替することは現実的でないが、習主席は交渉の停滞理由について詳細な説明をプーチン大統領から受けると予想される。それに基づき、今後ロシアが和平交渉の破綻を前提として取る方針が議論される可能性がある。
具体的には、ロシアは現在主張していないウクライナ領土への軍事侵攻を拡大することが想定される。また、トランプ氏がロシアの行動に対する報復あるいは和平交渉の失敗に対する「罰」として、軍事的関与を強める可能性もある。いわゆる「エスカレートしてデエスカレートする(escalate to de-escalate)」戦略である。プーチン大統領はこれに備え、習主席に対して軍事援助の要請、または対ロシア制裁(特に二次的制裁)に協力しないとの保証を求める可能性がある。
中国はこれまでロシアへの軍事支援を行っておらず、米国を刺激しないよう一定の制裁にも暗黙のうちに従っている。しかし、トランプ政権が展開する対中貿易戦争により、米中関係は悪化しており、習主席が米国の更なる圧力は避けられないと判断した場合、ロシア支援に踏み切る可能性がある。
その見返りとして、プーチン大統領は、中国が求める低価格での「シベリアの力2」天然ガス・パイプライン供給に同意する可能性があり、他の資源プロジェクト(レアアースなど)でも優遇条件を提示することが考えられる。さらに、軍事技術分野での戦略的協力を強化する見通しもある。
ただし、こうした譲歩は、ロシアが進めている米国との「新デタント(緊張緩和)」政策を放棄し、中国の「従属的パートナー(ジュニアパートナー)」に転落するリスクを伴う。したがって、プーチン大統領がこの「包括的な取引」に真剣に踏み切るのは、和平交渉が完全に崩壊し、米国が対ロシア軍事圧力を強めるという状況に限られると考えられる。
最後に、仮にトランプ氏が中国の台頭を抑えたいのであれば、ウクライナに対してロシアへの譲歩を促し、プーチン大統領にとって有利な形で戦争を終結させるよう圧力をかける必要があるという含意が示されている。
【詳細】
1. 習近平訪露の公式目的と象徴的意味
習近平国家主席は2025年5月7日から10日にかけてロシアを訪問する予定であり、その公式目的は第二次世界大戦欧州戦勝80周年の記念行事、とりわけ5月9日に赤の広場で行われる戦勝記念パレードへの出席である。しかし、ロシア政府の発表では、両首脳が「複数の政府間協定に署名し、幅広い議題について協議を行う」ことが明記されており、単なる儀礼的訪問ではなく、政治・経済・軍事を含む重要な協議が行われることが示唆されている。
この訪問の象徴的意味としては、ゼレンスキー大統領が暗にこのパレードへの攻撃を示唆したことが挙げられる。これに対して、トランプ前大統領は沈黙を守っており、ロシア側からは事実上の黙認と受け取られている。したがって、習近平主席がこのパレードに出席するという行為は、安全保障上のリスクを承知の上でロシアとの関係を強調するものであり、プーチン大統領およびロシアの政治指導層にとって極めて重要な外交的支持と解釈され得る。
2. 米国主導の和平交渉の行き詰まりと中露協議の焦点
ロシアとウクライナの和平交渉は米国の仲介のもとで進められてきたが、現在は停滞しており、トランプ氏自身が「プーチンにうまくあしらわれているのではないか」と疑念を呈している。このような情勢のもとで、習主席はロシア側から交渉停滞の詳細な説明を受けることが予想される。
中国はウクライナに対して政治的・軍事的影響力をほとんど持たないため、交渉の場において米国に代わる立場を占めることは不可能である。ただし、交渉が完全に破綻した場合に備え、ロシアが今後採り得る軍事的・戦略的方針について両国間で協議が行われる可能性が高い。
3. ロシアの軍事戦略とトランプ政権の可能な対応
交渉が決裂した場合、ロシアはこれまで領有権を主張していなかったウクライナの領域への地上戦を拡大することもあり得る。加えて、トランプ氏が報復的、あるいは「和平交渉決裂の責任がロシアにある」と見なした場合には、「エスカレートしてデエスカレートする(escalate to de-escalate)」という戦術に出る可能性がある。この戦術は、局所的に緊張を激化させることで逆に相手を交渉に引き戻し、妥協を引き出すことを意図するものである。
このような状況を想定し、プーチン大統領は習近平主席に対して、軍事的支援の提供あるいは追加制裁(特に二次的制裁)への不参加という形式の支援を要請する可能性がある。
4. 中国の立場と対米戦略の転換可能性
これまで中国はロシアに対して軍事支援を行っておらず、対ロシア制裁の一部には非公式に従ってきた。これは習近平政権が米国との関係悪化を回避しようとする慎重姿勢の表れである。しかし、トランプ政権が主導する対中貿易戦争が強化され、米国が中国の超大国化を阻止する明確な戦略をとっている現状では、習主席の判断に変化が生じる可能性がある。
つまり、米国からの経済的・軍事的圧力は不可避であると認識された場合、中国がロシアとの戦略的提携を深化させる方向へ舵を切るという選択肢が現実味を帯びてくる。これはリスクを伴う決断であるが、見返りが十分であれば受け入れられる可能性がある。
5. プーチンの譲歩と「包括的取引」の内容
もし中国側がロシア支援に応じるのであれば、プーチン大統領はその見返りとして複数の譲歩を行う必要がある。主なものとしては:
・「シベリアの力2(Power of Siberia 2)」パイプライン計画において、中国が要求する非常に低価格での天然ガス供給に同意すること
・レアアースなどの資源プロジェクトにおいて中国側に有利な条件を提供すること
・軍事技術分野での協力を一層深化させること
これらは、ロシアが追求してきた「地政学的なバランス外交」─すなわち米中双方との等距離外交─を放棄することを意味する。その場合、ロシアは中国の「準属国的パートナー(junior partner)」として扱われることを甘受しなければならなくなる。
6. この取引の発動条件と米国への含意
この「包括的取引(grand deal)」が実行に移されるのは、以下の二つの条件が満たされた場合に限られると筆者は論じている。
・ロシア・ウクライナ間の和平交渉が完全に決裂すること
・米国が軍事的に「エスカレートしてデエスカレートする」対応をとること
したがって、トランプ政権が望むのは、ロシアが中国とより緊密な戦略的提携を進める事態を回避することである。そのためには、米国がウクライナに圧力をかけ、ロシアにとってより好条件での停戦・和平が成立するよう誘導する必要がある、という含意が記事の末尾に込められている。
【要点】
1.習近平訪露の目的と象徴性
・公式目的は戦勝80周年記念パレードへの出席(2025年5月9日)。
・実質的にはプーチンとの戦略的協議が主眼。
・ウクライナの攻撃示唆がある中での出席は、ロシアへの重大な政治的支持を意味する。
2.米国主導の和平交渉の行き詰まり
・トランプが仲介する和平交渉は機能不全に陥っている。
・習近平は交渉停滞の背景をプーチンから直接聞くと予想される。
・中国はウクライナへの影響力が乏しく、仲介役にはなれない。
3.中露協議の核心:交渉決裂後の戦略
・ロシアは交渉が失敗した場合の軍事戦略(戦線拡大など)を準備している可能性がある。
・トランプがロシアの拡大戦略に「報復」するリスクもある(例:限定的軍事介入)。
・ロシアはその局面に備え、中国に政治・経済・軍事的支援を求める可能性がある。
4.中国側の判断基準
・習近平はこれまで米国との関係悪化を避けるため、対露制裁をある程度尊重してきた。
・しかし、米中対立が不可避と判断されれば、ロシア支援に踏み切る可能性がある。
・対価が十分であれば、リスクを取る計算も現実的選択肢になる。
5.「包括的取引(grand deal)」の可能性
(1)ロシアが中国に提示し得る譲歩案
・「シベリアの力2」パイプラインでの超低価格ガス供給。
・レアアースなど資源開発での優遇。
・軍事技術移転や共同開発。
(2)これによりロシアは中国の「準属国的パートナー」になる可能性がある。
6.包括的取引の発動条件
・ウクライナとの和平交渉が完全に崩壊すること。
・米国(トランプ)が軍事的エスカレーションに踏み切ること。
6.米国への含意
・トランプ政権がロシアの中国接近を防ぐには、ロシアに有利な形での停戦を促す必要がある。
・これはウクライナへの圧力を意味する。
・結果として中露の戦略的同盟を回避することが可能となる。
【引用・参照・底本】
Putin & Xi Might Hash Out A Grand Deal That Would Enter Into Force If The Ukraine Talks Collapse Andrew Korybko's Newsletter 2025.05.06
https://korybko.substack.com/p/putin-and-xi-might-hash-out-a-grand?utm_source=post-email-title&publication_id=835783&post_id=162957159&utm_campaign=email-post-title&isFreemail=true&r=2gkj&triedRedirect=true&utm_medium=email