ウクライナの将来 ― 2025年03月05日 14:47
【概要】
アンドリュー・コリブコ氏は、ウクライナの将来が「緩衝地帯」となるのか、「橋渡し地帯」となるのかについて論じている。彼によれば、このシナリオは、アメリカとロシアが共有する「新たなデタント」の文脈において、ますます両国の利益に合致しているという。
ハンガリーのオルバン首相は、先月遅くに「ウクライナ、あるいはその残りの部分は、最終的にNATOとロシアの間の緩衝地帯になるだろう」と予測した。彼の主張は、ウクライナはNATOに加盟しないが、完全にロシアの支配下に置かれることはないというものである。これは理にかなっているが、ウクライナが「橋渡し地帯」となる可能性もある。つまり、ウクライナがロシアと西側、少なくともロシアとアメリカの関係を修復するための役割を果たすというシナリオも考えられる。
ロシアがウクライナの「非武装化」や「脱ナチ化」を達成することは、一方的にモスクワが強制することでは容易に実現できない。むしろ、キエフに協力的な政府が存在することが、これらの目標を達成するためには必要である。このため、2022年春に交渉された和平案の内容が理解される。イギリスとポーランドがこの案を阻止したのは、彼らとアメリカがロシアを戦略的に打倒できると考えたからである。
しかし、アメリカの戦略的計算はトランプの歴史的な選挙勝利をきっかけに変化した。現在、アメリカはロシアとの「新たなデタント」を目指し、ロシアに対してより多くの譲歩をする準備が整っている。この合意は、ウクライナをロシアに対して武器化し続けることよりも、アメリカにとって重要であり、ロシアを資源や軍事協力の面で中国との競争を制限させることが、アメリカにとっての利益とされている。
トランプがゼレンスキーに対して選挙への不出馬を迫るか、彼のライバルを支持するような動きがあれば、ウクライナには中道的な政府が誕生する可能性が高い。このような政府は、ロシアが過去3年間に達成しようとした非武装化と脱ナチ化の目標を実施することになるかもしれない。それは、トランプのアメリカの承認のもとで行われる可能性があり、ロシアとアメリカの間で合意される交換条件として成立するだろう。
ロシアとウクライナの貿易が2014年以前の水準に戻ることは難しいかもしれないが、それでも関係改善に向けて大きな前進となるだろう。ウクライナは、ロシアとアメリカの「新たなデタント」を維持するための「橋渡し地帯」になる可能性がある。ロシアとEUとの関係がどのように進展するかは、ブリュッセルとポーランドの対応にかかっているが、現時点ではその可能性は低いものの、完全に排除することはできない。
ロシアとアメリカの交渉が進展する中で、ウクライナを「橋渡し地帯」に変えることが双方にとって重要となる。プーチンがこの結果を予測していた可能性もあり、それがウクライナに対する全面的な戦争を避けた理由となっているかもしれない。ロシアが市民への被害を避けるように注意を払い、インフラへの攻撃を控えたことが、このシナリオを実現可能にしたのである。
結局のところ、ロシアとウクライナの関係の相対的な正常化は、アメリカの利益に合致し、ウクライナが「橋渡し地帯」として機能する可能性が最も高まるとされている。
【詳細】
アンドリュー・コリブコ氏の論考は、ウクライナの将来の役割について、「緩衝地帯(Buffer State)」と「橋渡し地帯(Bridge State)」の二つのシナリオを比較し、ウクライナがどちらの立場に転換するかが、ロシアとアメリカの「新たなデタント」の枠組みの中で重要な要素となることを指摘している。
1. ウクライナの「緩衝地帯」シナリオ
オルバン首相の予測に基づく「緩衝地帯」シナリオは、ウクライナがNATOに加盟せず、ロシアの完全な支配下にも置かれないという立場を取るものだ。このシナリオにおいて、ウクライナはNATOとロシアの間に位置し、両者の対立を避けるための緩衝的な役割を果たすことになる。オルバン首相の見解は、ウクライナが西側諸国(特にNATO)とロシアとの関係を調整しながら、中立的な立場を維持する可能性が高いとするものだ。この場合、ウクライナは戦争の後も完全にロシアや西側の陣営に取り込まれることなく、緩衝的な存在となる。
2. ウクライナの「橋渡し地帯」シナリオ
一方、ウクライナが「橋渡し地帯」になるシナリオは、ロシアとアメリカ、西側諸国との関係を修復するための仲介役を果たすことを目指すものだ。このシナリオにおいては、ウクライナは単なる緩衝地帯ではなく、ロシアと西側諸国、特にアメリカとの関係を再構築するための重要な橋渡し役となる。具体的には、ウクライナがロシアと西側の両者との関係を調整する形で、地域の安定を促進する役割を担うことになる。これにより、ロシアとアメリカ間で新たなデタント(緊張緩和)の枠組みが構築される可能性がある。
3. ロシアの「非武装化」・「脱ナチ化」の目標とその現実
ロシアがウクライナに対して目指していた「非武装化」と「脱ナチ化」の目標は、単に軍事的な手段で実現することは困難である。ロシアが一方的にこれらの目標を達成するためには、ウクライナ国内に協力的な政府が必要であり、その実現のためにはウクライナ政府の支持が不可欠である。この点を理解するために、コリブコ氏は2022年春に交渉された和平案に言及している。この和平案では、ロシアの目標が達成されるための具体的な措置が盛り込まれていたが、イギリスとポーランド、さらにはアメリカがこれを阻止したとされている。彼らは、ロシアを戦略的に打倒できると考えていたため、この和平案には反対した。
4. アメリカの戦略的変化と「新たなデタント」
トランプの選挙勝利以降、アメリカの戦略的計算は大きく変化した。アメリカはロシアとの関係改善を目指すようになり、ウクライナをロシアに対抗するための武器として利用することよりも、ロシアとの「新たなデタント」を追求する方が重要だと認識するようになった。特に、ロシアとの関係を改善することで、アメリカは中国に対する競争力を強化することができると考え、ロシアに資源や軍事協力を制限させることがアメリカの利益になると見ている。
5. ウクライナにおける「中道政府」の可能性
もしアメリカとロシアの間で成功した交渉が行われた場合、ウクライナには「中道的な政府」が成立する可能性がある。ここで言う「中道政府」とは、ロシアの要求する「非武装化」や「脱ナチ化」の目標を実現する政府のことだ。アメリカは、この政府がウクライナの将来をリードすることを支持する可能性がある。ゼレンスキーが再選を目指さない場合や、トランプがゼレンスキーに圧力をかける場合、ウクライナにおける政権交代が起こることもあり得る。
6. ロシアとウクライナの貿易再開
ウクライナがロシアとの関係を再構築する場合、貿易が2014年以前の水準に戻ることは難しいと考えられる。ウクライナがEUとの協定を結んでいるため、経済的な関係は制限されるだろう。しかし、ロシアとウクライナの関係が正常化し、相互理解が進むことは、地域の安定に寄与する可能性が高い。この点においても、ウクライナは「橋渡し地帯」としての機能を果たすことが期待される。
7. ロシアの戦争戦略と民間人への配慮
ロシアは、ウクライナとの戦争において民間人への被害を最小限に抑えるよう努力してきた。この配慮は、ウクライナとの関係を再構築し、将来的な「橋渡し地帯」としての役割を担うために重要であった。ロシアがウクライナのインフラを過度に破壊せず、市民の生活を極力保護することで、戦後の関係改善が現実的になった。
8. まとめ
コリブコ氏は、ウクライナが今後「緩衝地帯」か「橋渡し地帯」かのいずれになるかは、ロシアとアメリカの交渉の結果に依存するとしている。ロシアとアメリカが共にウクライナを「橋渡し地帯」として位置付けることが、両国の利益に合致しており、このシナリオが最も現実的であると考えている。プーチンの戦略的な自制とアメリカの戦略的変更が、この方向性を後押ししている。ウクライナは、ロシアと西側諸国、特にアメリカの関係修復のための重要な役割を果たす可能性が高い。
【要点】
1.ウクライナの未来シナリオ
・「緩衝地帯(Buffer State)」:ウクライナはNATOに加盟せず、ロシアの支配下にも入らない、中立的な存在として機能。
・「橋渡し地帯(Bridge State)」:ウクライナはロシアと西側(特にアメリカ)の関係を調整する役割を担う。
2.オルバン首相の予測
・ウクライナは戦争後、ロシアとNATOの間にある緩衝地帯として機能する可能性が高い。
3.ロシアの目標と現実
・ロシアはウクライナの「非武装化」と「脱ナチ化」を目指しているが、これを実現するにはウクライナ政府の協力が不可欠。
・これらの目標は、ウクライナに協力的な政府が存在することで初めて達成可能。
4.アメリカの戦略的変化
・トランプの選挙勝利以降、アメリカはロシアとの関係改善を重視し、ウクライナをロシアに対する武器として利用するよりも、関係修復を優先するようになった。
・ロシアとのデタント(緊張緩和)を進めることで、中国に対する競争力を高める狙いがある。
5.ウクライナの「中道政府」の可能性:
・アメリカとロシアの交渉が進んだ場合、ウクライナに「中道的な政府」が成立する可能性がある。
・この政府は、ロシアの「非武装化」や「脱ナチ化」の目標を達成するために協力する。
6.ロシアとウクライナの貿易再開の難しさ
・ウクライナはEUとの協定があるため、ロシアとの貿易は2014年以前の水準には戻らない可能性が高い。
・それでも、関係の正常化は地域の安定に寄与する。
7.ロシアの戦争戦略と民間人への配慮:
・ロシアはウクライナとの戦争において民間人への被害を最小限に抑えるよう配慮しており、これが戦後の関係改善を現実的にしている。
8.ウクライナの将来とロシア・アメリカの利害:
・ウクライナは、ロシアとアメリカの「新たなデタント」の枠組みの中で、関係修復のための「橋渡し地帯」として機能する可能性が高い。
・ロシアとアメリカが共にウクライナをこの役割に位置づけることで、両国の利益が合致する。
【引用・参照・底本】
Will Ukraine’s Future Be As A “Buffer State” Or A “Bridge State”?
Andrew Korybko's Newsletter 2025.03.05
https://korybko.substack.com/p/will-ukraines-future-be-as-a-buffer?utm_source=post-email-title&publication_id=835783&post_id=158418515&utm_campaign=email-post-title&isFreemail=true&r=2gkj&triedRedirect=true&utm_medium=email
アンドリュー・コリブコ氏は、ウクライナの将来が「緩衝地帯」となるのか、「橋渡し地帯」となるのかについて論じている。彼によれば、このシナリオは、アメリカとロシアが共有する「新たなデタント」の文脈において、ますます両国の利益に合致しているという。
ハンガリーのオルバン首相は、先月遅くに「ウクライナ、あるいはその残りの部分は、最終的にNATOとロシアの間の緩衝地帯になるだろう」と予測した。彼の主張は、ウクライナはNATOに加盟しないが、完全にロシアの支配下に置かれることはないというものである。これは理にかなっているが、ウクライナが「橋渡し地帯」となる可能性もある。つまり、ウクライナがロシアと西側、少なくともロシアとアメリカの関係を修復するための役割を果たすというシナリオも考えられる。
ロシアがウクライナの「非武装化」や「脱ナチ化」を達成することは、一方的にモスクワが強制することでは容易に実現できない。むしろ、キエフに協力的な政府が存在することが、これらの目標を達成するためには必要である。このため、2022年春に交渉された和平案の内容が理解される。イギリスとポーランドがこの案を阻止したのは、彼らとアメリカがロシアを戦略的に打倒できると考えたからである。
しかし、アメリカの戦略的計算はトランプの歴史的な選挙勝利をきっかけに変化した。現在、アメリカはロシアとの「新たなデタント」を目指し、ロシアに対してより多くの譲歩をする準備が整っている。この合意は、ウクライナをロシアに対して武器化し続けることよりも、アメリカにとって重要であり、ロシアを資源や軍事協力の面で中国との競争を制限させることが、アメリカにとっての利益とされている。
トランプがゼレンスキーに対して選挙への不出馬を迫るか、彼のライバルを支持するような動きがあれば、ウクライナには中道的な政府が誕生する可能性が高い。このような政府は、ロシアが過去3年間に達成しようとした非武装化と脱ナチ化の目標を実施することになるかもしれない。それは、トランプのアメリカの承認のもとで行われる可能性があり、ロシアとアメリカの間で合意される交換条件として成立するだろう。
ロシアとウクライナの貿易が2014年以前の水準に戻ることは難しいかもしれないが、それでも関係改善に向けて大きな前進となるだろう。ウクライナは、ロシアとアメリカの「新たなデタント」を維持するための「橋渡し地帯」になる可能性がある。ロシアとEUとの関係がどのように進展するかは、ブリュッセルとポーランドの対応にかかっているが、現時点ではその可能性は低いものの、完全に排除することはできない。
ロシアとアメリカの交渉が進展する中で、ウクライナを「橋渡し地帯」に変えることが双方にとって重要となる。プーチンがこの結果を予測していた可能性もあり、それがウクライナに対する全面的な戦争を避けた理由となっているかもしれない。ロシアが市民への被害を避けるように注意を払い、インフラへの攻撃を控えたことが、このシナリオを実現可能にしたのである。
結局のところ、ロシアとウクライナの関係の相対的な正常化は、アメリカの利益に合致し、ウクライナが「橋渡し地帯」として機能する可能性が最も高まるとされている。
【詳細】
アンドリュー・コリブコ氏の論考は、ウクライナの将来の役割について、「緩衝地帯(Buffer State)」と「橋渡し地帯(Bridge State)」の二つのシナリオを比較し、ウクライナがどちらの立場に転換するかが、ロシアとアメリカの「新たなデタント」の枠組みの中で重要な要素となることを指摘している。
1. ウクライナの「緩衝地帯」シナリオ
オルバン首相の予測に基づく「緩衝地帯」シナリオは、ウクライナがNATOに加盟せず、ロシアの完全な支配下にも置かれないという立場を取るものだ。このシナリオにおいて、ウクライナはNATOとロシアの間に位置し、両者の対立を避けるための緩衝的な役割を果たすことになる。オルバン首相の見解は、ウクライナが西側諸国(特にNATO)とロシアとの関係を調整しながら、中立的な立場を維持する可能性が高いとするものだ。この場合、ウクライナは戦争の後も完全にロシアや西側の陣営に取り込まれることなく、緩衝的な存在となる。
2. ウクライナの「橋渡し地帯」シナリオ
一方、ウクライナが「橋渡し地帯」になるシナリオは、ロシアとアメリカ、西側諸国との関係を修復するための仲介役を果たすことを目指すものだ。このシナリオにおいては、ウクライナは単なる緩衝地帯ではなく、ロシアと西側諸国、特にアメリカとの関係を再構築するための重要な橋渡し役となる。具体的には、ウクライナがロシアと西側の両者との関係を調整する形で、地域の安定を促進する役割を担うことになる。これにより、ロシアとアメリカ間で新たなデタント(緊張緩和)の枠組みが構築される可能性がある。
3. ロシアの「非武装化」・「脱ナチ化」の目標とその現実
ロシアがウクライナに対して目指していた「非武装化」と「脱ナチ化」の目標は、単に軍事的な手段で実現することは困難である。ロシアが一方的にこれらの目標を達成するためには、ウクライナ国内に協力的な政府が必要であり、その実現のためにはウクライナ政府の支持が不可欠である。この点を理解するために、コリブコ氏は2022年春に交渉された和平案に言及している。この和平案では、ロシアの目標が達成されるための具体的な措置が盛り込まれていたが、イギリスとポーランド、さらにはアメリカがこれを阻止したとされている。彼らは、ロシアを戦略的に打倒できると考えていたため、この和平案には反対した。
4. アメリカの戦略的変化と「新たなデタント」
トランプの選挙勝利以降、アメリカの戦略的計算は大きく変化した。アメリカはロシアとの関係改善を目指すようになり、ウクライナをロシアに対抗するための武器として利用することよりも、ロシアとの「新たなデタント」を追求する方が重要だと認識するようになった。特に、ロシアとの関係を改善することで、アメリカは中国に対する競争力を強化することができると考え、ロシアに資源や軍事協力を制限させることがアメリカの利益になると見ている。
5. ウクライナにおける「中道政府」の可能性
もしアメリカとロシアの間で成功した交渉が行われた場合、ウクライナには「中道的な政府」が成立する可能性がある。ここで言う「中道政府」とは、ロシアの要求する「非武装化」や「脱ナチ化」の目標を実現する政府のことだ。アメリカは、この政府がウクライナの将来をリードすることを支持する可能性がある。ゼレンスキーが再選を目指さない場合や、トランプがゼレンスキーに圧力をかける場合、ウクライナにおける政権交代が起こることもあり得る。
6. ロシアとウクライナの貿易再開
ウクライナがロシアとの関係を再構築する場合、貿易が2014年以前の水準に戻ることは難しいと考えられる。ウクライナがEUとの協定を結んでいるため、経済的な関係は制限されるだろう。しかし、ロシアとウクライナの関係が正常化し、相互理解が進むことは、地域の安定に寄与する可能性が高い。この点においても、ウクライナは「橋渡し地帯」としての機能を果たすことが期待される。
7. ロシアの戦争戦略と民間人への配慮
ロシアは、ウクライナとの戦争において民間人への被害を最小限に抑えるよう努力してきた。この配慮は、ウクライナとの関係を再構築し、将来的な「橋渡し地帯」としての役割を担うために重要であった。ロシアがウクライナのインフラを過度に破壊せず、市民の生活を極力保護することで、戦後の関係改善が現実的になった。
8. まとめ
コリブコ氏は、ウクライナが今後「緩衝地帯」か「橋渡し地帯」かのいずれになるかは、ロシアとアメリカの交渉の結果に依存するとしている。ロシアとアメリカが共にウクライナを「橋渡し地帯」として位置付けることが、両国の利益に合致しており、このシナリオが最も現実的であると考えている。プーチンの戦略的な自制とアメリカの戦略的変更が、この方向性を後押ししている。ウクライナは、ロシアと西側諸国、特にアメリカの関係修復のための重要な役割を果たす可能性が高い。
【要点】
1.ウクライナの未来シナリオ
・「緩衝地帯(Buffer State)」:ウクライナはNATOに加盟せず、ロシアの支配下にも入らない、中立的な存在として機能。
・「橋渡し地帯(Bridge State)」:ウクライナはロシアと西側(特にアメリカ)の関係を調整する役割を担う。
2.オルバン首相の予測
・ウクライナは戦争後、ロシアとNATOの間にある緩衝地帯として機能する可能性が高い。
3.ロシアの目標と現実
・ロシアはウクライナの「非武装化」と「脱ナチ化」を目指しているが、これを実現するにはウクライナ政府の協力が不可欠。
・これらの目標は、ウクライナに協力的な政府が存在することで初めて達成可能。
4.アメリカの戦略的変化
・トランプの選挙勝利以降、アメリカはロシアとの関係改善を重視し、ウクライナをロシアに対する武器として利用するよりも、関係修復を優先するようになった。
・ロシアとのデタント(緊張緩和)を進めることで、中国に対する競争力を高める狙いがある。
5.ウクライナの「中道政府」の可能性:
・アメリカとロシアの交渉が進んだ場合、ウクライナに「中道的な政府」が成立する可能性がある。
・この政府は、ロシアの「非武装化」や「脱ナチ化」の目標を達成するために協力する。
6.ロシアとウクライナの貿易再開の難しさ
・ウクライナはEUとの協定があるため、ロシアとの貿易は2014年以前の水準には戻らない可能性が高い。
・それでも、関係の正常化は地域の安定に寄与する。
7.ロシアの戦争戦略と民間人への配慮:
・ロシアはウクライナとの戦争において民間人への被害を最小限に抑えるよう配慮しており、これが戦後の関係改善を現実的にしている。
8.ウクライナの将来とロシア・アメリカの利害:
・ウクライナは、ロシアとアメリカの「新たなデタント」の枠組みの中で、関係修復のための「橋渡し地帯」として機能する可能性が高い。
・ロシアとアメリカが共にウクライナをこの役割に位置づけることで、両国の利益が合致する。
【引用・参照・底本】
Will Ukraine’s Future Be As A “Buffer State” Or A “Bridge State”?
Andrew Korybko's Newsletter 2025.03.05
https://korybko.substack.com/p/will-ukraines-future-be-as-a-buffer?utm_source=post-email-title&publication_id=835783&post_id=158418515&utm_campaign=email-post-title&isFreemail=true&r=2gkj&triedRedirect=true&utm_medium=email