米国がイラン国内の核施設3カ所に対して空爆2025年06月23日 19:23

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【概要】

 2025年6月21日(現地時間)、米国がイラン国内の核施設3カ所に対して空爆を行ったことが発表された。これは現在進行中のイランとイスラエルの衝突に対して、米国が初めて公式に軍事介入したことを意味する。この行動に対して、国連のグテーレス事務総長は、すでに緊張が高まっている地域において「危険なエスカレーション」であり、「国際平和と安全への直接的な脅威」であると表明した。中国外交部も米国の攻撃を強く非難した。米国の行動は国連憲章および国際法の目的と原則に深刻に違反するものであり、中東の緊張をさらに高め、より大規模な危機を引き起こす可能性があるとされている。

 核施設への攻撃は極めて危険であり、その特殊な性質上、損傷が深刻な核漏れにつながる恐れがある。チェルノブイリや福島の原発事故の悲劇的な教訓が示す通り、核漏れの影響は単一の国に留まらず、近隣諸国や国際的な安全環境に深刻な影響を与える。

 米国は「バンカーバスター爆弾」を使用し、イスラエルが達成できなかったことを実現させたとされる。これにより、使用される兵器のレベルを意図的に引き上げ、イラン・イスラエル間の衝突を制御不能な状態に押しやったとされる。

 米国の空爆は国際安全保障秩序の基盤を揺るがすものである。国際原子力機関(IAEA)の保障措置下にある核施設を攻撃することで、米国は危険な先例を作ったと指摘されている。この行為は、国連安全保障理事会やIAEAの枠組みを迂回し、武力を用いて一方的にイラン核問題を「解決」しようとするものである。これは国連憲章と国際法の目的と原則に深刻に違反しており、長年にわたり多国間交渉を通じてイラン核問題に対処してきた中国や欧州連合など国際社会の原則的立場をも拒否する行為である。米国がイスラエルと「チームとして緊密に協力する」と誇示していることは、国際的な道義や多国間主義に反する性質を示しているとされる。

 イランにとって、この空爆は明白な挑発行為である。イランは「主権、利益及び国民を守るための全ての選択肢を留保する」と応じ、翌日には強力な「Kheibar Shekan(カイバー・シェカン)」ミサイルを初めてイスラエルに向けて発射したとされる。報道によると、イラン国会の国家安全保障委員会の議員イスマイル・コウサリは、国会がホルムズ海峡の閉鎖を承認したと述べた。最終的な決定はイラン最高国家安全保障会議が行う予定である。ホルムズ海峡は世界の石油とガス消費量の約5分の1が通過する重要な海上輸送の要衝であり、この航路が戦争により封鎖されれば、国際原油価格は急激に変動し、世界の海上輸送の安全および経済の安定性に深刻な影響を及ぼすことになる。

 米国軍の「直接的関与」は中東情勢を一層複雑化させ、不安定化させており、さらに多くの国々や無実の民間人をこの衝突に巻き込み、損失を被らせる結果となっている。AP通信はイランの核施設への空爆を「危険な決定」と報じ、ニューヨーク・タイムズも米国の対イラン軍事行動は「至る所にリスクをもたらす」と警告した。また、米国のイラン攻撃を受けて、イエメンのフーシ派が紅海での米国船舶への攻撃を再開すると発表した。中東地域はすでに宗派対立、代理戦争、外部干渉が絡む複雑な状況にあり、事実として米国の関与がイラン・イスラエル間の衝突を拡大させている。わずか1日で国際投資家はリスク資産を売却し、「第六次中東戦争」という言葉がメディアで急増し、地域の不安定化に対する国際社会の不安が高まった。

 中国は一貫して武力による威嚇と乱用に反対しており、政治的かつ外交的手段による危機解決を主張している。習近平国家主席は最近、ロシアのプーチン大統領との電話会談において、中東情勢に関する「四点提案」を示した。その内容は、①停戦と敵対行為の終了を最優先とすること、②民間人の安全確保を最重要とすること、③対話と交渉の開始が根本的な解決策であること、④国際社会の和平促進の努力が不可欠であること、である。この提案は中国の長期的かつ先見的な安全保障観を反映している。中東の歴史は繰り返し、外部の軍事介入が平和をもたらさないことを証明しており、地域の憎悪と苦痛を深めるのみであるとされる。武力による米国の強制の論理は平和に逆行するものであり、関係国、特にイスラエルには即時の停戦、民間人の安全確保、対話と交渉の開始を通じて、地域の平和と安定を回復することが望まれている。
 
【詳細】 

 1. 米国のイラン核施設空爆の発表と意義

 2025年6月21日(現地時間)、米国がイラン国内の核施設3カ所に対して空爆を実施したと正式に発表した。この行動は、イスラエルとイラン間で続いている一連の衝突の中で、米国が公式に軍事介入を行った初の事例であり、国際社会に大きな衝撃を与えたものである。

 この空爆により、これまでイスラエル単独では達成できなかったとされる作戦目標が、米国の使用した「バンカーバスター爆弾」によって実現されたと報じられている。バンカーバスターとは、地下深くの堅固な施設を破壊する能力を有する特殊兵器であり、その使用は戦争のエスカレーションを示す指標でもある。

 2. 国際社会の反応

 国連のグテーレス事務総長は、SNSを通じてこの米国の行動を「すでに緊張が極限状態にある地域での危険なエスカレーション」と表現し、「国際平和と安全への直接的な脅威」と警告した。

 中国外交部も迅速に声明を発表し、今回の攻撃を強く非難した。声明では、米国の行動が国連憲章および国際法の目的と原則に深刻に違反していると指摘し、これが中東情勢をさらに不安定化させると強調した。

 欧州連合を含む他の多くの国際的な当事者も、これまで多国間協議を通じて進められてきたイラン核問題の解決プロセスが一方的な武力行使によって踏みにじられたとの懸念を示した。

 3. 核施設攻撃の危険性

 核施設はその性質上、攻撃によって深刻な核漏れを引き起こす可能性がある。チェルノブイリや福島の原発事故の歴史的事例が示すように、放射性物質の漏洩は単一国家にとどまらず、近隣諸国や国際環境全体に深刻な影響を及ぼす。これにより広範な人道的被害や環境災害が発生するリスクが存在する。

 4. 国際安全保障秩序への影響

 今回の空爆は、国際原子力機関(IAEA)の保障措置下にある核施設を直接攻撃した点において、極めて重大な前例となった。この行為は、国際社会が核拡散防止と安全確保のために築き上げてきたIAEAの枠組みや国連安全保障理事会の権威を形骸化させる危険性がある。

 米国はこの行動をイスラエルとの「チーム」としての協調の一環と位置づけており、これにより多国間主義や国際道義に対する軽視が浮き彫りとなったと論じられている。

 5. イランの対応と地域の緊張激化

 イランはこの空爆を明白な挑発行為とみなし、「主権、国益、国民を守るための全ての選択肢を留保する」と公式に表明した。そして空爆の翌日、イランは「Kheibar Shekan(カイバー・シェカン)」と呼ばれる高威力ミサイルをイスラエルに向けて発射したと報じられている。

 さらに、イラン国会の国家安全保障委員会のメンバーであるイスマイル・コウサリ議員は、国会がホルムズ海峡の閉鎖を承認したと発言した。最終的な決定はイラン最高国家安全保障会議によって下される予定である。ホルムズ海峡は世界の原油と天然ガス輸送の約5分の1が通過する国際海上輸送の要衝であり、その封鎖は国際エネルギー市場に極めて深刻な影響を及ぼすとされる。

 6. 地域紛争の拡大と国際市場への影響

 米国の直接軍事介入は、既に複雑化している中東情勢をさらに不安定化させ、多くの無実の民間人を巻き込む結果となっている。AP通信はこれを「危険な決断」と評し、ニューヨーク・タイムズは「米国の対イラン軍事行動はあらゆる局面でリスクをもたらす」と警告した。

 また、イエメンのフーシ派は米国によるイラン攻撃を受け、紅海での米国船舶への攻撃を再開すると発表した。地域はすでに宗派対立や代理戦争、外部干渉が絡む複雑な状況にあり、今回の米国の行動はイラン・イスラエル間の衝突を地域全体に拡大させる引き金となっている。

 結果として、国際投資家はリスク資産を急速に売却し、メディアでは「第六次中東戦争」という表現が急増し、国際社会の不安感が一層高まった。

 7. 中国の立場と提案

 中国は一貫して武力の威嚇と行使の乱用に反対する立場を取っており、政治的・外交的手段による危機の解決を推進している。習近平国家主席はロシアのプーチン大統領との最近の電話会談で、中東情勢に関する「四点提案」を提示した。その内容は以下の通りである:

 ・まず停戦し、敵対行為を終了させることが最優先である。

 ・民間人の安全確保を最重要とすること。

 ・対話と交渉を通じて根本的解決を図ることが不可欠である。

 ・国際社会による和平推進の努力が必要不可欠である。

 この四点提案は、中国の長期的で先見的な安全保障観を示すものであり、中東地域の歴史が示す通り、外部の軍事介入が平和をもたらすことはなく、むしろ地域の憎悪とトラウマを深めるだけであると主張している。米国の武力行使による強制の論理は、平和に逆行するものであり、関係各国、特にイスラエルには即時の停戦と民間人の保護、対話と交渉を通じた平和と安定の回復が求められている。

【要点】 

 米国のイラン核施設空爆についての要点(箇条書き)

 ・米国は現地時間の土曜日にイラン国内の核施設3カ所を空爆したと発表した。

 ・これは現在のイラン・イスラエル間の紛争において、米国が初めて正式に軍事介入したことを意味する。

 ・国連のグテーレス事務総長はSNSで、この空爆を「地域の危険なエスカレーション」かつ「国際平和と安全への直接的脅威」と警告した。

 ・中国外交部も強く非難し、米国の行動が国連憲章と国際法の目的および原則に反するとした。

 ・核施設攻撃は極めて危険であり、損傷による放射能漏れが人道的災害と地域の安全への深刻な脅威となる可能性があると指摘した。

 ・チェルノブイリや福島の事故の例からも、核漏れの被害は一国にとどまらず、周辺国や世界全体に影響を及ぼすと警告している。

 ・米国は「バンカーバスター爆弾」を使用して、イスラエル単独では達成できなかった攻撃を実行したとされる。

 ・米国のこの行動は、IAEAの保障措置下にある核施設を攻撃した前例となり、国際安全保障秩序の基盤を揺るがしたとされる。

 ・国連安全保障理事会やIAEAの枠組みを無視し、武力でイラン核問題を一方的に「解決」しようとしたと批判している。

 ・米国がイスラエルと「チーム」として緊密に連携したことは、国際道義と多国間主義を軽視した証左とされる。

 ・イランは空爆を明白な挑発とみなし、主権と国益、防衛のため「全ての選択肢を留保する」と応じた。

 ・空爆の翌日、イランは「カイバー・シェカン」ミサイルをイスラエルへ発射したと報道された。

 ・イラン国会はホルムズ海峡の閉鎖を承認し、最終決定は最高国家安全保障会議に委ねられる見込みである。

 ・ホルムズ海峡は世界の原油・ガス消費量の約5分の1が通過する要衝であり、閉鎖されれば国際原油価格の大幅変動と世界経済への深刻な影響が予想される。

 ・米国の軍事介入で中東情勢はさらに複雑化・不安定化し、民間人を含む多くの無辜の人々が被害を受ける危険性が増した。

 ・AP通信は米国の空爆を「危険な決定」と呼び、ニューヨーク・タイムズは「リスクだらけ」と報じた。

 ・イエメンのフーシ派は米国の攻撃を受け、紅海での米国船舶への攻撃を再開すると発表した。

 ・地域は宗派対立、代理戦争、外部干渉が錯綜する状況であり、米国の行動は紛争の域外拡大を招いているとされる。

 ・空爆発表後、国際投資家はリスク資産を急速に売却し、メディアで「第六次中東戦争」という言葉が急増した。

 ・中国は一貫して武力の威嚇と乱用に反対し、政治・外交的手段での解決を提唱している。

 ・習近平国家主席はプーチン大統領との電話会談で中東問題に関する「四点提案」を示した。

 1.停戦と敵対行為の即時停止を最優先とすること

 2.民間人の安全確保を最重要とすること

 3.対話と交渉を根本的解決の手段とすること

 4.国際社会の和平推進努力が不可欠であること

 ・中国は歴史的教訓として、外部の軍事介入は平和をもたらさず、憎悪と傷を深めるだけであると強調した。

 ・米国の武力行使の論理は平和に逆行するものであり、関係国は即時停戦と民間人保護、対話による安定回復を実行すべきと主張している。
 
【桃源寸評】🌍

 米国・イスラエルの行動を厳しく断罪する

 1.核施設への武力行使は人類全体への背信行為である

 核施設は国際原子力機関(IAEA)の保障措置下にあり、その安全は国際社会共通の利益である。この施設を意図的に空爆することは、放射能漏れによる人道的・環境的災害を世界中にもたらす可能性を孕む暴挙である。チェルノブイリや福島の悲劇を想起すれば、その蛮行の危険性は自明である。

 2.国際法と国連憲章の根本原則を蹂躙した重大犯罪である

 武力行使は国連安保理の権限の下に厳格に制限されるべきである。今回の米国の単独空爆は、国際法を意図的に無視し、IAEAの検証メカニズムを無力化した暴挙である。これは法秩序の崩壊を招き、今後の国際安全保障を根底から破壊する前例である。

 3.イスラエルとの共犯構造が多国間協調を嘲笑した証左である

 米国が「イスラエルとチームとして」実行したと豪語することは、同盟関係を盾に一国の主権を踏みにじり、地域を戦火に巻き込む国際モラルの放棄である。イスラエル単独では困難だった攻撃を、米国の軍事力で代行する構図は、責任転嫁と恫喝外交の極致である。

 4.地域の民間人と世界経済を人質に取る非人道的戦略である

 攻撃により、イランは対抗措置としてホルムズ海峡封鎖の可能性に言及した。ここは世界の原油供給の約20%が通過する海上交通路である。これを危険に晒す行為は、世界経済を直接破壊する人質戦術であり、許されざる経済テロ行為である。

 5.空爆が新たな紛争の連鎖と無辜の犠牲者を生む構図を理解しない蛮勇である

 イエメンのフーシ派が即座に報復攻撃を宣言し、地域の火種が拡散している現実を見れば、米国・イスラエルの行動が地域安定を破壊し、報復の連鎖を加速していることは明白である。民間人の犠牲と経済的打撃の責任を全て背負うべきである。

 6.政治解決の可能性を自ら放棄し、力による一方的支配を選んだ愚行である

 イラン核問題は長年、欧州・中国・ロシアを含む多国間協議で解決を模索してきた。このプロセスを無視し、空爆による「解決」を強行したことは、協議と合意という国際的信頼を破壊し、国際秩序の根本理念を足蹴にする行為である。

 7.自国民も世界も危険に晒す無責任な国家犯罪である

 空爆発表後、世界の投資家がリスク資産を売り急ぎ、エネルギー市場は混乱した。米国・イスラエルは自国民の安全どころか、世界経済と安定を道連れにする巨大な不安定要因そのものである。

 総括

 米国とイスラエルが行った核施設空爆は、

 ・国際法と国連憲章を無視した破壊行為であり、

 ・核安全保障を損ない、

 ・地域を戦乱と報復の連鎖に引きずり込み、

 ・世界経済とエネルギー供給に破滅的影響を与える、
絶対に許されざる国家犯罪である。

 この行為は世界の法秩序を守る全ての国と市民が徹底して糾弾し、再発を許さぬために国際社会が一致して責任を追及すべきである。

【寸評 完】🌺

【引用・参照・底本】

US bombs have impacted foundation of global security order: Global Times editorial GT 2025.06.23
https://www.globaltimes.cn/page/202506/1336731.shtml

「2024年中国麻薬情勢報告」2025年06月23日 19:34

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【概要】

 2025年6月23日付の『Global Times』は、国際麻薬乱用・不正取引撲滅デーを前に、中国が発表した「2024年中国麻薬情勢報告」について伝えている。この報告によれば、中国国内の麻薬情勢は引き続き安定的に改善しており、特にフェンタニル類物質の顕著な乱用の証拠はないとされている。同日、中国国家禁毒委員会弁公室は記者会見を開き、ニタゼン類およびその他12種類の新たな向精神薬物を新たに規制薬物リストに追加したと発表した。

 ニタゼン類とは、フェンタニルよりも強力な合成オピオイドであり、違法使用されると極めて致死性が高いとされる。フェンタニル自体はモルヒネの約100倍の鎮痛作用を持つ合成オピオイド鎮痛薬で、医療現場では重度の疼痛治療に用いられるが、乱用されると死に至る危険が高い。

 2018年以降、米国ではフェンタニルを中心とする合成オピオイドにより数十万人が死亡していると米疾病対策センター(CDC)のデータが示している。2023年だけでも、米国では薬物過剰摂取で10万5000人以上が死亡し、そのうち約7万3000人が合成オピオイドによるもので、全体の約69%を占めた。ニタゼン類は米国ではフェンタニルほど一般的ではないものの、その強力さと致死性により関連事件や死亡例が増加傾向にあり、法執行機関や医療関係者の間で警戒が強まっている。

 米国政府は自国のフェンタニル危機の主な原因を国外供給網に求める傾向があるが、中国の報告はこれとは異なる視点を提示している。両国の麻薬取締りの効果に顕著な差があることは、深刻に考慮すべきであると指摘している。中国政府は麻薬取締りを公共の安全に直結する重大な健康・安全問題として扱っている。

 2019年に中国がフェンタニル類物質を全て非医療用途の規制麻薬及び向精神薬物の補充リストに加えることを決定した際、関連政府機関は直ちに行動を開始した。警察、税関、郵便システムが全国的に監視体制を強化し、法改正から実施までの全過程が短期間で完了したことは、高い意志と資源投入の証であるとされる。

 従来の麻薬取締りは、特定の有害化学物質を個別に特定して規制する「点」での管理が主流であった。これに対して、中国は類似の化学構造や薬理作用を持つ物質を一括で規制する「面」での管理、いわゆる「全面管理モデル」を導入した。

 この方式は「新種の麻薬が発見され次第規制する」という受動的モデルから脱却し、軽微な化学構造の改変による法の抜け穴を根本的に防ぐものである。同時に、これら物質の輸出管理も強化された。結果として、中国国内の薬物使用者数は7年連続で減少しており、新種麻薬の登場に対しても中国の機関はより精密かつ先見性のある取り締まりを実現している。

 この「全面管理モデル」は新たな向精神薬物という世界的課題に対して先見性と高い実行力を示すものであり、国際社会に対する「中国の解決策」かつ「中国の知恵」として評価できると述べている。この革新的かつ能動的なアプローチは、国際麻薬取締りにおいて重要な規制上の進展であるとされる。その鍵は高度な技術ではなく、実効性のある施策を実行する政治的意志にあるとしている。

 米国には制度的な課題が存在することは事実である。連邦制のため、州によって政策に一貫性がなく、ある州では大麻が合法化され、他の州では厳罰が科されるなど、全国的な調整が難しい側面がある。しかし、これを言い訳にすべきではないとも述べている。

米国が移民取り締まりで示す強力な実施能力を考えれば、麻薬対策にも同様の動員力を発揮できるはずであると指摘する。移民取り締まりのためには、24時間以内に数千人の法執行官を動員し、軍の支援を得て国境管理を強化し、大規模な臨時収容所を設置し、州や地方政府とも協調するなどの対応を行っている。この規模のリソース動員をフェンタニル対策に適用しない理由はないと主張する。

 2025年、米国は移民・国境管理に約340億ドルを投じる一方で、麻薬取締局(DEA)の予算は約30億ドルに過ぎない。この比較は多くを物語っているとし、米国政府が移民問題には莫大な資金と決意を注ぐ一方で、フェンタニル問題には十分な重みを置いていない現状を批判している。

 結局のところ、これは技術的な問題でも資金不足でも制度的問題でもなく、政治的意志の問題であると結論づけている。移民問題は票につながり政治的支持基盤を動員できるが、フェンタニル乱用によって毎年何万人もの米国人が死亡しても、十分な政治的重みを持たないため、抜本的な解決が進まないと分析している。

 最後に、米国政府が中国のように麻薬取締りを国民の生命に直結する国家安全保障の問題として本気で扱うか否かが問われている。もし口先だけで責任を他国に転嫁するだけであれば、この問題は永遠に解決されないと警鐘を鳴らしている。

 フェンタニル危機は毎年何万人もの米国人の命を奪う、いかなる外部の脅威よりも直接的かつ致命的な危険である。世界有数の裕福な国である米国が、麻薬の危害から自国民を守れない現状は、深い省察に値するという論調で締めくくられている。
 
【詳細】 

 1. 記事の発端と発表の背景

 2025年6月23日、『Global Times』は、中国が「2024年中国麻薬情勢報告」を発表したことを報じた。この発表は、6月26日の「国際麻薬乱用・不正取引撲滅デー」(国連が定めた国際デー)を控えて行われたものである。この日を前に、中国政府は国内外に向けて自国の麻薬取締りの現状と成果を示すことを狙ったとされる。

 2. 「2024年中国麻薬情勢報告」の主な内容

 報告書では、2024年を通じて中国国内の麻薬問題が引き続き安定的に改善していることが示されている。特に注目される点として、フェンタニル類物質に関しては、国内において有意な乱用の証拠が見つかっていないと明言している。この点は、米国の深刻なフェンタニル危機との対比において重要な論点である。

 3. ニタゼン類とフェンタニルの危険性

 同時に、中国国家禁毒委員会弁公室は記者会見を開き、新たにニタゼン類と呼ばれる新型の合成オピオイドを含む12種類の新しい向精神薬物を規制対象に加えたと発表した。

 ニタゼン類は、フェンタニルよりもさらに強力な合成オピオイドであり、違法に使用されると極めて危険であるとされる。

 フェンタニルは、モルヒネの約100倍の鎮痛作用を持つ医療用薬物であるが、乱用されると少量でも致死量に達するため、世界的に最も危険な麻薬の一つとされる。

 4. 米国におけるフェンタニル危機の現状

 報告書では、米国の現状として以下のデータが引用されている。

米疾病対策センター(CDC)によれば、2018年以降、米国では合成オピオイド、特にフェンタニルにより数十万人が死亡している。

 2023年だけで、薬物過剰摂取による死亡者は10万5000人を超え、そのうち約7万3000人(全体の約69%)が合成オピオイドによるものであった。

 ニタゼン類は現時点ではフェンタニルほど一般的ではないが、極めて高い致死性により、米国の法執行機関と医療従事者の間で警戒度が急速に高まっている。

 5. 中国と米国の麻薬対策モデルの比較

 米国がフェンタニル問題を主に「国外供給のせい」とする姿勢を批判し、中国と米国の麻薬対策の実効性の差を強調している。
中国は麻薬問題を公共の安全と国家安全保障に関わる重大事と位置付け、強力に対策を講じているとしている。具体的には:

 2019年、中国はフェンタニル類物質を包括的に規制対象に追加することを決定した。

 法改正から全国規模での実施まで、警察、税関、郵便システムが即座に連携し、監視体制を強化した。

 この一連の対応が短期間で完了したことは、高度な政策決定と実行能力の現れとされる。

 6. 「点」と「面」の管理モデル

 麻薬取締りの方法論として、記事では従来の「点」と中国の「面」を対比して説明している。

 「点」の管理モデル:特定の有害物質を一つ一つ特定し、規制リストに追加していく方式で、後追い型の対応となりがちである。

 「面」の管理モデル:中国が採用する方式で、化学構造や薬理作用が類似する物質群をまとめて規制する。この方式により、犯罪組織が化学構造をわずかに変えて法の抜け穴を利用する手口を根本的に封じることができる。

 この「全面管理モデル」により、新種麻薬が登場しても先手を打って対処できる仕組みが構築されているとされる。

 7. 輸出管理の強化と国内状況の改善

 中国は同時に、対象物質の輸出管理も強化していると述べている。その結果、麻薬使用者数は7年連続で減少しており、取り締まりはより精密かつ先見性のあるものになっていると強調されている。

 8. 国際社会に対する「中国モデル」の意義

 この「全面管理モデル」を国際社会にとっての「中国の解決策」かつ「中国の知恵」と位置付けている。このモデルは特別なハイテク技術によるものではなく、最も重要なのは実効性ある政策を実施するための政治的意志であるとする。

 9. 米国の制度的問題と優先順位の問題

 米国には連邦制による政策の不一致という制度的制約があることは認めている。州によっては大麻を合法化する一方で、他の州では厳罰を科すため、全国規模での一貫した麻薬対策は難しい。しかし、それは言い訳にはならないと批判している。

 さらに、米国が移民対策では大規模な資源と人員を短期間で動員できている点を挙げ、同様の規模の動員力を麻薬取締りにも適用すべきと主張している。

 10. 移民対策と麻薬対策の予算比較

 2025年の米国政府の予算を例に、以下の比較を提示している。

 移民および国境管理には約340億ドルを投入する一方で、

 麻薬取締局(DEA)の予算は約30億ドルにとどまる。

 この数字は、政府の優先順位が移民問題に偏っており、フェンタニル問題が十分に重視されていない証左であると述べている。

 11. 総括と提言

 最終的にこれは技術の問題でも資金不足でも制度的な問題でもなく、政治的意志の問題であると断じている。移民問題は政治的票田として扱われ、多額の予算と即応力が注がれる一方、フェンタニル問題は何万人もの命が奪われても、政治的重みが低いため根本的解決が進まないと指摘している。

 そして、米国政府が中国のように麻薬問題を国家安全保障と捉え、本気で取り組む意思があるかが問われていると結んでいる。ただ責任を他国に転嫁するだけでは問題は解決しないという警鐘を鳴らしている。

【要点】 

 発表の概要

 ・2025年6月23日、『Global Times』が報じた内容である。

 ・国連が定める「国際麻薬乱用・不正取引撲滅デー」(6月26日)を控え、中国政府が「2024年中国麻薬情勢報告」を発表した。

 ・同時に中国国家禁毒委員会弁公室が記者会見を開いた。

 主な報告内容

 ・2024年、中国国内の麻薬情勢は引き続き安定的に改善していると報告された。

 ・特に、フェンタニル類物質の重大な乱用の証拠は見つかっていないとされた。

 ・ニタゼン類を含む12種類の新しい向精神薬物を新たに規制対象に追加した。

 フェンタニルおよびニタゼン類の危険性

 ・フェンタニルはモルヒネの約100倍の鎮痛作用を持つ強力な合成オピオイドである。

 ・医療用途では重度の疼痛治療に使われるが、乱用されると極めて致死性が高い。

 ・ニタゼン類はフェンタニルを超える効力を持つ新型の合成オピオイドであり、違法使用はより危険とされる。

 米国におけるフェンタニル危機

 ・米疾病対策センター(CDC)によると、2018年以降、米国で合成オピオイドによる死亡者は数十万人にのぼる。

 ・2023年だけで薬物過剰摂取死者は約10万5000人、そのうち約7万3000人(全体の約69%)が合成オピオイドが原因である。

 ・ニタゼン類の流通例も増加傾向にあり、米国の法執行機関や医療従事者が高い警戒を示している。

 中国と米国の麻薬対策の比較

 ・米国政府はフェンタニル危機の原因を主に国外供給に求めている。

 ・一方で中国は国内での徹底した取締りにより有効に状況を改善していると主張している。

 ・中国では麻薬問題を公共の安全と国家安全保障の重要課題と位置付けている。

 中国の「全面管理モデル」

 ・中国は2019年にフェンタニル類物質を包括的に規制する追加措置を実施した。

 ・警察、税関、郵便など関連機関が迅速に監視体制を強化した。

 ・伝統的な「物質ごと」の個別規制(点の管理)に対し、類似構造や作用を持つ物質群をまとめて規制する「面の管理」を採用している。

 ・この方法により、犯罪組織が化学構造を少し変えて法規制を逃れる手口を封じることができる。

 輸出管理の強化と国内成果

 ・規制対象物質の輸出管理も強化している。

 ・麻薬使用者数は7年連続で減少している。

 ・新種麻薬への対処もより精密かつ先見的に進められている。

 国際社会への「中国モデル」の意義

 ・中国の全面管理モデルは国際麻薬取締りに対する「中国の解決策」「中国の知恵」として位置付けられている。

 ・特殊技術ではなく、最も重要なのは強い政治的意志であると強調されている。

 米国の制度的課題と優先順位の問題

 ・米国には連邦制ゆえの政策不一致(州ごとに大麻の合法化など規制が異なる)という課題がある。

 ・しかし、この制度的制約を言い訳にすべきではないと指摘している。

 移民対策との比較

 ・米国政府は移民対策では短期間で大量の人員・資源を動員し、軍を投入し、仮設収容所を建設するなどの強力な実施能力を示している。

 ・しかし麻薬対策には同様の規模の資源を投入していない。

 ・2025年、移民・国境管理予算は約340億ドル、麻薬取締局(DEA)の予算は約30億ドルに過ぎない。

 総括

 ・米国がフェンタニル問題を国家安全保障として真剣に取り組む意志があるかが問われている。

 ・他国に責任を転嫁するだけでは根本解決にはならないと警告している。

 ・フェンタニル危機は外部の脅威よりも直接的かつ致命的な国民の命の脅威であり、これを守れないことは米国として深く反省すべきだと締めくくっている。
 
【桃源寸評】🌍

 フェンタニル問題の核心

 フェンタニルは医療用に開発された極めて強力な合成オピオイドであり、合法流通と違法流通が共存する構造を持つ。合法の医療用途では強力な鎮痛剤として末期癌患者などに用いられるが、違法市場では微量でも大量死を引き起こすため「最も危険な薬物」として恐れられている。

 米国は世界最大のフェンタニル乱用国であり、ここ10年以上、処方薬の過剰供与とオピオイド系鎮痛剤依存の蔓延が問題の根幹を形成してきた。フェンタニルはこの問題の延長線上で拡散した側面が強く、需要が国内に自生しているのである。

 米国政府の公式説明と現実

 米国政府は、自国民の大量死を招いているこの危機をしばしば「国外供給ルートの責任」として説明している。

 中国やメキシコの密造組織を非難し、これを国際問題化することで、「供給さえ止めれば危機は収束する」という単純化された物語を国民に提示している。

 しかし現実には、米国内での需要削減や中毒者の治療・再犯防止に対する投資は不足しており、処方薬規制の抜本的見直しや過去の製薬会社の責任追及すら進展が鈍い。要するに、問題の温床は自国内にあるにもかかわらず、政府はその構造的改革を政治的に回避し、責任を外部要因に転嫁しているのである。

 強力な執行能力の選択的運用

 米国は本来、危機に際して国家資源を一気に動員する能力を持つ国である。
例えば移民対策では、国境警備隊を増派し、壁を築き、即座に強制送還を行い、場合によっては軍を動員するほどの徹底ぶりを見せている。

 しかしフェンタニル危機に対しては、これと同等の執行力を発揮した形跡はない。

 むしろ取締機関の予算は移民対策に比して極端に小さく、法執行や予防教育、治療インフラは慢性的に不足している。

 つまり、政治的に「票につながる」課題には全力を注ぎ、「票につながらないが命を救うべき課題」には十分な資源を割かない選択をしているのである。

 国民への政治的欺瞞

 米国政府は、「国外が悪い」という物語を繰り返すことで、自国の制度的失敗や企業責任の不問を覆い隠している。

 本来であれば、処方薬の過剰供与を規制する法改正、製薬企業への高額賠償請求、乱用者への治療費無償化、刑事罰より治療を重視する司法改革など、国内に打つべき手は数多い。

 しかし、これらは既得権益や保守的有権者の反発を招きやすく、政争の具にされやすい。

 結果として、国民の怒りは「外国の麻薬供給者」に向けられ、根本原因には届かない。

 この構造が続く限り、フェンタニル危機は終わるどころか、より強力な類似物質の氾濫を招くだけである。

 総括

 フェンタニル問題は、需要の抑制と構造的依存の治療が最重要であるにもかかわらず、米国は供給源非難により問題を外に押し付け、国民に「責任は自国にない」という幻想を植え付けている。

 この無責任な構図が改められない限り、いかに国境を封鎖し、供給網を叩いても、国内で新たな乱用物質が生まれ、同じ悲劇が繰り返されるのである。

 政治的パフォーマンスと外交非難で命を守ることはできないという現実を、米国は自国民に正直に伝えるべきである。

【寸評 完】🌺

【引用・参照・底本】

China’s drug control efforts, achievements send wake-up call to Washington GT 2025.06.23
https://www.globaltimes.cn/page/202506/1336730.shtml

欧州とASEAN間の貿易経路の多様化2025年06月23日 20:28

Microsoft Designerで作成
【概要】

 双方向ASEANエクスプレスによるユーラシア横断経済連携の強化

 2025年6月21日土曜日、ドイツのデュースブルクから、母子用品、化粧品、医療品を積んだ貨物列車が出発した。これはASEANエクスプレスサービスの復路の開始を意味する。この出発は、欧州とアジアを結ぶ新たな貿易回廊の双方向運行の始まりであり、単なる物流問題にとどまらない。この進展は、ユーラシア大陸全体の物流ネットワークと連結性の著しい進歩を明確にし、国際的なサプライチェーンの安定に新たな勢いをもたらすと同時に、大陸間のより深い経済統合を促進する。

 欧州とASEAN間の貿易経路の多様化

 長らく欧州とASEAN間の貿易は、天候や地政学的緊張による不確実性の影響を受けやすい海上輸送に主に依存してきた。これらの要因は、タイムリーで安定した輸送の確保を複雑にする可能性があった。しかし、中国・欧州貨物列車サービスを延長したASEANエクスプレスの導入は、中国南西部の重慶を経由して、欧州とアジアの間に新たな双方向貿易接続を確立すると期待されている。

 陸上輸送チャネルの重要性

 この陸上輸送チャネルは、欧州の確立された製造拠点、中国の広大な生産・消費市場、そしてASEANの活気ある新興経済国を効果的に結びつけることができる。その重要性は、単なるインフラを超えており、連結性の改善が経済的相乗効果を育む新たなグローバル貿易ネットワークを代表している。

 物流の適時性向上と市場対応能力の強化

 デュースブルクを出発するASEANエクスプレスは、19日以内にASEAN諸国に到着すると予想されており、物流の適時性が大幅に向上する。電子製品や高級消費財などの時間制約のある商品については、これにより市場対応能力が大幅に向上する。さらに重要なのは、貿易の流れに多様な経路選択肢を提供し、企業が自社のニーズに基づいて輸送計画を柔軟に手配できるようにすることで、グローバルサプライチェーンのレジリエンスとリスク耐性を高める点である。この包括的な連結性は、アジアと欧州間の経済貿易交流に確固たる輸送保証を確立し、ユーラシア大陸全体での経済の深い統合に好ましい条件を作り出す。  

 双方向運行がもたらす広範な意義と模範的役割

 現在の世界経済が直面する多くの不確実性の中で、ASEANエクスプレスの双方向運行は深い意義を持つ。物流ネットワークを最適化し、輸送効率を高め、貿易コストを削減することで、ASEANエクスプレスは各国企業にとってより公平で効率的な市場競争環境を創出する。この革新的な物流モデルは、他の地域にも貴重な経験を提供し、より多くの国や地域が協力強化と資源配分最適化を通じて共通の発展を達成するきっかけとなる。

 「一帯一路」イニシアティブの成功例としてのASEANエクスプレス

 さらに、ASEANエクスプレスの双方向運行は、「一帯一路」イニシアティブの下での国際協力のもう一つの成功例であり、その包摂性と開放性を改めて実証した。これは、グローバル経済協力における中国の積極的な役割を強調するだけでなく、より相互接続された繁栄する世界を育むというイニシアティブの大きなコミットメントを反映している。

 重慶の戦略的役割

 加えて、重慶は欧州の先進経済圏とASEANの新興市場を結ぶ戦略的な結節点として、この取り組みにおいて極めて重要な役割を果たす。その独自の地理的位置、十分に発達した輸送インフラ、そして強力な物流ハブ能力により、重慶はASEANエクスプレスと中国・欧州鉄道エクスプレスに不可欠な結節点となっている。国際市場へのゲートウェイとして機能することで、重慶は南西部地域および全国の企業に国際市場への新たな窓を開くと同時に、内陸企業の国際貿易競争へのより直接的な参加を可能にする効率的で便利な国際物流プラットフォームを提供する。

 これにより、内陸都市は貨物列車が提供する物流上の利点を活用して、輸出志向型経済を発展させ、産業のアップグレードを促進し、革新的な発展を育むことができる。それらは互いの協力によって資源共有と補完的優位性を達成し、地域経済の協調的発展を共同で促進し、地域および世界経済の持続可能な発展により貢献する。
 
【詳細】 

 双方向ASEANエクスプレス:ユーラシア経済連携の新たな道筋

 2025年6月21日、ドイツのデュースブルクから、乳児用品、化粧品、医療品を満載した貨物列車がアジアへ出発した。これは、ASEANエクスプレスサービスの復路運行の開始を意味し、欧州とアジアを結ぶ新たな貿易ルートが双方向に機能し始めたことを示す。単なる物流の進歩ではなく、ユーラシア大陸全体の物流ネットワークと接続性を飛躍的に向上させ、国際サプライチェーンの安定に貢献し、大陸間の経済統合を深化させる重要な一歩となる。

 従来の海上輸送からの転換と陸路の優位性

 これまで、欧州とASEAN間の貿易は主に海上輸送に依存していたが、これは天候や地政学的な要因によって不安定になりがちであった。しかし、この新たなASEANエクスプレスは、既存の中国・欧州貨物列車サービスを拡張したものであり、中国南西部の重慶を経由することで、欧州とアジアの間に新しい双方向の陸上貿易ルートを確立する。

 この陸上輸送路は、欧州の確立された製造拠点、中国の広大な生産・消費市場、そしてASEANの活気ある新興経済圏を効果的に結びつける。これは単なるインフラの整備にとどまらず、接続性の向上を通じて経済的な相乗効果を生み出す、新しいグローバル貿易ネットワークを形成するものである。

 物流の迅速化とサプライチェーンの強化

 デュースブルクを出発したASEANエクスプレスは、19日でASEAN諸国に到着する見込みであり、従来の海上輸送と比較して物流の適時性が大幅に向上する。これにより、電子製品や高級消費財といった時間的制約の大きい商品の市場投入能力が大きく高まる。

 さらに重要なのは、企業が自社のニーズに応じて輸送計画を柔軟に調整できるよう、多様なルート選択肢を提供することで、グローバルサプライチェーンの回復力とリスク耐性を高める点である。この包括的な接続性は、アジアと欧州間の経済貿易交流に確かな輸送保証をもたらし、ユーラシア大陸全体の経済の深い統合に有利な条件を作り出す。

 グローバル経済への貢献と「一帯一路」の成功

 世界経済が多くの不確実性に直面する中で、ASEANエクスプレスの双方向運行は極めて重要な意味を持つ。物流ネットワークを最適化し、輸送効率を高め、貿易コストを削減することで、ASEANエクスプレスは各国の企業にとってより公平で効率的な市場競争環境を創出する。この革新的な物流モデルは、他地域にも貴重な経験を提供し、より多くの国や地域が協力強化と資源配分最適化を通じて共通の発展を達成するきっかけとなる。

 また、ASEANエクスプレスの双方向運行は、「一帯一路」イニシアティブにおける国際協力のさらなる成功例であり、その包括性と開放性を改めて示している。これは、グローバル経済協力における中国の積極的な役割を強調するだけでなく、より相互に連結され、繁栄した世界を育むというこのイニシアティブの強いコミットメントを反映している。

 重慶:ユーラシアをつなぐ戦略的ハブ

 この取り組みにおいて、中国の重慶は欧州の先進経済圏とASEANの新興市場を結ぶ戦略的な要衝として、極めて重要な役割を果たします。重慶は、その独特の地理的位置、発達した輸送インフラ、そして強力な物流ハブとしての能力により、ASEANエクスプレスおよび中国・欧州鉄道エクスプレスにとって不可欠な拠点となっている。

 重慶は国際市場への玄関口として機能することで、中国南西部および全国の企業が国際市場へアクセスする新たな窓を開くとともに、内陸企業がより直接的にグローバル貿易競争に参加できるよう、効率的で便利な国際物流プラットフォームを提供する。

 したがって、内陸都市は貨物列車が提供する物流の利点を活用して、輸出志向型経済を発展させ、産業の高度化を促進し、革新的な発展を育むことができる。互いの協力によって資源を共有し、相補的な利点を活かすことで、地域経済の協調的発展を共同で推進し、地域および世界経済の持続可能な発展に貢献することができる。

【要点】 

 1.サプライチェーンの強化と多様化

 ・従来の海上輸送に代わる、より迅速で安定した陸上輸送ルートを提供。

 ・天候や地政学的な不確実性による影響を受けにくい。

 ・企業が輸送計画を柔軟に選択できるようになり、グローバルサプライチェーンのレジリエンス(回復力)とリスク耐性が向上。

 2.物流の効率化と市場対応能力の向上

 ・ドイツからASEAN諸国まで約19日という大幅な輸送時間の短縮を実現。

 ・電子製品や高級消費財などの時間制約のある商品の市場投入が迅速化。

 ・企業は市場の変化に素早く対応できるようになる。

 3.経済統合の深化

 ・欧州の製造拠点、中国の生産・消費市場、ASEANの新興経済圏を直接的に連結。

 ・地域間の貿易障壁を実質的に低減し、経済活動の活発化を促進。

 ・ユーラシア大陸全体の経済連携を強化し、より深い統合を促す。

 4.貿易コストの削減と市場競争の促進

 ・物流ネットワークの最適化と輸送効率の向上により、貿易コストが削減される可能性。

 ・企業はより効率的な物流を活用でき、各国企業間の公平で効率的な市場競争環境が創出される。

 5.「一帯一路」イニシアティブの成功例

 ・中国が提唱する「一帯一路」イニシアティブの下での国際協力の具体的な成果。

 ・イニシアティブが掲げる「包摂性」と「開放性」を実証。

 ・中国がグローバル経済協力において積極的な役割を果たす姿勢を示す。

 6.重慶の戦略的ハブとしての役割

 ・欧州とASEANを結ぶ戦略的な結節点として、重慶が物流の中心地となる。

 ・地理的優位性、発達したインフラ、強力な物流能力により、ASEANエクスプレスと中国・欧州鉄道エクスプレスの不可欠な拠点に。

 ・中国南西部および全国の内陸企業が国際市場へアクセスする新たな窓口となり、グローバル貿易への参加を促進。

 7.地域経済の発展と産業の高度化

 ・内陸都市が貨物列車による物流の利点を活用し、輸出志向型経済を発展。

 ・産業のアップグレードや革新的な発展を促進する機会を創出。

 ・地域間の資源共有と補完関係を通じて、地域経済の協調的発展と持続可能な成長に貢献。
 
【桃源寸評】🌍

 双方向ASEANエクスプレスがユーラシア大陸の経済連携にもたらす影響予測

 双方向ASEANエクスプレスは、ユーラシア大陸全体の経済連携に多岐にわたる重要な影響をもたらすと予想される。

 1.サプライチェーンの強靭化と多様化

 ・従来の海上輸送に大きく依存していた貿易ルートに、陸路という新たな選択肢を提供することで、サプライチェーン全体のレジリエンス(回復力9が向上する。海上輸送の遅延要因(悪天候、港湾混雑、地政学的リスクなど)から受ける影響を緩和できる。

 ・特定の輸送手段への過度な集中を避け、リスク分散が可能になる。

 2.貿易量の増加と経済成長の促進

 ・輸送時間の短縮と信頼性の向上により、時間制約のある高付加価値商品(電子機器、医薬品、生鮮品、高級消費財など)の貿易が活発化すると予想される。

 ・輸送コストの削減(特にリードタイム短縮による在庫コスト減など)
は、企業の貿易活動を刺激し、全体の貿易量を増加させる可能性がある。

 ・効率的な物流ネットワークは、欧州、中国、ASEANという主要経済圏間の経済活動を活性化させ、それぞれの地域のGDP成長に貢献するだろう。

 3.新たな産業クラスターと投資機会の創出

 ・重慶のような主要なハブ都市や、沿線に位置する都市では、物流、倉庫、通関、加工などの関連産業が発展し、新たな雇用と投資機会が生まれる可能性がある。

 ・輸送コストと時間の優位性を活かし、企業が生産拠点や流通拠点を沿線地域にシフトさせる動きも出てくるかもしれない。

 4.地域の発展格差の是正と内陸部の活性化

 ・特に中国の内陸部や、ASEANの内陸国(ラオスなど)は、従来の沿岸部に比べて国際貿易へのアクセスが限られていた。この陸路はこれらの内陸地域に直接的な国際物流ルートを提供し、輸出志向型経済の発展を促す。

 ・地域間の経済格差の是正に寄与し、より均衡の取れたユーラシア大陸全体の発展を促進する可能性がある。

 5.デジタル化と貿易円滑化の進展

 ・効率的な鉄道輸送を実現するためには、通関手続きの簡素化、デジタルプラットフォームの導入、情報共有の強化など、貿易円滑化に向けた取り組みが加速されるだろう。

 ・これにより、貿易の透明性が向上し、企業が国際取引を行う上での障壁がさらに低減される。

 6.多国間協力と地政学的な影響

 ・「一帯一路」イニシアティブの下での国際協力の成功例として、さらなるインフラ連結プロジェクトや貿易協定の推進に弾みをつける可能性がある。

 ・ユーラシア大陸全体の経済的な相互依存関係が深まることで、関係国間の協力関係が強化される一方で、特定のルートやハブへの集中が新たな地政学的課題を生む可能性も考えられる。

 これらの影響は相互に関連し、ユーラシア大陸の経済地図を再形成し、新たな貿易・投資パターンを確立する可能性を秘めている。

【寸評 完】🌺

【引用・参照・底本】

GT Voice: Two-way ASEAN Express boosts economic ties across Eurasia GT 2025.06.23
https://www.globaltimes.cn/page/202506/1336710.shtml

中国人民抗日戦争および世界反ファシズム戦争勝利80周年の記念計画2025年06月23日 20:36

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【概要】

 中国国務院新聞弁公室は、火曜日午前10時に記者会見を開催し、中国人民抗日戦争および世界反ファシズム戦争勝利80周年を記念する計画を発表する予定である。

 中国共産党中央宣伝部のHu Heping常務副部長が、記念活動の具体的な手配について説明し、他の関係者と共に記者の質問に答える予定である。
 
【詳細】 

 中国国務院新聞弁公室は、2025年6月24日(火曜日)午前10時に記者会見を行い、中国人民抗日戦争および世界反ファシズム戦争勝利80周年を記念するための具体的な計画を発表する予定である。

 この記者会見では、中国共産党中央宣伝部のHu Heping常務副部長が登壇し、今年度の記念事業や関連行事の全体的な方針、具体的な催しの内容、国内外に向けた発信の趣旨などについて詳細に説明を行うとされている。加えて、同席する関係部門の担当者と共に、記者からの質疑に応じる予定である。

 本記者会見の主旨は、中国人民抗日戦争及び世界反ファシズム戦争の勝利という歴史的意義を広く国内外に再確認させ、記念活動を通じて歴史を記憶し、平和を重んじる姿勢を示すことにあるとされる。ただし、具体的な行事の規模、開催地、参加者の詳細などは、記者会見の場で正式に発表される予定である。

 なお、本件に関する追加情報や関連発表については、国務院新聞弁公室から随時公表される見通しである。

【要点】 

 ・中国国務院新聞弁公室は2025年6月24日午前10時に記者会見を開催する。

 ・会見の目的は、中国人民抗日戦争および世界反ファシズム戦争勝利80周年の記念計画を発表することである。

 ・中国共産党中央宣伝部のHu Heping常務副部長が記念事業の内容や方針について説明を行う。

 ・Hu Heping副部長は他の関係者と共に記者の質問に答える予定である。

 ・記念活動は歴史の意義を国内外に再確認させ、平和の重要性を示すことを目的としている。

 ・記念行事の具体的な規模や場所、参加者の詳細は記者会見で正式に発表される。

 ・追加情報や関連発表は国務院新聞弁公室から随時公表される見込みである。
 
【桃源寸評】🌍

 歴史を忘却することは、根無し草の如しである。すなわち、過去の出来事や教訓を忘れてしまえば、個人や社会は自らの根幹を失い、方向性を見失うことになる。歴史は単なる過去の記録にとどまらず、現在と未来を形作る基盤であり、民族や国家のアイデンティティの源泉である。したがって、歴史を正しく記憶し、伝承することは、社会の安定や発展に不可欠である。

 また、侵略側も同様の機会を持つべきである。過去の過ちや侵略行為を正面から受け止め、反省し、記憶する場を設けることは、歴史認識の共有と相互理解の第一歩となる。侵略側が自らの歴史を隠蔽や美化せずに公に語ることで、被害者側との対話や和解が可能となり、歴史の教訓をもとに平和の礎を築くことができる。したがって、歴史の忘却を防ぐだけでなく、両者が共に記憶と向き合うことによって、持続的な平和と共存の道が開かれるのである。

【寸評 完】🌺

【引用・参照・底本】

GT Voice: Two-way ASEAN Express boosts economic ties across Eurasia GT 2025.06.23
https://www.globaltimes.cn/page/202506/1336710.shtml

在イラン中国国民:大部分が無事避難完了2025年06月23日 22:15

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【概要】

 在イラン中国国民の大部分が無事避難完了

 Global Times紙が6月23日に報じたところによると、在イラン中国大使館は日曜日夜、新華社通信に対し、土曜日までに在イラン中国国民の大部分が安全に避難を完了し、残りの少数は危険度の高い地域を避けていると発表した。  

 大使館は、イスラエルとイランの紛争勃発以来、避難支援のため、中国外交部およびトルコ、アルメニア、アゼルバイジャン、トルクメニスタン、イラクを含む隣国の大使館と緊密に連絡・協力してきたと述べた。

 新華社通信の報道によると、在イラン中国大使館のFu Lihua公使は、大使館が継続的に安全勧告と自己防衛情報を発出し、中国国民および中国企業に積極的に連絡を取り、リスク回避の指導を提供し、関係イラン当局と緊密な連絡を維持して安全保護と通関手続きの便宜を図ってきたと述べた。

 Fu公使によると、大使館はテヘランおよび周辺地域から陸路国境検問所を経由して中国国民を輸送する車両を手配した。大使館職員は昼夜を問わず援助要請に対応し、人員の数を評価し、中国国民との連絡を維持し、避難経路の案内を提供し、イランとトルクメニスタンの間のバジギラン国境検問所に職員を派遣して通関手続きを支援したという。

 Fu公使は、状況が急速に悪化したため、イランにいる中国国民の避難希望が強まったと述べた。大使館は迅速に合計17台のバスを4つのグループに分けて手配し、陸路国境検問所を経由して中国国民を避難させ、出国者が集中するイランとアゼルバイジャンの間のアスタラ国境検問所に作業グループを設置した。  

 新華社通信の報道によると、トルクメニスタンを出発し、イランから避難した中国国民119人を乗せた2番目の臨時便が、日曜日朝に北京首都国際空港に到着した。  
 
【詳細】 

 Global Times紙が6月23日に報じたところによると、在イラン中国大使館は日曜日夜、新華社通信に対し、土曜日までに在イラン中国国民の大部分が安全に避難を完了し、残りの少数は危険度の高い地域を避けていると発表した。

 大使館は、イスラエルとイランの紛争勃発以来、避難支援のため、中国外交部およびトルコ、アルメニア、アゼルバイジャン、トルクメニスタン、イラクを含む隣国の大使館と緊密に連絡・協力してきたと述べた。

 新華社通信の報道によると、在イラン中国大使館のFu Lihua公使は、大使館が継続的に安全勧告と自己防衛情報を発出し、中国国民および中国企業に積極的に連絡を取り、リスク回避の指導を提供し、関係イラン当局と緊密な連絡を維持して安全保護と通関手続きの便宜を図ってきたと述べた。

 Fu公使によると、大使館はテヘランおよび周辺地域から陸路国境検問所を経由して中国国民を輸送する車両を手配した。大使館職員は昼夜を問わず援助要請に対応し、人員の数を評価し、中国国民との連絡を維持し、避難経路の案内を提供し、イランとトルクメニスタンの間のバジギラン国境検問所に職員を派遣して通関手続きを支援したという。

 Fu公使は、状況が急速に悪化したため、イランにいる中国国民の避難希望が強まったと述べた。大使館は迅速に合計17台のバスを4つのグループに分けて手配し、陸路国境検問所を経由して中国国民を避難させ、出国者が集中するイランとアゼルバイジャンの間のアスタラ国境検問所に作業グループを設置した。

 新華社通信の報道によると、トルクメニスタンを出発し、イランから避難した中国国民119人を乗せた2番目の臨時便が、日曜日朝に北京首都国際空港に到着した。

【要点】 
 
 避難状況

 ・6月22日(土)時点で、在イラン中国国民の大部分が無事に避難を完了した。

 ・残りの少数は、危険度の高い地域を避けている。

 大使館の対応

 ・イスラエルとイランの紛争発生以降、中国外交部および周辺国の大使館(トルコ、アルメニア、アゼルバイジャン、トルクメニスタン、イラク)と緊密に連携し、避難を支援してきた。

 ・安全勧告と自己防衛情報を継続的に発出し、中国国民と中国企業にリスク回避の指導を行った。

 ・イラン当局と密接に連絡を取り、安全保護と通関手続きの便宜を図った。

 避難支援の詳細

 ・テヘランおよび周辺地域からの中国国民輸送のため、陸路国境検問所への車両を手配した。

 ・大使館職員は24時間体制で、援助要請への対応、人員数の把握、中国国民との連絡維持、避難経路の案内を行った。

 ・イランとトルクメニスタンの国境にあるバジギラン検問所へ職員を派遣し、通関手続きを支援した。

 ・状況悪化に伴い避難希望者が増加したため、合計17台のバスを4つのグループに分けて手配し、陸路で避難させた。

 ・イランとアゼルバイジャンの国境にあるアスタラ検問所には作業グループを設置し、出国者の対応にあたった。

 帰国便

 ・トルクメニスタンを出発した2番目の臨時便が、119人のイラン避難中国国民を乗せて、6月23日(日)の朝に北京首都国際空港に到着した。
 
【桃源寸評】🌍

 常習化した米国の宣戦布告無き戦争は沙汰の外、狂気の振る舞いである。イスラエルの無法振りを制止するどころか、共に戦争に突入したのだ。

 米国の無謀な「宣戦布告無き戦争」とイスラエルとの共犯関係を厳しく論じる。

 米国の度重なる宣戦布告無き戦争は、国際法の根本を無視した、まさに沙汰の外の狂気の振る舞いである。これは単なる逸脱ではなく、国際秩序を根底から揺るがす常習的な無法行為に他ならない。主権国家に対する武力行使は、国連憲章の厳格な制約を受けるべきであり、宣戦布告という最低限の formality すら踏まないことは、自らを「法の支配」の外に置く行為に等しい。この無謀な行動様式は、米国の外交政策が理性に基づかず、恣意的な力に依存していることの明確な表れである。

 そして今回、米国はイスラエルの無法な振る舞いを制止するどころか、共に戦争に突入した。これは、国際社会の安定を担うべき大国が、自らの影響力を行使して紛争を拡大させたことを意味する。イスラエルの行動が国際法に照らして正当性を欠く場面が多々ある中で、米国がその暴走を黙認するどころか、軍事的・政治的に支援し、結果として共犯関係に陥っていることは、看過できない事態である。

 この一連の行動は、米国が自国の利益のためならば、いかなる国際規範をも踏みにじる用意があるという冷酷なメッセージを世界に発している。このような姿勢は、国際社会における信頼を著しく損ない、不安定と不確実性を増大させるのみである。宣戦布告なき戦争の常態化と、無法国家との共犯関係は、米国の外交政策が完全に理性を失い、危険な道へと突き進んでいることを示す、決定的な証拠である。

【寸評 完】🌺

【引用・参照・底本】

Most Chinese nationals in Iran have been safely evacuated: Chinese embassy GT 2025.06.23
https://www.globaltimes.cn/page/202506/1336737.shtml