【概要】

　主にアメリカの新たな関税政策に対する中国の立場と、それに呼応する中国の「ハイレベルの対外開放」政策を論じたものである。

　アメリカは2025年4月3日(水)、国際貿易において自国が不利益を被っているとの主張のもと、「互恵性(reciprocity)」を名目に、全ての貿易相手国に対して関税を引き上げる措置を発表した。これには中国も含まれており、世界に大きな衝撃を与えた。これを受けて、中国商務部はアメリカに対し、こうした一方的な関税措置の即時撤廃を求め、貿易相手との平等な対話を通じて問題を適切に解決するよう促した。

　中国はこのような一方主義や保護主義の新たな波に直面しつつも、自国の正当な権益を守るために、的確な対抗措置を講じる構えを見せている。同時に、中国は「ハイレベルの対外開放」を揺るぎなく推進し、世界と機会を分かち合い、互恵・共栄を実現しようとしている。この姿勢は、外部からの圧力に対処するための合理的な選択であるとともに、百年に一度の変動の中でも安定を保つ自信の表れでもある。

　アメリカの今回の関税措置は一見強硬に見えるが、実際には自滅的なジレンマに陥る可能性が高いと指摘されている。ムーディーズ・アナリティクスのチーフエコノミスト、マーク・ザンディ氏は、これらの関税が3〜5か月続けばアメリカ経済をリセッション(景気後退)に追い込む可能性があると警告した。アメリカの中でも、「関税政策はアメリカを孤立させる」との懸念が強く、経済法則に反する行為は失敗する運命にあるという認識が広まっている。これは、国際社会全体、さらにはアメリカ国内においても、開放と協力を求める声が強いことを示している。

　中国は一貫して開かれた世界経済の擁護者であり続けている。改革開放以来、中国は世界　経済への深い統合を通じて急速な発展を遂げたのみならず、世界にも広大な市場と高品質な製品を提供してきた。アメリカのコンサルティング企業ケアニー社が発表した2024年の外国直接投資(FDI)信頼度指数によれば、中国は前年の第7位から第3位に上昇し、新興市場の中では第1位となっている。実際、2025年には欧州、アジア、南米、アメリカの企業家が中国に積極的に訪れ、協力を模索している。

　中国の対外開放は、外部圧力に対する一時的な対応ではなく、国家の長期的な発展戦略である。このため、一時的な外的動揺によって方針が変更されることはない。現在、アメリカに対する対抗措置は発表されているが、中国の全体的な関税水準は7.3％にとどまり、WTO加盟時に約束した9.8％を下回っている。また、市場アクセスの緩和、知的財産権保護の強化、法治に基づくビジネス環境の整備なども継続的に進められている。これにより、世界の多国籍企業は、中国の14億人超の消費市場にアクセスするのみならず、中国の産業チェーンの高度化にも深く関与できる状況が整っている。

　加えて、中国の開放は特定の市場に依存するものではなく、全世界との互恵的な関与に基づいている。たとえば、地域的な包括的経済連携協定(RCEP)の高品質な実施、「一帯一路」構想の高度な標準での推進、自由貿易試験区・自由貿易港の加速的な展開がその証左である。ASEANが4年連続で中国の最大の貿易相手となっていること、過去10年間で8万本を超える中欧班列(中国-欧州間鉄道)が運行されたこと、ジブチにアフリカ初の魯班工坊(技術研修施設)が設立されたこと、上海協力機構加盟国との貿易総額が8兆ドルを超えたことなどは、中国の高水準の対外開放が世界に高品質な発展機会を提供している事実を示している。

　経済グローバル化は一時的に困難に直面することがあっても、開放と協力の潮流は止まらない。中国は今後も、具体的な行動を通じて開放へのコミットメントを実行し、全世界の国々と手を携えて、より包括的で公平な国際経済秩序の構築に努めていく方針である。中国のこうした姿勢は、一部の国による混乱によって左右されることはない。アメリカが経済グローバル化という歴史的潮流を正しく認識し、時代遅れのゼロサム思考を放棄し、対話と協力の正道に戻り、国際社会と共に世界経済の安定と繁栄に寄与することが期待される。
　
【詳細】

　米国による新たな関税措置に対する中国側の対応と、対外開放の継続姿勢を強調するものである。

　まず冒頭で、米国が「互恵性(reciprocity)」を名目としてすべての貿易相手国に関税を課したことが国際社会に衝撃を与えたと指摘している。特に中国に対する措置について、中国商務部は米国に対し一方的な関税措置の即時撤回と、対等な対話による問題解決を求めた。これに対し中国は、自国の正当な権益を守るため、正確な対抗措置を講じるとしつつも、引き続きハイレベルな開放政策を推進し、機会の共有と互恵・ウィンウィンの成果を目指すと述べている。これは、外部からの衝撃に対する理性的な対応であるとともに、「百年に一度の変局」の中で安定を維持する自信の表れであるとする。

　次に、社説は保護主義・単独主義の流れが国際的な開放と協力の潮流を阻むことはできないと主張する。米国の関税政策は見かけ上は強硬に映るが、実際には自己矛盾に陥る危険性があると警告している。米国内の経済学者も懸念を表明しており、関税が中・低所得層の生活費の上昇、高所得層の資産の喪失、米企業への報復関税などを招く可能性があるという。ムーディーズ・アナリティクスのチーフエコノミストであるマーク・ザンディは、関税が3～5か月継続されれば景気後退を引き起こすと警告している。こうした動きは経済法則に反しており、失敗に終わる運命にあると論じる。さらに「関税によって米国が孤立する」との感情が米国内にも強く存在しており、これも開放と協力を求める国際的な声の一部であるとする。

　また、中国は一貫して開かれた世界経済の擁護者であり続けてきたと述べている。改革開放を通じて世界経済に深く統合し、自国の飛躍的発展を実現するとともに、世界に対して巨大な市場と高品質な製品を提供してきた。米系コンサルティング企業ケアニーによる2024年外国直接投資信頼度指数では、中国が前年の7位から3位に上昇し、新興市場ランキングでは1位となった。2025年も欧州、アジア、南米、米国から多くの企業家が中国を訪れて協力を模索しており、これは国際社会の主流が協力による発展を求めている証拠であるとする。

　中国の高水準の開放政策は、外圧に対応する一時的な措置ではなく、自国の進歩と共有型の発展を目指す長期戦略であるとも述べている。したがって、一時的な外部からの圧力や不確実性により方向転換することはない。対米対抗措置とは別に、中国の関税水準は7.3％に留まっており、WTO加盟時の9.8％という約束よりも低い水準である。加えて、中国は市場アクセスの緩和、知的財産権の保護強化、法治に基づいたビジネス環境の整備などを進めており、世界の多国籍企業は14億超の人口による消費の高度化の恩恵を受けるだけでなく、中国の産業チェーンの革新にも深く参加することが可能であると主張している。このようにして中国は、世界の関税水準の「安定装置」としての役割を果たし、「パイを大きくする」ために国際社会と協力しているとする。

　さらに、中国の開放は特定市場に依存しておらず、各国との互恵協力を基盤としていると説明している。RCEP(地域的包括的経済連携)の高品質実施、「一帯一路」構想の高水準な推進、自由貿易試験区および自由貿易港の発展加速などがその表れである。例えば、ASEANが4年連続で中国の最大の貿易相手であること、中国と欧州間の鉄道貨物列車が過去10年で8万本を超えたこと、アフリカ初の「魯班工坊」がジブチに設立されたこと、上海協力機構加盟国との貿易総額が8兆ドルを超えたことなどが挙げられている。これらの事実は、中国が高水準の開放を推進する中で、世界に対してより多くの発展機会を提供していることを示している。

　最後に、社説は「客観的な情勢の力は、個別国家の意志よりもはるかに強い」と断じ、経済のグローバル化は一時的な後退があっても、開放と協力の潮流は止まらないと述べている。今後も中国は具体的な行動をもって開放の約束を履行し、国際社会と協力して、より包括的かつ公平な世界経済システムの構築に取り組む方針であると強調している。そして米国に対しては、経済グローバル化という歴史的潮流を認識し、ゼロサム的思考を放棄し、対話と協力の正道に立ち返り、国際社会とともに世界経済の安定と繁栄に貢献すべきであると呼びかけている。

【要点】　
　
　米国の関税政策に対する中国の反応

　・米国が「互恵性」を理由にすべての貿易相手国に関税を課すと発表し、国際社会に衝撃を与えた。

　・中国商務部は、米国に対し一方的な関税措置の即時撤回と、対等な対話を通じた問題解決を要求。

　・中国は正確な対抗措置を取ると同時に、ハイレベルな対外開放政策を維持する姿勢を明示。

　・この対応は、外部圧力に冷静かつ理性的に対処する姿勢であり、「百年に一度の変局」における自信の現れであると評価。

　米国関税政策の矛盾とリスク

　・米国の保護主義的措置は、経済法則に反しており、失敗に終わると論評。

　・ムーディーズのチーフエコノミストが、関税が数か月続けば景気後退を招くと警告。

　・中低所得層への物価上昇の打撃、米国企業への報復関税、株価下落などの懸念が指摘されている。

　・米国内でも「関税による孤立」を懸念する声が高まっており、保護主義に対する批判が存在。

　中国の対外開放姿勢の継続

　・中国は世界経済に深く統合し、発展の成果を世界と共有してきた。

　・2024年のケアニーの外国直接投資信頼度指数で、中国は3位、新興市場で1位にランクイン。

　・2025年に向けて、世界中の企業が中国との協力を模索している事例が多数存在。

　中国の開放政策の構造と自立性

　・中国の開放は短期的な対抗措置ではなく、戦略的・構造的な国家方針である。

　・現在の関税水準(7.3％)はWTO加盟時の約束(9.8％)よりも低く、国際貿易秩序を守る姿勢を示す。

　・知的財産権保護、市場アクセスの拡大、法治に基づいたビジネス環境の整備を進行中。

　・多国籍企業は中国市場だけでなく、産業チェーンの革新にも参加できると主張。

　世界との多層的な協力関係

　・中国の開放は特定国依存ではなく、多国間の互恵協力を基礎とする。

　・RCEPの実施、「一帯一路」構想の推進、自由貿易港の拡大などを通じて広範な協力を展開。

　・ASEANが4年連続で最大の貿易相手となり、欧州との鉄道貨物輸送が10年で8万本を超えた。

　・ジブチにアフリカ初の「魯班工坊」を設立し、アフリカとの人的・技術協力も進展。

　・上海協力機構加盟国との貿易額は累計で8兆ドルを超過。

　国際社会への呼びかけと将来展望

　・経済のグローバル化は不可逆であり、一時的な保護主義では潮流を変えられないと断言。

　・中国は今後も高水準の開放を継続し、より公平かつ包摂的な世界経済の構築を国際社会とともに目指す。

　・米国に対しては、ゼロサム思考を放棄し、対話と協力の軌道に復帰するよう求める。

【引用・参照・底本】

China's high-level opening-up opens to the world: Global Times editorial GT 2025.04.05
https://www.globaltimes.cn/page/202504/1331485.shtml