トランプの「ノルドストリーム2」言及 ― 2024年11月02日 18:45
【概要】
ドナルド・トランプ元大統領は、アリゾナで行われたチャリティイベントにおいてタッカー・カールソンとのインタビューの中で、ロシアとドイツを結ぶ大規模な天然ガスパイプライン「ノルドストリーム2」を自分が「阻止した」と主張した。トランプは、民主党が主張するロシアとの「親密な関係」や「スパイ」といった陰謀論を否定するため、任期中にこのプロジェクトに制裁を課したことを強調したのである。この制裁は、ロシアのエネルギー市場への依存を減らし、欧州のエネルギー市場でのアメリカの地位を強化する目的があった。
トランプの発言は、2022年9月に発生したノルドストリームの破壊工作ではなく、彼の大統領在任中にノルドストリーム2に対して行った制裁を指している。このプロジェクトに対する制裁は、トランプ政権がロシアとのエネルギー取引を阻止しようとする一環であった。しかしながら、2021年5月にジョー・バイデン政権はこの制裁を一時的に解除し、その理由として「ドイツやEU、他の欧州同盟国との関係を損なうリスク」を避けるためと説明した。バイデンはさらに、プロジェクトの進行がすでに「99%完了している」と述べ、制裁を維持しても効果がないと判断したことを表明した。
この制裁解除は、バイデンが6月にジュネーブでウラジーミル・プーチン大統領と会談する準備の一環として行われた「善意のジェスチャー」だった可能性があるとされる。この会談では、米露間の軍事的緊張が高まる中での対話が試みられたが、目立った成果はなかった。結果的に、米国はロシアの国境に近づくNATOの拡張やウクライナへの関与を続け、ロシアの安全保障上の懸念を無視し続けた。
その後、バイデン政権は2022年2月、ウクライナ情勢が急速に悪化する中で、再びノルドストリーム2への制裁を復活させた。これがプーチン大統領にとって決定的な行動のきっかけとなり、ウクライナでの軍事行動を選択する動機の一因となった可能性もある。
トランプは、自身の発言が国際関係の複雑な背景を十分に伝えられなかったとする見方もあるが、彼の意図は、ノルドストリーム2への制裁が「ロシアゲート」陰謀論を否定する証拠であることを示すことにあったと言える。
【詳細】
ドナルド・トランプ元大統領がノルドストリーム2を「阻止した」と主張する背景には、彼自身が政権運営中にロシアとの間で取った措置を強調する意図がある。具体的には、彼がロシアとドイツを結ぶノルドストリーム2パイプラインに制裁を課し、その結果、このプロジェクトの進行を一時的に阻止したことで、ロシアとの「親密な関係」という民主党による非難を払拭したいと考えたのである。
ノルドストリーム2とは
ノルドストリーム2は、ロシアからドイツを経由して欧州各地へ天然ガスを供給するための巨大なパイプラインプロジェクトであり、ロシアのエネルギー市場と欧州のエネルギー安全保障を直接的に結びつける重要なインフラとして位置づけられている。このプロジェクトが完了すれば、欧州はロシアから安定的なエネルギー供給を受けることが可能となり、ロシア側からすれば大きな経済的利益が見込めるものでもあった。しかしながら、米国にとっては、ロシアが欧州のエネルギー市場で影響力を強めることを懸念し、欧州諸国がロシアに対してエネルギー依存度を高めることに警戒感を抱いていた。結果として、米国はこのプロジェクトに反対し、特にトランプ政権下では制裁を通じてその進行を妨げる政策を取るに至った。
トランプ政権による制裁の実施
トランプは任期中、ノルドストリーム2に対して強力な経済制裁を課すことにより、ロシアとのエネルギー取引を妨害し、また、欧州が米国のエネルギー(特に液化天然ガス)に依存するよう誘導しようとした。このような政策は、民主党から「ロシア寄り」と批判されたトランプが、自らのロシア政策を示す一例として利用できるものであった。彼の意図は、ロシアとの結びつきを深めるのではなく、むしろロシアの影響力を抑え、米国のエネルギー供給を強化することであったと主張するためである。
バイデン政権による制裁解除とその背景
しかし、2021年5月、ジョー・バイデン政権が発足後、このノルドストリーム2に対する制裁を一時的に解除した。これは、ドイツおよびEUと米国の同盟関係を維持しつつ、ロシアとの対話を試みるための「善意のジェスチャー」であると解釈される場合もある。バイデン政権の説明によると、プロジェクトはすでに「99%完成している」との理由で制裁維持の効果が低いと判断し、制裁を撤回したが、結果的にこの措置は、米露間の戦略的な緊張を一時的に和らげることが期待されていた。この制裁解除により、米国はドイツや他の欧州諸国との関係を損なうリスクを避けつつ、ロシアに対しても一定の対話姿勢を見せた形となった。
バイデン政権の再制裁とその影響
その後、ウクライナ情勢が悪化した2022年2月、バイデン政権は再びノルドストリーム2に対する制裁を発動した。この再制裁は、ロシアと欧州のエネルギー経済的なつながりを切り離すことを意図したものであり、また、米国としてはロシアに対する抑止力を強化する動きでもあった。この再制裁がロシア側に与えた影響として、プーチン大統領がその後、ウクライナへの軍事行動を決定する一因となった可能性が指摘されている。プーチンから見れば、米国が制裁解除という「飴」を与えて協力を促しながらも、その後再度「制裁」という「鞭」を振るう形で信頼関係を損ねたと解釈される可能性があり、このような状況がウクライナでの軍事行動の引き金になったと考えられる。
トランプの発言の意図
トランプは今回の発言で、彼がノルドストリーム2を「阻止」した実績が、自分がロシアに対して友好的であったという主張を否定する根拠であることを示そうとした。彼の意図は、ロシアに対して強硬な態度を示し、自らがロシアと癒着しているとの陰謀論「ロシアゲート」を払拭することであった。トランプはまた、バイデンが一度制裁を解除した後に再び発動した矛盾点も指摘しており、これがバイデン政権によるロシア政策の一貫性の欠如を示すものであると訴えようとしている。
【要点】
1.ノルドストリーム2の概要
・ロシアからドイツ経由で欧州に天然ガスを供給するパイプラインで、欧州のエネルギー市場におけるロシアの影響力を高める重要なプロジェクト。
・米国は、欧州がロシアに依存することを懸念し、このプロジェクトに反対していた。
2.トランプ政権による制裁
・トランプ政権は、ロシアとのエネルギー取引を妨害する目的でノルドストリーム2に対して経済制裁を実施。
・制裁は、欧州が米国のエネルギー(LNGなど)に依存するよう誘導する狙いもあった。
・トランプはこの制裁措置を「自分がロシア寄りではない」という証拠として利用し、「ロシアゲート」の陰謀論を否定しようとした。
3.バイデン政権の制裁解除
・バイデン政権は2021年5月、ノルドストリーム2に対する制裁を一時的に解除。
・理由として、プロジェクトが99%完成しており制裁の効果が低いと判断、また、ドイツなどの欧州諸国との関係を損なうリスクを避けるためと説明。
・バイデン政権はこれを、6月に行われたプーチン大統領との会談に向けた「善意のジェスチャー」として利用した可能性がある。
4.バイデン政権による再制裁とその影響
・2022年2月、ウクライナ情勢が悪化する中、バイデン政権は再びノルドストリーム2への制裁を発動。
・再制裁は、米国がロシアへの抑止力を強化するものであり、ロシアのエネルギー経済を牽制する意図があった。
・プーチン大統領は、この再制裁が引き金となり、ウクライナへの軍事行動に踏み切った可能性がある。
5.トランプの発言の意図
・トランプは、自身がノルドストリーム2を「阻止」した実績を示すことで、民主党による「ロシア寄り」批判を否定しようとした。
・また、バイデンが一度制裁を解除し、その後再制裁を発動した点を挙げ、バイデン政権のロシア政策の矛盾や一貫性の欠如を批判した。
【引用・参照・底本】
Here’s Why Trump Just Claimed Credit For “Killing” Nord Stream II Andrew Korybko's Newsletter 2024.11.01
https://korybko.substack.com/p/heres-why-trump-just-claimed-credit?utm_source=post-email-title&publication_id=835783&post_id=151017187&utm_campaign=email-post-title&isFreemail=true&r=2gkj&triedRedirect=true&utm_medium=email
ドナルド・トランプ元大統領は、アリゾナで行われたチャリティイベントにおいてタッカー・カールソンとのインタビューの中で、ロシアとドイツを結ぶ大規模な天然ガスパイプライン「ノルドストリーム2」を自分が「阻止した」と主張した。トランプは、民主党が主張するロシアとの「親密な関係」や「スパイ」といった陰謀論を否定するため、任期中にこのプロジェクトに制裁を課したことを強調したのである。この制裁は、ロシアのエネルギー市場への依存を減らし、欧州のエネルギー市場でのアメリカの地位を強化する目的があった。
トランプの発言は、2022年9月に発生したノルドストリームの破壊工作ではなく、彼の大統領在任中にノルドストリーム2に対して行った制裁を指している。このプロジェクトに対する制裁は、トランプ政権がロシアとのエネルギー取引を阻止しようとする一環であった。しかしながら、2021年5月にジョー・バイデン政権はこの制裁を一時的に解除し、その理由として「ドイツやEU、他の欧州同盟国との関係を損なうリスク」を避けるためと説明した。バイデンはさらに、プロジェクトの進行がすでに「99%完了している」と述べ、制裁を維持しても効果がないと判断したことを表明した。
この制裁解除は、バイデンが6月にジュネーブでウラジーミル・プーチン大統領と会談する準備の一環として行われた「善意のジェスチャー」だった可能性があるとされる。この会談では、米露間の軍事的緊張が高まる中での対話が試みられたが、目立った成果はなかった。結果的に、米国はロシアの国境に近づくNATOの拡張やウクライナへの関与を続け、ロシアの安全保障上の懸念を無視し続けた。
その後、バイデン政権は2022年2月、ウクライナ情勢が急速に悪化する中で、再びノルドストリーム2への制裁を復活させた。これがプーチン大統領にとって決定的な行動のきっかけとなり、ウクライナでの軍事行動を選択する動機の一因となった可能性もある。
トランプは、自身の発言が国際関係の複雑な背景を十分に伝えられなかったとする見方もあるが、彼の意図は、ノルドストリーム2への制裁が「ロシアゲート」陰謀論を否定する証拠であることを示すことにあったと言える。
【詳細】
ドナルド・トランプ元大統領がノルドストリーム2を「阻止した」と主張する背景には、彼自身が政権運営中にロシアとの間で取った措置を強調する意図がある。具体的には、彼がロシアとドイツを結ぶノルドストリーム2パイプラインに制裁を課し、その結果、このプロジェクトの進行を一時的に阻止したことで、ロシアとの「親密な関係」という民主党による非難を払拭したいと考えたのである。
ノルドストリーム2とは
ノルドストリーム2は、ロシアからドイツを経由して欧州各地へ天然ガスを供給するための巨大なパイプラインプロジェクトであり、ロシアのエネルギー市場と欧州のエネルギー安全保障を直接的に結びつける重要なインフラとして位置づけられている。このプロジェクトが完了すれば、欧州はロシアから安定的なエネルギー供給を受けることが可能となり、ロシア側からすれば大きな経済的利益が見込めるものでもあった。しかしながら、米国にとっては、ロシアが欧州のエネルギー市場で影響力を強めることを懸念し、欧州諸国がロシアに対してエネルギー依存度を高めることに警戒感を抱いていた。結果として、米国はこのプロジェクトに反対し、特にトランプ政権下では制裁を通じてその進行を妨げる政策を取るに至った。
トランプ政権による制裁の実施
トランプは任期中、ノルドストリーム2に対して強力な経済制裁を課すことにより、ロシアとのエネルギー取引を妨害し、また、欧州が米国のエネルギー(特に液化天然ガス)に依存するよう誘導しようとした。このような政策は、民主党から「ロシア寄り」と批判されたトランプが、自らのロシア政策を示す一例として利用できるものであった。彼の意図は、ロシアとの結びつきを深めるのではなく、むしろロシアの影響力を抑え、米国のエネルギー供給を強化することであったと主張するためである。
バイデン政権による制裁解除とその背景
しかし、2021年5月、ジョー・バイデン政権が発足後、このノルドストリーム2に対する制裁を一時的に解除した。これは、ドイツおよびEUと米国の同盟関係を維持しつつ、ロシアとの対話を試みるための「善意のジェスチャー」であると解釈される場合もある。バイデン政権の説明によると、プロジェクトはすでに「99%完成している」との理由で制裁維持の効果が低いと判断し、制裁を撤回したが、結果的にこの措置は、米露間の戦略的な緊張を一時的に和らげることが期待されていた。この制裁解除により、米国はドイツや他の欧州諸国との関係を損なうリスクを避けつつ、ロシアに対しても一定の対話姿勢を見せた形となった。
バイデン政権の再制裁とその影響
その後、ウクライナ情勢が悪化した2022年2月、バイデン政権は再びノルドストリーム2に対する制裁を発動した。この再制裁は、ロシアと欧州のエネルギー経済的なつながりを切り離すことを意図したものであり、また、米国としてはロシアに対する抑止力を強化する動きでもあった。この再制裁がロシア側に与えた影響として、プーチン大統領がその後、ウクライナへの軍事行動を決定する一因となった可能性が指摘されている。プーチンから見れば、米国が制裁解除という「飴」を与えて協力を促しながらも、その後再度「制裁」という「鞭」を振るう形で信頼関係を損ねたと解釈される可能性があり、このような状況がウクライナでの軍事行動の引き金になったと考えられる。
トランプの発言の意図
トランプは今回の発言で、彼がノルドストリーム2を「阻止」した実績が、自分がロシアに対して友好的であったという主張を否定する根拠であることを示そうとした。彼の意図は、ロシアに対して強硬な態度を示し、自らがロシアと癒着しているとの陰謀論「ロシアゲート」を払拭することであった。トランプはまた、バイデンが一度制裁を解除した後に再び発動した矛盾点も指摘しており、これがバイデン政権によるロシア政策の一貫性の欠如を示すものであると訴えようとしている。
【要点】
1.ノルドストリーム2の概要
・ロシアからドイツ経由で欧州に天然ガスを供給するパイプラインで、欧州のエネルギー市場におけるロシアの影響力を高める重要なプロジェクト。
・米国は、欧州がロシアに依存することを懸念し、このプロジェクトに反対していた。
2.トランプ政権による制裁
・トランプ政権は、ロシアとのエネルギー取引を妨害する目的でノルドストリーム2に対して経済制裁を実施。
・制裁は、欧州が米国のエネルギー(LNGなど)に依存するよう誘導する狙いもあった。
・トランプはこの制裁措置を「自分がロシア寄りではない」という証拠として利用し、「ロシアゲート」の陰謀論を否定しようとした。
3.バイデン政権の制裁解除
・バイデン政権は2021年5月、ノルドストリーム2に対する制裁を一時的に解除。
・理由として、プロジェクトが99%完成しており制裁の効果が低いと判断、また、ドイツなどの欧州諸国との関係を損なうリスクを避けるためと説明。
・バイデン政権はこれを、6月に行われたプーチン大統領との会談に向けた「善意のジェスチャー」として利用した可能性がある。
4.バイデン政権による再制裁とその影響
・2022年2月、ウクライナ情勢が悪化する中、バイデン政権は再びノルドストリーム2への制裁を発動。
・再制裁は、米国がロシアへの抑止力を強化するものであり、ロシアのエネルギー経済を牽制する意図があった。
・プーチン大統領は、この再制裁が引き金となり、ウクライナへの軍事行動に踏み切った可能性がある。
5.トランプの発言の意図
・トランプは、自身がノルドストリーム2を「阻止」した実績を示すことで、民主党による「ロシア寄り」批判を否定しようとした。
・また、バイデンが一度制裁を解除し、その後再制裁を発動した点を挙げ、バイデン政権のロシア政策の矛盾や一貫性の欠如を批判した。
【引用・参照・底本】
Here’s Why Trump Just Claimed Credit For “Killing” Nord Stream II Andrew Korybko's Newsletter 2024.11.01
https://korybko.substack.com/p/heres-why-trump-just-claimed-credit?utm_source=post-email-title&publication_id=835783&post_id=151017187&utm_campaign=email-post-title&isFreemail=true&r=2gkj&triedRedirect=true&utm_medium=email
「ポチョムキン主義」 ― 2024年11月02日 19:06
【概要】
この記事の要点は、ロシアがインドのナレンドラ・モディ首相と中国の習近平主席との会談を仲介したとする噂が誤解であることを明確にしようとする内容である。筆者のアンドリュー・コリブコは、この噂が一部のオルタナティブ・メディア(AMC)において広まっており、それが誤った認識を生んでいると指摘している。具体的には、ロシアがインドと中国との良好な関係を活用して、両者の会談および国境問題の緊張緩和の取り決めに関与したとする見解があるが、ロシア側はそれを否定している。
記事によれば、ロシアのインド大使であるデニス・アリポフが記者会見で、ロシアがその会談を組織する役割を果たしていないと明言している。彼はまた、2022年の時点で、ロシアはインドと中国の国境問題において仲介の役割を担う予定はないと述べており、これはインドと中国の双方がこの問題を純粋に二国間の問題と見なしているためである。アリポフ大使の見解によると、ロシアは両国の独立性と主権を尊重しており、特にインドが植民地支配からの独立を成し遂げた歴史や、中国が「屈辱の世紀」と呼ばれる時代を経て台頭した背景を考慮しているとしている。
さらに、筆者は「ポチョムキン主義(Potemkinism)」という概念を用いて、ロシアが仲介を行ったという誤解が戦略的に作られた「人工的な現実」であると主張している。この用語は、ロシアの公式政策と矛盾する情報が意図的に流布されることで生まれる誤った認識を指す。具体例として、ロシアがインドと中国の間を「仲介」したとされる主張も、その一環である可能性があると筆者は考えている。筆者は、このような情報の流布が、一部のロシアのメディアエコシステム内で行われており、それが「ポチョムキン主義」の一環として意図的に行われているのではないかと推測している。
さらに、筆者は「ポチョムキン主義」の他の例として、ロシアとイスラエルの関係についての誤解、ロシアがロックダウンや強制的なワクチン接種に反対していたとする誤った認識、アルメニアを支持していたとする認識、NATOに対して先制攻撃の準備をしているという誤解などを挙げている。
【詳細】
ロシアがインドのモディ首相と中国の習主席の会談を仲介したとする噂について、ロシアが明確に否定したことを強調している。この誤解は一部のオルタナティブ・メディア(AMC)に広がっており、ロシアの中立的な立場や仲介の役割が強調されているが、実際にはロシアはそのような役割を果たしていない。著者であるアンドリュー・コリブコは、ロシアが仲介したという認識の拡散が「ポチョムキン主義」という戦略によって生まれた可能性があると論じている。
具体的には、この記事が言及するのは、ロシアのインド大使デニス・アリポフの発言であり、彼はモディ首相と習主席の会談にロシアが関与していないと公に述べている。彼は「ロシアはその会談を組織する役割を担わなかった」と言及し、インドと中国の国境問題についてもロシアは仲介する意図を持っていないと改めて表明している。ロシアは、インドと中国がそれぞれ独立した国として自主的に問題を解決する能力を持つとみなしており、特にインドの植民地支配からの独立や中国の「屈辱の世紀」といった歴史的な背景を尊重している。
ここで登場する「ポチョムキン主義(Potemkinism)」という概念は、ロシアが戦略的目的のために意図的に誤解を生む人工的な現実を作り出すことを指している。著者のコリブコによれば、この「ポチョムキン主義」は、ロシアが実際には行っていないことをあたかも行ったかのように見せるための一種のソフトパワー戦略であり、特に国際関係の文脈で用いられている。このような「ポチョムキン主義」は、ロシアの公式の外交政策とは対立する誤った認識を生み出す可能性があり、インドと中国の会談についてもこの戦略の一環として誤った情報が流布された可能性があるとしている。
具体例として、記事は著名なジャーナリストのペペ・エスコバーがスプートニクで発表したコラムに触れ、彼が「ロシアがインドと中国の会談を仲介した」と暗に示した点を批判している。このコラムが公開される直前、ロシア大使のアリポフはロシアが仲介に関与していないことを明言していたため、エスコバーの主張はロシアの公式立場と矛盾している。また、スプートニクはロシア政府から資金提供を受けているメディアであり、本来ならば外務省などの公式情報を確認できたはずであることから、この情報が意図的に発信されたのではないかと著者は推測している。
「ポチョムキン主義」の例として、この記事ではロシアとイスラエルの関係についても触れている。具体的には、ロシアが「反シオニズム的であり、イランと協力してパレスチナの解放を支援している」といった誤解が一部で広まっているが、これはロシア大統領プーチンのフィロセミティズム(ユダヤ人やイスラエルへの好意)という歴史的背景とは大きく異なる。また、ロシアがコロナウイルスのパンデミックにおけるロックダウンや強制的なワクチン接種に反対していたとする誤解、あるいはアルメニアをナゴルノ・カラバフ紛争でアゼルバイジャンに対して支持したとする誤解も「ポチョムキン主義」の一環として挙げられている。
さらに、著者はこの「ポチョムキン主義」が、ロシアがNATOに対して先制攻撃を準備しているという誤解をも引き起こしていると述べている。
【要点】
・一部のオルタナティブ・メディアでは、ロシアがインドのモディ首相と中国の習主席の会談を仲介したという誤解が広まっている。
・ロシアのインド大使であるデニス・アリポフは、ロシアがこの会談の仲介をしていないと明言している。
・アリポフ大使は、ロシアがインドと中国の国境問題の解決に関与する予定もないことを明確にしており、両国が独立国として問題を自主的に解決できる能力を尊重している。
・著者のアンドリュー・コリブコは、この誤解が「ポチョムキン主義(Potemkinism)」によるものであると主張している。
・「ポチョムキン主義」とは、ロシアがソフトパワー戦略の一環として意図的に誤った認識や人工的な現実を作り出すことを指す。
・この「ポチョムキン主義」により、ロシアが実際には行っていないこと(仲介など)があたかも行われたかのように見せられている。
・著者は、ジャーナリストのペペ・エスコバーがスプートニクに掲載したコラムにおいて、「ロシアが仲介した」とする主張がロシアの公式立場と矛盾していると批判している。
・スプートニクはロシア政府から資金提供を受けているため、本来であれば外務省などで公式情報を確認できたはずであるが、その確認が行われなかった可能性がある。
・「ポチョムキン主義」の他の例として、ロシアとイスラエルの関係や、ロシアのコロナ政策、カラバフ紛争におけるアルメニア支持、NATOへの先制攻撃準備などに関する誤解が挙げられている。
【参考】
☞ 「ポチョムキン主義(Potemkinism)」とは、実態とは異なる、人工的で見かけだけの現実を意図的に作り出すことで、特定の政治的・戦略的な目的を達成しようとする手法や概念を指す。元々は、18世紀のロシア帝国で政治家ポチョムキンが、女帝エカチェリーナ2世の視察に際し、繁栄した村のように見える「飾り村(ポチョムキン村)」を作り出したという逸話に由来する。
「ポチョムキン主義」の特徴と目的
・人工的な現実の創出:現実に存在しない成果や成功を見せかけたり、特定のイメージを操作する。
・外交・国際関係での影響力行使:他国や国際世論に対して、実際とは異なる姿勢や実力を誇示し、ロシアの影響力を強調。
・情報操作:公式メディアや特定のジャーナリストを通じて、ロシアの外交政策や立場が異なるかのような情報を発信する。
・目的:ロシアが特定の役割(例:仲介者や影響力の行使者)を果たしているように見せることで、ソフトパワーや国際的なイメージを向上させる。
事例
アンドリュー・コリブコによれば、今回のインドと中国の会談に関する誤解も「ポチョムキン主義」の一例とされている。実際にはロシアが関与していないにもかかわらず、ロシアが仲介を行ったとの印象が広まったことがその一例であり、これはロシアが「外交的に重要な役割を果たしている」とするイメージを作り出すことが目的と考えられている。
【参考はブログ作成者が付記】
【引用・参照・底本】
Fact Check: Russia Didn’t Organize The Modi-Xi Meeting In Kazan Andrew Korybko's Newsletter 2024.11.02
https://korybko.substack.com/p/fact-check-russia-didnt-organize?utm_source=post-email-title&publication_id=835783&post_id=151058595&utm_campaign=email-post-title&isFreemail=true&r=2gkj&triedRedirect=true&utm_medium=email
この記事の要点は、ロシアがインドのナレンドラ・モディ首相と中国の習近平主席との会談を仲介したとする噂が誤解であることを明確にしようとする内容である。筆者のアンドリュー・コリブコは、この噂が一部のオルタナティブ・メディア(AMC)において広まっており、それが誤った認識を生んでいると指摘している。具体的には、ロシアがインドと中国との良好な関係を活用して、両者の会談および国境問題の緊張緩和の取り決めに関与したとする見解があるが、ロシア側はそれを否定している。
記事によれば、ロシアのインド大使であるデニス・アリポフが記者会見で、ロシアがその会談を組織する役割を果たしていないと明言している。彼はまた、2022年の時点で、ロシアはインドと中国の国境問題において仲介の役割を担う予定はないと述べており、これはインドと中国の双方がこの問題を純粋に二国間の問題と見なしているためである。アリポフ大使の見解によると、ロシアは両国の独立性と主権を尊重しており、特にインドが植民地支配からの独立を成し遂げた歴史や、中国が「屈辱の世紀」と呼ばれる時代を経て台頭した背景を考慮しているとしている。
さらに、筆者は「ポチョムキン主義(Potemkinism)」という概念を用いて、ロシアが仲介を行ったという誤解が戦略的に作られた「人工的な現実」であると主張している。この用語は、ロシアの公式政策と矛盾する情報が意図的に流布されることで生まれる誤った認識を指す。具体例として、ロシアがインドと中国の間を「仲介」したとされる主張も、その一環である可能性があると筆者は考えている。筆者は、このような情報の流布が、一部のロシアのメディアエコシステム内で行われており、それが「ポチョムキン主義」の一環として意図的に行われているのではないかと推測している。
さらに、筆者は「ポチョムキン主義」の他の例として、ロシアとイスラエルの関係についての誤解、ロシアがロックダウンや強制的なワクチン接種に反対していたとする誤った認識、アルメニアを支持していたとする認識、NATOに対して先制攻撃の準備をしているという誤解などを挙げている。
【詳細】
ロシアがインドのモディ首相と中国の習主席の会談を仲介したとする噂について、ロシアが明確に否定したことを強調している。この誤解は一部のオルタナティブ・メディア(AMC)に広がっており、ロシアの中立的な立場や仲介の役割が強調されているが、実際にはロシアはそのような役割を果たしていない。著者であるアンドリュー・コリブコは、ロシアが仲介したという認識の拡散が「ポチョムキン主義」という戦略によって生まれた可能性があると論じている。
具体的には、この記事が言及するのは、ロシアのインド大使デニス・アリポフの発言であり、彼はモディ首相と習主席の会談にロシアが関与していないと公に述べている。彼は「ロシアはその会談を組織する役割を担わなかった」と言及し、インドと中国の国境問題についてもロシアは仲介する意図を持っていないと改めて表明している。ロシアは、インドと中国がそれぞれ独立した国として自主的に問題を解決する能力を持つとみなしており、特にインドの植民地支配からの独立や中国の「屈辱の世紀」といった歴史的な背景を尊重している。
ここで登場する「ポチョムキン主義(Potemkinism)」という概念は、ロシアが戦略的目的のために意図的に誤解を生む人工的な現実を作り出すことを指している。著者のコリブコによれば、この「ポチョムキン主義」は、ロシアが実際には行っていないことをあたかも行ったかのように見せるための一種のソフトパワー戦略であり、特に国際関係の文脈で用いられている。このような「ポチョムキン主義」は、ロシアの公式の外交政策とは対立する誤った認識を生み出す可能性があり、インドと中国の会談についてもこの戦略の一環として誤った情報が流布された可能性があるとしている。
具体例として、記事は著名なジャーナリストのペペ・エスコバーがスプートニクで発表したコラムに触れ、彼が「ロシアがインドと中国の会談を仲介した」と暗に示した点を批判している。このコラムが公開される直前、ロシア大使のアリポフはロシアが仲介に関与していないことを明言していたため、エスコバーの主張はロシアの公式立場と矛盾している。また、スプートニクはロシア政府から資金提供を受けているメディアであり、本来ならば外務省などの公式情報を確認できたはずであることから、この情報が意図的に発信されたのではないかと著者は推測している。
「ポチョムキン主義」の例として、この記事ではロシアとイスラエルの関係についても触れている。具体的には、ロシアが「反シオニズム的であり、イランと協力してパレスチナの解放を支援している」といった誤解が一部で広まっているが、これはロシア大統領プーチンのフィロセミティズム(ユダヤ人やイスラエルへの好意)という歴史的背景とは大きく異なる。また、ロシアがコロナウイルスのパンデミックにおけるロックダウンや強制的なワクチン接種に反対していたとする誤解、あるいはアルメニアをナゴルノ・カラバフ紛争でアゼルバイジャンに対して支持したとする誤解も「ポチョムキン主義」の一環として挙げられている。
さらに、著者はこの「ポチョムキン主義」が、ロシアがNATOに対して先制攻撃を準備しているという誤解をも引き起こしていると述べている。
【要点】
・一部のオルタナティブ・メディアでは、ロシアがインドのモディ首相と中国の習主席の会談を仲介したという誤解が広まっている。
・ロシアのインド大使であるデニス・アリポフは、ロシアがこの会談の仲介をしていないと明言している。
・アリポフ大使は、ロシアがインドと中国の国境問題の解決に関与する予定もないことを明確にしており、両国が独立国として問題を自主的に解決できる能力を尊重している。
・著者のアンドリュー・コリブコは、この誤解が「ポチョムキン主義(Potemkinism)」によるものであると主張している。
・「ポチョムキン主義」とは、ロシアがソフトパワー戦略の一環として意図的に誤った認識や人工的な現実を作り出すことを指す。
・この「ポチョムキン主義」により、ロシアが実際には行っていないこと(仲介など)があたかも行われたかのように見せられている。
・著者は、ジャーナリストのペペ・エスコバーがスプートニクに掲載したコラムにおいて、「ロシアが仲介した」とする主張がロシアの公式立場と矛盾していると批判している。
・スプートニクはロシア政府から資金提供を受けているため、本来であれば外務省などで公式情報を確認できたはずであるが、その確認が行われなかった可能性がある。
・「ポチョムキン主義」の他の例として、ロシアとイスラエルの関係や、ロシアのコロナ政策、カラバフ紛争におけるアルメニア支持、NATOへの先制攻撃準備などに関する誤解が挙げられている。
【参考】
☞ 「ポチョムキン主義(Potemkinism)」とは、実態とは異なる、人工的で見かけだけの現実を意図的に作り出すことで、特定の政治的・戦略的な目的を達成しようとする手法や概念を指す。元々は、18世紀のロシア帝国で政治家ポチョムキンが、女帝エカチェリーナ2世の視察に際し、繁栄した村のように見える「飾り村(ポチョムキン村)」を作り出したという逸話に由来する。
「ポチョムキン主義」の特徴と目的
・人工的な現実の創出:現実に存在しない成果や成功を見せかけたり、特定のイメージを操作する。
・外交・国際関係での影響力行使:他国や国際世論に対して、実際とは異なる姿勢や実力を誇示し、ロシアの影響力を強調。
・情報操作:公式メディアや特定のジャーナリストを通じて、ロシアの外交政策や立場が異なるかのような情報を発信する。
・目的:ロシアが特定の役割(例:仲介者や影響力の行使者)を果たしているように見せることで、ソフトパワーや国際的なイメージを向上させる。
事例
アンドリュー・コリブコによれば、今回のインドと中国の会談に関する誤解も「ポチョムキン主義」の一例とされている。実際にはロシアが関与していないにもかかわらず、ロシアが仲介を行ったとの印象が広まったことがその一例であり、これはロシアが「外交的に重要な役割を果たしている」とするイメージを作り出すことが目的と考えられている。
【参考はブログ作成者が付記】
【引用・参照・底本】
Fact Check: Russia Didn’t Organize The Modi-Xi Meeting In Kazan Andrew Korybko's Newsletter 2024.11.02
https://korybko.substack.com/p/fact-check-russia-didnt-organize?utm_source=post-email-title&publication_id=835783&post_id=151058595&utm_campaign=email-post-title&isFreemail=true&r=2gkj&triedRedirect=true&utm_medium=email
「ポチョムキン主義」 ― 2024年11月02日 19:06
【概要】
この記事の要点は、ロシアがインドのナレンドラ・モディ首相と中国の習近平主席との会談を仲介したとする噂が誤解であることを明確にしようとする内容である。筆者のアンドリュー・コリブコは、この噂が一部のオルタナティブ・メディア(AMC)において広まっており、それが誤った認識を生んでいると指摘している。具体的には、ロシアがインドと中国との良好な関係を活用して、両者の会談および国境問題の緊張緩和の取り決めに関与したとする見解があるが、ロシア側はそれを否定している。
記事によれば、ロシアのインド大使であるデニス・アリポフが記者会見で、ロシアがその会談を組織する役割を果たしていないと明言している。彼はまた、2022年の時点で、ロシアはインドと中国の国境問題において仲介の役割を担う予定はないと述べており、これはインドと中国の双方がこの問題を純粋に二国間の問題と見なしているためである。アリポフ大使の見解によると、ロシアは両国の独立性と主権を尊重しており、特にインドが植民地支配からの独立を成し遂げた歴史や、中国が「屈辱の世紀」と呼ばれる時代を経て台頭した背景を考慮しているとしている。
さらに、筆者は「ポチョムキン主義(Potemkinism)」という概念を用いて、ロシアが仲介を行ったという誤解が戦略的に作られた「人工的な現実」であると主張している。この用語は、ロシアの公式政策と矛盾する情報が意図的に流布されることで生まれる誤った認識を指す。具体例として、ロシアがインドと中国の間を「仲介」したとされる主張も、その一環である可能性があると筆者は考えている。筆者は、このような情報の流布が、一部のロシアのメディアエコシステム内で行われており、それが「ポチョムキン主義」の一環として意図的に行われているのではないかと推測している。
さらに、筆者は「ポチョムキン主義」の他の例として、ロシアとイスラエルの関係についての誤解、ロシアがロックダウンや強制的なワクチン接種に反対していたとする誤った認識、アルメニアを支持していたとする認識、NATOに対して先制攻撃の準備をしているという誤解などを挙げている。
【詳細】
ロシアがインドのモディ首相と中国の習主席の会談を仲介したとする噂について、ロシアが明確に否定したことを強調している。この誤解は一部のオルタナティブ・メディア(AMC)に広がっており、ロシアの中立的な立場や仲介の役割が強調されているが、実際にはロシアはそのような役割を果たしていない。著者であるアンドリュー・コリブコは、ロシアが仲介したという認識の拡散が「ポチョムキン主義」という戦略によって生まれた可能性があると論じている。
具体的には、この記事が言及するのは、ロシアのインド大使デニス・アリポフの発言であり、彼はモディ首相と習主席の会談にロシアが関与していないと公に述べている。彼は「ロシアはその会談を組織する役割を担わなかった」と言及し、インドと中国の国境問題についてもロシアは仲介する意図を持っていないと改めて表明している。ロシアは、インドと中国がそれぞれ独立した国として自主的に問題を解決する能力を持つとみなしており、特にインドの植民地支配からの独立や中国の「屈辱の世紀」といった歴史的な背景を尊重している。
ここで登場する「ポチョムキン主義(Potemkinism)」という概念は、ロシアが戦略的目的のために意図的に誤解を生む人工的な現実を作り出すことを指している。著者のコリブコによれば、この「ポチョムキン主義」は、ロシアが実際には行っていないことをあたかも行ったかのように見せるための一種のソフトパワー戦略であり、特に国際関係の文脈で用いられている。このような「ポチョムキン主義」は、ロシアの公式の外交政策とは対立する誤った認識を生み出す可能性があり、インドと中国の会談についてもこの戦略の一環として誤った情報が流布された可能性があるとしている。
具体例として、記事は著名なジャーナリストのペペ・エスコバーがスプートニクで発表したコラムに触れ、彼が「ロシアがインドと中国の会談を仲介した」と暗に示した点を批判している。このコラムが公開される直前、ロシア大使のアリポフはロシアが仲介に関与していないことを明言していたため、エスコバーの主張はロシアの公式立場と矛盾している。また、スプートニクはロシア政府から資金提供を受けているメディアであり、本来ならば外務省などの公式情報を確認できたはずであることから、この情報が意図的に発信されたのではないかと著者は推測している。
「ポチョムキン主義」の例として、この記事ではロシアとイスラエルの関係についても触れている。具体的には、ロシアが「反シオニズム的であり、イランと協力してパレスチナの解放を支援している」といった誤解が一部で広まっているが、これはロシア大統領プーチンのフィロセミティズム(ユダヤ人やイスラエルへの好意)という歴史的背景とは大きく異なる。また、ロシアがコロナウイルスのパンデミックにおけるロックダウンや強制的なワクチン接種に反対していたとする誤解、あるいはアルメニアをナゴルノ・カラバフ紛争でアゼルバイジャンに対して支持したとする誤解も「ポチョムキン主義」の一環として挙げられている。
さらに、著者はこの「ポチョムキン主義」が、ロシアがNATOに対して先制攻撃を準備しているという誤解をも引き起こしていると述べている。
【要点】
・一部のオルタナティブ・メディアでは、ロシアがインドのモディ首相と中国の習主席の会談を仲介したという誤解が広まっている。
・ロシアのインド大使であるデニス・アリポフは、ロシアがこの会談の仲介をしていないと明言している。
・アリポフ大使は、ロシアがインドと中国の国境問題の解決に関与する予定もないことを明確にしており、両国が独立国として問題を自主的に解決できる能力を尊重している。
・著者のアンドリュー・コリブコは、この誤解が「ポチョムキン主義(Potemkinism)」によるものであると主張している。
・「ポチョムキン主義」とは、ロシアがソフトパワー戦略の一環として意図的に誤った認識や人工的な現実を作り出すことを指す。
・この「ポチョムキン主義」により、ロシアが実際には行っていないこと(仲介など)があたかも行われたかのように見せられている。
・著者は、ジャーナリストのペペ・エスコバーがスプートニクに掲載したコラムにおいて、「ロシアが仲介した」とする主張がロシアの公式立場と矛盾していると批判している。
・スプートニクはロシア政府から資金提供を受けているため、本来であれば外務省などで公式情報を確認できたはずであるが、その確認が行われなかった可能性がある。
・「ポチョムキン主義」の他の例として、ロシアとイスラエルの関係や、ロシアのコロナ政策、カラバフ紛争におけるアルメニア支持、NATOへの先制攻撃準備などに関する誤解が挙げられている。
【参考】
☞ 「ポチョムキン主義(Potemkinism)」とは、実態とは異なる、人工的で見かけだけの現実を意図的に作り出すことで、特定の政治的・戦略的な目的を達成しようとする手法や概念を指す。元々は、18世紀のロシア帝国で政治家ポチョムキンが、女帝エカチェリーナ2世の視察に際し、繁栄した村のように見える「飾り村(ポチョムキン村)」を作り出したという逸話に由来する。
「ポチョムキン主義」の特徴と目的
・人工的な現実の創出:現実に存在しない成果や成功を見せかけたり、特定のイメージを操作する。
・外交・国際関係での影響力行使:他国や国際世論に対して、実際とは異なる姿勢や実力を誇示し、ロシアの影響力を強調。
・情報操作:公式メディアや特定のジャーナリストを通じて、ロシアの外交政策や立場が異なるかのような情報を発信する。
・目的:ロシアが特定の役割(例:仲介者や影響力の行使者)を果たしているように見せることで、ソフトパワーや国際的なイメージを向上させる。
事例
アンドリュー・コリブコによれば、今回のインドと中国の会談に関する誤解も「ポチョムキン主義」の一例とされている。実際にはロシアが関与していないにもかかわらず、ロシアが仲介を行ったとの印象が広まったことがその一例であり、これはロシアが「外交的に重要な役割を果たしている」とするイメージを作り出すことが目的と考えられている。
【参考はブログ作成者が付記】
【引用・参照・底本】
Fact Check: Russia Didn’t Organize The Modi-Xi Meeting In Kazan Andrew Korybko's Newsletter 2024.11.02
https://korybko.substack.com/p/fact-check-russia-didnt-organize?utm_source=post-email-title&publication_id=835783&post_id=151058595&utm_campaign=email-post-title&isFreemail=true&r=2gkj&triedRedirect=true&utm_medium=email
この記事の要点は、ロシアがインドのナレンドラ・モディ首相と中国の習近平主席との会談を仲介したとする噂が誤解であることを明確にしようとする内容である。筆者のアンドリュー・コリブコは、この噂が一部のオルタナティブ・メディア(AMC)において広まっており、それが誤った認識を生んでいると指摘している。具体的には、ロシアがインドと中国との良好な関係を活用して、両者の会談および国境問題の緊張緩和の取り決めに関与したとする見解があるが、ロシア側はそれを否定している。
記事によれば、ロシアのインド大使であるデニス・アリポフが記者会見で、ロシアがその会談を組織する役割を果たしていないと明言している。彼はまた、2022年の時点で、ロシアはインドと中国の国境問題において仲介の役割を担う予定はないと述べており、これはインドと中国の双方がこの問題を純粋に二国間の問題と見なしているためである。アリポフ大使の見解によると、ロシアは両国の独立性と主権を尊重しており、特にインドが植民地支配からの独立を成し遂げた歴史や、中国が「屈辱の世紀」と呼ばれる時代を経て台頭した背景を考慮しているとしている。
さらに、筆者は「ポチョムキン主義(Potemkinism)」という概念を用いて、ロシアが仲介を行ったという誤解が戦略的に作られた「人工的な現実」であると主張している。この用語は、ロシアの公式政策と矛盾する情報が意図的に流布されることで生まれる誤った認識を指す。具体例として、ロシアがインドと中国の間を「仲介」したとされる主張も、その一環である可能性があると筆者は考えている。筆者は、このような情報の流布が、一部のロシアのメディアエコシステム内で行われており、それが「ポチョムキン主義」の一環として意図的に行われているのではないかと推測している。
さらに、筆者は「ポチョムキン主義」の他の例として、ロシアとイスラエルの関係についての誤解、ロシアがロックダウンや強制的なワクチン接種に反対していたとする誤った認識、アルメニアを支持していたとする認識、NATOに対して先制攻撃の準備をしているという誤解などを挙げている。
【詳細】
ロシアがインドのモディ首相と中国の習主席の会談を仲介したとする噂について、ロシアが明確に否定したことを強調している。この誤解は一部のオルタナティブ・メディア(AMC)に広がっており、ロシアの中立的な立場や仲介の役割が強調されているが、実際にはロシアはそのような役割を果たしていない。著者であるアンドリュー・コリブコは、ロシアが仲介したという認識の拡散が「ポチョムキン主義」という戦略によって生まれた可能性があると論じている。
具体的には、この記事が言及するのは、ロシアのインド大使デニス・アリポフの発言であり、彼はモディ首相と習主席の会談にロシアが関与していないと公に述べている。彼は「ロシアはその会談を組織する役割を担わなかった」と言及し、インドと中国の国境問題についてもロシアは仲介する意図を持っていないと改めて表明している。ロシアは、インドと中国がそれぞれ独立した国として自主的に問題を解決する能力を持つとみなしており、特にインドの植民地支配からの独立や中国の「屈辱の世紀」といった歴史的な背景を尊重している。
ここで登場する「ポチョムキン主義(Potemkinism)」という概念は、ロシアが戦略的目的のために意図的に誤解を生む人工的な現実を作り出すことを指している。著者のコリブコによれば、この「ポチョムキン主義」は、ロシアが実際には行っていないことをあたかも行ったかのように見せるための一種のソフトパワー戦略であり、特に国際関係の文脈で用いられている。このような「ポチョムキン主義」は、ロシアの公式の外交政策とは対立する誤った認識を生み出す可能性があり、インドと中国の会談についてもこの戦略の一環として誤った情報が流布された可能性があるとしている。
具体例として、記事は著名なジャーナリストのペペ・エスコバーがスプートニクで発表したコラムに触れ、彼が「ロシアがインドと中国の会談を仲介した」と暗に示した点を批判している。このコラムが公開される直前、ロシア大使のアリポフはロシアが仲介に関与していないことを明言していたため、エスコバーの主張はロシアの公式立場と矛盾している。また、スプートニクはロシア政府から資金提供を受けているメディアであり、本来ならば外務省などの公式情報を確認できたはずであることから、この情報が意図的に発信されたのではないかと著者は推測している。
「ポチョムキン主義」の例として、この記事ではロシアとイスラエルの関係についても触れている。具体的には、ロシアが「反シオニズム的であり、イランと協力してパレスチナの解放を支援している」といった誤解が一部で広まっているが、これはロシア大統領プーチンのフィロセミティズム(ユダヤ人やイスラエルへの好意)という歴史的背景とは大きく異なる。また、ロシアがコロナウイルスのパンデミックにおけるロックダウンや強制的なワクチン接種に反対していたとする誤解、あるいはアルメニアをナゴルノ・カラバフ紛争でアゼルバイジャンに対して支持したとする誤解も「ポチョムキン主義」の一環として挙げられている。
さらに、著者はこの「ポチョムキン主義」が、ロシアがNATOに対して先制攻撃を準備しているという誤解をも引き起こしていると述べている。
【要点】
・一部のオルタナティブ・メディアでは、ロシアがインドのモディ首相と中国の習主席の会談を仲介したという誤解が広まっている。
・ロシアのインド大使であるデニス・アリポフは、ロシアがこの会談の仲介をしていないと明言している。
・アリポフ大使は、ロシアがインドと中国の国境問題の解決に関与する予定もないことを明確にしており、両国が独立国として問題を自主的に解決できる能力を尊重している。
・著者のアンドリュー・コリブコは、この誤解が「ポチョムキン主義(Potemkinism)」によるものであると主張している。
・「ポチョムキン主義」とは、ロシアがソフトパワー戦略の一環として意図的に誤った認識や人工的な現実を作り出すことを指す。
・この「ポチョムキン主義」により、ロシアが実際には行っていないこと(仲介など)があたかも行われたかのように見せられている。
・著者は、ジャーナリストのペペ・エスコバーがスプートニクに掲載したコラムにおいて、「ロシアが仲介した」とする主張がロシアの公式立場と矛盾していると批判している。
・スプートニクはロシア政府から資金提供を受けているため、本来であれば外務省などで公式情報を確認できたはずであるが、その確認が行われなかった可能性がある。
・「ポチョムキン主義」の他の例として、ロシアとイスラエルの関係や、ロシアのコロナ政策、カラバフ紛争におけるアルメニア支持、NATOへの先制攻撃準備などに関する誤解が挙げられている。
【参考】
☞ 「ポチョムキン主義(Potemkinism)」とは、実態とは異なる、人工的で見かけだけの現実を意図的に作り出すことで、特定の政治的・戦略的な目的を達成しようとする手法や概念を指す。元々は、18世紀のロシア帝国で政治家ポチョムキンが、女帝エカチェリーナ2世の視察に際し、繁栄した村のように見える「飾り村(ポチョムキン村)」を作り出したという逸話に由来する。
「ポチョムキン主義」の特徴と目的
・人工的な現実の創出:現実に存在しない成果や成功を見せかけたり、特定のイメージを操作する。
・外交・国際関係での影響力行使:他国や国際世論に対して、実際とは異なる姿勢や実力を誇示し、ロシアの影響力を強調。
・情報操作:公式メディアや特定のジャーナリストを通じて、ロシアの外交政策や立場が異なるかのような情報を発信する。
・目的:ロシアが特定の役割(例:仲介者や影響力の行使者)を果たしているように見せることで、ソフトパワーや国際的なイメージを向上させる。
事例
アンドリュー・コリブコによれば、今回のインドと中国の会談に関する誤解も「ポチョムキン主義」の一例とされている。実際にはロシアが関与していないにもかかわらず、ロシアが仲介を行ったとの印象が広まったことがその一例であり、これはロシアが「外交的に重要な役割を果たしている」とするイメージを作り出すことが目的と考えられている。
【参考はブログ作成者が付記】
【引用・参照・底本】
Fact Check: Russia Didn’t Organize The Modi-Xi Meeting In Kazan Andrew Korybko's Newsletter 2024.11.02
https://korybko.substack.com/p/fact-check-russia-didnt-organize?utm_source=post-email-title&publication_id=835783&post_id=151058595&utm_campaign=email-post-title&isFreemail=true&r=2gkj&triedRedirect=true&utm_medium=email
米国の韓国占領 ― 2024年11月02日 20:05
【概要】
アメリカの韓国占領について、以下の要点に沿って説明する。
アメリカの駐留軍と基地
現在、韓国には約25,400人のアメリカ軍兵士が駐留しており、これは日本やドイツに次ぐ規模である。アメリカ陸軍は約二十の基地と140以上の指揮所をカウントしており、主要な基地としては、ソウルから約65km南に位置するキャンプ・ハンフリーズがある。アメリカ海軍は、釜山、鎮海、平澤などの沿岸都市に基地を持ち、釜山基地はNimitz級航空母艦や核潜水艦を含む最大30隻の艦船を同時に受け入れることが可能である。アメリカ空軍は、主にオサンと群山の空軍基地から任務を遂行している。アメリカ海兵隊は、キャンプ・ムジュクという基地を運営している。
アメリカ軍の役割と活動
アメリカ軍は、韓国における軍事的なプレゼンスを維持し、地域の安定を図る役割を果たしている。具体的には、米韓の共同軍事演習や戦略的資産の展開を通じて、北朝鮮に対抗するための防衛戦略を強化している。最近、米国防総省のロイド・オースティン長官は、韓国との核および戦略的計画の深化を発表した。
アメリカ軍の歴史的スキャンダル
アメリカ軍の韓国駐留には、犯罪やスキャンダルがついて回る。歴史的に、アメリカ兵は売春や人身売買、強姦、未成年者への虐待、薬物関連の犯罪に関与してきた。これらの事件は、韓国国内でのアメリカ軍の評判に悪影響を及ぼしている。
兵士撤退の呼びかけと背景
アメリカの一部政治家は韓国からの兵士撤退を提唱している。例えば、元国防長官マーク・エスパーは、ドナルド・トランプが韓国からの完全撤退を提案したと述べている。トランプはまた、韓国が防衛費を適正に負担しない場合、アメリカ軍が撤退する可能性があると警告している。
北朝鮮との緊張関係
北朝鮮は、アメリカ軍の駐留や米韓共同演習を「挑発」と見なし、その結果として核開発を進めている。近年、バイデン政権下では、韓国との軍事演習が再開され、北朝鮮との緊張が再び高まった。
アメリカの韓国における駐留は、地政学的な緊張を生み出しつつも、地域の安全保障における役割を果たしているが、その存在はさまざまな社会的および政治的課題を引き起こしている。
【詳細】
アメリカの韓国における駐留軍とその関連状況について、さらに詳細に説明する。
駐留軍の規模と基地
アメリカの駐留軍は、韓国の安全保障と地域の安定において重要な役割を果たしている。現在、約25,400人の兵士が韓国に駐留しており、これはアメリカの海外基地の中で日本とドイツに次いで3番目に多い数である。主な基地とその機能は以下の通りである。
・キャンプ・ハンフリーズ: アメリカ最大の海外基地であり、陸軍、空軍、海軍の各部隊が駐留。ソウルから約65km南に位置し、指揮の中心となっている。
・オサン空軍基地: 空軍の主な基地の一つであり、アメリカの航空作戦の拠点として機能している。特に北朝鮮への攻撃や監視において重要な役割を担っている。
・群山空軍基地: 韓国南西部に位置し、オサン基地と共にアメリカの空軍活動を支えている。
・釜山、鎮海、平澤: 海軍の基地があり、釜山基地はNimitz級航空母艦や核潜水艦を受け入れる能力を持つ。これにより、地域の海上安全保障を維持している。
アメリカの軍事的戦略
アメリカ軍の韓国駐留は、冷戦時代から続いており、北朝鮮の脅威に対抗するための戦略的な位置付けとなっている。アメリカは韓国との共同軍事演習を通じて、互いの防衛能力を向上させている。最近では、核戦略や戦略的資産の定期的な展開を強化しており、これは北朝鮮への強い抑止力となっている。
歴史的背景と軍の役割
アメリカの軍事介入は、第二次世界大戦の終結後、1945年に始まり、韓国戦争(1950-1953)を経て現在に至る。戦争中、アメリカは韓国に大量の爆弾を投下し、戦後の復興に大きな影響を与えた。アメリカの駐留軍は、韓国の軍事的な自立を支援しつつ、地域の安全を確保する役割を果たしている。
スキャンダルと社会的影響
アメリカ軍の存在は、様々なスキャンダルを引き起こしてきた。特に、兵士による性的犯罪や人身売買、麻薬関連の事件が報じられ、韓国社会においてアメリカ軍に対する反感を引き起こす要因となっている。これらの犯罪は、在韓アメリカ軍の評判を傷つけ、韓国国民の感情に影響を与えている。
兵士撤退の議論と政治的立場
アメリカ国内でも、韓国からの兵士撤退を求める声が上がっている。特にトランプ政権下では、防衛費を巡る議論が活発化し、「富裕な韓国がアメリカに対して適切に負担しない場合、兵士を撤退させるべきだ」という主張が出た。これに対し、元国防長官のマーク・エスパーは、トランプが完全撤退を提案したことを示唆し、彼を説得してこの考えを撤回させる努力をしたと述べている。
北朝鮮との緊張関係
アメリカの駐留は、北朝鮮にとって大きな脅威と認識されており、そのため北朝鮮は核兵器の開発を進める理由と位置付けている。北朝鮮は、米韓軍の共同演習を「挑発」と見なし、これに対抗する形で軍事力を増強している。バイデン政権下では、韓国との軍事演習が再開され、北朝鮮との緊張が再び高まった。
結論
アメリカの韓国における軍事的プレゼンスは、地域の安定を保つために重要である一方、スキャンダルや政治的な議論を引き起こす要因ともなっている。今後の米韓関係や北朝鮮との関係の展開は、韓国の安全保障や地域の平和に大きな影響を与えると考えられる。
【要点】
アメリカの韓国駐留軍に関する情報を箇条書きでまとめたものです。
駐留軍の規模と基地
・約25,400人のアメリカ兵が韓国に駐留。
・駐留地はアメリカの海外基地で日本とドイツに次いで多い。
・主な基地:
⇨ キャンプ・ハンフリーズ: アメリカ最大の海外基地、指揮中心。
⇨ オサン空軍基地: 主に航空作戦を担う。
⇨ 群山空軍基地: オサンと共に空軍活動を支援。
⇨ 釜山、鎮海、平澤: 海軍基地、釜山基地は大型艦を受け入れ可能。
アメリカの軍事的戦略
・韓国駐留は北朝鮮への抑止力。
・定期的な米韓共同軍事演習を実施。
・核戦略や戦略的資産の展開を強化。
歴史的背景と軍の役割
・1945年以降、冷戦時代から駐留が始まる。
・韓国戦争中に大規模な爆撃が行われた。
・韓国の軍事的自立を支援しつつ、地域の安全確保に寄与。
スキャンダルと社会的影響
・性的犯罪や人身売買、麻薬関連の事件が発生。
・在韓アメリカ軍に対する反感を引き起こす要因となる。
兵士撤退の議論と政治的立場
・兵士撤退を求める声がアメリカ国内で存在。
・トランプ政権下での防衛費に関する議論が活発。
・元国防長官マーク・エスパーが撤退提案を撤回させる努力をした。
北朝鮮との緊張関係
・アメリカの駐留を北朝鮮の脅威と認識。
・米韓軍の共同演習を「挑発」と見なす。
・バイデン政権下で軍事演習が再開し、緊張が高まる。
結論
・アメリカの韓国駐留は地域の安定に寄与する一方、スキャンダルや政治的議論を引き起こす要因となる。今後の米韓関係や北朝鮮との関係の展開が注目される。
【引用・参照・底本】
America’s Occupation of Korea: Where Are US Troops Based and What Scandals Have They Been Mired in? sputnik international 2024.11.02
https://sputnikglobe.com/20241101/americas-occupation-of-korea-where-are-us-troops-based-and-what-scandals-have-they-been-mired-in-1120746929.html
アメリカの韓国占領について、以下の要点に沿って説明する。
アメリカの駐留軍と基地
現在、韓国には約25,400人のアメリカ軍兵士が駐留しており、これは日本やドイツに次ぐ規模である。アメリカ陸軍は約二十の基地と140以上の指揮所をカウントしており、主要な基地としては、ソウルから約65km南に位置するキャンプ・ハンフリーズがある。アメリカ海軍は、釜山、鎮海、平澤などの沿岸都市に基地を持ち、釜山基地はNimitz級航空母艦や核潜水艦を含む最大30隻の艦船を同時に受け入れることが可能である。アメリカ空軍は、主にオサンと群山の空軍基地から任務を遂行している。アメリカ海兵隊は、キャンプ・ムジュクという基地を運営している。
アメリカ軍の役割と活動
アメリカ軍は、韓国における軍事的なプレゼンスを維持し、地域の安定を図る役割を果たしている。具体的には、米韓の共同軍事演習や戦略的資産の展開を通じて、北朝鮮に対抗するための防衛戦略を強化している。最近、米国防総省のロイド・オースティン長官は、韓国との核および戦略的計画の深化を発表した。
アメリカ軍の歴史的スキャンダル
アメリカ軍の韓国駐留には、犯罪やスキャンダルがついて回る。歴史的に、アメリカ兵は売春や人身売買、強姦、未成年者への虐待、薬物関連の犯罪に関与してきた。これらの事件は、韓国国内でのアメリカ軍の評判に悪影響を及ぼしている。
兵士撤退の呼びかけと背景
アメリカの一部政治家は韓国からの兵士撤退を提唱している。例えば、元国防長官マーク・エスパーは、ドナルド・トランプが韓国からの完全撤退を提案したと述べている。トランプはまた、韓国が防衛費を適正に負担しない場合、アメリカ軍が撤退する可能性があると警告している。
北朝鮮との緊張関係
北朝鮮は、アメリカ軍の駐留や米韓共同演習を「挑発」と見なし、その結果として核開発を進めている。近年、バイデン政権下では、韓国との軍事演習が再開され、北朝鮮との緊張が再び高まった。
アメリカの韓国における駐留は、地政学的な緊張を生み出しつつも、地域の安全保障における役割を果たしているが、その存在はさまざまな社会的および政治的課題を引き起こしている。
【詳細】
アメリカの韓国における駐留軍とその関連状況について、さらに詳細に説明する。
駐留軍の規模と基地
アメリカの駐留軍は、韓国の安全保障と地域の安定において重要な役割を果たしている。現在、約25,400人の兵士が韓国に駐留しており、これはアメリカの海外基地の中で日本とドイツに次いで3番目に多い数である。主な基地とその機能は以下の通りである。
・キャンプ・ハンフリーズ: アメリカ最大の海外基地であり、陸軍、空軍、海軍の各部隊が駐留。ソウルから約65km南に位置し、指揮の中心となっている。
・オサン空軍基地: 空軍の主な基地の一つであり、アメリカの航空作戦の拠点として機能している。特に北朝鮮への攻撃や監視において重要な役割を担っている。
・群山空軍基地: 韓国南西部に位置し、オサン基地と共にアメリカの空軍活動を支えている。
・釜山、鎮海、平澤: 海軍の基地があり、釜山基地はNimitz級航空母艦や核潜水艦を受け入れる能力を持つ。これにより、地域の海上安全保障を維持している。
アメリカの軍事的戦略
アメリカ軍の韓国駐留は、冷戦時代から続いており、北朝鮮の脅威に対抗するための戦略的な位置付けとなっている。アメリカは韓国との共同軍事演習を通じて、互いの防衛能力を向上させている。最近では、核戦略や戦略的資産の定期的な展開を強化しており、これは北朝鮮への強い抑止力となっている。
歴史的背景と軍の役割
アメリカの軍事介入は、第二次世界大戦の終結後、1945年に始まり、韓国戦争(1950-1953)を経て現在に至る。戦争中、アメリカは韓国に大量の爆弾を投下し、戦後の復興に大きな影響を与えた。アメリカの駐留軍は、韓国の軍事的な自立を支援しつつ、地域の安全を確保する役割を果たしている。
スキャンダルと社会的影響
アメリカ軍の存在は、様々なスキャンダルを引き起こしてきた。特に、兵士による性的犯罪や人身売買、麻薬関連の事件が報じられ、韓国社会においてアメリカ軍に対する反感を引き起こす要因となっている。これらの犯罪は、在韓アメリカ軍の評判を傷つけ、韓国国民の感情に影響を与えている。
兵士撤退の議論と政治的立場
アメリカ国内でも、韓国からの兵士撤退を求める声が上がっている。特にトランプ政権下では、防衛費を巡る議論が活発化し、「富裕な韓国がアメリカに対して適切に負担しない場合、兵士を撤退させるべきだ」という主張が出た。これに対し、元国防長官のマーク・エスパーは、トランプが完全撤退を提案したことを示唆し、彼を説得してこの考えを撤回させる努力をしたと述べている。
北朝鮮との緊張関係
アメリカの駐留は、北朝鮮にとって大きな脅威と認識されており、そのため北朝鮮は核兵器の開発を進める理由と位置付けている。北朝鮮は、米韓軍の共同演習を「挑発」と見なし、これに対抗する形で軍事力を増強している。バイデン政権下では、韓国との軍事演習が再開され、北朝鮮との緊張が再び高まった。
結論
アメリカの韓国における軍事的プレゼンスは、地域の安定を保つために重要である一方、スキャンダルや政治的な議論を引き起こす要因ともなっている。今後の米韓関係や北朝鮮との関係の展開は、韓国の安全保障や地域の平和に大きな影響を与えると考えられる。
【要点】
アメリカの韓国駐留軍に関する情報を箇条書きでまとめたものです。
駐留軍の規模と基地
・約25,400人のアメリカ兵が韓国に駐留。
・駐留地はアメリカの海外基地で日本とドイツに次いで多い。
・主な基地:
⇨ キャンプ・ハンフリーズ: アメリカ最大の海外基地、指揮中心。
⇨ オサン空軍基地: 主に航空作戦を担う。
⇨ 群山空軍基地: オサンと共に空軍活動を支援。
⇨ 釜山、鎮海、平澤: 海軍基地、釜山基地は大型艦を受け入れ可能。
アメリカの軍事的戦略
・韓国駐留は北朝鮮への抑止力。
・定期的な米韓共同軍事演習を実施。
・核戦略や戦略的資産の展開を強化。
歴史的背景と軍の役割
・1945年以降、冷戦時代から駐留が始まる。
・韓国戦争中に大規模な爆撃が行われた。
・韓国の軍事的自立を支援しつつ、地域の安全確保に寄与。
スキャンダルと社会的影響
・性的犯罪や人身売買、麻薬関連の事件が発生。
・在韓アメリカ軍に対する反感を引き起こす要因となる。
兵士撤退の議論と政治的立場
・兵士撤退を求める声がアメリカ国内で存在。
・トランプ政権下での防衛費に関する議論が活発。
・元国防長官マーク・エスパーが撤退提案を撤回させる努力をした。
北朝鮮との緊張関係
・アメリカの駐留を北朝鮮の脅威と認識。
・米韓軍の共同演習を「挑発」と見なす。
・バイデン政権下で軍事演習が再開し、緊張が高まる。
結論
・アメリカの韓国駐留は地域の安定に寄与する一方、スキャンダルや政治的議論を引き起こす要因となる。今後の米韓関係や北朝鮮との関係の展開が注目される。
【引用・参照・底本】
America’s Occupation of Korea: Where Are US Troops Based and What Scandals Have They Been Mired in? sputnik international 2024.11.02
https://sputnikglobe.com/20241101/americas-occupation-of-korea-where-are-us-troops-based-and-what-scandals-have-they-been-mired-in-1120746929.html
袋小路の日朝関係 ― 2024年11月02日 20:31
【概要】
日本の北東アジアにおける緊張緩和の役割について議論が展開されている。石破首相は前任者の路線を引き継ぎ、北朝鮮による日本人拉致問題の解決に向けて金正恩総書記との会談に意欲を示しているが、過去の成功体験を再現するのは難しいと指摘されている。
2002年に小泉純一郎首相が行った訪朝の際、金正日総書記との会談によって拉致問題が一時的に進展し、5人の拉致被害者が帰国したが、その後の状況は改善されていない。ロシア科学アカデミーや中国現代アジア研究所のアレクサンドル・ジェビン上級研究員は、岸田政権下では日本と北朝鮮の関係が行き詰まり、拉致問題のみをテーマにした首脳会談は難しいと述べている。
ジェビン氏は、日本が北朝鮮が関心を持つ他のテーマについて議論する意向を示せば、会談が実現する可能性があると指摘し、具体的な成果を得られる可能性を示唆している。しかし、拉致被害者や加害者が多く亡くなっており、物理的な理由から要求を変更しなければ実現は難しいとの見解も示している。
さらに、ジェビン氏は日本における拉致被害者の数が不明瞭であり、国内での行方不明者や米軍関係者による犯罪、強制連行された朝鮮人などの問題にも言及している。小泉氏の訪朝後、日本は北東アジアの緊張緩和に主導的な役割を果たせたはずであったが、米国の外交政策によって多くの試みが失敗に終わったとの見解が示されている。
このように、日本が直面している課題や過去の経緯を踏まえつつ、北東アジアにおける日本の役割についての見解が提供されている。
【詳細】
日本の北東アジアにおける緊張緩和の役割とその背景が詳しく分析されている。特に、北朝鮮による日本人拉致問題とそれに対する日本政府のアプローチが中心に据えられている。以下に、詳細を分解して説明する。
1. 現在の政治状況
石破首相のアプローチ: 石破氏は、北朝鮮の金正恩総書記との会談に意欲を示しており、前任者の路線を継承している。拉致問題の解決が彼の優先課題であることが明示されている。
2. 過去の成功体験
小泉純一郎首相の訪朝: 2002年、小泉首相は平壌を訪れ、金正日総書記と会談した。この会談では、日本人拉致問題が取り上げられ、北朝鮮が日本人13人の拉致を認め、謝罪したことが記録されている。この時、5人の拉致被害者が帰国した。この成功は、対北朝鮮外交の一つのピークとして記憶されているが、その後の進展は見られなかった。
3. 岸田政権下の行き詰まり
両国関係の悪化: 岸田文雄前首相の下では、日朝関係が完全に行き詰まっており、拉致問題だけをテーマにした首脳会談の実現は難しいとされている。ジェビン氏は、この状況を「袋小路」に例えている。
4. 拉致問題の複雑さ
実現可能性の指摘: ジェビン氏は、日本が北朝鮮が関心を持つ他のテーマ(例えば、経済支援や地域安全保障など)を持ちかけることで、首脳会談の可能性が生まれると指摘している。ただし、その結果として具体的な成果(例: 生存する日本人の帰国)が得られるかどうかは不透明である。
5. 歴史的文脈
時間の経過: 1970年代からの拉致問題は半世紀以上前の出来事であり、被害者や加害者、さらにはこの問題に詳しい人々の多くがすでに亡くなっていることが指摘されている。このため、拉致問題の解決には物理的な限界があるとされている。
6. 日本国内の視点
行方不明者の問題: ジェビン氏は、日本における拉致被害者の数が不明瞭であることを指摘している。国内での行方不明者の数や、米軍関係者による犯罪、さらには日本による韓国人の強制連行(慰安婦問題)などが、拉致問題と同様に重要であると述べている。これらの問題は日本国内では軽視されがちであるが、北朝鮮や韓国にとっては重大な課題である。
7. 国際的な影響
米国の役割: 小泉首相の訪朝から数週間後、米国の外交政策が日本と北朝鮮の関係に影響を与えた。米国務次官補がソウルを訪れ、秘密交渉を批判したことや、朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)などの日朝関係の正常化に向けた試みが失敗に終わったことが挙げられる。この結果、日本が北東アジアにおいて主導的役割を果たす機会を失ったとの見解が示されている。
8. 結論
全体として、日本が北東アジアにおける緊張緩和に向けて主導的役割を担えた可能性があったことを示唆しているが、その実現には複雑な歴史的背景や国内外の状況が影響していることを強調している。また、拉致問題の解決には他のテーマを絡める必要があるものの、時間の経過とともに状況が厳しくなっていることが指摘されている。
【要点】
・石破首相の意欲: 北朝鮮の金正恩総書記との会談に意欲を示し、拉致問題解決を優先課題としている。
・小泉首相の訪朝: 2002年、小泉純一郎首相が平壌を訪れ、金正日総書記と会談。日本人13人の拉致を認めさせ、5人が帰国した。
・岸田政権下の行き詰まり: 岸田文雄前首相のもとで日朝関係が悪化し、拉致問題のみをテーマにした首脳会談は困難。
・会談の可能性: 日本が北朝鮮が関心を持つ他のテーマを持ちかければ、会談の可能性が出てくるが、具体的な成果は不透明。
・歴史的背景: 拉致問題は1970年代から続いており、関係者の多くがすでに亡くなっているため、解決が難しい。
・国内の視点: 拉致被害者の数が不明瞭であり、日本国内の行方不明者や米軍関係者による犯罪、慰安婦問題などが同様に重要視されていない。
・米国の役割: 小泉訪朝後、米国の外交政策が日朝関係に影響を与え、重要な試みが失敗に終わった。
・結論: 日本は北東アジアの緊張緩和において主導的役割を果たせた可能性があったが、複雑な状況がそれを妨げている。
【参考】
以下は 桃源閑話(https://www.asahi-net.or.jp/~np9i-adc/tkanwa00.htm) からの引用である。
☞ 普通の国へ - 2018年09月04日 12:36
米朝首脳会談(2018年6月12日:シンガポール セントーサ島)、その内容においては、会談前の鎬を削る折衝を重ねた結果というよりも、横着を決め込んだような共同声明となっている。
が、米朝を共に投網に掛けるには十分である。何の為の網か、無論、北東アジアのみならず世界平和の為である。
トランプ政権になり、国際社会の不安定はいやがうえにも険悪化し戦争への気運も高まる。自国優先を掲げて同盟国をも対象とする無差別の粗粗しい“制裁”という貿易政策を強引に押し通す一方的な手法が国際社会から顰蹙を買っている。
未だ世界一の経済力と軍事力で覇権を握る米国ではあるが、その両輪の衰頽する兆候はトランプ政権の焦りともなってあらわれ、米国に追随し、凌駕しようとする国々に対し抗うことになる。たとえ米国が隆盛の一途を辿ろうとも、ひたひたと迫る足音には振り向かざるを得ない。
史上初の米朝首脳会談が開かれた。予測不能なトランプ氏と合理的に対応すれば対話が可能な金正恩氏との世界が注目する出会いであった。ただ付きまとう不安は両首脳の声明に規定する行動の曖昧さである。
いずれにしろ一抹の不安を抱きながらも世界は注目し、朝鮮半島発の平和機運を一時味わった。
トランプ大統領は、「多くのミサイルが上空を飛び越えた日本は、私の仕事をとても喜んでいる」と自賛し、また金正恩委員長は文大統領に「大統領が朝まで眠れるようになることを私が確認します」と冗談を飛ばした。
明け方の北朝鮮のミサイル発射に、文大統領は国家安全保障会議(NSC)を招集し対応していた。日本もまた日本海にイージス護衛艦の艦対空ミサイルSM3、そして撃ち損じに備える地対空迎撃ミサイルPAC3の配置でオロオロしていた。
米朝両首脳とも日韓の狼狽は百も承知なのだ。互いのブラックユーモアの向かう先は、米国でもなく北朝鮮でもなく、日韓なのだ。
安倍首相、李克強首相、文在寅大統領の日中韓首脳会談(東京 5月9日)の共同声明では、「朝鮮半島の完全な非核化及び朝鮮半島における恒久的な平和体制の構築という共通の目標を確認した「朝鮮半島の平和と繁栄,統一のための板門店宣言文」を特に評価し,歓迎する」とした。
が、北朝鮮の非核化に関する安倍首相は際立っていて、完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)を強調すると共に拉致についても提起し、3か国間の思惑の違いを浮き出させた。
ポンペイオ米国務長官との非核協議(7月6・8日:北朝鮮)ついて、北朝鮮の外務省は声明で、「アメリカ側は、CVID=完全で検証可能、かつ、不可逆的な非核化や、検証など、強盗のような要求ばかりを持ち出した」と。
北朝鮮にとって、一方的な非核化そしてCVIDなどは“強盗のような要求”だ、との認識なのだ。経済制裁などは受けていても、北朝鮮は決して敗戦国でもないし、況して被占領国でもない。この点を忘れての交渉事は、ただ暴力や脅迫で他人の財物を奪う者に等しく、今や核爆弾を持つ“核保有国の仲間入り”を果たしたとの北朝鮮に抵抗され峻拒されるのは当然である。
北朝鮮の主張する「行動対行動」が原則であって、米国が「北朝鮮に安全の保証を与えることを約束(「President Trump committed to provide security guarantees to the DPRK」)」したことを“行動”で示す必要がある。
最近(VOX Aug 29, 2018 EDT)「Trump promised Kim Jong Un he’d sign an agreement to end the Korean War」との記事がある。
北朝鮮がなぜ核ミサイル等を開発進展させるかの根本には、“米国の脅威”あるからなのだ。それは米国のように世界の覇者として君臨するためにではなく、米国の威嚇・恫喝などの対象から逃れ、対等であることを欲するからだ。
一方的に北朝鮮が非核化を“約束”したのではなく(「and Chairman Kim Jong Un reaffirmed his firm and unwavering commitment to complete denuclearization of the Korean Peninsula」)、歴史的な米朝主脳会談へ漕ぎつけたその前提に、「朝鮮半島で非正常な現在の停戦状態を終息させ、確固たる平和体制を樹立するのは、これ以上先送りできない歴史的課題だ」という認識に、金正恩側から歩み寄った。そして、「南と北は、完全な非核化を通じて、核のない朝鮮半島を実現するという共通の目標を確認した」のだ。
行動対行動の原則では、本来、圧倒的軍事的優位に立つ米国側が先に平和への具体的提言があってこそ、成立する。万が一それでも北朝鮮が“行動”しない時にこそ、米国は声高に北朝鮮を非難できる。
最大限の制裁と圧力は其れだけでも、軍事的緊張を高める。しかし、北朝鮮は制裁にも緊張にも耐えている。
北朝鮮は外部圧力によって鎖国化されている状態だ。まるで“窮鼠”のようである。河野外相は北朝鮮との国交断絶(国際連合憲章第41条を意識してなのだろうか)さえ他国に求めた。
現状のトランプ政権の在り方では北朝鮮に疑心が生ずるのは仕方がない。だからこそ米国の安全保証への具体案が必要なのだ。金正恩というめったにない意思決定者を得たのだ。この機会を逃すようではトランプ大統領、端からやる気がないのか、或いは“交渉人”としても“おいぼれ(dotard)”となったかである。
韓国は「板門店宣言」で安堵を得た上に、米朝首脳会談で、板門店宣言がメインディッシュとなった。添え物としては米朝の共同声明の中に、「2 米国と北朝鮮は、朝鮮半島において持続的で安定した平和体制を築くため共に努力する」などがある。
そして北朝鮮の非核化も北朝鮮制裁決議の見直しも其の成果は掛かって韓国の文大統領の双肩にある。如何に他国の思惑に左右されず、そして米政権を説得するかである。
核兵器と核計画の完全な廃棄は国際社会の二枚舌の虚を衝くことでもある。北朝鮮は核兵器禁止条約の制定交渉開始定めた決議採択(2016年10月27日)に賛成した。
核兵器禁止条約交渉会議で、当時の岸田外相は「「核兵器のない世界」に対して現実に資さないのみならず,核兵器国と非核兵器国の対立を一層深めるという意味で,逆効果にもなりかねない」という考えに至ったと。
しかし、包括的核実験禁止条約(CTBT・未発効)、核兵器不拡散条約(NPT)などは、未臨界核実験などの抜け穴技術で反故同然であり、言わば核保有国が相互に軍事力の優位性をいかに保つかに重点が置かれているのである。そして埒外の国には効果なしである。要するに核保有国同士の対立を包含し、保有国と非保有国の対立も既存のことである。更に今では戦術核兵器の使用も現実のこととなっている。インド・パキスタン・イスラエルそして北朝鮮の例は、特にその核の傘の内にある国も含め、二枚舌の矛盾の証左であり、絵空事に近い。NPTに加盟していないインドと日本の原子力協定などはどうか。
前岸田外相の“逆効果にもなりかねない”などは噴飯ものである。考えてみれば、核兵器廃絶決議案を長年出し続けている日本“なのに”である。むしろ更に対立(議論)を深め、核兵器禁止条約を推し進め、核保有国対他国連加盟国と成し核兵器禁止という目標に向かうべきではないのか。
日本は北朝鮮に非核化を求めるなら、なおさら核兵器の全面廃止と根絶を求める核兵器禁止条約に署名・批准をすべきである。「条約とは考え方、アプローチを異にしている。参加しない考えに変わりない」との安倍首相の弁、“アプローチ”は種々であり目標は一つだ。言い訳にしか聞こえない。
安倍首相と河野外相は制裁・圧力の一辺倒を唱え続け、更に外相は不適切にも他国に対し北朝鮮との国交断絶まで求める(2018年1月16日カナダ・バンクーバー20か国外相会合)始末なのだ。
正に「大勢判別能力がまひした愚か者のたわ言」なのかもしれない。
最近でも外相は国連安全保障理事会の非常任理事国であるペルーを訪れ、「北朝鮮の完全な非核化に向けて、安保理決議に基づく制裁措置を維持するよう」各国への呼びかけを確認するのである。
蚊帳の外から、“平和を希求する”ことに、真っ向から立ちはだかる日本である。
戦争を避け平和を持続させる少しの機会でも其処にあるのなら、見逃さず育てていこうとする気構えを失くしている。
北朝鮮の非核化を叫ぶも、実態は北朝鮮を追い詰める制裁を、そして拉致問題を呪文の如く唱えている。制裁それ自体も人頼みの拉致問題も既に何ら得るものも無い状況である。
呪文はただ安倍政権という反動政権を暫し生き存えさせるだけだ。
制裁の破綻が今の政治状況であり、北朝鮮の核開発を抑制するどころか運搬手段の核ミサイルまで進展させてしまった。
制裁に関し金正恩党委員長は、「強盗のような制裁封鎖でわが人民を窒息させようとする敵対勢力との激しい対決戦」である、と。また、「奮い立った人民の沸き返る熱意によって最も難しくて骨の折れる条件でも神話的な奇跡の歴史を記している」とも。
米朝会談の前にトランプ大統領は制裁を続けるも「最大限の圧力という言葉はこれ以上使わない」と、調子を落とした。
さて、“おいぼれ”のトランプ氏に率いられる政権下には、地道に論理を追って交渉する有為な人材は見当たらない。場当たり的で恫喝に長けた者では北朝鮮の敵ではないし、門前払いとなる。好戦的で信憑性に欠ける言辞を弄する“バカ”ばかりが固める。要はトランプ政権内での綿密な打ち合わせもなく、ただトランプ氏の世界に向かっての“ホエザル・ツイッター”がすべてであり、それへの“忖度”が配下の為せるすべてなのだろう。ゆえに裏付けなしの報道がまかり通っている。
米国次第で、当然、元の木阿弥も含めてだが、いずれ国際社会は雪崩を打つように大きく揺れる。世界に制裁という爆弾が飛び交い、それが高じて実物が落とされるのか。或いは米政権の著変か。
日本は戦争への“橋渡し役”に勤しむのか。安倍首相の双眸に映るのは国民無視と戦争準備である。
「韓半島(朝鮮半島)問題は我々が主人という認識が非常に重要だ」と、光復節73周年式典の祝辞で文大統領。
その通りである。
さて、非核化に関し、具体策は皆無ではあるが、歴史的といわれる米朝首脳会談の共同声明の核心部分は、「3 2018年4月27日の「板門店宣言」を再確認し、北朝鮮は朝鮮半島における完全非核化に向けて努力すると約束する(「3.Reaffirming the April 27, 2018 Panmunjom Declaration, the DPRK commits to work toward complete denuclearization of the Korean Peninsula.」)である。
そして、入れ子になっている「板門店宣言」では、「3.(4)南と北は、完全な非核化を通じて、核のない朝鮮半島を実現するという共通の目標を確認した。南と北は、北側が取っている主導的な措置は、朝鮮半島の非核化のために非常に大きな意義があり、重大な措置だという認識をともにし、今後それぞれが、みずからの責任と役割を果たすことにした。南と北は、朝鮮半島の非核化のための国際社会の支持と協力のために積極努力することにした」(「④ 남과 북은 완전한 비핵화를 통해 핵 없는 한반도를 실현한다는 공동의 목표를 확인하였다. 남과 북은 북측이 취하고 있는 주동적인 조치들이 한반도 비핵화를 위해 대단히 의의 있고 중대한 조치라는데 인식을 같이 하고 앞으로 각기 자기의 책임과 역할을 다하기로 하였다. 남과 북은 한반도 비핵화를 위한 국제사회의 지지와 협력을 위해 적극 노력하기로 하였다.)となっている。
“核のない朝鮮半島”、“朝鮮半島の非核化”の真の意味は、早合点すると、当然“北朝鮮の核”だ、となる。もしかすると、金正恩氏もそう思っているのかも知れないが、何せ理屈っぽい北朝鮮側である。
韓半島(朝鮮半島)の非核三原則(「核を持たない」「持ち込ませない」「核を作らない」)、それに朝鮮半島にとり最も危険(敵対)と見做される日本を巻き込んでの核兵器禁止となる“朝鮮半島の非核化”かも知れないのだ。
終戦宣言に続く法的効力がある平和協定後の韓米同盟についても論議される。
つまりは、最終的には米軍が近傍でうろちょろしないことを意味する。
米国の本質は執拗な“invader”である。一度とりつかれたら、骨までしゃぶり尽くされる。
日本・韓国がその例である。両国とも70年余の間、追い払うことができていない。その絶好の機会が巡ってきているのだが、インベーダーのすっかり手下になってしまった“保守”という国民が、共に母国を喰い荒らすことに嬉々としている。侵略者様々であり、御零れをいただいて大満足なのだ。
日本に朝鮮国連軍後方司令部がある。「吉田・アチソン交換公文により,サンフランシスコ平和条約の効力発生後も朝鮮国連軍が日本国に滞在することを許し,かつ,容易にする義務を受諾した」のだ。
朝鮮戦争が再開されれば、日本には国連軍施設に指定されている基地(7か所)があるので、当然、攻撃され戦地となる。
朝鮮戦争が終われば、朝鮮国連軍後方司令部を置く根拠も崩れ、“クラゲ”のような存在も 解体(日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定 第24条・第25条)されることになる。
本体は日米安全保障条約である。そして入れ子の日米地位協定。そのまた奥の院、日米合同委員会が存在する。三猿を捩れば、“見えざる”・“聞けざる”・“言えざる”の類で、実質は米国(軍)による日本支配の“深層”機関である。主権在民にもかかわらず、“untouchable”な存在なのだ。
日米安全保障条約(旧)の前文に、「無責任な軍国主義がまだ世界から駆逐されていないので」、武装を解除されている日本は危険である。よって、「日本国に対する武力攻撃を阻止するため日本国内及びその附近にアメリカ合衆国がその軍隊維持する」と。勿論、この前文は巧妙な修辞に満ちている。
侵入者のレトリックである。
米韓相互防衛条約の構造もまた似たりか。
さて、“無責任な軍国主義がまだ世界から駆逐されていない”ことについてである。
日本が武装を解除されたのは、ポツダム宣言によれば、“無分別な打算により自国を滅亡の淵に追い詰めた軍国主義者”、“日本国民を欺いて世界征服に乗り出す過ちを犯させた勢力”の所為である。つまりは、日本の“無責任な軍国主義”の結果となる。
この無責任な軍国主義鼓舞する日本の勢力が駆逐すべき対象であった。
そして新安保条約では、この駆逐すべき対象は駆逐されたのか、替わって個人の自由及び法の支配を擁護するなどと、日米(今度は駆逐すべ勢力に米国も加わるか)共に諫言を弄し、“個別的又は集団的自衛の固有の権利”があると囁き、安倍内閣に至って憲法解釈(2014年7月)を変更、集団的自衛権の行使を容認し、見事にそれが達成でき、そして安保法制が成った(2015年9月)。
前文に鏤められた“平和”の名を冠し、事は進む。
安保法制、安全保障関連法は既にあった法律10本を一つにまとめた「通称:平和安全法制整備法」と新法である「国際平和支援法」である。前者は他国を武力で守る集団的自衛権行使が可能となり、武力攻撃事態法改正が主である。後者は他国軍の戦闘支援のために自衛隊の随時派遣を可能とする。
そしてこれら戦争法を、特定秘密保護法(2013年12月)が国民から隔離し護る。
自国を滅亡の淵に追い詰めた軍国主義者は、未だ蔓延る。駆逐できるのは無責任で無関心の国民なのか。
朝鮮半島問題は我々が主人と改めて意志を固める文大統領である。米朝共同声明の2でも、「アメリカと北朝鮮は、朝鮮半島に、永続的で安定した平和の体制を構築するため、共に努力する」のであり、それは米朝の歩み寄りの契機ともなる。詰まるところ完全な非核化に向けて取り組むことになる。
そして、米朝共同声明での思惑ありげな“北朝鮮は朝鮮半島の完全な非核化に向けて取り組むこと”ではあるが、実質は北朝鮮も朝鮮半島の完全な非核化に向けて取り組むが、米韓、そして日本も取り組むということではないか。北朝鮮は、「実際に強制査察を受けるべき対象はまさに、日本自身である」とまで言い切る。
そう、朝鮮半島の非核化は半島周辺国家へ平和を招来することになる。北東アジアは繁栄の核となる。
日本そして韓国の外相、六月十二日の米朝首脳会談の結果を受け、茫然自失の体であった。 つまり、あるべく目前の道が急に消えたような有様となった。希望的観測に満ちていた日々が、十二日を境に手に持つ膨らんだ風船が俄に針で刺されてしまった如くなのだ。
夢が、トランプ大統領にかけた願いがあっさりと“無視”された。
猫騙しに遭ってしまった。制裁・完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)・拉致問題を口酸っぱくなるほど頼んだのに、すっぽりと抜けた。
勿論、パンムンジョム宣言は南北が主体である。元を正せば日本に責任がある。その日本の為に一肌抜ぐことは吝かではないだろうが、精々主役(文大統領と金正恩朝鮮労働党委員長)を相呼応させる役割どころではないのか。
よって、肝心なことは安倍政権、“蚊帳の外”に置かれた。もっとも濡れ手で粟をつかもうとする側の魂胆がそもそも卑しいのだが。
しかしながら、安倍首相は中々悪運が強い、というか、当初の狙い通りなのかも知れない。 今次のことも深読みすれば、制裁・完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)・拉致問題も捨て置かれ切歯扼腕、茫然の体(振り)ではあるが、本音は“ラッキー”なのだと思う。
なぜなら、拉致問題が“真面目”にパンムンジョム(板門店)宣言に米朝共同声明にて提起され“解決済み”と宣われたら、万事休すである。また、軍備拡張を急ぐ安倍政権にとって、完全な非核化に向けたCVIDを謳われたら、振り上げた拳の行く先がなくなる。
よって、米国には到達しないが、日本を射程内に捉える短・中距離ミサイルの放棄をも北朝鮮に求める。
ミサイル避難訓練の中止程度で国民の批判をかわせたのだ。本音はホッとしているか。3選を目指す安倍首相、憲法改正の実現に意欲を示す。
特に日本、後は以前にもまして、制裁・完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)・拉致問題の解決を、とカエルの合唱である。
が、日本と韓国では同じ合唱でも、同床異夢である。日本の場合ははっきり言って韓半島の平和を求めるよりも、北朝鮮(朝鮮半島の非核化=北朝鮮の非核化?)の非核化よりも“現状凍結”のほうが、何事においても都合がよいのだ。
口先だけで拉致問題の解決を叫んでいるほうが、北朝鮮の脅威を声高に告げ国民を煽っているほうが、万事都合がよいのだ。
憲法改正・軍備拡張・国民統制などの為である。戦争ができる普通の国を目指しているからだ。
勿論、当面は単独でなく米国に付き従う見習い軍隊として、そしてその後は、「日本を取り戻す」という第二次安倍政権の標語である。
つまり、木に竹を接ぐ江戸幕府から明治への急ぎ物、そして、挙句の果てに先の大戦で完膚無きまでやっつけられての敗戦である。この接いだ“竹”が、「第1章 天皇 第1条 大日本帝国ハ万世一系ノ天皇之ヲ統治ス」で始まる大日本帝国憲法が、第二次大戦後は日本国憲法に改められ、国民が主権者となり、枯れてしまった。
“取り戻す”とは、今度は“日本国憲法”という木に新たな“竹”を性懲りもなく継ぐことなのだ。安倍政権が今の調子で国民を無視して数に頼んで行くなら、“取り戻す”ことができるかもしれない。
「敗戦国の束縛から完全に逃れるために身もだえしている軍国主義毒蛇」と、北朝鮮。
「こんな首相に絶大な権限を与え、日本の運命を託し続ける国民とはいったい何者なのか。自民党永久政権とそれを利用して生き延びる官僚組織に食い物にされているに、いつしか日本は、経済はおろか社会や道徳までものが劣化してしまった。そのことに日本人はどうして気付かないのか」(『さらば外務省!』)。
そしてまた、あとがきにある一つ目「歴代首相の中で小泉首相ほど、政治と国民を舐めてかかった政治家はいない」と。今、安倍首相も輪をかけてその歴代に加わる。
「権利=法の目標は平和であり、そのための手段は闘争である」、「権利=法にとって闘争が不要になることはない」(『権利のための闘争』と。
日本国憲法もその第十二条に、「国民の不断の努力によって感じて、これを保持しなければならない」と定める。
国民は浮草の存在であってはならないのであり、闘う存在でなければならない。
2007年4月の福島衆議院補欠選挙の応援遊説の中で、「(長州の)先輩がご迷惑をおかけしたことをお詫びしなければいけない」と、安倍首相。
が、後輩である安倍首相も国民の忌避することを、法を無視し強引に進める。先輩も汚職事件や権力犯罪を起こしている。
そして今、終始一の如し見苦しい言い訳の結果、いつまでも燻ぶる森友・加計問題など国民の前に曝け出している。
官僚の国民誑かしも極まるところを知らない。悪臭が顔面から滲みだしている政治家と面従する官僚群が国民の財産を奪い合うのである。
腐敗した政治は、末端の地方にまで、その法の主旨も体さず狡猾にも利用し、事実(情報)を国民から覆い隠すことを強いる。
例えば、公文書の公開請求をしても、国と地方公共団体に関わる国民(市民・住民)の“関心事”は金太郎飴のようにつくられた情報公開条例の第7条、「実施機関は、公開請求があったときは、公開請求に係る公文書に次の各号に掲げる情報(以下「非公開情報」という。)のいずれかが記録されている場合を除き」云々の規定に抵触し、公開に遮断機がおりてしまう。
その号とは、2・3・5・6・8である。たとえば、(8)では、「国家戦略特区に係る事務事業については、関係機関との綿密な協議・調整があってはじめて執行できるものであることから、事業の方針決定に至る途中段階にある情報を公開することで、関係機関との協力又は信頼関係を著しく損なうおそれがある」などである。
“関係機関との協力又は信頼関係を著しく損なうおそれ”があるでは、市民の知る権利の尊重または市民に対する説明責任を果たしていないのである。基本的に公的事務作業に“隠し事”のあるほうが問題なのだ。そこに“疚しいこと”ありとしなければならない。
堂々と公開し批判を受けることだ。さもないと腐臭が漂い、公正中立な行政を捻じ曲げることになる。
トランプ大統領を責めるよりも、金正恩の手腕を嫉むよりも、自らの現実認識の“甘ちゃん”な無能ぶりを反省すべきなのだ。
自分の都合のよいように事態を解釈し、またその方向に、世界を駆け巡り、我田引水を計画し或いは扇動していた日本の安倍政権、今や急停止せざる得なくなった。が、CVID・拉致問題が取り上げられなかった為、其の点を論い、非核化まで制裁をと叫び続け、国民には取り繕いを続ける。
米プロバスケットボールの元スター選手、デニス・ロッドマン氏は、「初回なので期待し過ぎてはいけない」と、米朝首脳会談の前に釘をさしていた。
率直に言えば、安倍政権の国際社会に向かっての“吹聴”は“親玉”が転けないという前提があってこそ、「対話のための対話には意味が無い」、「最大限の圧力」なのであり、「最大限の圧力という言葉はもう使わない」と、トランプ大統領が振り上げた拳をダラリと下げてしまっては、安倍首相と河野外相にとってはばつが悪いことになったのだ。なにせ根無し草の存在に陥ってしまったのだ。大仰に言えば盤石の列島があまたの震動に怯える浮島のようになってしまった。
北朝鮮は、拉致問題をはじめとし政権補強の具であり、特に安倍政権にとって必須のアイテム、“虎の子”である。手放せないのだ。言葉とは裏腹に米朝の罵りあいを続けていて欲しいのだ。拉致も非核化も解決が長引くほどよい。
北朝鮮の若き指導者の破顔一笑に国際社会は魅了されてしまった。その引き立て役はこれまた国際社会の異端者、米国のトランプ大統領である。“嫌よ嫌よも好きのうち”という訳である。金正恩氏に電話会談するための米大統領府の自分の直通電話番号を教えた。これでは安倍首相、いくら焦ってトランプ大統領に電話をしても、“金ちゃんトラちゃん”の仲を裂くことも本音トークの会話を漏れ聞くもさらに遠のく。
つまり、蚊帳の外であり、迂闊にこれまで通り「対話のための対話には意味が無い」とか、音を上げるまで「最大限の圧力」で締め付けるなど国際社会の協調を訴えうそぶくことはできなくなる。
「体質化したいかさま外交」、「大勢判別能力がまひした愚か者のたわ言」と、北朝鮮に対する河野外相の制裁強化の呼びかけを、米朝会談前の早い段階で批判している。そして「米国の対朝鮮圧力の笛に合わせて踊らなければならないのが日本の哀れな境遇であり、米国の脚本通りに物乞い外交を行っている」と批判。
「外交に責任を持つ者なら、制裁や圧力が通じるかどうかを熟考して行動すべきだ」と、論評も正鵠を得ている。更に「地域の要求と大勢を知らなければ政治的にも孤立した『独りぼっちの島国』の運命を永遠に免れないということを日本は知るべきである」とも。
米国への批判は止んでも、「不安感にとらわれた安倍は朝鮮半島の情勢を悪化させようとする不純な策動に東南アジアの国々を引き入れようと愚かに画策しているのだ」などと、日本への的を射た批判は鳴りやまない。
金正恩氏に“してやられた”、否、やられつつあるのである。
聴くべきは同盟国米国の囁きよりも、“北朝鮮の諫言”だったか。
風見鶏のような日本外交では北朝鮮の信頼を得ることは難しいかも知れないが、米朝悪態合戦の結果もあることだ、現在の北朝鮮は日本の対応の確かさを計っている、機会が到来している。
安倍首相は三本の白羽の矢(大胆な金融緩和・積極的な財政拡大政策・未来の成長戦略)は企業を富ますも、トリクルダウン効果は得られず貧富二極化の深化へと向かう。最近は失敗例を聞く水道事業の民営化をも進める。
米国第一を唱えるトランプ政権への100%の追従は同床異夢のごとしである。恐らく、100%なのはワシントン・コンセンサスの実施そのものか。が、これは100%の角逐を意味する。
政治的にもベトナムでの日朝極秘会談(7月)が米側の不快感を招いている。
一方のトランプ大統領は、パリ協定にまで“いちゃもん”をつけ、「米国の納税者を失業させ、低賃金や工場閉鎖をもたらし、製造業の生産を減らしてきた」と、米国を束縛するあらゆる束縛を振り解こうとする。
そして、企業統制をしながらグローバル化を巧みに利用し貧困を救い(「中国は6億人以上の人を貧困から救ったことを知っているか」と、激高の中で王毅外相:2016年 オタワ)、今や米国を追い抜こうとする経済大国に伸し上がった中国に、トランプ氏、いら立ちを覚え関税・非関税障壁での八つ当たり、さらに北朝鮮の非核化が進まない原因まで含め、責任転嫁である。
「朝鮮は核実験場を閉鎖し、ミサイル実験施設を撤去し、朝鮮戦争時の米軍兵士の遺骨を返還した。朝鮮側は善意を示し続け、米側は歓迎し評価したが、それを対等で釣合のとれた行動に移していない。米国は米韓合同軍事演習を停止したものの、政策を強化し続け、最大限のプレッシャーに歩調を合わせるよう各国に要求し、平和体制構築には消極的だ」と。
「米側が自国に誠意と柔軟性が不足している問題を顧みずに、中国側を責めるのは、事実と合致せず、道理にも合わない」と。
そして、「他国に責任をなすりつけるのは大国のすべき行いではない」と。
つまり、味方(ツール)であった自由貿易が不自由になってきたという訳である。理不尽にも敵愾心を燃やされた中国は知恵を絞るに違いない。そう、自由貿易の守護者としてなど、諧謔じみてはいるが。
滑稽にも、束縛から逃れようともがきながら両手で自分の首を絞めつけるトランプ大統領、とにかくハチャメチャに制裁しまくるが、果たして巨大市場を本当に捨てられるのか。
“米国第一”は正しく自国の軍事力・経済力に頼んでの放縦なユニラテラリズム(unilateralism)を以って、自傷行為を続けると共に他国に不利益を強要するものである。
「米国が「レッドライン」を超えた場合には、欧州は団結して対抗する必要がある」と、ドイツのハイコ・マース外相。
「ヨーロッパはもはや安全保障をアメリカに頼ることはできない。ヨーロッパの安全を守るのはわれわれ自身だ」と、マクロン大統領。
「EUはアメリカから独立した決済システムを検討中だ」と、ドイツのマース外務大臣は強調する。
「輸出契約における主な決済通貨である米ドルには非常に多くの疑問がある」とし、他の決済方法の検討の必要性を考えさせる(ロシア連邦軍事技術協力局のドミトリー・シュガエフ局長)。
「アメリカのトランプ大統領の行動や政策により世界はアメリカに対し団結することになった」と、米国の作家・国際問題評論家のDilip Hiro氏。
「各国通貨を決済に使用し、国際貿易におけるドルの支配に終止符を打つ必要がある」と、トルコのエルドアン大統領。
そういえば、パンムンジョム宣言も、「1.(1)南と北は、わが民族の運命はわれわれがみずから決定するという民族自主の原則を確認」した。
文大統領と金正恩朝鮮労働党委員長は米国の態度如何にかかわらず、パンムンジョム宣言を推し進め平和構築をしたらよい。パンムンジョム宣言を容れた米朝共同声明がある。
文大統領、支持率が56%と下がっても韓国国民の71.88%は板門店宣言を国会が批准同意すべきと支持しているのだ。
「対話のための対話には意味が無い」と云えば、安倍首相、北方領土問題では通算21回目となる会談、これなど見込み外れで“対話のための対話には意味が無い”の典型といっても過言ではあるまい。
そして、性懲りもなく、「北方領土四島の帰属問題を解決し、平和条約を締結したい」と、安倍首相(ロシア訪問:9月11日から予定)。
最近、ロシアが6月18~21時日に択捉島(イトゥルップ島)でミサイル訓練すると通告。が、日本政府のロシア外務省を通じての抗議に関し、ロシア外務省のモルグロフ次官は「何も受け取っていない。初めて聞いた」と。
日本の米陸上配備型イージス、イージス・アショアをロシアは好まないと。
9月11~15日の軍事演習「ボストーク(東方)2018」には約30万人の兵士が参加する。中国は兵士3200人、車両900台、航空機30機を派遣する。演習には核兵器の使用シミュレーションが含まれると。
かつて「人間ゴミ、血に飢えた吸血鬼」と北朝鮮に称されたタカ派中のタカ派、ジョン・ボルトン国家安保補佐官はリビア方式の非核化などを論い、北朝鮮の手強い外交官、金桂寛氏の怒りを買い、「一方的に核放棄だけを強要しようとする対話にもはや興味を持たない」と、米朝会談の再考を言い出した。
また崔善姫外務次官も、「われわれは米国に対話を哀願しない」と、リビアのように終わるだろうと発言したペンス副米大統領に反発(5月24日)した。
ボルトン氏もペンス氏も北朝鮮との対話当事者の資格は失った。
ポンペイオ米国務長官の北朝鮮訪問(7月6・7日)で、金正恩氏の側近であるキム・ヨンチョル副委員長と、朝鮮半島の非核化でなく北朝鮮の非核化をめぐって協議し、“一定の進展”があったとした。
一定の進展(作業部会で北朝鮮側の取り組みを検証していくことか?)が、何を意味するのかは不明である。急きょ行く末について日米韓の外相らの鳩首凝議とあいなる。日米韓3か国の外相協議(8日)で、その詳細説明があったのかも知れないが、国民には不明なことである。
ただ判然としていることは、日米韓の河野外相、ポンペイオ米国務長官そして康外相は北朝鮮の理詰め相手としては、余りにも無能であり、無神経であり、外交手腕に欠けるため、失格である。前の二人には“侮蔑”の言葉さえ投げつけられている。
康外相は端から相手ではない。
「Twitter followers across the world! We want to let you know history is being made on the Korean Peninsula. The top leaders of the two sides will meet for an lnter-Korean Summit on April 27. Cheer us on, and stay tuned! #peacekorea #남북정상회담 14:19 - 2018年4月23日」と、興奮気味に韓半島で起ころうとする歴史に言及する。
が、その後は制裁などをカウンターパートと共に園児よろしく合唱する。
勿論、ボルトン大統領補佐官などは論外であるし、ソン・キム駐フィリッピン大使などは使い走り程度で論外である。
つまり、トランプ政権に人材無しであり、残るは即決即断が可能であろうと金正恩委員長が期待を掛けるトランプ大統領しかいない。
ポンペイオ米国務長官の4度目の訪朝を電撃的に取り消した。当たり前である。
北朝鮮に“手ぶら”で行っても“話が違う”と、玄関払いであり、金正恩が会うなど白昼夢である。
Donald J. Trump @realDonaldTrump
I have asked Secretary of State Mike Pompeo not to go to North Korea, at this time, because I feel we are not making sufficient progress with respect to the denuclearization of the Korean Peninsula...2:36 - 2018年8月25日
米朝の共同声明では、「President Trump committed to provide security guarantees to the DPRK, and Chairman Kim Jong Un reaffirmed his firm and unwavering commitment to complete denuclearization of the Korean Peninsula」である。“北朝鮮の非核化”が先であるなどとは意味しない。
ただ、信頼醸成と手始めに北朝鮮は、核実験場の爆破・閉鎖、ICBMの発射実験の中止そして 共同声明、「4 米国と北朝鮮は(朝鮮戦争の米国人)捕虜や行方不明兵士の遺骨の収集を約束する。これには身元特定済みの遺骨の即時返還も含まれる」にある一環として遺骨55柱を7月末に返還している。
北朝鮮にしてみれば、共同声明を着実に履行しているということになる。それなのに、「1 米国と北朝鮮は、両国民が平和と繁栄を切望していることに応じ、新たな米朝関係を確立すると約束する」と云っておきながら、という思いがある。
“新たな米朝関係”、つまり「北朝鮮に安全の保証を与えることを約束」したことであり、北朝鮮の欲する朝鮮戦争の終結に次いで米朝平和協定へと続くことである。
統一は先の話となる。
米朝ともに問題は、本質をなす事柄を“暗黙の了解事項”、はたまた“阿吽の呼吸”で、済ましていることである。そして、その詰めも下っ端のポンペイオ米国務長官では用が足りず、“強盗”の扱いされ、今に到っている。
パンムンジョム宣言の履行も、南北の離散家族の再会事業や交流が進んでいる。宣言の「3.(4)南と北は、完全な非核化を通じて、核のない朝鮮半島を実現するという共通の目標を確認」し、その進展を期しての軍事的緊張を解消しつつある。
前に述べたように“手ぶら”で四回目となる訪朝をポンペイオ米国務長官にさせても徒労に終わる上に、的確な雑言を後から浴びせられるだけである。米国も他国の所為にするのでなく、主体的に具体的な行動に移るべきである。
Donald J. Trump @realDonaldTrump
...Secretary Pompeo looks forward to going to North Korea in the near future, most likely after our Trading relationship with China is resolved. In the meantime I would like to send my warmest regards and respect to Chairman Kim. I look forward to seeing him soon! 2:36 - 2018年8月25日
「(北朝鮮との)平和条約調印に向けた取り組みで、米国が期待に応える用意ができていないためだ」と、書簡で北朝鮮は主張した。非核化交渉を前進させる重要なステップである。
戦争の相手国に武装解除に等しきことを求めている米国(追従する日本も)、やはり、交渉ベタなのか。建国以来使っている“恫喝・恐喝・暴力”が通用しない国もある、ということを理解すべきである。
それに制裁を続けても、その効果のほどは思ったほど上がらず、却って“制裁下経済”というジャンルができそうなくらい、北朝鮮では経済運営が為されている。米国のキューバに対する半世紀に及ぶ制裁で米国は何を得られたというのだろうか。
前大統領オバマ氏を貶し、二年近くトランプ氏にも時は流れた。
北朝鮮はボヤーっと時を無駄にしない。
3か国の外相は連携を強化し、完全な非核化を達成するまで制裁を継続することで一致した。
が、北朝鮮が最大限の制裁で“のたうち回る”状況であるようにはみえない。それどころか、「自立的経済の土台があり頼もしい科学技術陣がいるので、敵が10年、100年にわたり制裁するとしても乗り越えられない難関はない」と、金正恩朝鮮労働党委員長は言うのだ。 2017年の北朝鮮のGDPは、前年比3.5%減少したようだ。
今後ポンペイオ長官は北朝鮮との会合毎に拉致問題を取り上げとしたが、眉唾物である。
つまりは制裁の継続も、拉致問題も全くの所“国民向け”、特に日韓両国向けの騙しである。
安倍首相の言行不一致、本音と建前、有言不実行の愚かさを糊塗するための外交“偽礼”を放っただけである。
何のための制裁か。制裁は大局を見ない無能な政治家・官僚の事務処理の類であって、政治家の遣ることではない。
最大限の制裁で参りました、非核化しますから、制裁解除してください、と北朝鮮は吐いたのだろうか、知る限り否である。
拉致問題を解決済みとする北朝鮮に、自国の問題でもないのに、非核化と無関係なのに米国が繰り返し提起するはずがなかろう。
それこそ北朝鮮に米国は当事者能力を疑われ、バカ者と罵られるのが落ちである。
非核化が、米朝関係がスムーズに進んだ後に拉致問題の“結論”はなる。
韓国の徐薫国家情報院長が云うように、日本人拉致問題については、「今後、この問題は日本と北朝鮮の実質的な関係改善の過程で議論されて協議できるものと思われる」、なのだ。
「私自身が金正恩朝鮮労働党委員長と向き合い、拉致問題を解決する決意だ。両国が相互不信の殻を破り、新たな外交をスタートさせなければならない」と、拉致被害者の曽我ひとみさんと面会時に安倍首相。毎度、胡乱な首相である。
ポンペイオ米国務長官、それに日韓の外相は“制裁の維持”の百曼陀羅を唱和する。使わないことにした最大限の圧力を、癖になってしまったのかまたぞろ口に出す。
要は何が肝心事なのかを理解できない、外交的感覚の鈍い素人に等しい人物が右往左往しているのだ。
交渉ごとと恫喝・恐喝事を区別できないレベルの米国の担当者は北朝鮮の相手としては全く相応しくなく、難航するのは当然である。
今回、米朝会談を重く見る北朝鮮側の我慢強さに救われている。それに、非核化に際しては根刮ぎという訳にはいかない。
日本の外交はイランの核合意をめぐって、独自外交ができずに股裂きの刑に遭わされそうである。もっとも米国と“100%ともにある”のなら、イランの核合意継続支持を表明しても、イラン産原油の輸入継続が駄目になるならば、実質的には軽口立てに過ぎない。
千篇一律の制裁を唱えても北朝鮮の実態は、百聞は一見に如かずで、北朝鮮の地方都市も回り写真集を出版する初沢亜利さんは、「現地を見ると、経済制裁のため北朝鮮が対話攻勢に出たとは思えない。むしろ、経済建設に集中するチャンスだと、自主的に判断したのでしょう」と。
①拉致被害者17人(2002年日朝会談で北朝鮮13人の拉致は認める):5人帰国 8人死亡 4人未入国
②ストックホルム合意(2014年5月)後 未入国者の内2名の入国を認める、未入国者は2人
ストックホルム合意後に国内的にも誠実な対応が為されていたなら、当時に拉致については解決済みであったのではないのか。
日朝平壌宣言でも直接的に拉致の件は無く、むしろ、「国交正常化を早期に実現させるため、あらゆる努力を傾注」し、「経済協力の具体的な規模と内容を誠実に協議」することとしたのだ。
「全ての拉致被害者の一刻も早い帰国の実現」とは、一体具体的にはどうするのだろうか。未入国者の内入国者(拉致)とされた、2人を以ってすべての被害者となるのだろうか。
例えば、松原仁衆議院議員の「ストックホルム合意に関する質問主意書」(平成二十八年三月二十八日提出 質問第二一九号)に対する答弁書(平成二十八年四月五日受領 答弁第二一九号)で、「「ストックホルム合意」を破棄する考えはなく、同合意に基づき、拉致問題を含む日本人に関する全ての問題の解決を目指す考えである。これ以上の詳細については、今後の対応に支障を来すおそれがあることから、お答えを差し控えたい」と、国民的関心事に対しては素っ気無い答弁で、何等具体性が見受けられないのである。
松原議員は主意書の中で、「ストックホルム合意が拉致被害者救出を遠ざける結果を生んでいることは、多くの被害者家族、問題に取り組む国会議員、また運動関係者の共通認識である」とするが、ストックホルム合意内容が拉致被害者救出の阻害要因になっているわけではない。拉致問題に期待を持たせるだけの言行不一致、更に奥歯に衣着せる在り方が問題であり、手詰まりとなっている。
拉致問題を政策の具にするのでなく、事実を述べるべきである。
河野洋平元官房長官は、「北朝鮮に植民支配のお詫びからすべきであり、拉致問題の解決より国交正常化が先だ」でないかと。
対して安倍首相は「日本の交渉力を落とす発言だ。政治の大先輩だが、極めて遺憾」と。
しかし、なぜ河野洋平元官房長官の趣旨が“日本の交渉力”を落とすのかは、全く以って意味不明である。
ならば安倍首相はどんな交渉を試みているのか。国民には行動を起こしているようには見えない。それに成果も挙げていないではないか。政治こそ結果が問われる。
世界中駆けまわっても、賽の河原ではないのか。その猛省も必要だし、検証すべきである。 河野外相も同様である。
安倍首相に交渉の“隠し玉”はあるのか。対北朝鮮で唯一と思われる“拉致の持ち駒”は既に「歴史の裏道に消え」、国民もその事実を薄々察している。
安倍首相の外交などは“仲間内での一方的金渡し”に過ぎず、官僚の成果挙げに等しく、鎬を削ってのことではない。
拉致をいうなら、日本文化の礎となった、古くは文禄・慶長役での撤収に際しての「儒者や陶工から労働力としての一般民までの多数の拉致」がある。
「北朝鮮と日帝強占期における朝鮮人強制徴用者の遺骸送還協力に関する合意文に署名」したと、韓国の民族和解協力汎国民協議会(民和協)の金弘傑(キム・ホンゴル)代表常任議長(7月19日)。
安倍首相、三選を望むも真綿で首を締めつけられる状況が出来する。
北朝鮮は小手先の対応でなく過去の清算を求める。
「核とミサイル、拉致問題の包括的な解決なしに国交正常化や対北朝鮮経済支援はない」とする安倍首相は、一体何を恐れているのだろうか。拉致問題と表裏一体の安倍首相、逆に問題解決からは遠ざかるといことなのか。
ストックホルム合意事項(2014年5月29日)で、日本側の行動措置第四にある、「北朝鮮側が提起した過去の行方不明者の問題について、引き続き調査を実施し、北朝鮮側と協議しながら、適切な措置を取ることとした」とあるが、“北朝鮮側が提起した過去の行方不明者の問題”とはどのよう内容なのか。
そして対になる北朝鮮側の第五、「拉致問題については、拉致被害者及び行方不明に対する調査の状況を日本側に随時通報し 、調査の過程において日本人の生存者発見される場合には、その状況 を日本側に伝え、帰国させる方向で去就の問題に関して協議し、必要な措置を講じることとした」とある。
これらは何らかの思惑があって、“作文”されたものであろうか。
この作文は事(拉致問題)が決着したにもかかわらず、でも“何かあったらよろしくお願いいたします”と、余韻を残させて欲しい、このまま決着では国民に顔向けができないと、食い下がり哀願したようにも読める。
「2002年の日本の首相のピョンヤン訪問と歴史的な日朝ピョンヤン宣言の発表を機に完全に解決された問題だ」=2014年に北朝鮮が提起した問題=日本にとって不都合な真実となり、合意事項の文面作成となる。
が、その合意事項も2016年02月12日に、日本が北朝鮮の核実験やミサイル発射を受け、独自制裁の強化策を打ち出したため、合意の破棄ととらえ、北朝鮮は調査の全面中止・特別調査委員会解体を宣言した。
日本は合意事項にある「現在日本が独自に取っている北朝鮮に対する措置(国連安保理決議に関して取っている措置は含まれない)を解除する意思を表明」したのに、合意とは無関係の件で制裁をしたと取られた。
が、この北朝鮮の観点から言うと、日本は拉致問題にかかわる以外の独自制裁は一切できないことになる。
況してや安倍首相や河野外相の“拉致、核、ミサイル問題の包括的な解決が前提になる”との主張は成り立たないし、味噌糞論であり、拉致解決云々には餓鬼に苧殻であり、前後不覚の安倍政権の支離滅裂なガキねだりとなる。
イランとの良好な関係にあり両国の経済協力の拡大が見込まれるなかの日本、トランプ政権の委細構わずのイラン原油輸入停止要求に、常に米国の手の平で泳ぎ独自外交も儘ならない安倍政権、“御意に入る”のか。
2004年にも、米国にイランの核開発絡みで日本の去就が求められ、アザデガン油田開発の権益は失効であると、振り回されての外交であった。
拉致問題でもごちゃ混ぜでなく論理整理が必要である。
核・ミサイル問題、北朝鮮から言わせれば、「アメリカ側はシンガポール首脳会談の精神に反して、CVID=完全で検証可能、かつ、不可逆的な非核化だの、申告だの、検証だの言って、一方的で強盗のような非核化要求」であると非難する。万が一にも強盗の非核化要求が通ったとしても、日朝間の拉致問題の解決には寄与しないであろう。
拉致問題は既に解決済みと北朝鮮は主張しているのであるからだ。安倍首相の云う“拉致問題”とは一体全体何を意味しているのか。国民に説明して貰いたいものだ。
南北首脳会談(4月27日)の共同宣言・共同会見でも触れられることの無かった拉致問題、安倍首相と文在寅大統領の約束を云々する前に、“他国任せ”の安倍首相自身を責めるべきである。
つまりは、安倍首相が「新たな外交をスタートさせなければならない」のだ。しかもその機会は、文在寅大統領との電話会談(29日午前)の中、「北も、いつでも日本と対話する用意がある」と説明されているのだ。
安倍首相、常に間に合わせの言葉だけが先行し、その言葉はすぐに忘却の彼方へと飛び去る。行動に移せない真の理由は国民への“うそ”がばれるのを恐れているからだろう。嘘のうちには無能無策もある。
安倍首相の看板である拉致問題を、核・ミサイルと抱き合わせ、日朝平壌宣言(2002年9月17日)を持ち出し、安倍首相は、核、ミサイル、拉致問題を“包括的”に解決し、日朝国交正常化(「国交正常化を早期に実現させるため、あらゆる努力を傾注することとし、そのために2002年10月中に日朝国交正常化交渉を再開すること」とされている)を目指すと、文在寅大統領との日韓電話協議(3月16日)で説明した。
が、本来これらは、日朝平壌宣言で「双方は、相互の信頼関係に基づき、国交正常化の実現に至る過程においても、日朝間に存在する諸問題に誠意をもって取り組む強い決意を表明」しているのであり、正に日朝国交正常化の実現に到る過程の中で取り組むことであり、交渉は“核、ミサイル、拉致問題を“包括的”に解決した後でのことではない。
前後が逆であり、日朝平壌宣言の要旨を履き違いている。このような“おつむ”では北朝鮮と真面に渡り合えない。
それにしても、安倍首相、自ら拉致問題解決のハードル下げるのでなく、上げているのだ。妙な動きをする“宰相”である。裏は種々記述した。
文在寅大統領シンガポールでの講演(7月13日)で、「韓国、北朝鮮、アメリカの首脳は歴史の方向を変えた。朝鮮半島の完全な非核化と恒久的な平和に向けて歩み始めた」と。
また「南北関係の正常化は、米朝関係、日朝関係の正常化にもつながる」とし、日朝関係の正常化に向け協力する考えを示した。
真っ当な気配りである。
朝鮮半島の現状は偏に文在寅大統領の変わらぬ政治姿勢によって扇の骨が綴じられている。もっとも、北朝鮮に言わせれば、「運転者どころか助手役もろくにできない」のであるが。
が、文在寅大統領、キーマンであることは確かである。
安倍首相、朝鮮半島の平和に背を向け、“清算すべき”拉致問題からも逃げるわけにはいかない。ストックホルム合意事項の現実(=拉致調査結果の再説明)は迫る。
トランプ大統領、北朝鮮の核保有を認めるかも知れない。米国はその脅威を既に米朝首脳会談そのもので取り除いたのだ。
「制裁は維持されていて、人質は送還され、9カ月間にわたりロケット発射もなかった」と云う。つまり、北朝鮮を懐柔し黙らせたことが“成果=結果”なのだ。
トップ同士、意思の疎通が図れれば、米国にとっては特に問題なしなのだ。米国は経済でベトナムの例あげるが、いずれパキスタン・インドなど並みに米国が扱えば落着である。
国際社会が云々しても、米国の圧倒的レベルの覇権力が鎮静化させる。論理的にも“二枚舌”を逆にトランプ大統領に指摘され、黙らざるを得なくなる。
北朝鮮の金正恩国務委員長が先月12日のシンガポール米朝首脳会談当時、トランプ米大統領に「私は今のように生きることもできるが、米国が体制を保証して最終的に経済制裁を解除すれば核を放棄し、中国とベトナムよりも高度成長する北朝鮮をつくりたい」と述べたことが13日、確認された。
つまり、今の制裁の道を選ぶことでも問題ないと。が、金正恩氏、トランプ氏に平和への道を示唆した。受けて立つべきはトランプ氏側である。
米国は(北朝鮮と)毎日のように対話をしていると、では毎日のように安倍首相には連絡を受けているのだろうか。
何れにしろ、政治的判断は裏取引も含めて露出してくる。政治はいずれ現実となる。現実化されなければ、政治ではない。現実こそすべてなのだ。国民が其の現実をどう受け止めるのかにかかっている。
日朝首脳会談などは実現しない。ただ“振り”を国民向けに為すだけだ。
今次の河野外相の日朝首脳会談をする用意があるなどは詐欺行為に等しいのだ。なぜなら実現したら、安倍政権は崩壊するからだ。北朝鮮は拉致に関して安倍首相を喜ばす“ネタ”は持ち合わせていないからだ。
河野外相は「臆測を交えた誤報が目立つ」と、シンガポールでの日朝外相接触に関し、記者団に向かって根拠もなく“誤報”だと。
そう、外相こそが接触に関し確と、李容浩(リヨンホ)外相に“しかと”されたのが事実なのだ。
先例がある、安倍首相は金永南最高人民会議常任委員長と対話し、拉致問題解決や核、ミサイル問題の開発中止を求めたと。そして「中身は詳細に申し上げられないが、従来のわれわれの考え方を伝えた」と。
河野外相もまた「内容については一切申し上げません」である。両者とも日本国民に向かっての“振り”をしたのだ。
事実、先の安倍首相も、未だに何時でも会う用意があると云う北朝鮮何に対し、結果を出せないでいる。
米朝首脳会談後の7月、「日本の北村滋内閣情報官と北朝鮮のキム・ソンヘ統一戦線部統一戦線策略室長」がベトナムで秘密会談を持ったと。事前連絡をしなかったため、米当局者が不快感を表したと。
菅義偉官房長官は(8月29日)、「報道された内容の一つ一つに対して話すことは慎みたい。どうなろうが拉致・核・ミサイルというすべての案件に対する包括的解決に努めている」と、秘密会談を否定はしてない。
なぜ秘密で米・韓・北朝鮮に絡む案件を日本が北朝鮮と独自に進める必要があるのだろうか。全く以って摩訶不思議な出来事である。
とすると、解決済みの拉致問題に関し、世論騙しの“取り繕いの段取り”打ち合わせかも知れない。落し所を探っているか。金が掛かることである。
「トランプ大統領は北朝鮮の核に関する行動にそれほど期待しておらず、アメリカ政府において、北朝鮮が核兵器廃絶の取り決めを守ると期待するお人よしはいない」と、ボルトン大統領補佐官。
つまりはオバマ式の長期化で北朝鮮の核保有を認めることになる。ボルトン氏が予防線を張っている。実はトランプ大統領の望みはかなり低いものなのだ。
制裁は維持というが、そうは言っても、何も得られずでは、北朝鮮とて愚痴なり文句の幾つかは言いたい。
制裁が解除されなければ北朝鮮は更に強力なロケットマンとなって米国に立ちはだかり、元の木阿弥という構図になり、北東アジアに戦雲が漂うことになる。
激しく忌避したオバマ前大統領の轍を踏むことにもなる。それにポンペイオ米国務長官によれば、「北朝鮮は、核弾頭の60%から70%の廃棄に関するアメリカの提案を拒否した」と。
つまり米国は、完全非核化という道のりは夢の如く一挙に成し遂げられるものではないことを知り、米国こそが“サラミ戦術”を用いて凌いでいこうとしているのだ。
トランプ大統領は各国の首脳と会談することについて、「我々にミサイルや核兵器を飛ばす者は誰もいない。その他の恐ろしいことも起きていない」と。それが首脳会談の結果なのだという。
が、「米国と同盟諸国に対する攻撃」を中国が訓練しているとも云う。当然中国は激しく抗議している。
では、なぜにもう一歩踏み出し、米国は朝鮮戦争の終戦宣言をしないのだろうか。
文在寅大統領が先鞭をつけるか。ならば、米国内の政治状況に緩衝材となるか。
制裁は済し崩しに当然解除となる。
つまり、北朝鮮は米国の友達となる。制裁・拉致問題一辺倒の無為無策の日本には莫大な“付け”が回って来る。
国際社会は制裁一点張りでなく、二枚舌を引っこ抜くことに専心すべではないのか。北朝鮮はなぜ国際社会の二枚舌を言い募らないのか。
二枚舌をチョロチョロ出しまくる日本はその最たるものだ。国際社会の“七不思議”ではないのか。
が、安倍首相、訪問先の広島市で「最後は私自身が金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長と直接対話し、北朝鮮の核、ミサイル、拉致問題を解決し、新しい日朝関係を築いていかなければならない」と。
国際社会というよりも日本国民としては“この首相”の“大言虚言”に病的なものを感じ取る。トランプ氏と100%ともにある安倍首相、沙汰の外か。
批判の矛先を同盟国にまで向けるトランプ大統領に、「われわれは超大国としての米国の力に頼ることはできない」と、メルケル首相。
トランプ氏の狙いは“米国頼みの柵”を断つことにあるのかも知れない。そして、自国の経済をも破壊するつもりである。
プーチン大統領とのヘルシンキ会談後、トランプ大統領は「強力な軍を有するロシアではあるが、経済規模は比較的小さい。それゆえ同国を「敵国」と称するのは好ましくない」と。
むしろ米国は米国自身が“節義を貫く世界の警察官”足り得ないことを、此れでもかとばかりに、赤裸々な姿を曝け出しているのに、未だに米国にぶら下がって或いは利用して存続しようとする能無し国家に“カツ”入れているのかも知れないのだ。
「米軍にとっての主たる脅威はロシアでも中国でもなく、自身の誤った軍事政策と低い技術レベルだ」と、米軍元中佐のダニエル・デーヴィス氏は指摘する。
その獅子身中の虫こそ、米国覇権を終わらせる今や手段、トランプ大統領は目一杯駆使している。
ならば、世界最大の経済規模である米国は、米国それ自身の“敵国”となり、破壊すべき存在となる。自身の頭をそれも金槌で打つ荒療治である。
米国を狙うもの米国を操るもの、それらを潰し或いは宥めながら米国は自国を沈める。それは米国の孤立する過程でもある。米国は米国自身を制御の利かなくなった組織でなく、極普通の悩みを持つ平和志向の国家に戻したいのだ。
一方的に期待される国家を演じるのでなく、協同調和の一国家としてなのだ。
そう、米国は重荷を下ろして“普通の国”を、ワン オブ ゼムを目指すのだ。
2013年、オバマ前大統領は「米国は世界の警察官ではない」と、その履行者がトランプ大統領である。が、制裁は未だ警察官の“悪癖”が残っていることではないのか。
論理もへったくれもなく我が道を行く米国に、世界は纏まり(思惑)に欠け対応できないでいる。
今後も米国の理性や知性に依拠することは能わない。米国の軍事力を越えなければ米国の恣意的な政治から逃れることはできない。米国という無能の最後の拠り所、それは“戦争を仕掛けること”である。加えて非合理にも経済力という斧で返り血を浴びながら振るいまくり、染まぬ国々を脅す。まるで野獣である。
野獣にも終わりは来る。それが歴史の現実だ。
が、誰と否どの国と戦争をするのか。北朝鮮とは親書の遣り取りする米国、政治的知能レベルの貧弱な雑魚(ポンペイオ米国務長官・河野外相それに安倍首相・康外相)の合唱は別にしても、金正恩とトランプ大統領は今や疎通が可能だ。
また最近はイランに対しても、条件なしに会うとトランプは言い出している。イラン側はその詐欺的申し出を精査している。
ロシアとは“仲良し”である。残る中国とは“関税の掛けっこ”に忙しいが、中国自身が戦争は忌避する。
「トルコ政府は、アメリカに対し抵抗し、自らの道を進む」と、エルドアン大統領。エルドアン大統領は、先にイラン、ロシア、中国とのトルコリラでの貿易決済を開始するとした。むしろ表面上はべつにしても、トランプ大統領の肯くことか。
トランプ大統領は戦争を回避しながら米国の破壊(覇権国家の衰亡或いは適正化を謀ること)に専心するため、選挙を勝ち取りたいのだ。中国は耐えるべきだ。“貿易戦争”による元安は現実的には“相殺”となる。
トランプ大統領は国際社会の首脳に“何を”本当は耳打ちしているのだろうか。100%追従者に“囁く”必要は当初から論外扱いであろう。
日本は手先の積りなのか、はたまた米国の在り方に不安を持っているのか、中国をけん制積りか、英国等の他国軍を引き摺り込んでいる。
もはや国際社会は“米国外し”後の構想を練るべきである。米国は“害毒垂れ流し”の張本人である。分別をなくした狂気の国、米国の放縦な振舞いにこれ以上忍耐することは無い。国際社会は米国を糾弾すべきである。乱暴狼藉の結果にはなんら責任をとらず、国際社会に放り投げる斯様な国家に何をためらいびくびくしているのだろうか。後は野となれ山となれの米国方式を強くけん制すべきである。
正義面して何処にでも首を突っ込んでくる米国、そう、忌忌しいが、米国の軍事力・経済力に国際社会はひれ伏しているのだ。ただそれだけだ。米国第一の主張に理がある訳ではないのだ。
中国はASEANの会議で云う、「域外国が横から口出しをし、遺憾だった。地域の主役で最も発言権があるのはわれわれだ」と、アメリカを強くけん制した。
また、北朝鮮の核・ミサイル開発関連での金融取引でロシアの銀行を制裁対象にした事に関し、ロシア外務次官は「病的にロシアを嫌うアメリカの政治家たちが、「ロシアにはいかなる圧力も通じない」と認めたようなもので、自分たちの無力さをさらけ出しただけだ」と反発。 米国、アラブ版NATOで武器を売りつけ争いの種を更に撒くか。
紛争を焚き付けても消火能力の無い世界のトラブルメーカー、それが見境の無い米国である。
安倍首相、ミサイル避難訓練、今は中止したが、訓練に駆り出された子供たちに如何なるトラウマを残したかについては、誰も語らないままだ。
米国の核合意の離脱に関し、ローハーニー大統領は、「世界のすべての国は、決定における独立を求めており、アメリカは、一部の地域では、圧力によって物事を進めることができるかもしれないが、彼らが世界のすべての国に関して決定を下すことは、論理的に許されない」と。
明治時代に始まった国民への徹底的した教育の傷跡は今も癒えていない。呪縛が解けず、今、明治維新150年を言挙げする。
隣国に対するネットでのいわれ無き中傷・侮蔑の言葉を投げつける元は、国民になされ教育の否定的側面が継承されているからだ。
が、これらの傷を癒すのもまた教育なのだ。歴史を学べば自己救済も可能であるが、それすらもできない時代が再び迫ってくる。否、既に来ている。
「喉元過ぎれば熱さを忘れる」で、戦争を知らない学ばない国民の増加、つまり、其の苦しみも追体験(学ぶこと)しないどころか、内向きの或いはイケイケムードの根無し草の如きではちょっとした教育のさじ加減で、政府の虜になってしまう。
何時でも何処にでも気軽に配備可能なPAC3部隊、中国・四国地方などからの撤収などに、何の意味があるのか。「日本、7隻目のイージス艦『まや』進水…『共同交戦能力』搭載」とある。
明治の生霊は至る所に出没する。なぜか。
昭和20年(1945年)8月14日、日本は連合国側にポツダム宣言の受諾を通告。ついで9月2日に東京湾上のミズリー艦上で、降伏文書に調印。
明治維新という政体の総決算が先の敗戦であった。「日本国軍隊は、完全に武装を解除せられたる後各自の家庭に復帰し、平和的且生産的の生活を営むの機会を得しめらるべし」とされた。
敗けるはずのない皇軍が、完敗した。幕末に接いだ“維新”という、夜郎自大の接ぎ木部分が切断された。
「勝てば官軍負ければ賊軍」であるならば、“賊軍”となろう。祀られている英霊は“賊軍”となったのか。
本来なら官軍が“賊軍”であり、賊軍が“官軍”であった此の国の不合理な歴史、それに「勝てば官軍負ければ賊軍」の調子で作られた“粉飾歴史”が国民を支配し、戦争に向かわせた。
そして惨敗にもかかわらず取り繕う“あの言葉”の“アヤ”、自己弁護に汲々の体であった。遮眼帯を着用させられ駆り立てられた国民は誰に責任を問うべきなのか。
あの“戦い”は御名での戦いであった、つまり、皇軍の敗戦であった。錦旗には“賊軍”と、刺繍され、“官軍”となったのは連合国側であった。代わって台木に日本国憲法が接ぎ木された…。
が、“大日本帝国憲法”を接ぎ木する目論見が彼の手此の手で攻めてくる。
“官軍”になろうと、生霊が彷徨う。それは為政者が思う“普通の国”なのだ。
国民はただ流されるだけなのか。
安倍首相、北朝鮮に“ラブコール”するも、論理不整合で何を言っているのか相手は聞き取れないようだ。
ポンペイオ氏を腐したが、「トランプ政権の願いは、北朝鮮がのけ者ではなく友人として国連にいるようになることだ」と強調。「前途は容易ではない。時間がかかるが、われわれ全てにとって、より安全な世界、北朝鮮にとってより明るい未来となることが米国の目的だ」と。
これが本音であることを祈る。
引用・参照
エルドアン大統領、国際貿易におけるドルの支配に終止符を打つよう呼びかける
SPUTNIK 2018年09月02日22:28
露中軍事演習「ボストーク2018」では核戦争がシミュレートされる=マスコミ
SPUTNIK 2018年09月02日
安倍首相、プーチン大統領と「じっくり」議論する考え=産経新聞
SPUTNIK 2018年09月02日
ロシアが日本の陸上イージス配備を好まない理由
SPUTNIK 2018年08月30日 21:46
「安倍は身もだえする毒蛇」北朝鮮メディア
朝鮮労働党機関紙・労働新聞 2018年08月31日
Exclusive: Trump promised Kim Jong Un he’d sign an agreement to end the Korean War VOX Updated Aug 29, 2018, 4:02pm EDT
ドイツ外務大臣、「ヨーロッパは、アメリカから独立した決済システムを検討している」
ParsToday 2018年08月29日18時53分
米軍人が明かす 米国が世界覇権を失いつつある理由
SPUTNIK 2018年08月29日 16:12
北朝鮮から米国務長官への「攻撃的」な書簡の内容が明らかに 米メディア
SPUTNIK 2018年08月29日 10:17
「日本、北朝鮮と先月ベトナムで秘密会談」
ハンギョレ新聞社 登録:2018-08-29 22:44
韓国国民の71.88%「国会が板門店宣言を批准同意すべき」
ハンギョレ新聞社 登録:2018-08-28 05:55 修正:2018-08-28 07:24
大国は他国への責任転嫁をすべきではない 朝鮮半島核問題
人民網日本語版 2018年08月27日16:56
米人作家、「トランプ大統領は世界を対アメリカに向けて団結させた」
ParsToday 2018年08月27日19時33分
独外相、米国との関係見直しへ
2018年08月27日 14:17
トランプ大統領の指示で国務長官の訪朝延期
NHK NEWS WEB 2018年8月25日 8時32分
ロシア、軍事技術協力パートナーとのドル決済離れを検討
SPUTNIK 2018年08月21日
金正恩氏、「神話的な奇跡の歴史」について語る
SPUTNIK 2018年08月20日 14:21
トランプ大統領はなぜ各国首脳と会談を行うのか?【動画】
SPUTNIK 2018年08月19日 10:50(アップデート 2018年08月19日 12:44)
金正恩氏「強盗のような制裁封鎖」 視察先で異例の言及
朝鮮日報日本語版 記事入力 : 2018/08/17 11:03
北朝鮮によるアメリカの非核化計画の拒否
ParsToday 2018年08月15日20時10分
河野外相 ペルー外相と会談 ”TPP手続き進展に期待”
NHK NEWS WEB 2018年8月15日 5時51分
光復節:文大統領「韓半島問題はわれわれが主人だ」
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 記事入力 : 2018/08/16 08:56
米国「北朝鮮と電話・Eメールでほとんど毎日対話」
ハンギョレ新聞社 登録:2018-08-10 22:05 修正:2018-08-11 07:34
米「8カ月以内に核弾頭の60~70%廃棄を」 北「強盗のような要求」
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版] 2018年08月10日09時39分
北外相「核はあきらめても核知識はあきらめられない」
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]2018年08月10日15時35分
安倍首相 核兵器禁止条約不参加「変わりない」
毎日新聞 2018年8月6日
首相、日朝首脳会談に意欲
東京新聞 2018年8月6日 夕刊
アメリカ大統領補佐官、北朝鮮との協議の結果に失望感を表明
ParsToday 2018年08月06日18時20分
北朝鮮「日本のプルトニウム保有は人道に対する罪」
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 記事入力 : 2018/08/06 10:10
北朝鮮外相 「一方的な非核化には応じられない」
NHK NEWS WEB 2018年8月4日 20時36分北朝鮮情勢
米 対北朝鮮でロシアの銀行等に制裁
NHK NEWS WEB 2018年8月4日 5時11分北朝鮮情勢
中国外相「地域の主役はわれわれ」南シナ海問題で米をけん制
NHK NEWS WEB 2018年8月4日 18時45分
「変わりゆく北朝鮮を写した」 初沢 亜利さん
中日新聞 2018年8月1日
「日本こそ強制的な核査察を受けろ」と主張する金正恩氏のホンネ
DailyNK_Japan 2018年8月1日 13時02分
北朝鮮非核化 米国務長官“交渉は前進” 安保理 「実現まで制裁維持で結束」
しんぶん赤旗 2018年7月22日(日)
「運転どころか助手もムリ」北朝鮮メディア、韓国を非難
DailyNK 2018年07月21日
独首相、米の強い圧力懸念 関係重視の姿勢は強調
東京新聞 2018年7月22日
「時間・速度制限のない」非核化日程の前で道を見失ったトランプ大統領
中央日報/中央日報日本語版 2018年07月19日09時37分
朝鮮中央通信「日本、くだらない『用意』などではなく過去清算『勇気』から持て」
中央日報/中央日報日本語版 2018年07月19日09時01分
「拉致問題は歴史の裏道に消えた」北朝鮮が主張
デイリーNKジャパン2018年07月18日13時45分
金正恩氏「核を放棄して中国・ベトナムより高度成長したい」…米朝首脳会談で
2018年07月14日09時38分 [ⓒ 中央SUNDAY/中央日報日本語版]
正恩氏、拉致調査結果「再説明」指示
共同 2018/7/12 18:27
韓国 ムン大統領 日朝関係正常化へ日本と協力の考え
NHK NEWS WEB 2018年7月13日 23時21分
BLOG_桃源閑話「賤劣な日米外交」
首相、曽我さんに拉致解決の意欲 日朝首脳会談を通じて
東京新聞 2018年7月5日 20時56分
北朝鮮国営メディア「拉致問題は日朝ピョンヤン宣言で解決」
NHK NEWS WEB 2018年6月29日 15時57分北朝鮮情勢
日本外務省が北朝鮮課を新設へ…安倍首相の主力を投入
中央日報/中央日報日本語版 2018年06月27日15時44分
「安倍が不純な策動に東南アジアを引き入れ」北朝鮮メディア
DailyNK 2018年06月22日
安倍首相「不信の殻を破って前進したい」…金正恩に“ラブコール”
ハンギョレ新聞社 登録:2018-06-17 22:09 修正:2018-06-18 07:15
ロッドマン氏、シンガポール到着 米朝会談「期待し過ぎは禁物」
AFP 2018年6月12日 5:10 発信地: シンガポール
ロシア外務省、日本からの抗議なかったと否定 イトゥルップ島での演習で
SPUTNIK 2018年06月18日 23:40
2018年の南北首脳会談に関する
日本,中華人民共和国及び大韓民国の首脳による共同声明
(仮訳) 平成30年5月9日
外務省HP
NHK 政治マガジン 2018年6月12日
米朝共同声明 ~全文和訳~
河野外相の発言は「愚か者のたわごと」 北朝鮮労働新聞
朝日新聞 2018年3月8日15時34分
日中韓首脳の共同声明全文
jiji.com 2018/05/10-01:11
「日本と対話する用意ある」 南北会談でキム委員長が発言
NHK NEWS WEB 4月29日 15時01分南北首脳会談
「遠いと言っちゃいかんな…」冗談もよどみなく飛ばした金正恩
ハンギョレ新聞社 登録:2018-04-28 10:12 修正:2018-04-28 10:35
「パンムンジョム宣言」全文 日本語訳
NHK 政治マガジン 2018年4月27日
chosun.com
http://news.chosun.com/site/data/html_dir/2018/04/27/2018042702166.html?Dep0=twitter&d=2018042702166
朝鮮中央通信「政治的『島国』の運命は自ら招いたもの」全文
DailyNK 2018年04月08日
トランプ大統領「韓国側が態度を変えるべき」=韓米首脳電話会談
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 記事入力 : 2018/03/17 08:36
南北首脳会談の「3大議題」公式化…今月末に高官級会談を推進
ハンギョレ新聞社 登録:2018-03-17 03:33 修正:2018-03-17 10:43
文大統領「南北合意の制度化、国会批准受けるよう準備を」
ハンギョレ新聞社 登録:2018-03-22 04:25 修正:2018-03-22 09:33
米朝首脳会談の開催“日本は喜んでいる”とトランプ大統領
NHK NEWS WEB 3月11日 13時14分トランプ大統領
クローズアップ2016 拉致調査中止 政府、対話を継続
毎日新聞 2016年2月13日 東京朝刊
合意事項 https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000040352.pdf
『朝鮮史』梶村秀樹著 講談社現代新書
オーストリア首相 米国はますます「頼りない」
Sputnik 2018年05月28日 17:35(アップデート 2018年05月28日 19:10)
イラン大統領、「アメリカは世界のすべての国に関して決定を下すことはできない」
ParsToday 2018年05月22日19時19分
中国・王毅外相の「強硬発言」は尋常ではない
権力中枢で深刻な緊張が続いている可能性
東洋経済オンライン 2016年06月08日
【中央時評】「150年」の長州支配を自負する安倍首相
中央日報/中央日報日本語版 2018年01月05日10時14分
岸田外務大臣会見記録
(平成29年3月28日(火曜日)8時35分 於:官邸エントランスホール)
外務省HP
『さらば外務省!』天城直人著2003年12月11日第8刷発行 講談社
『権利のための闘争』イェーリング著 岩波文庫
【参考はブログ作成者が付記】
【引用】
「拉致された日本人の数はつくられたものだ。日本では推定される拉致被害者が100人に達することもある。日本では毎年どれほど多くの人が行方不明となり、国内では米軍関係者が日本人に対してどれほど多くの犯罪を行っていることか! 一方、日本兵の『慰安婦』は言うまでもないが、どれほど多くの朝鮮人が日本に強制連行され、鉱山で働かされたことか! 日本はこうした事実を軽視しようとしているが、これらの事実は北朝鮮だけでなく韓国でも重大事項として捉えられている。小泉氏の訪朝後、米国が(米朝)枠組み合意を失敗させた時期に、日本は北東アジアの緊張緩和に向けて主導的な役割を担えたはずだ。小泉氏訪問の2週間後に米国務次官補がソウルを訪れ、秘密交渉を批判した。その後、朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)も日朝国交正常化もすべて失敗に終わった。そしてこの流れで、米国はおそらく、現在もアジアにおける自国の同盟国に対するコントロールを失わないように行動しているのだろう…」
【以上、引用蘭のsputnik記事】
【引用・参照・底本】
【視点】北東アジア緊張緩和で主導的役割を担えたはずの日本 sputnik 日本 2024.10.30
https://sputniknews.jp/20241030/19263314.html
日本の北東アジアにおける緊張緩和の役割について議論が展開されている。石破首相は前任者の路線を引き継ぎ、北朝鮮による日本人拉致問題の解決に向けて金正恩総書記との会談に意欲を示しているが、過去の成功体験を再現するのは難しいと指摘されている。
2002年に小泉純一郎首相が行った訪朝の際、金正日総書記との会談によって拉致問題が一時的に進展し、5人の拉致被害者が帰国したが、その後の状況は改善されていない。ロシア科学アカデミーや中国現代アジア研究所のアレクサンドル・ジェビン上級研究員は、岸田政権下では日本と北朝鮮の関係が行き詰まり、拉致問題のみをテーマにした首脳会談は難しいと述べている。
ジェビン氏は、日本が北朝鮮が関心を持つ他のテーマについて議論する意向を示せば、会談が実現する可能性があると指摘し、具体的な成果を得られる可能性を示唆している。しかし、拉致被害者や加害者が多く亡くなっており、物理的な理由から要求を変更しなければ実現は難しいとの見解も示している。
さらに、ジェビン氏は日本における拉致被害者の数が不明瞭であり、国内での行方不明者や米軍関係者による犯罪、強制連行された朝鮮人などの問題にも言及している。小泉氏の訪朝後、日本は北東アジアの緊張緩和に主導的な役割を果たせたはずであったが、米国の外交政策によって多くの試みが失敗に終わったとの見解が示されている。
このように、日本が直面している課題や過去の経緯を踏まえつつ、北東アジアにおける日本の役割についての見解が提供されている。
【詳細】
日本の北東アジアにおける緊張緩和の役割とその背景が詳しく分析されている。特に、北朝鮮による日本人拉致問題とそれに対する日本政府のアプローチが中心に据えられている。以下に、詳細を分解して説明する。
1. 現在の政治状況
石破首相のアプローチ: 石破氏は、北朝鮮の金正恩総書記との会談に意欲を示しており、前任者の路線を継承している。拉致問題の解決が彼の優先課題であることが明示されている。
2. 過去の成功体験
小泉純一郎首相の訪朝: 2002年、小泉首相は平壌を訪れ、金正日総書記と会談した。この会談では、日本人拉致問題が取り上げられ、北朝鮮が日本人13人の拉致を認め、謝罪したことが記録されている。この時、5人の拉致被害者が帰国した。この成功は、対北朝鮮外交の一つのピークとして記憶されているが、その後の進展は見られなかった。
3. 岸田政権下の行き詰まり
両国関係の悪化: 岸田文雄前首相の下では、日朝関係が完全に行き詰まっており、拉致問題だけをテーマにした首脳会談の実現は難しいとされている。ジェビン氏は、この状況を「袋小路」に例えている。
4. 拉致問題の複雑さ
実現可能性の指摘: ジェビン氏は、日本が北朝鮮が関心を持つ他のテーマ(例えば、経済支援や地域安全保障など)を持ちかけることで、首脳会談の可能性が生まれると指摘している。ただし、その結果として具体的な成果(例: 生存する日本人の帰国)が得られるかどうかは不透明である。
5. 歴史的文脈
時間の経過: 1970年代からの拉致問題は半世紀以上前の出来事であり、被害者や加害者、さらにはこの問題に詳しい人々の多くがすでに亡くなっていることが指摘されている。このため、拉致問題の解決には物理的な限界があるとされている。
6. 日本国内の視点
行方不明者の問題: ジェビン氏は、日本における拉致被害者の数が不明瞭であることを指摘している。国内での行方不明者の数や、米軍関係者による犯罪、さらには日本による韓国人の強制連行(慰安婦問題)などが、拉致問題と同様に重要であると述べている。これらの問題は日本国内では軽視されがちであるが、北朝鮮や韓国にとっては重大な課題である。
7. 国際的な影響
米国の役割: 小泉首相の訪朝から数週間後、米国の外交政策が日本と北朝鮮の関係に影響を与えた。米国務次官補がソウルを訪れ、秘密交渉を批判したことや、朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)などの日朝関係の正常化に向けた試みが失敗に終わったことが挙げられる。この結果、日本が北東アジアにおいて主導的役割を果たす機会を失ったとの見解が示されている。
8. 結論
全体として、日本が北東アジアにおける緊張緩和に向けて主導的役割を担えた可能性があったことを示唆しているが、その実現には複雑な歴史的背景や国内外の状況が影響していることを強調している。また、拉致問題の解決には他のテーマを絡める必要があるものの、時間の経過とともに状況が厳しくなっていることが指摘されている。
【要点】
・石破首相の意欲: 北朝鮮の金正恩総書記との会談に意欲を示し、拉致問題解決を優先課題としている。
・小泉首相の訪朝: 2002年、小泉純一郎首相が平壌を訪れ、金正日総書記と会談。日本人13人の拉致を認めさせ、5人が帰国した。
・岸田政権下の行き詰まり: 岸田文雄前首相のもとで日朝関係が悪化し、拉致問題のみをテーマにした首脳会談は困難。
・会談の可能性: 日本が北朝鮮が関心を持つ他のテーマを持ちかければ、会談の可能性が出てくるが、具体的な成果は不透明。
・歴史的背景: 拉致問題は1970年代から続いており、関係者の多くがすでに亡くなっているため、解決が難しい。
・国内の視点: 拉致被害者の数が不明瞭であり、日本国内の行方不明者や米軍関係者による犯罪、慰安婦問題などが同様に重要視されていない。
・米国の役割: 小泉訪朝後、米国の外交政策が日朝関係に影響を与え、重要な試みが失敗に終わった。
・結論: 日本は北東アジアの緊張緩和において主導的役割を果たせた可能性があったが、複雑な状況がそれを妨げている。
【参考】
以下は 桃源閑話(https://www.asahi-net.or.jp/~np9i-adc/tkanwa00.htm) からの引用である。
☞ 普通の国へ - 2018年09月04日 12:36
米朝首脳会談(2018年6月12日:シンガポール セントーサ島)、その内容においては、会談前の鎬を削る折衝を重ねた結果というよりも、横着を決め込んだような共同声明となっている。
が、米朝を共に投網に掛けるには十分である。何の為の網か、無論、北東アジアのみならず世界平和の為である。
トランプ政権になり、国際社会の不安定はいやがうえにも険悪化し戦争への気運も高まる。自国優先を掲げて同盟国をも対象とする無差別の粗粗しい“制裁”という貿易政策を強引に押し通す一方的な手法が国際社会から顰蹙を買っている。
未だ世界一の経済力と軍事力で覇権を握る米国ではあるが、その両輪の衰頽する兆候はトランプ政権の焦りともなってあらわれ、米国に追随し、凌駕しようとする国々に対し抗うことになる。たとえ米国が隆盛の一途を辿ろうとも、ひたひたと迫る足音には振り向かざるを得ない。
史上初の米朝首脳会談が開かれた。予測不能なトランプ氏と合理的に対応すれば対話が可能な金正恩氏との世界が注目する出会いであった。ただ付きまとう不安は両首脳の声明に規定する行動の曖昧さである。
いずれにしろ一抹の不安を抱きながらも世界は注目し、朝鮮半島発の平和機運を一時味わった。
トランプ大統領は、「多くのミサイルが上空を飛び越えた日本は、私の仕事をとても喜んでいる」と自賛し、また金正恩委員長は文大統領に「大統領が朝まで眠れるようになることを私が確認します」と冗談を飛ばした。
明け方の北朝鮮のミサイル発射に、文大統領は国家安全保障会議(NSC)を招集し対応していた。日本もまた日本海にイージス護衛艦の艦対空ミサイルSM3、そして撃ち損じに備える地対空迎撃ミサイルPAC3の配置でオロオロしていた。
米朝両首脳とも日韓の狼狽は百も承知なのだ。互いのブラックユーモアの向かう先は、米国でもなく北朝鮮でもなく、日韓なのだ。
安倍首相、李克強首相、文在寅大統領の日中韓首脳会談(東京 5月9日)の共同声明では、「朝鮮半島の完全な非核化及び朝鮮半島における恒久的な平和体制の構築という共通の目標を確認した「朝鮮半島の平和と繁栄,統一のための板門店宣言文」を特に評価し,歓迎する」とした。
が、北朝鮮の非核化に関する安倍首相は際立っていて、完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)を強調すると共に拉致についても提起し、3か国間の思惑の違いを浮き出させた。
ポンペイオ米国務長官との非核協議(7月6・8日:北朝鮮)ついて、北朝鮮の外務省は声明で、「アメリカ側は、CVID=完全で検証可能、かつ、不可逆的な非核化や、検証など、強盗のような要求ばかりを持ち出した」と。
北朝鮮にとって、一方的な非核化そしてCVIDなどは“強盗のような要求”だ、との認識なのだ。経済制裁などは受けていても、北朝鮮は決して敗戦国でもないし、況して被占領国でもない。この点を忘れての交渉事は、ただ暴力や脅迫で他人の財物を奪う者に等しく、今や核爆弾を持つ“核保有国の仲間入り”を果たしたとの北朝鮮に抵抗され峻拒されるのは当然である。
北朝鮮の主張する「行動対行動」が原則であって、米国が「北朝鮮に安全の保証を与えることを約束(「President Trump committed to provide security guarantees to the DPRK」)」したことを“行動”で示す必要がある。
最近(VOX Aug 29, 2018 EDT)「Trump promised Kim Jong Un he’d sign an agreement to end the Korean War」との記事がある。
北朝鮮がなぜ核ミサイル等を開発進展させるかの根本には、“米国の脅威”あるからなのだ。それは米国のように世界の覇者として君臨するためにではなく、米国の威嚇・恫喝などの対象から逃れ、対等であることを欲するからだ。
一方的に北朝鮮が非核化を“約束”したのではなく(「and Chairman Kim Jong Un reaffirmed his firm and unwavering commitment to complete denuclearization of the Korean Peninsula」)、歴史的な米朝主脳会談へ漕ぎつけたその前提に、「朝鮮半島で非正常な現在の停戦状態を終息させ、確固たる平和体制を樹立するのは、これ以上先送りできない歴史的課題だ」という認識に、金正恩側から歩み寄った。そして、「南と北は、完全な非核化を通じて、核のない朝鮮半島を実現するという共通の目標を確認した」のだ。
行動対行動の原則では、本来、圧倒的軍事的優位に立つ米国側が先に平和への具体的提言があってこそ、成立する。万が一それでも北朝鮮が“行動”しない時にこそ、米国は声高に北朝鮮を非難できる。
最大限の制裁と圧力は其れだけでも、軍事的緊張を高める。しかし、北朝鮮は制裁にも緊張にも耐えている。
北朝鮮は外部圧力によって鎖国化されている状態だ。まるで“窮鼠”のようである。河野外相は北朝鮮との国交断絶(国際連合憲章第41条を意識してなのだろうか)さえ他国に求めた。
現状のトランプ政権の在り方では北朝鮮に疑心が生ずるのは仕方がない。だからこそ米国の安全保証への具体案が必要なのだ。金正恩というめったにない意思決定者を得たのだ。この機会を逃すようではトランプ大統領、端からやる気がないのか、或いは“交渉人”としても“おいぼれ(dotard)”となったかである。
韓国は「板門店宣言」で安堵を得た上に、米朝首脳会談で、板門店宣言がメインディッシュとなった。添え物としては米朝の共同声明の中に、「2 米国と北朝鮮は、朝鮮半島において持続的で安定した平和体制を築くため共に努力する」などがある。
そして北朝鮮の非核化も北朝鮮制裁決議の見直しも其の成果は掛かって韓国の文大統領の双肩にある。如何に他国の思惑に左右されず、そして米政権を説得するかである。
核兵器と核計画の完全な廃棄は国際社会の二枚舌の虚を衝くことでもある。北朝鮮は核兵器禁止条約の制定交渉開始定めた決議採択(2016年10月27日)に賛成した。
核兵器禁止条約交渉会議で、当時の岸田外相は「「核兵器のない世界」に対して現実に資さないのみならず,核兵器国と非核兵器国の対立を一層深めるという意味で,逆効果にもなりかねない」という考えに至ったと。
しかし、包括的核実験禁止条約(CTBT・未発効)、核兵器不拡散条約(NPT)などは、未臨界核実験などの抜け穴技術で反故同然であり、言わば核保有国が相互に軍事力の優位性をいかに保つかに重点が置かれているのである。そして埒外の国には効果なしである。要するに核保有国同士の対立を包含し、保有国と非保有国の対立も既存のことである。更に今では戦術核兵器の使用も現実のこととなっている。インド・パキスタン・イスラエルそして北朝鮮の例は、特にその核の傘の内にある国も含め、二枚舌の矛盾の証左であり、絵空事に近い。NPTに加盟していないインドと日本の原子力協定などはどうか。
前岸田外相の“逆効果にもなりかねない”などは噴飯ものである。考えてみれば、核兵器廃絶決議案を長年出し続けている日本“なのに”である。むしろ更に対立(議論)を深め、核兵器禁止条約を推し進め、核保有国対他国連加盟国と成し核兵器禁止という目標に向かうべきではないのか。
日本は北朝鮮に非核化を求めるなら、なおさら核兵器の全面廃止と根絶を求める核兵器禁止条約に署名・批准をすべきである。「条約とは考え方、アプローチを異にしている。参加しない考えに変わりない」との安倍首相の弁、“アプローチ”は種々であり目標は一つだ。言い訳にしか聞こえない。
安倍首相と河野外相は制裁・圧力の一辺倒を唱え続け、更に外相は不適切にも他国に対し北朝鮮との国交断絶まで求める(2018年1月16日カナダ・バンクーバー20か国外相会合)始末なのだ。
正に「大勢判別能力がまひした愚か者のたわ言」なのかもしれない。
最近でも外相は国連安全保障理事会の非常任理事国であるペルーを訪れ、「北朝鮮の完全な非核化に向けて、安保理決議に基づく制裁措置を維持するよう」各国への呼びかけを確認するのである。
蚊帳の外から、“平和を希求する”ことに、真っ向から立ちはだかる日本である。
戦争を避け平和を持続させる少しの機会でも其処にあるのなら、見逃さず育てていこうとする気構えを失くしている。
北朝鮮の非核化を叫ぶも、実態は北朝鮮を追い詰める制裁を、そして拉致問題を呪文の如く唱えている。制裁それ自体も人頼みの拉致問題も既に何ら得るものも無い状況である。
呪文はただ安倍政権という反動政権を暫し生き存えさせるだけだ。
制裁の破綻が今の政治状況であり、北朝鮮の核開発を抑制するどころか運搬手段の核ミサイルまで進展させてしまった。
制裁に関し金正恩党委員長は、「強盗のような制裁封鎖でわが人民を窒息させようとする敵対勢力との激しい対決戦」である、と。また、「奮い立った人民の沸き返る熱意によって最も難しくて骨の折れる条件でも神話的な奇跡の歴史を記している」とも。
米朝会談の前にトランプ大統領は制裁を続けるも「最大限の圧力という言葉はこれ以上使わない」と、調子を落とした。
さて、“おいぼれ”のトランプ氏に率いられる政権下には、地道に論理を追って交渉する有為な人材は見当たらない。場当たり的で恫喝に長けた者では北朝鮮の敵ではないし、門前払いとなる。好戦的で信憑性に欠ける言辞を弄する“バカ”ばかりが固める。要はトランプ政権内での綿密な打ち合わせもなく、ただトランプ氏の世界に向かっての“ホエザル・ツイッター”がすべてであり、それへの“忖度”が配下の為せるすべてなのだろう。ゆえに裏付けなしの報道がまかり通っている。
米国次第で、当然、元の木阿弥も含めてだが、いずれ国際社会は雪崩を打つように大きく揺れる。世界に制裁という爆弾が飛び交い、それが高じて実物が落とされるのか。或いは米政権の著変か。
日本は戦争への“橋渡し役”に勤しむのか。安倍首相の双眸に映るのは国民無視と戦争準備である。
「韓半島(朝鮮半島)問題は我々が主人という認識が非常に重要だ」と、光復節73周年式典の祝辞で文大統領。
その通りである。
さて、非核化に関し、具体策は皆無ではあるが、歴史的といわれる米朝首脳会談の共同声明の核心部分は、「3 2018年4月27日の「板門店宣言」を再確認し、北朝鮮は朝鮮半島における完全非核化に向けて努力すると約束する(「3.Reaffirming the April 27, 2018 Panmunjom Declaration, the DPRK commits to work toward complete denuclearization of the Korean Peninsula.」)である。
そして、入れ子になっている「板門店宣言」では、「3.(4)南と北は、完全な非核化を通じて、核のない朝鮮半島を実現するという共通の目標を確認した。南と北は、北側が取っている主導的な措置は、朝鮮半島の非核化のために非常に大きな意義があり、重大な措置だという認識をともにし、今後それぞれが、みずからの責任と役割を果たすことにした。南と北は、朝鮮半島の非核化のための国際社会の支持と協力のために積極努力することにした」(「④ 남과 북은 완전한 비핵화를 통해 핵 없는 한반도를 실현한다는 공동의 목표를 확인하였다. 남과 북은 북측이 취하고 있는 주동적인 조치들이 한반도 비핵화를 위해 대단히 의의 있고 중대한 조치라는데 인식을 같이 하고 앞으로 각기 자기의 책임과 역할을 다하기로 하였다. 남과 북은 한반도 비핵화를 위한 국제사회의 지지와 협력을 위해 적극 노력하기로 하였다.)となっている。
“核のない朝鮮半島”、“朝鮮半島の非核化”の真の意味は、早合点すると、当然“北朝鮮の核”だ、となる。もしかすると、金正恩氏もそう思っているのかも知れないが、何せ理屈っぽい北朝鮮側である。
韓半島(朝鮮半島)の非核三原則(「核を持たない」「持ち込ませない」「核を作らない」)、それに朝鮮半島にとり最も危険(敵対)と見做される日本を巻き込んでの核兵器禁止となる“朝鮮半島の非核化”かも知れないのだ。
終戦宣言に続く法的効力がある平和協定後の韓米同盟についても論議される。
つまりは、最終的には米軍が近傍でうろちょろしないことを意味する。
米国の本質は執拗な“invader”である。一度とりつかれたら、骨までしゃぶり尽くされる。
日本・韓国がその例である。両国とも70年余の間、追い払うことができていない。その絶好の機会が巡ってきているのだが、インベーダーのすっかり手下になってしまった“保守”という国民が、共に母国を喰い荒らすことに嬉々としている。侵略者様々であり、御零れをいただいて大満足なのだ。
日本に朝鮮国連軍後方司令部がある。「吉田・アチソン交換公文により,サンフランシスコ平和条約の効力発生後も朝鮮国連軍が日本国に滞在することを許し,かつ,容易にする義務を受諾した」のだ。
朝鮮戦争が再開されれば、日本には国連軍施設に指定されている基地(7か所)があるので、当然、攻撃され戦地となる。
朝鮮戦争が終われば、朝鮮国連軍後方司令部を置く根拠も崩れ、“クラゲ”のような存在も 解体(日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定 第24条・第25条)されることになる。
本体は日米安全保障条約である。そして入れ子の日米地位協定。そのまた奥の院、日米合同委員会が存在する。三猿を捩れば、“見えざる”・“聞けざる”・“言えざる”の類で、実質は米国(軍)による日本支配の“深層”機関である。主権在民にもかかわらず、“untouchable”な存在なのだ。
日米安全保障条約(旧)の前文に、「無責任な軍国主義がまだ世界から駆逐されていないので」、武装を解除されている日本は危険である。よって、「日本国に対する武力攻撃を阻止するため日本国内及びその附近にアメリカ合衆国がその軍隊維持する」と。勿論、この前文は巧妙な修辞に満ちている。
侵入者のレトリックである。
米韓相互防衛条約の構造もまた似たりか。
さて、“無責任な軍国主義がまだ世界から駆逐されていない”ことについてである。
日本が武装を解除されたのは、ポツダム宣言によれば、“無分別な打算により自国を滅亡の淵に追い詰めた軍国主義者”、“日本国民を欺いて世界征服に乗り出す過ちを犯させた勢力”の所為である。つまりは、日本の“無責任な軍国主義”の結果となる。
この無責任な軍国主義鼓舞する日本の勢力が駆逐すべき対象であった。
そして新安保条約では、この駆逐すべき対象は駆逐されたのか、替わって個人の自由及び法の支配を擁護するなどと、日米(今度は駆逐すべ勢力に米国も加わるか)共に諫言を弄し、“個別的又は集団的自衛の固有の権利”があると囁き、安倍内閣に至って憲法解釈(2014年7月)を変更、集団的自衛権の行使を容認し、見事にそれが達成でき、そして安保法制が成った(2015年9月)。
前文に鏤められた“平和”の名を冠し、事は進む。
安保法制、安全保障関連法は既にあった法律10本を一つにまとめた「通称:平和安全法制整備法」と新法である「国際平和支援法」である。前者は他国を武力で守る集団的自衛権行使が可能となり、武力攻撃事態法改正が主である。後者は他国軍の戦闘支援のために自衛隊の随時派遣を可能とする。
そしてこれら戦争法を、特定秘密保護法(2013年12月)が国民から隔離し護る。
自国を滅亡の淵に追い詰めた軍国主義者は、未だ蔓延る。駆逐できるのは無責任で無関心の国民なのか。
朝鮮半島問題は我々が主人と改めて意志を固める文大統領である。米朝共同声明の2でも、「アメリカと北朝鮮は、朝鮮半島に、永続的で安定した平和の体制を構築するため、共に努力する」のであり、それは米朝の歩み寄りの契機ともなる。詰まるところ完全な非核化に向けて取り組むことになる。
そして、米朝共同声明での思惑ありげな“北朝鮮は朝鮮半島の完全な非核化に向けて取り組むこと”ではあるが、実質は北朝鮮も朝鮮半島の完全な非核化に向けて取り組むが、米韓、そして日本も取り組むということではないか。北朝鮮は、「実際に強制査察を受けるべき対象はまさに、日本自身である」とまで言い切る。
そう、朝鮮半島の非核化は半島周辺国家へ平和を招来することになる。北東アジアは繁栄の核となる。
日本そして韓国の外相、六月十二日の米朝首脳会談の結果を受け、茫然自失の体であった。 つまり、あるべく目前の道が急に消えたような有様となった。希望的観測に満ちていた日々が、十二日を境に手に持つ膨らんだ風船が俄に針で刺されてしまった如くなのだ。
夢が、トランプ大統領にかけた願いがあっさりと“無視”された。
猫騙しに遭ってしまった。制裁・完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)・拉致問題を口酸っぱくなるほど頼んだのに、すっぽりと抜けた。
勿論、パンムンジョム宣言は南北が主体である。元を正せば日本に責任がある。その日本の為に一肌抜ぐことは吝かではないだろうが、精々主役(文大統領と金正恩朝鮮労働党委員長)を相呼応させる役割どころではないのか。
よって、肝心なことは安倍政権、“蚊帳の外”に置かれた。もっとも濡れ手で粟をつかもうとする側の魂胆がそもそも卑しいのだが。
しかしながら、安倍首相は中々悪運が強い、というか、当初の狙い通りなのかも知れない。 今次のことも深読みすれば、制裁・完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)・拉致問題も捨て置かれ切歯扼腕、茫然の体(振り)ではあるが、本音は“ラッキー”なのだと思う。
なぜなら、拉致問題が“真面目”にパンムンジョム(板門店)宣言に米朝共同声明にて提起され“解決済み”と宣われたら、万事休すである。また、軍備拡張を急ぐ安倍政権にとって、完全な非核化に向けたCVIDを謳われたら、振り上げた拳の行く先がなくなる。
よって、米国には到達しないが、日本を射程内に捉える短・中距離ミサイルの放棄をも北朝鮮に求める。
ミサイル避難訓練の中止程度で国民の批判をかわせたのだ。本音はホッとしているか。3選を目指す安倍首相、憲法改正の実現に意欲を示す。
特に日本、後は以前にもまして、制裁・完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)・拉致問題の解決を、とカエルの合唱である。
が、日本と韓国では同じ合唱でも、同床異夢である。日本の場合ははっきり言って韓半島の平和を求めるよりも、北朝鮮(朝鮮半島の非核化=北朝鮮の非核化?)の非核化よりも“現状凍結”のほうが、何事においても都合がよいのだ。
口先だけで拉致問題の解決を叫んでいるほうが、北朝鮮の脅威を声高に告げ国民を煽っているほうが、万事都合がよいのだ。
憲法改正・軍備拡張・国民統制などの為である。戦争ができる普通の国を目指しているからだ。
勿論、当面は単独でなく米国に付き従う見習い軍隊として、そしてその後は、「日本を取り戻す」という第二次安倍政権の標語である。
つまり、木に竹を接ぐ江戸幕府から明治への急ぎ物、そして、挙句の果てに先の大戦で完膚無きまでやっつけられての敗戦である。この接いだ“竹”が、「第1章 天皇 第1条 大日本帝国ハ万世一系ノ天皇之ヲ統治ス」で始まる大日本帝国憲法が、第二次大戦後は日本国憲法に改められ、国民が主権者となり、枯れてしまった。
“取り戻す”とは、今度は“日本国憲法”という木に新たな“竹”を性懲りもなく継ぐことなのだ。安倍政権が今の調子で国民を無視して数に頼んで行くなら、“取り戻す”ことができるかもしれない。
「敗戦国の束縛から完全に逃れるために身もだえしている軍国主義毒蛇」と、北朝鮮。
「こんな首相に絶大な権限を与え、日本の運命を託し続ける国民とはいったい何者なのか。自民党永久政権とそれを利用して生き延びる官僚組織に食い物にされているに、いつしか日本は、経済はおろか社会や道徳までものが劣化してしまった。そのことに日本人はどうして気付かないのか」(『さらば外務省!』)。
そしてまた、あとがきにある一つ目「歴代首相の中で小泉首相ほど、政治と国民を舐めてかかった政治家はいない」と。今、安倍首相も輪をかけてその歴代に加わる。
「権利=法の目標は平和であり、そのための手段は闘争である」、「権利=法にとって闘争が不要になることはない」(『権利のための闘争』と。
日本国憲法もその第十二条に、「国民の不断の努力によって感じて、これを保持しなければならない」と定める。
国民は浮草の存在であってはならないのであり、闘う存在でなければならない。
2007年4月の福島衆議院補欠選挙の応援遊説の中で、「(長州の)先輩がご迷惑をおかけしたことをお詫びしなければいけない」と、安倍首相。
が、後輩である安倍首相も国民の忌避することを、法を無視し強引に進める。先輩も汚職事件や権力犯罪を起こしている。
そして今、終始一の如し見苦しい言い訳の結果、いつまでも燻ぶる森友・加計問題など国民の前に曝け出している。
官僚の国民誑かしも極まるところを知らない。悪臭が顔面から滲みだしている政治家と面従する官僚群が国民の財産を奪い合うのである。
腐敗した政治は、末端の地方にまで、その法の主旨も体さず狡猾にも利用し、事実(情報)を国民から覆い隠すことを強いる。
例えば、公文書の公開請求をしても、国と地方公共団体に関わる国民(市民・住民)の“関心事”は金太郎飴のようにつくられた情報公開条例の第7条、「実施機関は、公開請求があったときは、公開請求に係る公文書に次の各号に掲げる情報(以下「非公開情報」という。)のいずれかが記録されている場合を除き」云々の規定に抵触し、公開に遮断機がおりてしまう。
その号とは、2・3・5・6・8である。たとえば、(8)では、「国家戦略特区に係る事務事業については、関係機関との綿密な協議・調整があってはじめて執行できるものであることから、事業の方針決定に至る途中段階にある情報を公開することで、関係機関との協力又は信頼関係を著しく損なうおそれがある」などである。
“関係機関との協力又は信頼関係を著しく損なうおそれ”があるでは、市民の知る権利の尊重または市民に対する説明責任を果たしていないのである。基本的に公的事務作業に“隠し事”のあるほうが問題なのだ。そこに“疚しいこと”ありとしなければならない。
堂々と公開し批判を受けることだ。さもないと腐臭が漂い、公正中立な行政を捻じ曲げることになる。
トランプ大統領を責めるよりも、金正恩の手腕を嫉むよりも、自らの現実認識の“甘ちゃん”な無能ぶりを反省すべきなのだ。
自分の都合のよいように事態を解釈し、またその方向に、世界を駆け巡り、我田引水を計画し或いは扇動していた日本の安倍政権、今や急停止せざる得なくなった。が、CVID・拉致問題が取り上げられなかった為、其の点を論い、非核化まで制裁をと叫び続け、国民には取り繕いを続ける。
米プロバスケットボールの元スター選手、デニス・ロッドマン氏は、「初回なので期待し過ぎてはいけない」と、米朝首脳会談の前に釘をさしていた。
率直に言えば、安倍政権の国際社会に向かっての“吹聴”は“親玉”が転けないという前提があってこそ、「対話のための対話には意味が無い」、「最大限の圧力」なのであり、「最大限の圧力という言葉はもう使わない」と、トランプ大統領が振り上げた拳をダラリと下げてしまっては、安倍首相と河野外相にとってはばつが悪いことになったのだ。なにせ根無し草の存在に陥ってしまったのだ。大仰に言えば盤石の列島があまたの震動に怯える浮島のようになってしまった。
北朝鮮は、拉致問題をはじめとし政権補強の具であり、特に安倍政権にとって必須のアイテム、“虎の子”である。手放せないのだ。言葉とは裏腹に米朝の罵りあいを続けていて欲しいのだ。拉致も非核化も解決が長引くほどよい。
北朝鮮の若き指導者の破顔一笑に国際社会は魅了されてしまった。その引き立て役はこれまた国際社会の異端者、米国のトランプ大統領である。“嫌よ嫌よも好きのうち”という訳である。金正恩氏に電話会談するための米大統領府の自分の直通電話番号を教えた。これでは安倍首相、いくら焦ってトランプ大統領に電話をしても、“金ちゃんトラちゃん”の仲を裂くことも本音トークの会話を漏れ聞くもさらに遠のく。
つまり、蚊帳の外であり、迂闊にこれまで通り「対話のための対話には意味が無い」とか、音を上げるまで「最大限の圧力」で締め付けるなど国際社会の協調を訴えうそぶくことはできなくなる。
「体質化したいかさま外交」、「大勢判別能力がまひした愚か者のたわ言」と、北朝鮮に対する河野外相の制裁強化の呼びかけを、米朝会談前の早い段階で批判している。そして「米国の対朝鮮圧力の笛に合わせて踊らなければならないのが日本の哀れな境遇であり、米国の脚本通りに物乞い外交を行っている」と批判。
「外交に責任を持つ者なら、制裁や圧力が通じるかどうかを熟考して行動すべきだ」と、論評も正鵠を得ている。更に「地域の要求と大勢を知らなければ政治的にも孤立した『独りぼっちの島国』の運命を永遠に免れないということを日本は知るべきである」とも。
米国への批判は止んでも、「不安感にとらわれた安倍は朝鮮半島の情勢を悪化させようとする不純な策動に東南アジアの国々を引き入れようと愚かに画策しているのだ」などと、日本への的を射た批判は鳴りやまない。
金正恩氏に“してやられた”、否、やられつつあるのである。
聴くべきは同盟国米国の囁きよりも、“北朝鮮の諫言”だったか。
風見鶏のような日本外交では北朝鮮の信頼を得ることは難しいかも知れないが、米朝悪態合戦の結果もあることだ、現在の北朝鮮は日本の対応の確かさを計っている、機会が到来している。
安倍首相は三本の白羽の矢(大胆な金融緩和・積極的な財政拡大政策・未来の成長戦略)は企業を富ますも、トリクルダウン効果は得られず貧富二極化の深化へと向かう。最近は失敗例を聞く水道事業の民営化をも進める。
米国第一を唱えるトランプ政権への100%の追従は同床異夢のごとしである。恐らく、100%なのはワシントン・コンセンサスの実施そのものか。が、これは100%の角逐を意味する。
政治的にもベトナムでの日朝極秘会談(7月)が米側の不快感を招いている。
一方のトランプ大統領は、パリ協定にまで“いちゃもん”をつけ、「米国の納税者を失業させ、低賃金や工場閉鎖をもたらし、製造業の生産を減らしてきた」と、米国を束縛するあらゆる束縛を振り解こうとする。
そして、企業統制をしながらグローバル化を巧みに利用し貧困を救い(「中国は6億人以上の人を貧困から救ったことを知っているか」と、激高の中で王毅外相:2016年 オタワ)、今や米国を追い抜こうとする経済大国に伸し上がった中国に、トランプ氏、いら立ちを覚え関税・非関税障壁での八つ当たり、さらに北朝鮮の非核化が進まない原因まで含め、責任転嫁である。
「朝鮮は核実験場を閉鎖し、ミサイル実験施設を撤去し、朝鮮戦争時の米軍兵士の遺骨を返還した。朝鮮側は善意を示し続け、米側は歓迎し評価したが、それを対等で釣合のとれた行動に移していない。米国は米韓合同軍事演習を停止したものの、政策を強化し続け、最大限のプレッシャーに歩調を合わせるよう各国に要求し、平和体制構築には消極的だ」と。
「米側が自国に誠意と柔軟性が不足している問題を顧みずに、中国側を責めるのは、事実と合致せず、道理にも合わない」と。
そして、「他国に責任をなすりつけるのは大国のすべき行いではない」と。
つまり、味方(ツール)であった自由貿易が不自由になってきたという訳である。理不尽にも敵愾心を燃やされた中国は知恵を絞るに違いない。そう、自由貿易の守護者としてなど、諧謔じみてはいるが。
滑稽にも、束縛から逃れようともがきながら両手で自分の首を絞めつけるトランプ大統領、とにかくハチャメチャに制裁しまくるが、果たして巨大市場を本当に捨てられるのか。
“米国第一”は正しく自国の軍事力・経済力に頼んでの放縦なユニラテラリズム(unilateralism)を以って、自傷行為を続けると共に他国に不利益を強要するものである。
「米国が「レッドライン」を超えた場合には、欧州は団結して対抗する必要がある」と、ドイツのハイコ・マース外相。
「ヨーロッパはもはや安全保障をアメリカに頼ることはできない。ヨーロッパの安全を守るのはわれわれ自身だ」と、マクロン大統領。
「EUはアメリカから独立した決済システムを検討中だ」と、ドイツのマース外務大臣は強調する。
「輸出契約における主な決済通貨である米ドルには非常に多くの疑問がある」とし、他の決済方法の検討の必要性を考えさせる(ロシア連邦軍事技術協力局のドミトリー・シュガエフ局長)。
「アメリカのトランプ大統領の行動や政策により世界はアメリカに対し団結することになった」と、米国の作家・国際問題評論家のDilip Hiro氏。
「各国通貨を決済に使用し、国際貿易におけるドルの支配に終止符を打つ必要がある」と、トルコのエルドアン大統領。
そういえば、パンムンジョム宣言も、「1.(1)南と北は、わが民族の運命はわれわれがみずから決定するという民族自主の原則を確認」した。
文大統領と金正恩朝鮮労働党委員長は米国の態度如何にかかわらず、パンムンジョム宣言を推し進め平和構築をしたらよい。パンムンジョム宣言を容れた米朝共同声明がある。
文大統領、支持率が56%と下がっても韓国国民の71.88%は板門店宣言を国会が批准同意すべきと支持しているのだ。
「対話のための対話には意味が無い」と云えば、安倍首相、北方領土問題では通算21回目となる会談、これなど見込み外れで“対話のための対話には意味が無い”の典型といっても過言ではあるまい。
そして、性懲りもなく、「北方領土四島の帰属問題を解決し、平和条約を締結したい」と、安倍首相(ロシア訪問:9月11日から予定)。
最近、ロシアが6月18~21時日に択捉島(イトゥルップ島)でミサイル訓練すると通告。が、日本政府のロシア外務省を通じての抗議に関し、ロシア外務省のモルグロフ次官は「何も受け取っていない。初めて聞いた」と。
日本の米陸上配備型イージス、イージス・アショアをロシアは好まないと。
9月11~15日の軍事演習「ボストーク(東方)2018」には約30万人の兵士が参加する。中国は兵士3200人、車両900台、航空機30機を派遣する。演習には核兵器の使用シミュレーションが含まれると。
かつて「人間ゴミ、血に飢えた吸血鬼」と北朝鮮に称されたタカ派中のタカ派、ジョン・ボルトン国家安保補佐官はリビア方式の非核化などを論い、北朝鮮の手強い外交官、金桂寛氏の怒りを買い、「一方的に核放棄だけを強要しようとする対話にもはや興味を持たない」と、米朝会談の再考を言い出した。
また崔善姫外務次官も、「われわれは米国に対話を哀願しない」と、リビアのように終わるだろうと発言したペンス副米大統領に反発(5月24日)した。
ボルトン氏もペンス氏も北朝鮮との対話当事者の資格は失った。
ポンペイオ米国務長官の北朝鮮訪問(7月6・7日)で、金正恩氏の側近であるキム・ヨンチョル副委員長と、朝鮮半島の非核化でなく北朝鮮の非核化をめぐって協議し、“一定の進展”があったとした。
一定の進展(作業部会で北朝鮮側の取り組みを検証していくことか?)が、何を意味するのかは不明である。急きょ行く末について日米韓の外相らの鳩首凝議とあいなる。日米韓3か国の外相協議(8日)で、その詳細説明があったのかも知れないが、国民には不明なことである。
ただ判然としていることは、日米韓の河野外相、ポンペイオ米国務長官そして康外相は北朝鮮の理詰め相手としては、余りにも無能であり、無神経であり、外交手腕に欠けるため、失格である。前の二人には“侮蔑”の言葉さえ投げつけられている。
康外相は端から相手ではない。
「Twitter followers across the world! We want to let you know history is being made on the Korean Peninsula. The top leaders of the two sides will meet for an lnter-Korean Summit on April 27. Cheer us on, and stay tuned! #peacekorea #남북정상회담 14:19 - 2018年4月23日」と、興奮気味に韓半島で起ころうとする歴史に言及する。
が、その後は制裁などをカウンターパートと共に園児よろしく合唱する。
勿論、ボルトン大統領補佐官などは論外であるし、ソン・キム駐フィリッピン大使などは使い走り程度で論外である。
つまり、トランプ政権に人材無しであり、残るは即決即断が可能であろうと金正恩委員長が期待を掛けるトランプ大統領しかいない。
ポンペイオ米国務長官の4度目の訪朝を電撃的に取り消した。当たり前である。
北朝鮮に“手ぶら”で行っても“話が違う”と、玄関払いであり、金正恩が会うなど白昼夢である。
Donald J. Trump @realDonaldTrump
I have asked Secretary of State Mike Pompeo not to go to North Korea, at this time, because I feel we are not making sufficient progress with respect to the denuclearization of the Korean Peninsula...2:36 - 2018年8月25日
米朝の共同声明では、「President Trump committed to provide security guarantees to the DPRK, and Chairman Kim Jong Un reaffirmed his firm and unwavering commitment to complete denuclearization of the Korean Peninsula」である。“北朝鮮の非核化”が先であるなどとは意味しない。
ただ、信頼醸成と手始めに北朝鮮は、核実験場の爆破・閉鎖、ICBMの発射実験の中止そして 共同声明、「4 米国と北朝鮮は(朝鮮戦争の米国人)捕虜や行方不明兵士の遺骨の収集を約束する。これには身元特定済みの遺骨の即時返還も含まれる」にある一環として遺骨55柱を7月末に返還している。
北朝鮮にしてみれば、共同声明を着実に履行しているということになる。それなのに、「1 米国と北朝鮮は、両国民が平和と繁栄を切望していることに応じ、新たな米朝関係を確立すると約束する」と云っておきながら、という思いがある。
“新たな米朝関係”、つまり「北朝鮮に安全の保証を与えることを約束」したことであり、北朝鮮の欲する朝鮮戦争の終結に次いで米朝平和協定へと続くことである。
統一は先の話となる。
米朝ともに問題は、本質をなす事柄を“暗黙の了解事項”、はたまた“阿吽の呼吸”で、済ましていることである。そして、その詰めも下っ端のポンペイオ米国務長官では用が足りず、“強盗”の扱いされ、今に到っている。
パンムンジョム宣言の履行も、南北の離散家族の再会事業や交流が進んでいる。宣言の「3.(4)南と北は、完全な非核化を通じて、核のない朝鮮半島を実現するという共通の目標を確認」し、その進展を期しての軍事的緊張を解消しつつある。
前に述べたように“手ぶら”で四回目となる訪朝をポンペイオ米国務長官にさせても徒労に終わる上に、的確な雑言を後から浴びせられるだけである。米国も他国の所為にするのでなく、主体的に具体的な行動に移るべきである。
Donald J. Trump @realDonaldTrump
...Secretary Pompeo looks forward to going to North Korea in the near future, most likely after our Trading relationship with China is resolved. In the meantime I would like to send my warmest regards and respect to Chairman Kim. I look forward to seeing him soon! 2:36 - 2018年8月25日
「(北朝鮮との)平和条約調印に向けた取り組みで、米国が期待に応える用意ができていないためだ」と、書簡で北朝鮮は主張した。非核化交渉を前進させる重要なステップである。
戦争の相手国に武装解除に等しきことを求めている米国(追従する日本も)、やはり、交渉ベタなのか。建国以来使っている“恫喝・恐喝・暴力”が通用しない国もある、ということを理解すべきである。
それに制裁を続けても、その効果のほどは思ったほど上がらず、却って“制裁下経済”というジャンルができそうなくらい、北朝鮮では経済運営が為されている。米国のキューバに対する半世紀に及ぶ制裁で米国は何を得られたというのだろうか。
前大統領オバマ氏を貶し、二年近くトランプ氏にも時は流れた。
北朝鮮はボヤーっと時を無駄にしない。
3か国の外相は連携を強化し、完全な非核化を達成するまで制裁を継続することで一致した。
が、北朝鮮が最大限の制裁で“のたうち回る”状況であるようにはみえない。それどころか、「自立的経済の土台があり頼もしい科学技術陣がいるので、敵が10年、100年にわたり制裁するとしても乗り越えられない難関はない」と、金正恩朝鮮労働党委員長は言うのだ。 2017年の北朝鮮のGDPは、前年比3.5%減少したようだ。
今後ポンペイオ長官は北朝鮮との会合毎に拉致問題を取り上げとしたが、眉唾物である。
つまりは制裁の継続も、拉致問題も全くの所“国民向け”、特に日韓両国向けの騙しである。
安倍首相の言行不一致、本音と建前、有言不実行の愚かさを糊塗するための外交“偽礼”を放っただけである。
何のための制裁か。制裁は大局を見ない無能な政治家・官僚の事務処理の類であって、政治家の遣ることではない。
最大限の制裁で参りました、非核化しますから、制裁解除してください、と北朝鮮は吐いたのだろうか、知る限り否である。
拉致問題を解決済みとする北朝鮮に、自国の問題でもないのに、非核化と無関係なのに米国が繰り返し提起するはずがなかろう。
それこそ北朝鮮に米国は当事者能力を疑われ、バカ者と罵られるのが落ちである。
非核化が、米朝関係がスムーズに進んだ後に拉致問題の“結論”はなる。
韓国の徐薫国家情報院長が云うように、日本人拉致問題については、「今後、この問題は日本と北朝鮮の実質的な関係改善の過程で議論されて協議できるものと思われる」、なのだ。
「私自身が金正恩朝鮮労働党委員長と向き合い、拉致問題を解決する決意だ。両国が相互不信の殻を破り、新たな外交をスタートさせなければならない」と、拉致被害者の曽我ひとみさんと面会時に安倍首相。毎度、胡乱な首相である。
ポンペイオ米国務長官、それに日韓の外相は“制裁の維持”の百曼陀羅を唱和する。使わないことにした最大限の圧力を、癖になってしまったのかまたぞろ口に出す。
要は何が肝心事なのかを理解できない、外交的感覚の鈍い素人に等しい人物が右往左往しているのだ。
交渉ごとと恫喝・恐喝事を区別できないレベルの米国の担当者は北朝鮮の相手としては全く相応しくなく、難航するのは当然である。
今回、米朝会談を重く見る北朝鮮側の我慢強さに救われている。それに、非核化に際しては根刮ぎという訳にはいかない。
日本の外交はイランの核合意をめぐって、独自外交ができずに股裂きの刑に遭わされそうである。もっとも米国と“100%ともにある”のなら、イランの核合意継続支持を表明しても、イラン産原油の輸入継続が駄目になるならば、実質的には軽口立てに過ぎない。
千篇一律の制裁を唱えても北朝鮮の実態は、百聞は一見に如かずで、北朝鮮の地方都市も回り写真集を出版する初沢亜利さんは、「現地を見ると、経済制裁のため北朝鮮が対話攻勢に出たとは思えない。むしろ、経済建設に集中するチャンスだと、自主的に判断したのでしょう」と。
①拉致被害者17人(2002年日朝会談で北朝鮮13人の拉致は認める):5人帰国 8人死亡 4人未入国
②ストックホルム合意(2014年5月)後 未入国者の内2名の入国を認める、未入国者は2人
ストックホルム合意後に国内的にも誠実な対応が為されていたなら、当時に拉致については解決済みであったのではないのか。
日朝平壌宣言でも直接的に拉致の件は無く、むしろ、「国交正常化を早期に実現させるため、あらゆる努力を傾注」し、「経済協力の具体的な規模と内容を誠実に協議」することとしたのだ。
「全ての拉致被害者の一刻も早い帰国の実現」とは、一体具体的にはどうするのだろうか。未入国者の内入国者(拉致)とされた、2人を以ってすべての被害者となるのだろうか。
例えば、松原仁衆議院議員の「ストックホルム合意に関する質問主意書」(平成二十八年三月二十八日提出 質問第二一九号)に対する答弁書(平成二十八年四月五日受領 答弁第二一九号)で、「「ストックホルム合意」を破棄する考えはなく、同合意に基づき、拉致問題を含む日本人に関する全ての問題の解決を目指す考えである。これ以上の詳細については、今後の対応に支障を来すおそれがあることから、お答えを差し控えたい」と、国民的関心事に対しては素っ気無い答弁で、何等具体性が見受けられないのである。
松原議員は主意書の中で、「ストックホルム合意が拉致被害者救出を遠ざける結果を生んでいることは、多くの被害者家族、問題に取り組む国会議員、また運動関係者の共通認識である」とするが、ストックホルム合意内容が拉致被害者救出の阻害要因になっているわけではない。拉致問題に期待を持たせるだけの言行不一致、更に奥歯に衣着せる在り方が問題であり、手詰まりとなっている。
拉致問題を政策の具にするのでなく、事実を述べるべきである。
河野洋平元官房長官は、「北朝鮮に植民支配のお詫びからすべきであり、拉致問題の解決より国交正常化が先だ」でないかと。
対して安倍首相は「日本の交渉力を落とす発言だ。政治の大先輩だが、極めて遺憾」と。
しかし、なぜ河野洋平元官房長官の趣旨が“日本の交渉力”を落とすのかは、全く以って意味不明である。
ならば安倍首相はどんな交渉を試みているのか。国民には行動を起こしているようには見えない。それに成果も挙げていないではないか。政治こそ結果が問われる。
世界中駆けまわっても、賽の河原ではないのか。その猛省も必要だし、検証すべきである。 河野外相も同様である。
安倍首相に交渉の“隠し玉”はあるのか。対北朝鮮で唯一と思われる“拉致の持ち駒”は既に「歴史の裏道に消え」、国民もその事実を薄々察している。
安倍首相の外交などは“仲間内での一方的金渡し”に過ぎず、官僚の成果挙げに等しく、鎬を削ってのことではない。
拉致をいうなら、日本文化の礎となった、古くは文禄・慶長役での撤収に際しての「儒者や陶工から労働力としての一般民までの多数の拉致」がある。
「北朝鮮と日帝強占期における朝鮮人強制徴用者の遺骸送還協力に関する合意文に署名」したと、韓国の民族和解協力汎国民協議会(民和協)の金弘傑(キム・ホンゴル)代表常任議長(7月19日)。
安倍首相、三選を望むも真綿で首を締めつけられる状況が出来する。
北朝鮮は小手先の対応でなく過去の清算を求める。
「核とミサイル、拉致問題の包括的な解決なしに国交正常化や対北朝鮮経済支援はない」とする安倍首相は、一体何を恐れているのだろうか。拉致問題と表裏一体の安倍首相、逆に問題解決からは遠ざかるといことなのか。
ストックホルム合意事項(2014年5月29日)で、日本側の行動措置第四にある、「北朝鮮側が提起した過去の行方不明者の問題について、引き続き調査を実施し、北朝鮮側と協議しながら、適切な措置を取ることとした」とあるが、“北朝鮮側が提起した過去の行方不明者の問題”とはどのよう内容なのか。
そして対になる北朝鮮側の第五、「拉致問題については、拉致被害者及び行方不明に対する調査の状況を日本側に随時通報し 、調査の過程において日本人の生存者発見される場合には、その状況 を日本側に伝え、帰国させる方向で去就の問題に関して協議し、必要な措置を講じることとした」とある。
これらは何らかの思惑があって、“作文”されたものであろうか。
この作文は事(拉致問題)が決着したにもかかわらず、でも“何かあったらよろしくお願いいたします”と、余韻を残させて欲しい、このまま決着では国民に顔向けができないと、食い下がり哀願したようにも読める。
「2002年の日本の首相のピョンヤン訪問と歴史的な日朝ピョンヤン宣言の発表を機に完全に解決された問題だ」=2014年に北朝鮮が提起した問題=日本にとって不都合な真実となり、合意事項の文面作成となる。
が、その合意事項も2016年02月12日に、日本が北朝鮮の核実験やミサイル発射を受け、独自制裁の強化策を打ち出したため、合意の破棄ととらえ、北朝鮮は調査の全面中止・特別調査委員会解体を宣言した。
日本は合意事項にある「現在日本が独自に取っている北朝鮮に対する措置(国連安保理決議に関して取っている措置は含まれない)を解除する意思を表明」したのに、合意とは無関係の件で制裁をしたと取られた。
が、この北朝鮮の観点から言うと、日本は拉致問題にかかわる以外の独自制裁は一切できないことになる。
況してや安倍首相や河野外相の“拉致、核、ミサイル問題の包括的な解決が前提になる”との主張は成り立たないし、味噌糞論であり、拉致解決云々には餓鬼に苧殻であり、前後不覚の安倍政権の支離滅裂なガキねだりとなる。
イランとの良好な関係にあり両国の経済協力の拡大が見込まれるなかの日本、トランプ政権の委細構わずのイラン原油輸入停止要求に、常に米国の手の平で泳ぎ独自外交も儘ならない安倍政権、“御意に入る”のか。
2004年にも、米国にイランの核開発絡みで日本の去就が求められ、アザデガン油田開発の権益は失効であると、振り回されての外交であった。
拉致問題でもごちゃ混ぜでなく論理整理が必要である。
核・ミサイル問題、北朝鮮から言わせれば、「アメリカ側はシンガポール首脳会談の精神に反して、CVID=完全で検証可能、かつ、不可逆的な非核化だの、申告だの、検証だの言って、一方的で強盗のような非核化要求」であると非難する。万が一にも強盗の非核化要求が通ったとしても、日朝間の拉致問題の解決には寄与しないであろう。
拉致問題は既に解決済みと北朝鮮は主張しているのであるからだ。安倍首相の云う“拉致問題”とは一体全体何を意味しているのか。国民に説明して貰いたいものだ。
南北首脳会談(4月27日)の共同宣言・共同会見でも触れられることの無かった拉致問題、安倍首相と文在寅大統領の約束を云々する前に、“他国任せ”の安倍首相自身を責めるべきである。
つまりは、安倍首相が「新たな外交をスタートさせなければならない」のだ。しかもその機会は、文在寅大統領との電話会談(29日午前)の中、「北も、いつでも日本と対話する用意がある」と説明されているのだ。
安倍首相、常に間に合わせの言葉だけが先行し、その言葉はすぐに忘却の彼方へと飛び去る。行動に移せない真の理由は国民への“うそ”がばれるのを恐れているからだろう。嘘のうちには無能無策もある。
安倍首相の看板である拉致問題を、核・ミサイルと抱き合わせ、日朝平壌宣言(2002年9月17日)を持ち出し、安倍首相は、核、ミサイル、拉致問題を“包括的”に解決し、日朝国交正常化(「国交正常化を早期に実現させるため、あらゆる努力を傾注することとし、そのために2002年10月中に日朝国交正常化交渉を再開すること」とされている)を目指すと、文在寅大統領との日韓電話協議(3月16日)で説明した。
が、本来これらは、日朝平壌宣言で「双方は、相互の信頼関係に基づき、国交正常化の実現に至る過程においても、日朝間に存在する諸問題に誠意をもって取り組む強い決意を表明」しているのであり、正に日朝国交正常化の実現に到る過程の中で取り組むことであり、交渉は“核、ミサイル、拉致問題を“包括的”に解決した後でのことではない。
前後が逆であり、日朝平壌宣言の要旨を履き違いている。このような“おつむ”では北朝鮮と真面に渡り合えない。
それにしても、安倍首相、自ら拉致問題解決のハードル下げるのでなく、上げているのだ。妙な動きをする“宰相”である。裏は種々記述した。
文在寅大統領シンガポールでの講演(7月13日)で、「韓国、北朝鮮、アメリカの首脳は歴史の方向を変えた。朝鮮半島の完全な非核化と恒久的な平和に向けて歩み始めた」と。
また「南北関係の正常化は、米朝関係、日朝関係の正常化にもつながる」とし、日朝関係の正常化に向け協力する考えを示した。
真っ当な気配りである。
朝鮮半島の現状は偏に文在寅大統領の変わらぬ政治姿勢によって扇の骨が綴じられている。もっとも、北朝鮮に言わせれば、「運転者どころか助手役もろくにできない」のであるが。
が、文在寅大統領、キーマンであることは確かである。
安倍首相、朝鮮半島の平和に背を向け、“清算すべき”拉致問題からも逃げるわけにはいかない。ストックホルム合意事項の現実(=拉致調査結果の再説明)は迫る。
トランプ大統領、北朝鮮の核保有を認めるかも知れない。米国はその脅威を既に米朝首脳会談そのもので取り除いたのだ。
「制裁は維持されていて、人質は送還され、9カ月間にわたりロケット発射もなかった」と云う。つまり、北朝鮮を懐柔し黙らせたことが“成果=結果”なのだ。
トップ同士、意思の疎通が図れれば、米国にとっては特に問題なしなのだ。米国は経済でベトナムの例あげるが、いずれパキスタン・インドなど並みに米国が扱えば落着である。
国際社会が云々しても、米国の圧倒的レベルの覇権力が鎮静化させる。論理的にも“二枚舌”を逆にトランプ大統領に指摘され、黙らざるを得なくなる。
北朝鮮の金正恩国務委員長が先月12日のシンガポール米朝首脳会談当時、トランプ米大統領に「私は今のように生きることもできるが、米国が体制を保証して最終的に経済制裁を解除すれば核を放棄し、中国とベトナムよりも高度成長する北朝鮮をつくりたい」と述べたことが13日、確認された。
つまり、今の制裁の道を選ぶことでも問題ないと。が、金正恩氏、トランプ氏に平和への道を示唆した。受けて立つべきはトランプ氏側である。
米国は(北朝鮮と)毎日のように対話をしていると、では毎日のように安倍首相には連絡を受けているのだろうか。
何れにしろ、政治的判断は裏取引も含めて露出してくる。政治はいずれ現実となる。現実化されなければ、政治ではない。現実こそすべてなのだ。国民が其の現実をどう受け止めるのかにかかっている。
日朝首脳会談などは実現しない。ただ“振り”を国民向けに為すだけだ。
今次の河野外相の日朝首脳会談をする用意があるなどは詐欺行為に等しいのだ。なぜなら実現したら、安倍政権は崩壊するからだ。北朝鮮は拉致に関して安倍首相を喜ばす“ネタ”は持ち合わせていないからだ。
河野外相は「臆測を交えた誤報が目立つ」と、シンガポールでの日朝外相接触に関し、記者団に向かって根拠もなく“誤報”だと。
そう、外相こそが接触に関し確と、李容浩(リヨンホ)外相に“しかと”されたのが事実なのだ。
先例がある、安倍首相は金永南最高人民会議常任委員長と対話し、拉致問題解決や核、ミサイル問題の開発中止を求めたと。そして「中身は詳細に申し上げられないが、従来のわれわれの考え方を伝えた」と。
河野外相もまた「内容については一切申し上げません」である。両者とも日本国民に向かっての“振り”をしたのだ。
事実、先の安倍首相も、未だに何時でも会う用意があると云う北朝鮮何に対し、結果を出せないでいる。
米朝首脳会談後の7月、「日本の北村滋内閣情報官と北朝鮮のキム・ソンヘ統一戦線部統一戦線策略室長」がベトナムで秘密会談を持ったと。事前連絡をしなかったため、米当局者が不快感を表したと。
菅義偉官房長官は(8月29日)、「報道された内容の一つ一つに対して話すことは慎みたい。どうなろうが拉致・核・ミサイルというすべての案件に対する包括的解決に努めている」と、秘密会談を否定はしてない。
なぜ秘密で米・韓・北朝鮮に絡む案件を日本が北朝鮮と独自に進める必要があるのだろうか。全く以って摩訶不思議な出来事である。
とすると、解決済みの拉致問題に関し、世論騙しの“取り繕いの段取り”打ち合わせかも知れない。落し所を探っているか。金が掛かることである。
「トランプ大統領は北朝鮮の核に関する行動にそれほど期待しておらず、アメリカ政府において、北朝鮮が核兵器廃絶の取り決めを守ると期待するお人よしはいない」と、ボルトン大統領補佐官。
つまりはオバマ式の長期化で北朝鮮の核保有を認めることになる。ボルトン氏が予防線を張っている。実はトランプ大統領の望みはかなり低いものなのだ。
制裁は維持というが、そうは言っても、何も得られずでは、北朝鮮とて愚痴なり文句の幾つかは言いたい。
制裁が解除されなければ北朝鮮は更に強力なロケットマンとなって米国に立ちはだかり、元の木阿弥という構図になり、北東アジアに戦雲が漂うことになる。
激しく忌避したオバマ前大統領の轍を踏むことにもなる。それにポンペイオ米国務長官によれば、「北朝鮮は、核弾頭の60%から70%の廃棄に関するアメリカの提案を拒否した」と。
つまり米国は、完全非核化という道のりは夢の如く一挙に成し遂げられるものではないことを知り、米国こそが“サラミ戦術”を用いて凌いでいこうとしているのだ。
トランプ大統領は各国の首脳と会談することについて、「我々にミサイルや核兵器を飛ばす者は誰もいない。その他の恐ろしいことも起きていない」と。それが首脳会談の結果なのだという。
が、「米国と同盟諸国に対する攻撃」を中国が訓練しているとも云う。当然中国は激しく抗議している。
では、なぜにもう一歩踏み出し、米国は朝鮮戦争の終戦宣言をしないのだろうか。
文在寅大統領が先鞭をつけるか。ならば、米国内の政治状況に緩衝材となるか。
制裁は済し崩しに当然解除となる。
つまり、北朝鮮は米国の友達となる。制裁・拉致問題一辺倒の無為無策の日本には莫大な“付け”が回って来る。
国際社会は制裁一点張りでなく、二枚舌を引っこ抜くことに専心すべではないのか。北朝鮮はなぜ国際社会の二枚舌を言い募らないのか。
二枚舌をチョロチョロ出しまくる日本はその最たるものだ。国際社会の“七不思議”ではないのか。
が、安倍首相、訪問先の広島市で「最後は私自身が金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長と直接対話し、北朝鮮の核、ミサイル、拉致問題を解決し、新しい日朝関係を築いていかなければならない」と。
国際社会というよりも日本国民としては“この首相”の“大言虚言”に病的なものを感じ取る。トランプ氏と100%ともにある安倍首相、沙汰の外か。
批判の矛先を同盟国にまで向けるトランプ大統領に、「われわれは超大国としての米国の力に頼ることはできない」と、メルケル首相。
トランプ氏の狙いは“米国頼みの柵”を断つことにあるのかも知れない。そして、自国の経済をも破壊するつもりである。
プーチン大統領とのヘルシンキ会談後、トランプ大統領は「強力な軍を有するロシアではあるが、経済規模は比較的小さい。それゆえ同国を「敵国」と称するのは好ましくない」と。
むしろ米国は米国自身が“節義を貫く世界の警察官”足り得ないことを、此れでもかとばかりに、赤裸々な姿を曝け出しているのに、未だに米国にぶら下がって或いは利用して存続しようとする能無し国家に“カツ”入れているのかも知れないのだ。
「米軍にとっての主たる脅威はロシアでも中国でもなく、自身の誤った軍事政策と低い技術レベルだ」と、米軍元中佐のダニエル・デーヴィス氏は指摘する。
その獅子身中の虫こそ、米国覇権を終わらせる今や手段、トランプ大統領は目一杯駆使している。
ならば、世界最大の経済規模である米国は、米国それ自身の“敵国”となり、破壊すべき存在となる。自身の頭をそれも金槌で打つ荒療治である。
米国を狙うもの米国を操るもの、それらを潰し或いは宥めながら米国は自国を沈める。それは米国の孤立する過程でもある。米国は米国自身を制御の利かなくなった組織でなく、極普通の悩みを持つ平和志向の国家に戻したいのだ。
一方的に期待される国家を演じるのでなく、協同調和の一国家としてなのだ。
そう、米国は重荷を下ろして“普通の国”を、ワン オブ ゼムを目指すのだ。
2013年、オバマ前大統領は「米国は世界の警察官ではない」と、その履行者がトランプ大統領である。が、制裁は未だ警察官の“悪癖”が残っていることではないのか。
論理もへったくれもなく我が道を行く米国に、世界は纏まり(思惑)に欠け対応できないでいる。
今後も米国の理性や知性に依拠することは能わない。米国の軍事力を越えなければ米国の恣意的な政治から逃れることはできない。米国という無能の最後の拠り所、それは“戦争を仕掛けること”である。加えて非合理にも経済力という斧で返り血を浴びながら振るいまくり、染まぬ国々を脅す。まるで野獣である。
野獣にも終わりは来る。それが歴史の現実だ。
が、誰と否どの国と戦争をするのか。北朝鮮とは親書の遣り取りする米国、政治的知能レベルの貧弱な雑魚(ポンペイオ米国務長官・河野外相それに安倍首相・康外相)の合唱は別にしても、金正恩とトランプ大統領は今や疎通が可能だ。
また最近はイランに対しても、条件なしに会うとトランプは言い出している。イラン側はその詐欺的申し出を精査している。
ロシアとは“仲良し”である。残る中国とは“関税の掛けっこ”に忙しいが、中国自身が戦争は忌避する。
「トルコ政府は、アメリカに対し抵抗し、自らの道を進む」と、エルドアン大統領。エルドアン大統領は、先にイラン、ロシア、中国とのトルコリラでの貿易決済を開始するとした。むしろ表面上はべつにしても、トランプ大統領の肯くことか。
トランプ大統領は戦争を回避しながら米国の破壊(覇権国家の衰亡或いは適正化を謀ること)に専心するため、選挙を勝ち取りたいのだ。中国は耐えるべきだ。“貿易戦争”による元安は現実的には“相殺”となる。
トランプ大統領は国際社会の首脳に“何を”本当は耳打ちしているのだろうか。100%追従者に“囁く”必要は当初から論外扱いであろう。
日本は手先の積りなのか、はたまた米国の在り方に不安を持っているのか、中国をけん制積りか、英国等の他国軍を引き摺り込んでいる。
もはや国際社会は“米国外し”後の構想を練るべきである。米国は“害毒垂れ流し”の張本人である。分別をなくした狂気の国、米国の放縦な振舞いにこれ以上忍耐することは無い。国際社会は米国を糾弾すべきである。乱暴狼藉の結果にはなんら責任をとらず、国際社会に放り投げる斯様な国家に何をためらいびくびくしているのだろうか。後は野となれ山となれの米国方式を強くけん制すべきである。
正義面して何処にでも首を突っ込んでくる米国、そう、忌忌しいが、米国の軍事力・経済力に国際社会はひれ伏しているのだ。ただそれだけだ。米国第一の主張に理がある訳ではないのだ。
中国はASEANの会議で云う、「域外国が横から口出しをし、遺憾だった。地域の主役で最も発言権があるのはわれわれだ」と、アメリカを強くけん制した。
また、北朝鮮の核・ミサイル開発関連での金融取引でロシアの銀行を制裁対象にした事に関し、ロシア外務次官は「病的にロシアを嫌うアメリカの政治家たちが、「ロシアにはいかなる圧力も通じない」と認めたようなもので、自分たちの無力さをさらけ出しただけだ」と反発。 米国、アラブ版NATOで武器を売りつけ争いの種を更に撒くか。
紛争を焚き付けても消火能力の無い世界のトラブルメーカー、それが見境の無い米国である。
安倍首相、ミサイル避難訓練、今は中止したが、訓練に駆り出された子供たちに如何なるトラウマを残したかについては、誰も語らないままだ。
米国の核合意の離脱に関し、ローハーニー大統領は、「世界のすべての国は、決定における独立を求めており、アメリカは、一部の地域では、圧力によって物事を進めることができるかもしれないが、彼らが世界のすべての国に関して決定を下すことは、論理的に許されない」と。
明治時代に始まった国民への徹底的した教育の傷跡は今も癒えていない。呪縛が解けず、今、明治維新150年を言挙げする。
隣国に対するネットでのいわれ無き中傷・侮蔑の言葉を投げつける元は、国民になされ教育の否定的側面が継承されているからだ。
が、これらの傷を癒すのもまた教育なのだ。歴史を学べば自己救済も可能であるが、それすらもできない時代が再び迫ってくる。否、既に来ている。
「喉元過ぎれば熱さを忘れる」で、戦争を知らない学ばない国民の増加、つまり、其の苦しみも追体験(学ぶこと)しないどころか、内向きの或いはイケイケムードの根無し草の如きではちょっとした教育のさじ加減で、政府の虜になってしまう。
何時でも何処にでも気軽に配備可能なPAC3部隊、中国・四国地方などからの撤収などに、何の意味があるのか。「日本、7隻目のイージス艦『まや』進水…『共同交戦能力』搭載」とある。
明治の生霊は至る所に出没する。なぜか。
昭和20年(1945年)8月14日、日本は連合国側にポツダム宣言の受諾を通告。ついで9月2日に東京湾上のミズリー艦上で、降伏文書に調印。
明治維新という政体の総決算が先の敗戦であった。「日本国軍隊は、完全に武装を解除せられたる後各自の家庭に復帰し、平和的且生産的の生活を営むの機会を得しめらるべし」とされた。
敗けるはずのない皇軍が、完敗した。幕末に接いだ“維新”という、夜郎自大の接ぎ木部分が切断された。
「勝てば官軍負ければ賊軍」であるならば、“賊軍”となろう。祀られている英霊は“賊軍”となったのか。
本来なら官軍が“賊軍”であり、賊軍が“官軍”であった此の国の不合理な歴史、それに「勝てば官軍負ければ賊軍」の調子で作られた“粉飾歴史”が国民を支配し、戦争に向かわせた。
そして惨敗にもかかわらず取り繕う“あの言葉”の“アヤ”、自己弁護に汲々の体であった。遮眼帯を着用させられ駆り立てられた国民は誰に責任を問うべきなのか。
あの“戦い”は御名での戦いであった、つまり、皇軍の敗戦であった。錦旗には“賊軍”と、刺繍され、“官軍”となったのは連合国側であった。代わって台木に日本国憲法が接ぎ木された…。
が、“大日本帝国憲法”を接ぎ木する目論見が彼の手此の手で攻めてくる。
“官軍”になろうと、生霊が彷徨う。それは為政者が思う“普通の国”なのだ。
国民はただ流されるだけなのか。
安倍首相、北朝鮮に“ラブコール”するも、論理不整合で何を言っているのか相手は聞き取れないようだ。
ポンペイオ氏を腐したが、「トランプ政権の願いは、北朝鮮がのけ者ではなく友人として国連にいるようになることだ」と強調。「前途は容易ではない。時間がかかるが、われわれ全てにとって、より安全な世界、北朝鮮にとってより明るい未来となることが米国の目的だ」と。
これが本音であることを祈る。
引用・参照
エルドアン大統領、国際貿易におけるドルの支配に終止符を打つよう呼びかける
SPUTNIK 2018年09月02日22:28
露中軍事演習「ボストーク2018」では核戦争がシミュレートされる=マスコミ
SPUTNIK 2018年09月02日
安倍首相、プーチン大統領と「じっくり」議論する考え=産経新聞
SPUTNIK 2018年09月02日
ロシアが日本の陸上イージス配備を好まない理由
SPUTNIK 2018年08月30日 21:46
「安倍は身もだえする毒蛇」北朝鮮メディア
朝鮮労働党機関紙・労働新聞 2018年08月31日
Exclusive: Trump promised Kim Jong Un he’d sign an agreement to end the Korean War VOX Updated Aug 29, 2018, 4:02pm EDT
ドイツ外務大臣、「ヨーロッパは、アメリカから独立した決済システムを検討している」
ParsToday 2018年08月29日18時53分
米軍人が明かす 米国が世界覇権を失いつつある理由
SPUTNIK 2018年08月29日 16:12
北朝鮮から米国務長官への「攻撃的」な書簡の内容が明らかに 米メディア
SPUTNIK 2018年08月29日 10:17
「日本、北朝鮮と先月ベトナムで秘密会談」
ハンギョレ新聞社 登録:2018-08-29 22:44
韓国国民の71.88%「国会が板門店宣言を批准同意すべき」
ハンギョレ新聞社 登録:2018-08-28 05:55 修正:2018-08-28 07:24
大国は他国への責任転嫁をすべきではない 朝鮮半島核問題
人民網日本語版 2018年08月27日16:56
米人作家、「トランプ大統領は世界を対アメリカに向けて団結させた」
ParsToday 2018年08月27日19時33分
独外相、米国との関係見直しへ
2018年08月27日 14:17
トランプ大統領の指示で国務長官の訪朝延期
NHK NEWS WEB 2018年8月25日 8時32分
ロシア、軍事技術協力パートナーとのドル決済離れを検討
SPUTNIK 2018年08月21日
金正恩氏、「神話的な奇跡の歴史」について語る
SPUTNIK 2018年08月20日 14:21
トランプ大統領はなぜ各国首脳と会談を行うのか?【動画】
SPUTNIK 2018年08月19日 10:50(アップデート 2018年08月19日 12:44)
金正恩氏「強盗のような制裁封鎖」 視察先で異例の言及
朝鮮日報日本語版 記事入力 : 2018/08/17 11:03
北朝鮮によるアメリカの非核化計画の拒否
ParsToday 2018年08月15日20時10分
河野外相 ペルー外相と会談 ”TPP手続き進展に期待”
NHK NEWS WEB 2018年8月15日 5時51分
光復節:文大統領「韓半島問題はわれわれが主人だ」
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 記事入力 : 2018/08/16 08:56
米国「北朝鮮と電話・Eメールでほとんど毎日対話」
ハンギョレ新聞社 登録:2018-08-10 22:05 修正:2018-08-11 07:34
米「8カ月以内に核弾頭の60~70%廃棄を」 北「強盗のような要求」
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版] 2018年08月10日09時39分
北外相「核はあきらめても核知識はあきらめられない」
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]2018年08月10日15時35分
安倍首相 核兵器禁止条約不参加「変わりない」
毎日新聞 2018年8月6日
首相、日朝首脳会談に意欲
東京新聞 2018年8月6日 夕刊
アメリカ大統領補佐官、北朝鮮との協議の結果に失望感を表明
ParsToday 2018年08月06日18時20分
北朝鮮「日本のプルトニウム保有は人道に対する罪」
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 記事入力 : 2018/08/06 10:10
北朝鮮外相 「一方的な非核化には応じられない」
NHK NEWS WEB 2018年8月4日 20時36分北朝鮮情勢
米 対北朝鮮でロシアの銀行等に制裁
NHK NEWS WEB 2018年8月4日 5時11分北朝鮮情勢
中国外相「地域の主役はわれわれ」南シナ海問題で米をけん制
NHK NEWS WEB 2018年8月4日 18時45分
「変わりゆく北朝鮮を写した」 初沢 亜利さん
中日新聞 2018年8月1日
「日本こそ強制的な核査察を受けろ」と主張する金正恩氏のホンネ
DailyNK_Japan 2018年8月1日 13時02分
北朝鮮非核化 米国務長官“交渉は前進” 安保理 「実現まで制裁維持で結束」
しんぶん赤旗 2018年7月22日(日)
「運転どころか助手もムリ」北朝鮮メディア、韓国を非難
DailyNK 2018年07月21日
独首相、米の強い圧力懸念 関係重視の姿勢は強調
東京新聞 2018年7月22日
「時間・速度制限のない」非核化日程の前で道を見失ったトランプ大統領
中央日報/中央日報日本語版 2018年07月19日09時37分
朝鮮中央通信「日本、くだらない『用意』などではなく過去清算『勇気』から持て」
中央日報/中央日報日本語版 2018年07月19日09時01分
「拉致問題は歴史の裏道に消えた」北朝鮮が主張
デイリーNKジャパン2018年07月18日13時45分
金正恩氏「核を放棄して中国・ベトナムより高度成長したい」…米朝首脳会談で
2018年07月14日09時38分 [ⓒ 中央SUNDAY/中央日報日本語版]
正恩氏、拉致調査結果「再説明」指示
共同 2018/7/12 18:27
韓国 ムン大統領 日朝関係正常化へ日本と協力の考え
NHK NEWS WEB 2018年7月13日 23時21分
BLOG_桃源閑話「賤劣な日米外交」
首相、曽我さんに拉致解決の意欲 日朝首脳会談を通じて
東京新聞 2018年7月5日 20時56分
北朝鮮国営メディア「拉致問題は日朝ピョンヤン宣言で解決」
NHK NEWS WEB 2018年6月29日 15時57分北朝鮮情勢
日本外務省が北朝鮮課を新設へ…安倍首相の主力を投入
中央日報/中央日報日本語版 2018年06月27日15時44分
「安倍が不純な策動に東南アジアを引き入れ」北朝鮮メディア
DailyNK 2018年06月22日
安倍首相「不信の殻を破って前進したい」…金正恩に“ラブコール”
ハンギョレ新聞社 登録:2018-06-17 22:09 修正:2018-06-18 07:15
ロッドマン氏、シンガポール到着 米朝会談「期待し過ぎは禁物」
AFP 2018年6月12日 5:10 発信地: シンガポール
ロシア外務省、日本からの抗議なかったと否定 イトゥルップ島での演習で
SPUTNIK 2018年06月18日 23:40
2018年の南北首脳会談に関する
日本,中華人民共和国及び大韓民国の首脳による共同声明
(仮訳) 平成30年5月9日
外務省HP
NHK 政治マガジン 2018年6月12日
米朝共同声明 ~全文和訳~
河野外相の発言は「愚か者のたわごと」 北朝鮮労働新聞
朝日新聞 2018年3月8日15時34分
日中韓首脳の共同声明全文
jiji.com 2018/05/10-01:11
「日本と対話する用意ある」 南北会談でキム委員長が発言
NHK NEWS WEB 4月29日 15時01分南北首脳会談
「遠いと言っちゃいかんな…」冗談もよどみなく飛ばした金正恩
ハンギョレ新聞社 登録:2018-04-28 10:12 修正:2018-04-28 10:35
「パンムンジョム宣言」全文 日本語訳
NHK 政治マガジン 2018年4月27日
chosun.com
http://news.chosun.com/site/data/html_dir/2018/04/27/2018042702166.html?Dep0=twitter&d=2018042702166
朝鮮中央通信「政治的『島国』の運命は自ら招いたもの」全文
DailyNK 2018年04月08日
トランプ大統領「韓国側が態度を変えるべき」=韓米首脳電話会談
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 記事入力 : 2018/03/17 08:36
南北首脳会談の「3大議題」公式化…今月末に高官級会談を推進
ハンギョレ新聞社 登録:2018-03-17 03:33 修正:2018-03-17 10:43
文大統領「南北合意の制度化、国会批准受けるよう準備を」
ハンギョレ新聞社 登録:2018-03-22 04:25 修正:2018-03-22 09:33
米朝首脳会談の開催“日本は喜んでいる”とトランプ大統領
NHK NEWS WEB 3月11日 13時14分トランプ大統領
クローズアップ2016 拉致調査中止 政府、対話を継続
毎日新聞 2016年2月13日 東京朝刊
合意事項 https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000040352.pdf
『朝鮮史』梶村秀樹著 講談社現代新書
オーストリア首相 米国はますます「頼りない」
Sputnik 2018年05月28日 17:35(アップデート 2018年05月28日 19:10)
イラン大統領、「アメリカは世界のすべての国に関して決定を下すことはできない」
ParsToday 2018年05月22日19時19分
中国・王毅外相の「強硬発言」は尋常ではない
権力中枢で深刻な緊張が続いている可能性
東洋経済オンライン 2016年06月08日
【中央時評】「150年」の長州支配を自負する安倍首相
中央日報/中央日報日本語版 2018年01月05日10時14分
岸田外務大臣会見記録
(平成29年3月28日(火曜日)8時35分 於:官邸エントランスホール)
外務省HP
『さらば外務省!』天城直人著2003年12月11日第8刷発行 講談社
『権利のための闘争』イェーリング著 岩波文庫
【参考はブログ作成者が付記】
【引用】
「拉致された日本人の数はつくられたものだ。日本では推定される拉致被害者が100人に達することもある。日本では毎年どれほど多くの人が行方不明となり、国内では米軍関係者が日本人に対してどれほど多くの犯罪を行っていることか! 一方、日本兵の『慰安婦』は言うまでもないが、どれほど多くの朝鮮人が日本に強制連行され、鉱山で働かされたことか! 日本はこうした事実を軽視しようとしているが、これらの事実は北朝鮮だけでなく韓国でも重大事項として捉えられている。小泉氏の訪朝後、米国が(米朝)枠組み合意を失敗させた時期に、日本は北東アジアの緊張緩和に向けて主導的な役割を担えたはずだ。小泉氏訪問の2週間後に米国務次官補がソウルを訪れ、秘密交渉を批判した。その後、朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)も日朝国交正常化もすべて失敗に終わった。そしてこの流れで、米国はおそらく、現在もアジアにおける自国の同盟国に対するコントロールを失わないように行動しているのだろう…」
【以上、引用蘭のsputnik記事】
【引用・参照・底本】
【視点】北東アジア緊張緩和で主導的役割を担えたはずの日本 sputnik 日本 2024.10.30
https://sputniknews.jp/20241030/19263314.html