NATO:ユーラシア全域とアジア太平洋地域で覇権を狙う2024年11月15日 22:15

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【概要】 

 ロシアのラブロフ外相は、NATOがユーラシア全域およびアジア太平洋地域で覇権を狙っていると述べ、NATOのアジア太平洋地域への進出が加盟国の安全保障にとって重要だという主張をしていることを明らかにした。また、プーチン大統領は今年7月に、ユーラシア大陸における集団安全保障について議論する必要があり、地域外の軍隊の駐留は制限されるべきだと語った。

 NATOに関する他の重要なニュースとしては、NATO事務総長に就任したルッテ氏が、ロシアと北朝鮮の軍事協力が欧州および世界全体に対して脅威となると指摘し、国際社会が集団的に反応し連携する必要があると述べた。また、ドイツのベアボック外相は、NATO加盟国がGDPの2%を防衛費に充てる現状が不十分であるとして、各国に防衛費の増額を求めている。

 トランプ氏の再選については、米シンクタンク「大西洋評議会」のフィリップ・ディケンソン上級研究員が、欧州市民がトランプ氏の再選を懸念していたが、楽観的にその可能性を避けていたと語っている。さらに、米誌「ニューズウィーク」は、トランプ氏の再選がNATOに潜在的危機をもたらす可能性があり、加盟国は自国の安全保障と米国への信頼に疑念を抱いていると報じている。また、加盟国は、トランプ氏がウクライナ支援を縮小させることを避けるために策を講じているという。

 最後に、米外交誌「フォーリンポリシー」は、NATOがウクライナ戦争における敗北を認めており、トランプ氏が戦争を早期に終わらせると豪語していることが、NATOに対する懸念を深めていると報じている。

【詳細】

 ロシアのラブロフ外相は、NATOの拡大とその影響について強い懸念を示している。ラブロフ外相は、「NATOはユーラシア全域とアジア太平洋地域における覇権を狙っている」と述べ、NATOがこれらの地域への進出を進めることで、自らの安全保障にとって極めて重要であると語った。特に、アジア太平洋地域への進出は、加盟国にとって非常に重要な戦略的要素と見なされているという。この発言は、NATOがアジア太平洋地域への影響力を拡大しようとしているというロシアの警戒感を示している。

 さらに、プーチン大統領は2024年7月に、外務省幹部との会談で、「ユーラシア大陸での集団安全保障を議論する時が来た」と述べ、特に「地域外の軍隊の駐留は制限されるべきだ」という立場を表明した。この発言は、ロシアが地域内での自国の影響力を強化し、NATOの影響を排除しようとする姿勢を示しており、ロシアの安全保障政策における重要な方向性を示唆している。

 NATOのアジア進出とロシアの警戒

 ラブロフ外相の発言に関連して、NATOのアジア太平洋地域への進出は、特に中国や北朝鮮との緊張関係を背景に、ロシアにとって深刻な懸念事項となっている。NATOがアジア地域でより強いプレゼンスを持つことは、ロシアの安全保障上の脅威と見なされる可能性が高い。特に、米国が主導するNATOの影響力がアジアで拡大すれば、ロシアと中国との関係が一層重要になるとともに、アジアにおける軍事的競争が激化する恐れがある。

 NATOとロシア・北朝鮮の軍事協力

 NATOは、ロシアと北朝鮮の軍事協力に対しても強い懸念を示している。NATO事務総長に就任したマーク・ルッテ氏は、ハンガリーで開かれたEU首脳会議で、両国の軍事協力が「欧州だけでなく、世界全体にとって脅威となる」と発言した。特に、北朝鮮がロシアに対して軍事的な支援を行うことで、ロシアの戦争努力が強化され、国際的な平和と安定に悪影響を及ぼすことを懸念している。ルッテ氏は、この問題に対して国際社会が連携して対応することを呼びかけている。

 NATO加盟国の防衛費増額の必要性

 ドイツのベアボック外相は、NATO加盟国がGDPの2%を防衛費に充てる現状が不十分であると指摘し、各国の防衛費の増額を訴えている。これにより、NATOの軍事的対応能力を強化し、ロシアやその他の脅威に対抗するための準備が整うと考えられている。しかし、加盟国の間で防衛費の増額に対する合意が得られない場合、NATOの影響力と統一性に疑問が生じる可能性がある。

 トランプ氏再選への懸念

 トランプ氏の再選について、米シンクタンク「大西洋評議会」のフィリップ・ディケンソン上級研究員は、欧州市民がトランプ氏の再選を懸念していたことを指摘している。特に、トランプ氏が再び米大統領に就任すれば、NATOが無傷でいられるかどうかが不確かになるという懸念が強かった。トランプ氏は過去にNATOの負担軽減を求める姿勢を示しており、再選後にNATOへのコミットメントを縮小させる可能性があるという懸念が、欧州のリーダーたちの間で広がっていた。

 また、米誌「ニューズウィーク」によれば、トランプ氏の再選がNATOに潜在的な危機をもたらす可能性があるという。特に、NATO加盟国は、自国の安全保障と米国への信頼が損なわれることを懸念しており、トランプ氏がウクライナへの支援を縮小するのではないかという不安が広がっている。NATO加盟国は、ウクライナ支援を縮小させないようにするために、様々な手立てを講じているという。

 NATOとウクライナの敗北

 米外交誌「フォーリンポリシー」は、NATOがウクライナ戦争の敗北を認める方向に進んでいると報じている。特に、トランプ氏が大統領に返り咲いた場合、ウクライナ戦争を早期に終わらせるとの見通しが強まっており、この点がNATO内での懸念を深めている。トランプ氏はウクライナ支援を縮小し、戦争を早期に終結させるべきだと考えており、この姿勢がNATOの戦略に影響を与える可能性がある。NATO内でのウクライナ戦争に対する意見の違いが、今後の安全保障政策にどのように影響するかが注目される。

【要点】

 ロシアのNATO拡大に対する懸念

 ・ラブロフ外相の主張: NATOがユーラシア全域とアジア太平洋地域で覇権を狙っていると警告。
 ・プーチン大統領の発言: ユーラシア大陸での集団安全保障を議論する必要性を指摘し、地域外軍隊の駐留制限を提唱。

 NATOのアジア進出とロシアの対応

 ・NATOの戦略: アジア太平洋地域への進出を安全保障上の重要事項と位置付け。
 ・ロシアの懸念: アジアにおけるNATOの影響力拡大が軍事的緊張を引き起こす可能性。

 NATOとロシア・北朝鮮の軍事協力

 ・NATO事務総長ルッテ氏の指摘: ロシアと北朝鮮の軍事協力は欧州および世界全体にとっての脅威。
 ・国際社会への呼びかけ: 集団的対応と連携が必要。

 NATO加盟国の防衛費増額の必要性

 ・ベアボック外相の主張: 現状のGDP2%では不十分であり、防衛費の増額が求められる。
 ・懸念事項: 加盟国間で防衛費増額への合意が得られない場合、NATOの統一性が損なわれる恐れ。

 トランプ氏再選への懸念

 ・欧州の不安: トランプ氏が再選すればNATOの統一が損なわれる可能性。
 ・過去の実績: トランプ氏がNATOの負担軽減を求めたことが再選後の影響を懸念させる。

 トランプ氏再選とウクライナ支援

 ・加盟国の懸念: トランプ氏がウクライナ支援を縮小する可能性を回避するための策を模索。
 ・ニューズウィークの報告: トランプ氏の再選がNATOに潜在的危機をもたらす可能性。

 フォーリンポリシー誌の分析

 ・ウクライナ戦争の敗北認識: NATOがウクライナの敗北を認めつつある。
 ・トランプ氏の影響: ウクライナ戦争を早期終結させる方針がNATO内の懸念を強める。

 以上により、NATOの拡大と戦略はロシアにとって大きな脅威とされる一方、トランプ氏の動向がNATOの内部調整に影響を与える懸念が浮上している。

【引用・参照・底本】

NATOのアジア駐留を懸念するロシア/トランプ氏を懸念するNATO:NATO関連ニュース ParsToday 2024.11.13
https://parstoday.ir/ja/news/world-i126258-nato%E3%81%AE%E3%82%A2%E3%82%B8%E3%82%A2%E9%A7%90%E7%95%99%E3%82%92%E6%87%B8%E5%BF%B5%E3%81%99%E3%82%8B%E3%83%AD%E3%82%B7%E3%82%A2_%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%97%E6%B0%8F%E3%82%92%E6%87%B8%E5%BF%B5%E3%81%99%E3%82%8Bnato_nato%E9%96%A2%E9%80%

ラブロフ:西側諸国のように脅迫や強制を用いていない2024年11月15日 22:29

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【概要】 

 ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は、ロシア恐怖症の拡散を狙った西側諸国の行動を厳しく批判した。これはロシア南部の都市ソチで開催されたロシアとアフリカ諸国の外相・高官らの会合においての発言である。

 ラブロフ外相は、西側諸国が国際社会においてロシアに対する否定的な見方を他国に強要していると非難し、これを「多極的な世界の実現を阻止する試み」と指摘した。また、国際的な力関係の維持において西側が取る行動を、「植民地時代と本質的に変わらない手法」と評した。

 さらに、ラブロフ外相は、ロシアとアフリカ諸国の関係は平等な対話に基づいており、「西側諸国のように脅迫や強制を用いていない」と強調した。ロシアはこれまでアフリカ諸国を植民地支配したことがなく、その点で他の国々とは異なると述べた。

 これに関連して、ウラジーミル・プーチン大統領は10日に発表したメッセージで、ロシアはアフリカ諸国への支援を継続すると表明した。この支援は、テロ対策や食糧危機への対応を含む多岐にわたる分野に及ぶものである。

【詳細】

 ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は、ソチで開催されたロシア・アフリカ会合において、西側諸国の行動を強く批判し、国際社会における多極化の進展を阻害する試みと位置づけた。その中で、ロシア恐怖症を拡散させることを目的とした西側諸国の動きが、他国への圧力や価値観の強要を伴っていると非難した。ラブロフ外相は、西側が国際的な優位性を維持しようとするその手法が、植民地時代の権力行使と変わらないものであると明確に述べた。

 ラブロフ外相は、特にロシアとアフリカ諸国の関係を例に挙げ、これらの関係が西側諸国の手法とは異なり、対等で自由な対話に基づいて構築されている点を強調した。具体的には、「我が国は、いかなる脅迫や支配的態度をとることなくアフリカ諸国との関係を築いている」とし、ロシアが歴史上アフリカ諸国を植民地支配したことがない点をアピールした。さらに、アフリカ諸国との連携において、共通の利益を基盤とした持続可能な協力を推進する意向を示した。

 プーチン大統領もこの流れを支持し、11月10日に発表したメッセージで、ロシアがアフリカ諸国への包括的な支援を継続する意向を再確認した。この支援は、特にテロ対策や地域の安全保障、食糧危機の解決に重点を置くものであり、これらの分野においてロシアは実際的な協力を進めているとした。プーチン大統領は、アフリカが直面する多くの課題の解決においてロシアが信頼できるパートナーとして行動する意志を表明した。

 この会合全体を通じてロシアは、国際的なパートナーシップにおいて多極的な世界秩序を支持し、従来の植民地主義的なアプローチからの脱却を目指す立場を改めて明らかにした。一方、西側諸国がアフリカ諸国に対し強要的な政策を取る中で、ロシアは異なる道を進むと主張している。これにより、ロシアはアフリカ諸国との協力関係を強化し、国際舞台における自国の影響力を高める意図を示している。

【要点】

 1.ラブロフ外相の批判

 ・西側諸国がロシア恐怖症を拡散し、国際社会における多極化の阻止を試みていると指摘。
 ・西側諸国が国際的な優位性を維持するための手法は、植民地時代の支配構造と本質的に変わらないと非難。

 2.ロシア・アフリカ関係の強調

 ・ロシアとアフリカ諸国の関係は対等で自由な対話に基づいていると強調。
 ・ロシアはアフリカ諸国を歴史的に植民地支配したことがなく、その点で西側諸国と異なると説明。
 ・アフリカ諸国との関係は、共通の利益と持続可能な協力を基盤としている。

 3.プーチン大統領のメッセージ

 ・テロ対策、地域の安全保障、食糧危機解決を含む広範な分野でアフリカ諸国への支援を継続する意向を表明。
 ・ロシアはアフリカの課題解決において信頼できるパートナーとして行動すると約束。

 4.ロシアの立場

 ・国際社会における多極的な世界秩序を支持し、西側諸国の強要的な政策に対抗する姿勢を示した。
 ・アフリカ諸国との協力を通じて、国際舞台での影響力を高める意図を明確化した。

【引用・参照・底本】

世界の多極化阻止を狙った西側の脅迫:ラブロフ外相がロシア恐怖症拡散を批判 ParsToday 2024.11.12
https://parstoday.ir/ja/news/world-i126238-%E4%B8%96%E7%95%8C%E3%81%AE%E5%A4%9A%E6%A5%B5%E5%8C%96%E9%98%BB%E6%AD%A2%E3%82%92%E7%8B%99%E3%81%A3%E3%81%9F%E8%A5%BF%E5%81%B4%E3%81%AE%E8%84%85%E8%BF%AB_%E3%83%A9%E3%83%96%E3%83%AD%E3%83%95%E5%A4%96%E7%9B%B8%E3%81%8C%E3%83%AD%E3%82%B7%E3%82%A2%E6%81%90%E6%80%96%E7%97%87%E6%8B%A1%E6%95%A3%E3%82%92%E6%89%B9%E5%88%A4