国防総省(DOD)、2万1,000人の辞職承認、最大6万人削減を2025年03月19日 09:04

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【概要】
 
 アメリカ国防総省は、トランプ政権の連邦職員削減計画の一環として、約2万1,000人の職員に対し、延期辞職(deferred resignations)を承認した。これは、国防総省が最大6万人の職員削減を進める中で実施された措置である。匿名の国防高官によれば、これらの職員は最終勤務日まで行政休職となる予定である。

 この辞職措置は、連邦人事管理局(OPM)および政府効率化サービス局(Department of Government Efficiency Service)が提案したものであり、連邦機関の大規模な人員削減を目的としている。当初、国防総省は90万人以上の文民職員のうち5~8%の削減を目標としていた。しかし、ピート・ヘグセス国防長官は、文民職員の削減によって生じる業務の穴埋めを制服組が担う必要があることを懸念している。このため、「Fork-in-the-Road」プログラムと呼ばれる制度の下で、国家安全保障や軍事即応態勢にとって重要と判断された職員の辞職申請は却下された。国防総省は、どの職務が削減可能であるかを慎重に判断し、機能の低下を防ぐよう努めたとされる。

 承認された職員のうち、退職資格を持たない者は会計年度末の9月30日で勤務を終了し、退職資格を持つ者は12月までに段階的に退職する予定である。国防総省は、これらの削減が任務遂行能力に悪影響を与えることなく実施可能であると確信している。また、職員削減をさらに進めるため、空席となった職位を補充しない方針である。毎月約6,000の職位を補充せずに削減する計画であり、軍種ごとの長官は採用凍結の例外措置を求めることが可能である。この例外申請は、国防次官(人事・即応態勢担当)の承認が必要となる。

 ヘグセス長官の3月14日付のメモによると、採用凍結中であっても、国防総省は作戦能力の維持に直接寄与する職員のみを採用するとされている。すでに移民取締りに関わる職務は例外として承認されており、造船所、補給拠点、医療機関の職員についても例外措置を申請するよう指示が出されている。ヘグセス長官は、「国土防衛、海外の敵対勢力の抑止、そして戦闘における勝利のため、あらゆるドルを有効活用する必要がある」と述べている。

 現在までの削減の大半は自主的な辞職によるものだが、3月からは強制的な削減も始まっている。具体的には、国防兵站局(Defense Logistics Agency)、国防保健局(Defense Health Agency)、海軍などの機関で試用期間中の職員の解雇が行われた。ヘグセス長官の方針では、試用期間中の職員5,400人(全体の10%)を即時解雇する計画であった。連邦政府において、試用期間中の職員は通常1~2年の雇用実績を持たないため、より長期間勤務している職員よりも解雇されやすいとされている。

 ただし、これらの解雇措置が今後見直される可能性もある。カリフォルニア州の連邦判事は先週、退役軍人省(VA)、国防総省、内務省、エネルギー省、財務省、農務省の6省庁で解雇された数千人の試用期間中の職員を即時復職させるよう命じた。2月中旬以降、これらの省庁では約3万人の試用期間中の職員が解雇されていたが、ワシントン・ポストの報道によれば、トランプ政権は少なくとも2万4,000人の連邦試用職員の復職を進めているという。国防総省の高官は、国防総省が解雇した試用期間中の職員がこの復職措置の対象となるかについては、訴訟が継続中であることを理由にコメントを控えている。国防総省は「すべての関連する裁判所命令を完全に遵守する」との立場を示している。

【詳細】 
 
 米国国防総省(DOD)、2万1,000人の職員の辞職を承認、最大6万人の削減を計画

 概要

 米国国防総省(DOD)は、トランプ政権の連邦職員削減政策の一環として、2万1,000人の職員が「延期辞職(Deferred Resignations)」プログラムを通じて退職することを承認した。最終的に、最大6万人の職員が削減される可能性がある。

 辞職プログラムと削減計画の詳細

 DODは、連邦人事管理局(OPM)および政府効率化サービス局(Department of Government Efficiency Service)と連携し、民間職員の大幅な削減を進めている。当初、DODは90万人以上の民間職員の5~8%(4万5,000人~7万2,000人)を削減することを目標としていた。

 国防長官ピート・ヘグセスの懸念

 国防長官ピート・ヘグセスは、民間職員の削減により、軍の現役兵士がその役割を補わなければならなくなることを懸念している。このため、DODは「国家安全保障および軍事即応態勢に不可欠」と判断された職員の延期辞職申請を却下した。どの職種や人数が対象外となったかは明らかにされていないが、「フォーク・イン・ザ・ロード(Fork-in-the-Road)」プログラムを通じて慎重に選別が行われたとされる。

 辞職プログラムのスケジュール

 延期辞職を承認された2万1,000人のうち、退職年金の受給資格がない職員は、2025年9月30日(会計年度最終日)をもってDODを離れることになる。退職者については、12月までに段階的に削減される予定である。DODは、この削減が軍の任務遂行能力に悪影響を与えることはないと判断している。

 採用凍結と追加削減策

 DODは、職員削減を進めるため、新たな採用を停止する方針を打ち出した。この採用凍結により、毎月約6,000の職位が削減される見込みである。ただし、各軍種の長官は例外措置を申請できる。ヘグセス国防長官は、3月14日付のメモで、移民取締業務に不可欠な職務については既に例外を認めたと述べた。また、造船所、修理施設、医療施設の維持に必要な職務についても、例外申請を行うべきであるとしている。

 強制解雇の実施

 これまでの削減の大部分は自発的な辞職によるものだったが、DODは3月から強制的な解雇も開始した。まず、国防兵站局(Defense Logistics Agency)、国防医療局(Defense Health Agency)、海軍 などの機関で試用期間中の職員(Probationary Workers)を対象に解雇を実施した。

 試用期間中の職員とは、通常1~2年未満の勤務歴しか持たない者を指し、正式な公務員としての雇用保障がない。このため、DODは業務成績が不十分と判断された職員を優先的に解雇したとされる。しかし、具体的な解雇人数は公表されていない。

 連邦裁判所の差し止め命令

 こうした試用期間中の職員に対する解雇措置は、法的な問題に直面している。カリフォルニア州の連邦裁判所は先週、退役軍人省(VA)、国防総省(DOD)、内務省(DOI)、エネルギー省(DOE)、財務省(Treasury)、農務省(USDA) などの機関で解雇された数千人の試用期間中の職員を即時復職させるよう命じた。

 トランプ政権は、連邦政府全体で2万4,000人の解雇された試用期間中の職員を復職させる動きを見せている。DODの解雇者がこの復職対象に含まれるかについては、法的手続きが継続中のため、国防総省の高官はコメントを控えている。DODは「裁判所の命令に完全に従う」との方針を示している。

【要点】

 米国国防総省(DOD)職員削減の概要

 1. 職員削減の背景

 ・トランプ政権の連邦職員削減政策の一環
 ・DODは民間職員の5~8%(4万5,000~7万2,000人)の削減を目標
 ・まず2万1,000人の「延期辞職(Deferred Resignations)」を承認

 2. 辞職プログラムの詳細

 ・対象: DODの民間職員
 ・延期辞職承認者: 2万1,000人
 ・最終削減見込み: 最大6万人
 ・実施スケジュール:

  ⇨ 2025年9月30日までに退職
  ⇨ 2025年12月までに段階的に削減

 3. 国防長官の懸念と例外措置

 ・ピート・ヘグセス国防長官の懸念

  ⇨ 軍の現役兵士が職員削減の影響を補う必要が生じる可能性
  ⇨ 国家安全保障・軍事即応態勢に不可欠な職務は除外

 ・例外措置の対象

  ⇨ 移民取締業務
  ⇨ 造船所・修理施設・医療施設の維持

 4. 採用凍結と追加削減策

 ・新規採用の停止により、毎月約6,000職位を削減
 ・各軍種の長官は例外措置を申請可能

 5. 強制解雇の開始

 ・2025年3月より試用期間中の職員を対象に解雇開始
 ・対象機関

  ⇨ 国防兵站局(DLA)
  ⇨ 国防医療局(DHA)
  ⇨ 海軍 など

 ・試用期間中の職員とは

  ⇨ 通常1~2年未満の勤務歴
  ⇨ 正式な公務員としての雇用保障がない

 6. 法的問題と裁判所の差し止め命令

 ・カリフォルニア州の連邦裁判所が試用期間中の職員の解雇を差し止め
 ・影響を受ける省庁

  ⇨ 国防総省(DOD)
  ⇨ 退役軍人省(VA)
  ⇨ 内務省(DOI)
  ⇨ エネルギー省(DOE)
  ⇨ 財務省(Treasury)
  ⇨ 農務省(USDA) など

 ・トランプ政権は2万4,000人の解雇職員の復職を検討
 ・DODは「裁判所の命令に完全に従う」と発表


【参考】

 ☞延期辞職(Deferred Resignation) とは、従業員が辞職を決定した後、指定された時期に辞職を実行することを許可される制度である。一般的に、即時の辞職ではなく、一定期間後に辞職が行われるよう調整される。この場合、延期辞職は特定の目的を持って導入されており、以下の特徴がある。

 延期辞職の特徴

 ・辞職時期の延期: 従業員はすぐに辞職せず、指定された日まで職務を続け、その後辞職することが求められる。
 ・退職準備の期間: 従業員は辞職を決定しても、退職準備を整えるために時間を得ることができる。例えば、再就職の準備や退職手続きの準備をする時間を確保できる。
 ・組織側の調整: 組織側は、延期辞職を受けた従業員の後任を確保するための準備や、職務の引き継ぎを計画的に行うことができる。

 今回の事例における延期辞職

 ・目的: 米国防総省(DOD)が実施している職員削減の一環として、延期辞職のオプションが提供された。これにより、すぐに辞職を受け入れるのではなく、従業員に一定の期間を与えて退職準備を行わせる。
 ・2万1,000人が承認: 約2万1,000人のDOD職員が延期辞職の申請を承認され、最終的な退職日は2025年9月30日までとなっている。この延期辞職により、職員削減のプロセスが計画的に進められることになる。
 ・国家安全保障に不可欠な職務の除外: 延期辞職の申請は、軍事即応態勢に不可欠な職務に影響を及ぼさないように配慮された。国家安全保障に重要な役職については、この制度が適用されない。

 このように延期辞職は、組織内で職務引き継ぎや退職準備を計画的に進めるために有効な手段であり、今回のような大規模な職員削減においても調整を図るために利用されている。

 ☞・「フォーク・イン・ザ・ロード(Fork-in-the-Road)」という表現は、文字通り「道路の分岐点」を指す言葉であり、比喩的には「選択を迫られる重要な決断の瞬間」や「分かれ道」の意味で使われる。この表現は、ある重要な局面や決断を示唆する際に使われることが多い。

 特に、政治やビジネスの文脈では、重要な選択や方向転換を意味することがあり、複数の選択肢が提示され、その中から一つを選ばなければならない状況を示す。

 例としての使用

 1.個人の決断: 人生の分岐点として、進むべき道を選ばなければならない時に使われる。

 例: 「大学を卒業した後、私はフォーク・イン・ザ・ロードに立たされ、どのキャリアを選ぶべきか決めなければならなかった。」

 2.企業の戦略: 企業が成長戦略を選択する場面など。

 例: 「この企業は、フォーク・イン・ザ・ロードに直面しており、拡大戦略とコスト削減戦略のどちらを選ぶか決めなければならない。」

 3.政策や政府の決断: 政府が進むべき政策の選択を示す場合。

 例: 「この経済危機は、政府にとってフォーク・イン・ザ・ロードであり、増税と支出削減のどちらかを選ばなければならない。」

 意図と背景

 この表現が使用される背景には、選択が必然的に進行する状況であり、その選択が後の結果に大きな影響を与えることが強調されている。

 ・「フォーク・イン・ザ・ロード(Fork-in-the-Road)プログラム」という表現は、特定の選択を促すためのプログラムを指している。元々の意味である「分岐点」としての比喩を活かし、重要な決断を迫る場面で使われるプログラム名である。これに関連する文脈としては、職員の辞職や退職に関する選択を指すものと考えられる。

 特に、記事内では「フォーク・イン・ザ・ロード(Fork-in-the-Road)プログラム」という名前が、米国防総省が実施した一部の職員に対する延期辞職プログラムに使われている。このプログラムでは、国家の安全保障や軍事能力に不可欠な職員が辞職しないように選別され、その後の影響を最小限に抑えることが目的とされている。

 「フォーク・イン・ザ・ロード」プログラムの意味

 ・目的: 退職または辞職を選ぶ際に、その選択が重要であることを強調し、職員がその選択を行う際に自らの立場を熟慮させる。
 ・具体的な運用: 重要な職務に従事している職員が、辞職しても国家安全保障に悪影響を及ぼさないことを確認するために、延期辞職の承認を与える。逆に、重要な職務に就いている場合は辞職を認めない。
 
 このプログラムは、国家安全保障や軍事の準備状態を維持するための対策として設計され、辞職を選ぶ権利を制限することで、必要な職員が辞職しないように管理している。

 ☞アメリカ合衆国における公務員は、連邦政府(連邦職員)と各州政府(州職員)に分かれており、それぞれの職員数は異なる。以下は、2025年の推定に基づく概算である。

 1. 連邦職員(連邦政府職員)

 連邦職員は、米国政府の中央機関や行政機関で働く職員であり、主にワシントンD.C.を拠点に活動しています。

 ・職員数: 約250万人前後
 ・主な機関

  ⇨ 国防総省(DoD)
  ⇨ 米国郵便公社(USPS)
  ⇨ メディケア、メディケイド(CMS)
  ⇨ 財務省(IRS)
  ⇨ 環境保護庁(EPA)
  ⇨ 連邦捜査局(FBI)など

 連邦職員は、連邦政府の政策執行、法律の施行、社会保障や医療サービスの提供、国防、外交業務などを担当している。

 2. 州職員(州政府職員)

 州職員は、各州政府の行政機関で働く公務員で、州ごとに役所や公共サービスの提供を行っている。

 ・職員数: 約500万人前後
 ・主な業務

  ⇨ 教育(公立学校や州立大学)
  ⇨ 保健福祉(州レベルの医療・福祉サービス)
  ⇨ 公共安全(警察、消防、州兵など)
  ⇨ 道路整備、交通管理
  ⇨ 州税務機関、州経済開発

 州職員は、州政府が管理するさまざまなサービスを提供し、各州の法律や規制を施行する。

 まとめ

 ・連邦職員(連邦政府): 約250万人
 ・州職員(州政府): 約500万人

 アメリカの公務員の中で、州職員が多数を占めており、各州ごとに必要な行政サービスを提供している。連邦政府職員は中央政府の機能を維持し、国家レベルでの政策を実施する役割を担っている。

 ☞日本の公務員は、地方公務員と国家公務員(本庁)の2つに大きく分けることができ、それぞれに職員数が存在する。以下は、一般的な区分に基づく職員数の概要である。

 1. 国家公務員(本庁)

 国家公務員は、中央政府に雇われ、各省庁や機関で働く公務員である。これには、内閣や政府機関で働く職員が含まれる。

 ・職員数: 約70万人前後(2025年のデータに基づく推定)
 ・主な機関

  ⇨ 内閣府
  ⇨ 総務省
  ⇨ 外務省
  ⇨ 財務省
  ⇨ 厚生労働省
  ⇨ 防衛省 など

 ・分類: 各省庁、政府機関、独立行政法人などで働く職員が含まれる

 2. 地方公務員

 地方公務員は、地方自治体(都道府県、市町村など)で働く公務員で、地域行政や公共サービスを提供する役割を担っている。

 ・職員数: 約300万人前後(2025年のデータに基づく推定)
 ・主な分類

  ⇨ 都道府県職員: 各都道府県での行政業務を担当
  ⇨ 市町村職員: 各市町村で地域行政や福祉、教育などを担当
  ⇨ 特別区職員: 東京都23区内の行政機関で働く職員
  
 ・業務内容: 地方行政、住民サービス、地域づくりなど

 まとめ

 ・国家公務員(本庁): 約70万人
 ・地方公務員: 約300万人

 このように、日本の公務員の大半は地方公務員に属しており、各地方自治体で多岐にわたる行政サービスを提供している。国家公務員は中央政府の各省庁で、国家レベルでの政策や行政を担当している。

【参考はブログ作成者が付記】

【引用・参照・底本】

21,000 DOD workers approved for deferred resignations as part of up to 60,000 jobs to be slashed, defense official says Stars and Stripes STARS & STRIPES 2025.03.18
https://www.stripes.com/theaters/us/2025-03-18/defense-department-workforce-firings-17186776.html

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