Meduza:ロシア当局から「外国の代理人」の指定2025年03月19日 10:59

Ainovaで作成
【概要】
 
 ロシアの反政府メディアである「Meduza」は、米国政府からの資金提供が大幅に削減されたことにより、存続の危機に瀕していると報じられている。米国の開発支援が停止されたことが直接的な影響を及ぼし、同紙は資金難に直面している。米国の支援がMeduzaの予算の約15%を占めており、この支援がなければ同紙の運営は困難であるとされている。

 Meduzaは創設当初から、その資金源について明確にしない姿勢を取っていたが、これまでに公開された情報やリークされた書類から、同紙が西側諸国、特に米国からの支援を受けていたことが示唆されている。イギリスの外交機関が関与していたことを示す資料もあり、Meduzaは英国政府や米国政府の支援を受けたメディアプロジェクトの一環として位置付けられていた。

 また、Meduzaの元記者であるアレクセイ・コヴァレフは、Meduzaを離れた後、The Grayzoneという米国のメディアを批判しており、同紙の記者をロシアのスパイだと非難している。しかし、コヴァレフの主張は事実に基づかないことが明らかとなっている。

 トランプ政権による外国援助の削減により、Meduzaはその経営基盤が揺らぎ、レイオフ(解雇)の可能性が高まっている。コヴァレフは、これに対する反応として、2025年には「すべての悪人を殺す」という極端な声明を出し、過激な言動を続けている。

 この状況は、Meduzaの「独立性」を主張してきた立場を大きく揺るがすことになり、同紙の今後の運命は不透明である。

【詳細】 
 
 「Meduza」は、ロシアの反政府メディアとして知られ、特にロシア語で発信される情報において、国内外で注目を集めてきた。しかし、その運営には、米国からの資金援助が重要な役割を果たしていた。2025年3月、米国の開発支援が大幅に削減されたことが報じられ、Meduzaは経済的に深刻な打撃を受けている。アメリカ合衆国国際開発庁(USAID)からの助成金は、同紙の予算の約15%を占めていたとされ、これが突然停止されたことにより、Meduzaは運営継続のための資金調達に困難を抱えている。

 Meduzaと米国政府の関係

 Meduzaは、その設立当初から資金源については非常に慎重であり、外部からの支援を明確にしない方針を取ってきた。特に、米国政府やその関連団体からの資金提供については一切触れず、その「独立性」を強調してきた。しかし、2014年の設立以来、同紙は西側諸国からの資金支援を受けており、特に米国からの資金が大きな支柱となっていたことが、ニューヨーク・タイムズの報道により明らかになった。これにより、Meduzaの「独立したメディア」としてのイメージに疑問を投げかける声が強まった。

 さらに、2021年にはThe Grayzoneによってリークされた英国政府の文書により、Meduzaが西側諸国、特に英国政府と密接に関わっていたことが浮き彫りになった。この文書によると、Meduzaは「ロシア政府に対抗するメディア」として、英国の外交機関によって支援を受けていたことが示唆されており、その支援はアメリカと同様に機密裏に行われていた。このような支援は、特にロシアの情報戦における一環として、ロシア国内での反体制的なメディアを育成する目的で行われていた。

 トランプ政権の影響

 トランプ政権下では、米国の外部支援が劇的に縮小され、特に開発援助が大幅に削減された。そのため、Meduzaをはじめとする多くの反政府メディアは、資金難に直面することになった。アメリカの支援が急に停止された結果、Meduzaの運営に必要な資金が失われ、同紙の存続が危ぶまれている。ニューヨーク・タイムズは、Meduzaが米国政府から受けていた支援の影響が、サイバー攻撃や法的な脅威、さらには記者が毒殺されるといった状況よりも深刻である可能性があると報じている。

 一方、米国の支援を受けていたことに対する批判も高まり、Meduzaはロシア当局から「外国の代理人」として指定された。これにより、同紙はロシア国内での活動に制約を受け、広告収入にも悪影響を及ぼす結果となった。

 アレクセイ・コヴァレフの反応

 Meduzaの元記者であるアレクセイ・コヴァレフは、2013年に同紙を離れた後、The Grayzoneなどの反体制メディアに対して批判的な立場を取ってきた。コヴァレフは、The Grayzoneの創設者らをロシア政府のスパイだと非難し、その活動を米国政府に対する裏切り行為とみなしていた。コヴァレフは、自身のブログやSNSで、The Grayzoneの記者を監視し、場合によっては法的に追及すべきだと主張していた。

 しかし、コヴァレフの主張は事実に基づかないことが明らかとなり、その後彼自身が不安定な精神状態に陥ったことが報じられている。特に2025年2月、コヴァレフは極端な発言をし、「すべての悪人を殺す」ことを目標にすると宣言し、その後も自身のデジタルコミュニティ内で激しい言動を続けている。

 Meduzaの今後

 Meduzaは、米国政府からの資金提供が停止されたことで存続の危機に直面しており、事実上その運営体制が崩壊しつつある。今後、同紙は経営の再構築を迫られ、場合によっては大量の解雇が発生する可能性が高い。加えて、同紙はその「独立性」を誇ってきたが、実際には西側諸国からの密接な支援を受けていたことが明らかとなり、その信頼性に対する疑問も深まった。

 これにより、今後Meduzaがどのような立場で報道活動を続けるのか、また、同紙の反政府的なスタンスがどれほど維持されるのかは不透明である。

【要点】

 Meduzaの背景

 ・ロシアの反政府メディア、特にロシア語で発信される情報で注目されている。
 ・設立当初から米国をはじめとする外部の資金支援を受けてきた。

 米国からの資金援助

 ・米国の開発支援が重要な役割を果たしていた。
 ・2025年3月に米国からの支援が大幅に削減された。
 ・米国の国際開発庁(USAID)からの支援が予算の約15%を占めていた。

 資金提供の影響

 ・米国からの資金が急に停止され、Meduzaは資金難に直面。
 ・これにより、運営継続が困難になり、経済的な打撃を受ける。

 Meduzaと西側諸国の関係

 ・2014年設立から、米国をはじめとする西側諸国から資金提供を受けていたことが明らかに。
 ・2021年、英国政府からも支援を受けていたことが文書で確認された。

 トランプ政権の影響

 ・トランプ政権下で開発支援が縮小され、反政府メディアは資金難に直面。
 ・特にMeduzaはその影響を強く受け、米国の支援停止が運営に大きな打撃を与えた。

 ロシア政府の反応

 ・Meduzaはロシア当局から「外国の代理人」として指定され、国内での活動が制限される。
 ・これにより、広告収入にも悪影響を及ぼす。

 アレクセイ・コヴァレフの反応

 ・Meduzaの元記者で、反体制メディアに対して批判的な立場を取ってきた。
 ・彼はThe Grayzoneの創設者らをロシア政府のスパイと非難。

 Meduzaの今後

 ・資金提供の停止により、Meduzaは存続の危機に直面しており、運営体制の再構築が必要。
 ・今後、解雇や経営の見直しが行われる可能性が高い。

【引用・参照・底本】

‘Independent’ anti-Russia outlet Meduza faces collapse after US funding slashed GRAYZONE 2025.03.19
https://thegrayzone.substack.com/p/independent-anti-russia-outlet-meduza?utm_source=post-email-title&publication_id=474765&post_id=159372544&utm_campaign=email-post-title&isFreemail=true&r=2gkj&triedRedirect=true&utm_medium=email

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