ロシアとインド:インド洋地域における戦略的協力 ― 2024年11月16日 18:37
【概要】
アンドリュー・コリブコ氏がSputnik Indiaに対して行ったインタビューの内容は、ロシアとインドがインド洋地域(IOR)における戦略的協力を深めることで、新冷戦下のアジアにおける緊張緩和と多極的秩序の構築に寄与する可能性について述べている。
1. ロシアのIORにおける関与拡大が、米国との戦略的力学にどのような影響を与えるか?
ロシアとインドが長らく待ち望まれている「相互ロジスティクス支援協定(RELOS)」を締結すれば、双方の施設を後方支援目的で使用できるようになり、ロシアの関与が拡大する可能性がある。
ロシアのIORにおける関与が増加することで、中国と米国の競争に対し、ロシアが信頼できる第三の協力相手として機能し、両国間のゼロサム的な選択を避ける選択肢を提供する可能性がある。
ロシアと米国はウクライナでのNATOとの代理戦争にもかかわらず直接的な戦争状態にはない。また、中国はロシアの親密なパートナーではあるが軍事同盟ではない。このため、米中いずれかとではなくロシアと協力することは、双方にとって敵対的な行動と見なされるべきではない。むしろ、他国が自国の競争相手ではなくロシアと協力する方が好ましいと見なされる可能性がある。
したがって、ロシアのIORでの関与拡大は、新冷戦下の緊張を悪化させるのではなく、むしろこれを緩和し得る。特に、新冷戦の主戦場が欧州からアジアへと移行すると予想される「トランプ政権2期目」においてその役割が重要になる。
2. ロシアとインドがIORでの協力を通じて、地域の安全保障におけるより多極的なアプローチをどのように促進するか?
ウクライナでのNATOとロシアの代理戦争が終結すれば、その合意条件に関わらず、欧州での圧力が軽減され、新冷戦の主戦場がアジアに移行することが予測される。この移行は、ロシアとインド双方の負担を軽減する。
現在、ロシアは多面的な圧力を受けており、インドも経済的制裁や政治的非難を通じた西側諸国からの圧力を受けているが、IOR(Indian Ocean Region)におけるロシアとインドの協力、とりわけRELOS締結による海軍分野での連携は、両国の共同目標である多極的な影響力の「第三極」を形成する上で加速剤となる。
これにより、IOR内で米中どちらかに与しない第三の選択肢を求める他国にとって、ロシアとインドが中立的で信頼できる協力相手として浮上する可能性が高まる。このプロセスは、米中による二極的な圧力を和らげ、より複雑で多極的な国際秩序の形成を促進することが期待される。
また、ウクライナ戦争終結後に段階的な西側制裁の緩和がロシアの中国への依存を減少させれば、ロシア・インド間の協力がさらに強化される可能性がある。
3. インド海軍が支配的なIORにおいて、ロシアはどのような役割を果たすことができるか?また、インドはロシアの関与拡大からどのような利益を得られるか?
IOR内で、インドは一部の国から米国寄りと見なされている。この認識は先月のヒマラヤにおける国境合意にもかかわらず根強い。しかし、中国に友好的なロシアと協力することで、この見方を転換することが可能である。
同様に、ロシアも一部の国から中国寄りと見られているが、インドと協力することでこの認識を変えることができる。このようにして、ロシアとインドはIORで再浮上する米中対立の中で、親中・反米や親米・反中といったイメージを払拭し、中立的なバランサーとしての地位を確立することができる。
この戦略的目標は、ロシア・インド戦略的パートナーシップを基盤として「アフロ・ユーラシア新非同盟運動(Neo-NAM)」の形成を促進し、米中間の緊張が悪化する中でシステムの安定性を維持することにある。
このネットワークは、ロシア、インド、および両国を中心とするミニラテラル(小規模多国間協力)の形で構成され、より複雑な多極性の実現を目指して米中の二極化圧力に対抗する役割を果たすことができる。
以上が、コリブコ氏が述べたロシアとインドのIORにおける協力の戦略的重要性とその潜在的な影響についての詳細である。この内容は、Sputnik Indiaの記事「Indo-Russian Naval Alliance Key to Creating Multipolar Global Order」に一部抜粋されている。
【詳細】
以下に、アンドリュー・コリブコ氏のインタビュー内容について、背景情報や各回答の意味を掘り下げ、より詳細に説明する。
1. ロシアのIOR(インド洋地域)への関与拡大が、米国との戦略的力学にどのような影響を与えるか?
背景: インド洋地域(IOR)は、世界の海上貿易の要所であり、アジア・アフリカ・中東の交差点に位置する戦略的に重要な海域である。この地域では、米国がインドを中心とした「クアッド(QUAD)」やその他の同盟を通じて影響力を拡大している。一方、中国は「一帯一路」構想に基づく港湾開発や海軍力の増強を通じてIORでの存在感を高めている。この中で、ロシアの関与がどのように影響を与えるかが問われている。
回答の詳細: ロシアのIORにおける役割が拡大するには、インドとの「相互ロジスティクス支援協定(RELOS)」の締結が鍵となる。この協定により、両国は互いの軍事基地や港湾をロジスティクス目的で利用できるようになり、ロシアの海軍の展開能力が強化される。これにより、IORにおける米中の競争にロシアが「第三勢力」として関与し、他国に対して米中どちらかに与する以外の選択肢を提供することができる。
さらに、米ロ間の関係については、ウクライナ戦争を含む欧州での代理戦争が続いているものの、直接的な軍事衝突には至っていない。そのため、IORでのロシアの関与が米国との全面的な対立を引き起こす可能性は低い。むしろ、ロシアが中国とも軍事同盟を結んでいないことを踏まえれば、IORでの活動は中立的な役割として位置付けられ、地域の緊張を緩和する可能性がある。
意義: ロシアがIORに関与することで、米中の二極構造に依存しない地域の安定的な枠組みを模索する契機となる。これにより、アジアにおける新冷戦の緊張を緩和し、最終的にはグローバルな安定性を高めると期待される。
2. ロシアとインドの協力が、IORにおける多極的な安全保障のアプローチをどのように促進するか?
背景: ロシアとインドは、冷戦時代以来の長い戦略的パートナーシップを持ち、両国は共に多極的な国際秩序を推進する重要なプレーヤーである。特に、新冷戦の主戦場が欧州からアジアに移行する兆候が見られる中で、このパートナーシップの重要性が増している。
回答の詳細: ウクライナ戦争の終結がいつであれ、またどのような条件で合意されるかに関わらず、欧州での軍事的圧力が緩和されることで、ロシアはアジアでの戦略的行動を活発化させる余地を得る。一方、インドも、ウクライナ戦争への中立的立場を維持していることを理由に西側諸国からの経済的・政治的圧力を受けているが、ロシアとの協力を通じてこれを緩和することができる。
IORにおけるロシアとインドの協力は、米中の二極的な圧力を回避したいと考える他国にとって、信頼できる「第三極」としての役割を提供する。また、ロシアが中国への過度な依存を減らすことで、ロシア・インドの協力がよりバランスの取れた形で進展し、地域の多極性が強化される可能性がある。
意義: 両国の協力は、IOR全体の安全保障環境をより安定的かつ多極的なものに変革し得る。また、これがさらに発展すれば、IORを超えたグローバルな安全保障秩序の枠組みを形成する土台となる。
3. IORにおけるロシアの役割と、インドが享受できる利益とは何か?
背景: IORでは、インドが主要な海軍大国として機能しており、特に米国との協力を通じて地域の安全保障を支えている。しかし、中国がこの地域での影響力を拡大する中で、インドは特定の陣営に与するよう求められる圧力に直面している。
回答の詳細: ロシアとインドがIORで協力することで、両国はそれぞれのイメージを修正することができる。インドは米国寄りと見なされがちであり、ロシアは中国寄りと見なされているが、両国が協力することで中立性を強調し、第三勢力としての信頼を構築できる。
さらに、この協力は、「新非同盟運動(Neo-NAM)」の基盤として機能し得る。この運動は、米中の二極的な圧力に対抗し、より多極的な国際秩序を構築することを目指すものであり、特にIORにおける安全保障や経済的安定性を高める役割を果たす。
意義: ロシア・インド協力は、米中の緊張が高まる中で、IORにおける新たな秩序の構築を可能にする。これにより、他国も巻き込む形で、地域的およびグローバルな安定性を向上させる土台が築かれる。
全体の意義:
アンドリュー・コリブコ氏が提唱する「ロシアとインドの戦略的パートナーシップ」は、IORを中心とした地域的な安定性の確保に留まらず、アジア全体における新冷戦の緊張緩和、さらにはグローバルな多極的秩序の構築に寄与する可能性を秘めている。この協力は、地域内外の他国にとっても米中に依存しない新たな選択肢を提供するものであり、地政学的な変化を牽引する重要な要素となり得る。
【要点】
1. ロシアのインド洋地域(IOR)への関与拡大と米国との戦略的力学
・ロジスティクス支援協定(RELOS):インドとロシアが相互に軍事施設を利用できる協定を結べば、ロシアのIORでの関与が拡大。
・第三勢力としての役割:ロシアの関与が、米中の競争における中立的な選択肢を提供し、米国と中国が支配する二極構造から脱却できる。
・米ロの関係:ウクライナ戦争の代理戦争にもかかわらず、米ロは直接的な軍事衝突を避けており、ロシアのIORでの存在は米国との対立を激化させない可能性が高い。
2. ロシアとインドの協力による多極的な地域安全保障の推進
・新冷戦のアジアへの移行:ウクライナ戦争の終結後、冷戦の主戦場が欧州からアジアに移る予測があり、この変化に伴いロシアとインドの協力が重要に。
・インドとロシアの共通の立場:両国は西側の圧力から独立し、多極的な国際秩序を推進するために協力。
・信頼できる第三極:米中の二極的圧力に悩む国々に対して、インドとロシアは中立的な第三極としての役割を果たす。
3. IORにおけるロシアの役割とインドの利益
・インディアの中立的なイメージ:インドは米国寄りと見なされがちだが、ロシアと協力することで中立的な印象を強化できる。
ロシアの中国寄りイメージの修正:ロシアは中国寄りと見なされるが、インドと協力することでその印象も変わり、よりバランスの取れた立場を強調できる。
・新非同盟運動(Neo-NAM:Non-Aligned Movement):ロシア・インド協力が新たな「非同盟運動」の基盤となり、米中の二極的圧力に対抗して多極的秩序を構築。
全体的な意義
・地域の安定:ロシアとインドの協力は、IORを中心に地域の安全保障を安定させ、グローバルな多極秩序の推進に寄与。
・新冷戦の緩和:アジアでの米中の対立が激化する中、ロシアとインドの協力が地域内外で新たな選択肢を提供し、二極構造からの脱却を支援する。
【引用・参照・底本】
Korybko To Sputnik India: Russia & India Jointly Stabilize The New Cold War’s Asian Front Andrew Korybko's Newsletter 2024.11.16
https://korybko.substack.com/p/korybko-to-sputnik-india-russia-and?utm_source=post-email-title&publication_id=835783&post_id=151732690&utm_campaign=email-post-title&isFreemail=true&r=2gkj&triedRedirect=true&utm_medium=email
アンドリュー・コリブコ氏がSputnik Indiaに対して行ったインタビューの内容は、ロシアとインドがインド洋地域(IOR)における戦略的協力を深めることで、新冷戦下のアジアにおける緊張緩和と多極的秩序の構築に寄与する可能性について述べている。
1. ロシアのIORにおける関与拡大が、米国との戦略的力学にどのような影響を与えるか?
ロシアとインドが長らく待ち望まれている「相互ロジスティクス支援協定(RELOS)」を締結すれば、双方の施設を後方支援目的で使用できるようになり、ロシアの関与が拡大する可能性がある。
ロシアのIORにおける関与が増加することで、中国と米国の競争に対し、ロシアが信頼できる第三の協力相手として機能し、両国間のゼロサム的な選択を避ける選択肢を提供する可能性がある。
ロシアと米国はウクライナでのNATOとの代理戦争にもかかわらず直接的な戦争状態にはない。また、中国はロシアの親密なパートナーではあるが軍事同盟ではない。このため、米中いずれかとではなくロシアと協力することは、双方にとって敵対的な行動と見なされるべきではない。むしろ、他国が自国の競争相手ではなくロシアと協力する方が好ましいと見なされる可能性がある。
したがって、ロシアのIORでの関与拡大は、新冷戦下の緊張を悪化させるのではなく、むしろこれを緩和し得る。特に、新冷戦の主戦場が欧州からアジアへと移行すると予想される「トランプ政権2期目」においてその役割が重要になる。
2. ロシアとインドがIORでの協力を通じて、地域の安全保障におけるより多極的なアプローチをどのように促進するか?
ウクライナでのNATOとロシアの代理戦争が終結すれば、その合意条件に関わらず、欧州での圧力が軽減され、新冷戦の主戦場がアジアに移行することが予測される。この移行は、ロシアとインド双方の負担を軽減する。
現在、ロシアは多面的な圧力を受けており、インドも経済的制裁や政治的非難を通じた西側諸国からの圧力を受けているが、IOR(Indian Ocean Region)におけるロシアとインドの協力、とりわけRELOS締結による海軍分野での連携は、両国の共同目標である多極的な影響力の「第三極」を形成する上で加速剤となる。
これにより、IOR内で米中どちらかに与しない第三の選択肢を求める他国にとって、ロシアとインドが中立的で信頼できる協力相手として浮上する可能性が高まる。このプロセスは、米中による二極的な圧力を和らげ、より複雑で多極的な国際秩序の形成を促進することが期待される。
また、ウクライナ戦争終結後に段階的な西側制裁の緩和がロシアの中国への依存を減少させれば、ロシア・インド間の協力がさらに強化される可能性がある。
3. インド海軍が支配的なIORにおいて、ロシアはどのような役割を果たすことができるか?また、インドはロシアの関与拡大からどのような利益を得られるか?
IOR内で、インドは一部の国から米国寄りと見なされている。この認識は先月のヒマラヤにおける国境合意にもかかわらず根強い。しかし、中国に友好的なロシアと協力することで、この見方を転換することが可能である。
同様に、ロシアも一部の国から中国寄りと見られているが、インドと協力することでこの認識を変えることができる。このようにして、ロシアとインドはIORで再浮上する米中対立の中で、親中・反米や親米・反中といったイメージを払拭し、中立的なバランサーとしての地位を確立することができる。
この戦略的目標は、ロシア・インド戦略的パートナーシップを基盤として「アフロ・ユーラシア新非同盟運動(Neo-NAM)」の形成を促進し、米中間の緊張が悪化する中でシステムの安定性を維持することにある。
このネットワークは、ロシア、インド、および両国を中心とするミニラテラル(小規模多国間協力)の形で構成され、より複雑な多極性の実現を目指して米中の二極化圧力に対抗する役割を果たすことができる。
以上が、コリブコ氏が述べたロシアとインドのIORにおける協力の戦略的重要性とその潜在的な影響についての詳細である。この内容は、Sputnik Indiaの記事「Indo-Russian Naval Alliance Key to Creating Multipolar Global Order」に一部抜粋されている。
【詳細】
以下に、アンドリュー・コリブコ氏のインタビュー内容について、背景情報や各回答の意味を掘り下げ、より詳細に説明する。
1. ロシアのIOR(インド洋地域)への関与拡大が、米国との戦略的力学にどのような影響を与えるか?
背景: インド洋地域(IOR)は、世界の海上貿易の要所であり、アジア・アフリカ・中東の交差点に位置する戦略的に重要な海域である。この地域では、米国がインドを中心とした「クアッド(QUAD)」やその他の同盟を通じて影響力を拡大している。一方、中国は「一帯一路」構想に基づく港湾開発や海軍力の増強を通じてIORでの存在感を高めている。この中で、ロシアの関与がどのように影響を与えるかが問われている。
回答の詳細: ロシアのIORにおける役割が拡大するには、インドとの「相互ロジスティクス支援協定(RELOS)」の締結が鍵となる。この協定により、両国は互いの軍事基地や港湾をロジスティクス目的で利用できるようになり、ロシアの海軍の展開能力が強化される。これにより、IORにおける米中の競争にロシアが「第三勢力」として関与し、他国に対して米中どちらかに与する以外の選択肢を提供することができる。
さらに、米ロ間の関係については、ウクライナ戦争を含む欧州での代理戦争が続いているものの、直接的な軍事衝突には至っていない。そのため、IORでのロシアの関与が米国との全面的な対立を引き起こす可能性は低い。むしろ、ロシアが中国とも軍事同盟を結んでいないことを踏まえれば、IORでの活動は中立的な役割として位置付けられ、地域の緊張を緩和する可能性がある。
意義: ロシアがIORに関与することで、米中の二極構造に依存しない地域の安定的な枠組みを模索する契機となる。これにより、アジアにおける新冷戦の緊張を緩和し、最終的にはグローバルな安定性を高めると期待される。
2. ロシアとインドの協力が、IORにおける多極的な安全保障のアプローチをどのように促進するか?
背景: ロシアとインドは、冷戦時代以来の長い戦略的パートナーシップを持ち、両国は共に多極的な国際秩序を推進する重要なプレーヤーである。特に、新冷戦の主戦場が欧州からアジアに移行する兆候が見られる中で、このパートナーシップの重要性が増している。
回答の詳細: ウクライナ戦争の終結がいつであれ、またどのような条件で合意されるかに関わらず、欧州での軍事的圧力が緩和されることで、ロシアはアジアでの戦略的行動を活発化させる余地を得る。一方、インドも、ウクライナ戦争への中立的立場を維持していることを理由に西側諸国からの経済的・政治的圧力を受けているが、ロシアとの協力を通じてこれを緩和することができる。
IORにおけるロシアとインドの協力は、米中の二極的な圧力を回避したいと考える他国にとって、信頼できる「第三極」としての役割を提供する。また、ロシアが中国への過度な依存を減らすことで、ロシア・インドの協力がよりバランスの取れた形で進展し、地域の多極性が強化される可能性がある。
意義: 両国の協力は、IOR全体の安全保障環境をより安定的かつ多極的なものに変革し得る。また、これがさらに発展すれば、IORを超えたグローバルな安全保障秩序の枠組みを形成する土台となる。
3. IORにおけるロシアの役割と、インドが享受できる利益とは何か?
背景: IORでは、インドが主要な海軍大国として機能しており、特に米国との協力を通じて地域の安全保障を支えている。しかし、中国がこの地域での影響力を拡大する中で、インドは特定の陣営に与するよう求められる圧力に直面している。
回答の詳細: ロシアとインドがIORで協力することで、両国はそれぞれのイメージを修正することができる。インドは米国寄りと見なされがちであり、ロシアは中国寄りと見なされているが、両国が協力することで中立性を強調し、第三勢力としての信頼を構築できる。
さらに、この協力は、「新非同盟運動(Neo-NAM)」の基盤として機能し得る。この運動は、米中の二極的な圧力に対抗し、より多極的な国際秩序を構築することを目指すものであり、特にIORにおける安全保障や経済的安定性を高める役割を果たす。
意義: ロシア・インド協力は、米中の緊張が高まる中で、IORにおける新たな秩序の構築を可能にする。これにより、他国も巻き込む形で、地域的およびグローバルな安定性を向上させる土台が築かれる。
全体の意義:
アンドリュー・コリブコ氏が提唱する「ロシアとインドの戦略的パートナーシップ」は、IORを中心とした地域的な安定性の確保に留まらず、アジア全体における新冷戦の緊張緩和、さらにはグローバルな多極的秩序の構築に寄与する可能性を秘めている。この協力は、地域内外の他国にとっても米中に依存しない新たな選択肢を提供するものであり、地政学的な変化を牽引する重要な要素となり得る。
【要点】
1. ロシアのインド洋地域(IOR)への関与拡大と米国との戦略的力学
・ロジスティクス支援協定(RELOS):インドとロシアが相互に軍事施設を利用できる協定を結べば、ロシアのIORでの関与が拡大。
・第三勢力としての役割:ロシアの関与が、米中の競争における中立的な選択肢を提供し、米国と中国が支配する二極構造から脱却できる。
・米ロの関係:ウクライナ戦争の代理戦争にもかかわらず、米ロは直接的な軍事衝突を避けており、ロシアのIORでの存在は米国との対立を激化させない可能性が高い。
2. ロシアとインドの協力による多極的な地域安全保障の推進
・新冷戦のアジアへの移行:ウクライナ戦争の終結後、冷戦の主戦場が欧州からアジアに移る予測があり、この変化に伴いロシアとインドの協力が重要に。
・インドとロシアの共通の立場:両国は西側の圧力から独立し、多極的な国際秩序を推進するために協力。
・信頼できる第三極:米中の二極的圧力に悩む国々に対して、インドとロシアは中立的な第三極としての役割を果たす。
3. IORにおけるロシアの役割とインドの利益
・インディアの中立的なイメージ:インドは米国寄りと見なされがちだが、ロシアと協力することで中立的な印象を強化できる。
ロシアの中国寄りイメージの修正:ロシアは中国寄りと見なされるが、インドと協力することでその印象も変わり、よりバランスの取れた立場を強調できる。
・新非同盟運動(Neo-NAM:Non-Aligned Movement):ロシア・インド協力が新たな「非同盟運動」の基盤となり、米中の二極的圧力に対抗して多極的秩序を構築。
全体的な意義
・地域の安定:ロシアとインドの協力は、IORを中心に地域の安全保障を安定させ、グローバルな多極秩序の推進に寄与。
・新冷戦の緩和:アジアでの米中の対立が激化する中、ロシアとインドの協力が地域内外で新たな選択肢を提供し、二極構造からの脱却を支援する。
【引用・参照・底本】
Korybko To Sputnik India: Russia & India Jointly Stabilize The New Cold War’s Asian Front Andrew Korybko's Newsletter 2024.11.16
https://korybko.substack.com/p/korybko-to-sputnik-india-russia-and?utm_source=post-email-title&publication_id=835783&post_id=151732690&utm_campaign=email-post-title&isFreemail=true&r=2gkj&triedRedirect=true&utm_medium=email