C-17の導入:日本の国益を守る手段となり得るのか ― 2025年03月01日 20:29
【概要】
2025年2月27日、石破茂首相がトランプ政権に対し先手を打ったと報じられた。日米首脳会談において、石破首相は米製輸送機の購入を検討していることをトランプ大統領に伝えた。この購入対象として考えられているのは、アメリカのBoeing社製のC-17 Globemaster IIIである。C-17は、アフガニスタンからの米軍撤退時にその飛行映像が広く報道され、キューバのグアンタナモ基地への不法移民移送でも知られる機体である。
C-17は、最大積載量が約77.5トンであり、日本の国産C2輸送機の最大積載量が約30トンであることと比べると、その性能は非常に優れている。C-17は1991年に初飛行し、2015年に生産が終了したが、過去に日本政府はこの機体の導入を検討したものの、巡航速度や離着陸に必要な距離などが性能要求に適合しなかったため、導入は見送られた。
石破首相は、2023年2月に国会でC-17に関して以下のように述べている。「C2国産輸送機は一〇式戦車が運べない。載るけれども、重過ぎて飛べない。輸送機というのは大きければ大きいほどいい、遠くまで飛べれば飛べる方がいいと思う。なぜ、一〇式戦車が載らない輸送機を造ることが正しいのか。なぜ、C17という米軍の輸送機を中古でもいいから使わないのか」。
SNS上では、軍事ファンから「石破茂本人の趣味」や「自衛隊が得られるものがなさすぎる」などの批判も出ている。しかし、軍事的な使い勝手に関わらず、この発言が対米外交のカードとして機能する可能性もある。もし、これがトランプ大統領を黙らせることに繋がるのであれば、日本にとっては「安い買い物」となるかもしれない。
【詳細】
石破茂首相は、2025年2月27日に報じられたように、トランプ政権に対して先手を打つ形で米製輸送機の購入検討を表明した。この背景には、トランプ大統領が同盟国に対して防衛負担の増加を求め、さらにアメリカ製装備品の購入を促す姿勢がある。石破首相が伝えたのは、Boeing社製のC-17 Globemaster IIIという輸送機である。この機体は、アフガニスタンから米軍が撤退する際にその迫力ある飛行シーンが注目され、またキューバのグアンタナモ基地への不法移民の移送にも使用されたことでも知られている。
C-17の特長と日本の選定基準
C-17は、最大積載量が約77.5トンという優れた能力を持ち、日本のC2輸送機(最大積載量約30トン)と比較すると、その輸送能力は非常に高い。この大きな積載能力は、戦車や大型機材の輸送において特に重要であり、特に一〇式戦車などの大型兵器を輸送する際に強みを発揮する。C-17は1991年に初飛行し、2015年には生産が終了しているが、今も世界中で使用され続けており、その信頼性と能力が評価されている。
一方で、日本政府は過去にC-17の導入を検討したが、いくつかの理由から導入を見送っている。具体的には、C-17の巡航速度や離着陸に必要な距離が、日本の使用条件に完全には適合しなかったという問題がある。特に、C-17はその大きさと性能が、使用する飛行場や施設に制約を与える可能性があるため、適用範囲に制限がある。
石破首相の発言とその意図
石破首相は、2023年2月に国会でC-17に関して興味深い発言をしている。彼は、C2国産輸送機について、「一〇式戦車が載らない輸送機を造ることが正しいのか」と疑問を呈し、C-17の導入を推奨した。彼の発言には、以下のような意図が込められている。
輸送機の能力向上:輸送機はその規模と能力が大きければ大きいほど、また遠くまで飛べる能力があればあるほど優れた機能を持つという観点で、C-17のような大型輸送機を採用することが望ましいという立場を取っている。特に、戦車やその他の重機を効率的に運搬できる点が強調されている。
国産輸送機の限界への指摘:C2輸送機は、一〇式戦車を運搬できるが、戦車の重量が重すぎて飛行が難しいという欠点がある。この点を踏まえて、より重い貨物にも対応できるC-17を使用する方が現実的だという立場を示している。
アメリカとの協力強化:C-17を米軍から購入することは、単に防衛力強化だけでなく、日米間の協力関係を深めるための一手としても有効と考えている可能性がある。トランプ政権が推進する防衛負担の増加やアメリカ製装備品の購入という要求に応える形で、C-17購入を検討することは、外交的にも有益なカードとなるかもしれない。
SNSでの反応と議論
石破首相の発言は、SNS上でも注目を集め、軍事ファンからの批判を呼んだ。「石破茂本人の趣味」や「自衛隊が得られるものがなさすぎる」といった声が上がったが、これは主にC-17の軍事的な使い勝手に対する懸念に基づくものと考えられる。C-17の導入が自衛隊にとってどれだけ実質的な利益をもたらすかについて、慎重な意見が多い。
対米外交カードとしてのC-17
軍事的な観点からの評価は分かれるものの、C-17の購入を表明することが、対米外交において有効なカードとなり得るという点は見逃せない。トランプ大統領が求める同盟国の防衛負担増加や米製装備品の購入といった要求に対して、日本がC-17購入を検討することで、アメリカの圧力をある程度緩和する可能性がある。この場合、日本にとっては、外交的な観点から見て「安い買い物」となる可能性がある。
まとめ
石破首相のC-17購入検討の表明は、単なる軍事的な判断だけでなく、対米外交における戦略的な要素が含まれている。C-17の導入が実際にどれだけ自衛隊にとって有益かは議論の余地があるが、もしこれがトランプ大統領に対する有効な外交手段となるのであれば、日本の国益を守るための重要な選択肢となるかもしれない。
【要点】
1.背景
・トランプ政権が同盟国に防衛負担増加と米製装備品購入を求める中、石破茂首相が先手を打ち、米製輸送機C-17 Globemaster IIIの購入検討を表明。
・2025年2月、日米首脳会談でトランプ大統領に購入検討を伝えた。
2.C-17の特徴
・最大積載量約77.5トンで、C2輸送機(最大積載量約30トン)より大きな輸送能力を持つ。
・1991年に初飛行し、2015年に生産終了。依然として多くの国で使用されている信頼性の高い機体。
・アフガニスタン撤退時やキューバへの不法移民移送で注目を集めた。
3.過去の導入検討
・日本政府は過去にC-17の導入を検討したが、巡航速度や離着陸距離が日本の条件に適合せず、採用を見送った。
4.石破首相の発言
・2023年2月、国会でC-17に関して「C2輸送機は一〇式戦車が載らない。C-17を中古でも使わないか」と発言。
・輸送機は大きいほど、また遠くまで飛べるほど良いという立場を示した。
5.SNSでの反応
・軍事ファンからは「石破茂本人の趣味」や「自衛隊が得られるものがなさすぎる」と批判が出た。
・軍事的な使い勝手に対する懸念が示されている。
6.外交カードとしてのC-17
・C-17購入検討は、対米外交における戦略的なカードになる可能性がある。
トランプ大統領の要求に応えることで、日本にとって外交的に「安い買い物」となる可能性。
7.まとめ
・C-17の導入は、軍事的な判断だけでなく、対米外交戦略としても意味を持つ可能性があり、日本の国益を守る手段となり得る。
【引用・参照・底本】
石破首相はトランプ氏をなだめることができるのか C17の購入検討 sputnik日本 2025.02.27
https://sputniknews.jp/20250227/c17-19611059.html?rcmd_alg=collaboration2
2025年2月27日、石破茂首相がトランプ政権に対し先手を打ったと報じられた。日米首脳会談において、石破首相は米製輸送機の購入を検討していることをトランプ大統領に伝えた。この購入対象として考えられているのは、アメリカのBoeing社製のC-17 Globemaster IIIである。C-17は、アフガニスタンからの米軍撤退時にその飛行映像が広く報道され、キューバのグアンタナモ基地への不法移民移送でも知られる機体である。
C-17は、最大積載量が約77.5トンであり、日本の国産C2輸送機の最大積載量が約30トンであることと比べると、その性能は非常に優れている。C-17は1991年に初飛行し、2015年に生産が終了したが、過去に日本政府はこの機体の導入を検討したものの、巡航速度や離着陸に必要な距離などが性能要求に適合しなかったため、導入は見送られた。
石破首相は、2023年2月に国会でC-17に関して以下のように述べている。「C2国産輸送機は一〇式戦車が運べない。載るけれども、重過ぎて飛べない。輸送機というのは大きければ大きいほどいい、遠くまで飛べれば飛べる方がいいと思う。なぜ、一〇式戦車が載らない輸送機を造ることが正しいのか。なぜ、C17という米軍の輸送機を中古でもいいから使わないのか」。
SNS上では、軍事ファンから「石破茂本人の趣味」や「自衛隊が得られるものがなさすぎる」などの批判も出ている。しかし、軍事的な使い勝手に関わらず、この発言が対米外交のカードとして機能する可能性もある。もし、これがトランプ大統領を黙らせることに繋がるのであれば、日本にとっては「安い買い物」となるかもしれない。
【詳細】
石破茂首相は、2025年2月27日に報じられたように、トランプ政権に対して先手を打つ形で米製輸送機の購入検討を表明した。この背景には、トランプ大統領が同盟国に対して防衛負担の増加を求め、さらにアメリカ製装備品の購入を促す姿勢がある。石破首相が伝えたのは、Boeing社製のC-17 Globemaster IIIという輸送機である。この機体は、アフガニスタンから米軍が撤退する際にその迫力ある飛行シーンが注目され、またキューバのグアンタナモ基地への不法移民の移送にも使用されたことでも知られている。
C-17の特長と日本の選定基準
C-17は、最大積載量が約77.5トンという優れた能力を持ち、日本のC2輸送機(最大積載量約30トン)と比較すると、その輸送能力は非常に高い。この大きな積載能力は、戦車や大型機材の輸送において特に重要であり、特に一〇式戦車などの大型兵器を輸送する際に強みを発揮する。C-17は1991年に初飛行し、2015年には生産が終了しているが、今も世界中で使用され続けており、その信頼性と能力が評価されている。
一方で、日本政府は過去にC-17の導入を検討したが、いくつかの理由から導入を見送っている。具体的には、C-17の巡航速度や離着陸に必要な距離が、日本の使用条件に完全には適合しなかったという問題がある。特に、C-17はその大きさと性能が、使用する飛行場や施設に制約を与える可能性があるため、適用範囲に制限がある。
石破首相の発言とその意図
石破首相は、2023年2月に国会でC-17に関して興味深い発言をしている。彼は、C2国産輸送機について、「一〇式戦車が載らない輸送機を造ることが正しいのか」と疑問を呈し、C-17の導入を推奨した。彼の発言には、以下のような意図が込められている。
輸送機の能力向上:輸送機はその規模と能力が大きければ大きいほど、また遠くまで飛べる能力があればあるほど優れた機能を持つという観点で、C-17のような大型輸送機を採用することが望ましいという立場を取っている。特に、戦車やその他の重機を効率的に運搬できる点が強調されている。
国産輸送機の限界への指摘:C2輸送機は、一〇式戦車を運搬できるが、戦車の重量が重すぎて飛行が難しいという欠点がある。この点を踏まえて、より重い貨物にも対応できるC-17を使用する方が現実的だという立場を示している。
アメリカとの協力強化:C-17を米軍から購入することは、単に防衛力強化だけでなく、日米間の協力関係を深めるための一手としても有効と考えている可能性がある。トランプ政権が推進する防衛負担の増加やアメリカ製装備品の購入という要求に応える形で、C-17購入を検討することは、外交的にも有益なカードとなるかもしれない。
SNSでの反応と議論
石破首相の発言は、SNS上でも注目を集め、軍事ファンからの批判を呼んだ。「石破茂本人の趣味」や「自衛隊が得られるものがなさすぎる」といった声が上がったが、これは主にC-17の軍事的な使い勝手に対する懸念に基づくものと考えられる。C-17の導入が自衛隊にとってどれだけ実質的な利益をもたらすかについて、慎重な意見が多い。
対米外交カードとしてのC-17
軍事的な観点からの評価は分かれるものの、C-17の購入を表明することが、対米外交において有効なカードとなり得るという点は見逃せない。トランプ大統領が求める同盟国の防衛負担増加や米製装備品の購入といった要求に対して、日本がC-17購入を検討することで、アメリカの圧力をある程度緩和する可能性がある。この場合、日本にとっては、外交的な観点から見て「安い買い物」となる可能性がある。
まとめ
石破首相のC-17購入検討の表明は、単なる軍事的な判断だけでなく、対米外交における戦略的な要素が含まれている。C-17の導入が実際にどれだけ自衛隊にとって有益かは議論の余地があるが、もしこれがトランプ大統領に対する有効な外交手段となるのであれば、日本の国益を守るための重要な選択肢となるかもしれない。
【要点】
1.背景
・トランプ政権が同盟国に防衛負担増加と米製装備品購入を求める中、石破茂首相が先手を打ち、米製輸送機C-17 Globemaster IIIの購入検討を表明。
・2025年2月、日米首脳会談でトランプ大統領に購入検討を伝えた。
2.C-17の特徴
・最大積載量約77.5トンで、C2輸送機(最大積載量約30トン)より大きな輸送能力を持つ。
・1991年に初飛行し、2015年に生産終了。依然として多くの国で使用されている信頼性の高い機体。
・アフガニスタン撤退時やキューバへの不法移民移送で注目を集めた。
3.過去の導入検討
・日本政府は過去にC-17の導入を検討したが、巡航速度や離着陸距離が日本の条件に適合せず、採用を見送った。
4.石破首相の発言
・2023年2月、国会でC-17に関して「C2輸送機は一〇式戦車が載らない。C-17を中古でも使わないか」と発言。
・輸送機は大きいほど、また遠くまで飛べるほど良いという立場を示した。
5.SNSでの反応
・軍事ファンからは「石破茂本人の趣味」や「自衛隊が得られるものがなさすぎる」と批判が出た。
・軍事的な使い勝手に対する懸念が示されている。
6.外交カードとしてのC-17
・C-17購入検討は、対米外交における戦略的なカードになる可能性がある。
トランプ大統領の要求に応えることで、日本にとって外交的に「安い買い物」となる可能性。
7.まとめ
・C-17の導入は、軍事的な判断だけでなく、対米外交戦略としても意味を持つ可能性があり、日本の国益を守る手段となり得る。
【引用・参照・底本】
石破首相はトランプ氏をなだめることができるのか C17の購入検討 sputnik日本 2025.02.27
https://sputniknews.jp/20250227/c17-19611059.html?rcmd_alg=collaboration2