米国:24,000人以上の試用期間中の連邦職員の人員削減2025年03月19日 08:08

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【概要】
 
 アメリカ・ワシントン発の報道によると、24,000人以上の試用期間中の連邦職員が大規模な人員削減によって解雇されたが、連邦裁判所の判決により職務復帰が命じられた。これを受け、今週中に対象者へ電子メールで通知が送られている。

 米国退役軍人省(VA)、国際開発庁(USAID)、労働省、環境保護庁(EPA)など複数の連邦機関は、メリーランド州連邦地裁への3月18日付の提出書類において、試用期間中の職員の解雇を撤回することを明らかにした。しかし、多くの復職対象者は正式な職務復帰ではなく、管理上の措置として有給の行政休職扱いとされる見通しである。これは、トランプ政権がメリーランド州およびカリフォルニア州の裁判所の判決を不服として控訴しているためである。

 元陸軍軍曹で、フロリダ州のVA人事担当官として勤務していたデビッド・パスクイーノ氏は、3月18日にVAから電子メールを受け取り、自身の再雇用と有給休職措置について知ったと述べている。パスクイーノ氏は18年間にわたり陸軍に所属し、イラクにも派遣された経歴を持つ。彼は「今後も国と退役軍人に奉仕する職務を続けたい」と語った。VAの提出書類によれば、VAでは1,900人の解雇者のうち1,683人が職務復帰の通知を受けることになった。

 この解雇は、試用期間中の職員が労働保護の対象とならない点を利用して行われたものであるが、裁判所は解雇の手続きに問題があったと判断した。メリーランド州のジェームズ・ブレダー連邦地裁判事は、3月13日の判決で「政府は大規模な解雇を実施したが、事前通知を行わなかった」と指摘し、「解雇は個別の業績評価に基づくものと政府は主張しているが、記録上はそうではない。実際には何の個別評価もなく、一括して解雇された」と述べた。

 同日、カリフォルニア州のウィリアム・アルサップ連邦地裁判事もVAを含む6つの連邦機関に対し、解雇された試用期間中の職員を即時復職させるよう命じた。アルサップ判事は3月18日、連邦人事管理局(OPM)に対し、復職者がなぜ行政休職措置となっているのか説明を求めた。裁判所の記録によれば、回答は3月19日にも提出される可能性がある。

 トランプ政権は、連邦政府の規模縮小を掲げ、連邦職員の削減を進めている。連邦職員は総計で200万人以上に上る。ホワイトハウス報道官のキャロライン・レビット氏は、「この不条理で違憲な判決と戦う」と述べ、控訴を継続する意向を示した。

 一方、各連邦機関の指導部は、裁判所の命令に従いながらも、試用期間中の職員を完全な職務復帰とすることには混乱を招く可能性があると主張している。控訴審の結果次第では、再び解雇が行われる可能性もあるため、複数回にわたる雇用状態の変更が発生する恐れがあるという。VAのマーク・エンゲルバウム副長官は、「それでもVAは直ちに解雇通知を撤回し、該当する職員の雇用を復活させる手続きを進めている」と説明した。

 また、試用期間中の職員は、解雇日から復職日までの未払い給与が支給されることになっている。パスクイーノ氏は、「昨夜メールを受け取ったばかりで、詳細を把握しきれていないが、連邦公務員として復帰できたことは嬉しい」と述べた。

【詳細】 
 
 2025年3月18日、米国の連邦政府機関における試用期間中の職員24,000人以上が、連邦裁判所の命令により職務に復帰することが決定された。しかし、これらの職員の大半は復職後すぐに有給の行政休職(paid administrative leave)扱いとなった。これは、トランプ政権が進めた大規模な人員削減に対し、複数の裁判所がその合法性を否定し、職員の解雇を無効とする判決を下したためである。

 背景と裁判の経緯

 この解雇は、退役軍人省(VA)、国際開発庁(USAID)、労働省、環境保護庁(EPA)などの複数の連邦機関で実施され、特に試用期間中の職員が対象となった。トランプ政権は連邦政府の縮小を目指し、大規模な解雇を行ったが、この措置に対し19の州とワシントンD.C.が提訴した。

 3月13日、メリーランド州の連邦地方裁判所のジェームズ・ブレダー判事は、試用期間中の職員に対する解雇は適切な個別評価を伴わず、一括して行われたと指摘し、解雇の無効を宣言した。同日、カリフォルニア州の連邦地方裁判所のウィリアム・アルサップ判事も同様の判決を下し、VAを含む6つの連邦機関に対し、解雇された試用期間中の職員を即時復職させるよう命じた。

 試用期間中の職員の現状

 連邦機関はこれらの裁判所の命令に従い、解雇された職員の通知を取り消し、復職手続きを進めている。しかし、トランプ政権が判決を不服として上訴したため、復職した職員の多くは正式な業務には戻らず、有給の行政休職扱いとなっている。VAのマーク・エンゲルバウム次官補によると、判決が覆る可能性があり、職員の雇用状況が短期間で何度も変わる事態を避けるための措置であるという。

 影響を受けた職員の声

 退役軍人であるデービッド・パスクイーノ氏は、3月18日にVAから受け取った通知で復職が認められたが、業務に復帰せずに有給休職となったことを明かした。彼は18年間米陸軍に勤務し、イラク派遣の経験を持ち、フロリダ州のVAで人事専門官として働いていた。「私は祖国と退役軍人に奉仕するためにこの職を続けたい」と述べ、最終的に業務に復帰できることを望んでいるという。

 今後の展開

 現在、連邦政府の人事管理局(OPM)は、解雇された職員を有給休職扱いとした理由について裁判所に説明するよう求められている。カリフォルニア州のアルサップ判事は、この対応が自身の裁判所命令に含まれていないとして、政府側に詳細な説明を求めている。OPMの回答は早ければ3月18日夜にも提出される予定である。

 ホワイトハウスのカロライン・レビット報道官は、この裁判所の決定を「不条理で違憲」と批判し、トランプ政権は引き続き法廷で争う姿勢を示している。連邦政府機関の担当者は、試用期間中の職員を復職させることで業務に混乱が生じると主張し、裁判所の判断を不服としている。

 給与と雇用の扱い

 試用期間中の職員は、解雇されていた期間の給与を遡及して受け取ることができる。これは、解雇が裁判所の命令によって取り消されたため、職員が継続して雇用されていたと見なされるためである。ただし、トランプ政権の控訴により、今後の裁判結果次第では、これらの職員の雇用が再び変更される可能性がある。

 結論

 この問題は、トランプ政権の連邦政府縮小政策と、裁判所による労働者の権利保護の対立を示す事例である。現在、試用期間中の職員は形式上復職しているが、実際には業務に復帰せず、有給休職という不安定な立場にある。今後の裁判結果が、彼らの最終的な雇用の行方を決定することになる。

【要点】

 連邦政府試用期間中の職員復職問題(2025年3月18日)

 概要

 ・連邦裁判所の命令により、トランプ政権下で解雇された試用期間中の職員24,000人以上が復職。
 ・しかし、復職後すぐに有給の行政休職(paid administrative leave)扱いとなる。
 ・解雇の違法性を巡る裁判が継続中であり、最終決定は未定。

 背景

 ・トランプ政権は連邦政府の規模縮小を目指し、試用期間中の職員を大量解雇。
 ・これに対し、19の州とワシントンD.C.が提訴。
 ・2025年3月13日、複数の連邦裁判所が解雇無効の判決を下す。
 ・判決に基づき、各連邦機関が職員の復職手続きを開始。

 復職後の状況

 ・ほとんどの職員が正式な業務に復帰せず、有給休職扱い。
 ・理由:トランプ政権が上訴し、裁判結果が確定していないため。
 ・影響を受けた職員の多くが雇用の不安定さに不満を抱く。

 裁判の影響

 ・連邦政府の人事管理局(OPM)は裁判所から対応の説明を求められている。
 ・カリフォルニア州の裁判所は、職員を有給休職扱いとした政府の対応を疑問視。
 ・連邦政府側は「業務の混乱を避けるための措置」と主張。
 ・トランプ政権の報道官は「裁判所の決定は不条理で違憲」と批判し、法廷闘争を継続。

 給与と雇用の扱い

 ・解雇が無効とされたため、職員は解雇期間中の給与を遡及して受け取る権利を持つ。
 ・ただし、今後の裁判結果次第では、再び雇用状況が変わる可能性がある。

 結論

 ・試用期間中の職員は形式上復職したが、実質的には有給休職の状態。
 ・最終的な雇用の可否は、裁判の結果次第で変わる。
 ・トランプ政権と裁判所の対立が続く中、政府機関の業務に影響を及ぼす可能性がある。

【引用・参照・底本】

More than 24,000 probationary federal workers ordered back to work — but then placed on paid leave STARS & STRIPES 2025.03.18
https://www.stripes.com/theaters/us/2025-03-18/federal-probationary-workers-reinstated-17187635.html?utm_source=Stars+and+Stripes+Emails&utm_campaign=Daily+Headlines&utm_medium=email&utm_source=Stars+and+Stripes+Emails&utm_campaign=66c3e5dc27-Newsletter+-+Daily+Headlines&utm_medium=email&utm_term=0_0ab8697a7f-66c3e5dc27-296258881

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