12,900kmを超える量子暗号通信に成功2025年03月20日 15:46

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【概要】
 
 中国主導のチームが、世界初の10,000km量子暗号通信に成功したことが報告された。中国の科学者たちが率いる国際チームは、中国と南アフリカの間で12,900kmを超える量子暗号通信を実現した。

 この成果は、ジナン-1マイクロナノ衛星とコンパクトな地上局を利用しており、量子技術における新たな突破口を示している。この技術により、世界規模での安全な量子通信の実現が可能であることが証明された。

 中国科学技術大学を中心としたチームは、衛星と小型地上局との間でリアルタイムの量子鍵配送(QKD)を実現した。この地上局の一つは南アフリカのステレンボッシュに所在している。

 中国の科学者たちは、ステレンボッシュ大学の研究者と共同で、半球をまたいだ最長距離のハッカーによる不正アクセスを防ぐ通信を成功させた。この成果は、2025年3月19日付けで「Nature」誌に掲載され、査読者からは「技術的に印象的な成果であり、広範囲な衛星QKDサービスのための信頼できるノードコンステレーションに向けた大きな進展を示す」と評価された。また、この技術の成熟度を示すものとして高く評価された。

【詳細】 
 
 中国の科学者たちが率いる国際チームは、量子暗号通信において世界初となる12,900kmを超える長距離通信に成功した。この通信は、量子鍵配送(QKD)技術を使用しており、ハッカーによる盗聴や改ざんが不可能な通信方式として注目されている。

 今回の通信実験には、ジナン-1というマイクロナノ衛星と、それに接続する小型地上局が使用された。ジナン-1衛星は、量子情報を地上と衛星間で安全に伝送するために設計され、コンパクトながら高い性能を持つ。地上局は、特に小型化されており、移動性を確保しながらも量子通信を行えるように構築されている。地上局の一例として、南アフリカのステレンボッシュに設置された局が挙げられる。

 この実験では、衛星と地上局の間でリアルタイムで量子鍵配送を行い、地球の反対側に位置する半球間で初めて、ハッカーによる不正アクセスを防いだ通信が実現された。この技術は、量子情報の伝送における「不確定性原理」に基づいており、通信経路上で何らかの不正な試みが行われると、通信の内容が即座に破壊されるため、セキュリティが保たれる仕組みとなっている。

 この研究結果は、2025年3月19日付けで世界的な学術誌「Nature」に発表され、その技術的な意義が高く評価された。査読者は、この成果を「技術的に非常に印象的であり、広範囲な衛星QKDサービスを実現するための信頼できるノードコンステレーションの形成に向けた重要な一歩」として称賛した。また、量子衛星通信技術が成熟し、商業利用や広範囲な応用が可能となる段階に近づいていることを示すものとして、今後の発展に期待が寄せられている。

 この研究は、量子暗号通信技術が今後、地球規模での安全な情報伝達手段として普及する可能性を示唆しており、国際的な通信インフラに革命的な影響を与える可能性を秘めている。

【要点】

 ・国際チームの成果: 中国科学技術大学主導の国際チームが、12,900kmを超える量子暗号通信に成功。
 ・使用された技術: ジナン-1マイクロナノ衛星と小型地上局を利用した量子通信。
 ・量子鍵配送(QKD): 衛星と地上局間でリアルタイムの量子鍵配送を実施し、ハッカーによる盗聴を防ぐ。
 ・地上局の設置場所: 南アフリカのステレンボッシュに地上局を設置。
 ・通信の特徴: 半球をまたいだ最長距離の量子暗号通信を実現。
 ・成果の評価: 研究結果は「Nature」誌に発表され、「技術的に印象的な成果」と評価。
 ・重要な進展: 信頼できる衛星QKDサービスを実現するための信頼ノードコンステレーションに向けた進展を示す。
 ・技術の成熟: 量子衛星通信技術の成熟度が高まり、商業利用や広範囲な応用が期待される。
 ・セキュリティ: 量子通信における不確定性原理を利用し、通信内容の盗聴や改ざんを防ぐ。

【引用・参照・底本】

Chinese-led team achieves world's first 10,000-km quantum-secured communication GT 2025.03.20
https://www.globaltimes.cn/page/202503/1330456.shtml

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