パキスタンのムハンマド・イシャク・ダール副首相兼外相の訪中 ― 2025年05月19日 21:27
【概要】
中国外交部報道官の毛寧氏は、パキスタンのムハンマド・イシャク・ダール副首相兼外相の訪中に関して記者会見で質問を受け、中国とパキスタンの関係およびこの訪問に対する期待について次のように述べた。
中国側の立場と表明
・中国とパキスタンは「全天候型戦略的協力パートナーシップ」の関係にあり、高いレベルの交流と多分野にわたる協力を緊密に行っている。
・中国は今回のダール副首相の訪問を契機として、両国首脳間で達成された重要な合意の実施をさらに推進し、
(1)戦略的意思疎通と調整の強化、
(2)各分野における交流と協力の深化、
(3)両国関係の持続的発展の促進、
(4)「新時代におけるより緊密な中パ運命共同体」の構築加速
を目指す意向を示した。
訪問の詳細と日程
・訪問は中国共産党中央政治局委員である王毅外交部長の招待により実現するものであり、日程は2025年5月19日から21日までと発表された。
・この通知は5月19日に中国外交部から正式に公表された。
両国外務省の発表内容
・パキスタン外務省によれば、訪問期間中にダール副首相は王毅外交部長と会談し、
(1)南アジア地域情勢の変化とそれがもたらす地域の平和と安定への影響についての議論、
(2)パキスタン・中国間の二国間関係の全体的な見直し、
(3)国際的な共通関心事項に関する意見交換
が行われる予定である。
・この訪問は、中パ間における継続的なハイレベル交流の一環であり、
全天候型戦略的協力パートナーシップのさらなる強化に対する両国の共通のコミットメントを示すものであると述べている。
インド・パキスタン関係に関する中国の見解
・最近のインド・パキスタン情勢についての質問に対し、毛寧報道官は次のように回答した。
(1)「中国の立場はすでに明確に表明している。」
(2)「中国はインドおよびパキスタンとの間での意思疎通を維持し、冷静さと自制を促し、持続的な停戦の実現と地域の平和と安定の共同維持を支援する意向である。」
【詳細】
背景:中パ関係の枠組みと文脈
・中国とパキスタンは長年にわたり「全天候型戦略的協力パートナーシップ(All-Weather Strategic Cooperative Partnership)」という特別な二国間関係を構築してきた。
・この関係は、軍事・安全保障、経済、インフラ、外交など複数の分野において包括的な協力を特徴としており、政治的信頼関係も極めて高い。
・中国は、パキスタンを「鉄の兄弟(iron brother)」と呼ぶなど、公式レベルでもその友好関係を象徴的に表現している。
訪問の正式発表と外交的意義
・パキスタンのムハンマド・イシャク・ダール副首相兼外相は、中国共産党中央政治局委員・外交部長の王毅氏の招待により、2025年5月19日から21日まで中国を公式訪問する。
・中国外交部の毛寧報道官は、これに先立ち行われた記者会見において、今回の訪問が中パ両国間の合意を履行し、**「新時代におけるより緊密な中パ運命共同体」**の構築を加速させる機会であると位置づけた。
・訪問の目的は以下の4点に集約される:
(1)両国首脳間で達成された合意事項の実施促進
(2)戦略的意思疎通と政策調整の強化
(3)各分野における協力と人的交流の深化
(4)中パ関係の持続的発展と地域安定への寄与
会談予定内容と議題の焦点
・パキスタン外務省の発表によれば、今回の訪中では主に以下の議題が扱われる予定である。
(1)南アジア地域情勢の変動に関する意見交換:特にインド・パキスタン間の関係悪化やアフガニスタン問題、テロ対策に関する対応が含まれる可能性が高い。
(2)中パ関係の全般的レビュー:経済協力(中国パキスタン経済回廊=CPECを含む、エネルギー開発、防衛協力、人的往来、教育・文化交流などの現状確認と今後の方向性。
(3)国際情勢と共通の関心事に関する協議:中東、グローバル・サウス(途上国協力)、国連改革、気候変動問題などが想定される。
インド・パキスタン問題に関する中国の立場
・記者会見において、インドとパキスタンの最近の緊張関係に関する質問も出された。
・これに対し毛寧報道官は、
⇨ 中国の立場は「すでに明確に表明している」としつつ、
⇨ 中国はインド・パキスタン双方との意思疎通を継続し、相互に冷静さと自制を促す立場であると強調した。
⇨ また、持続的な停戦の実現と地域の平和・安定の共同維持に努める姿勢を表明した。
この発言は、中国が南アジアの複雑な安全保障環境において、中立的かつ安定志向の立場を維持しようとしていることを示すものである。
総括と意義
・ダール副首相の訪中は、2025年における中パ間の外交日程の中でも重要な節目である。
・訪問を通じて、両国は互いの信頼と連携を確認し、地域と国際社会に対して中パ協力の一体性と継続性を示すことになる。
・中国にとってパキスタンは「一帯一路」構想の中核パートナーであり、特に中国パキスタン経済回廊(CPEC)の安定と発展は戦略的にも極めて重要である。
・一方、パキスタンにとって中国は最大の投資国・支援国であり、経済・インフラの発展と対インド戦略の両面で不可欠な存在となっている。
【要点】
訪問の基本情報
・パキスタンのムハンマド・イシャク・ダール副首相兼外相が、2025年5月19日から21日まで中国を訪問する。
・訪問は、中国共産党中央政治局委員・外交部長である王毅氏の正式な招待によるものである。
・訪問の発表は、中国外交部が5月19日に公式通知として発表した。
中国外交部(毛寧報道官)の発言要旨
・中国とパキスタンは「全天候型戦略的協力パートナー」である。
・両国は高いレベルでの交流と、多分野にわたる協力を緊密に行っている。
・中国は今回の訪問を次の目的のための機会と捉えている:
(1)両国首脳間で合意された重要事項の実行を推進。
(2)戦略的意思疎通と政策協調の強化。
(3)各分野における実務的な交流と協力の深化。
(4)「新時代におけるより緊密な中パ運命共同体」の構築加速。
パキスタン外務省の見解
・訪問は、パキスタンと中国の間で継続的に行われているハイレベル交流の一環である。
・訪問の目的は、全天候型戦略的協力パートナーシップのさらなる強化である。
・ダール副首相は王毅外交部長と以下について協議を行う予定である:
⇨ 南アジア地域の変動する情勢とその平和・安定への影響。
⇨ パキスタン・中国間の二国間関係全体の見直し。
⇨ 国際的な共通関心事項に関する意見交換。
インド・パキスタン問題に関する中国の立場
・毛寧報道官は、インド・パキスタン情勢に関する質問に対して次のように回答した・
⇨ 中国の立場はすでに明確に表明している。
⇨ 中国はインドおよびパキスタン双方との意思疎通を維持する意思がある。
⇨ 双方に対して冷静と自制を促し、持続的な停戦と地域の平和・安定を共同で守るよう働きかける用意がある。
全体的意義
・今回の訪問は、両国の外交関係の深化と地域情勢への共同対応にとって重要な契機となる。
・中国はパキスタンとの協力を通じて、一帯一路構想や地域安定への影響力をさらに強化することが期待される。
・パキスタンにとって中国は重要な戦略的・経済的支援国であり、協力関係の維持・強化が優先事項である。
【桃源寸評】
中国パキスタン経済回廊(CPEC)
・中国とパキスタンは「一帯一路(Belt and Road Initiative, BRI)」構想の下、中国パキスタン経済回廊(CPEC)を中核プロジェクトとして推進している。
・CPECは、新疆ウイグル自治区のカシュガルからアラビア海のグワダル港に至る物流・エネルギー・インフラ整備を柱とする。
・同回廊は、中国にとって中東・アフリカへの戦略的アクセス路であり、インド洋への直接ルートとして極めて重要である。
・パキスタンにとっては、外国直接投資(FDI)と雇用創出、インフラ整備の促進という経済的利点がある。
インドとの戦略的競争
・パキスタンは歴史的にインドと対立関係にあり、中国はインド封じ込めの観点からパキスタンを地政学的パートナーと位置づけている。
・中国とインドは国境問題(特にラダック地方)で対立しており、インドはCPECがパキスタン支配下のカシミール地方を通過していることに強く反発している。
・中国はパキスタンへの支援を通じて、インドの地域的影響力拡大に対抗する戦略を取っている。
アフガニスタンと地域安定
・パキスタンはアフガニスタンと国境を接し、同国の政治情勢は中パ両国にとって安全保障上の重大関心事項である。
・中国はアフガニスタンの再建に対する支援を通じて、テロリズムや宗教過激主義の拡散を防ぎたいと考えている。
・パキスタンとの協力を通じ、アフガニスタン情勢に一定の安定的影響力を確保しようとする動きが見られる。
米中対立と中パ連携
・米中対立が深まる中で、中国はアジア周辺諸国との戦略的連携を強化しており、パキスタンはその重要な柱である。
・アメリカはインド太平洋戦略においてインドとの協力を強めており、中国はこれに対抗する形でパキスタンとの関係をより重視している。
・パキスタンはアメリカとの関係が必ずしも安定しておらず、中国との協力を安定的パートナーシップとみなしている。
地域的インフラ主導権の競合
・中国はBRIを通じたインフラ開発により、南アジアから中東への経済的影響力拡大を狙っている。
・一方、アメリカや日本、インドなどは「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」や「グローバル・ゲートウェイ」構想を通じて対抗している。
・パキスタンは経済危機の克服とエネルギー不足解消のため、中国主導の支援を必要としており、CPECを含む中パ協力はその生命線である。
核保有国間の安定性と緊張
・中国、インド、パキスタンの三国はいずれも核保有国であり、地域の安全保障環境は極めて繊細である。
・特に印パ間では軍事的緊張が周期的に高まる傾向があり、中国はこれを安定化させるプレーヤーとしての立場を打ち出している。
・中国がインドとパキスタンの両国に対し「冷静と自制」を呼びかける背景には、このような核拡散管理と地域安定の意図がある。
【寸評 完】
【引用・参照・底本】
China, Pakistan to advance the continuous growth of bilateral relationship during Deputy PM Dar's visit: FM GT 2024.05.19
https://www.globaltimes.cn/page/202505/1334394.shtml
中国外交部報道官の毛寧氏は、パキスタンのムハンマド・イシャク・ダール副首相兼外相の訪中に関して記者会見で質問を受け、中国とパキスタンの関係およびこの訪問に対する期待について次のように述べた。
中国側の立場と表明
・中国とパキスタンは「全天候型戦略的協力パートナーシップ」の関係にあり、高いレベルの交流と多分野にわたる協力を緊密に行っている。
・中国は今回のダール副首相の訪問を契機として、両国首脳間で達成された重要な合意の実施をさらに推進し、
(1)戦略的意思疎通と調整の強化、
(2)各分野における交流と協力の深化、
(3)両国関係の持続的発展の促進、
(4)「新時代におけるより緊密な中パ運命共同体」の構築加速
を目指す意向を示した。
訪問の詳細と日程
・訪問は中国共産党中央政治局委員である王毅外交部長の招待により実現するものであり、日程は2025年5月19日から21日までと発表された。
・この通知は5月19日に中国外交部から正式に公表された。
両国外務省の発表内容
・パキスタン外務省によれば、訪問期間中にダール副首相は王毅外交部長と会談し、
(1)南アジア地域情勢の変化とそれがもたらす地域の平和と安定への影響についての議論、
(2)パキスタン・中国間の二国間関係の全体的な見直し、
(3)国際的な共通関心事項に関する意見交換
が行われる予定である。
・この訪問は、中パ間における継続的なハイレベル交流の一環であり、
全天候型戦略的協力パートナーシップのさらなる強化に対する両国の共通のコミットメントを示すものであると述べている。
インド・パキスタン関係に関する中国の見解
・最近のインド・パキスタン情勢についての質問に対し、毛寧報道官は次のように回答した。
(1)「中国の立場はすでに明確に表明している。」
(2)「中国はインドおよびパキスタンとの間での意思疎通を維持し、冷静さと自制を促し、持続的な停戦の実現と地域の平和と安定の共同維持を支援する意向である。」
【詳細】
背景:中パ関係の枠組みと文脈
・中国とパキスタンは長年にわたり「全天候型戦略的協力パートナーシップ(All-Weather Strategic Cooperative Partnership)」という特別な二国間関係を構築してきた。
・この関係は、軍事・安全保障、経済、インフラ、外交など複数の分野において包括的な協力を特徴としており、政治的信頼関係も極めて高い。
・中国は、パキスタンを「鉄の兄弟(iron brother)」と呼ぶなど、公式レベルでもその友好関係を象徴的に表現している。
訪問の正式発表と外交的意義
・パキスタンのムハンマド・イシャク・ダール副首相兼外相は、中国共産党中央政治局委員・外交部長の王毅氏の招待により、2025年5月19日から21日まで中国を公式訪問する。
・中国外交部の毛寧報道官は、これに先立ち行われた記者会見において、今回の訪問が中パ両国間の合意を履行し、**「新時代におけるより緊密な中パ運命共同体」**の構築を加速させる機会であると位置づけた。
・訪問の目的は以下の4点に集約される:
(1)両国首脳間で達成された合意事項の実施促進
(2)戦略的意思疎通と政策調整の強化
(3)各分野における協力と人的交流の深化
(4)中パ関係の持続的発展と地域安定への寄与
会談予定内容と議題の焦点
・パキスタン外務省の発表によれば、今回の訪中では主に以下の議題が扱われる予定である。
(1)南アジア地域情勢の変動に関する意見交換:特にインド・パキスタン間の関係悪化やアフガニスタン問題、テロ対策に関する対応が含まれる可能性が高い。
(2)中パ関係の全般的レビュー:経済協力(中国パキスタン経済回廊=CPECを含む、エネルギー開発、防衛協力、人的往来、教育・文化交流などの現状確認と今後の方向性。
(3)国際情勢と共通の関心事に関する協議:中東、グローバル・サウス(途上国協力)、国連改革、気候変動問題などが想定される。
インド・パキスタン問題に関する中国の立場
・記者会見において、インドとパキスタンの最近の緊張関係に関する質問も出された。
・これに対し毛寧報道官は、
⇨ 中国の立場は「すでに明確に表明している」としつつ、
⇨ 中国はインド・パキスタン双方との意思疎通を継続し、相互に冷静さと自制を促す立場であると強調した。
⇨ また、持続的な停戦の実現と地域の平和・安定の共同維持に努める姿勢を表明した。
この発言は、中国が南アジアの複雑な安全保障環境において、中立的かつ安定志向の立場を維持しようとしていることを示すものである。
総括と意義
・ダール副首相の訪中は、2025年における中パ間の外交日程の中でも重要な節目である。
・訪問を通じて、両国は互いの信頼と連携を確認し、地域と国際社会に対して中パ協力の一体性と継続性を示すことになる。
・中国にとってパキスタンは「一帯一路」構想の中核パートナーであり、特に中国パキスタン経済回廊(CPEC)の安定と発展は戦略的にも極めて重要である。
・一方、パキスタンにとって中国は最大の投資国・支援国であり、経済・インフラの発展と対インド戦略の両面で不可欠な存在となっている。
【要点】
訪問の基本情報
・パキスタンのムハンマド・イシャク・ダール副首相兼外相が、2025年5月19日から21日まで中国を訪問する。
・訪問は、中国共産党中央政治局委員・外交部長である王毅氏の正式な招待によるものである。
・訪問の発表は、中国外交部が5月19日に公式通知として発表した。
中国外交部(毛寧報道官)の発言要旨
・中国とパキスタンは「全天候型戦略的協力パートナー」である。
・両国は高いレベルでの交流と、多分野にわたる協力を緊密に行っている。
・中国は今回の訪問を次の目的のための機会と捉えている:
(1)両国首脳間で合意された重要事項の実行を推進。
(2)戦略的意思疎通と政策協調の強化。
(3)各分野における実務的な交流と協力の深化。
(4)「新時代におけるより緊密な中パ運命共同体」の構築加速。
パキスタン外務省の見解
・訪問は、パキスタンと中国の間で継続的に行われているハイレベル交流の一環である。
・訪問の目的は、全天候型戦略的協力パートナーシップのさらなる強化である。
・ダール副首相は王毅外交部長と以下について協議を行う予定である:
⇨ 南アジア地域の変動する情勢とその平和・安定への影響。
⇨ パキスタン・中国間の二国間関係全体の見直し。
⇨ 国際的な共通関心事項に関する意見交換。
インド・パキスタン問題に関する中国の立場
・毛寧報道官は、インド・パキスタン情勢に関する質問に対して次のように回答した・
⇨ 中国の立場はすでに明確に表明している。
⇨ 中国はインドおよびパキスタン双方との意思疎通を維持する意思がある。
⇨ 双方に対して冷静と自制を促し、持続的な停戦と地域の平和・安定を共同で守るよう働きかける用意がある。
全体的意義
・今回の訪問は、両国の外交関係の深化と地域情勢への共同対応にとって重要な契機となる。
・中国はパキスタンとの協力を通じて、一帯一路構想や地域安定への影響力をさらに強化することが期待される。
・パキスタンにとって中国は重要な戦略的・経済的支援国であり、協力関係の維持・強化が優先事項である。
【桃源寸評】
中国パキスタン経済回廊(CPEC)
・中国とパキスタンは「一帯一路(Belt and Road Initiative, BRI)」構想の下、中国パキスタン経済回廊(CPEC)を中核プロジェクトとして推進している。
・CPECは、新疆ウイグル自治区のカシュガルからアラビア海のグワダル港に至る物流・エネルギー・インフラ整備を柱とする。
・同回廊は、中国にとって中東・アフリカへの戦略的アクセス路であり、インド洋への直接ルートとして極めて重要である。
・パキスタンにとっては、外国直接投資(FDI)と雇用創出、インフラ整備の促進という経済的利点がある。
インドとの戦略的競争
・パキスタンは歴史的にインドと対立関係にあり、中国はインド封じ込めの観点からパキスタンを地政学的パートナーと位置づけている。
・中国とインドは国境問題(特にラダック地方)で対立しており、インドはCPECがパキスタン支配下のカシミール地方を通過していることに強く反発している。
・中国はパキスタンへの支援を通じて、インドの地域的影響力拡大に対抗する戦略を取っている。
アフガニスタンと地域安定
・パキスタンはアフガニスタンと国境を接し、同国の政治情勢は中パ両国にとって安全保障上の重大関心事項である。
・中国はアフガニスタンの再建に対する支援を通じて、テロリズムや宗教過激主義の拡散を防ぎたいと考えている。
・パキスタンとの協力を通じ、アフガニスタン情勢に一定の安定的影響力を確保しようとする動きが見られる。
米中対立と中パ連携
・米中対立が深まる中で、中国はアジア周辺諸国との戦略的連携を強化しており、パキスタンはその重要な柱である。
・アメリカはインド太平洋戦略においてインドとの協力を強めており、中国はこれに対抗する形でパキスタンとの関係をより重視している。
・パキスタンはアメリカとの関係が必ずしも安定しておらず、中国との協力を安定的パートナーシップとみなしている。
地域的インフラ主導権の競合
・中国はBRIを通じたインフラ開発により、南アジアから中東への経済的影響力拡大を狙っている。
・一方、アメリカや日本、インドなどは「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」や「グローバル・ゲートウェイ」構想を通じて対抗している。
・パキスタンは経済危機の克服とエネルギー不足解消のため、中国主導の支援を必要としており、CPECを含む中パ協力はその生命線である。
核保有国間の安定性と緊張
・中国、インド、パキスタンの三国はいずれも核保有国であり、地域の安全保障環境は極めて繊細である。
・特に印パ間では軍事的緊張が周期的に高まる傾向があり、中国はこれを安定化させるプレーヤーとしての立場を打ち出している。
・中国がインドとパキスタンの両国に対し「冷静と自制」を呼びかける背景には、このような核拡散管理と地域安定の意図がある。
【寸評 完】
【引用・参照・底本】
China, Pakistan to advance the continuous growth of bilateral relationship during Deputy PM Dar's visit: FM GT 2024.05.19
https://www.globaltimes.cn/page/202505/1334394.shtml