【概要】
　
　ファイブ・アイズ(Five Eyes)は、米国、英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの5カ国から成る情報共有の枠組みである。1940年代に第二次世界大戦後の英米協定(UKUSA Agreement)を基盤として設立されたこの機構は、加盟国間で機密情報を共有し、安全保障や諜報活動を協力して行う目的を持つ。

　2024年11月20日に東京で開催された会合では、日本が初めてファイブ・アイズの非加盟国としての参加を果たした。この会合の目的は、自由で開かれたインド太平洋を目指す日本のビジョンを推進するため、同盟国との安全保障面での協力を強化することであるとされた。日本はこれまでもファイブ・アイズ加盟国との情報共有を進めてきたが、正式な加盟は現在のところ発表されていない。

　ロシア人政治学者ドミトリー・ドロブニツキー氏の見解によれば、ファイブ・アイズは非常に閉鎖的な組織であり、情報収集や共有の仕組みは公には明らかにされていない。また、この組織が情報共有の範囲を拡大し、非伝統的な安全保障分野(サイバーセキュリティや技術研究など)にも関与していると指摘されている。

　ドロブニツキー氏は、日本がファイブ・アイズの「第6の目」となる可能性について慎重な見方を示している。日本が加盟を希望したとしても、ファイブ・アイズ加盟国が持つ高い基準を満たす必要があるため、簡単には進まない可能性があると述べている。これには、情報の機密度分類や安全な共有システムの構築、データ漏洩防止策、そして高度なサイバーセキュリティ対策が含まれる。また、日本の安全保障政策は、中国の軍事力に対する懸念や、国内の防衛力の限界という現実に大きく依存しているとされる。

　さらに、地域的な地政学的情勢や、米国を中心とする同盟国との関係性も日本の意思決定に影響を与える。トランプ次期大統領(再選された場合)との連携についても予測不可能な側面があり、日米安全保障条約が維持される一方で、予期せぬ事態が起こる可能性は否定できない。

　結論として、日本がファイブ・アイズに正式加盟するには長期的な準備と高い基準への適応が必要であり、加盟の成否は単に日本の希望だけで決まるものではなく、加盟国間の政治的・技術的な協議が求められる。

【詳細】

　ファイブ・アイズ(Five Eyes)は、英語圏の5カ国(米国、英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド)による機密情報共有の枠組みであり、第二次世界大戦後に構築された英米協定(UKUSA Agreement)を起源とする。主にシギント(SIGINT、信号諜報)の分野で協力しており、世界的な監視活動や情報分析を行う極めて重要な国際的諜報ネットワークである。この組織は非常に閉鎖的で、その情報共有の仕組みや運用は公にはほとんど明らかにされていない。

　日本とファイブ・アイズの関係

　日本は現在、ファイブ・アイズには正式に加盟していないが、2020年に河野太郎元防衛相がこの枠組みへの参加を提案して以来、各加盟国との情報共有や安全保障面での連携を強化してきた。2024年11月20日、東京でファイブ・アイズの非加盟国として初の会合を開催した。この会合は、自衛隊幹部による拡大会議の一環として行われ、統幕最先任の甲斐修准空尉が日本を代表して参加した。この会議は、日本が自由で開かれたインド太平洋というビジョンを実現するために、情報共有を通じて同盟国との連携を強化することを目的としていた。

　ファイブ・アイズの加盟国は、中国の軍事的台頭、北朝鮮の核開発、ロシアの影響力拡大に直面しており、日本のようなインド太平洋地域の戦略的パートナーとの協力を強化する必要性を感じている。一方、日本も地政学的リスクの高まりに伴い、ファイブ・アイズとの連携を通じて防衛力を強化し、情報面での優位性を確保することを目指している。

　ファイブ・アイズ加盟のハードル

　日本が正式にファイブ・アイズに加盟するには、いくつかの重要な課題が存在する。

　情報共有基準の整備

　ファイブ・アイズは機密情報の厳密な分類やアクセス制御の基準を持っている。これには、高度に洗練された情報保護システムや、データ漏洩防止のための厳重な監視体制が含まれる。日本はこれに適応するため、国内のサイバーセキュリティインフラや機密情報管理システムを大幅に改善する必要がある。

　セキュリティの信頼性

　ファイブ・アイズの加盟国は、共有する情報のセキュリティに対する極めて高い基準を要求する。情報漏洩の可能性を最小限に抑えるため、日本は国内の情報管理体制を国際基準に合わせて強化する必要がある。これには、サイバー攻撃に対する防御能力の向上や、情報漏洩事件に対する迅速な対応策が含まれる。

　政治的合意の形成

　ファイブ・アイズは単なる情報共有ネットワークではなく、加盟国間で戦略的意思決定を共有する側面を持つ。日本が加盟する場合、各国との間で政治的な合意を形成し、情報共有における透明性や相互信頼を確立する必要がある。

　国民的議論の必要性

　ファイブ・アイズは、スノーデン氏が指摘したように、時にプライバシーや個人の自由に関する懸念を引き起こすことがある。このため、日本国内でもファイブ・アイズ加盟がもたらす影響について、広範な議論と理解が必要である。

　地政学的な背景と意義

　インド太平洋地域の安全保障は、米国を中心とする同盟国の最重要課題の一つである。特に中国が軍事力を強化し、南シナ海や東シナ海での影響力を拡大している状況は、日本やファイブ・アイズ加盟国にとって重大な脅威となっている。また、北朝鮮のミサイル開発やロシアの極東地域での軍事活動も、地域の安定に対するリスクを高めている。

　このような背景から、ファイブ・アイズはAUKUS(三国間安全保障協定)などの枠組みとも連携し、地域の親米国である日本や韓国、フィリピンとの協力を強化しようとしている。日本はこの動きの中で、先進的な技術力や自衛隊の高い機動性を生かし、安全保障分野での貢献を模索している。

　結論

　日本がファイブ・アイズの「第6の目」となる可能性は存在するが、それは簡単なプロセスではない。技術的な基準や安全保障体制の整備、加盟国間の政治的合意、さらには国内世論の形成が求められる。一方で、地政学的リスクが高まる中で、日本がファイブ・アイズに準じた形で協力を深めていくことは現実的な選択肢となり得る。加盟が実現するか否かにかかわらず、日本は引き続き情報共有と安全保障の分野で重要な役割を果たすことが期待されている。
　
【要点】　　
　
　ファイブ・アイズと日本の関係

　1.ファイブ・アイズの概要

　・米国、英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの5カ国が参加する機密情報共有ネットワーク。
　・主に信号諜報(SIGINT)を通じた情報収集・共有を目的とし、第二次世界大戦後に構築された。
　・非常に閉鎖的で、情報の収集・共有方法は公にはほとんど明らかにされていない。

　2.日本との協力強化の経緯

　・2020年、河野太郎元防衛相がファイブ・アイズ参加を提案。
　・以降、日本は各加盟国と情報共有や安全保障協力を強化。
　・2024年11月20日、東京で初めてファイブ・アイズの非加盟国会合を開催。

　日本が直面する課題

　1.情報共有基準の整備

　・ファイブ・アイズの情報保護基準(機密度分類、アクセス制御)に対応する必要あり。
　・サイバーセキュリティや情報漏洩防止システムの整備が必須。

　2.セキュリティの信頼性向上

　・厳格な情報管理体制を整備し、サイバー攻撃や漏洩リスクを最小化する必要あり。

　3.政治的合意形成

　・加盟国との間で透明性や信頼を確立するための協議が求められる。
　・特に米国や英国との戦略的調整が重要。

　4.国内的議論と同意

　・ファイブ・アイズ加盟が国民のプライバシーや自由に与える影響についての議論が必要。

　地政学的背景

　1.地域の安全保障環境

　・中国の軍事的台頭、北朝鮮の核開発、ロシアの極東活動が脅威。
　・インド太平洋地域での安全保障協力は、米国とその同盟国の優先課題。

　2.日本の戦略的重要性

　・日本は先進技術力と高い自衛隊能力を有し、地域の親米国として期待されている。
　・AUKUSやその他の安全保障枠組みとも連携し、協力を深める可能性がある。

　加盟の可能性と条件

　1.加盟実現の難易度

　・技術基準の適合、情報管理体制の構築、加盟国の同意形成が必要。
　・加盟は時間を要し、日本一国の希望だけでは決まらない。

　2.協力深化の意義

　・正式加盟が実現しなくても、ファイブ・アイズ準拠の協力関係を強化することで、日本の安全保障と情報共有能力を向上させることが可能。

　結論

　・日本がファイブ・アイズの「第6の目」となる可能性は存在するが、短期間での加盟は困難。
　・地政学的リスクが高まる中、情報共有や安全保障協力を深めることが現実的な選択肢。
　・国内外の課題を解決しつつ、地域安全保障の要としての役割を果たすことが期待される。

【参考】

　☞ SIGINT(Signals Intelligence、信号諜報)は、通信や電子信号を収集・解析することで得られる情報を指す諜報活動の一分野である。主に以下のような内容が含まれる。

　SIGINTの分類

　1.COMINT(Communications Intelligence、通信諜報)

　・電話、無線通信、インターネット通信などの傍受を通じて得られる情報。
　・例：敵対国の軍事指令、外交交渉、犯罪組織の通信解析。

　2.ELINT(Electronic Intelligence、電子諜報)

　・レーダーや信号装置など、非通信信号の収集・解析。
　・例：航空機や船舶のレーダー信号、ミサイル試験中の電子波形。

　3.FISINT(Foreign Instrumentation Signals Intelligence、外国装置信号諜報)

　・ミサイルや航空機のテレメトリー（遠隔測定信号）など、特定装置から発信される信号の解析。
　・例：敵国の兵器試験の監視。

　SIGINTの目的

　・敵対国の動向や計画を早期に把握し、政策や軍事行動に活かす。
　・テロリストや犯罪組織の活動を特定・追跡。
　・戦場での部隊配置や行動を監視・支援。

　利用技術

　1.傍受装置

　・地上、海上、航空、宇宙に設置されたアンテナやセンサーを用いて信号を収集。

　2.解析ソフトウェア

　・暗号化通信の解読や信号パターンの解析に用いられる。

　3.人工知能(AI)

　・膨大なデータを迅速に分類し、重要情報を抽出する役割を果たす。

　ファイブ・アイズとSIGINT

　1.ファイブ・アイズはSIGINTを中心に情報を収集・共有する枠組み。
　
　・例：ECHELON(エシュロン)システムを活用し、通信傍受を世界規模で実施。

　2.日本がこの枠組みに加わる場合、通信・電子諜報の運用能力や管理基準の向上が求められる。

　SIGINTは現代の安全保障における中心的な役割を果たしており、技術の進展に伴い、その重要性は増し続けている。

【参考はブログ作成者が付記】

【引用・参照・底本】

ファイブ・アイズの『第６の目』に日本はなるか？ sputnik 日本 2024.11.25
https://sputniknews.jp/20241125/19350325.html

【概要】
　
　ロシアの軍事専門家であり、防空史に詳しいユーリ・クヌートフ氏は、2024年11月19日にブリャンスク州で行われたATACMSミサイルによる攻撃について、次のように述べている。この攻撃は、米国がウクライナに対してロシア領内へのミサイル攻撃を許可したことを意味しており、事実上、米国がロシアに対して宣戦布告を行ったに等しいという。

　クヌートフ氏によれば、バイデン政権と米国防総省が公式にはウクライナ政府にロシア領内へのミサイル攻撃を許可したとは認めていない。このような態度は、形式的な宣戦布告を避けようとする意図があると分析している。また、これを米国、フランス、英国の三国によるロシアに対する事実上の戦争計画の一環として位置づけている。フランスと英国もまた、ウクライナにそれぞれの長距離ミサイルである「スカルプ」および「ストームシャドウ」をロシア領内で使用することを許可する方向に動いていると述べている。

　ATACMSによる攻撃に関連して、同氏はこれらのミサイルがロシアの防空システムにとって迎撃が難しい標的であると警告している。特に、これらのミサイルの多くがクラスター弾頭を搭載しているため、迎撃が成功しても弾頭が爆発し、クラスター子弾が広範囲に散らばることで追加の被害が生じる危険性がある。

　一方で、クヌートフ氏はロシアの防空システムが一定の成功を収めている点も強調している。例えば、S-400防空システムはATACMSに対して高い迎撃率を誇り、「パーンツィリ」防空システムもまた無人機や戦術ミサイルを迎撃する能力があり、これらの脅威に効果的に対処していると述べている。

　さらに、ロシアの防衛産業は、防空システムを改良することでATACMSのような脅威に対抗する能力を向上させている。ミサイルの飛行に関する遠隔測定データを収集し、それを防空システムのソフトウェア改良に活用することで、迎撃能力のさらなる向上を目指している。

【詳細】

　2024年11月19日に、ウクライナがロシアのブリャンスク州に対してATACMSミサイル攻撃を行った。この攻撃に対し、ロシアの軍事専門家であるユーリ・クヌートフ氏は、米国がウクライナに対しロシア領内へのミサイル攻撃を許可したことは事実上、米国がロシアに宣戦布告したに等しいと述べた。

　クヌートフ氏の見解によると、米国がウクライナに対しロシア領内への攻撃を許可したことは、形式的には宣戦布告を避けるために非公式の形で行われたものであり、これにより米国はロシアと直接的な戦争を回避しようとした。米国、フランス、英国の三カ国が協力して、ロシアに対する事実上の戦争を企図しているという見解も示している。フランスと英国は、ウクライナにそれぞれ「スカルプ」ミサイル(フランス製の長距離巡行ミサイル)および「ストームシャドウ」ミサイル(英国製の長距離巡行ミサイル)を提供し、これらのミサイルをロシア領土内で使用することを許可する方向に動いていると報告されている。

　ATACMSミサイルは、ロシアの防空システムにとって非常に厄介な脅威であると、クヌートフ氏は警告している。ATACMSミサイルは多くがクラスター弾頭を搭載しており、もしミサイルが迎撃された場合でも、その爆発によってクラスター子弾が周囲に散乱し、広範囲にわたって損害を与える可能性がある。これにより、ミサイルが撃墜されても、依然として多くの被害を生じるリスクが存在する。

　ロシアは、このような脅威に対応するため、先進的な防空システムを開発している。クヌートフ氏は、ロシアのS-400防空システムがATACMSに対してかなりの成功を収めていると述べている。S-400は、高速で機動性の高い目標を効果的に迎撃する能力を持っており、ATACMSミサイルに対しても迎撃能力を発揮している。また、ロシアの「パーンツィリ」防空システムも、無人機や戦術ミサイルを迎撃する能力を有しており、ATACMSのようなミサイルに対しても有効に機能しているとされている。

　さらに、ロシアの防衛産業は、防空システムの性能をさらに向上させるために、絶え間ない改良を加えている。ATACMSのようなミサイルの飛行に関する遠隔測定データを蓄積し、そのデータを基に防空システムのソフトウェアを改良することで、ミサイル迎撃能力を強化している。これにより、ロシアはATACMSのような新たな脅威に対する対応力を高めている。

　クヌートフ氏は、これらの技術的改良により、ロシアの防空システムは、ATACMSのようなミサイルやその他の高度な脅威に対する迎撃能力を高めつつあると結論づけている。
　
【要点】　　
　
　1.ATACMSミサイル攻撃(2024年11月19日)

　・ウクライナがロシアのブリャンスク州に対してATACMSミサイル攻撃を実施。
　・ロシアの軍事専門家ユーリ・クヌートフ氏は、この攻撃が米国による事実上の宣戦布告に等しいと述べている。

　2.米国の関与

　・米国は公式にウクライナにロシア領内へのミサイル攻撃を許可したことを認めていないが、クヌートフ氏は、これは形式的な宣戦布告回避のためだと指摘。
　・米国、フランス、英国が協力してロシアに対する戦争計画を進めているとする見解。
フランスと英国の動き

　3.フランスは「スカルプ」、英国は「ストームシャドウ」をウクライナに提供し、これらのミサイルをロシア領土内で使用することを許可する方向に動いている。

　4.ATACMSミサイルの脅威

　・ATACMSミサイルはクラスター弾頭を搭載しており、迎撃されても弾頭が爆発し、クラスター子弾が広範囲に散布される可能性がある。
　・迎撃失敗時にも広範囲に被害が及ぶリスクがある。

　5.ロシアの防空能力

　・ロシアのS-400防空システムは、ATACMSミサイルに対して高い迎撃能力を発揮している。
　・「パーンツィリ」防空システムは、無人機や戦術ミサイルにも効果的であり、ATACMSを迎撃する能力がある。

　6.防空システムの改良

　・ロシアの防衛産業は、ATACMSのようなミサイルに対応するため、防空システムを継続的に改良している。
　・ミサイル飛行データを蓄積し、防空システムのソフトウェアを改良して迎撃能力を向上させている。

　結論

　・ロシアの防空システムは、ATACMSなどの高度な脅威に対する迎撃能力を強化しているとクヌートフ氏は述べている。

【引用・参照・底本】

宣戦布告と変わりない　ロシアへのATACMS攻撃＝ 露軍事専門家 sputnik 日本 2024.11.22
https://sputniknews.jp/20241125/19350325.html

【桃源寸評】

　まぁ、吠えるだけ吠えろ、トランプよ。
　<肉を切らせて骨を切る>積りが、肉は削ぎ取られ、骨は砕け散ることになるかもしれないのだ。

　徐々に等身大の墓穴が掘られるか。

　世界は米国無しでも既に遣っていける時代に突入している。

　<夜郎自大>な振る舞いかも知れないのだ。

　恐らく泣き付く先は中国となるか。

　既に同盟国、つまり、米国の共食いの相手は、落ちぶれつつある。

【寸評　完】

【概要】
　
　2024年11月26日、ドナルド・トランプ氏は自身のSNS上で、来年1月に就任する際、メキシコとカナダからの全ての輸入品に一律25%の関税を課す方針を示した。また、中国からの輸入品には、現行の関税に加えて10%の追加関税を課すと発表した。トランプ氏は、この関税はフェンタニルやその他の麻薬、さらに違法移民の米国への流入が止まるまで維持されると強調した。

　トランプ氏は選挙戦でも、中国からの全ての輸入品に60%の関税を課す方針を述べ、他にも自国産業を保護するための関税導入を公約に掲げていた。米国は現在、カナダとメキシコとの間で北米自由貿易協定(NAFTA)を結んでおり、関税が実施されれば、特にメキシコの工場で生産され、米国市場向けに輸出されている日本企業にも影響を与える可能性がある。

　この発表を受けて、2024年11月26日の日経平均株価は一時、前日終値より約760円安の3万8020円まで下落したが、その後回復し、最終的には338円安の3万8442円で取引を終えた。

【詳細】

　2024年11月26日、ドナルド・トランプ氏は自身のSNSで、次期大統領としての就任初日に、メキシコとカナダからの全ての輸入品に一律25%の関税を課す方針を発表した。これは、トランプ氏が掲げる保護主義的な貿易政策の一環であり、特に麻薬の流入と違法移民問題に対応するための手段として位置付けられている。トランプ氏は、フェンタニルなどの麻薬と、米国への違法移民の流入が止まるまで、これらの関税は維持されると強調した。

　また、トランプ氏は中国からの輸入品に対して、現在の関税にさらに10%の追加関税を課す方針も発表した。中国に対する強硬な貿易政策は、選挙戦でも言及されており、トランプ氏は中国からの全ての輸入品に最大60%の関税を課す意向を示していた。このような発言は、トランプ氏が米国の製造業を守るために、自国の経済を重視する政策を推進していることを反映している。

　トランプ氏のこの発表が実際に実施されれば、特にカナダとメキシコとの間で結ばれている北米自由貿易協定(NAFTA)の枠組みが大きな影響を受けることになる。NAFTAは、米国、カナダ、メキシコの間で関税を撤廃し、貿易を自由化することを目的としているが、トランプ氏が関税を再導入すれば、協定の根本的な部分が変更されることになる。

　また、トランプ氏がカナダやメキシコからの輸入品に関税を課すことによって、メキシコに拠点を構え、米国向けに製品を製造・輸出している日本企業にも影響を与える可能性がある。日本企業の多くは、コスト削減や貿易面での利便性から、メキシコの工場で製造された製品を米国市場に供給しており、関税が新たに課されれば、そのコストが増加し、競争力に影響を与える可能性がある。

　トランプ氏の発表を受けて、2024年11月26日の日経平均株価は一時的に大きく下落した。午後の取引で、日経平均は前日終値より約760円安い3万8020円まで下落したが、その後一部回復し、最終的には338円安の3万8442円で取引を終えた。この株価の下落は、特に貿易政策に対する不安から生じたもので、米国の貿易戦争が再燃することへの懸念や、関税政策が世界経済に及ぼす影響を巡る不確実性が反映されていると考えられる。
　
【要点】　　
　
　1.トランプ氏の発表内容

　・2024年1月の就任初日に、メキシコとカナダからの全ての輸入品に一律25%の関税を課す方針を発表。
　・中国からの輸入品には、現行関税に10%の追加関税を課す。
　・関税は、フェンタニルなどの麻薬の流入と、米国への違法移民の侵入が止まるまで維持される。

　2.背景と目的

　・メキシコとカナダへの関税導入は、麻薬流入と移民問題に対する対応策として位置づけられている。
　・選挙戦での公約として、中国からの全ての輸入品に最大60%の関税を課す意向を示していた。

　3.北米自由貿易協定(NAFTA)への影響

　・米国は現在、カナダとメキシコとNAFTAを締結しており、関税導入はこの協定に重大な影響を与える可能性がある。

　4.日本企業への影響

　・メキシコの工場で生産し、米国市場に輸出している日本企業にとって、関税の導入はコスト増加や競争力の低下を招く恐れがある。

　5.日経平均株価への影響

　・トランプ氏の発表を受け、日経平均株価は一時、前日終値より約760円安の3万8020円まで下落。
　・その後、一部回復し、最終的には338円安の3万8442円で取引を終えた。
　・株価の下落は、貿易戦争再燃への懸念や関税政策が世界経済に与える不確実性を反映している。

【引用・参照・底本】

トランプ氏、中加墨を関税で脅す　日経平均も一時下落 sputnik 日本 2024.11.26
https://sputniknews.jp/20241126/19354127.html

【概要】
　
　2024年11月26日、林芳正官房長官は、共同通信が生稲晃子外務政務官に関する誤報についてコメントした。この誤報は、2022年8月15日に生稲政務官が靖国神社を参拝したとする内容で、共同通信はその記事を訂正した。林官房長官は、「事実に基づかない報道がなされたこと、誤った報道が佐渡金山追悼式について混乱を生じさせたことは遺憾である」と述べ、政府として共同通信に対して事実関係や経緯の説明を求める考えを示した。

　この誤報は内外メディアで広まり、影響を与えた。共同通信は、訂正記事の中で、この誤報が日韓外交に影響を及ぼした可能性があると認めている。誤報が拡散された背景には、新潟県佐渡市で行われた「佐渡島の金山」における労働者追悼式があり、この式典には韓国政府関係者や韓国人遺族が参加する予定だったが、最終的に出席しなかった。韓国外務省は、生稲政務官が過去に靖国神社を参拝したことが欠席の理由だと指摘した。

　しかし、生稲政務官はその後、「議員就任後に靖国神社に参拝した事実はない」と反論し、共同通信は25日に訂正記事を発表した。この訂正は、取材時に生稲政務官本人への確認を行わずに記事を発信したことが原因であったと説明されている。

　林官房長官は、現下の日韓間の戦略的環境において両国が緊密に連携することが双方の利益にとって重要であり、難しい問題があっても引き続き意思疎通を進めていくべきだと強調した。

【詳細】

　2024年11月26日、林芳正官房長官は、共同通信が生稲晃子外務政務官に関する誤報についてコメントを発表した。この誤報は、共同通信が2022年8月15日に生稲政務官が靖国神社を参拝したと報じたことに関連しているが、実際には生稲政務官がそのような参拝を行っていなかったことが後に明らかになった。

　林官房長官は、今回の誤報について「事実に基づかない報道がなされたこと、誤った報道が佐渡金山追悼式に関して混乱を生じさせたことは遺憾である」と表明した。誤報により生じた混乱が、特に日韓関係において影響を及ぼしたことを問題視している。林官房長官は、政府として共同通信に対して、誤った報道の事実関係やその経緯についての説明を求めると述べ、適切な対応を促した。

　この誤報が広まった背景には、2024年11月24日に新潟県佐渡市で開催された「佐渡島の金山」に関する追悼式がある。この追悼式は、朝鮮半島出身者を含む労働者を追悼するもので、韓国側からも政府関係者や遺族の参加が予定されていた。しかし、式典には韓国政府関係者や韓国人遺族の出席がなかった。このことを受け、韓国の外交当局は生稲政務官が靖国神社に参拝したことが欠席の理由だと指摘し、メディアもこれを報じた。

　しかし、実際には生稲政務官はその後、「議員就任後に靖国神社に参拝した事実はない」と明言し、誤報を否定した。共同通信はこの発言を受けて、25日に訂正記事を発表した。訂正記事の中で、共同通信は誤報が生じた原因として、生稲政務官本人に対する取材がなされなかったことを挙げ、取材不足を認めた。

　この誤報に対して林官房長官は、日韓間の緊密な連携が現下の戦略環境において両国の利益にとって重要であることを強調した。日韓間には多くの難しい問題が存在するものの、両国が引き続き緊密に意思疎通を行い、相互理解を深めていくことが求められるとの立場を示した。
　
【要点】　　
　
　・誤報の内容: 共同通信が、生稲晃子外務政務官が2022年8月15日に靖国神社を参拝したと報じた。
　・訂正の発表: 生稲政務官は「議員就任後に靖国神社に参拝した事実はない」と反論。共同通信は25日に訂正記事を発表。
　・林官房長官のコメント

　　⇨ 「事実に基づかない報道がなされたこと、誤った報道が佐渡金山追悼式について混乱を生じさせたことは遺憾」
　　⇨ 政府として共同通信に事実関係や経緯の説明を求める。

　・誤報の影響: 誤報が日韓外交に影響を与え、韓国政府は生稲政務官の参拝が欠席の理由だと指摘。
　・佐渡金山追悼式: 2024年11月24日、新潟県佐渡市で朝鮮半島出身者を含む労働者の追悼式が行われた。韓国側の出席者は欠席。
　・訂正の理由: 共同通信は、生稲政務官への確認取材を行わず記事を発信したことが誤報の原因であると説明。
　林官房長官の立場: 日韓が緊密に連携し、引き続き意思疎通を進めることが重要であると強調。

【引用・参照・底本】

共同通信の誤報に「混乱生じさせ遺憾」＝林官房長官 sputnik 日本 2024.11.26
https://sputniknews.jp/20241126/19353997.html

おニャン子政務官、日韓関係を損なう？「靖国は参拝してない」 sputnik 日本 2024.11.25
https://sputniknews.jp/20241125/19351340.html

「新潟県佐渡市で24日、「佐渡島の金山」の朝鮮半島出身者を含めた労働者の追悼式が行われたものの、参加予定だった韓国政府関係者や韓国人遺族は出席しなかった。」

「韓国メディアの報道についても触れ、「生稲政務官は参議院議員就任後に靖国神社を参拝した事実はないと承知をしている。報道を受けて日本側から韓国側に対し事実関係を説明した」と述べた。」

「生稲政務官は2022年の参院選で初当選。旧安倍派「5人衆」の萩生田光一経産相（当時）の全面支援を受け、旧統一教会（現・世界平和統一家庭連合）の関連施設を回っていた。一部報道によると、当選から1カ月後の8月15日、生稲氏は当時、萩生田氏らと総勢20人超で靖国参拝したとのこと。」

【概要】
　
　2024年11月26日、パキスタンの首都イスラマバードで、収監中のイムラン・カーン元首相の解放を求めるデモ隊と治安当局が衝突した。現地メディアによれば、これまでのところ少なくとも6人が死亡したと報じられており、その中には警察官4人と市民1人が含まれているという。

　デモは24日から全国各地で始まり、カーン元首相の支持者らは彼を政治犯として解放を求めるとともに、今年2月に行われた総選挙の見直しも訴えている。カーン氏は汚職や国家機密漏洩などの罪で起訴され、現在も収監中である。

　今回の大規模衝突を受けて、政府は首都に軍部隊を展開し、インターネットなどの通信規制を導入して混乱の収束を目指している。

【詳細】

　2024年11月26日、パキスタンの首都イスラマバードで、収監中のイムラン・カーン元首相の解放を求めるデモ隊と治安当局との間で大規模な衝突が発生した。このデモはカーン元首相を支持する人々によって行われ、彼の解放と今年2月に行われた総選挙の見直しを要求するものである。

　背景
　
　イムラン・カーン元首相は、パキスタンの政治家であり、過去に同国の首相を務めた人物である。彼は汚職や国家機密漏洩などの罪で起訴され、現在も収監中である。彼の支持者たちは、彼の投獄が政治的な動機によるものであり、彼を政治犯と見なして解放を求めている。さらに、カーン氏の支持者らは、2024年2月に実施された総選挙の結果を見直すべきだと主張している。

　26日の衝突

　デモは24日から始まり、段階的に規模を拡大していた。26日には、首都イスラマバードで治安当局とデモ隊の間で衝突が発生し、これが大規模化した。現地の報道によれば、衝突により少なくとも6人が死亡し、そのうち4人は警察官、1人は市民であるという。さらに数十人が負傷したとされており、衝突は激化している。

　政府の対応

　衝突を受けて、パキスタン政府は首都に軍部隊を派遣し、治安維持に努めている。また、デモの影響を最小限に抑えるため、インターネットや通信の規制が導入された。これにより、情報の流通が制限され、デモ隊の連携に影響を与えることを目指している。

　カーン元首相の訴え

　イムラン・カーン元首相は、汚職や国家機密漏洩などの罪で起訴されているが、彼の支持者たちはその起訴を政治的な迫害と見なしており、カーン氏の解放を求める声が高まっている。さらに、カーン氏は選挙の公正性についても疑問を呈し、2024年2月に行われた総選挙の結果を見直すべきだと主張している。このため、デモ隊は単にカーン氏の解放を求めるだけでなく、選挙制度の改革をも要求している。

　結　論

　このデモと衝突は、パキスタンの政治的な緊張を象徴する出来事であり、今後の政治情勢に大きな影響を与える可能性がある。政府は治安の回復を図る一方で、カーン元首相の支持者たちの要求は収束する気配を見せていない。
　
【要点】　　
　
　1.背景

　・イムラン・カーン元首相は汚職や国家機密漏洩などで起訴され、現在収監中。
　・彼の支持者は、カーン氏を政治犯として解放を求め、今年2月の総選挙の見直しを訴えている。

　2.デモの発端

　・デモは2024年11月24日に全国で始まる。
　・カーン元首相の解放と総選挙結果の見直しが要求されている。

　3.26日の衝突

　・11月26日、イスラマバードで治安当局とデモ隊の間で大規模な衝突が発生。
　・衝突により少なくとも6人が死亡（警察官4人、市民1人）。
　・数十人が負傷。

　4.政府の対応

　・政府は軍部隊を首都に派遣し、治安維持に努めている。
　・インターネットや通信規制を導入して混乱の収束を図る。

　5.カーン元首相の訴え

　・カーン氏は、汚職の罪で起訴されたが、支持者は政治的迫害だと考えている。
　・デモ隊はカーン氏の解放と総選挙結果の見直しを求めている。

　6.今後の展開

　・デモと衝突は続いており、政治的緊張が高まっている。

【引用・参照・底本】

パキスタン、デモ隊と治安当局が衝突　首都に軍も出動 sputnik 日本 2024.11.26
https://sputniknews.jp/20241126/19354441.html