トランプ、マスクを傍観することはしない ― 2025年04月05日 10:29
【概要】
マイケル・ムーアによる2025年4月5日付のメッセージ「Get Up! Get Out! Get in the Streets! Mass Protests Saturday Near You!」およびその一部「Michael Moore Presents: PORTRAITS OF POTUS—America’s Art Attack for Democracy.(Part 2)」の内容である。
友人たちへ
ドナルド・トランプのポートレート第2弾を紹介する前に、まずは明日、2025年4月5日(土)に予定されている歴史的な出来事について述べる。
アメリカ全土での大規模抗議デモ!
抗議デモの開催場所を知りたい者は、以下のリンクを確認せよ。
・https://www.fiftyfifty.one
・https://handsoff2025.com
明日、トランプは「1.61%という僅差で勝利した」ことの意味を思い知ることになる。この数字は「信任」ではなく、「国民のほぼ半数以上が街頭に出てその政治を止めようとしている」という現実を意味している。
我々は無視されない。沈黙しない。トランプ、マスク、そして「愚者の連合(あるいは南軍の連合?)」が、社会保障を破綻させ、経済を混乱させ、メディケアとメディケイドを破壊し、教師を支える予算を削減し、社会の安全網を崩壊させ、学生を攻撃し、移民を強制送還しようとするのを、傍観することはしない。
すべての者が街に出なければならない。抗議の場はほとんどすべての人が車で1〜2時間以内(あるいは徒歩圏内)にある。アメリカのすべての主要都市、すべての主要な町で抗議が行われる。アラスカの村々からニューイングランドの小村、南部の郡庁所在地から中西部の町役場に至るまで、この抗議行動は全土に広がる。
行動せよ。
ポスターボードを持ち、看板を作り、あるいは以下に紹介するトランプのポートレートを印刷して段ボールに貼りつけてもよい。我々は、世界中に届くほどの大きな声で、あらゆる場所で声を上げねばならない。地元メディア(まだ存在する場所において)はこの出来事を報じ、全国メディアもこれに続かざるを得なくなる。
今すぐ抗議場所を確認せよ。
友人に電話し、計画を立て、子どもを連れて、街頭に出よう。
我々を救うべき立場の者たちが何もしていないように見えるが、それはいつものことだ。我々はこれまでそうしてきたように、自分たち自身の力で、そして共に、行動を起こすしかない。我々の方が、彼らよりも多い。この事実を忘れてはならない。
そして、約束通り…
大統領トランプのポートレート第2弾を紹介する。
読者が送ってきた作品の中には、極めて創造的で丁寧なものが多数あった。先週、トランプ本人が「自分の写りの悪い写真は誰だって嫌だ」とツイートし、新しいポートレートを求めていたが、それに応じて多くの作品が寄せられた。まだすべてに目を通せていないが、今回はさらに30点以上の作品を紹介する。
これらは、「自らをドナルドと呼ぶ男」あるいは「ドナルドと呼ばれる“男”」に捧げられた、彼の「窮地」における芸術的表現である。
Michael Moore Presents: PORTRAITS OF POTUS—America’s Art Attack for Democracy.(Part 2)
(マイケル・ムーアによる「大統領の肖像」第2部 ― 民主主義のためのアートアタック)
このメッセージは、抗議への参加を呼びかけると同時に、トランプ大統領に対する皮肉的な芸術活動を紹介する内容で構成されている。ムーアは、草の根的な市民の行動を促すことに主眼を置きつつ、その過程における創造的な表現をも推奨している。
【詳細】
マイケル・ムーアが2025年4月5日付で発表したメッセージ「Get Up! Get Out! Get in the Streets!」および「Michael Moore Presents: PORTRAITS OF POTUS — America’s Art Attack for Democracy(Part 2)」について、詳述する
1.メッセージの全体構成と目的
このメッセージは、2つの大きな柱によって構成されている。
(1)2025年4月5日(土)に予定される全米規模の抗議デモへの参加呼びかけ
(2)トランプ元大統領に対する風刺的な肖像画企画の紹介(第2弾)
マイケル・ムーアは、アメリカ国内における政治的不満、特にドナルド・トランプの復権を阻止するための大衆行動を促している。また、トランプに対する風刺的表現を通じて、政治的な反対意見を芸術という形で可視化・共有することを意図している。
2.抗議呼びかけの背景とレトリック
ムーアは、「トランプが選挙でわずか1.61%差で勝利した」という事実を取り上げ、この数字が「民意の全面的な支持」を示すものではなく、「分断された国家」を象徴していると強調する。そしてその「薄氷の勝利」に対して、民衆が即座に路上で行動を起こすことで、民主主義の健全性を保とうと訴えている。
彼は次のような政策への懸念を列挙する。
・社会保障制度(Social Security)の破壊
・経済政策の失敗による国の混乱
・高齢者・貧困層を支えるメディケアおよびメディケイドの廃止
・教育分野(教員支援)の予算削減
・社会的セーフティネットの解体
・大学の学生に対する攻撃(奨学金削減、学費負担増などを示唆)
・移民への強制送還政策
これらの政策がもたらす悪影響は、単なる政治の問題ではなく、「人々の生活そのものを脅かす脅威」であるとムーアは位置づけている。
呼びかけの手法
彼の呼びかけは、以下のように具体的かつ行動指向的である。
・地理的に身近である:抗議は「1~2時間圏内」または「数ブロック先」で行われるとし、行動のハードルを下げている。
・全米的である:都市から農村、北端のアラスカから南部の郡まで、「全米規模」で同時多発的に行われることを強調している。
・家族ぐるみの参加を推奨している:子どもを連れていくことも勧めており、市民的不服従が生活の一部であるという教育的意図も含まれている。
・手製のポスター・アートの活用:抗議行動に個人の表現力を加えることが推奨されている(後述のポートレート企画と連動する)。
3.「ポートレート・オブ・POTUS」企画の位置づけ
メッセージの後半では、トランプの風刺肖像画を紹介するシリーズ「PORTRAITS OF POTUS — America’s Art Attack for Democracy」の第2弾が展開されている。この企画は、単なるアートイベントではなく、政治的風刺と国民の創造的抵抗の象徴として機能している。
起点
この風刺企画は、トランプ本人が「自分の写真写りが悪い」とX(旧Twitter)で不満を述べたことをきっかけに始まった。ムーアはこれを逆手に取り、トランプの人物像を再構成する風刺的肖像を市民から募集している。
内容のトーン
「彼の“窮地”におけるアート的救済」「“誰にも好かれない”写真からの脱却を試みる哀れな男」など、言葉の端々に皮肉が込められている。ムーアは直接的な侮蔑を避けながらも、芸術を用いた批評的表現によってトランプへの異議申し立てを行っている。
4.言葉の使い方とメディア戦略
この文章は以下のような特徴的なレトリックによって構成されている。
(1)比喩・言葉遊びの多用
・「Confederacy of dunces(愚者の連合)」は、ジョン・ケネディ・トゥールの小説のタイトルを借りた皮肉表現であり、そこに「Confederacy(南軍連合)」というアメリカ内戦期の南部象徴も掛けている。
(2)音韻の繰り返しやリズム重視の見出し
・「Get Up! Get Out! Get in the Streets!」という連呼的タイトルが、群衆の意識を高揚させ、行動へ導く構成になっている。
(3)草の根メディア戦略
・「地元メディアが報道し、全国メディアも無視できなくなる」という段階的情報伝播モデルが意識されている。
5.まとめ
マイケル・ムーアのこのメッセージは、単なる「反トランプの政治的声明」ではなく、以下を含む包括的な大衆運動の一環である。
・市民一人一人の行動を促す現場レベルの抗議呼びかけ
・芸術を用いた抵抗の文化的可視化
・地元から全国へと広がる草の根の情報戦略
・トランプのパーソナリティと発言を逆手に取った、ユーモアと皮肉に満ちた反撃
その基調にあるのは、「我々がやらねば誰もやってくれない」という自己責任と共同行動の精神である。ムーアは、あらゆる手段を通じて民主主義の力を再確認しようとしており、それを現実の行動と創造的な表現とで結びつけている。
【要点】
1.全体構成について
本メッセージは以下の二部構成である・
① 2025年4月5日(土)に予定されている全米規模の抗議デモへの参加呼びかけ
② ドナルド・トランプに対する風刺肖像画企画(Part 2)の紹介
2.抗議デモの呼びかけに関する内容
・トランプが「1.61%」という僅差で選挙に勝利したことを踏まえ、「それは民意の委任(マンダート)ではない」と主張している。
・トランプ、イーロン・マスク、その他の政治勢力が次のような政策を進めていると批判している。
⇨ 社会保障制度の破壊
⇨ 経済の失速
⇨ メディケアとメディケイドの削減
⇨ 教育予算の削減
⇨ セーフティネットの破壊
⇨ 大学生への攻撃
⇨ 移民の強制送還
・こうした流れに対して、国民が路上で行動を起こす必要があると訴えている。
・抗議は全米各地(都市・町・村・郡)で行われ、ほとんどの人は徒歩または車で1〜2時間以内の距離で参加できるとしている。
・抗議の参加方法として、次のような具体的な提案がなされている:
⇨ 段ボールやポスターで手作りの看板を作る
⇨ 紹介されたウェブサイト(fiftyfifty.one、handsoff2025.com)で近隣のデモを検索する
⇨ 友人や家族を誘い、子どもを連れて街頭に出る
・メディア戦略にも言及しており、「地域のメディアが報じれば、全国メディアも無視できなくなる」としている。
・最後に「我々がやらなければ、誰も助けてくれない」と述べ、草の根の市民行動を奨励している。
3.風刺肖像画企画(PORTRAITS OF POTUS: Part 2)の紹介
・これは、トランプ本人がSNS上で「自分の写りの悪い写真は嫌だ」と発言したことをきっかけに始まった風刺アート企画である。
・ムーアは市民に向けて、「新しいポートレート」を創作して送るよう呼びかけていた。
・今回はその第2弾として、約三十数点の新たな肖像画作品を公開している。
・この企画は「トランプが自ら求めた“新たな肖像画”」という設定を逆手にとったものであり、芸術表現を通じて政治批判を行う形式である。
・「アメリカの民主主義のための芸術攻撃(Art Attack)」と称され、風刺と創造性を両立させた市民参加型運動の一環である。
4.レトリックやスタイルの特徴
・「Confederacy of dunces(愚者の連合)」など、文学的・政治的な皮肉を込めた表現が用いられている。
・短くリズミカルな見出し「Get Up! Get Out! Get in the Streets!」は、参加意欲を喚起するスローガンとして機能している。
・「地元メディア→全国メディア」という段階的情報戦略を提示しており、草の根メディアの力を重視している。
・個々の創造性(手作りポスターや風刺画)を、政治的メッセージの拡散手段として活用している。
5.総括的な意図
・本メッセージは、制度的手段ではなく市民の直接行動(抗議と芸術)によって政治的変革を促すものである。
・トランプ政権への批判と抵抗の姿勢を明確に打ち出しつつ、読者を当事者として行動へと巻き込む構成になっている。
・ムーアは「数の力(There are more of us than there are of them)」を繰り返し強調し、参加者に自信と希望を与えている。
【参考】
☞ 添付の画像は 「Get Up! Get Out! Get in the Streets! Mass Protests Saturday Near You! Michael Moore」の中でのものから選んだ2枚である。
【参考はブログ作成者が付記】
【引用・参照・底本】
Get Up! Get Out! Get in the Streets! Mass Protests Saturday Near You! Michael Moore 2025.04.05
https://www.michaelmoore.com/p/get-up-get-out-get-in-the-streets?utm_source=post-email-title&publication_id=320974&post_id=160598942&utm_campaign=email-post-title&isFreemail=true&r=2gkj&triedRedirect=true&utm_medium=email
マイケル・ムーアによる2025年4月5日付のメッセージ「Get Up! Get Out! Get in the Streets! Mass Protests Saturday Near You!」およびその一部「Michael Moore Presents: PORTRAITS OF POTUS—America’s Art Attack for Democracy.(Part 2)」の内容である。
友人たちへ
ドナルド・トランプのポートレート第2弾を紹介する前に、まずは明日、2025年4月5日(土)に予定されている歴史的な出来事について述べる。
アメリカ全土での大規模抗議デモ!
抗議デモの開催場所を知りたい者は、以下のリンクを確認せよ。
・https://www.fiftyfifty.one
・https://handsoff2025.com
明日、トランプは「1.61%という僅差で勝利した」ことの意味を思い知ることになる。この数字は「信任」ではなく、「国民のほぼ半数以上が街頭に出てその政治を止めようとしている」という現実を意味している。
我々は無視されない。沈黙しない。トランプ、マスク、そして「愚者の連合(あるいは南軍の連合?)」が、社会保障を破綻させ、経済を混乱させ、メディケアとメディケイドを破壊し、教師を支える予算を削減し、社会の安全網を崩壊させ、学生を攻撃し、移民を強制送還しようとするのを、傍観することはしない。
すべての者が街に出なければならない。抗議の場はほとんどすべての人が車で1〜2時間以内(あるいは徒歩圏内)にある。アメリカのすべての主要都市、すべての主要な町で抗議が行われる。アラスカの村々からニューイングランドの小村、南部の郡庁所在地から中西部の町役場に至るまで、この抗議行動は全土に広がる。
行動せよ。
ポスターボードを持ち、看板を作り、あるいは以下に紹介するトランプのポートレートを印刷して段ボールに貼りつけてもよい。我々は、世界中に届くほどの大きな声で、あらゆる場所で声を上げねばならない。地元メディア(まだ存在する場所において)はこの出来事を報じ、全国メディアもこれに続かざるを得なくなる。
今すぐ抗議場所を確認せよ。
友人に電話し、計画を立て、子どもを連れて、街頭に出よう。
我々を救うべき立場の者たちが何もしていないように見えるが、それはいつものことだ。我々はこれまでそうしてきたように、自分たち自身の力で、そして共に、行動を起こすしかない。我々の方が、彼らよりも多い。この事実を忘れてはならない。
そして、約束通り…
大統領トランプのポートレート第2弾を紹介する。
読者が送ってきた作品の中には、極めて創造的で丁寧なものが多数あった。先週、トランプ本人が「自分の写りの悪い写真は誰だって嫌だ」とツイートし、新しいポートレートを求めていたが、それに応じて多くの作品が寄せられた。まだすべてに目を通せていないが、今回はさらに30点以上の作品を紹介する。
これらは、「自らをドナルドと呼ぶ男」あるいは「ドナルドと呼ばれる“男”」に捧げられた、彼の「窮地」における芸術的表現である。
Michael Moore Presents: PORTRAITS OF POTUS—America’s Art Attack for Democracy.(Part 2)
(マイケル・ムーアによる「大統領の肖像」第2部 ― 民主主義のためのアートアタック)
このメッセージは、抗議への参加を呼びかけると同時に、トランプ大統領に対する皮肉的な芸術活動を紹介する内容で構成されている。ムーアは、草の根的な市民の行動を促すことに主眼を置きつつ、その過程における創造的な表現をも推奨している。
【詳細】
マイケル・ムーアが2025年4月5日付で発表したメッセージ「Get Up! Get Out! Get in the Streets!」および「Michael Moore Presents: PORTRAITS OF POTUS — America’s Art Attack for Democracy(Part 2)」について、詳述する
1.メッセージの全体構成と目的
このメッセージは、2つの大きな柱によって構成されている。
(1)2025年4月5日(土)に予定される全米規模の抗議デモへの参加呼びかけ
(2)トランプ元大統領に対する風刺的な肖像画企画の紹介(第2弾)
マイケル・ムーアは、アメリカ国内における政治的不満、特にドナルド・トランプの復権を阻止するための大衆行動を促している。また、トランプに対する風刺的表現を通じて、政治的な反対意見を芸術という形で可視化・共有することを意図している。
2.抗議呼びかけの背景とレトリック
ムーアは、「トランプが選挙でわずか1.61%差で勝利した」という事実を取り上げ、この数字が「民意の全面的な支持」を示すものではなく、「分断された国家」を象徴していると強調する。そしてその「薄氷の勝利」に対して、民衆が即座に路上で行動を起こすことで、民主主義の健全性を保とうと訴えている。
彼は次のような政策への懸念を列挙する。
・社会保障制度(Social Security)の破壊
・経済政策の失敗による国の混乱
・高齢者・貧困層を支えるメディケアおよびメディケイドの廃止
・教育分野(教員支援)の予算削減
・社会的セーフティネットの解体
・大学の学生に対する攻撃(奨学金削減、学費負担増などを示唆)
・移民への強制送還政策
これらの政策がもたらす悪影響は、単なる政治の問題ではなく、「人々の生活そのものを脅かす脅威」であるとムーアは位置づけている。
呼びかけの手法
彼の呼びかけは、以下のように具体的かつ行動指向的である。
・地理的に身近である:抗議は「1~2時間圏内」または「数ブロック先」で行われるとし、行動のハードルを下げている。
・全米的である:都市から農村、北端のアラスカから南部の郡まで、「全米規模」で同時多発的に行われることを強調している。
・家族ぐるみの参加を推奨している:子どもを連れていくことも勧めており、市民的不服従が生活の一部であるという教育的意図も含まれている。
・手製のポスター・アートの活用:抗議行動に個人の表現力を加えることが推奨されている(後述のポートレート企画と連動する)。
3.「ポートレート・オブ・POTUS」企画の位置づけ
メッセージの後半では、トランプの風刺肖像画を紹介するシリーズ「PORTRAITS OF POTUS — America’s Art Attack for Democracy」の第2弾が展開されている。この企画は、単なるアートイベントではなく、政治的風刺と国民の創造的抵抗の象徴として機能している。
起点
この風刺企画は、トランプ本人が「自分の写真写りが悪い」とX(旧Twitter)で不満を述べたことをきっかけに始まった。ムーアはこれを逆手に取り、トランプの人物像を再構成する風刺的肖像を市民から募集している。
内容のトーン
「彼の“窮地”におけるアート的救済」「“誰にも好かれない”写真からの脱却を試みる哀れな男」など、言葉の端々に皮肉が込められている。ムーアは直接的な侮蔑を避けながらも、芸術を用いた批評的表現によってトランプへの異議申し立てを行っている。
4.言葉の使い方とメディア戦略
この文章は以下のような特徴的なレトリックによって構成されている。
(1)比喩・言葉遊びの多用
・「Confederacy of dunces(愚者の連合)」は、ジョン・ケネディ・トゥールの小説のタイトルを借りた皮肉表現であり、そこに「Confederacy(南軍連合)」というアメリカ内戦期の南部象徴も掛けている。
(2)音韻の繰り返しやリズム重視の見出し
・「Get Up! Get Out! Get in the Streets!」という連呼的タイトルが、群衆の意識を高揚させ、行動へ導く構成になっている。
(3)草の根メディア戦略
・「地元メディアが報道し、全国メディアも無視できなくなる」という段階的情報伝播モデルが意識されている。
5.まとめ
マイケル・ムーアのこのメッセージは、単なる「反トランプの政治的声明」ではなく、以下を含む包括的な大衆運動の一環である。
・市民一人一人の行動を促す現場レベルの抗議呼びかけ
・芸術を用いた抵抗の文化的可視化
・地元から全国へと広がる草の根の情報戦略
・トランプのパーソナリティと発言を逆手に取った、ユーモアと皮肉に満ちた反撃
その基調にあるのは、「我々がやらねば誰もやってくれない」という自己責任と共同行動の精神である。ムーアは、あらゆる手段を通じて民主主義の力を再確認しようとしており、それを現実の行動と創造的な表現とで結びつけている。
【要点】
1.全体構成について
本メッセージは以下の二部構成である・
① 2025年4月5日(土)に予定されている全米規模の抗議デモへの参加呼びかけ
② ドナルド・トランプに対する風刺肖像画企画(Part 2)の紹介
2.抗議デモの呼びかけに関する内容
・トランプが「1.61%」という僅差で選挙に勝利したことを踏まえ、「それは民意の委任(マンダート)ではない」と主張している。
・トランプ、イーロン・マスク、その他の政治勢力が次のような政策を進めていると批判している。
⇨ 社会保障制度の破壊
⇨ 経済の失速
⇨ メディケアとメディケイドの削減
⇨ 教育予算の削減
⇨ セーフティネットの破壊
⇨ 大学生への攻撃
⇨ 移民の強制送還
・こうした流れに対して、国民が路上で行動を起こす必要があると訴えている。
・抗議は全米各地(都市・町・村・郡)で行われ、ほとんどの人は徒歩または車で1〜2時間以内の距離で参加できるとしている。
・抗議の参加方法として、次のような具体的な提案がなされている:
⇨ 段ボールやポスターで手作りの看板を作る
⇨ 紹介されたウェブサイト(fiftyfifty.one、handsoff2025.com)で近隣のデモを検索する
⇨ 友人や家族を誘い、子どもを連れて街頭に出る
・メディア戦略にも言及しており、「地域のメディアが報じれば、全国メディアも無視できなくなる」としている。
・最後に「我々がやらなければ、誰も助けてくれない」と述べ、草の根の市民行動を奨励している。
3.風刺肖像画企画(PORTRAITS OF POTUS: Part 2)の紹介
・これは、トランプ本人がSNS上で「自分の写りの悪い写真は嫌だ」と発言したことをきっかけに始まった風刺アート企画である。
・ムーアは市民に向けて、「新しいポートレート」を創作して送るよう呼びかけていた。
・今回はその第2弾として、約三十数点の新たな肖像画作品を公開している。
・この企画は「トランプが自ら求めた“新たな肖像画”」という設定を逆手にとったものであり、芸術表現を通じて政治批判を行う形式である。
・「アメリカの民主主義のための芸術攻撃(Art Attack)」と称され、風刺と創造性を両立させた市民参加型運動の一環である。
4.レトリックやスタイルの特徴
・「Confederacy of dunces(愚者の連合)」など、文学的・政治的な皮肉を込めた表現が用いられている。
・短くリズミカルな見出し「Get Up! Get Out! Get in the Streets!」は、参加意欲を喚起するスローガンとして機能している。
・「地元メディア→全国メディア」という段階的情報戦略を提示しており、草の根メディアの力を重視している。
・個々の創造性(手作りポスターや風刺画)を、政治的メッセージの拡散手段として活用している。
5.総括的な意図
・本メッセージは、制度的手段ではなく市民の直接行動(抗議と芸術)によって政治的変革を促すものである。
・トランプ政権への批判と抵抗の姿勢を明確に打ち出しつつ、読者を当事者として行動へと巻き込む構成になっている。
・ムーアは「数の力(There are more of us than there are of them)」を繰り返し強調し、参加者に自信と希望を与えている。
【参考】
☞ 添付の画像は 「Get Up! Get Out! Get in the Streets! Mass Protests Saturday Near You! Michael Moore」の中でのものから選んだ2枚である。
【参考はブログ作成者が付記】
【引用・参照・底本】
Get Up! Get Out! Get in the Streets! Mass Protests Saturday Near You! Michael Moore 2025.04.05
https://www.michaelmoore.com/p/get-up-get-out-get-in-the-streets?utm_source=post-email-title&publication_id=320974&post_id=160598942&utm_campaign=email-post-title&isFreemail=true&r=2gkj&triedRedirect=true&utm_medium=email