中国:北米へフェンタニル関連医薬品を輸出したことがない2025年03月14日 00:17

Microsoft Designerで作成
【概要】 
 
 中国国家薬品監督管理局(NMPA)の報道官は、フェンタニル関連物質の生産、運用、輸出管理に関する報道機関の問い合わせに対し、中国は北米へフェンタニル関連医薬品を輸出したことがないと述べた。

 中国国務院新聞弁公室は2025年3月4日、「フェンタニル関連物質管理に関する白書—中国の貢献」を発表し、中国における厳格な管理体制を強調した。

 報道官によれば、2024年に中国で生産されたフェンタニル系有効成分(API)の総量は100キログラムであり、主に国内の医療用途および輸出向けであった。同年、中国はフェンタニル関連医薬品を12.3キログラム輸出しており、その主な輸出先は韓国、ベトナム、フィリピンであった。

 フェンタニル関連医薬品は、主に医療現場で鎮痛目的に使用されるが、非医療用途では薬物乱用につながり、公衆衛生や社会問題を引き起こす可能性がある。現在、中国ではフェンタニルおよびその誘導体であるスフェンタニル、アルフェンタニル、レミフェンタニルの4種類のフェンタニル関連医薬品が販売許可を受けている。有効成分の製造を許可された企業は3社、製剤の生産を許可された企業は5社である。

 報道官は、中国ではフェンタニル関連医薬品が麻薬類薬品管理リストに明記されており、薬事監督当局が最も厳格な管理措置を実施していると述べた。これらの医薬品の生産と販売は指定企業によってのみ行われ、需要に基づいて生産され、販売ルートは固定されている。輸出には許可証が必要であり、規制当局は生産と流通に関する定期的な検査を実施し、安全上のリスクを速やかに特定する体制を整えている。さらに、特別検査や抜き打ち検査も実施し、生産・販売の秩序を厳格に管理している。

 また、報道官は、フェンタニル関連医薬品の輸出には国際的な検証システムが適用され、輸入国の主管当局による合法性の確認が完了した後にのみ輸出許可が発行されると説明した。生産・流通・輸出企業に対し、法令遵守の意識を高めるための警告・教育会合を開催し、フェンタニル関連医薬品の安全管理体制を強化している。

 規制当局と企業の協力のもと、フェンタニル関連医薬品の生産・流通管理は安定しており、製薬企業において違法な生産や販売は確認されていない。また、フェンタニル関連医薬品が製薬企業から違法な流通経路に流れた事例も確認されていないと報道官は述べた。

 今後、NMPAはフェンタニル関連医薬品の生産・流通に関する監督・管理を強化し、輸出許可の審査を厳格化するとともに、医療用途としての安定供給を確保し、違法流通や乱用を防止するための厳格な措置を講じるとしている。

【詳細】 

 中国国家薬品監督管理局(NMPA)の報道官は、フェンタニル関連物質の生産、運用、輸出管理に関する報道機関の問い合わせに対し、中国はこれまで北米にフェンタニル関連医薬品を輸出したことがないと強調した。

 中国のフェンタニル管理体制

 中国国務院新聞弁公室は2025年3月4日に発表した白書「フェンタニル関連物質管理に関する白書—中国の貢献」において、中国における厳格な管理体制を説明している。これには、フェンタニル関連物質の生産から流通、輸出に至るまでの徹底した監視・規制が含まれる。

 報道官によれば、2024年に中国で生産されたフェンタニル系有効成分(API)の総量は100キログラムであり、その用途は主に国内の医療機関向けであった。同年、中国が輸出したフェンタニル関連医薬品の総量は12.3キログラムであり、主な輸出先は韓国、ベトナム、フィリピンであった。北米への輸出は一切行われていないことが、明確に示されている。

 フェンタニル関連医薬品の用途

 フェンタニル関連医薬品は、強力な鎮痛効果を持つため、手術や重度の痛みを伴う治療の際に使用される。特に、がん患者や手術後の痛み管理において重要な役割を果たしている。しかし、非医療用途での使用は薬物乱用につながる可能性があり、過剰摂取による健康被害や社会問題を引き起こすことが懸念されている。

 現在、中国で認可されているフェンタニル関連医薬品は以下の4種類である。

 1.フェンタニル(Fentanyl)
 2.スフェンタニル(Sufentanil)
 3.アルフェンタニル(Alfentanil)
 4.レミフェンタニル(Remifentanil)

 これらの医薬品はすべて医療用途に限定され、厳格な管理のもとで使用されている。

 生産・販売企業の管理体制

 中国では、フェンタニル関連医薬品の生産と販売を許可された企業は限定されている。

 ・有効成分(API)を製造する企業:3社
 ・製剤(最終医薬品)を製造する企業:5社

 これらの企業は、中国政府の監督のもとで生産・販売を行っており、すべての製品は需要に基づいて計画的に生産され、販売ルートも厳格に固定されている。

 フェンタニル関連医薬品の管理措置

 中国では、フェンタニル関連医薬品は「麻薬類薬品管理リスト」に明記されており、薬事監督当局が最も厳格な管理を実施している。その主な管理措置は以下の通りである。

 1.生産・販売の制限

 ・フェンタニル関連医薬品の生産は、政府指定の企業のみが行うことが許可されている。
 ・需要に応じた生産計画が策定され、過剰生産を防止している。
 ・販売ルートは事前に指定され、自由な流通は一切認められない。

 2.輸出管理

 ・フェンタニル関連医薬品の輸出には、中国政府の輸出許可証が必要である。
 ・輸入国の規制当局による合法性の確認が完了した場合のみ、輸出が認められる。
 ・これにより、フェンタニル関連物質が違法なルートに流れることを防止している。

 3.監査・検査の強化

 ・定期的な監査を実施し、生産・販売の状況を厳しくチェックしている。
 ・特別検査や抜き打ち検査を実施し、違法な生産や流通が行われていないかを確認している。
 ・違反が発覚した場合、厳しい処罰が科される。

 4.教育・啓発活動

 ・フェンタニル関連医薬品の生産・販売・輸出企業に対し、法令遵守を徹底させるための教育・警告会合を開催。
 ・企業のコンプライアンス意識を向上させ、安全管理の強化を図っている。

 違法流通の防止

 報道官は、中国の監督体制のもとで、製薬企業における違法なフェンタニル関連医薬品の生産や販売は一切確認されていないと述べた。また、これらの医薬品が製薬企業から違法な流通経路へ流れた事例も確認されていない。

 今後の方針

 NMPAは、今後もフェンタニル関連医薬品の監督・管理体制をさらに強化する方針を示している。

 ・輸出許可の審査をより厳格化し、国際的な規制との連携を強化する。
 ・国内の医療需要を安定的に確保し、必要な患者への供給を確保する。
 ・違法流通や薬物乱用を防ぐための対策を徹底する。

 これにより、中国は引き続きフェンタニル関連医薬品の厳格な管理を維持し、国際社会に対しても責任ある対応を継続する方針である。

【要点】
 
 中国のフェンタニル関連医薬品の管理について

 1. 中国の主張

 ・中国は北米にフェンタニル関連医薬品を輸出したことがないと強調。
 ・2024年のフェンタニル系有効成分(API)の総生産量は100kg、輸出量は12.3kg(韓国・ベトナム・フィリピン向け)。

 2. フェンタニル関連医薬品の用途

 ・強力な鎮痛薬として、手術・がん治療などの医療用途に限定。
 ・乱用による社会問題を防ぐため、厳格な管理が必要。

 3. 認可されているフェンタニル関連医薬品(4種類)

 ・フェンタニル(Fentanyl)
 ・スフェンタニル(Sufentanil)
 ・アルフェンタニル(Alfentanil)
 ・レミフェンタニル(Remifentanil)

 4. 生産・販売企業の管理

 ・API(有効成分)製造企業:3社
 ・製剤(完成品)製造企業:5社
 ・生産計画に基づき、過剰生産・自由流通は禁止。

 5. 管理措置

 ✅ 生産・販売の制限

 ・政府指定企業のみ生産許可。
 ・販売ルートは事前指定、自由流通不可。

 ✅ 輸出管理

 ・政府の輸出許可証が必要。
 ・輸入国の規制当局の承認が必須。

 ✅ 監査・検査の強化

 ・定期監査・抜き打ち検査を実施。
 ・違反企業には厳しい処罰を科す。

 ✅ 教育・啓発活動

 ・企業向けの法令遵守教育を実施。
 ・コンプライアンス強化のための警告会合を開催。

 6. 違法流通防止策

 ・製薬企業から違法流通への流出事例は確認されていない。
 ・国内外のフェンタニル管理体制をさらに強化。

 7. 今後の方針

 ・輸出許可の審査をより厳格化。
 ・国内の医療供給の安定確保。
 ・違法流通や乱用防止対策の徹底。

 中国は、フェンタニル関連医薬品の厳格な管理を維持し、国際社会への責任ある対応を継続する方針。

【引用・参照・底本】

China has never exported fentanyl-related medications to North America: NMPA GT 2025.03.13
https://www.globaltimes.cn/page/202503/1330018.shtml

コメント

トラックバック