圧力をかけ続けるのであれば、中国は決して屈しない2025年03月07日 19:15

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【概要】 

 2025年3月7日、北京市で開催された第14期全国人民代表大会(NPC)の第三回会議の合間に、中国の王毅外相は記者会見を行い、米中関係について言及した。王毅外相は、米国がフェンタニル問題を理由に中国に対して新たな関税を課したことに関して、アメリカの行動に対し、冷静に対応する立場を示した。

 王毅外相は、米中関係における基本的な原則は相互尊重であり、これは両国間の安定した関係を築くための重要な前提条件であると強調した。彼は、「中国を抑圧しながら、良好な関係を維持することは幻想であり、こうした二重基準のアプローチは両国関係の安定を損ね、相互信頼を築けない」と述べた。

 フェンタニル問題について、王毅外相は、中国が薬物密輸と製造に対して強固な立場を取っており、世界で最も厳格で徹底した薬物対策を行っている国の一つであると述べた。2019年には米国の要請を受けて、全てのフェンタニル関連物質を一類薬物として指定したことを明言した。

 王毅外相はまた、アメリカが直面しているフェンタニル乱用の問題はアメリカ自身が解決すべき問題であり、中国は人道的な立場から様々な支援を行ってきたと強調した。そして、「アメリカは良い行いに対して悪行で返すべきではなく、恣意的な関税を課すべきではない」と述べ、このような行動は責任ある大国としてふさわしくないと非難した。

 さらに、「もし行動が失敗したのであれば、その理由を自分自身の中に探るべきだ」と指摘し、米国に対してこれまでの関税や貿易戦争の成果について再考するよう求めた。具体的には、貿易赤字が増加したのか縮小したのか、製造業の競争力が向上したのか低下したのか、インフレが改善したのか悪化したのか、国民の生活水準が向上したのか悪化したのかを問うた。

 王毅外相は、米中経済関係は相互的であり、協力を選択すれば両国が相互利益を得ることができ、もし圧力がかけられ続けるならば、中国は毅然とした対応を取ると述べた。

 また、世界最大の発展途上国と先進国である中国と米国は、長期的に共存し続ける必要があり、平和的に共存しなければならないと強調した。中国の習近平国家主席が今年初めにトランプ米大統領との電話会談で述べたように、対立と衝突は両国の選択肢ではなく、共通の利益が広がっており、協力の余地は広いと王毅外相は述べた。

 王毅外相は、習近平国家主席が提案した三つの原則—相互尊重、平和的共存、ウィンウィン協力—を堅持し、米中関係の安定した、健全で持続可能な発展に向けて努力すると述べた。また、米国には両国の人民の声に耳を傾け、歴史的発展の大きな流れを認識し、中国の発展を客観的かつ合理的に捉え、前向きで実務的な態度で中国と接し、両国と世界に利益をもたらす形で共に歩んでいくことを期待すると付け加えた。

【詳細】 

 2025年3月7日、中国の王毅外相は、北京市で開催された第14期全国人民代表大会(NPC)の第三回会議の合間に記者会見を行い、米中関係、特に米国のフェンタニル問題に関する中国の立場を明確に示した。

 米中関係について

 記者会見の最初に、王毅外相は、米国がフェンタニル問題を理由に中国に対して新たな関税を課したことに関する質問を受けた。この質問では、米国のドナルド・トランプ大統領が再びホワイトハウスに戻り、フェンタニル問題を理由に新たな関税を課しながらも中国との良好な関係を築きたいと望んでいる点について、中国がどのように対応するかが問われた。王毅は、米中関係の基本的な原則として「相互尊重」を挙げ、それが国家間の関係を築くための重要な前提条件であると強調した。具体的には、次のように述べた:

 「中国を抑圧しながら、良好な関係を維持することは幻想であり、二重基準を取ることは両国関係の安定を損ね、相互信頼を築けない。」

 これは、アメリカが一方的に中国を抑圧するような行動を取ることは、両国の関係を悪化させるという警告を含んでいる。

 フェンタニル問題に対する中国の立場

 次に、王毅外相は米国が直面しているフェンタニルの乱用問題について触れた。彼は、中国が薬物密輸と製造に対して非常に厳しい立場を取っていることを強調し、世界でも最も厳格で徹底した薬物対策を実施している国の一つであると述べた。具体的には、中国は2019年に米国の要請を受けて、全てのフェンタニル関連物質を一類薬物として指定した。この措置により、中国は世界で初めてフェンタニル関連物質を一括して規制対象にした国となった。

 王毅は続けて、フェンタニルの乱用という問題は米国が自国で解決しなければならない課題であると述べた。中国は過去にも人道的な支援を行ってきたとし、「アメリカは良い行いに対して悪行で返すべきではなく、恣意的に関税を課すべきではない」と強調した。この発言は、アメリカの一方的な貿易措置が不当であり、中国の努力に対して報いるべきだという立場を示している。

 米国の行動の結果について

 さらに王毅外相は、米国が行ってきた関税や貿易戦争の成果について再考を促した。「もし行動が失敗したのであれば、その理由を自分自身の中に探るべきだ」と述べ、次のように米国に問いかけた。

 ・関税や貿易戦争によって、米国の貿易赤字は増加したのか、それとも縮小したのか?
 ・米国の製造業の競争力は増加したのか、それとも低下したのか?
 ・米国のインフレは改善したのか、それとも悪化したのか?
 ・米国民の生活水準は向上したのか、それとも悪化したのか?

 これらの問いを通じて、米国が取った政策が本当に効果的だったのかを再評価し、過去の施策を振り返るべきだという立場を示した。

 米中経済関係について

 王毅は、米中間の経済関係が相互的であり、双方が協力することでウィンウィンの結果を得られると強調した。一方的な圧力が続けば、中国は毅然とした対応を取るとし、対話と協力の重要性を再確認した。

 「米中経済関係は相互的であり、協力を選べば両国が相互利益を得ることができる。圧力をかけ続けるのであれば、中国は決して屈しない。」

 また、米中両国は長期的に共存していく必要があり、平和的に共存するべきだと述べた。これにより、米中関係が安定し、共通の利益を追求することができるという見解を示した。

 中国と米国の将来の関係について

 王毅外相は、習近平国家主席がトランプ大統領との電話会談で述べた内容に触れ、対立と衝突は米中両国の選択肢ではないと強調した。両国は広範な共通の利益を有しており、協力の余地が十分にあると述べた。中国と米国は、相互尊重、平和的共存、ウィンウィン協力という三つの原則に基づいて関係を築いていくべきだと再確認した。

 王毅外相は、米国に対して次のように呼びかけた。
 
 ・米国は両国の人民の声に耳を傾け、歴史的発展の大きな流れを認識し、中国の発展を客観的かつ合理的に捉え、前向きで実務的な態度で中国と接するべきである。
 ・中国と米国は共に利益を享受し、世界全体に貢献する形で協力していくべきである。

 このように、王毅外相は米国に対して、対立ではなく協力を選ぶようにと強調し、米中関係の安定的な発展を目指す立場を明示した。

【要点】

 1.米中関係の基本原則

 ・王毅外相は、米中関係における基本的な原則として「相互尊重」を強調。
 ・一方的に中国を抑圧しながら良好な関係を築くことは不可能であり、そのような二重基準は両国関係を損ねる。

 2.フェンタニル問題に対する中国の立場

 ・中国は薬物密輸と製造に厳しい立場を取っており、最も厳格な薬物対策を実施。
 ・2019年、米国の要請に基づき、すべてのフェンタニル関連物質を一類薬物として規制。
 ・フェンタニルの乱用は米国が解決すべき問題であり、恣意的な関税を課すことは不当であると指摘。

 3.米国の行動に対する問いかけ

 ・王毅は、米国が行ってきた関税や貿易戦争の成果について再評価を促す。
 ・米国の貿易赤字、製造業の競争力、インフレ、生活水準などについて、過去の政策がどのような結果を生んだのか問いかけた。

 4.米中経済関係

 ・米中の経済関係は相互的であり、協力することで両国がウィンウィンの結果を得られる。
 ・一方的な圧力には中国が毅然とした対応を取るとし、対話と協力の重要性を強調。

 5.米中の将来の関係

 ・米中は長期的に平和的に共存する必要があり、対立と衝突は選択肢ではない。
 ・両国は相互尊重、平和的共存、ウィンウィン協力という三つの原則に基づいて関係を築くべきだと再確認。

 6.米国への呼びかけ

 ・米国は両国の人民の声に耳を傾け、中国の発展を客観的に認識し、前向きで実務的な態度で接するべき。
 ・中国と米国は共に協力し、世界に貢献する形で関係を発展させるべきであると訴えた。

【引用・参照・底本】

'US should not return good with evil, or even impose arbitrary tariffs' on fentanyl issue: Chinese FM GT 2025.03.07

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