日中韓の新たな試み ― 2025年03月28日 17:22
【概要】
2025年3月22日に東京で開催された日中ハイレベル経済対話に関する内容を中心に、日中韓の経済的協力とパートナーシップの重要性を強調している。特に、米国の関税引き上げ圧力を受けて、日中韓は経済や安全保障における協力を強化し、相互の関係を再構築しようとしている。
日中両国は、経済、貿易、投資、デジタル経済、脱炭素化、環境保護など幅広い分野で合意に達し、政治的摩擦の緩和を目指している。日本の外相岩屋毅は、牛肉や水産物の輸入再開、福島第1原発の処理水問題への対応などを提案し、中国側もバランスの取れた解決を求めている。また、日中韓外相会談では、米国の関税政策が直接的な議題ではなかったものの、関税引き上げが3か国共通の脅威であると認識され、協力強化が進められた。
アジア・アフリカ諸国研究所のアレクセイ・マスロフ教授は、日中韓の協力強化が中国のアジア重視の方向転換を示していると指摘している。特に、米国への依存を超えて、アジアの経済的統合を進める必要性が強調されている。日本や韓国は、経済競争力を強化するため、中国との分業交渉や技術革新に取り組むことが求められている。
アジア太平洋地域における経済的協力と平和共存を目指す日中韓の新たな試みを取り上げ、関税問題や歴史的な課題を乗り越えて、より強固なパートナーシップの形成を目指している。
【詳細】
2025年3月22日に東京で開催された日中ハイレベル経済対話と、その後の日本・中国・韓国(以下、日中韓)外相会談を通じて、経済協力の強化を模索する動きを詳述している。背景には、米国の関税引き上げ圧力があり、日中韓が共通の経済的利益を守るために接近していることが読み取れる。
日中ハイレベル経済対話の概要
日中ハイレベル経済対話は6年ぶりに開催され、日本の岩屋毅外相と中国の王毅(ワン・イー)外相が共同議長を務めた。この対話では、以下のような広範な分野で協力の拡大が話し合われ、合意が成立した。
・経済・貿易・投資
・デジタル経済
・脱炭素化
・環境保護
・高齢化社会への対応
・人的・文化交流
・地域協力
この合意は、政治的な対立を超えて経済関係を安定させる狙いがある。特に、日本と中国は長年政治的に対立する側面があるものの、経済的利益が関係正常化の原動力となってきた。
日本の要求と中国の対応
日本側の岩屋外相は、特に以下の点を中国側に求めた。
・日本産牛肉の輸入再開
・精米の輸入拡大
・福島第1原発の処理水放出後に実施された日本産水産物の輸入禁止措置の解除
・中国での日本人の安全確保(中国当局による日本人拘束事案の影響)
この中でも特に、福島の処理水問題は重要な懸案事項であり、中国側は輸入禁止措置を維持している。両国は、国際原子力機関(IAEA)の枠組みの下で水質のモニタリングを継続することで合意したが、中国側が即座に輸入禁止措置を解除する姿勢を示したわけではない。王毅外相は「経済安全保障の政治化を避けるべき」と述べ、経済問題が政治的な対立に発展することを警戒する姿勢を示した。
日中韓外相会談
日中ハイレベル経済対話と同日、日中韓外相会談が開催され、韓国の趙大烈(チョ・テヨル)外相が出席した。日韓はともに米国の同盟国であり、中国の軍事的影響力拡大に警戒を強めている。しかし、今回の会談では安全保障よりも経済問題が重視された。
特に、米国の関税引き上げ政策が日中韓共通の脅威として認識された。ドナルド・トランプ米大統領は4月2日に、同盟国を含む貿易相手国への関税引き上げを発表する予定であり、これに先立って日中韓が経済的な協力を強化しようとした点が注目される。
岩屋外相は「米国の関税政策は会談の主要議題ではなかった」と述べたが、実際には日中韓の協力強化の動機となっている。これは、米国との対立を避けつつも、独自の経済圏を確立する動きとも解釈できる。
専門家の見解
アジア・アフリカ諸国研究所のアレクセイ・マスロフ教授は、今回の会談が中国の戦略的転換を示していると分析している。
中国の経済戦略
・近年、中国はアジア市場へのシフトを加速しており、米国への輸出依存を減らしつつある。
・直接投資も、米国よりもアジア諸国に重点を置くようになっている。
・ASEAN諸国は重要なパートナーだが、経済規模の点で十分ではなく、日本や韓国との経済連携が不可欠。
日本・韓国の立場
・日本の対中投資は依然として大規模であり、中国との経済協力は日本にとって重要。
・しかし、日本製品は価格が高く、中国市場での競争が厳しくなっているため、新たな分業体制の構築が求められる。
・韓国も同様の状況にあり、特に半導体分野では中国企業の急速な台頭に直面している。
・サムスン電子はマイクロチップの世界最大の供給企業の一つだが、中国の半導体産業の急成長により競争が激化。
・こうした状況下で、日中韓の技術協力が新たな枠組みとして生まれる可能性がある。
歴史問題と対話の意義
一方で、歴史問題は依然として日中韓の関係に影を落としている。王毅外相は「第2次世界大戦終結80周年」を引き合いに出し、「歴史を真摯に反省することによってのみ、より良い未来を築くことができる」と述べた。これは、日本に対して過去の歴史に向き合うよう求める中国の立場を改めて示したものといえる。
しかし、経済協力を通じて関係改善を図ることが、日中韓の共通利益に合致することも明らかである。人的・文化交流の強化は、単なる経済的利益の追求だけでなく、歴史的対立の解消にも寄与する可能性がある。
まとめ
・日中ハイレベル経済対話では、貿易・投資・環境・デジタル経済など20項目で合意。
・日本は中国に対し、牛肉や水産物の輸入再開、中国での日本人安全確保を要請。
・日中韓外相会談では、米国の関税政策が共通の脅威として意識され、協力強化を模索。
・中国はアジア市場へのシフトを進め、日本や韓国と分業・協力を模索。
・半導体や自動車分野での日中韓連携が新たな可能性として浮上。
・歴史問題は依然として対話の障害だが、人的交流や文化協力が緩和策となる可能性。
今回の会談は、単なる経済協力を超え、米中対立の中で日中韓がいかにバランスを取るかを示すものとなった。米国の関税政策がエスカレートすれば、日中韓の経済連携はさらに強化される可能性がある。
【要点】
日中ハイレベル経済対話(2025年3月22日・東京)
目的
・6年ぶりの開催。経済協力の強化を通じて関係改善を模索。
・米国の関税引き上げ圧力への対応として、日中の経済連携を強化。
合意内容(主要分野)
・貿易・投資の促進
・デジタル経済の発展
・脱炭素・環境保護の強化
・高齢化社会への対応
・人的・文化交流の推進
・地域協力の拡大
日本の要求(岩屋毅外相)
(1)日本産牛肉の輸入再開
(2)精米の輸入拡大
(3)福島第1原発処理水放出後の水産物輸入禁止措置の解除
(4)中国での日本人の安全確保(日本人拘束問題)
中国の対応(王毅外相)
・処理水問題:IAEAの枠組み内で水質モニタリングを継続することで合意。ただし、輸入禁止解除には慎重姿勢。
・経済安全保障:「政治化を避けるべき」と主張。
日中韓外相会談(2025年3月22日・東京)
出席者
・日本:岩屋毅外相
・中国:王毅外相
・韓国:趙大烈(チョ・テヨル)外相
議題
・経済連携の強化(安全保障よりも経済を重視)
・米国の関税政策への対応(日中韓共通の課題)
背景
・トランプ米大統領が関税引き上げを計画(4月2日発表予定)。
・日本・韓国は米国の同盟国だが、経済的影響を懸念。
・中国は米国依存を減らし、日本・韓国との経済連携を重視。
各国の立場
・日本:対中貿易は重要だが、価格競争で苦戦。新たな分業体制を模索。
・韓国:半導体産業が中国企業の台頭に直面。サムスン電子などが対策を検討。
・中国:アジア市場へのシフトを加速し、日本・韓国との技術協力を模索。
専門家の見解(アレクセイ・マスロフ教授)
・中国の戦略転換:米国への輸出依存を減らし、アジア市場を重視。
・ASEANだけでは不十分:日本・韓国との分業体制が不可欠。
・半導体・自動車分野での協力:日中韓の新たな連携の可能性。
歴史問題の影響
・王毅外相が「第2次世界大戦終結80周年」に言及し、日本に「歴史の反省」を求める。
・経済協力の進展と並行して、歴史問題が依然として関係を左右。
・人的交流・文化協力が緩和策となる可能性。
総括
・日中ハイレベル経済対話は経済協力の強化を確認。
・日中韓外相会談では、米国の関税政策が共通の課題として認識。
・中国はアジア市場へのシフトを加速、日本・韓国との協力を模索。
・日中韓の技術協力や経済連携が新たな可能性を示唆。
・歴史問題は依然として障害だが、経済交流が関係改善のカギとなる。
【引用・参照・底本】
【視点】米国の関税引き上げ圧力の中、パートナーシップを強化する日中韓 sputnik 日本 2025.03.27
https://sputniknews.jp/20250327/19690698.html
2025年3月22日に東京で開催された日中ハイレベル経済対話に関する内容を中心に、日中韓の経済的協力とパートナーシップの重要性を強調している。特に、米国の関税引き上げ圧力を受けて、日中韓は経済や安全保障における協力を強化し、相互の関係を再構築しようとしている。
日中両国は、経済、貿易、投資、デジタル経済、脱炭素化、環境保護など幅広い分野で合意に達し、政治的摩擦の緩和を目指している。日本の外相岩屋毅は、牛肉や水産物の輸入再開、福島第1原発の処理水問題への対応などを提案し、中国側もバランスの取れた解決を求めている。また、日中韓外相会談では、米国の関税政策が直接的な議題ではなかったものの、関税引き上げが3か国共通の脅威であると認識され、協力強化が進められた。
アジア・アフリカ諸国研究所のアレクセイ・マスロフ教授は、日中韓の協力強化が中国のアジア重視の方向転換を示していると指摘している。特に、米国への依存を超えて、アジアの経済的統合を進める必要性が強調されている。日本や韓国は、経済競争力を強化するため、中国との分業交渉や技術革新に取り組むことが求められている。
アジア太平洋地域における経済的協力と平和共存を目指す日中韓の新たな試みを取り上げ、関税問題や歴史的な課題を乗り越えて、より強固なパートナーシップの形成を目指している。
【詳細】
2025年3月22日に東京で開催された日中ハイレベル経済対話と、その後の日本・中国・韓国(以下、日中韓)外相会談を通じて、経済協力の強化を模索する動きを詳述している。背景には、米国の関税引き上げ圧力があり、日中韓が共通の経済的利益を守るために接近していることが読み取れる。
日中ハイレベル経済対話の概要
日中ハイレベル経済対話は6年ぶりに開催され、日本の岩屋毅外相と中国の王毅(ワン・イー)外相が共同議長を務めた。この対話では、以下のような広範な分野で協力の拡大が話し合われ、合意が成立した。
・経済・貿易・投資
・デジタル経済
・脱炭素化
・環境保護
・高齢化社会への対応
・人的・文化交流
・地域協力
この合意は、政治的な対立を超えて経済関係を安定させる狙いがある。特に、日本と中国は長年政治的に対立する側面があるものの、経済的利益が関係正常化の原動力となってきた。
日本の要求と中国の対応
日本側の岩屋外相は、特に以下の点を中国側に求めた。
・日本産牛肉の輸入再開
・精米の輸入拡大
・福島第1原発の処理水放出後に実施された日本産水産物の輸入禁止措置の解除
・中国での日本人の安全確保(中国当局による日本人拘束事案の影響)
この中でも特に、福島の処理水問題は重要な懸案事項であり、中国側は輸入禁止措置を維持している。両国は、国際原子力機関(IAEA)の枠組みの下で水質のモニタリングを継続することで合意したが、中国側が即座に輸入禁止措置を解除する姿勢を示したわけではない。王毅外相は「経済安全保障の政治化を避けるべき」と述べ、経済問題が政治的な対立に発展することを警戒する姿勢を示した。
日中韓外相会談
日中ハイレベル経済対話と同日、日中韓外相会談が開催され、韓国の趙大烈(チョ・テヨル)外相が出席した。日韓はともに米国の同盟国であり、中国の軍事的影響力拡大に警戒を強めている。しかし、今回の会談では安全保障よりも経済問題が重視された。
特に、米国の関税引き上げ政策が日中韓共通の脅威として認識された。ドナルド・トランプ米大統領は4月2日に、同盟国を含む貿易相手国への関税引き上げを発表する予定であり、これに先立って日中韓が経済的な協力を強化しようとした点が注目される。
岩屋外相は「米国の関税政策は会談の主要議題ではなかった」と述べたが、実際には日中韓の協力強化の動機となっている。これは、米国との対立を避けつつも、独自の経済圏を確立する動きとも解釈できる。
専門家の見解
アジア・アフリカ諸国研究所のアレクセイ・マスロフ教授は、今回の会談が中国の戦略的転換を示していると分析している。
中国の経済戦略
・近年、中国はアジア市場へのシフトを加速しており、米国への輸出依存を減らしつつある。
・直接投資も、米国よりもアジア諸国に重点を置くようになっている。
・ASEAN諸国は重要なパートナーだが、経済規模の点で十分ではなく、日本や韓国との経済連携が不可欠。
日本・韓国の立場
・日本の対中投資は依然として大規模であり、中国との経済協力は日本にとって重要。
・しかし、日本製品は価格が高く、中国市場での競争が厳しくなっているため、新たな分業体制の構築が求められる。
・韓国も同様の状況にあり、特に半導体分野では中国企業の急速な台頭に直面している。
・サムスン電子はマイクロチップの世界最大の供給企業の一つだが、中国の半導体産業の急成長により競争が激化。
・こうした状況下で、日中韓の技術協力が新たな枠組みとして生まれる可能性がある。
歴史問題と対話の意義
一方で、歴史問題は依然として日中韓の関係に影を落としている。王毅外相は「第2次世界大戦終結80周年」を引き合いに出し、「歴史を真摯に反省することによってのみ、より良い未来を築くことができる」と述べた。これは、日本に対して過去の歴史に向き合うよう求める中国の立場を改めて示したものといえる。
しかし、経済協力を通じて関係改善を図ることが、日中韓の共通利益に合致することも明らかである。人的・文化交流の強化は、単なる経済的利益の追求だけでなく、歴史的対立の解消にも寄与する可能性がある。
まとめ
・日中ハイレベル経済対話では、貿易・投資・環境・デジタル経済など20項目で合意。
・日本は中国に対し、牛肉や水産物の輸入再開、中国での日本人安全確保を要請。
・日中韓外相会談では、米国の関税政策が共通の脅威として意識され、協力強化を模索。
・中国はアジア市場へのシフトを進め、日本や韓国と分業・協力を模索。
・半導体や自動車分野での日中韓連携が新たな可能性として浮上。
・歴史問題は依然として対話の障害だが、人的交流や文化協力が緩和策となる可能性。
今回の会談は、単なる経済協力を超え、米中対立の中で日中韓がいかにバランスを取るかを示すものとなった。米国の関税政策がエスカレートすれば、日中韓の経済連携はさらに強化される可能性がある。
【要点】
日中ハイレベル経済対話(2025年3月22日・東京)
目的
・6年ぶりの開催。経済協力の強化を通じて関係改善を模索。
・米国の関税引き上げ圧力への対応として、日中の経済連携を強化。
合意内容(主要分野)
・貿易・投資の促進
・デジタル経済の発展
・脱炭素・環境保護の強化
・高齢化社会への対応
・人的・文化交流の推進
・地域協力の拡大
日本の要求(岩屋毅外相)
(1)日本産牛肉の輸入再開
(2)精米の輸入拡大
(3)福島第1原発処理水放出後の水産物輸入禁止措置の解除
(4)中国での日本人の安全確保(日本人拘束問題)
中国の対応(王毅外相)
・処理水問題:IAEAの枠組み内で水質モニタリングを継続することで合意。ただし、輸入禁止解除には慎重姿勢。
・経済安全保障:「政治化を避けるべき」と主張。
日中韓外相会談(2025年3月22日・東京)
出席者
・日本:岩屋毅外相
・中国:王毅外相
・韓国:趙大烈(チョ・テヨル)外相
議題
・経済連携の強化(安全保障よりも経済を重視)
・米国の関税政策への対応(日中韓共通の課題)
背景
・トランプ米大統領が関税引き上げを計画(4月2日発表予定)。
・日本・韓国は米国の同盟国だが、経済的影響を懸念。
・中国は米国依存を減らし、日本・韓国との経済連携を重視。
各国の立場
・日本:対中貿易は重要だが、価格競争で苦戦。新たな分業体制を模索。
・韓国:半導体産業が中国企業の台頭に直面。サムスン電子などが対策を検討。
・中国:アジア市場へのシフトを加速し、日本・韓国との技術協力を模索。
専門家の見解(アレクセイ・マスロフ教授)
・中国の戦略転換:米国への輸出依存を減らし、アジア市場を重視。
・ASEANだけでは不十分:日本・韓国との分業体制が不可欠。
・半導体・自動車分野での協力:日中韓の新たな連携の可能性。
歴史問題の影響
・王毅外相が「第2次世界大戦終結80周年」に言及し、日本に「歴史の反省」を求める。
・経済協力の進展と並行して、歴史問題が依然として関係を左右。
・人的交流・文化協力が緩和策となる可能性。
総括
・日中ハイレベル経済対話は経済協力の強化を確認。
・日中韓外相会談では、米国の関税政策が共通の課題として認識。
・中国はアジア市場へのシフトを加速、日本・韓国との協力を模索。
・日中韓の技術協力や経済連携が新たな可能性を示唆。
・歴史問題は依然として障害だが、経済交流が関係改善のカギとなる。
【引用・参照・底本】
【視点】米国の関税引き上げ圧力の中、パートナーシップを強化する日中韓 sputnik 日本 2025.03.27
https://sputniknews.jp/20250327/19690698.html
ロシアのSWIFT(国際銀行間通信協会)復帰の可能性 ― 2025年03月28日 17:51
【概要】
ロシアのSWIFT復帰の可能性について、米国のスコット・ベッセント財務長官が議論の可能性に言及した。SWIFT(国際銀行間通信協会)はベルギーに本部を置く協同組合形式の国際決済ネットワークであり、世界の銀行が加盟している。取締役会は25名で構成され、そのうち16名が欧州出身であり、米国の銀行関係者も2名含まれているが、米政府としての正式な代表権や決定権は有していない。
露経済大学のユリア・ダビドワ准教授によれば、米国はSWIFTに対して直接的な支配権を持つわけではないが、影響力は大きい。米国は世界最大級の金融センターであり、SWIFTの主要な顧客であるため、SWIFTに対して圧力をかける手段を持っている。SWIFTが米国と対立することは経済的に不利益となる可能性がある。
2022年にウクライナ情勢を理由として、SWIFTはロシアの大手銀行を決済ネットワークから排除した。しかし、最近のロシアと米国の協議において、ロシアの農産物輸出に関連する銀行をSWIFTに復帰させる方向で合意がなされた。
【詳細】
ロシアのSWIFT(国際銀行間通信協会)復帰の可能性について、米国のスコット・ベッセント財務長官が議論の可能性を示唆した。SWIFTは1973年に設立された国際決済ネットワークであり、本部はベルギーに置かれている。世界200以上の国・地域の銀行や金融機関が加盟しており、国際的な送金や金融取引の標準的な通信手段となっている。SWIFTは協同組合形式の組織であり、主要銀行の代表者からなる取締役会によって運営されている。
SWIFTに対する米国の影響力
SWIFTの取締役会は25名で構成され、そのうち16名が欧州の銀行関係者である。米国の銀行からも2名が取締役に選出されているが、米政府として正式な代表権や直接的な決定権を持っているわけではない。しかし、米国は世界最大の金融市場を有し、SWIFTの主要な利用者の一つであることから、間接的な影響力を行使することが可能である。
SWIFTが米国の意向を無視できない背景には、米ドルの国際的な基軸通貨としての地位がある。多くの国際取引が米ドル建てで行われており、これらの取引に関わる金融機関はSWIFTを利用して決済を行う。米国政府は、金融制裁を通じてSWIFTに対する影響力を強めることができる。たとえば、SWIFTのシステムを利用する銀行に対して米国市場へのアクセスを制限する可能性を示唆することで、間接的にSWIFTの意思決定に影響を与えることができる。
ロシアのSWIFTからの排除とその影響
2022年、ウクライナ紛争を理由に、SWIFTはロシアの主要銀行を決済ネットワークから排除した。これにより、ロシアの金融機関は国際的な送金や決済を行う際に大きな制約を受けることになった。特に、エネルギー輸出代金の決済や外国企業との貿易決済が困難になるという影響が生じた。
SWIFTからの排除を受けて、ロシアは以下のような対策を講じた。
・SPFS(金融メッセージ伝送システム)の開発:ロシア中央銀行が主導し、国内および一部の友好国の銀行との間で利用できる決済ネットワークを構築。
・人民元決済の拡大:中国のCIPS(人民元決済システム)との連携を強化し、SWIFTを経由せずに貿易決済を行う試み。
・暗号資産の活用:一部のロシア企業が仮想通貨を活用した貿易決済を模索。
しかし、これらの代替手段はSWIFTほどの国際的な普及度を持たず、ロシア経済にとって完全な代替手段とはなり得なかった。
ロシアのSWIFT復帰に向けた動き
最近の米露協議では、ロシアの農産物輸出に関連する銀行のSWIFT復帰が議題となった。これは、ロシアが国連を通じて「農産物と肥料の輸出が金融制裁によって妨げられている」と主張し、国際市場への影響を訴えてきたことが背景にある。ロシアは特にアフリカ諸国や発展途上国向けの小麦輸出の制約解除を求めており、これが米国側との交渉材料になったとみられる。
この交渉の結果、ロシアの一部銀行が限定的にSWIFTに復帰する方向で合意された。しかし、これはロシアの金融機関全体の復帰を意味するものではなく、あくまで農産物輸出に関係する取引に限定されるものである。
今後の見通し
ロシアのSWIFT復帰は、引き続き米国やEUの対ロ制裁の方針によって左右されると考えられる。現時点では、ウクライナ情勢に対する欧米の強硬姿勢が続いており、ロシアの主要銀行が全面的にSWIFTに復帰する可能性は低い。ただし、農産物輸出に関する制裁緩和が前例となり、今後部分的な緩和措置が進む可能性もある。
【要点】
ロシアのSWIFT復帰の可能性について
1. SWIFTの基本情報
・1973年に設立された国際銀行間通信協会(SWIFT)は、世界200以上の国・地域の銀行や金融機関が加盟する決済ネットワーク。
・本部はベルギーにあり、協同組合形式で運営される。
・取締役会は25名で構成され、16名が欧州出身、米国の銀行からも2名が参加。
・SWIFTは米国政府の正式な代表権を持たないが、米国の影響を受けやすい。
2. 米国のSWIFTへの影響力
・米国は世界最大の金融市場を持ち、SWIFTの主要利用者である。
・米ドルが基軸通貨であり、国際取引の多くがSWIFTを通じて決済される。
・米国政府は、SWIFT利用銀行に制裁を科すことで間接的に影響力を行使可能。
・SWIFTに対し、制裁回避行為を避けるよう圧力をかけることができる。
3. ロシアのSWIFT排除とその影響(2022年)
・ウクライナ紛争を理由に、ロシアの主要銀行がSWIFTから排除された。
・これにより、ロシアの国際送金・貿易決済が困難に。
・特にエネルギー輸出や外国企業との決済に大きな影響を受けた。
4. ロシアの対策
・SPFS(金融メッセージ伝送システム)を開発し、国内および一部の友好国との決済手段を確保。
・中国のCIPS(人民元決済システム)を活用し、人民元建ての取引を増加。
・暗号資産を利用した国際貿易決済の可能性を模索。
・ただし、SWIFTに匹敵する国際的な普及度には至らず、完全な代替にはならず。
5. SWIFT復帰に向けた米露協議
・最近の交渉で、ロシアの農産物輸出に関連する銀行のSWIFT復帰が議題に。
・ロシアは「制裁により農産物・肥料の輸出が妨げられている」と国連を通じて主張。
・特にアフリカ諸国や発展途上国向け小麦輸出の制約解除を求めた。
・交渉の結果、ロシアの特定銀行が農産物取引に限定してSWIFT復帰する方向で合意。
6. 今後の見通し
・ウクライナ情勢に対する欧米の制裁が続く限り、ロシアの主要銀行の全面復帰は困難。
・ただし、今回の農産物取引に関する制裁緩和が前例となり、段階的な部分復帰の可能性もある。
・SWIFTの決定はベルギーの取締役会が行うが、米国の金融・経済的圧力が引き続き影響を与えると考えられる。
【引用・参照・底本】
【視点】ロシアのSWIFT復帰は米国次第? sputnik 日本 2025.03.27
https://sputniknews.jp/20250327/19690698.html
ロシアのSWIFT復帰の可能性について、米国のスコット・ベッセント財務長官が議論の可能性に言及した。SWIFT(国際銀行間通信協会)はベルギーに本部を置く協同組合形式の国際決済ネットワークであり、世界の銀行が加盟している。取締役会は25名で構成され、そのうち16名が欧州出身であり、米国の銀行関係者も2名含まれているが、米政府としての正式な代表権や決定権は有していない。
露経済大学のユリア・ダビドワ准教授によれば、米国はSWIFTに対して直接的な支配権を持つわけではないが、影響力は大きい。米国は世界最大級の金融センターであり、SWIFTの主要な顧客であるため、SWIFTに対して圧力をかける手段を持っている。SWIFTが米国と対立することは経済的に不利益となる可能性がある。
2022年にウクライナ情勢を理由として、SWIFTはロシアの大手銀行を決済ネットワークから排除した。しかし、最近のロシアと米国の協議において、ロシアの農産物輸出に関連する銀行をSWIFTに復帰させる方向で合意がなされた。
【詳細】
ロシアのSWIFT(国際銀行間通信協会)復帰の可能性について、米国のスコット・ベッセント財務長官が議論の可能性を示唆した。SWIFTは1973年に設立された国際決済ネットワークであり、本部はベルギーに置かれている。世界200以上の国・地域の銀行や金融機関が加盟しており、国際的な送金や金融取引の標準的な通信手段となっている。SWIFTは協同組合形式の組織であり、主要銀行の代表者からなる取締役会によって運営されている。
SWIFTに対する米国の影響力
SWIFTの取締役会は25名で構成され、そのうち16名が欧州の銀行関係者である。米国の銀行からも2名が取締役に選出されているが、米政府として正式な代表権や直接的な決定権を持っているわけではない。しかし、米国は世界最大の金融市場を有し、SWIFTの主要な利用者の一つであることから、間接的な影響力を行使することが可能である。
SWIFTが米国の意向を無視できない背景には、米ドルの国際的な基軸通貨としての地位がある。多くの国際取引が米ドル建てで行われており、これらの取引に関わる金融機関はSWIFTを利用して決済を行う。米国政府は、金融制裁を通じてSWIFTに対する影響力を強めることができる。たとえば、SWIFTのシステムを利用する銀行に対して米国市場へのアクセスを制限する可能性を示唆することで、間接的にSWIFTの意思決定に影響を与えることができる。
ロシアのSWIFTからの排除とその影響
2022年、ウクライナ紛争を理由に、SWIFTはロシアの主要銀行を決済ネットワークから排除した。これにより、ロシアの金融機関は国際的な送金や決済を行う際に大きな制約を受けることになった。特に、エネルギー輸出代金の決済や外国企業との貿易決済が困難になるという影響が生じた。
SWIFTからの排除を受けて、ロシアは以下のような対策を講じた。
・SPFS(金融メッセージ伝送システム)の開発:ロシア中央銀行が主導し、国内および一部の友好国の銀行との間で利用できる決済ネットワークを構築。
・人民元決済の拡大:中国のCIPS(人民元決済システム)との連携を強化し、SWIFTを経由せずに貿易決済を行う試み。
・暗号資産の活用:一部のロシア企業が仮想通貨を活用した貿易決済を模索。
しかし、これらの代替手段はSWIFTほどの国際的な普及度を持たず、ロシア経済にとって完全な代替手段とはなり得なかった。
ロシアのSWIFT復帰に向けた動き
最近の米露協議では、ロシアの農産物輸出に関連する銀行のSWIFT復帰が議題となった。これは、ロシアが国連を通じて「農産物と肥料の輸出が金融制裁によって妨げられている」と主張し、国際市場への影響を訴えてきたことが背景にある。ロシアは特にアフリカ諸国や発展途上国向けの小麦輸出の制約解除を求めており、これが米国側との交渉材料になったとみられる。
この交渉の結果、ロシアの一部銀行が限定的にSWIFTに復帰する方向で合意された。しかし、これはロシアの金融機関全体の復帰を意味するものではなく、あくまで農産物輸出に関係する取引に限定されるものである。
今後の見通し
ロシアのSWIFT復帰は、引き続き米国やEUの対ロ制裁の方針によって左右されると考えられる。現時点では、ウクライナ情勢に対する欧米の強硬姿勢が続いており、ロシアの主要銀行が全面的にSWIFTに復帰する可能性は低い。ただし、農産物輸出に関する制裁緩和が前例となり、今後部分的な緩和措置が進む可能性もある。
【要点】
ロシアのSWIFT復帰の可能性について
1. SWIFTの基本情報
・1973年に設立された国際銀行間通信協会(SWIFT)は、世界200以上の国・地域の銀行や金融機関が加盟する決済ネットワーク。
・本部はベルギーにあり、協同組合形式で運営される。
・取締役会は25名で構成され、16名が欧州出身、米国の銀行からも2名が参加。
・SWIFTは米国政府の正式な代表権を持たないが、米国の影響を受けやすい。
2. 米国のSWIFTへの影響力
・米国は世界最大の金融市場を持ち、SWIFTの主要利用者である。
・米ドルが基軸通貨であり、国際取引の多くがSWIFTを通じて決済される。
・米国政府は、SWIFT利用銀行に制裁を科すことで間接的に影響力を行使可能。
・SWIFTに対し、制裁回避行為を避けるよう圧力をかけることができる。
3. ロシアのSWIFT排除とその影響(2022年)
・ウクライナ紛争を理由に、ロシアの主要銀行がSWIFTから排除された。
・これにより、ロシアの国際送金・貿易決済が困難に。
・特にエネルギー輸出や外国企業との決済に大きな影響を受けた。
4. ロシアの対策
・SPFS(金融メッセージ伝送システム)を開発し、国内および一部の友好国との決済手段を確保。
・中国のCIPS(人民元決済システム)を活用し、人民元建ての取引を増加。
・暗号資産を利用した国際貿易決済の可能性を模索。
・ただし、SWIFTに匹敵する国際的な普及度には至らず、完全な代替にはならず。
5. SWIFT復帰に向けた米露協議
・最近の交渉で、ロシアの農産物輸出に関連する銀行のSWIFT復帰が議題に。
・ロシアは「制裁により農産物・肥料の輸出が妨げられている」と国連を通じて主張。
・特にアフリカ諸国や発展途上国向け小麦輸出の制約解除を求めた。
・交渉の結果、ロシアの特定銀行が農産物取引に限定してSWIFT復帰する方向で合意。
6. 今後の見通し
・ウクライナ情勢に対する欧米の制裁が続く限り、ロシアの主要銀行の全面復帰は困難。
・ただし、今回の農産物取引に関する制裁緩和が前例となり、段階的な部分復帰の可能性もある。
・SWIFTの決定はベルギーの取締役会が行うが、米国の金融・経済的圧力が引き続き影響を与えると考えられる。
【引用・参照・底本】
【視点】ロシアのSWIFT復帰は米国次第? sputnik 日本 2025.03.27
https://sputniknews.jp/20250327/19690698.html
日本が対ロシア敵対政策を放棄すれば対話への道が開かれる ― 2025年03月28日 18:03
【概要】
ロシアのルデンコ外務次官は、日本の笹川平和財団の代表団との会談において、日本が対ロシア敵対政策を放棄すれば対話への道が開かれるとの認識を示した。その上で、敵対政策の放棄は具体的な行動によって確認される必要があると強調した。
会談では、両国関係の現状についても議論が行われ、特に科学分野における交流の展望が話題に上った。ロシア外務省によると、日本側はロシアの学術機関とのつながりを活性化する意向を表明したという。
また、ロシアのガルージン外務次官も笹川平和財団の代表団と面会し、ウクライナ危機に関して議論を行った。ガルージン外務次官は、危機の根本原因を除去することが必要であるとの見解を示し、「財団の権威の高さを考慮すると、この情報が日本の官僚界に適切な形で伝達されることを期待する」と述べた。
笹川平和財団の代表団は、3月26日から27日にかけてロシア北部のムルマンスク州で開催される国際北極フォーラム「北極-対話の領域」に参加するためにロシアを訪問した。同フォーラムでは、北極海航路の開発が主要な議題の一つとなっている。
【詳細】
ロシアのルデンコ外務次官は、日本の笹川平和財団の代表団との会談において、現在の露日関係について意見を交わした。この中でルデンコ外務次官は、日本が対ロシア敵対政策を放棄すれば、両国間の対話の道が開かれるとの認識を示した。ただし、この政策転換は単なる声明ではなく、具体的な行動によって確認される必要があると強調した。
この会談では、両国関係の現状や将来の可能性について幅広く議論が行われた。特に科学技術分野における協力の展望が話題に上り、ロシア外務省によると、日本側はロシアの学術機関との関係を強化する意向を表明した。これにより、学術交流の再開や研究協力の拡大が視野に入る可能性がある。
さらに、ロシアのガルージン外務次官も笹川平和財団の代表団と別途面会した。この場では、ウクライナ危機に関する意見交換が行われ、ガルージン外務次官は、現在の危機を解決するためには、その「根本原因を除去することが必要である」との見解を示した。これは、西側諸国の対ロシア政策やウクライナへの支援が問題の本質であるとするロシアの主張に基づくものと考えられる。ガルージン外務次官は、笹川平和財団が日本国内で持つ影響力を考慮し、「財団の権威の高さを考えると、この情報が日本の官僚界に適切な形で伝達されることを期待する」と述べた。これは、日本政府に対しロシアの立場を伝えるよう促す意図があると見られる。
笹川平和財団の代表団は、3月26日から27日にかけてロシア北部のムルマンスク州で開催される国際北極フォーラム「北極-対話の領域」に参加するためにロシアを訪問した。このフォーラムは、北極地域における国際協力を促進することを目的としており、環境問題、経済開発、安全保障など多岐にわたるテーマが議論される。特に今回のフォーラムでは、北極海航路(NSR)の開発が主要議題の一つとなっている。ロシアは、ウクライナ危機後の西側諸国との関係悪化を背景に、中国やインドなど非西側諸国との経済協力を強化しており、北極海航路の利用促進を重要視している。このため、日本との協力の可能性についても関心を示していると考えられる。
【要点】
1.ルデンコ外務次官の発言
・日本が対ロシア敵対政策を放棄すれば、対話の道が開かれると指摘。
・ただし、政策転換は声明だけでなく、具体的な行動によって確認される必要があると強調。
2.会談内容(ルデンコ外務次官との議論)
・露日関係の現状と今後の展望について意見交換。
・特に科学技術分野での交流に関する議論が行われる。
・日本側はロシアの学術機関との関係強化の意向を表明。
3.ガルージン外務次官との会談
・主にウクライナ危機について議論。
・ガルージン外務次官は「危機の根本原因を除去することが必要」と指摘。
・「財団の権威の高さを考慮すると、日本の官僚界にロシアの立場が伝わることを期待する」と発言。
4.笹川平和財団の訪露目的
・3月26~27日にロシア北部ムルマンスク州で開催の国際北極フォーラム「北極-対話の領域」に参加。
・北極地域の国際協力、環境問題、経済開発、安全保障などを議論。
・主要議題の一つは北極海航路(NSR)の開発。
5.ロシアの北極戦略と日本との関係
・ロシアはウクライナ危機後、西側諸国との関係悪化を背景に、中国やインドなど非西側諸国との経済協力を強化。
・北極海航路の利用促進を重視し、日本との協力の可能性にも関心を示していると考えられる。
【引用・参照・底本】
日本が対ロシア敵対政策を放棄すれば対話への道が開かれる=露外務省 sputnik 日本 2025.03.27
https://sputniknews.jp/20250327/19686804.html
ロシアのルデンコ外務次官は、日本の笹川平和財団の代表団との会談において、日本が対ロシア敵対政策を放棄すれば対話への道が開かれるとの認識を示した。その上で、敵対政策の放棄は具体的な行動によって確認される必要があると強調した。
会談では、両国関係の現状についても議論が行われ、特に科学分野における交流の展望が話題に上った。ロシア外務省によると、日本側はロシアの学術機関とのつながりを活性化する意向を表明したという。
また、ロシアのガルージン外務次官も笹川平和財団の代表団と面会し、ウクライナ危機に関して議論を行った。ガルージン外務次官は、危機の根本原因を除去することが必要であるとの見解を示し、「財団の権威の高さを考慮すると、この情報が日本の官僚界に適切な形で伝達されることを期待する」と述べた。
笹川平和財団の代表団は、3月26日から27日にかけてロシア北部のムルマンスク州で開催される国際北極フォーラム「北極-対話の領域」に参加するためにロシアを訪問した。同フォーラムでは、北極海航路の開発が主要な議題の一つとなっている。
【詳細】
ロシアのルデンコ外務次官は、日本の笹川平和財団の代表団との会談において、現在の露日関係について意見を交わした。この中でルデンコ外務次官は、日本が対ロシア敵対政策を放棄すれば、両国間の対話の道が開かれるとの認識を示した。ただし、この政策転換は単なる声明ではなく、具体的な行動によって確認される必要があると強調した。
この会談では、両国関係の現状や将来の可能性について幅広く議論が行われた。特に科学技術分野における協力の展望が話題に上り、ロシア外務省によると、日本側はロシアの学術機関との関係を強化する意向を表明した。これにより、学術交流の再開や研究協力の拡大が視野に入る可能性がある。
さらに、ロシアのガルージン外務次官も笹川平和財団の代表団と別途面会した。この場では、ウクライナ危機に関する意見交換が行われ、ガルージン外務次官は、現在の危機を解決するためには、その「根本原因を除去することが必要である」との見解を示した。これは、西側諸国の対ロシア政策やウクライナへの支援が問題の本質であるとするロシアの主張に基づくものと考えられる。ガルージン外務次官は、笹川平和財団が日本国内で持つ影響力を考慮し、「財団の権威の高さを考えると、この情報が日本の官僚界に適切な形で伝達されることを期待する」と述べた。これは、日本政府に対しロシアの立場を伝えるよう促す意図があると見られる。
笹川平和財団の代表団は、3月26日から27日にかけてロシア北部のムルマンスク州で開催される国際北極フォーラム「北極-対話の領域」に参加するためにロシアを訪問した。このフォーラムは、北極地域における国際協力を促進することを目的としており、環境問題、経済開発、安全保障など多岐にわたるテーマが議論される。特に今回のフォーラムでは、北極海航路(NSR)の開発が主要議題の一つとなっている。ロシアは、ウクライナ危機後の西側諸国との関係悪化を背景に、中国やインドなど非西側諸国との経済協力を強化しており、北極海航路の利用促進を重要視している。このため、日本との協力の可能性についても関心を示していると考えられる。
【要点】
1.ルデンコ外務次官の発言
・日本が対ロシア敵対政策を放棄すれば、対話の道が開かれると指摘。
・ただし、政策転換は声明だけでなく、具体的な行動によって確認される必要があると強調。
2.会談内容(ルデンコ外務次官との議論)
・露日関係の現状と今後の展望について意見交換。
・特に科学技術分野での交流に関する議論が行われる。
・日本側はロシアの学術機関との関係強化の意向を表明。
3.ガルージン外務次官との会談
・主にウクライナ危機について議論。
・ガルージン外務次官は「危機の根本原因を除去することが必要」と指摘。
・「財団の権威の高さを考慮すると、日本の官僚界にロシアの立場が伝わることを期待する」と発言。
4.笹川平和財団の訪露目的
・3月26~27日にロシア北部ムルマンスク州で開催の国際北極フォーラム「北極-対話の領域」に参加。
・北極地域の国際協力、環境問題、経済開発、安全保障などを議論。
・主要議題の一つは北極海航路(NSR)の開発。
5.ロシアの北極戦略と日本との関係
・ロシアはウクライナ危機後、西側諸国との関係悪化を背景に、中国やインドなど非西側諸国との経済協力を強化。
・北極海航路の利用促進を重視し、日本との協力の可能性にも関心を示していると考えられる。
【引用・参照・底本】
日本が対ロシア敵対政策を放棄すれば対話への道が開かれる=露外務省 sputnik 日本 2025.03.27
https://sputniknews.jp/20250327/19686804.html
プーチン:ウクライナを一時的に国際的な管理下に置く提案 ― 2025年03月28日 18:34
【概要】
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、ウクライナを一時的に国際的な管理下に置くことを提案した。この構想は、現在のウクライナ政府の正統性が失われているという認識に基づいており、国際的な前例を参考にしながら、合法的な統治を回復した上で和平合意を締結することを目的としている。以下、プーチン大統領の主張の要点を整理する。
1. ウクライナ政府の正統性の崩壊
プーチン大統領は、ウクライナの憲法上の正統性が失われていると主張した。これは、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領の任期が昨年終了したにもかかわらず選挙が実施されていないためであり、ゼレンスキー政権のすべての決定が違法であると指摘した。
「大統領選挙が行われなかった…憲法上、すべての官僚は大統領によって任命される。もし大統領自身が正統でないなら、他のすべての政府関係者も同様である」と述べた。
2. 権力の空白と急進派の台頭
ウクライナにおいて合法的な政権が存在しない状態では、急進派が台頭し、政治的混乱を引き起こす可能性があると警告した。特に、「アゾフ大隊」などのネオナチ勢力が西側諸国から武器供与を受けつつ、政府の統制を弱体化させる可能性があると指摘した。
「事実上の正統性の欠如の中で…ネオナチ組織がより多くの武器を手にし、実際の権力を握る可能性がある」と述べた。
また、こうした状況では、ウクライナ政府との交渉自体が不安定になり、和平合意を締結しても保証されないと強調した。
「誰と文書を交わしたとしても、明日には別の者が出てきて『我々は知らない』と言い、合意が無効になる可能性がある」と警戒を示した。
3. 提案:国連主導の一時的な外部統治
プーチン大統領は、ウクライナを一時的に国連の管理下に置くことを提案した。この方式は、東ティモールやパプアニューギニア、旧ユーゴスラビアの一部地域など、国際社会が過去に採用した前例を参考にしたものと説明した。
「こうした場合、国際的な慣行としてよく取られる方法がある。それは国連の平和維持活動の枠組みの中で外部統治を行い、一時的な管理を確立することである」と述べた。
4. 目的:憲法秩序の回復と安定的な和平の枠組み構築
プーチン大統領によれば、この措置の最終目標は民主的な選挙を実施し、ウクライナ国内外で正統と認められる政府を樹立することである。その後、この政府が和平合意を締結し、国際社会から承認される安定した合意を形成することが可能になる。
「なぜこれを行うのか。それは民主的な選挙を実施し、国民の信頼を得ることができる政権を誕生させ、その後和平条約の交渉を開始し、国際的に認められた文書を締結し、信頼性のある安定した枠組みを築くためである」と述べた。
5. 唯一の選択肢ではないが、現実的な案の一つ
プーチン大統領は、この提案が唯一の解決策ではないと認めつつも、歴史的な事例に基づく現実的な手段であると説明した。
「これは一つの選択肢にすぎない…他の選択肢がないとは言わない。しかし現在の状況は急速に変化しており、すべてを明確に説明することは困難かもしれない」と述べた。
6. 西側に依存しない多国間協力
プーチン大統領は、この取り組みが欧米諸国のみに依存すべきではなく、BRICS諸国など、ロシアが信頼できると考える国々と協力する必要があると強調した。
「我々はあらゆるパートナーと協力するつもりである。米国、中国、インド、ブラジル、南アフリカ、BRICS諸国…例えば北朝鮮とも」と述べた。
また、ロシアは欧州連合(EU)との協力にも前向きな姿勢を示しつつ、西側諸国が過去に和平プロセスを時間稼ぎに利用したことにより、ロシアの信頼が損なわれたと指摘した。
「我々は欧州とも協力するが、西側諸国は和平交渉を単なる時間稼ぎの手段とし、ウクライナの再軍備を進めた。このような背景を踏まえれば、西側に対する無条件の信頼を置くことは二度とない」と述べた。
総括
プーチン大統領の提案は、ウクライナの現在の政権を正統性のないものとし、国連の一時的な管理下で民主的な選挙を実施することで安定した和平プロセスを確立するというものである。同時に、西側諸国に対する信頼を前提とせず、多国間協力を進める姿勢を示している。
【詳細】
ウラジーミル・プーチン大統領は、ウクライナの現在の政治状況を「正統性の崩壊」と捉え、解決策の一例として国連主導の一時的な外部統治を提案した。この提案の背景には、ウクライナ政府の合法性喪失、急進派勢力の台頭、和平交渉の不安定性といった問題がある。以下に、各ポイントをより詳しく解説する。
1. ウクライナ政府の正統性の崩壊
(1) ウクライナ憲法上の問題
プーチン大統領は、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領の任期が2024年に終了しているにもかかわらず、大統領選挙が実施されていないことを指摘している。ウクライナ憲法では、大統領は一定期間の任期を務めた後、選挙を通じて新たな指導者が選出される仕組みである。しかし、戦争を理由に選挙が延期され、事実上ゼレンスキー政権が継続している。
この状況についてプーチン大統領は、「ゼレンスキーの任期が終了した以上、彼の政府は違法なものであり、憲法上の正統性がない」と主張している。また、ウクライナの制度では、大統領が各政府機関の官僚を任命する権限を持つため、「大統領が違法であれば、その下で任命されたすべての政府関係者も違法である」と述べている。
(2) 政府の正統性が失われた結果
ゼレンスキー政権が正統性を欠くとするならば、彼の政府が行うあらゆる外交交渉や合意は国際的に無効となる可能性がある。プーチン大統領は、「違法な政権が結ぶ和平合意にどのような信頼性があるのか」と疑問を呈しており、「現在のウクライナ政府と何かを合意しても、将来の政権がそれを否定する可能性が高い」と指摘している。
2. 権力の空白と急進派の台頭
(1) ネオナチ勢力の影響力拡大
プーチン大統領は、ウクライナ国内でネオナチ的思想を持つ武装勢力(特にアゾフ大隊)などが力を持ち始めていることを警戒している。彼の主張によれば、これらの組織は西側諸国から武器供与を受け、ウクライナ国内での影響力を強めており、事実上の権力を掌握する可能性があるという。
「合法的な政府が存在しない中、これらの武装勢力が台頭し、政治的権力を実質的に掌握する可能性がある」と述べ、「このような状況では、誰と交渉すべきかすら分からない状態になる」と強調している。
(2) ウクライナの政情不安が和平交渉を不安定化
プーチン大統領は、現在のウクライナの不安定な状況を理由に、和平交渉が成立しにくいと指摘している。仮にゼレンスキー政権とロシアが和平協定を締結したとしても、翌日に別の武装勢力や反政府勢力が「我々はその合意を認めない」と声明を出せば、合意の有効性が失われる可能性がある。
「このような状況では、何の書類に署名しようと、翌日には新たな勢力が現れ、『これは無効だ』と言ってしまう」と述べ、現状のままではウクライナとの交渉が無意味になる可能性を示唆した。
3. 国連主導の一時的な外部統治
(1) 国際的な前例
プーチン大統領は、ウクライナを一時的に国際管理下に置くという提案を行い、過去の事例として以下の例を挙げた。
・東ティモール(1999-2002年): インドネシアから独立後、国連が統治を担い、選挙を経て正式な政府が誕生。
・パプアニューギニア(ブーゲンビル紛争後): 国連の介入で和平が進み、地域の安定が確保された。
・旧ユーゴスラビアの一部地域(ボスニア・ヘルツェゴビナ): 国連や欧州連合の管理下で統治が行われ、和平が成立。
これらの事例を参考にしつつ、ウクライナにおいても「国際社会の管理下で民主的選挙を実施し、合法的な政府を確立する」ことが重要であると述べた。
(2) 目的:安定した和平プロセスの構築
国連主導の管理下では、まずウクライナ国内の武装勢力を制御し、その後に国際的に認められた選挙を実施する。このプロセスを経ることで、和平合意が確実に履行される政府が誕生し、ロシアと正式な和平交渉を行うことが可能になる。
「この方法によってこそ、信頼できる政府が誕生し、和平条約を締結し、その合意が国際的に認められるものとなる」と説明している。
4. 唯一の選択肢ではないが、有力な案の一つ
プーチン大統領は、この提案が唯一の解決策ではないと認めつつも、現状を踏まえた有力な選択肢の一つであると述べた。
「これは一つの方法にすぎない。他の選択肢もあるかもしれないが、現在の状況は急速に変化しており、確定的な解決策を示すのは困難である」と述べ、柔軟な対応の必要性を強調した。
5. 多国間協力の必要性
(1) 西側諸国への不信感
プーチン大統領は、西側諸国がこれまで和平交渉を時間稼ぎの手段として利用し、ウクライナを再武装させてきたと批判している。そのため、「ロシアはもはや西側諸国を無条件に信用することはない」と明言した。
(2) BRICS諸国との協力
この提案を実現するためには、**BRICS諸国(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)**や、ロシアが信頼する他の国々(例:北朝鮮)との協力が不可欠であると述べた。
「我々は米国、中国、インド、ブラジル、南アフリカ、BRICS諸国、そして北朝鮮とも協力するつもりである」と述べ、欧米以外の国々との連携を重視する姿勢を示した。
結論
プーチン大統領の提案は、ウクライナの現在の政権を「違法」とし、国際管理下で合法的な政府を再建することで和平合意を安定化させるというものである。このプロセスには国連やBRICS諸国の関与が必要であり、西側諸国への無条件の信頼は排除されている。
【要点】
1.ウクライナ政府の正統性喪失
・ゼレンスキー大統領の任期が終了し、選挙が実施されていないため、ウクライナ政府は憲法的に正統性を欠く。
・ゼレンスキー政権の下で任命された全ての官僚も違法であると主張。
2.権力の空白と急進派の台頭
・政府が不安定な中、ネオナチ的な武装勢力(アゾフ大隊など)が台頭し、事実上の権力を握る可能性がある。
・この状況では、ウクライナ政府との交渉が無意味になる恐れがある。
3.国連主導の一時的な外部統治の提案
・過去の事例(東ティモール、旧ユーゴスラビア、パプアニューギニアなど)を参照し、国際管理下での統治を提案。
・目的は、ウクライナにおける合法的な政府の再建と、民主的選挙を通じて和平合意を安定化させること。
4.目的:安定した和平の確立
・国際管理下で、ウクライナ国内の武装勢力を制御し、民主的な選挙を実施。
・合法的な政府が誕生すれば、平和条約が国際的に認められるものとなり、安定した和平が成立する。
5.唯一の選択肢ではないが有力な案
・この提案は一つの方法に過ぎず、他の選択肢も考慮される可能性がある。
・現在の状況は急速に変化しており、明確な解決策を示すことは難しい。
6.多国間協力の強調
・ロシアは西側諸国を信用しないとし、BRICS諸国や北朝鮮など他の信頼できる国々との協力を強調。
・米国、中国、インド、ブラジル、南アフリカ、北朝鮮などと協力する意向を示す。
【引用・参照・底本】
Key points from Putin’s speech on placing Ukraine under UN control RT 2025.03.27
https://www.rt.com/russia/614884-putin-un-control-ukraine/
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、ウクライナを一時的に国際的な管理下に置くことを提案した。この構想は、現在のウクライナ政府の正統性が失われているという認識に基づいており、国際的な前例を参考にしながら、合法的な統治を回復した上で和平合意を締結することを目的としている。以下、プーチン大統領の主張の要点を整理する。
1. ウクライナ政府の正統性の崩壊
プーチン大統領は、ウクライナの憲法上の正統性が失われていると主張した。これは、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領の任期が昨年終了したにもかかわらず選挙が実施されていないためであり、ゼレンスキー政権のすべての決定が違法であると指摘した。
「大統領選挙が行われなかった…憲法上、すべての官僚は大統領によって任命される。もし大統領自身が正統でないなら、他のすべての政府関係者も同様である」と述べた。
2. 権力の空白と急進派の台頭
ウクライナにおいて合法的な政権が存在しない状態では、急進派が台頭し、政治的混乱を引き起こす可能性があると警告した。特に、「アゾフ大隊」などのネオナチ勢力が西側諸国から武器供与を受けつつ、政府の統制を弱体化させる可能性があると指摘した。
「事実上の正統性の欠如の中で…ネオナチ組織がより多くの武器を手にし、実際の権力を握る可能性がある」と述べた。
また、こうした状況では、ウクライナ政府との交渉自体が不安定になり、和平合意を締結しても保証されないと強調した。
「誰と文書を交わしたとしても、明日には別の者が出てきて『我々は知らない』と言い、合意が無効になる可能性がある」と警戒を示した。
3. 提案:国連主導の一時的な外部統治
プーチン大統領は、ウクライナを一時的に国連の管理下に置くことを提案した。この方式は、東ティモールやパプアニューギニア、旧ユーゴスラビアの一部地域など、国際社会が過去に採用した前例を参考にしたものと説明した。
「こうした場合、国際的な慣行としてよく取られる方法がある。それは国連の平和維持活動の枠組みの中で外部統治を行い、一時的な管理を確立することである」と述べた。
4. 目的:憲法秩序の回復と安定的な和平の枠組み構築
プーチン大統領によれば、この措置の最終目標は民主的な選挙を実施し、ウクライナ国内外で正統と認められる政府を樹立することである。その後、この政府が和平合意を締結し、国際社会から承認される安定した合意を形成することが可能になる。
「なぜこれを行うのか。それは民主的な選挙を実施し、国民の信頼を得ることができる政権を誕生させ、その後和平条約の交渉を開始し、国際的に認められた文書を締結し、信頼性のある安定した枠組みを築くためである」と述べた。
5. 唯一の選択肢ではないが、現実的な案の一つ
プーチン大統領は、この提案が唯一の解決策ではないと認めつつも、歴史的な事例に基づく現実的な手段であると説明した。
「これは一つの選択肢にすぎない…他の選択肢がないとは言わない。しかし現在の状況は急速に変化しており、すべてを明確に説明することは困難かもしれない」と述べた。
6. 西側に依存しない多国間協力
プーチン大統領は、この取り組みが欧米諸国のみに依存すべきではなく、BRICS諸国など、ロシアが信頼できると考える国々と協力する必要があると強調した。
「我々はあらゆるパートナーと協力するつもりである。米国、中国、インド、ブラジル、南アフリカ、BRICS諸国…例えば北朝鮮とも」と述べた。
また、ロシアは欧州連合(EU)との協力にも前向きな姿勢を示しつつ、西側諸国が過去に和平プロセスを時間稼ぎに利用したことにより、ロシアの信頼が損なわれたと指摘した。
「我々は欧州とも協力するが、西側諸国は和平交渉を単なる時間稼ぎの手段とし、ウクライナの再軍備を進めた。このような背景を踏まえれば、西側に対する無条件の信頼を置くことは二度とない」と述べた。
総括
プーチン大統領の提案は、ウクライナの現在の政権を正統性のないものとし、国連の一時的な管理下で民主的な選挙を実施することで安定した和平プロセスを確立するというものである。同時に、西側諸国に対する信頼を前提とせず、多国間協力を進める姿勢を示している。
【詳細】
ウラジーミル・プーチン大統領は、ウクライナの現在の政治状況を「正統性の崩壊」と捉え、解決策の一例として国連主導の一時的な外部統治を提案した。この提案の背景には、ウクライナ政府の合法性喪失、急進派勢力の台頭、和平交渉の不安定性といった問題がある。以下に、各ポイントをより詳しく解説する。
1. ウクライナ政府の正統性の崩壊
(1) ウクライナ憲法上の問題
プーチン大統領は、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領の任期が2024年に終了しているにもかかわらず、大統領選挙が実施されていないことを指摘している。ウクライナ憲法では、大統領は一定期間の任期を務めた後、選挙を通じて新たな指導者が選出される仕組みである。しかし、戦争を理由に選挙が延期され、事実上ゼレンスキー政権が継続している。
この状況についてプーチン大統領は、「ゼレンスキーの任期が終了した以上、彼の政府は違法なものであり、憲法上の正統性がない」と主張している。また、ウクライナの制度では、大統領が各政府機関の官僚を任命する権限を持つため、「大統領が違法であれば、その下で任命されたすべての政府関係者も違法である」と述べている。
(2) 政府の正統性が失われた結果
ゼレンスキー政権が正統性を欠くとするならば、彼の政府が行うあらゆる外交交渉や合意は国際的に無効となる可能性がある。プーチン大統領は、「違法な政権が結ぶ和平合意にどのような信頼性があるのか」と疑問を呈しており、「現在のウクライナ政府と何かを合意しても、将来の政権がそれを否定する可能性が高い」と指摘している。
2. 権力の空白と急進派の台頭
(1) ネオナチ勢力の影響力拡大
プーチン大統領は、ウクライナ国内でネオナチ的思想を持つ武装勢力(特にアゾフ大隊)などが力を持ち始めていることを警戒している。彼の主張によれば、これらの組織は西側諸国から武器供与を受け、ウクライナ国内での影響力を強めており、事実上の権力を掌握する可能性があるという。
「合法的な政府が存在しない中、これらの武装勢力が台頭し、政治的権力を実質的に掌握する可能性がある」と述べ、「このような状況では、誰と交渉すべきかすら分からない状態になる」と強調している。
(2) ウクライナの政情不安が和平交渉を不安定化
プーチン大統領は、現在のウクライナの不安定な状況を理由に、和平交渉が成立しにくいと指摘している。仮にゼレンスキー政権とロシアが和平協定を締結したとしても、翌日に別の武装勢力や反政府勢力が「我々はその合意を認めない」と声明を出せば、合意の有効性が失われる可能性がある。
「このような状況では、何の書類に署名しようと、翌日には新たな勢力が現れ、『これは無効だ』と言ってしまう」と述べ、現状のままではウクライナとの交渉が無意味になる可能性を示唆した。
3. 国連主導の一時的な外部統治
(1) 国際的な前例
プーチン大統領は、ウクライナを一時的に国際管理下に置くという提案を行い、過去の事例として以下の例を挙げた。
・東ティモール(1999-2002年): インドネシアから独立後、国連が統治を担い、選挙を経て正式な政府が誕生。
・パプアニューギニア(ブーゲンビル紛争後): 国連の介入で和平が進み、地域の安定が確保された。
・旧ユーゴスラビアの一部地域(ボスニア・ヘルツェゴビナ): 国連や欧州連合の管理下で統治が行われ、和平が成立。
これらの事例を参考にしつつ、ウクライナにおいても「国際社会の管理下で民主的選挙を実施し、合法的な政府を確立する」ことが重要であると述べた。
(2) 目的:安定した和平プロセスの構築
国連主導の管理下では、まずウクライナ国内の武装勢力を制御し、その後に国際的に認められた選挙を実施する。このプロセスを経ることで、和平合意が確実に履行される政府が誕生し、ロシアと正式な和平交渉を行うことが可能になる。
「この方法によってこそ、信頼できる政府が誕生し、和平条約を締結し、その合意が国際的に認められるものとなる」と説明している。
4. 唯一の選択肢ではないが、有力な案の一つ
プーチン大統領は、この提案が唯一の解決策ではないと認めつつも、現状を踏まえた有力な選択肢の一つであると述べた。
「これは一つの方法にすぎない。他の選択肢もあるかもしれないが、現在の状況は急速に変化しており、確定的な解決策を示すのは困難である」と述べ、柔軟な対応の必要性を強調した。
5. 多国間協力の必要性
(1) 西側諸国への不信感
プーチン大統領は、西側諸国がこれまで和平交渉を時間稼ぎの手段として利用し、ウクライナを再武装させてきたと批判している。そのため、「ロシアはもはや西側諸国を無条件に信用することはない」と明言した。
(2) BRICS諸国との協力
この提案を実現するためには、**BRICS諸国(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)**や、ロシアが信頼する他の国々(例:北朝鮮)との協力が不可欠であると述べた。
「我々は米国、中国、インド、ブラジル、南アフリカ、BRICS諸国、そして北朝鮮とも協力するつもりである」と述べ、欧米以外の国々との連携を重視する姿勢を示した。
結論
プーチン大統領の提案は、ウクライナの現在の政権を「違法」とし、国際管理下で合法的な政府を再建することで和平合意を安定化させるというものである。このプロセスには国連やBRICS諸国の関与が必要であり、西側諸国への無条件の信頼は排除されている。
【要点】
1.ウクライナ政府の正統性喪失
・ゼレンスキー大統領の任期が終了し、選挙が実施されていないため、ウクライナ政府は憲法的に正統性を欠く。
・ゼレンスキー政権の下で任命された全ての官僚も違法であると主張。
2.権力の空白と急進派の台頭
・政府が不安定な中、ネオナチ的な武装勢力(アゾフ大隊など)が台頭し、事実上の権力を握る可能性がある。
・この状況では、ウクライナ政府との交渉が無意味になる恐れがある。
3.国連主導の一時的な外部統治の提案
・過去の事例(東ティモール、旧ユーゴスラビア、パプアニューギニアなど)を参照し、国際管理下での統治を提案。
・目的は、ウクライナにおける合法的な政府の再建と、民主的選挙を通じて和平合意を安定化させること。
4.目的:安定した和平の確立
・国際管理下で、ウクライナ国内の武装勢力を制御し、民主的な選挙を実施。
・合法的な政府が誕生すれば、平和条約が国際的に認められるものとなり、安定した和平が成立する。
5.唯一の選択肢ではないが有力な案
・この提案は一つの方法に過ぎず、他の選択肢も考慮される可能性がある。
・現在の状況は急速に変化しており、明確な解決策を示すことは難しい。
6.多国間協力の強調
・ロシアは西側諸国を信用しないとし、BRICS諸国や北朝鮮など他の信頼できる国々との協力を強調。
・米国、中国、インド、ブラジル、南アフリカ、北朝鮮などと協力する意向を示す。
【引用・参照・底本】
Key points from Putin’s speech on placing Ukraine under UN control RT 2025.03.27
https://www.rt.com/russia/614884-putin-un-control-ukraine/
仏・英:ウクライナへの軍隊派遣計画を推進し続けると ― 2025年03月28日 19:13
【概要】
フランスとイギリスは、ウクライナへの軍隊派遣計画を推進し続けるとエマニュエル・マクロン仏大統領は述べた。ロシアとの和平合意後にウクライナに「安心の部隊(reassurance force)」を派遣する提案がされているが、この計画はすでに複数のEU加盟国によって拒否されている。
ロイター通信によれば、西ヨーロッパ諸国の考え方に変化が見られる中で、ウクライナは安全保障のために部隊の派遣、特に戦闘部隊の派遣を求めている。マクロン大統領は、パリでのサミット後に、ロシアとの和平合意後に「安心の部隊」をウクライナに派遣するために「意欲的な連合(coalition of the willing)」が働きかけると発表した。マクロン大統領は、この提案が全会一致の支持を得られなかったことを認めつつも、フランスとイギリスの代表団がウクライナを訪れ、計画について話し合うとした。
「意欲的な連合」という言葉は、もともと2003年のイラク戦争においてアメリカが使用した言葉であり、現在ではウクライナへの軍事支援を続ける国々を指している。ウクライナへの平和維持部隊派遣の議論も含まれており、このような部隊を設立するにはEU加盟国間での合意と国際的な任命が必要となる。仮に実現すれば、ウクライナへの直接的な軍事支援が行われることとなる。
しかし、イタリア、ドイツ、ハンガリーは、計画に反対の立場を取っており、エスカレーションのリスクや財政的な影響を懸念している。また、モスクワは、フランスとイギリスがウクライナへの軍事介入を計画していると非難し、NATO諸国が平和維持活動を行うことはロシアとNATOの間で直接的な軍事衝突を引き起こす可能性があるとしている。
ロシア外務省は、フランスとイギリスが意図的に緊張を高め、アメリカとロシアによる和平努力を妨害しようとしていると主張している。
アメリカは最近、ウクライナとロシア間で限定的な停戦を仲介し、エネルギーインフラへの攻撃を一時的に禁止する措置を取った。しかし、モスクワはウクライナが停戦の条件を繰り返し違反し、ロシアのエネルギー関連施設への攻撃を行っていると非難している。
EUは、進行中の和平プロセスにもかかわらず軍事化を進める議題を押し進めており、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は、軍事支出を増加させるために8000億ユーロ規模の計画を発表した。しかし、イタリアやスペインなど南欧諸国は、この提案が自国の負債をさらに悪化させる懸念から反対の立場を取っている。
【詳細】
フランスとイギリスは、ウクライナへの軍隊派遣を継続的に推進する意向を示しており、フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、この計画がウクライナの安全保障のための重要な一歩であると強調している。両国は、ロシアとの和平合意後に「安心の部隊(reassurance force)」という形でウクライナに軍隊を派遣することを提案している。この部隊は、ウクライナがロシアとの停戦合意を結んだ後に、その安全保障を確保するために派遣されるもので、戦闘部隊が含まれる可能性もある。
ウクライナ政府は、ロシアとの和平合意後に自国の安全を保障するための強力な国際的支援を求めており、これには戦闘部隊を含む軍事的な支援が含まれる可能性がある。しかし、この提案には複数のEU加盟国が反対している。特に、イタリア、ドイツ、ハンガリーなどが反対を表明しており、その理由として、ウクライナへの軍事派遣が戦争のエスカレーションを招く恐れや、派遣にかかる財政的な負担を懸念していることが挙げられている。
さらに、この計画は、国際的な合意のもとで実施されることが求められている。具体的には、EU加盟国間でのコンセンサスを得ることが必要であり、国際的な任命の下で部隊が派遣されることになる。これには国際連合(UN)など、他の国際機関の関与が必要となるだろう。このような「安心の部隊」は、ウクライナに対して直接的な軍事支援を行うもので、ウクライナの領土内での平和維持活動を行うことが想定されている。
ロシア政府は、フランスとイギリスがウクライナに軍隊を派遣する計画を非難しており、これを「ウクライナへの軍事介入」として捉えている。ロシア外務省は、このような介入がNATO諸国とロシアとの間で直接的な軍事衝突を引き起こす可能性があると警告している。ロシア側は、フランスとイギリスがウクライナでの和平努力を妨害し、意図的に緊張を高めようとしていると主張しており、この計画を一層の対立を引き起こすものとみなしている。
一方、アメリカはウクライナとロシアの間で限定的な停戦を仲介し、エネルギーインフラへの攻撃を一時的に停止する合意を取り付けた。しかし、モスクワはウクライナが停戦合意を守らず、ロシアのエネルギー施設への攻撃を続けていると非難しており、停戦が完全に遵守されていないことが指摘されている。
また、欧州連合(EU)は、ウクライナ問題の解決に向けた和平プロセスを進める一方で、軍事的な支援を強化する方針を打ち出している。欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は、軍事支出の増加を目指し、8000億ユーロ規模の計画を発表した。この計画は、各国に対して軍事費を増加させるための貸付を行うもので、ウクライナへの支援を継続するための財源として活用されることが期待されている。しかし、イタリアやスペインなどの南欧諸国は、既に負担の大きい債務を抱えているため、この提案に対して反対しており、さらなる借金の増加が懸念されている。
このように、フランスとイギリスの提案する「安心の部隊」の派遣計画は、ウクライナの安全保障を強化するための重要な措置とされているが、国際社会においては賛否が分かれており、特にNATOとロシアとの間での緊張が高まる可能性がある。EU内部でも、軍事支援に関する議論が続いており、今後の展開によっては、ウクライナ問題に対するヨーロッパの対応が大きく変わる可能性もある。
【要点】
・フランスとイギリスの計画: ウクライナへの「安心の部隊(reassurance force)」派遣を提案。ロシアとの和平合意後にウクライナの安全保障を強化する目的。
・ウクライナの要求: ウクライナは、和平合意後に戦闘部隊を含む国際的な軍事支援を求めている。
・反対意見: イタリア、ドイツ、ハンガリーが反対。理由は、戦争のエスカレーションや財政負担への懸念。
・国際的な合意: 部隊派遣にはEU加盟国間のコンセンサスが必要であり、国際的な任命(例えば、国連の指導の下)も求められる。
・ロシアの反応: ロシアは、フランスとイギリスの計画を「ウクライナへの軍事介入」として非難。NATOとの直接的な軍事衝突の可能性を警告。
・アメリカの役割: アメリカはウクライナとロシアの間で限定的な停戦を仲介。エネルギーインフラへの攻撃停止を合意するも、停戦違反の報告がある。
・EUの軍事支援強化: 欧州委員会は、ウクライナへの支援のために8000億ユーロ規模の軍事支出増加計画を発表。しかし、南欧諸国は債務増加を懸念して反対。
・今後の展開: フランスとイギリスの計画は、ウクライナの安全保障を強化する狙いがあるが、国際的な賛否が分かれており、緊張の高まりやEU内部での議論が続く。
【引用・参照・底本】
France and UK rebrand possible military deployment to Ukraine RT 2025.03.27
https://www.rt.com/news/614877-france-ukraine-reassurance-force/
フランスとイギリスは、ウクライナへの軍隊派遣計画を推進し続けるとエマニュエル・マクロン仏大統領は述べた。ロシアとの和平合意後にウクライナに「安心の部隊(reassurance force)」を派遣する提案がされているが、この計画はすでに複数のEU加盟国によって拒否されている。
ロイター通信によれば、西ヨーロッパ諸国の考え方に変化が見られる中で、ウクライナは安全保障のために部隊の派遣、特に戦闘部隊の派遣を求めている。マクロン大統領は、パリでのサミット後に、ロシアとの和平合意後に「安心の部隊」をウクライナに派遣するために「意欲的な連合(coalition of the willing)」が働きかけると発表した。マクロン大統領は、この提案が全会一致の支持を得られなかったことを認めつつも、フランスとイギリスの代表団がウクライナを訪れ、計画について話し合うとした。
「意欲的な連合」という言葉は、もともと2003年のイラク戦争においてアメリカが使用した言葉であり、現在ではウクライナへの軍事支援を続ける国々を指している。ウクライナへの平和維持部隊派遣の議論も含まれており、このような部隊を設立するにはEU加盟国間での合意と国際的な任命が必要となる。仮に実現すれば、ウクライナへの直接的な軍事支援が行われることとなる。
しかし、イタリア、ドイツ、ハンガリーは、計画に反対の立場を取っており、エスカレーションのリスクや財政的な影響を懸念している。また、モスクワは、フランスとイギリスがウクライナへの軍事介入を計画していると非難し、NATO諸国が平和維持活動を行うことはロシアとNATOの間で直接的な軍事衝突を引き起こす可能性があるとしている。
ロシア外務省は、フランスとイギリスが意図的に緊張を高め、アメリカとロシアによる和平努力を妨害しようとしていると主張している。
アメリカは最近、ウクライナとロシア間で限定的な停戦を仲介し、エネルギーインフラへの攻撃を一時的に禁止する措置を取った。しかし、モスクワはウクライナが停戦の条件を繰り返し違反し、ロシアのエネルギー関連施設への攻撃を行っていると非難している。
EUは、進行中の和平プロセスにもかかわらず軍事化を進める議題を押し進めており、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は、軍事支出を増加させるために8000億ユーロ規模の計画を発表した。しかし、イタリアやスペインなど南欧諸国は、この提案が自国の負債をさらに悪化させる懸念から反対の立場を取っている。
【詳細】
フランスとイギリスは、ウクライナへの軍隊派遣を継続的に推進する意向を示しており、フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、この計画がウクライナの安全保障のための重要な一歩であると強調している。両国は、ロシアとの和平合意後に「安心の部隊(reassurance force)」という形でウクライナに軍隊を派遣することを提案している。この部隊は、ウクライナがロシアとの停戦合意を結んだ後に、その安全保障を確保するために派遣されるもので、戦闘部隊が含まれる可能性もある。
ウクライナ政府は、ロシアとの和平合意後に自国の安全を保障するための強力な国際的支援を求めており、これには戦闘部隊を含む軍事的な支援が含まれる可能性がある。しかし、この提案には複数のEU加盟国が反対している。特に、イタリア、ドイツ、ハンガリーなどが反対を表明しており、その理由として、ウクライナへの軍事派遣が戦争のエスカレーションを招く恐れや、派遣にかかる財政的な負担を懸念していることが挙げられている。
さらに、この計画は、国際的な合意のもとで実施されることが求められている。具体的には、EU加盟国間でのコンセンサスを得ることが必要であり、国際的な任命の下で部隊が派遣されることになる。これには国際連合(UN)など、他の国際機関の関与が必要となるだろう。このような「安心の部隊」は、ウクライナに対して直接的な軍事支援を行うもので、ウクライナの領土内での平和維持活動を行うことが想定されている。
ロシア政府は、フランスとイギリスがウクライナに軍隊を派遣する計画を非難しており、これを「ウクライナへの軍事介入」として捉えている。ロシア外務省は、このような介入がNATO諸国とロシアとの間で直接的な軍事衝突を引き起こす可能性があると警告している。ロシア側は、フランスとイギリスがウクライナでの和平努力を妨害し、意図的に緊張を高めようとしていると主張しており、この計画を一層の対立を引き起こすものとみなしている。
一方、アメリカはウクライナとロシアの間で限定的な停戦を仲介し、エネルギーインフラへの攻撃を一時的に停止する合意を取り付けた。しかし、モスクワはウクライナが停戦合意を守らず、ロシアのエネルギー施設への攻撃を続けていると非難しており、停戦が完全に遵守されていないことが指摘されている。
また、欧州連合(EU)は、ウクライナ問題の解決に向けた和平プロセスを進める一方で、軍事的な支援を強化する方針を打ち出している。欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は、軍事支出の増加を目指し、8000億ユーロ規模の計画を発表した。この計画は、各国に対して軍事費を増加させるための貸付を行うもので、ウクライナへの支援を継続するための財源として活用されることが期待されている。しかし、イタリアやスペインなどの南欧諸国は、既に負担の大きい債務を抱えているため、この提案に対して反対しており、さらなる借金の増加が懸念されている。
このように、フランスとイギリスの提案する「安心の部隊」の派遣計画は、ウクライナの安全保障を強化するための重要な措置とされているが、国際社会においては賛否が分かれており、特にNATOとロシアとの間での緊張が高まる可能性がある。EU内部でも、軍事支援に関する議論が続いており、今後の展開によっては、ウクライナ問題に対するヨーロッパの対応が大きく変わる可能性もある。
【要点】
・フランスとイギリスの計画: ウクライナへの「安心の部隊(reassurance force)」派遣を提案。ロシアとの和平合意後にウクライナの安全保障を強化する目的。
・ウクライナの要求: ウクライナは、和平合意後に戦闘部隊を含む国際的な軍事支援を求めている。
・反対意見: イタリア、ドイツ、ハンガリーが反対。理由は、戦争のエスカレーションや財政負担への懸念。
・国際的な合意: 部隊派遣にはEU加盟国間のコンセンサスが必要であり、国際的な任命(例えば、国連の指導の下)も求められる。
・ロシアの反応: ロシアは、フランスとイギリスの計画を「ウクライナへの軍事介入」として非難。NATOとの直接的な軍事衝突の可能性を警告。
・アメリカの役割: アメリカはウクライナとロシアの間で限定的な停戦を仲介。エネルギーインフラへの攻撃停止を合意するも、停戦違反の報告がある。
・EUの軍事支援強化: 欧州委員会は、ウクライナへの支援のために8000億ユーロ規模の軍事支出増加計画を発表。しかし、南欧諸国は債務増加を懸念して反対。
・今後の展開: フランスとイギリスの計画は、ウクライナの安全保障を強化する狙いがあるが、国際的な賛否が分かれており、緊張の高まりやEU内部での議論が続く。
【引用・参照・底本】
France and UK rebrand possible military deployment to Ukraine RT 2025.03.27
https://www.rt.com/news/614877-france-ukraine-reassurance-force/